●全身鎧(フルアーマー)同好会 「ちっくしょおおおおおおっ!」 少年は騎士甲冑によくあるフルフェイス型ヘルメットを地面に叩きつけた。 無論、自分がかぶっていたものを脱いでの行為である。 頭こそ外気にさらされているものの、彼の全身は西洋鎧にがっちりと包まれていた。 「同好会が解散だなんて、一体どういうことだよ!」 「落ち着くでござる志騎部長! いやさ志騎同行会長!」 「同行会長言うなっ!」 後ろから羽交い絞めにされ、彼は相手を強引に突き飛ばした。 よたよたとよろめく全身鎧の少年。が、こちらは打って変わって武者鎧。 それも籠手から足首までフルに固め、兜と鬼面で顔までカバーしていた。 「元々十二人いたこの部は全身鎧派と盾派で装甲性の違いから分断。残った拙者たは人数不足で部として認められず同好会落ちし、そのことでやる気をなくしたメンバーの離脱によって今や同好会としても認められない人数になってしまったのでござる!」 「説明口調で言うなっ!」 「でも、武者篠君の言う通りよ」 と、女性の声が割り込んだ。 壁に背を預け、ゆるく腕を組む女性。凹凸のある女性らしいボディラインが微妙に出た彼女の服装は、所謂耐衝撃ボディースーツ……ボディアーマーと呼ばれるものだった。それも、随分古い型のものである。 「杉並……」 「既に時期は年末。人数集めをしようにも皆クリスマスや大晦日より優先順位を上げてくれるとは思えないわ。ここは一つ、私達の実力を何らかの形で見せつける他ないと思うの」 「ふむ……」 武者鎧の武者篠も鬼面の顎を指で撫でる。 「拙者たちの特技と言えば防御。それも全力での防御でござるが……」 「いくらなんでもそんな機会あるとは思えないな。学校にダンプカーの化物でも突っ込んでこないことには」 「そうね。しかもそれが複数台で、放っておけば校舎くらい普通に破壊しそうなレベルでなくちゃ……」 「うーむ……」 腕組みして頭をもたげる三人。 すると、窓から生徒たちの声が聞こえてきた。 『大変だー! ダンプが学校に突っ込んできたぞー!』 『ただのダンプカーじゃない。なぜか腕が生える化物だ!』 『しかも複数台よ! 学校なんて数分で粉々にされちゃうわ!』 窓の外を通り過ぎていく見知らぬ少年少女たちの声。 「「………………」」 三人は同時に手をポンッと叩いて、部室(立ち退き命令書つき)のドアを蹴り開けた。 「フルアーマー同好会、出撃だぁぁぁぁぁ!!」 「「オーッ!」」 ●突っ込みどころの嵐 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)の説明を要約するとこうである。 ある日のこと、仕事中のダンプカーが突如革醒。Eゴーレムとなって暴走を初め、進路上にあるフェンスだの自販機だのを適当に破壊しながら一直線に突っ走り始めたという。 その数三台。 多分似たようなダンプゴーレム同士で合流でもしたかったのだろうか。彼らはある高校目指して暴走特急と化しているのだ。 「ダンプは三つに分かれ高校へと走っています。これを防衛するため皆さんには『3人×3』の三チームに分かれて頂き、北側・西側・東側で防衛を行って頂きます」 とはいえ相手はダンプカーの化物。 ただでさえ重量のある大型車両に巨大な腕を生やし、進路上にあるものを片っ端からぶっ壊していくと言うのだ。 リベリスタ3人でも場合によってはキツいかもしれない。 だがしかし……。 「現地にはどうやらリベリスタ組織が存在するらしく、彼等が既に防御地点に配置されているようなのです。彼らと協力して、Eゴーレムを撃破して下さい!」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 9人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年11月25日(日)22:42 |
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■メイン参加者 9人■ | |||||
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●心の鎧を打ち鳴らせ 他者の言を用いるが、人は逆境にある時こそ真価を発揮すると言う。 それは逆説的に述べれるなら、纏う鎧の形が人を顕しているのだとも、言えないだろうか。 元来鎧とは人の身体に合わせ、人の成長に合わせ、人の代わりに傷つき、人の栄えと共に装いを増し、主張を掲げ、結束を強めるものであった。 それは恐らく、如何なる文明にも当てはまることだろうと思う。 中でも、守りの象徴、権力と栄光の象徴とされた全身鎧……フルアーマーを愛した者たちがいた。 名を、フルアーマー同好会。 「なるほど奇妙な同好会もあったものだ。なかなか見込みのある若者だな」 「ええ、頼もしい、気持ちの良い若者です」 フル甲冑の『さまようよろい』鎧 盾(BNE003210)とフル蒸着の『俺は人のために死ねるか』犬吠埼 守(BNE003268)が肩を並べて笑っていた。 全身鎧の笑い方とはつまり、肩装甲をガチャガチャと鳴らすことを差し、その時顎が下を向くか上を向くかで意味が変わってくる。今回は上であった。 そんな彼らの上をふわふわと飛ぶ全身鎧。ややまるっこく小柄で、ピンクの花模様であることからも分かる通り『超守る空飛ぶ不沈艦』姫宮・心(BNE002595)である。鎧のアークリベリスタと言われて、彼女を想像する者も少なくないと聞く。 「逆境にも諦めない心意気やよしなのデス! 助太刀いたそおー! おー!」 「「はっはっはっはっは!」」 鎧をがちゃがちゃといわせて笑い合う三人のフルアーマー。 その光景を離れた場所から眺める四条・理央(BNE000319)と『蒼震雷姫』鳴神・暁穂(BNE003659)。 「全身鎧が三人も集まってるの、見るの初めてかも」 「フルフェイスまではそうそういないしね」 軽く腕を組む二人。 「でも、重装甲タイプっていうのは共感するよ」 「わたしは真逆のタイプだけどね。でも、その道を貫こうっていうあの人達はイカしてるわ!」 「私も、縁があったなら入りたいくらいですよー」 ほんのりと微笑む『鉄壁の艶乙女』大石・きなこ(BNE001812)。 所謂耐久力と下着に定評のあるきなこさんである。 「鎧はともかく、固い人が集まりましたね。アーク最硬をキメル良い機会かもしれませんよ?」 がつん、とダブルシールドと言う名の鉄扉を地面に立てる『絶対鉄壁のヘクス』ヘクス・ピヨン(BNE002689)。 「防御型の有名どころが集まった、とも言えますよ。依頼選抜がされていないだけで、そのテの人達がブリーフィングルームには集まっていたようですし」 一方で防御型とはあまり縁のない『境界の戦女医』氷河・凛子(BNE003330)が眼鏡にかかる前髪を払いながら言った。 「ふむ……」 こくりと頷く『ナイトオブファンタズマ』蓬莱 惟(BNE003468)。 「物語上の役割で言えば、固いからこその噛ませ役、硬いからこその標的、そして絵的な地味さから『ボスに挑みかかる次のカットでビルから吊るされていた』などと言われる彼等だが……だからこそ尊敬している。騎士の在るべき姿だ」 では、行こうか。 彼らはそんなふうに述べて、それぞれのエリアへと散って行くのだった。 ●「鎧とは生き様だ」――さまようよろい 繰り出されるブラックパンチ。 大型クレーンほどの鋼鉄アームが、やや背の高い女、杉並レイコを殴りつける。 女は激しく宙を舞い、ブロック塀を二枚ほど破壊して路上へ転がった。 「つぅ……衝撃はともかく、これじゃ支えきれないわ」 フルフェイスヘルメットを被ったボディスーツの女である。 そんな彼女の前に、突如として彼は現れた。 いや、表現が正しくない。 「お嬢さん、手伝っても構わんかね?」 ――さまようよろいがあらわれた! 彼は両腕を暴走ダンプの前面へ突きつけると、四肢をつっぱって強制ブレーキをかけ始めた。 しかし相手は大型エリューション。さまようよろいの踵ががりがりとアスファルトを削り、小さな火花を散らしていく。 「これは……」 「アーク、だよ」 丸盾を構え立つ理央。 彼女と並んで、暁穂が流水の構えをとった。 「フルアーマー同好会、杉並レイコね。助太刀するわ!」 二人は同時に地を蹴ると、ダンプブラックへと突撃をかけた。 と言ってもその形式はやや違う。 理央は円形の盾を前面に出し肩から体当たりをかけ、数秒だけダンプの動きをとめにかかる。 一方で、暁穂はダンプのフロントガラスめがけて盛大に飛び蹴りを繰り出したのだった。 方や防御制動、方や攻撃制動。目的は同じでも手段が違う。 「わたしはチームで唯一といっていいアタッカーよ。防御は任せるから、全力でぶち壊す!」 往年のアクションゲームに、車を破壊するボーナスステージなるものが度々存在していたが、まさにそれである。 暁穂は蜘蛛の巣状に走ったガラスをパンチで打ち砕き、そのまま運転席へ転がり込む。当たり前だがハンドルやブレーキは動かしようがない。というか無視だ。そのまま後部の荷台へと突き進むべく、鋼鉄製であろう車体フレームを内側から連続で殴り始めた。 「まあでも、ボクも一応アタッカーなんだけどね」 理央は盾越しに相手へ密着した状態で呪印封縛を開始。ダンプブラックに束縛をかけ始めた。 それまで、彼らを殴り飛ばそうとしていたアームがぎしぎしと音を立て、掲げたままの状態で震えはじめた。しかしタイヤ部分は自動的に動いているのだというかのように(恐らくそうなのだろう)ダンプブラックは動きを止めなかった。 「まあそうなるか。止まればラッキー程度の気持ちだったしね」 「とにかく壊そうって方向なのね。わかったわ、そういうことなら私も……!」 レイコはガード姿勢のまま、ジャスティスキャノンを連射しながら突撃。ダンプブラックの破壊にかかった。 フレームが複雑に拉げていくダンプブラック。 しかし防御が弱いせいか、そのスピードは半分程度までしか抑えることができていない。 そのため……。 「まずい、最終防衛ラインまでもうすぐだ!」 さまようよろいが後ろを振り向きながら叫んだ。 進路上にあるのはそう、民家である。それも古いバラック建築によるもので、ここへダンプが突っ込めば取り返しのつかない被害が出ることは確実だった。 「かくなる上は……!」 さまようよろいは一旦ダンプから飛び退くと、地面にばたんと寝転んだ。 「鎧さん、何するつもり!?」 「こうするのだ!」 当然のようにダンプがさまようよろいを轢きにかかる……が、彼は巨大なタイヤをがしりと抱きかかえ、フレームに自らの身体をひっかけたのだった。 「ぐ、うおおおおおおおおおおおお!」 飛び散る火花の量は先とは比較にならない。彼の鎧はみるみる拉げ、ダンプの前輪へ巻き込まれていく。 しかし当然ダンプカーは人間を巻きこめるようになど、ましてや全身鎧を挟んでまで回り続ける構造にはなっていない。 彼の命懸けの『超全力防御』により、ダンプカーはほんの十数秒だけ動きを止めた。 「今よ!」 拳を振り上げる暁穂。 杖を突きつける理央。 両手翳すレイコ。 彼女達の全力の攻撃が集まり、ダンプブラックはついに、最終防衛ラインから数メートル手前というギリギリのポイントで沈黙したのだった。 ●「硬さこそ正義」――絶対鉄壁 志騎ワタルは『耐え続ける』ことをテーマとしたフルアーマー戦士である。 しかしそれは物理的な耐久力に過ぎず、孤独と不安に耐え続ける精神力までは持ち合わせていなかった。 「俺は守れるのか? 同好会を……いや、それ以前に我が母校を……!」 紋章の刻まれた西洋盾を構える。ファランクスアタックを防御するために設計されたこの盾は突き攻撃にたいへん強い。もしシールド同好会がいれば……とも思う。 「いや、駄目だ。ここで俺が諦めちゃ……でも……」 迷いは拭えず、不安なままに敵は来る。 荷台から展開した無数のドリルをバンパー部分に接続するように構え、ダンプイエローが突っ込んできた。 「くう……!」 目をつぶりガード態勢をとるワタル。 しかし、予想していたダメージは来なかった。 目を開ける。 そこには、甲冑を纏った三つ編み少女と、長いポニーテールの剣士と、なぜか鉄扉を両手に持った眼鏡少女が並んでいた。 並んで、ダンプイエローのドリルアームを受け止めていた。 「君達は!?」 「通りすがりの騎士だ。助太刀する」 ちらりとだけ振り返り、頷いて見せる惟。 惟は鞘に剣を納めると、ドリルを下から持ち上げるように受け止めていた。 「このフォレース、攻撃をいなすように想定されているためドリルとは相性が悪いように見えるが、我が半身を納めることにより両手を使っての防御が可能になるのだ!」 「剣を納めて押し付けてるようにしか見えないけど」 「そんなことはない!」 ぐっと両足をつっぱって堪える惟。 その横では、きなこが両腕をクロスさせてドリルアームを受け止めていた。 見た目の所為で納得しがちだが、彼女の凄い所は『ホーリーメイガスなのにクロスイージスより硬い』と言う所にある。ジョブやスキルに縛られないオリジナリティというやつだ。更に向けば柔らかいというのだから男心がくすぐられる。 「このダンプイエローは、三人がかりで全力防御をかければ留めておけます」 「と言うわけですから。ご一緒に」 まるで相手を閉め出すかのように扉を押し当てるヘクス。 ワタルは頷くと、ダンプイエローめがけてガードアタックをしかけた。 盾を押し付けての突撃封殺である。 とはいえ相手もドリル。激しい回転で彼らのガードを無理やりにでも抉じ開けようとして来る。 「このままじゃ……!」 「大丈夫です、そのためのきなこさんですよー!」 きなこは一旦相手から手を離すと、回復領域を展開。守って癒しておまけに脱げるという、大石きなこなれではの戦術であった。 とはいえ相手の攻撃力もたいしたもの。惟は歯を食いしばって剣の傷に堪えた。 「君、大丈夫なのか!? 剣は騎士の誇りの筈……!」 「そう、騎士が全力を出せるのは守るべきものがある時。倒れられぬ理由がある時だ」 そう言うと惟は漆黒を解放。全身を闇の鎧で包むと、相手のドリルを真っ向から受け止めた。 「守るべきもの……」 「まあ、ヘクスはそう言うの無いですが。と言うより硬いのが好きですからね」 「……」 ちらり、と横目で見てくるヘクス。 「硬さを証明してくれるなら、ヘクスはしあげますよ。できますよね、ワタル?」 「ぐ……っ!」 全人類がそうだとは言わない。 だが一部以上の男達は、少女に『硬さを証明して』と言われてやる気を出さないわけにはいかないのだ! 何時如何なる時、誰何が相手であってもだ! 「やってやる……やってやるさああああああっ!!」 ワタルは全身のエネルギーを鎧へ行き渡らせると、相手のドリルアタック徐に抱きかかえた。それだけで、ドリルの方が削れていく! その時きなこの耳に通信が入ってくる。 「皆、西側のチームが撃破に成功したみたいです。すぐにこちらへ来ると……」 「なるほど、それまでここに立っていればいいと」 「これは待つのも得意だ。騎士だからな」 にやりと笑う少年少女。 今から必要とされる耐久時間は……3分である。 ●「私は世界を守るのデス!」――超守る空飛ぶ浮沈艦 武者篠ケンジは硬くない。 それは、彼の性能が個人耐久よりも集団耐久に傾いているからだ。 古くは戦国時代、将軍の鎧は本人を守ることよりも、兵を鼓舞するためにこそ使われたという。 信念を形にした鎧兜を纏って戦場に飛び出し、劣勢にあった軍が怒涛の逆転を見せるなどという例は枚挙にいとまが無い。 だからこそ、だろうか。 「たとえ拙者が粉みじんに砕け朽ち果てるとしても……この場を一歩も動かないでござる!」 ケンジは足と手を大きく開き、分かりやすく『とおせんぼ』の姿勢をとった。 正面から来たるはダンプブルー。荷台部分から生やした機関銃を乱射しながら生涯となる壁や乗用車などとまるで埃でも払うかのように一掃していく。 それをたった一人で? 「鎧道とは、守ることと見つけたり……」 「その通り、なのデス!」 突如、と言っていいだろう。 ケンジの横へ並ぶように、ピンクの自転車にのって甲冑少女がドリフトしながら停止した。小柄でピンクいフルアーマーに思わずときめくケンジ。 「き、貴殿は!?」 「趣こそ異なる者の、同志デス!」 「いやあいいですねえ鎧武者。俺も大鎧が好きでしてねえ」 がしょんがしょんと、ドーベルマンのような装甲服の男が現れる。 「止血は致しますから、皆さんしっかりと頑張ってくださいね」 そんな彼等の後ろで、バイクをとめる凛子。ヘルメットを脱いで首をやんわりと振ると、白衣のポケットから手袋を取り出して嵌めた。 「これだけ……これだけいれば……」 「いきましょう、超守るのデス!」 「はい!」 三人のフルアーマーは其々全く別のスタート体勢をとると、しかし全く同時に飛び出した。 迎え撃つはダンプブルー。機関銃が火を噴き、弾幕を形成する。 兜に二本指を翳すケンジ。 「我等、戦人(いくさびと)にして守人(もりびと)也! 最後の一人になれど、退く心算は無し!」 クロスイージス展開。 三人の身体へ浴びせられる大量の銃弾。並の人間であれば跳ね除けられ、並以上でも立っているのがやっとという中を、彼らはまるで暴風に逆らうが如く突き進んだ。 「戦うことを望んだのなら……守るという強さを、皆に見せてあげましょうなのデス!」 防御姿勢で突っ込む心。 「話は聞きました。盾派との分離で衰退したのでしたね。特に本邦の鎧武者とは相性が悪い……ですがどちらも同じ防御の道具!」 同じく突っ込む守。彼はライオットシールドを翳し、銃弾をばらばらと受け流すと(非常に理にかなった使い方だ)ダンプブルーへと体当たりをかけた。 「……」 相手が弾幕を張れるので流石に攻撃範囲外に居続けることはできないが、凛子は回復領域を展開しつつ耳に手を当てた。 「これは……」 戦いは熾烈を極めた……と言えば妙になる。 ケンジ、心、守の三人は全力の防御でダンプブルーを押し留めつづけた。しかし機関銃による攻撃で彼らは血にまみれ、止血はされているとはいえダメージの累積は避けられないものとなっていた。 「ぐぬ……!」 装甲の所々から血を滲ませ、守は唸った。 「いつまでも堪えられるものではござらん。いざとなれば貴殿らだけでも」 「そうはいかないのデス。まだ、もう少しは……!」 歯を食いしばる心。 流石にダメージが大きすぎるのか、彼等の足元には血の池ができつつある。 だがそんな中にあって、凛子は冷静に目を細め、こう言った。 「大丈夫です」 ちらり、と横を見る。 「来ました」 一台のトラックがダンプブルーの側面へと突っ込んだ。 がくんとブレるダンプブルー。 「お待たせしました!」 「皆生きてる!?」 トラックから次々に飛び出していく仲間たち。 それまで粘り強い回復で戦線を支えていた凛子は、満足げに頷いた。 「勝ちましたね」 ●復興、フルアーマー同好会! 守りの戦いとは維持しきった時点で勝利である。 そのセオリーに違わず、彼等は見事に防衛に成功。 母校はもとより、直接的被害者を出すことなくこの事件を収束させた。 フルアーマー同好会はその功績をたたえられ、特別に部の設立を約束されることになるが……。 この影に、九人のリベリスタたちが居たことは、あまり知られていない。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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