●メテオストライク 荒れ果てた土地には、緑はなく剥き出しにされた岩肌にはシャベルカーで削られた痕跡。秋の日差しが差し込む早朝。ここは、暫く前に廃棄されたままになっている、採掘場だった。 そんな人気のない場所に、隕石が落ちて来たのが昨日夜遅くの話。 そして……。 その隕石が、E化して動きはじめたのが、つい数十分前の話だった。 クレーターの真ん中から、する、っと浮き上がってきたのは直径50センチ程度の岩の塊。真ん中に2つ、ぎょろりとした眼のようなものが覗いているのが窺える。 恐らく、眼の付いている岩がE化した隕石なのだろう。その周囲に集まった岩石は、恐らくこの岩肌から削り出されたものか……。 地球に落下するまでの間に、隕石というものはそのほとんどが燃え尽きるものなのだ。そうでなくとも、残るのは僅か数センチ程度のものだという。 その数センチの隕石が、E化した。 そいつが得た能力は、引力と斥力を操る力。それで集めた岩の外装の中に籠り、そいつはふわふわと宙を漂う。 それから暫く……。 そいつの周りには、無数の隕石が降り注ぎはじめた。 恐らく、そいつ……メテオストライクが、宇宙から呼び寄せたものだろう。どうやら、隕石を呼ぶ能力を備えているらしい。また、メテオストライクの左右に控えるのは、巨大な石の巨人。 彼らもまた、この隕石降り注ぐ採掘場で生まれたE・エレメントである……。 ●宇宙から来た 「隕石が降り注いでいる。原因は、E化した隕石自身。異常現象ということで、注目を集めてしまっている。きっと、直に調査団が山を昇ってくるだろうけど……」 考えるまでもなく、危険。 と、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は首を横に振って、言う。 「また、E化した隕石(メテオストライク)の傍には、同じくE化した岩石(ゴーレム)が2体。全部フェーズ2」 モニターの映しだされたのは、直径50センチほどの岩の塊(メテオストライク)と、その左右に控える岩の巨人(ゴーレム)の2体。それから、数秒起きに岩の剥き出しになった地面に降り注ぐ隕石。 どうやら、隕石をランダムにふらせるのはメテオストライクの能力のようだが……。 「メテオストライクは、引力と斥力を操作する能力を持っている。要は、石や人なんかを自分に引き寄せたり、逆に遠ざけたりする能力と考えてればいい」 現に、今のメテオストライクの纏っている外殻も、引力で引き寄せたただの石に過ぎないのだ。メテオストライクの本体は、僅かに数センチ。 「最も、周囲の石を集めて更に巨大化することは考えられるけど」 そんなゲームとか、あったよね? と、イヴは言う。 「また、メテオストライクは炎の影響を受けないし、また物理攻撃もダメージが薄いみたい」 石で作った外殻が、物理攻撃を阻んでいるのだ。それに加え、E化したことにより、異常に硬くなっているようでもある。 「メテオストライクは、火の玉状になって突撃してくる攻撃や、石を撒き散らす攻撃、また石や人を引き寄せる攻撃など、使ってくるみたい」 本体は小さいくせに、行動がダイナミックなのが特徴だ。また、その大きさも、周囲の石を吸引して、自在に巨大化することも可能らしい。 「それから、ゴーレムだけど、こいつらは基本的に物理攻撃ばかり。ただ、その一撃一撃が重く、メテオストライク同様、非常に頑丈だから」 気を付けてね。 なんて、イヴは言う。 山中の採掘場に現れた、隕石と岩のEエレメント。今のところ、悪さをしている風ではないが、とはいえこのまま放置も出来ない。 「事が大事になる前に、殲滅して来て」 イヴに見送られ、リベリスタ達はその場を後にした。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:病み月 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年11月12日(月)00:45 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●星降る山で 数十秒ごとに、地面が揺れる。それと同時に、ゴロゴロと山の上から大小の岩が転がり落ちてくる。時折、大きな風切り音や岩の爆ぜる音なども聞こえてくる。 ここは今まで、何度も映画の撮影などに使われたことのある山奥の採掘場である。そんな採掘場だが、今のこの状況は異常事態と言えよう。 何故なら、先ほどからずっと、隕石が降り注ぎ続けているのだから。 「世が世であれば、神の降臨と言われたやもしれませんね」 長い髪を掻き上げて『Trapezohedron』蘭堂・かるた(BNE001675)が降ってくる隕石を見て、そう呟いた。隕石の向かう先にはいるのは今回のターゲットであるEゴーレム(メテオストライク)だろう。 「これが町中で行われたら被害甚大ね」 ここで滅ぼしましょう、と『ヴァイオレット・クラウン』烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)と魔力銃を持ち上げる。 彼女達8人が向かう先からは、絶え間ない地響き。隕石だけが、敵ではない。採掘場の石もまた、2体のEゴーレムと化しているのだ。 「宇宙のロマンが詰まる隕石です。ちょっともったいないけど、被害が出る前に破壊しませんと」 風見 七花(BNE003013)はその小さな拳を握りしめ、空を見上げる。 山を昇る8人は、やがて開けた採掘場へと辿り着いた。 採掘場には、2体の巨大な岩の塊と、その中心に浮かぶ、小さな石の球体。今回の敵であるゴーレムとメテオストライクだ。 「綺麗に輝き散るのもまら、美」 リボルバーの銃口をメテオストライクに向けて、『似非侠客』高藤 奈々子(BNE003304)がそう呟いた。そっと、羽に触れるような動作で引き金を引く。 パン、と渇いた破裂音。 真っすぐメテオストライク目がけて飛び出した銃弾が、戦闘開始の合図となった……。 ●流星との戦い 「先制攻撃成功! 誕生したばかりでも、すいませんが破壊させて頂きます。どうか安らかに」 そう呟いたのは雪待 辜月(BNE003382)だ。彼の言葉を合図に、仲間達がそれぞれ行動を開始する。銃弾を受けたメテオストライクは、外殻を砕かれ地面を跳ねる。 一方、こちらの存在に気付いたゴーレム2体は、敵意丸出しで隕石の降り注ぐ中をこちらへと向かってきている。 「流星はやっぱり、夜空を流れるのを眺めるものだよね」 地上を転がるメテオストライクを見つめ羽柴 双葉(BNE003837)はそう呟いた。掲げたワンドの先端に、血で作られた黒い鎖が現れる。 鎖が、濁流のような勢いで地面を這って敵へと襲い掛かる。 「一瞬で消し去ってやろう。閃光のように輝くがいい」 閃光の如き稲妻が、宙を駆ける。放ったのは『破壊の魔女』シェリー・D・モーガン(BNE003862)だ。地面からは鎖の波が、空中から襲い掛かるのは眩い稲妻。 それらの攻撃を受け、ゴーレム達が大きく仰け反った。 その隙に、片方のゴーレムの前へ『カゲキに、イタい』街多米 生佐目(BNE004013)が飛び出す。槍を頭上で旋回させると、それをそのまま、叩きつけた。槍の先端に収束した黒いオーラが、ゴーレムの腹を撃ち貫いた。 「………っと、これくらいじゃ駄目か」 生佐目の槍を弾き、岩で出来た拳が突き出される。咄嗟に後ろへ飛んで、それを回避しようとするものの、しかし、間に合わない。 ゴーレムに殴り飛ばされた生佐目の体が、地面を転がる。 ゴーレムは追撃の為、前へ出るが、そこへシェリーの放った稲妻が襲い掛かる。稲妻がゴーレムを貫き、その動きを阻害する。 もう片方のゴーレムの前には、エーデルワイスが立ちはだかる。魔力銃を掲げ、その銃口はゴーレムの頭部へ固定されている。 「この銃撃は、ただの弾丸じゃありませんよ?」 放たれた弾丸が命中し、ゴーレムの頭部が爆ぜる。しかし、それでもその動きが止まる事はない。バラ、っと一瞬でその巨体が崩れ去る。 バラけた岩石は宙に浮いたまま、回転を始めた。それを見て、エーデルワイスが盾を構える。 「つれないわね? もう少し付き合ってもらうわよ?」 なんて、呟いてはみたものの、その白い頬には冷や汗が伝っている。 高速で回転する岩に弾き飛ばされ、エーデルワイスの体が地面を転がった。代わりに、七花が前へ飛び出る。七花はゴーレムへ向けて、腕を伸ばした。 ゴーレムの頭上に、オーラで出来た大鎌が姿を現す。 「止めさせてもらいます」 七花が腕を振り下ろしたのと同時に、鎌もまたゴーレムの胴へと突き刺さった。 彼女が、ゴーレムの相手をしている間に地面に倒れたエーデルワイスの元へ、辜月が走る。 「怪我は、私が治します」 辜月がそう囁く。瞬間、エーデルワイスの体を光が包み込んだ。傷が癒えた後も、光は彼女の体を包んだままだ。ニヤリ、と笑ってエーデルワイスは戦線に復帰する。 それを見送って、辜月が後衛へと下がろうとした。 その時……。 「雪待! 下がれ!」 シェリーが叫ぶ。え? と、辜月が顔を上げた。 彼の体を、駆け寄って来たシェリーが突き飛ばす。その瞬間、辜月の背後に轟音と共に、何かが落下した。熱気と衝撃波が、辜月のシェリーの体を吹き飛ばす。 2人を襲ったのは、空から降ってきた隕石だ。 「シェリーさん!?」 自分がシェリーに庇われたのだと気付き、辜月は慌ててシェリーの体を抱き起こす。幸い、意識はあるようだが、彼女の額からは血が流れている。 「こんな石の雨では、たいした虹は期待できそうもないな」 そう言って、シェリーは小さく笑って見せたのだった。 「ガンガン縛るよ―!!」 背後に辜月とシェリーを庇いながら、双葉が叫ぶ。掲げた杖の先から、夥しい量の鎖が現れ、ゴーレム達へと襲い掛かる。 鎖は地面を這い、ゴーレムの体を飲み込んだ。メテオストライクの様子は、ゴーレムの巻き起こした土煙りのせいでよく見えないが、恐らくかるたが押さえているのだろう。 今のところ、こちらへ攻めては来ないようだ。 鎖を放つ双葉の頭上へ、隕石が降ってくる。それを見て、傍に控えていた奈々子が、リボルバーの銃口を隕石に向ける。 リボルバーから、眩い閃光が放たれる。閃光は、降り注ぐ隕石を焼き尽くし、夜の闇へと吸い込まれて消えた。 奈々子は、小さくため息を吐く。それから、リボルバーを構え直し、視線を上げた。 奈々子の鋭い瞳が、砂煙の向こうのメテオストライクを捕らえる。隕石を振らせているのは、メテオストライクだ。そいつを倒してしまえば、少しは戦い易くなるだろう。 「雪待くん、今の内よ!」 シェリーに治療を施す辜月にそう告げて、奈々子と双葉は前へと出る。 「型物同士、じっくりといきましょう」 淡い光で包まれた両腕を勢いよく振り回すかるた。メテオストライクに向かって、旋回の勢いそのままに腕を叩きつける。 メテオストライクの外殻が、砕けて削れる。 しかし、それを受けた瞬間メテオストライクの体が炎で包まれる。 「倒すくらいの意気でいたいところですが……」 これは危険と見て、背後に下がるかるた。かるたを追って、火の玉と化したメテオストライクが突進していく。身を捻ってメテオストライクの攻撃を回避するものの、避け切れない。メテオストライクが掠めて行ったかるたの胴から血が吹き出る。 肉の焦げる嫌な匂いに顔をしかめながら、かるたは地面に着地。メテオストライクに向き直った。体長数十センチ程度の石の塊が、そこには浮いている。 石の外殻を纏った隕石が、メテオストライクの本体だ。外殻を剥いでしまわないことには、ダメージも碌に与えられない。 「隕石が麻痺するのか……甚だ疑問ですが」 麻痺させることが出来れば、外殻を剥ぐのもそう難しくはない。 そう判断し、再びかるたは戦鬼烈風斬の構えを取る。 次の瞬間……。 「う……え!?」 かるたの体が、ふわっと宙に浮いた。かるたがそのことに気付いた直後、彼女の体は勢いよく後ろへと弾き飛ばされていく。 一緒に飛ばされた石が体中にぶつかる。 メテオストライクの能力は、引力と斥力。外へと弾く力は斥力によるものだ。 ギリ、と歯を食いしばるものの、身体が浮いているのでは仕方ない。かるたはそのまま、後衛へと弾き飛ばされていった。 「……え!? 蘭堂さん!?」 ゴーレムの相手をしていた七花の真横を、かるたが飛んでいった。思わず目を見開いて、かるたの姿を追う、七花。そんな七花目がけ、ゴーレムの腕が振り下ろされた。 しかし……。 「血と鉄と炎の加護よ、咎人を撃ち抜く力を与えよ!」 なんて、楽しそうな高笑いと共にエーデルワイスがゴーレムと七花の間に飛びこんでいく。未だ輝きを見に纏ったエーデルワイスは、ゴーレムの拳を盾で弾き返すことに成功する。 浄化の鎧によって付与された反射効果によるものだ。 自らの拳でダメージを受け、ゴーレムがよろける。今の内に、と駆け寄るエーデルワイスだが、瞬間、ゴーレムの体が岩の塊へと形を変えた。 「避けて!」 七花が叫ぶが、一手遅い。岩の塊と化したゴーレムが、エーデルワイスを押しつぶす。 避けようと地面を転がったエーデルワイスだが、間に合わない。胴から下がゴーレムの下敷きになる。鋼の義手を地面に突き刺し、ゴーレムの下から這い出ようとするが、上手くいかないようだ。 「そこから退いてください」 ゴーレムの頭上に大鎌が現れる。指揮をするような七花の手の動きに従い、鎌が振り下ろされた。ゴーレムは一度砕け、再びもとの巨人の姿に戻る。 「今です!」 「たっぷり痛みを受けたからね、断罪の魔弾は絶好調よ」 体のあちこちから血の滴を滴らせながら、エーデルワイスはゆらりと立ち上がる。怪しい光を湛えた瞳が、ゴーレムを捕らえた。 拳を振りあげるゴーレムに、銃口が向けられる。 「穿て、その存在の奥底まで!」 高笑いと共に放たれたのは、禍々しいオーラを放つ真っ黒い弾丸。弾丸はゴーレムに命中すると同時に、その存在を一瞬で消し飛ばしたのだった。 ゴーレムが消え去ったのを確認し、エーデルワイスはその場に座り込んだ。そんな彼女に治療を施すため、七花が傍に寄っていった。 ゴーレム1体、討伐完了……。 「我が刃、これしきの堅牢で……毀れず!」 ゴーレムの拳と、生佐目の槍が火花を散らす。槍と拳の打ち合いを、もう10分間以上は続けているだろうか。お互いに無傷とはいかず、ゴーレムの体は傷だらけ、生佐目の体は痣だらけ。 お互いに、未だ倒れる気配がないのは、ゴーレムの頑丈さと、生佐目の持久力によるものか。 それでも……。 「う……っぐ」 無機物であるゴーレムと、生身の体で戦う生佐目の差がそろそろ出てくるころだろう。何度目かの打ち合いの末、生佐目の槍が弾かれた。 生佐目の体が揺れる。しかし、咄嗟に地面に槍を突き刺し、その場に立ちとどまった。 「後衛に攻撃が行くような事態は、なんとしてでも防ぐ」 口の端から血を流し、生佐目は笑う。そんな彼女の視界にゴーレムの背後へ回り込む奈々子の姿が映った。弾き飛ばされたかるたに代わり、メテオストライクに接近する途中だったのだろう。 奈々子は足を止め、リボルバーをゴーレムへと向けた。そんな奈々子の傍を、双葉とシェリーの2人が駆け抜けて行く。メテオストライクの元へと向かうのだろうか。 リボルバーを構える奈々子の姿を見て、生佐目は笑う。生佐目に向け、ゴーレムが拳を振り下ろした。その直後……。 「咲き誇れ、大輪!!」 奈々子が銃の引き金を引いた。銃口から、眩い光が溢れ出る。十字を描いた閃光がゴーレムの体を飲み込んだ。ピタリと、ゴーレムの動きが止まる。 攻撃対象を、生佐目から奈々子へと移す。その巨体を震わせながら、ゆっくりと旋回するゴーレム。そんなゴーレムの頭の上に、生佐目が飛び乗った。 「この傷、返礼するぞ」 高々と槍を振りあげ、生佐目が終わりを告げる。 「石まみれ、泥まみれってちょっと……ね」 お星様になるのも、早すぎるわ。 なんて、呟いて奈々子が銃を下げる。 奈々子の目に映るのは、拳を振りあげるゴーレムと、そのゴーレムの頭上で禍々しいオーラを放つ槍を掲げた生佐目の姿だった。 「喰らえ! 我が刃を!」 呪いを纏った槍が、ゴーレムに突き刺さる。 ピシ、とゴーレムの体から軋んだ音が鳴る。それは、ゴーレムの体に罅が走る音だ。 軋んだ音は次第に大きくなり、罅が体全体に広がっていく。罅からは、禍々しいオーラが溢れているのが見てとれる。 生佐目が槍を引き抜き、ゴーレムから飛びおりる。 「これでおしまい」 そう呟いて、奈々子が銃弾をゴーレムに放った。 銃弾は、吸い込まれるようにゴーレムに命中。ゴーレムは、そのまま音をたてて崩れ去っていった……。 後に残ったのは、傷だらけの生佐目と、疲れた顔をしている奈々子。それから、ただの岩石へと戻った、ゴーレムの慣れの果てばかり……。 ●星を砕く……。 「次の隕石が落ちたら、チャンスです」 今まで、後衛から敵の様子を観察していた辜月が、かるたにそう耳打ちする。 かるたは、無言で頷いて立ち上がった。彼女の体を覆うのは、淡い光の鎧である。辜月の使った浄化の鎧によるものだ。 「隕石が落ちると、メテオストライクはそれを吸引しようとします」 それが、メテオストライクの癖なのだろう。当のメテオストライクは、現在双葉とシェリーが押さえているようだ。 「来ます」 辜月が呟く。熱感知でいち早く隕石の落下を察したのだ。彼が呟いた直後、空から隕石が降って来た。それを見て、かるたが駆けだす。 隕石は、地面に落下し大きなクレーターを形作る。それを見て、双葉とシェリーはメテオストライクから距離を取るように後ろへ下がる。 メテオストライクが、ぼんやりと輝き始めたのは、2人が離れた直後のことだった。 「飛んでください!」 辜月が叫ぶ。それを受け、かるたは地面を蹴って飛びあがった。宙に浮いた彼女の体が、メテオストライクの方へと吸い寄せられる。かるただけではない。そこら中に転がる岩や、先ほど落下してきた隕石もまた、メテオストライクの方へと吸い寄せられている。 「復活しないように、必殺の一撃を撃ち込みます!」 光に包まれた両腕を大きく振りかぶるかるた。吸い寄せられる勢いそのままに、腕をメテオストライク目がけて振り下ろす。 「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 気合い一閃。怒号と共に叩きつけられたかるたの腕が、メテオストライクの外殻を粉砕する。 ギシ、とかるたの腕が軋んだ音をたてる。それほど、メテオストライクの外殻は硬かったのだろう。痛みに顔をしかめながらも、かるらの目は、しっかりと剥き出しになったメテオストライクの本体を捕らえていた。 「「今です! 撃って!」」 かるたの声と、辜月の声が重なる。 と、同時にメテオストライクから離れて様子を窺っていた双葉とシェリーの掲げた杖が強い光を放った。 「燃やし尽くしちゃえ!!」 双葉が叫ぶ。黒い鎖がメテオストライクに這い寄り、覆い尽くしていく。 「消え去るがいい!」 シェリーの掲げた杖の先から、無数の稲妻が迸る。 鎖と稲妻が、メテオストライクを包み込む。稲光と、赤黒い鎖の放つ怪しいオーラが周囲に溢れる。 「これで終わりとしたいところですね」 稲光と鎖が収束していくのを見ながら、かるたが呟く。 やがて完全に、稲光も鎖も消え去って……。 残っていたのは、黒焦げになった地面と、地面に開いたクレーター。そして、その中心に転がる、直径数センチほどの石の欠片だけだった……。 シュウシュウと煙を上げるこの石ころが、空から降って来た隕石なのだろう。メテオストライクの正体である。 「お、終わった?」 ため息を吐いて、双葉がその場に座りこんだ。そんな彼女の横を、七花が通り過ぎていく。 ひょいと、七花は機械化している右手で隕石を摘まみ上げる。エーデルワイスが、その手元をそっと覗きこんだ。 「一応、回収しておきますね」 七花がそう呟いたのと同時に……。 彼らの頭上を、無数の流れ星が駆け抜けて行った……。 恐らく、メテオストライクに引き寄せられていた隕石が、地上まで到達できずに流れ星となって、空を駆けているのだろう。 空を駆ける流れ星を見つめながら、辜月はそっと目を瞑る。 彼が願ったのは、シェリーと一緒の日々が続くように、というささやかな想い。 そんな辜月の背後にシェリーが迫る。 「雪待、簡単に拾える願いなら願わなくても良いぞ」 なんて、楽しそうな笑みを口元に浮かべ、傷だらけのシェリーはそう告げる。 奈々子や生佐目、かるたがそれを見て笑う。 照れたように微笑む辜月の頭上を、数多の星が流れて行った……。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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