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詰め込まれた少女たち

●空間恐怖症の男の殺戮
 まず、腕を切り落とす。
 それから胸から下を切り離す。
 箱の中に遺体を詰め込む。
 これを百体作れば箱の中の少女たちは目を覚ますと神がいった。
 みっちりと詰め込む。
 胸から下の胴体と、肩から先の腕と、持ち運びやすくするためにばらばらにした他のパーツ。
 そろそろ処分しなくては。
 何処がいいだろう?
 箱にみっしりとつめて湖に捨てようか。
 用があるのは顔と其処から続く胸のあたりまでの体だけだ。
 あぁ、彼女たちがしゃべりだすのが待ち遠しい。
 いっそ私も箱の中に入れたらいいのに――……。

「猟奇殺人にフィクサード三人が絡んでる。
 いずれも空間恐怖症……だったかな、閉所恐怖症の逆で自分の周りに空間があることが怖いとか言う連中だ。
 中学三年位の少女を攫ってばらばらにして箱につめる。
 しかも『百体揃えば少女たちが喋りだす』とかいう教えを受けているらしい。
 カルト集団だな。
 んで、三人でせっせと死体を詰め込んだ数はおよそ二十体。
 これ以上惨劇を繰り広げさせるわけにもいかないし止めて欲しい。
 フィクサードの生死は問わんが誰がそいつらにデマを吹き込んだのかは気になるところだな。
 実験室とやらからでてくることは稀だ。
 ……で、胸糞悪い事に箱詰めにされた中学生の四人くらいがエリューション・アンデッドになってる。
 箱詰めだからたいした動きは出来ないがそれが連中の『体を引き裂いても死なない理想形』に拍車をかけてるみたいだ。
 彼女達の鳴き声には致命の効果があるから注意してくれ。
 実験室から出ることは稀だと言ったが……その成功策を連れて他の部分…腕とか足とかを箱詰めにして湖に捨てに行く予定を立てていることが分かった。
 一人は留守を守って実験室に、二人は夜間の湖に遺体投棄にいく。
 二手に分かれて各個撃破するか日を改めて三人同時に撃破するかは任せる。
 ……少女たちの遺体は、できれば弔ってやってくれ。
 フィクサードたちはメスや投擲用のナイフで攻撃したりするのが二人、猛獣の爪で切り裂くのが一人だ。
 爪を持ってる方が留守番役だな」
 終始顔をしかめたまま朔弥は語ることを語ると黙り込んだ。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:秋月雅哉  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 2人 ■シナリオ終了日時
 2012年11月07日(水)23:55
三人のフィクサードとエリューション・アンデッドになってしまった少女の撃破依頼です。
遺体は二十体前後。
その中の四体がアンデッドになっています。
フィクサードの生死は問いませんがアンデッドたちは眠らせてあげてください。

よろしくお願いいたします。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
スターサジタリー
フランツィスカ・フォン・シャーラッハ(BNE000025)
デュランダル
日下禰・真名(BNE000050)
デュランダル
小崎・岬(BNE002119)
プロアデプト
レイチェル・ガーネット(BNE002439)
クロスイージス
シビリズ・ジークベルト(BNE003364)
ホーリーメイガス
石動 麻衣(BNE003692)
クリミナルスタア
セシル・クロード・カミュ(BNE004055)
ナイトクリーク
アーサー・レオンハート(BNE004077)
■サポート参加者 2人■
クロスイージス
村上 真琴(BNE002654)
レイザータクト
アルフォンソ・フェルナンテ(BNE003792)

●少女たちは惨殺され、箱詰めにされる
 少女に眠り薬を嗅がせて実験室へと連れ去る。
 猿轡をはめて。目隠しをして。
『神』の啓示どおりまず腕を切り落とす。
 大概の少女は此処で起きてしまう。
 猿轡からくぐもった悲鳴が漏れる。
 目隠しの下から涙が伝う。
「大丈夫だよ。君は箱の中で甦るのだから」
 そう、それは。
 とてもとても幸せなことなのだ。
「大丈夫だよ……」

「これで二十人か。そろそろ『余計な部分』が邪魔になってきたな」
「そうだな……湖にでも捨てるか。箱をあつらえて」
「それがいい」
「では僕が捨ててこよう。『彼女たち』を連れて行ってもいいかい?」
「駄目だ。危険すぎる」
「『彼女たち』にも外の景色を見せてあげたいんだよ」
「……私も同行しよう」
「あぁ、ありがとう」
「しくじるなよ。全ての少女が目を覚ますまであと八十人に処置をしなくてはならないのだから」
「分かっているよ」
 腕や足を詰め込んだ箱を運ぶ手つきとは明らかに違う手つきで四つの箱をトラックに詰め込む。
『切り裂かれても生きている少女』が入っているのだ。
 もっとも、エリューション・アンデッドとして、だが。
「じゃあ行ってくるよ」
「分かっているな?」
「分かっている。失敗は、許されない」
「そのとおりだ」
 トラックが走り去る音を聞いて一人残った男は煙草に手を伸ばした。
二人を送り出した扉が乱暴に開かれる。
「なんだ、忘れものか……な、なんだ!? なんなんだ、お前ら!」
 混乱しているのか『なんだ』を繰り返す男に向かって『Friedhof』シビリズ・ジークベルト(BNE003364)が冷徹に言う。
「全くもって趣味が悪い。見過ごせんな、これは。
信仰。あぁそれ自体は自由に持つが良い。どんな宗教を信じようとその者の勝手だ。
 だが他者に被害を与えている時点で終わりだよ。諸君らは少女達に手を掛けた――その愚かしさを後悔するがいい」
「狂気、それは同じ事を繰り返し行い、違う結果を予期すること……・
 確かかのアインシュタインの言葉だったかしらね。
 この手の不毛なカルト集団を顕すにはうってつけの言葉じゃない?」
『モンマルトルの白猫』セシル・クロード・カミュ(BNE004055)も怜悧な視線を投げかける。
「気が狂ってやっているならばともかく、正気の状態でこんな事件を起こしている分、尚更質が悪いな。
 失われた命は戻らないが、せめてこれ以上の犠牲が出ないようにしなければな」
 アーサー・レオンハート(BNE004077)は実験室に残された、フィクサードたちいわく『まだ眠っている』少女たちが入っていると思われる箱を沈鬱な目で見やる。
 ビーストハーフなのだろう、両腕が猛獣のように鋭い爪を持った腕に変わっている。
「邪魔はさせんぞっ…!」
 爪で手近にいたアーサーに切りつける。
「何故こんな真似をした」
「我らは神の代弁者だ!」
 アーサーは巨躯をいかしフィクサードの腹部に蹴りを入れて距離を取ると後衛に回る。
 セシルがバウンティショットで更に距離を開けた。
 全身を光り輝く防御のオーラで覆うことによって素晴らしい守りを得たシビリズが前衛に回る。
「神は娘達に光臨するのだ、その邪魔はさせぬ!!」
「もう一度言い直そうか? 信仰は自由だが他の誰かを犠牲にした信仰など……信仰ではない」
「犠牲ではない! 娘たちは復活するのだ、その身に神を宿して!!」
「これは何を言っても無駄のようね……」
 セシルが早々に切り上げて頭部を狙った精密射撃を行う。
「確かに、無駄のようだ」
 シビリズに爪の一撃を食らわせたフィクサードを見て詠唱で清らかなる存在に呼びかけ、シビリズの傷を癒しながら救いがたい、とアーサーが答える。
 劣勢と見たフィクサードは湖に向かった味方を呼び戻すために携帯電話を取ろうと背を向ける。
「敵に背中を見せるか。……愚かな」
 アーサーがヘッドショットキルで左腕付け根付近撃ち抜くとフィクサードは「神よ……」と呟き倒れた。
「ロープで縛っておこう。アークに引き渡す」
「そうね。カルト集団に何を聞いても無駄な気がするけれど……それを判断するのは私たちじゃないわ」
「アクセス・ファンタズムで連絡を入れたが戦闘中らしく繋がらないな」
「じゃあ神秘の秘匿を出来るところから始めましょう」
 三人はフィクサードを縛り上げ作業に取り掛かった。

●湖付近での攻防
 トラックを待ち伏せる形でリベリスタたちは湖の近くに潜んでいた。
「箱詰め少女……ね。
 小説の題材としては上々。行いとしては最低。
 人道を外れた外道だわ。
 でもね。別にいいのよ?
 外道には外道なりの生き方があるのだもの。
 狂信も背徳も残虐も。
 私は嫌いじゃないわ。
 人の生死を弄ぶ。私は狂信者ではないけれど。
 少なくとも、その点では似た様な生き方をして来ているのだから。
 だから……これは本当にただの不一致。
 私がこの依頼を受けて貴方達を殺しに行く理由はただ一つだけ。
 残念ね。
 私の趣味じゃないのよ、ボウヤ達」
 まだ見ぬフィクサードに向かって淡々と言葉を紡ぐ『吸血婦人』フランツィスカ・フォン・シャーラッハ(BNE000025)の目は言葉同様凪いでいる。
「誰を殺しても誰を詰め込んでも、どんな願をかけてもどうでも良いけれど。
 私の可愛いあの子がそうされたらと考えたら、今すぐ殺したくなったわ。
 理由なんて、それだけで十分でしょう?」
 静かに狂的な微笑を浮かべた『夢幻の住人』日下禰・真名(BNE000050)は唇を舐めて。
「こんな種類の変態がよく3人も集まったもんだねー。
 体を引き裂いても死なないのが理想ー?
 だったらまずお前ら自身の躰で試させてやろうとすっぜー」
『世紀末ハルバードマスター』小崎・岬(BNE002119)は武器を引き寄せながらどこかのんびりと。
 其処へ一台のトラックがやってきた。
 助手席に座っていた男が荷台から箱を運び始めるのと同時にリベリスタたちは男二人を包囲する。
「な、なんだ!? なんなんだ、お前ら!」
 実験室で同じような言葉を仲間が吐いているのをこの男は知らないのだろう。
「貴方達はその行為が正しいと信じて行っている。
 だからそれに対してどうこう言うつもりはありません、どうせ無駄だ。
 ただし、相応の報いは受けていただきます。
 ……殺された少女達のように、せいぜい苦しんで、死ね」
『シャドーストライカー』レイチェル・ガーネット(BNE002439)が吐き捨てるように言葉を投げつける。
「我らの崇高な目的を愚弄するかっ……!」
「少女を犠牲にして成しえることが崇高だとは思えません」
 息巻くフィクサードに『おとなこども』石動 麻衣(BNE003692)は静かに告げる。
「始めよう。我々は相容れない」
『鋼鉄の戦巫女』村上 真琴(BNE002654)が言い切る。
 運転席に乗っていた男と箱を持っていた男は素早く別の箱を降ろしにかかった。
 恐らく少女たちが詰め込まれているのだろう。
「神の代弁者よ、我らに加護をっ……」
「自分を殺した相手に加護を与えてくれる存在なんているんですか?」
『非才を知る者』アルフォンソ・フェルナンテ(BNE003792)が静かに尋ねる。
 皮肉なのか純粋な興味なのかはその表情からはうかがえない。
「黙れ、黙れ、黙れ!!」
 叫びながらフィクサードが箱を開くとアンデッド、という言葉から連想される腐った肉体の少女――ではなく胸から上だけで両腕を失くした他は普通の少女と変わらない少女たちが箱の中にいた。
「我らに加護を!」
 少女たちは加護を与えるというよりは怯えたように泣き声を上げ始める。
 彼女達にとって惨劇はまだ終わっていないのだ。
 周囲に存在する魔的な力を次々と取り込んで麻衣は自身の力を高める。
「アルフォンソさん」
「はい」
 レイチェルの神気閃光とアルフォンソのフラッシュバンが同時に炸裂する。
 アルフォンソはその後自身の持つ攻撃のための効率動作を瞬時に仲間を共有することで戦闘攻撃力を大幅に向上させ、更に優秀な将校を思わせる眼力を発揮して戦場の支配に努めた。
 真琴はパーフェクトガードによってダメージを跳ね返す処置を事前に取っていたのでアンデッドに向けて大上段から放たれる神聖な力を秘めた一撃を叩き込んだ。
 少女たちが泣き叫ぶ。
 良く聞けば「殺して、終わらせて」と繰り返していた。
「クス……貴方たちの神の代弁者は死を望んでいるようよ……?」
「お前達を殺せとお命じなのだ!!」
「そうかしら? 私には自分の命を終わらせて、と言っているように聞こえるわ」
 フランツィスカと真名に言われ男たちが怒鳴り散らす。
 怯えたように少女たちの泣き声が高まった。
「ああ、死んだら望み通り、その箱に詰めてあげるから安心しなさいな」
 微笑さえ浮かべながら全身のエネルギーを武器のみに集中させフィクサードをエネルギーの球を溜め込んだ武器で一閃する真名。
 フランツィスカは敵全体を蜂の巣にする勢いで連続射撃を繰り返す。
 箱が壊れ、少女の肌が血色に染まる。
「お休みなさい。せめて眠りが安らかであるように……二度と覚めないことを願っているわ」
 慈母のように優しく、鬼母のように容赦なくアンデッドに射撃を行うと泣き声は止んだ。
 血まみれの身体。両腕と胸から下がない。
 身体は血まみれだったが顔は不思議と綺麗だった。
 安らかな死に顔である。
「い、一度実験室に戻るぞっ……!」
「はいっ」
「させると思う?」
 落ちるコインさえ打ち抜く正確さで二人の足を打ち抜く。
「百体揃ったら喋り出すってさ―、喋る言葉なんて罵倒に決まってるだろ―常考―。
 お前ら嫌われることしかやってねーし、それ以前に単純に気持ち悪い―」
 それでも逃げようと足掻いたフィクサードだったが岬の言葉には噛み付いた。
「我らの神を愚弄するな!!」
「えー、事実を言っただけだしー」
「貴様っ……!」
「そもそもお前が神の代弁者達を連れていこうなどというから我らの目標が遠のいたのだ!」
「ですがっ……!」
「貴方達にその思想を教えた方について、ちょっと話が聞きたいのですが。
 とりあえず、どちらか片方だけ生きてれば良い訳なのだけれども。
 ……快く話をしてくれる方は、どちらですか?」
 どこまでも卑劣で下衆だな、と思いながらレイチェルは問いかける。
 二人のフィクサードがお互いの顔を見た。
「自分だけ助かろうとするなんて……」
 麻衣が作戦とは分かっていても敵の愚劣さに小さく非難の声を上げる。
 勿論、相手に聞こえない声量で。
「それは……言えない」
「神の思いに背くことは出来ない」
「まぁ、どちらにせよ死んでもらうことになると思うが」
 真琴が取り合えず二人を殴って気絶させる。
「実験室のほうは片がついて男を拘束したそうです。
 今は神秘の秘匿の作業中だとか」
 アルフォンソがアクセス・ファンタズムを使って連絡を取っていたらしい。
「どうする? こいつら。殺す?」
「殺してもいいが……アークの調査部なら連中の背景を洗い出せるかもしれない。
 喋る口は多いほうがいい」
「そっかー。でもまぁ、半殺しならいいよね」
「手伝います」
「半殺しにしたあと大きな箱に詰めてあげたらどうかしら。
 調査部が不必要と感じたならこの子達と同じように胸から下と両腕を生きたまま切り取ってあげましょう」
 アンデッドと化して、二度目の人生を終えた少女の頬を撫でながら真名がサラッと口にした言葉に積極的に反対するものはいなかった。
「自業自得……ね」
「少女の遺体は此処にいる方たちだけではないそうですから……皆さんを弔ってあげたいです」
「都合よくトラックがあるな。実験室の遺体も含めてアークに葬儀の依頼をしよう」
「それしか、できませんね……今となっては」
「こういう死体は……沢山見て来たわ。
 やっぱり、もう起きてしまった事に対してとなると、何も感じないものね。
 まあ……奪われる者の気持ちは解るし。
 延々死体を弄ばれるよりは、こうして葬られて少しは幸せだったでしょう?
 では、ごきげんよう。
 せめてその眠りに、良い夢を……」
 フランツィスカが髪に差していた薔薇を湖に放る。
 此処にいる少女たちと、実験室にいるであろう少女たちへの手向けのように。

●穏やかな眠りを
 少女たちは秘密裏に火葬され、埋葬された。
 この事件に関わったリベリスタのほか、事情を聞いた何人かのアーク関係者が葬儀に参加した。
 墓石に花を供えていく。
「結局、何が目的だったんでしょう……」
 手を合わせたあとやりきれなそうに麻衣が呟く。
「カルト集団の考えなんてトレースしないほうがいいわ。取り憑かれてしまうから」
 セシルの言葉に何人かが黙然と頭をたれる。
「調査部のほうの取調べはどうなっているの?」
「あまり進んでいないようですね」
「……あの男たちの処遇は」
「極秘裏に処刑、じゃないですか?」
「是非箱詰めにしてあげたいわね。うふふ」
「こうして弔ってやれたことは……彼女達にとって少しは救いになるだろうか……」
 アーサーの言葉に湖でアンデッドたちと戦った時、彼女達が泣き叫んでいた言葉を伝えるとアーサーは「そうか……」と呟き押し黙った。
「……また、会いにきますね」
 墓石は無言だったが「ありがとう」という少女たちの声が、聞こえた気がした。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
ご参加有り難うございました。
フィクサードは殺すというご意見が多かったのですがひとまずアークに処置を委ねる結果となりました。
少女たちの眠りが今度は妨げられませんように…。

またご縁がありましたら宜しくお願いいたします。