●未知 『何……これ、体が……っ、体が……ぁぁぁっ!?』 『くそっ!? どうなってやがる……意識がぼやけ……』 偵察から調査、戦う事前準備なら何でもこなす便利屋といえるチーム、スカイウォーカーのメンバーから飛び込んだのは危険漂う通信だった。 機械の目を持つ少年、部隊長のEEは通信に静かに耳を傾けているが、傍にいる相方、白人の少年、HEは明らかに動揺している。 「EE! 早く二人を助けに行かないと!」 声が大きくならぬよう、抑えながらも強い語気で同意を求めるも、EEは首を振らない。 今、彼らがいるのは予知で迫り来る危機として見つけられた廃ビルである。 瓦礫で進めないように見えるポイントがあったが、天井裏から抜ける事で閉鎖された先へと進み、二手に分かれたところでこの通信だ。 『SwaE、BunE、何が起きた? 何でもいい、教えてくれ』 『小動物のクセにっ、クソァッ!!』 途切れる通信。僅かなヒントを元に敵を予測しつつ、仲間が向かった部屋へと到達する。 目線で合図し、頷くと共に壁に張り付いた二人は行動を開始。 EEが扉を蹴破り、HEが先頭に立ち、ライフルを構えて突入すると同時の事だ。 「ウォァァァッ!!」 雄叫びを上げる屈強なファイターであるBunEがEEへ 「あはははっ!!」 男を惑わす魅力と艶やかさを兼ね備えた女隊員のSwaEがHEへ飛び掛ったのだ。 しかも、何故か二人揃って服も装備も脱ぎ捨てている。 「ぐっ!?」 「な、何をするんだ!?」 EEは壁へ押し潰そうとするBunEの鍛え抜かれた両椀に徐々に押され、背中から軋む音が響く。 一方のHEはヘッドロックを掛けるSwaEを倒そうと思えば倒せるが、変に紳士的なところがあり、錯乱してるからと女に手を上げられない。 「HEっ! 交換するぞ!」 「交換? あぁ……そういう事か!」 渾身の力を込めてEEはBunEを蹴り退け、HEはSwaEに痣をつけぬ様にと気遣いながらヘッドロックを引っぺがし、トンと押しやる。 互いの相手が入れ替わると後は簡単だ。 EEは容赦なく彼女の腹にライフルストックをたたきつけ、HEはBunEを格闘術で叩きのめす。 「……一体何が?」 周辺からは危険な気配はなく、唐突の錯乱に理由が見つからない。 ともかくこのまま調査を続けるには危険と、二人は仲間を担ぎ、一時撤退となった。 ●生物兵器 「せんきょーよほー、するよっ!」 満面の笑みで決まり文句を口にする『なちゅらる・ぷろふぇっと』ノエル・S・アテニャン(nBNE000223)と、無愛想な表情を浮かべる兄、紳護の二人がブリーフィングルームで彼らを向かえた。 「今日はね、イタチさんを倒して欲しいの」 見せたのは四足動物らしき何か、更に口から吐き出すように描かれた黒い針。 針にはゆがんだ矢印と共に「わるいおちゅうしゃ」との、下手な文字が添えられていた。 「このイタチさんはね、体にわるいおびょうきを持ってるの。すごく熱くなったり、すごく怒ったりするみたいなんだよ?」 確かに傍には黒い針が刺さり、眼をバッテンにした人の絵もある。 「元々はそこに何かいる、そのぐらいの予知で偵察に出たんだが……仲間二人が敵と遭遇。不意打ちを受け、行動不能に陥った」 装備に付けられた小型カメラの映像がスクリーンに映し出され、揺れる画面は忙しなく脅威を探す。 『クリア』 『クリア』 次々と部屋を変える二人、紳護がここからだと一言付け加えるとリベリスタ達に緊張が走る。 『なんだありゃ?』 画面に映りこんだのは、のそっとした巨躯。 恐らくフェレットなどといえば分かりやすいか、長細い体につぶらな丸い黒の瞳と愛嬌のある表情。 大型犬ぐらいのサイズがあるところを除けば、可愛らしく見えるだろう。 『可愛いわね、ペットにする?』 冗談を口にした瞬間。 『キシャァァァ!!』 フェレットの口がおかしなレベルに開くと共に、真っ黒な棘を散弾の如く吐き出したのだ。 持ち前の反射神経で飛び退く二人だが、完全に避けるには難しいだろう。 『ぐぁっ!?』 『何……よ、これ……』 すぐさま何かが体を巡り、二人は呻き声をこぼす。 カメラの前からそそくさと逃げ出すフェレットを追いかけようと、手を伸ばしながら……。 「……どうやら、これがやられた原因らしい。再度ノエルに予知してもらったところ、より詳しい状況が分かったという事だ」 どうやらこのイタチの体内には、生物に悪影響を及ぼす毒素が作られており、注射器状の毒針を撒き散らすことで弱らせるらしい。 だが本人達の戦闘力は低い、おそらくリベリスタの攻撃を数回受ければ行動不能に陥るだろう。 しかし、その体力の無さを補う為に手に入れたのがあの毒針だ。 逃げるのにも使われるが、彼等は体の表面から触手を飛び出させ、絡め取り、身動きを封じてから吸引能力のある触手を突き立てる事で体力や体液を啜る。 手段はともかく、理に適っている行動原理というところか。 「一般人に襲い掛かったら被害は大きい、そうなる前にあの建物から駆除してもらいたい」 しかし、リベリスタ達には一つの疑問が残った。 映像が流れる前に、彼らの戦闘記録の文章が表示されていたからである。 『錯乱状態に陥り、装備を脱ぎ捨てて仲間に襲い掛かった』という一文が……。 「そろそろ気付いているかもしれないが、その毒……いや、ウィルスというべきか。それを受けると体温が異常に上がり、脳内物質の分泌を操作され、理性を失い、錯乱状態に陥る。そして錯乱状態のモノから血液感染も起こす場合がある」 一歩間違えれば纏めてパニック状態になり、全滅しかねない。 スクリーンに映る情報によれば、錯乱状態の具合も人によって変わる可能性が高いそうだ。 特に何かに対する欲望があれば、それを満たす行動に走りやすく、なければ暴力的になりやすいらしい。 「このウィルスを俺達はH-Virus(ウィルス)と呼称している、HはHeatedの略だ」 heated、それは熱せられたという意味や興奮や怒りを指す。 まさに名の通りというところ。 「さしずめ、あのイタチはH-Mustela、まぁ日本人になじみやすく言えばH-イタチとでも言うべきか」 ターゲットの名前が決まったところで、スクリーンの映像は作戦ポイントに切り替わる。 「巣は最上階の角部屋だ。そこに突入し、一匹残らず始末してくれ」 そのほかの情報を纏めた資料をリベリスタ達に配布する紳護、その後ろでノエルが少し寂しげに笑う。 「あんなに可愛いなら、ノエル、撫で撫でしたかったなぁ……」 少女の無垢なセリフでオチをつけつつ、作戦会議は始まる。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:常陸岐路 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年12月01日(土)23:38 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●開幕 廃ビルの中で蠢く四足歩行。 大きなイタチ達の住処となった最上階へ、リベリスタ達が向かう。 (「イタチ、イタチ……無害であれば戯れたい所なのですが」) 『五線譜』ブレッザ・フィオーレ(BNE004021)は心の中で呟く。 ただ巨大化しただけのエリューションであればよかった、だが奴の持つ毒は恐ろしい限りだ。 (「小動物が捕食者対策に一芸の対策を持っているのはよくあることだけど、これはまた……」) 『エーデルワイス』エルフリーデ・ヴォルフ(BNE002334)も、その毒に脅威を感じていた。 (「愛玩動物なら愛玩動物らしく、正直に可愛がられれば良いのにね?」) 逆に、『アスター・ビーストテイマー』杜若・瑠桐恵(BNE004127)は過去のことを思い出しながらも楽観視している。 (「アークの面々の欲望って時々常軌を逸したのがあったりするしな、殺人願望とか破壊願望とか……」) 建前のような言葉を並べて、ここにいる事の正当性を確かめる『Small discord』神代 楓(BNE002658)、たった一人の男が掴んだのは天国へのチケットか、地獄への片道切符か。 この様にメンバーの胸に秘めたるはバラバラであったりするが、果たして大丈夫だろうか? 最上階のドアを開くと、一斉にリベリスタ達が突入する。 先制攻撃を仕掛けたのは『ものまね大好きっ娘』ティオ・ココナ(BNE002829)だ。 「いっけー!」 魔力は死の火炎と生まれ変わり、イタチ達を焼き払う。 更に『自堕落教師』ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329)の電撃とエルフリーデの弾幕が広範囲に撒き散らされ、イタチ達の体力を削り取る。 「ホント大きなイタチね。飛び掛られたらたまらないわ」 今度は『百花乱舞』桜乃 彩音(BNE003884)が、不安定な足元に注意しつつ突入する。 強襲に慌てふためくイタチへ取り付くと、容赦なくその牙を突きたてた。 人とは違った獣の味を吸い上げ、寧ろ捕食せんとする勢いに他のイタチ達が散り散りに離れていく。 「逃がさないわ!」 走る動きを備に読み取り、移動先へ交差させる様に鞭を振るう。 先端が乾いた音を立てて皮を叩き、イタチから小さな悲鳴が上がる。 流れを掴んで一気に押し切らねば、暴走させられたところから陣形が崩されてしまう。 後衛が多い分、維持力には余裕は無い。 ブレッザも破壊の音色を具現化した光として放ち、イタチ達を追い立てる。 だが、窮鼠猫を噛むと言う言葉があるとおり、追い詰められたイタチ達は持ち合わせた力を存分に使い生き延びようと、危険度が上がっていくのも必然であった。 「今がチャンスだね!」 敵が散開し、広範囲攻撃で障害物が排除されたルートを走り、ティオはイタチへ接近する。 その理由を示すようにイタチに飛びつく。 「捕まえたよ!」 無邪気に抱きついたままイタチを撫で回すティオ。 きっと柔らかな毛皮がお出迎えしてくれるに違いないと思っていたが、外側は水を弾く為の硬い毛が生え揃っており、あまり満足な結果ではないだろう。 寧ろ、イタチからすれば唐突過ぎる彼女の行動に、驚きながら触手を広げる。 「うわっ!?」 マントの上から触手が絡みつき、ティオの体を締め付ける。 ヌルヌルの体液がマントに染み込み、べとっとした感触が肌に伝わるだろう。 剥がさなければと、詠唱するのを遮ろうとマントの下へと魔の手が伸びる。 ぐちゅりと水音を響かせ、殆ど素肌丸出しの体が弄られていく。 「んんっ、くすぐったぃよ……っ」 何故ここにアレな水着を纏い、戦いに挑んだのだろうかと思うのだが、それはともかくピンチだ。 お待ちかね、宴の開幕である。 ●狼煙 「ダメだよっ、離して……!」 ティオが身じろぎ、振り解こうとしても拘束力は強く中々解けない。 敵を捉えたと仲間のイタチ達が気付けば、まんまるの瞳を彼女に向け、ターゲットが絞られていく。 「やっ……!?」 流石のリベリスタといえども5体のエリューションに袋にされては堪ったものではない。 ぞわりとする危機感にもがく程に体力をすり減らし、まともな思考が働かなくなる。 若干の酸性でもあるのか、ぬるぬるになったマントが床に落下し、きわどい姿が露となる。 紅潮した頬は恐怖か羞恥か、それとも全てか、小さな体が震えていた。 「こっちの相手もしてくれなきゃイヤよ」 「ココナを離しなさい!」 彩音とルンの二人がイタチ達を引き付けようと、飛び道具を放つ。 真空の刃とオーラの糸を束ねた矢がイタチ達を切り裂き貫き、痛みが怒りを招き狙いが代わる。 「ふぁ……っ」 しかし触手の破壊には至らず、より一層ティオを貪らせる結果になってしまう。 金切り声の様な威嚇と共に、イタチの顎が割れ、口内にびっしりと並んだ棘が撒き散らされる。 「っ、痛いじゃない」 散開する様に二人は飛び退き、攻撃を回避するのだが彩音の太股に数発着弾してしまったのだ。 本来、強靭な体を持つリベリスタからすればそれほど痛く感じないはずだが、熱をおびえていく体は痛みの刺激すらも増大させているのだろう。 他のイタチ達も続けて触手を放ち、彩音を追い詰める。 「あら、楽しませてくれるの?」 余裕の呟きか、願望か。 彩音の体は触手の渦に巻き込まれていった。 「胸も足も口の中も……全身いたるところ、じっくりねっとりお願――んぐっ!?」 強請る言葉、逸るかの様な追撃、言われずともと暴れた触手達が胸元や脇腹に先端を着きたて、血や零れる汗やらと、啜れそうなものなら全てと貪りつく。 声が遮られたのは、しっとりと唾液が零れた口元が格好の餌場だったからだ。 喉の奥を抉るかのように暴れ、日常に聞き得ないような風音を骨振動で聞かされ、彩音の脳がかき混ぜられていく。 (「悪戯されるの嫌いじゃないけれど……そんな激しく吸い付かれたら、体力がもたないわ……」) 救いの手とエルフリーデの狙撃が触手を撃ちぬき、更にブレッザの魔曲がイタチを穿つ。 膝から崩れ落ちるように開放される彩音、再び僧院の攻撃が集中するが回復したイタチ達は中々しぶとい。 「きゃっ!?」 先程から音を頼りに狙いの指示を出していたブレッザが気になったか、今度の狙いは彼女の様だ。 触手が左手を捕まえれば、更に右手、右足左足と次々に攻撃を繋げて一斉に攻め立てる。 邪魔立てされない様に毒針の幕も撒き散らし、周到に潰しに掛かっていた。 「は、離してください……!」 そんな中、ゆらゆらと接近する影が一つ。 彩音だ。助けにやってきたのかと思いきや、熱にとろけた瞳でブレッザを見やり、口元に残った血を舌で舐めとるとさも当たり前のように彼女の胸元に触れる。 「どこからいじめてほしいのかしら?」 勝機ではないことがわかるとビクリと跳ね上がり、怯えた様子で彩音から身を遠ざけようとするが叶わない。 「……もう、言わないと勝手にはじめちゃうわよ」 「お気を確かにっ」 「嘘吐き」 反論を塞ぐように首筋に唇を寄せて甘噛み、牙は突きたてぬ様にしながら舌を這わす。 まさに捕食者と獲物といった体たらくだ。 細い指先がブレッザの双丘をなぞり、滑り落ちる。特に獲物を逃がそうとする様子がない彩音の様子に、イタチ達は妨害することも無い。 寧ろこうして暴走した獲物が獲物を仕上げることを知っているかのように見届け、彼女達の仲間を遠ざけることに専念していた。 そのおかげで後衛が悲惨な事になっていた事をこれから語るとしよう。 ●大崩壊 振り払うように放たれる毒針のスプレーがソラの肩に突き刺さる。 小さな体に毒素が一気に回りこむと、溜まった欲望は一気に爆発した。 「私は……私は……」 ふらりふらりと、近くにいたエルフリーデに近づこうとするソラ。 近づかれる方もただ事ではない雰囲気に息を呑み、ゆっくりと後ずさる。 「眠い! 働きたくない! 何もしたくない! サボりたーいっ!!」 ここまでサボる事に欲望を働かせるのもある意味凄いことだ。 「えっ? サボり……たい?」 呆気にとられ、思わず聞き返すエルフリーデ。 目を輝かせたソラは言葉とは真逆に機敏な動きで彼女へ飛び込むと、胸元に顔を突っ込んだ。 「いいじゃないサボたって! たのしまなきゃ損よ? らく~に生きましょうよ」 狼狽するエルフリーデのことなどお構いなく顔を擦り付けると、ソラはぐいぐい体を押し、そのまま彼女を押し倒していく。 「まくらにしてもいいよね? けちけちしないで、ね? もんだりしないから、うずもれるだけだから!!」 「そ、そういう問題じゃ……離しなさいってぇ!」 これが男が言っていたら死刑は免れない。 寧ろ自分がしたかったと、視線が離せない楓がいるが、それよりサックスを吹くべきだ。 後で君の命が無い。 「って、危ない! 避けろっ!!」 再び襲い掛かる棘の嵐、楓はぐっと身を伏せて棘をやり過ごしたが、傍で突き刺さるような音が響く。 振り返った先には瑠桐恵の姿、がくりと体が揺れたが棘を引き抜くのを見ればどうにか耐えたようにも見える。 「大丈夫か? とりあえず、ブレッザを開放してやらないとヤバイ」 (「あそこにいるのは……――? 何で?」) 「あっちに集中攻撃を仕掛けるぞ」 (「また私を置いて何処か行く気かしら? そんなの……許さないわ」 「おい?」 瑠桐恵は楓を見つめると、小さな体をいきなり抱き寄せる。 強引に抱きしめられた体は後ろからすっぽりと包まれ、大人の女の手が楓の幼い体の上を摩っていく。 「良い音色だったわよ? 楓君のサックス……でも『こっち』のサックスはどんな音色を奏でるのかしら……?」 「こっちってどっちのサックスだよ!?」 これを記すと私が首根っこ捕まえられてしまうのでお許しを。 瑠桐恵は楓の突っ込みなど気にせず、求めるサックスを探し、掌が腹部を滑り更にその下へと向かう。 傍から見ると幼い少年が大人の女に何かされている様な、警察呼んでこい状態だ。 彼の頭に唇を寄せて、遠慮無しに体を撫で回す。 後頭部辺りに念願のたわわに熟れた胸元が密着しているのだが、予想外の展開に気付けているかは謎だ。 「可愛いわね……女を奏でるのはまだ未経験?」 「いや、まだ高校生だぞ!? って、何言わせるんだ!」 実際どうなのかは分からない。 しかし、見ての通り後衛大崩壊である。 「ソラ君、しっかりしなさいって!」 同性とはいえ、胸元をやたらと刺激されるのは恥ずかしい事に変わりなく。 エルフリーデは少々頬を赤らめながらもグイグイと頭を押しやって引っぺがそうとしていた。 だが、滑った手が肩に触れてしまうと、零れた血は毒となって彼女の傷口を犯す。 「熱っ……!?」 どくんと高鳴る心音、燃えるように熱くなる体。 本能を刺激する強い刺激が彼女の理性を焼き払おうとしていた。 獣の遺伝子が血を渇望し、口の中が乾き、呼吸が緩やかになる。 再びソラを押しやると、今度はすり抜ける様に離れ、イタチの方へと走り出した。 「はぁっ!!」 噛み付き、勿論吸血鬼でもない彼女の攻撃にさしたる力は無い。 そのまま引きちぎらんと顎を引いて皮を引っ張り、荒っぽい攻撃を仕掛けるがすぐさま触手にとらわれてしまう。 「くっ、あぁ……っ」 仕返しと絡みつく触手、先端が磨り減った体力の変換を求め、啜れそうな場所を探す。 傷口のあった掌は触手が埋め尽くしているも、まだ足りない。 胸元を弄る度に跳ね上がる心音、その音を聞き届けたか執拗にそこを嬲り続ける。 「駄目……そんなとこ……」 一部だけ反応が違う場所を見つければ、ぴたりと動きが止まり、先端が口を開き神経の集中したポイントに喰らいつく。 「ん、ぁ……そこ、吸っちゃ駄目ぇ……」 噛み付いた瞬間に新鮮な真紅が溢れ、それが彼女の肌を伝う汗と交じり合い、敵の求めた栄養として吸い上げられていく。 脈動する触手の動きをとろんとした表情で見つめ、背中が痺れるような刺激にくんと首を仰け反らす。 「何か……出ちゃってる……んんっ」 甘美な音色と共に体をくねらせ、理性を失った彼女はされるがまま蕩けていく。 ●意外な転機 「一体どうなってるのよっ!?」 あっという間に陣形が崩れ、唯一自由に動けるのはルンだけとなっていた。 後は彼女だけとなれば、他のリベリスタ達にある程度の4体差し向け、残りの2体が彼女を襲う。 「このっ、このっ!」 鞭で移動先を狙い撃ち、ダメージを重ねるが直ぐに倒せるような相手ではない。 槍の如く襲い掛かる触手が、ルンへと襲い掛かり、降下した先端が着物ごと柔肌を貫く。 「やだこいつ……何で胸なんて吸って……ぅあっ!?」 体から吸い出される嫌な響がルンの悪寒を誘い、引き抜こうとしたところでもう一体が触手を絡める。 短い悲鳴をかき消すように着物の下へ触手が潜ると、敏感なポイントを探して細かな動きで擽りまわす。 こそばゆい刺激とくすぐったさが交じり合い、ルンの意識は白く焼き尽くされそうだ。 「あーもうっ、いい加減に胸から離れなさいよ!」 体をねじれば双丘がゆれ、強引に離れそうになるのだが胸が零れてしまいそうである。 だが、別の触手がより敏感な場所を探り当てるとあっさりとそこを手放したのだ。 「ふぇ……?」 狙った場所、それは強引に彼女の足を開かせた先にある。 「やだ、違う……そっちを吸っていいって事じゃなく……あぁぁっ!」 螺旋状の先端をもった触手が狙ったのは股座の一角。 脚へと血液を送る大きな脈動を狙った一突きが彼女の背を仰け反らせ、肺の空気を全て吐き出させる。 零れる血、痛みと衝撃にパクパクと口が仰いだ。 「やっ、駄目って、駄目、駄目ぇっ……」 ぐじゅると音が響き、遠慮無しに貪れる感覚は咀嚼されている様な気味の悪いものだ。 それなのに刺激を甘く感じるのは何故なのか? 首筋や脇、胸元に脇腹と神経と血管の多い場所を遠慮なくなぞる触手に総身の力が緩む。 (「は、早く何とかしないと変になっちゃう……」) 一人ではどうにもならず、胃袋に納められたかのようにゆっくりと融かされtいくのであった。 「もう……駄目です」 ブレッザは我慢を続けていた。 解き放ちたい、欲望に身を任せたい。 けれど弄ばれようともずっと耐えてきた。 しかし、触手と彩音に弄ばれた心身は既に限界に達していた。 「――ごめんなさい」 懺悔の後、彼女は欲望に沈む。 そして……無慈悲な破壊音波が放たれた。 「~♪」 本人はとても気持ちよさそうに歌っているのだが、もはや騒音というレベルを通り越している。 鼓膜を突き破らん勢いで響く不協和音がリベリスタとイタチの耳を蝕む。 阿鼻叫喚にのた打ち回る敵味方、だが結果としてその音がイタチ達の拘束を緩ませ、正気を取り戻させたのだ。 「……よくもやってくれたわね!」 瑠桐恵の叫び、そして一斉反撃が始まればイタチ達に反撃の余地はなかった。 弾丸、電撃、炎、光、オーラと破壊の重奏が響いた後には死に絶えたイタチ達の姿。 こうして最悪の結果、一歩手前で勝利を収めた戦いは幕を閉じる。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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