●げえせん。 万華鏡に映像が現れた。 最初にまんまるな月が出て、月に用事はないとばかりに悠長に下り、ゲームセンターらしき建造物でピタリと止まる。 遠慮も無くフロアを抜け、スタッフが立ち入る扉を通り、倉庫と書かれた部屋の中で、ようやく静止した。 かび臭い空気が充満していそうな部屋の隅には、ひっそりと佇むゲーム筐体が三台。 万華鏡が10秒ほどこれを凝視すると、次に異変が目の当たりになる。 ピシリッ、と紫色の電光が小さく走って、音がする。 ビリッと紫色の火花が光って散る。 バリバリバリッとスパークが生じれば、三つの影が電光の中から飛び出した。 「滅却ッッ! 邪ッッ!」 一人は、格闘家めいたオッサン。 「ロン、タンヤオのみ1000点。ふぇぇ、脱いでください」 一人は、雀卓をコタツの上に据えてぬくぬくしている女子高生。 「年金を、よこせえ……」 一人は、巫女のような魔法使いのような何か。 三つの筐体から『廃棄処分』と書かれた紙がふわりと剥がれ、倉庫を舞台に彼らは激しく乱闘する。 ゲームセンターは、やがて盛大に爆裂四散した。 ●うぅわ! うぅわ! うぅわ! 「げーせんでE・フォース」 ――ガタッ 『リンク・カレイド』真白 イヴ(nBNE000001)の言葉に、ガタッと立ち上がったリベリスタの手には、エアコントローラが握られているような気がする。 「んと"格闘ゲームの筐体"と"まーじゃんゲーム?の筐体"と"シューティングゲームの筐体"から、それぞれ出てきたエリューション・フォースを倒してほしいの」 映像を見れば、何とも個性的な三体のエリューションである。 少女型が二つ。格闘家のオッサン型エリューションが場違いの様に浮いている。 「到着時点でこの三体はフェーズ1と2の間位。そのうち乱闘を始めて、勝ち残ったエリューションのフェーズが一気に上がるみたい。いきなりフェーズ3」 「フェ、フェーズ3……」 それは、アークで名の知れたリベリスタ達が集って、勝てるか勝てないかという境地である。 ならばここで、攻略しなければならない。 「倉庫は狭いけど、この際フロアに出て戦ってもいい。ちなみにE・フォース達が出てきた筐体を壊しても意味は無いみたい」 なるほど、地形も攻略には重大な要素と言える。素直に誘き出されてくれればの話だが。 「この三体は、別に協力関係って訳じゃないけど、手を組まれたら厄介。よろしくお願いね」 リベリスタ達のゲーム脳が勝つか、開発者の悪意が勝つか。…… Round1! Fight! リベリスタは、いざ戦いの地へ! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:Celloskii | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年11月19日(月)23:10 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●リアル型対戦格闘麻雀シューティング -Illegal Game- 立冬の宵に、月冴ゆる。 ゲームセンターは、繁華街から離れ、ぽつんと国道の脇に入った地点にあった。 年季の入った建物は、所々がトタンのようなもので補強され、補強されたトタンには、錆があちこちに見える。 一種の寂しさを覚える様な景である。 それほど繁盛しておらず、24時間営業でも実入りが少なかろう事が予想された。 「げーむ!」「せんたー!」 リベリスタ達の8つの手が高らかに振り上げられた。 テンションの凹凸は、めいめい激しいが、想いは然して変わらない。 「結構対戦格闘ゲームとか、対戦麻雀ゲームとかは結構やるよ!」 『おこたから出ると死んじゃう』ティセ・パルミエ(BNE000151)は、高揚する胸裏にきゃっきゃした。こたつから出ているにも関わらず、足取りは軽やかに。格闘ゲームのE・フォース。彼は物凄くやりこんだのだから。 『群体筆頭』阿野 弐升(BNE001158)は、ゆるゆると振り上げた腕を胸ポケットにやり、煙草を取り出して火をつける。 「まさか、ゲームのキャラと戦えるなんて……」 紫煙を燻らせて、ゲーセン荒らしとして鳴らしたかつてを思い出す。昔日の熱き夏。 キャンセルを学び、判定強弱を学び、筐体の向こう側の相手といつ喧嘩が始まってもおかしくはない、ピリピリした空気。 「ふう、神秘って凄いね」 何ともたまらない。その相手こそは、"良く知るキャラ"であったのだから。 『告死の蝶』斬風 糾華(BNE000390)は、イヴから貰った資料を捲り、次にゲームセンターへ視線を動かす。 「最近は前ほどじゃなくても、入り浸っていると言っても過言ではないわ」 筐体から飛び出てきたE・フォースは、どいつもこいつも見覚えがあった。 「麻雀はちょっとわからないけれど」 見慣れ馴染んだその技を、肌で感じるのも一興。 「麻雀は、ちょっとわからないけれどっ!」 書類に記される、滅却師範の名。連なるは巫女魔女。 更に上位である、ラスボス仕様の"現人神師範"。隠しボスの"PHアマリムス"にさせる訳にはいかない。 『機械仕掛けの戦乙女』ミーシャ・レガート・ワイズマン(BNE002999)は、しかし複雑であった。 ゲームセンター嬉しい。しかし―― 「音ゲーが無いじゃないですか!」 エリューション・フォースの追加が無いのかと、明後日の方向へと抗議する。前向きに善処するような謎電波を受信する程度には、頭部のアンテナは冴えている。 「クリアラーもスコアラーも自らを高めるべく修羅となるのです!」 拳をキュっと握って、ゲームセンターは遊びではないという胸の内。 「私の貴重な息抜きの場を壊させはしません」 『委員長』五十鈴・清美(BNE003605)はゲームセンターを見据える。 中は深淵とも言うべき闇が広がって、この先に邪悪がある。 「ゲームセンターの平和は私が守ります!」 眼鏡の位置を整える。 差し込んでくる月光に、覚悟の完了の意志を固める。 『蒼震雷姫』鳴神・暁穂(BNE003659)は、アキレス腱を伸ばして準備運動をしながら呟く。 「わたし元々格ゲーマーなのよね」 アーティファクトを装着して、握るは蒼き手甲。 「だから格ゲーのキャラ(っぽいの)と戦えるなんて夢みたいだわ!」 片掌に拳を打つ。何とも楽しみ極まる。不安がないという訳ではない「……フケツなのは頂けないけど」とボソっと小さく唱える。 更には、シューティングと脱衣麻雀の二人に、やや胸裏は曇る。 「だ、脱衣なんて見えない! ……ともかく派手にぶっ飛ばすわよ!」 「まあまあ、麻雀の山田さんは私が対応しようと思います」 『駆け出しリベリスタ』大石・よもぎ(BNE003730)は、暗視ゴーグルをつけたり外したり、サイズを調整しながら、暁穂に言った。 麻雀の山田さんとは、何とも"相性が良い"。 「では、行きましょう」 『局地戦支援用狐巫女型ドジっ娘』神谷 小夜(BNE001462)の声に、リベリスタ達はゲームセンターへと足を踏み入れる。 暗い屋内。小夜は、準備運動とばかりに、指を丁寧に反らして、交互にストレッチをした。 局地戦支援用"残酷"狐巫女型として、狙うは――。 ここにバリバリと奥からE・フォース誕生の音がした。 次に、ぴしゃんと、破裂音が耳にいる。 音に注意を払っていた清美の手引きで、倉庫へと進む。…… ●Cより生じて -LANG=C- 薄暗き中。中央に鎮座するはコタツである。 女子高生めいたセーラ服の女子が、コタツの上に顎を置いて、ぐんにょりしている。 魔女のような巫女のような格好の少女も、コタツに入って気だるそうにして、ミカンを食べている。 ここまでは良い。良くはないだろうが、彼女たちの横で、黒く汚れた道着姿の男が、 「コオオオオオッッ! ムゥンッッッ! 滅却ッッッ!!」 鬼のような形相で、やたら力んで、全身から冥(くら)きオーラの様なものを放っている。 「予想していたとはいえ……」 リベリスタ達の誰かが呟いた。実に"うぬ"とか言ってそうな漢であった。 「勝負よ滅却師範! あなたを倒してわたしはわたしより強い奴に会いに行く!」 暁穂が、真っ向、滅却師範に勝負を挑む。 「うぬが挑戦者かァ。良かろぉう……小娘とて寛容はなぁい」 E・フォース『滅却師範』。 コオオオォォォと、冥きガスのような吐息。やはり"うぬ"という辺りで只者ではない。 「『黒髪乱れて修羅となって』! よし、メタですが上手いこと言えました!」 ミーシャは翼の加護を施して、銃を抜き去る。 「ヴァルキリーシフトスタートっ!目標を駆逐しますっ!」 ――ボカンと倉庫の壁に穴が空いた。 「鳴神ナックル!」「滅却バズーカ邪ッッ!」 これが開戦の合図とばかりに、第一ラウンド。 拳と拳のぶつかり合いが倉庫を舞台に始まる! ティセはコタツに誘惑された。 滅却師範のオーラを避けるようにコタツにダイブして、エリューション二人に共闘を持ちかける。 「えへへ、ねえねえ、山田さんもアマリムスさんもまずは一緒におぢさん倒そうよ! ああ……おこた」 糾華も乗じて、コタツに入って。 「ねえ、貴方達、ちょっと前にあいつだけやっちゃわない? 殺っちゃわない?」 小首を傾げて、エリューション二人に問う。 「あの鬱陶しいおっさんをとりあえず倒しません?」 小夜も乗じる。なんとも足がぬくい。 「この場に汗臭い男なんて要らないですよね?」 清美も当たり前の様に乗じて説得を加える。なんともぬくい。 「終わったら、麻雀のお相手しますよ」 よもぎも、コタツに入る。なんともぬくい。 「ふぇぇ、ほんとですか?!」 麻雀の相手をする、という話が出た途端に、E・フォース『幼馴染の山田さん』は頭を上げる。ぱああと、顔が明るくなる。 「本当は格闘ゲームが得意だけど、まあ俺も」 弐升も、当たり前の様にコタツに―― 「てか、コタツ狭っ!」 E・フォース『巫魔女アマリムス=ミョム』が文句を言い出した。 「とりあえず私はパス」 アマリムスはコタツから出て、隅っこにある"自分の筐体"にひょいっと座った。 ――めきゃめきゃごしゃばーッッ! 師範が構えた途端に、地が割れた。踏み抜く様に跳躍する。 この温度感の差である。横でぬくぬくしているコタツ組のほうが逆に場違いのような迫力が倉庫を走る。 「シビれさせてあげるわ!」「邪っッっッッッッッッッッッッッ!」 滅却師範の滅却アッパー! ほぼ同時に、暁穂が鳴神アッパー(ギガクラッシュ)が交差する。 天を突く二つの拳。だいたい滅却師範のせいで天井に穴が空く。月光が差し込めば、影すら重なる。 「判定は相打ち……! だけど……!」 暁穂は、対滅却師範に賭けるつもりだった。 「死合うに値せりッッッッ!!!」 「彼はいつも酷い目にあう人ですが、アプデされると超必殺技持って帰ってくるあたり、みんなに愛されてるんではないでしょうか?」 ミーシャが呟きながら、師範に射撃を叩き込む。硬直を見逃さない。此処ぞとばかりに、精密に。 ここへ遠くからの攻撃が師範に突き刺さった。 「ぬうんっっ!? 邪魔立てするかッッッ!」 コタツ組であった。 「ソニックブーム! ソニックブーム!」 「リューイーソーだよぅ」 待ち姿勢のティセの斬風脚が、盛大に師範を出血させる。 山田さんの緑一色が、師範の動きを止める。 「貴方にはゲームでお世話になったけれど、現実に居られたら、迷惑なのよ! ……くさいし」 ほぼ同時に、糾華と清美が走る。 糾華は、蝶の形の刃を両の手に。清美は手甲を両の手に。 「↓→↓→ 中P+強P! 鉄・拳・制・裁です!!」 そして斬り裂とした刹那に、――ビリビリびりぃ! 裂帛の音。 師範の、道着が剥げて、眼前に、ダンディズム。 糾華が絶句する。清美も絶句する。 1秒の長さ。その時流がとてもゆっくりに、そして静止した。 修羅場と化す師範側。 一方でコタツ側。誰ともなく温度感がおかしさを思い。 「……まあ、そうなるよね。師範、道着一丁だし」 この場にリベリスタ側の女性は7人である。 「はは……。ルール大体わかりました」 弐升が淡々と呟き、よもぎはルールの説明を受けている。 硬直した師範側の面々を心配そうに小夜は見る。 「ええと、ブレイクフィアーは必要ですか?」 「大丈夫でしょう。――では、こっちもはじめますか」 弐升は一言紳士的に断って、煙草に火をつけた。 ――そして時が動く。 絹を裂くような黄色い悲鳴。委員長を自称する清美は色々大変であった。 眼前、拳を振りぬく。 メシャア! と手応え有り。委員長的クリティカル! 「あ、貴方にはゲームでお世話になったけれど、現実に居られたら、迷惑なのよ!」 糾華はもう一回、キメの言葉を詠唱して、無数の刃でもって師範を切り裂く。 「滅却……!」 「……っ!」 暁穂の襟に、師範が手を伸ばさんとするも、呪縛は未だ解けずにある。 「師範、あなたは強かったわ。でも間違った強さだった……」 主に道着を洗わないのがいけない。 「鳴神ブロー!」 腹をぶち抜く一撃。浮いた師範の上体。 「戦いもゲームも! 常に2手3手先を読んで行うものだよ!」 乾いた音の次に、りん、と薬莢の落ちた音が鳴る。 終わり、と師範対応に在った全員の胸裏に、安堵が訪れる。 訪れた直ぐに、まばゆい光りが迸った。 ●弾幕は悪意 -Watch out! Watch out!- 「マスタァァァァアッッ!!! プリズンンンッッ!!!」 マゼンタ、シアン、エトセトラ。五色の色が収束し、白い光へと変わって、眼前をホワイトアウトさせる。 「うぅわ うぅわ うぅわ!」 滅却師範の断末魔が上がる。『逆五亡星マスタープリズン』。 ひたすらに相手を亡きものとせんとする光りが、悪意が、奔流となって、師範対応に向いたリベリスタ達と滅却師範を薙ぎ払った。 「格闘家のおっさんは気に食わなかったけどさあ、寄ってたかってって好きじゃないんだ」 アマリムスがひらひらと笑っている。 「けど手伝ってあげた私ってば、チョーエライ! お礼は年金でいい!」 滅却師範ごと撃ちぬかれた暁穂が膝に手を当てながら立ち上がる。 「……掠らせるのも偶には、失敗するのよね」 一撃で、運命を"くべなければ"立ちあがれなくなる程の威力。 「戦うのは構いません。が、ここは狭くて汚くてふさわしくありません、違いますか?」 清美は歯噛みした。彼女をフリーにしたのは不味かったのかもしれない。 なら、せめて次手である"広い場所で戦う事"を通さなければならない。平静にアマリムスへと問いかける。 「私ね、拗ねてるんだ。貴方達のお願いなんて、聞いてあげないよ。年金くれたら考えてもいいけど!」 却下されたのなら、と後ろを見れば、マスタープリズンでぶち抜けた壁があり、フロアへ大きな穴が空いている。 「……原作通りのわがままな性格ね」 糾華がひらりと前に出る。やり込んだゲーム。その主人公の形をしたE・フォース。 「良いわ。私の弾幕。常世に飛び交う告死の蝶を見切ってみなさい!」 「花の下に還るがいいわ、厭世の亡霊! 告死の蝶!」 「うーん、想定外ー……」 麻雀牌の音を響かせ、よもぎが弾幕戦を横目に呟く。 「ふぇぇ、ロンですぅ。タンヤオ」 山田はよもぎに対して、容赦なくタンヤオを放った。 「え、……か、髪飾りや足袋から脱いでいけばOKかな?」 「ふぇぇ、そんな詐欺みたいな麻雀ゲームにお客さんきませんよぅ」 この面々。女性しかいないし、脱がされても恥ずかしくはなさそう、というよもぎの考えは否、否! 弐升が横にいる。 「……全力で阻止しますとも。俺は紳士ですから。変態じゃない紳士ですから」 キリリッと弐升が庇う。上着が脱げて、上半身が露わになる。 滅却師範と戦いたかったのに、何故俺は裸になっているのか。という想いと、女性陣の視線のいたたまれなさと、麻痺と温度感の差などに、吐きそうになる。 「やはり……」 小夜は全年齢なのでそんなに酷いことにはならないと信じてた。 信ずる心は、弐升の上半身が露わになった事で崩れ去る。問答無用の様子。これはいけない。 「裏切るようで悪いですが、えっちなのは叩かせてもらいます――けれど、その前に」 状況をチラチラ見る。天使の息を暁穂へと施す。 「ふぇぇ、夜はまだまだですよぅ」 「あれ……」 ティセは、ここでふと気がついた。 「……これって常に夏服のあたしってちょっと不利じゃないですか?」 ぱちんと牌を置いて、"イカサマ"をする。 「『悪戯ピアニードル』!」「『蔦伝う紅茶館の錆格子』!」 糾華、暁穂、清美に容赦なく弾幕が降り注がれる。そして各々の周囲に錆びた格子が生じて囲む。 アマリムスの二回行動の頻度が異様に多い。多い上に、連撃が重なる。 ミーシャは「追加新曲の黒ニットちゃんペロペロ! 脱衣怖くない!」と叫んで山田対応したい想いを一寸待って、後列から冷静に分析をした。 「そういうことですか。これは先ずフロアに出さないと」 想起するは、アマリムスが滅却師範にトドメを刺した事。つまりは―― 「「――フェーズが上がったのでしょう」」 清美とミーシャの考えが一致する。 清美は誘導を考えていたが、『蔦伝う紅茶館の錆格子』で身動きがとれない。視線は小夜に注がれる。 「乳首(某機種におけるつまみのこと)をぎゅいーんしたいですハアハア」 ミーシャが分析を振り払う様に、温度感を無視して叫ぶ。音ゲーの専門用語を唱えながら、次に狙うは山田。 早々に山田を倒さなければ、大変苦しい状況となる。時間は掛けられない。 山田の額に銃弾がめりこんだ。 「きゅーれんぽーとー。ふぇぇ、全部脱いでください」 役を向けられたのは、ティセであった。びりびりぃ! 枚数を重ねるまでもなく目に涙を浮かべ、速攻でコタツの中に避難する。 しかし、すさささと当然ではあるが一体化したかのように、コタツはオープンされる。 「もういっかい! きゅーれんぽーとー!」 こんな時にダブルアクションである。よもぎである。びりびりぃ! 「うー??!」 「いや、その……失礼」 この中で唯一の男性――弐升はバッドステータスの如き状態に冒される。 「ツ、ツモ、我、烈風陣極めたいってか!」 弐升は、麻痺と何かから立ち直って戦鬼烈風陣が如き勢いで、牌を叩きつける。麻痺を山田に返す。 「うううっっ! ロン! なんとかかんとかです!」 むちゃくちゃな牌を繰り出しながら、よもぎは怒りの弓を引く。ぷすっと山田の額。 「……ブレイクフィアーが必要ですね」 小夜が全てを祓えば、格子に囲まれていた全員が立ち上がった。 結果的に、時間の問題だった。 弐升の麻痺で封じながら、ミーシャ、よもぎ、小夜、ティセの集中攻撃。…… 「また」 時間が過ぎ去ることは、重要な意味を持っていた。 清美は、悠然と溜め動作に入るアマリムスを見る刹那、猛然と肉薄する。 コンボともいうべき氷の拳での連打。アマリムスの動きをそこで封じる。 続き再動、脚部を刃物の様に、ダギリッと対空攻撃めいた一撃でコンボフィニッシュをする。 「あしきゆめを、今、討ちます……!」 小夜が弓を引いて放つ。 高い防御力を持つ山田といえど、災厄とも言うべき状態異常の嵐には抵抗は低く。 「あなた、背中が煤けてますよ」 よもぎが放つ第二の矢が、激しき温度とぬるき温度の境界を取り除く。 「優雅に舞え、告死の蝶」 無数の蝶が舞う中。 「まだエリューションは消えてない!」 暁穂の声が響いて。 「フェーズ2.5くらい?」 ティセの呟きと共に、魔氷に包まれたアマリムスからぱりぱりと音が鳴った。 ●0と1の境界 -0 or 1- 脳という器官には、微弱な電気の信号が駆け巡っている。 これを模したコンピュータ。異国の言葉で"電脳"というそれは、0と1の最小単位の信号で動く、脳のフェイクである。 尤も、常識の範疇では、最新鋭のコンピュータであっても、人の脳に遠く及ばないのだが―― 「あんた、音ゲー筐体の出なのに弾幕が得意って、なにそれ?」 0と1の境界から生じたE・フォースは、自らを滅ぼさんとする存在がある事を"学んだ"。 創りだした"同輩"は、ゆっくりと、小さく頷いた。 ――――Next Door to... |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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