●オープニングテーマをバックに流せ! 説明しよう! 財布ライダーとは、ご近所の平和を守るべく悪の組織『ブラックデビルワルワル団』と日夜戦う正義のヒーローである! 『#『な、ん、た、さ、ら』の予測変換で出てきた単語で依頼作る 』とかいうどこまでも頭の悪い依頼でリベリスタと共同戦線を張った筈だが当時あまりにも味方のキャラが濃すぎたために居たのか居ないのか分からない扱いを受け後日談的にも非常に微妙な立ち位置にいるのだが今回なんとパワーアップして再登場を図ったのである! 「フゥーハハハハァー! 大人しくするのだ女よ!」 「キャータスケテー!」 「助けを呼んでも無駄だァ! 貴様には小学校時代の卒業文集を音読させたりありもしない性体験をワイドショーで告白させたりしてとても恥ずかしい目にあわせてくれるわァ!」 「キャータスケテー!」 デパートの屋上。 コウモリだかモモンガだか良くわからない恰好をしたフィクサードが女性の手首を掴んでガハガハ笑っていた。 その周囲には30人というなんかの冗談みたいな数のフィクサードが群れを成している。 「ククク、まずはその綺麗な顔に網タイツを被せて後ろから引っ張ってやろう!」 「待てぇい!」 テレッテッテッテレー! ちゃーらーちゃっちゃらー! ラジカセから流れるテーマソング。 屋上脇にあるアンパン男の遊具(あれまだあるのかな)に跨って、一人の男が声をあげた。 札束デザインのネクタイをスカーフ巻きし、身体はキラキラのライダースーツ。顔を半分出したヘルメットの額には¥マークが刻まれている。 「俺の名は――財布ライダーV3(ブイスリ゛ャア)! 貴様の悪事もここまでだ、トゥ!」 遊具から飛び、空中を三回転して更にきりもみ五回転したのちそのまま遊具にすとんと下り、勿体ないからという理由で終わるまでごうんごうん楽しんだ後次に並んでいた少年にサムズアップしながら普通に徒歩でフィクサード達の輪の中へと入って行った! ちなみに割り込む際はドーモドーモと言いながら片手で拝む姿勢をとるのを忘れない! 「貴様は財布ライダー……かつて戦ったという『ブラックデビルワルワル団』は神様によって改心し今は残らずリベって老人介護のNPO団体を作っていると聞くが……!」 「説明口調ご苦労、さりげなくそのまとめ役を買って出たのが私だ!」 「描写されていないからといって良いトコ取りを……だがそれも今日までだ、全員かかれぇい!」 「「キィー!」」 両手を掲げて一斉に襲い掛かってくる戦闘員の皆さん! しかし財布ライダーは臆することなくベルトのバックルに手を当てた。 いや、バックルではない。 御存知高級財布……それも、エルメスの財布である!(前回はアルマーニだったのに!) 「くらうがいい、慈善事業をしていたことで営業がしやすくなり結果的に懐が豊かになったこの私の最終奥義――!」 ぴかーと光を放つ財布ライダー。 光が晴れたその時には、戦闘員の手には贈り物・記念品・企業の販促・ノベルティなどで人気No.1の商品券ことクオカード一万円分(前回の倍だ!)が握られており、そのすべてに財布ライダーの生写真がプリントされていた。 「これで、温かい物でも食べなさい」 「「オツカレッシター!」」 前と同じ人なんじゃないかってくらい一糸乱れぬ動きで逆方向へ吹っ飛び、自主的に爆発を起こして帰って行く戦闘員たち。 が、しかしここはお約束! 「ククク、貴様がよりリッチになっていることなど予測済みよ! であいであえーい!」 「「キキィー!」」 先刻よりさらにリッチそうな戦闘員(主に全身タイツの色が違う)が財布ライダーを取り囲む! 「その程度私の財布の前には……ハッ、ない! 財布の中身が、もはや成田神宮のお守りくらいしかない!」 ピンチ! 財布ライダーピンチ! 「くっ、この私もここまでか……!」 ●以上が今回のカオスになります 「説明はまかせろー、ばりばりーい」 マジックテープの財布をばりばり開けつつ、アイワ・ナビ子(nBNE000228)が二へ二へ笑っていた。 「あのっすね、リベリスタがピンチスタでファンタジスタなのでフィクサードをジェノサードして下さい、ハイ!」 腰に手を当ててクルクルスピンし、右手で天空を指差すように高々と掲げ、左手をあてた腰をちょっとだけくいっとしながらこちらを振り向くナビ子。 「大丈夫、皆さんなら……デキルサ!」 要するに、もう説明することがねーということである。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年11月21日(水)23:21 |
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■メイン参加者 10人■ | |||||
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●スーパーカオスタイム序章 「お金の力でフィクサードと戦うんだ……」 『娘一徹』稲葉・徹子(BNE004110)は胸の辺りで手を握り、自分に言い聞かせるように強く頷いた。 「徹子も、出来る限り頑張ります! ね、皆さんっ!」 「ギャギャ?」 「ぎゃぎゃーぎゃ?」 『蒐集家』リ ザー ドマン(BNE002584)と『第30話:Xディズ』宮部・香夏子(BNE003035)が人間じゃない目ェして振り向いた。 「ギャギャギャーギャギャ、ギャ、ッギャギャギャ、ギャーギャ」 「ぎゃぎゃー、ぎゃぎゃぎゃー!」 奇声を発しながらぐるぐると回るリザードマン。その後ろをくっついて奇声を発する香夏子。 「ええと、この人達一体……」 意味が分からな過ぎる徹子ちゃんである。 別の誰かにフォローを求めるべく振り返ると。 「あのひとついにV3に……と言うことは素ストロンガーとかスカイとかアマゾンになるのかなあ……夢が広がるなあ……そしてドラゴンキッドになるとカードで戦って……ハッ、元に戻ってる!?」 「曾孫の会話の種にと思って買ってみましたが……どれがどれやらわかりませんのう……」 『リング・ア・ベル』ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)と『三高平のモーセ』毛瀬・小五郎(BNE003953)さんがマッサージチェアにうごうご揺すられながらヒーロー百科とか見ていた。 「ぎゃぎゃ?」 「おお、そうですじゃ。曾孫は今年で……いくつじゃったかのう」 「ギャギャーギャ」 「同志リザードマン、流石にそれはガチすぎないか?」 「………………」 徹子は窓を開け、狭くなりつつある都会の空を見上げた。 目からは、早くもハイライトが消えていたと言う。 ●財布ライダーの凄さが地味すぎて伝わりづらい 「くっ、万事休すか……!」 説明を割愛するが、OP冒頭の辺りである。 財布ライダーV3は戦闘員に囲まれ残りMP(マネーポイント)も残っていない。このまま(実は結構強い)戦闘員たちにフルボッコにされてしまうのかというその時。 「ボク、降臨……!」 壮大なファンファーレと共に『ナルシス天使』平等 愛(BNE003951)が舞い降りてきた。 ゆっくりと螺旋を描きながら財布ライダーの頭上で止まると、フッと笑みを浮かべる。 「財布ライダーちゃん、君をパワーアップさせてあげよう。その代り君の大事なものを失う」 「そ、それは――」 「拒否権は無い!」 とうっ、と華麗に財布をはぎ取ると、非常に慣れた手つきで他人の財布を検分した。ついでに何かの束を突っ込む。 「今何を」 「財布ライダーちゃん、動きいいよねー。どう考えても速力が1000切ってる動きしてるよ。その才能は有効活用しなきゃね。いま『オカマバー ~愛~』の商品券入れたから。全部配って来なよ。名刺も入れたから」 「まさかのチラシ配りだと!?」 「あ、そうだ幹部さんにはクリスマス忘年会一回分の無料券もね。あと財布に看板シール貼っといたけど、剥がしたら君んちのポストをボクの名刺でパンパンにするからね」 「さりげなく住所を控えられているだと!?」 冷や汗を流す財布ライダー。 だって、特定店舗の商品券入れられても戦闘員の皆さん納得しないかもしれないもの。数人納得して帰って行った(今の会話のうちに既に配っていた)がそれでは全員には到底足りない! しかも。 「財布らいだー、たすけてくだされー」 小五郎おじいちゃんまた敵に捕まってるし! 「く、どうすれば……」 「困っているようだな!」 途端、バイクが彼等の後ろにとまった。デパートの屋上なのに。 エンジンを切って下りてくる『ガスマスク仮面』ランディ・益母(BNE001403)。 「君はバイデ……バイディ!」 「黙れ殺すぞ!」 ガスマスクのレンズをきゅきゅっと拭うバイディ。 「『ブラックデビルワルワル団』が暴れているのか、許さん! 死ね!」 「いえ我々は『サイアクダークアクトー団』です」 「そうか、許さん! 死ね!」 「どっちにしろ殺すんだこの人!」 「お前らが金に弱いのは既に調査済みだ。よってオレは今回封印された超兵器を投入した」 胸のファスナーを下すバイディ。 まさか身体で! 許せる! とか思ってる戦闘員(プラス愛)をよそに、彼は札束をごっそりと取り出した。 「クリスマス前、ニニギアとイルミネーションを見つつバケツ一杯のチキンを買いまくるために用意したこの札束貯金を……拳に巻く!」 まるでバンテージを巻くみたいに布包装した札束を拳に巻くバイディ。そしておもむろに戦闘員へ襲い掛かった。 「くらえ、札束烈風陣!」 「ぐああああああ!」 「破壊する、疾風札束拳!」 「ぎゃあああああ!」 「札束……と見せかけて安全靴クラッシュ!」 「ぐほおおおおお!」 「そして必殺の、デッドオアマネー!」 「ヴァンダフォオ!」 都合によりぎゅぎゅっと凝縮されたバイディのスタイリッシュ札束アクションシーンである。完全版はDVD『ランディ怒りの聖戦』の特典映像でご覧ください。 戦闘員を数人ボコしてから振り返るバイディ。 「財布ライダー、貴様はまだ未熟。所詮使っても痛くない範囲の金銭でしか戦えん。その点俺の武器は貯金! 彼女との将来設計のためにコツコツためた貯金だ! ――って」 拳から札束を外すバイディ。 「いつまでこんな茶番をさせんだクソがぁ!」 地面に札束を叩き付け。 ヘッドスライディングで戦闘員に掻っ攫われ。 そして膝から崩れ落ちた。 ●カードファイト・センドーシャ第三十八話『秋茄(さやか)、再起す!』 かつての戦いでカードファイトとか関係なくクレジットカードをプラスチック製のゴミと化した『SHOGO』靖邦・Z・翔護(BNE003820)は路地裏で雨に打たれ失望の淵に伏していた。 「ここでこのポーズしてたら三万円貰えるって本当かなあ……嘘だったらどうしよう……」 「ちょっと、こんなことしてたら風邪ひくぞ! あ、お前は……!」 雨の裏路地で出会った少女。それは『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)、アイドルであった。 アッキーナを一目見たSHOGOは次なるチャンスに目を見開いた。 「アッキーナちゃん、俺と一緒に……センドろうぜ!」 もはや親戚にトルネード土下座するのも限界にあったSHOGOが目を付けたのはそう、アイドル事業だった。 明奈は売れるためならばと涙を呑んでアニメキャラのコスチュームを着たりしてSHOGOと共に行商を始めるのだった。そう、それはまるでセガが再起を賭けて取り組んだ次世代型機体ドリームキャストの販売CMで湯川専務がタッキーと共に荷台を引いていたあの日のように。 「ワタシは落ち目なんかじゃない! 背も高いし胸も適度だし、こんなに魅力的じゃないか、こんなに……!」 しかしかのCMの行く末がそうであったように、彼等もまた負債の坂を転がり落ちていく。 「君にはセンドーシャファイトの全てを叩き込んだ。あとは全品買い上げを条件に作ったこのカードを封入特典にすれば……」 「そんな、半分売ってもトントンなのに!」 「振り返るなアッキーナちゃん、君はこの後ギルガメへの出演が決まってる」 「その番組もう無いし! 最終手段みたいな選択肢だし!」 「さあ、ついたぞ。今日のイベントはデパート屋上での握手会だ!」 「あ……」 折り畳み長机越しに見た光景。それは『CDとか良いからカードよこせよ』と言うマナーの悪い客(戦闘員)の群。そう、オマケ商法が生み出す闇である。しかし彼女は諦めない。 レアカード『ステマ事故職人アッキーナ』を机に叩き付け、全力のダブルピースをキメるのだった。 「今日のワタシはアイドル(偶像)。どうしても触りたくばこのCDもしくはDVDに封入された握手権をゲットするがよい! ……ハッ」 そこで気づいた。気づいてしまった。 自分たちはこの戦闘員たちに金を配って帰らせる筈が逆に搾り取ろうとしている。 アイドルの闇。好意を金に変える職業のサガか、アッキーナはいつしか商魂に目覚めていたのだ。 「ワタシ、汚れちゃった……相方が順調にフラグ稼いでる時にワタシは……。金の臭いがするアイドルに、ファンなんて」 「そんなことないよ、アッキーナちゃん!」 顔を上げるアッキーナ。 そこには、DVDを手にサムズアップする戦闘員たちの笑顔があった。 「俺、気に入ったよ! 一枚買うよ!」 「元気出してくれよ、君の笑顔見てると、元気が出るんだ!」 「フラグなんて気にするなよ、いざとなれば寝取ればいい!」 「俺黙ってたけど秋茄ちゃんのファンだったんだ」 「私女だけど明菜ちゃん好きだよ」 「秋奈ちゃん!」 「秋菜ちゃん!」 「みんな……!」 目尻を指で拭うアッキーナ。 彼女の肩に手を置いて、SHOGOは親指を立てた。 「さ、センドろうぜ!」 「うん……って行くと思ったかあー!」 振り返りざまのアイドルパンチが炸裂した。屋上から飛んでいくSHOGO。 「お前らも名前間違ってんだよぉー!」 更にアッキーナテレカ(自費制作)を投擲。 「これをワタシの経歴に加えてたまるかあああああああ!!!!」 ●札束と言う名のポケットマネー アッキーナがテレカ手裏剣乱舞し、SHOGOがタンカで運ばれていき、財布ライダーが神速のチラシ配りをし、愛が『ひとり空気清浄機!』という謎の一発芸をし、ランディが札束持って逃げた戦闘員を鬼の形相で追跡する中……。 「少ないですがどうぞ……貯金を下ろしてきたのですじゃ」 小五郎おじいちゃんが戦闘員にお金渡してちょいちょい帰らせていた。 「仕事でこつこつためたお金ですじゃ。もう歳ですからのう。苦心しておりますが、汗水たらして稼いだお金ですじゃ……」 こう言われるとさしものフィクサードとは言え胸が痛もうと言うもの。 おじいちゃんは続ける。 「確かに地道にお金を稼ぐのは大変なことですじゃ。じゃがお主たちのご両親はそうやって稼いだお金でお主たちを立派に育ててくれたことを思い出してみては下さいませんかのう」 「ぐ……」 「いずれ家族が増えた時、人を困らせたお金で家族を養うより、誰にも恥じることの無いお金で養いたいと思いませんか。お父さんは頑張っていると、胸を張れる自分でいたいと、思いませんかのう」 ずずっと鼻をすする戦闘員たち。 「そうだな、おじいちゃん。俺実家に帰って家業を継ぐよ」 「俺も港町に帰って漁するよ」 そう言って帰って行く戦闘員たち。 「これにて一件落着じゃよ」 おじいちゃんはダブルピースしてにっこり笑った。 ……が、しかし! 「グーハハハハー、『ブラックデビルワルワル団』が敬老精神によって滅びたことは調査済みよ。数人はうるっと来てしまったようだが、今回はそうはいかん!」 それまで控えていた戦闘員たちがざざっと周囲を囲む。 おじいちゃんピンチ! と、そこへ! 「ギャギャー!」 「ぎゃぎゃー!」 リザードマンと香夏子がチューチュートレインしながら現れた。 肩に担いだ布袋を開くと、サンタさんよろしく中に入ってるものをばらばらとまき散らす。 「ギャギャ!」 「いて、いてて! なんだこの石! 小石なんか投げてどういう……ハッ!」 投げつけられた石を拾い上げ、戦闘員は目を剥いた。 「ダイアモンドだねえええええええええ!」 「AH-!」 「幾つかの場面んんんんんん!」 「AH-!」 「上手く言えないけど宝物だよおおおおお!」 年代を感じさせることを言いながら地面に這いつくばる戦闘員の皆さん。 まき散らしてる額が額なので今回ばかりは皆さん一斉に這い蹲った。 彼らが必死になって拾い集めている中……すっと傍まで寄って行くリザードマン。 「ギャ?」 「あ、はい頂いてます!」 「ギャギャー!」 笑顔の戦闘員に頷くと、リザードマンは耳を食いちぎった。 「ぎゃあああああ!」 「ぎゃぎゃぎゃっぎゃー!」 のた打ち回る戦闘員。 バッドムーンフォークロア踊りしながら飛びまわる香夏子。 香夏子が標準語(人間語)を一切話さないことに関しての説明は無いようである。 「拾うのをやめろ、ワナだぁー!」 「耳を食いちぎられるぞぉー!」 警戒してばたばたと距離をとる戦闘員たち。 ベルカはキリッと目を光らせて長机(握手会用のもの)を引きずってきた。 「よし、今だ! 革命戦隊コミュニスト、コミーレッド参上!」 ちゃーらっちゃー。 コミーレッドよっつの秘密! 1.赤いぞ! 2.寝相が悪いぞ! 3.栄養が頭にいかないぞ! 4.やられやくだぞ! 「前回は理念の説明に留めたが今回は具体的にみせてやろう。それはすなわち……配給制度だ!」 ばばーんとボード(これも握手会用のもの)に紙を貼りつけるベルカ。 「パンが欲しけりゃ並べばいいじゃない! 五時間待てば貰えるぞ、最後尾はこっちでーす! 待てない敗北主義者は粛清でーす! ふはははは! え、実弾が欲しいだと? 前を行く同志が倒れたらそれを奪え。銃は二人に一丁与えギャアアア!?」 戦闘員フライングドロップキックが炸裂。 ベルカは吹っ飛んだ。 「あ、はいすみません。お金はありません。小銭もありません。……三千円だけあります……すみません……」 ベルカが正座してぐすぐす泣いている。 『レッツゴー!インヤンマスター』九曜 計都(BNE003026)は優秀かつ万能で知られるアークリベリスタの翻弄されっぷりに戦慄した。 「敬老精神も通じずアイドルも餌釣りも配給制度も受け付けない敵……一体どうすれば……」 財布(マジックテープ)を開いた。 わたぼこりが入っていた。 「この残金で一体何を……ハッ、そうだ! 逆転の発想だ!」 めたもるふぉーぜ! とかいいながらくるくる回る計都。 みるみる幼女に変身すると、戦闘員のところへ駆けて行った。 「ふえぇぇ、おにいちゃんたち、わるいことしちゃだめなんだよう……」 「はっ、幼女が!」 慌てふためく戦闘員。 「けいちゃんのおこづかいあげるから、もうわるいことしないで……おばーちゃんがくれたおこづかい、だいじにしてたの。これあげるから」 「いや、要らないよ、けいちゃん……」 けいとちゃん(5歳)の頭に手を置き、ゆるゆると首を降る戦闘員。 「代わりにおじさんの暴れ大蛇をギルティドライブしてくれないかな」 「黙れペド野郎!」 けいちゃんのようじょパンチが炸裂した。 ちなみに中学生がロリ、小学生がアリ、幼児になるとペドだ。みんな、覚えておこうね! ごろごろと転がりながら離脱する計都(変身解除)。 「財布ライダー、いつまでチラシ配ってるんすか!」 「はっ、バイト時代の癖でつい!」 ちなみに周囲数メートル以内の通行人に拒否する暇すら生まれない超高速連続ティッシュ配りをする彼の技を多重残幻剣(てぃっしゅくばりのきわみ)という。 「しかし私にはもうオカマバーのクーポン券しか……」 「馬鹿やろう! アンタの武器は財布なんかじゃない。ヒーローの最後の武器はいつだって知恵と勇気だ。アタシも、付き合ってやんよ!」 がしょーんとベルトにマジックテープ財布をつける計都。 「今日は、アタシとアンタでダブル財布ライダーだ! たまにゃ無一文で突っ込んでみようぜ!」 「……ああ、行こう!」 夕日をバックに同時に跳躍する二人。 そして…………。 ●思い出、プライスレス! 計都と財布ライダーはフルボッコ(一歩手前)にされて伸びていた。 「そういやアタシ、防御100も無いんだった……体力に至っては800……」 「奇遇だな、私もだ……」 ちなみに回避と命中は70くらいだという驚きのカミングアウト。 「ピーキー過ぎるだろ財布ライダー」 「グハハハ、万策尽きたようだな……!」 それまで出番少なかったコウモリだかヤモリだかの怪人が高笑いしながら近づいてきた。 「ここで引導を渡してくれる。具体的には『100人のガチホモから逃げ切ったら100万円』のビデオに出演させてやる!」 「くっ、微妙に希望を見せて堕とす作戦か!」 仲間たちも既に(色んな意味で)再起不能だ。 これはヤバい。 そう思ったのは……今まで若干引き気味に展開を見守っていた徹子だった。 「こうなったら、もう、ぶたさんに頼るしか……」 つぶらな瞳のブタ貯金箱を胸に抱え、彼女は目を閉じた。 ルール―という望郷感あるBGMと共に思い出すいくつかの場面。 おばあちゃんに貰った10円。 お買い物を手伝ってもらった100円。 お巡りさんにお財布届けて貰った500円。 なにかいいことがあった時の為にととっておいた沢山の貯金(おもいで)を。 「いま、使うしかないんだよね! ごめんなさい、ぶたさん!」 地面に向け、ぶたさんを叩きつける。 スローモーションでひび割れ、砕け散る陶器製のぶたさん。 その瞬間、溢れ出すいくつかの場面。 うまくいえないけど、宝物なのだ。 そう、まさにダイアモンドの如く。 「う、うわああああああああああん!」 膝から崩れ落ち、顔を覆って泣く徹子。 (金の音に敏感な)戦闘員たちはサッと振り向いたが、その途端胸がぎゅっと痛んだ。 「俺達……一体何をしてたんだ……」 「こんな子供を泣かせてまで、やらなくちゃいけなかったのか……」 そして、戦闘員たちは彼女を囲み、頭を下げた。 「ごめん、俺達……悪の組織、やめるよ」 その時、ひとつの組織が生まれ変わった。 『サイアクダークアクトー団』はNPO団体を始め、世界の子供達にぶたの貯金箱を贈るのだという。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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