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不倶戴天の襲撃:三高平食料防衛戦線

●モザイク画劇場(制作著作:真白イヴ)
 ある日、(あれ)がボトム・チャンネルに現れました。そう、人類が実験と称してガチで宇宙に放り出すくらい嫌いな(あれ)です。
 厄介なことに、(あれ)は上位世界の来訪者・アザーバイド。リベリスタの皆さんのある意味死力を尽くして色々汚して、何とかその生命を断つことに成功したのです。
 ですが、五人でやっと持ち上がるサイズの(それ)を調査してくれとか言われたもんだからアークはてんやわんやです。
 調査三日にして数名ノイローゼにかかりつつ、その生態の解明に成功したのです。
 ……そんなわけで、明日夜に(あれ)が三高平港の食糧倉庫に現れるよ。
 すっごい魅力的なやつと大食いなやつと、まあ取り敢えずひどいことがまってるよ。
 
●同じ空を戴くことなし、だって相手はアザーバイド
『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が示した紙芝居に蟠る、なんかすげぇ黒かったりする紙片のモザイク。
 見えてる、触手見えてる、台所で例えないで、下水とか描かないで。
 もうそれだけで、数名のリベリスタは頭を抱えた。
 そう、人類大嫌いランキングトップに燦然と輝く「あれ」である。

「今回は、前に下水で処理してもらったタイプを縦に三つ重ねたサイズの巨体と、南の方に居るサイズ程度のが現れることが、万華鏡の予測で判明している。
 大きい方は、食欲旺盛。現場の倉庫の食料を食べ尽くすのに一晩かからない。
 小さい方は、メス。尋常じゃないフェロモンを撒いて、ボトム・チャンネルの下位種を兎に角おびき寄せる。
 だから、それらの処理も必要。……それと」
「それと、なんなんだ」
 もう驚かないぞ。そんなリベリスタの心の叫びが聞こえ、

「出現から百五十秒……二分半、小さい方を倒せないと『それら』の出現位置付近にあるバグホールから、その」
 かたかたかたかたかたかた。イヴがこころなしか震えている。モザイク処理まで施した紙芝居を通して、トラウマが再燃したのか。いや違う、(あれ)でイヴは驚かなかった。
「強引に戦いは終わる。けど、それだけは、見て立ち上がれる保証は、しない。……最後に」
 そんなとんでもない事言っといてまだあるのか。

「『それら』が移った未来を映像として見せる準備はある。動物の言葉が分かれば会話が理解できるらしいけれど、理解した研究員はノイローゼになった。
 貴方達は内容を知ろうとしてもいいし、知らないまま戦いに赴いてもいい。三高平の食糧事情の為、頑張って」
 とんでもねえ提案であった。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:風見鶏  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 2人 ■シナリオ終了日時
 2011年06月10日(金)23:19
 こんにちは、ぶさきも系STの風見鶏です。
 ええ、ぶさきも系ですとも。ふわもこの時代なんて終わったんですよ。俺にふわもことか自殺行為です。
 そんなわけで、「不倶戴天の速度狂」の後日談シナリオをお届けします。
 読んでおいた方が楽しめると思います。

●成功条件
・アザーバイドの撃破
・七色色情狂生存のまま15ターン目を迎え、次ターンに戦闘可能なメンバーが存在すること


●エネミーデータ
 七色暴食者&七色色情狂(アザーバイド)
・暴食者は全高2.5m、体長5m程度とお考えください。デケェっす。
・毒無効、ハイバランサーが共通。面接着は色情狂のみです。
・色情狂に戦闘能力はありませんが、1ターンに8~80の(あれ)を自動で呼び寄せます。開幕時は32体。
・暴食者は「補食行動(物近単・大)」と「暴食の唸り(神近範・中・不運付与)」、「飛んでみたいのEX(全・小・混乱)」「下位種暴動(物近範・小・ショック)」を用います。
・色情狂の行動はフェロモン散布(神近範・魅了)、隠密行動(暴食者の羽に隠れる)、などが確認されています。
 隠密行動中は位置を確認しなければ命中しないスキルは当たりません。
・出血・流血に弱く、これによるダメージが120をカウントする毎に速度・回避・命中が10ずつ減少します。
・15ターン経過すると、EXスキルに相当する強制イベント『見るべきではない摂理(神全・極大)』が発生します。
 戦闘は強制終了しますが、立ち上がれるor立っているメンバーが居ない場合、依頼は失敗です。
・動物会話を活性化させたキャラクターが存在した場合、リプレイに変化があります。

 我ながらとんでもない話ですが、頑張って撃破してください。マジで。

参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ナイトクリーク
星川・天乃(BNE000016)
ホーリーメイガス
シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)
デュランダル
鯨塚 モヨタ(BNE000872)
ソードミラージュ
戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)
スターサジタリー
真咲・菫(BNE002278)
覇界闘士
奥瀬・樹(BNE002376)
マグメイガス
百舌鳥 付喪(BNE002443)
インヤンマスター
一任 想重(BNE002516)
■サポート参加者 2人■
プロアデプト
鬼ヶ島 正道(BNE000681)
ナイトクリーク
ケイマ F レステリオール(BNE001605)

●よろしい、まずは深呼吸だ
「明日の夜に出るよ」……そう言ったフォーチュナの少女の真意は、リベリスタ質が察するに余りあるものであった。ブリーフィングルームに呼び出されてから一昼夜の時間は、彼らの動揺を落ち着かせるには僅かに足りず、しかし待ち伏せをするだけの事前準備をするには長すぎる時間だったといえる。つまるところ、彼らの目論見――『出現時間に合わせて先制を仕掛ける』という事柄については、十分な成果を挙げるに足る状況だったのだ。

「昔はあれが現れるたびに阿鼻叫喚の嵐だったけれど……恐怖を殺意で塗り潰すことを覚えた私に隙はなかった」
 シューティンググラスを介して自身の装備を整えながら、『Scarface』真咲・菫(BNE002278)は気怠げに呟く。実物と遭遇した経験を持つ人間の中で、最も正気を保っていそうなのは恐らく彼女であろう。尤も、今回の相手はやや規格外なのだが。
 見たことがある人間はと言えば、その回数が少ない『鉄腕ガキ大将』鯨塚 モヨタ(BNE000872)などは、まださほど嫌悪感が醸成されておらず、「気持ち悪ぃ虫」程度の認識でしかない。北海道から移住した身であるならば、彼も彼の母親もなかなかに不幸かもしれない。主に初見の年齢が。
「あんな奴らがなんでこの世にいるんだろう……」
『Fatal Arts』奥瀬・樹(ID:BNE002376)の一言は、既に色々と諦めを感じられる気がしないでもない。明らかに怯えが感じられる。まあ、仕方ないことではある。生理的嫌悪とか生理的嫌悪とか。
「仲間も呼ぶとか冗談じゃないよ。ああ、面倒臭い面倒臭い」
 あ、『イエローナイト』百舌鳥 付喪(ID:BNE002443)辺りは意外とそうでもない模様。義務感が先にきているのだろう、兎に角灰に帰することを前提として、気合充分といえるのかもしれない。何せ甲冑で顔が見えないので、詳しくは彼女のみぞ知るところであろう。
「初仕事が御器被りの始末……そらまあ実績とかないワケじゃが、アークも、もーちっとましな仕事を回してくれんもんじゃろうか?」
 随分と古めかしい呼び名を使うのは、『バーンドアウト行者』一任 想重(ID:BNE002516)である。いや、うん。お言葉ご尤もであるが、前回は前回で皆さんトラウマを刷り込まれておりますので、その辺は勘弁して下さい。アザーバイドですし。アークのお仕事ですので。
「うう、俺アレ嫌いなんだよ……殺虫剤で死ねば良いのに」
 虚ろな目をして、依頼を受けた己に自問自答を繰り返すのは『Last Smile』ケイマ F レステリオール(ID:BNE001605)だ。数秒後、自分が敵の絶滅を願って参加したことを思い出す姿があった。……うん、持ってきても良かったんじゃないかなホウ酸団子。

「ちょっとした悪ふざけのつもりがまさか本当に役立つとはッ……ゴホン、まあ、研究ってそんなものですよね」
 前回、同様のアザーバイド討伐に参加し、今回はバックアップ担当として参加する『静かなる鉄腕』鬼ヶ島 正道(ID:BNE000681)が何だか不穏当なことを述べたことが気にかかるが、気にしてはいけない。研究者の尊い犠牲のもと、カレイド・システムの精度が上がったのだとすれば何ともいえないところである。
「え……今回は5m級と魅力的なG? しかも摂理とは一体!?」
 同じく前回参加者である『節制なる癒し手』シエル・ハルモニア・若月(ID:BNE000650)など、慣れるどころか事前情報に戦々恐々としているのだが、これも質の違いだろうか。ちゃっかり内部構造把握したり結界張ったり、周到な準備してるところは無視するとして。昆虫型アザーバイドなだけにな。
「さすが、生命力の塊……また、出てくるとか、びっくり」
『ゼログラヴィティ』星川・天乃(ID:BNE000016)の淡々とした口調からは分かりづらいものの、彼女は彼女で多少なり動揺している、のかもしれない。生命の塊であるのは前回の戦闘でのタフさから分かってはいるのだが、だからってずっと大きい物が出てくるのは予想外だろう。きっちり始末するとか、覚悟上等で挑む辺りは流石だ。

 各々が準備を整え、明かりを準備し、バグホール出現位置に身を置いて先手に備える。周囲に広がる食料のコンテナ。決して狭くない空間。いける。先手必勝、勝機を確たるものとして従えた面々は、穿たれつつあるバグホールへと得物を向けた。あ、何かカサカサ聞こえる。背後から。

「廻れ……私の円環」
 静かに、シエルの詠唱がこだまする。応じ、他のメンバーの自己強化も始まる。戦端が開かれる
「人の世に害なす物ならば、狩る。それが力ある者の、リベリスタの務め……」
『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(ID:BNE000932)が、太刀を構えて朗々と告げる。闇の奥から這い出すそれに、鋭い視線を投げかけて。

「戦場ヶ原舞姫、推して参るッ!」
 その一言を以てして、戦端は開かれた。……開かれた?

●混乱とかご馳走様です
「ふ、ふおお……、無理無理無理無理無理!!」
「あぁああ、やっぱ気色悪い……」
「何だあれあんなにいっぱいワラワラきめぇ!」
 舞姫が、樹が、モヨタが。脇からぞろぞろと現れたその群れに混乱する。いや、むしろ眼前のなんかスゲェでかい相手にも、だが。とはいえ、彼らもリベリスタとして戦場に立ち、その空気に慣らされた者たちなのである。そんなことでは戦力として無効化などされない。すごいねリベリスタ。

「……逃さ、ない」
「あー、もー、やったろーじゃないですか!!」
 中でも、真っ先に前に出たのは舞姫と天乃だ。圧倒的速度を以て接近した彼女らは、またたく間に気糸を練り上げ、舞姫の太刀の間隙を縫って暴食者の巨体を縛り上げる。幻影を纏った刃は回避を赦さず、その身を手酷く切り裂いていった。研鑽を重ねたばっかりに意志ガン無視で戦闘に向かう自分に、舞姫はもう自棄だったりするが。
「畜生! てめぇら、ぶっ殺してやらぁ!」
「じゃ、やってみますか」
 怒りを前面に押し出して、樹が蹴りで空気を切り裂く。菫は、飽くまで冷静にダガーを振りかぶり、一直線に暴食者を狙いに行く。樹のそれは、進路の下位種を次々と裂いて流れ、身動きの取れない相手を強かに裂いた。菫の一撃と相まって、暴食者の体表からは体液が僅かに漏れ、地面へと流れていく。……幸いにして、前衛に降りかかることはなかったが。

「さて、ワシも先手を打つとしようかの……!」
 想重はそう口にすると、瞬く間に式符を編み上げ、鴉として撃ち放つ。狙いは、まだ行動を初めていない色情狂。僅かに脇を掠めた鴉は、口惜しそうな仕草を見せ、次の瞬間には式符へと戻っていた。

「増え続けるのは鬱陶しくて仕方ないしねぇ……一気にいくよ」
 付喪は、溜め息混じりにガントレットを突き出すと、一息に稲妻を呼び寄せた。周囲を吹き飛ばすその暴威は、味方を正確に避けつつ、視界内の下位種を全て焦がし、オゾン化した空気とアザーバイド2体のみを残していく。

「いっくぜええええぇぇ!」
「言いだしっぺの責任は取らねばなりませんからな……!」
「奔れ……光の矢!」
 モヨタは若さなりの気合いを前面に押し出し、大ぶりの刃を軽々と振るって鎌鼬を生み出す。正道とシエルも、各々の研鑽された一撃を以て暴食者を集中的に狙い、十全な威力を見せて襲いかかる。以前以上の精度と威力。彼らの研鑽は、既に勢いの暴力と化している。
「全力でやるしかないやな……!」
 ケイマも、振り上げたダガーを以てオーラを展開させ、顎に当たる部位へ向けて打ち込んでいく。先制攻撃は各々が高めた能力を遺憾なく発揮する意味では効果が大きく、膨大な体力を持つ相手への初手としては実に効果的なものとなったのである。
 
 ……とは言え。唯々諾々と攻め手を受けてばかりではない。先手を考慮しているからこそ、隠匿する間もなく色情狂を拘束することを選択できていれば、或いは戦況をあっさりと収束させることもできたのだろう。そればかりは、ダメで元々の作戦だったことを加味すれば責められる謂れもないだろう。
 故に、その初手を察した色情狂の行動は決まりきっていた。……手数の回復。全身から放出される圧倒的なフェロモンは、下位種のみならずリベリスタ達をも巻き込んでいく。っていうか既に下位種の数がえらいことになっている。フェロモンすげぇ。
 
「う……きたな、い」
「怖い……お、おかーさああああん!!」
 意外というか、なんというか。初手で接近戦を挑んだ天乃と舞姫が真っ先に魅了、というかある意味錯乱状態に持って行かれたのは大きかった。こと天乃については、魅了されようとされまいと刃の舞を披露する辺りが恐ろしいが、下位種や暴食者に混じって仲間を巻き込むように放つのだからたちが悪い。
 舞姫の攻撃力も速度も、秀でている分脅威になりうる。げに恐ろしきは色情狂である。

「みんな、気をしっかり持て! 大丈夫なら、次はメガクラいってみっぜ!」
 全くそのとおりである。モヨタが発する復調の光は、二人の錯乱を収束させ、戦列復帰を確実にする。雄々しい宣言を聞き届けた各人は、暴食者の次行動を許すまいと行動阻止を愚直に、だが確実に繰り返す。

「ギトギトベトベトやだあ……」
 ケイマも、弱音を吐きつつしっかりと一撃一撃を大事に放っている。それでも体液は付くけれど。非常に残念なことに。
「まだまだ、逃さねえよ!」
 樹の蹴りも、冴え渡る威力をもってして次々と下位種を巻き込みつつ突き進む。体液を撒き散らす姿から目を逸らすその姿は勇ましさの中で非常に女性的ではあるが、まあそれはそれということで。
「私の全ての力もて……幾度でも癒します」
 魅了による戦線の準瓦解は、シエルにとっても由々しき問題だ。暴食者を抑え、被害を被らないうちは神秘に近い彼女の生存率が高いことを、ひいて作戦成功率が高いことを意味する故に、その回復技術は要となりうる。

 卓越した回復技術、そして暴食者への最大限の妨害行動は作戦として良策と言え、多少の混乱を来しつつも順当な勝利へ向けて一歩一歩近づきつつあった。
 ……短期決戦に終わらせるには、厳しい戦いだったが。

●はーじまーるよー☆
 暴食者の行動速度は、着実に落ちていた。数度の暴動や飛行も起こりはしたものの、彼らの連携を重視した戦闘、及び各人の特性を知悉した攻撃は暴食者、そして色情狂をも確実に消耗させていく。

「暴食者が飛ぶ予兆ですな……! 皆さん、心と動きの準備は?」
「バッチリだぜ!」
「羽根が丸見えだねー。隙だらけだよ」
「まとめて、粉微塵に、切り裂いてあげる」
「問題ないんよ、追いつける!」
「汚物は消毒だーってね!」
 正道の問いに、各人が勢いよく応じる。数秒後、僅かに飛び立った暴食者へと菫の正確な一撃が突き刺さるわ天乃と舞姫の連撃が腹部を裂くわケイマの一撃が暴食者を打ち据えるわ、終いにはモヨタのメガクラッシュがひっくり返すわ……連携がとれすぎである。

「皆さん……間もなく二分十秒ほどになります! 備えてくださいませ……!」
 ひっくり返り、動かなくなった暴食者、ついで下敷きになり痛打を負った色情狂へと止めをさそうとしたメンバーであったが、落ち着きを失わないシエルにしては逼迫したその言葉が、如何に恐ろしい予兆かなど考えるまでもない。
「覚悟は決めました!」
 舞姫が、防御の隙間からそんなことを口にする。本当だろうか。
「耐えぬく所存なれど……私が倒れましたら…摂理の真実……後で教えて下さいましね……」
「ごめんなさい! 生意気言って本当にごめんなさい!」
 笑顔で自分の前に立ち、覚悟を決めたシエルに樹は平謝りである。いや、マジで怖いんですけど。
 シエルを庇っていた付喪はそのままモヨタに、菫は正道に庇われる形となる。ケイマも身構え、来るべき状況へ戦々恐々としている。

「うおお、誰か神秘攻撃に弱いワシを庇ってプリーズ!!」
 想重さんはちょっと自助努力をお願いします。

 ――やがて。もぞもぞと暴食者から這い出す色情狂は、怯えるようにその姿を強ばらせた。それが早いかどうかのタイミングで、背後のバグホールから溢れるのは圧倒的な存在感と、溢れる白い……

「糸?」
 正道の声が、小さく漏れる。それが、始まりだった。

 わさわさわさわさわさわさわさわさ。
 バグホールの向こうから糸が溢れる。糸が絡みつく。暴食者が、色情狂が。その糸に絡まれて引きずられていく。ずる、ずるとバグホールへと連れ去られていく。下位種すらも巻き込んでずるずると。その奥に垣間見える『なにか』が視界に入った瞬間、想重が、ケイマが、天乃が、付喪が。次々と膝をついて行く。運命を燃やして、勝利の女神の加護を受けて、各々が立ち上がるとしても。その光景が心臓を掴む衝撃は絶大だった。
 ――顎。そう、顎だ、あれは。自分達はその顎を持つ生物を知っている。だが、暴食者すらも一抱えにする規模の顎をもつ『それ』なんて知らない。知りたくもない。
 きぃぃぃぇぇぇぇ、ぞぶり。
 確かにそんな声がした。そんな音がした。それが色情狂の断末魔であることも、顎が到達した音であることもわかる。だが、そんなことよりも。
 コンクリートが、暴食者が、色情狂が、下位種が。溶けていく、崩れていく。バグホールを中心として周囲五メートルが消失していく。倉庫を倒壊させるにはあまりにも少なすぎる被害だが、それをなしているのが何なのか、など敢えて語る必要がそこにあるだろうか?
 その名を敢えて語る必要はない。語られる日ではない。だが、確かにリベリスタ達は直感した。
 その正体がなんであるか、と。それが今回敵として立ちはだからなかった幸運を。

●あとかたづけ
 戦いは、終結した。多少の被害はあったものの、運命の強制力は凄まじく、最終的に膝をついて搬送される悲劇を全員が回避したことになる。
「……お風呂、入りたい」
「もう二度とGなんて見たくねぇや……」
「あははははははははははははははははははははははははは」
「ふぇ~ん、おとーさーん、おかーさーん!」
 なんかもう、皆さん満身創痍ですが。こと舞姫と樹はちょっとアークで処置が必要かもしれないけれど。
 彼らは勝利したのだ。自らの運命に賭けて。
 因みに、付喪は残った下位種の処理に躍起になっている。元気だな。

「しかし、惜しかったですな」
 ぽつりと、正道が呟く。
「色情狂のフェロモンを分析できれば、と思ったのですが……」
「もう勘弁」し、て」させて下さいまし」して下さい」
 まあ総ツッコミですよね。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 お疲れ様でした。
 イヴちゃんが「明日の夜ねー」と言っちゃっている以上、一昼夜以上の時間があると想定し、準備行動や事前の能力使用・先手打ちは最大限に採用させていただきました。ここは作戦勝ちです。
 しかし、イチかバチかであればそれを最大限利用することも考慮に入れるべきだったかなー、と思います。優秀なプレイングだっただけに、惜しい点も多少あります。そこはリプレイからご判断下さい。
 リプレイに込められた判定要素と、皆様が受け取った結果が全てです。
 そこは自信を持ってお送りいたします。

 あ、心配しなくても続きますよ。