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Send shadow.

●黄昏の魔物
 ある市街地の空き地で、その日子供たちは遊んでいた。
 徐々に日が暮れて空が茜色に染まる頃、遠くに聞こえる音を合図に子供たちは駆け回っていた足を止める。
 良い子は帰りましょう。
 耳触りのいい女性の声が、遠くから聞こえる。
 なつかしい歌を響かせて、子供たちを家へ帰すためにその放送は毎日のように日暮れに流れた。
 そして、その日も子供たちは当たり前のようにその放送を聞いた。
 烏が鳴いたら、帰りましょう。
 良い子は、帰りましょう。
「帰らなくちゃ!」
 遊んでいた子供のうち、ある子供が言った。
 日も暮れて、やがて夜が来る前に。お家に帰らなくちゃ。
「なんだよ、別にまだ平気だろ!」
「だめよ、良い子は帰らなくちゃ。悪い子は、こわーいおばけに連れて行かれちゃうんだから!」
 まだ遊びたい。遊び足りない。だけども、帰らなくてはならない。
 子供たちが言い合えば、そのうちのまた別の子がそう言って脅かす。
 こわーいおばけに、連れて行かれちゃうよ。
 夕暮れは、一日で一番危ない時間なんだから。
「そんなのうそに決まってるだろ?」
「うそじゃないわ、だってお母さんが言ってたもん!」
 ある子供は続けて言う。
 日が暮れると、こわーいおばけが起きてくるの。こわーいおばけは子供を食べちゃうのよ!
 ね、だから帰ろうよ。
 そう言ってごねる子供の手を引っ張った、ある子供は不安げにあたりを見渡す。
 放送はとっくに切れていて、あたりは烏が鳴くばかり。
 日が暮れて、茜色の空さえ次第に暗がりはじめていた。
 ほら、はやく、はやく帰らなくちゃ。ある子供は慌てて急かしたけれど。
 ―――ゆらり。
 そんな子供たちのすぐそばで、その影が怪しげに揺らめけば。

 日が暮れて、茜色さえ身を潜めてやがてほの暗い夜が訪れる。
 空き地に立つのは、怪しく揺らめく影ばかり。
 楽しげに響いていた子供たちの声が響くことは、もう二度となかった。


●逢魔時
「夕暮れの空き地に、E・フォースが出現するらしいの」
 リベリスタたちがブリーフィングルームに集まったところで、『リンク・カレイド』真白・イヴ(nBNE000001)はそう言って切り出す。
 現れるE・フォースは1体。しかし、烏の形状をしたE・ビーストを2体引き連れている。
 夕暮れになると現れるようで、特に子供を狙うことが多いらしい。
「古来より、夕暮れは逢魔時といって不吉な時間とされているけれど……」
 そのお話を信じるか信じないか、それは人によりけり。
 されどそんな夕暮れに現れる子供をたべてしまうおばけのお話を、子供たちは信じていた。
 濃い影に隠されて、すれ違うひとの顔さえわからない。
 そんな”おそろしい何か”に一番出会いそうな時間。
 ひとはそれを逢魔時と呼ぶ。
 だから。夕暮れになったら帰らなくてはならない。
 日が暮れても帰らない悪い子は、おばけに食べられてしまうから。
 おそろしい、おそろしいおばけから子供は家に隠れなくてはならない。
 なんて。もしかすれば、そのE・フォースはそういって言い伝えられた子供たちの恐怖心から生まれたのかもしれない。
 現に、そのE・フォースは人のような形はしていたが、全身が真っ黒な影のように中身が見えてこない。
 定まらない迷信のように不安定に揺らめくそれは、ひどく薄気味が悪い。
 顔も何もわからない、真っ黒い影のようなその姿が、余計に何かおそろしいもののように見えてくるほどに。
「なかなか薄気味の悪い敵だけど、怖いお話は得意?」
 イヴはそっと周囲に目を配る。
 怖いものが苦手な人もいそうだけれど。
 怖い思いをすることもあるかもしれないけれど。
 なんにしても。
「子供たちを食べてしまうこわーいおばけの退治、お願いするね」
 害なす敵である以上、倒すのみ。
 目を伏せたイヴはそうして、リベリスタたちを見送った。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:ここの  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年10月30日(火)22:30
こんにちは。『ここの』と申します。
お話のご案内をひとつ。
Send shadow. 影送り。
今回は夕暮れに現れるこわーいおばけのお話になります。
どうぞ、お手柔らかに。


●諸注意
・勝利条件:すべての敵の撃破。
・戦場:夕暮れの空き地。広さ、人気、視界、ともに問題なし。

・エリューション:
影人(E・フォース)
影打ち:物遠単、攻撃
影縛り:神遠複、攻撃BS呪縛
影送り:神遠全、攻撃BS弱体、致命

黒烏(E・ビースト)×2
突く:物近単、攻撃
鳴き声:神遠範、攻撃BSブレイク
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
マグメイガス
二階堂 杏子(BNE000447)
プロアデプト
氷雨・那雪(BNE000463)
クリミナルスタア
神城・涼(BNE001343)
ホーリーメイガス
レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)
覇界闘士
浅倉 貴志(BNE002656)
クリミナルスタア
イスタルテ・セイジ(BNE002937)

シャルロッテ・ニーチェ・アルバート(BNE003405)
クリミナルスタア
セシル・クロード・カミュ(BNE004055)

●誰そ彼に出遭う
 茜色の空に烏の鳴き声が響く、日没の頃合。
 リベリスタたちはとある市街地の空き地へと訪れて、その時を待っていた。
 念のためにと張られた結界は既に人避けとして効果を見せていて、あたりには人影ひとつ見当たらない。
 毒々しいほどに赤い空の色がやがて暗がりはじめるのを見ながら、そうして流れ始める放送を聞いた。
 良い子は帰りましょう。
 耳触りの良い女性の声も遠く、烏が飛び去っていく。
 もうしばらくもすれば、やがて夜が訪れるだろう。
 その前に。
「子供の頃に聞く御伽噺は怖いわよね」
 移り変わる空の色を見上げていた『モンマルトルの白猫』セシル・クロード・カミュ(BNE004055)が、ぽつりと呟く。
 それに同意を示したのは『chalybs』神城・涼(BNE001343)で、相槌を打ちながらも彼は辺りを見渡した。
「黄昏時は逢魔が刻、ていうけれどもさ。こんな時間に薄気味悪く出て来られると、本当にお化けみたいだよな」
 こ、怖くなんてないんだからな。そう付け足された言葉は、少し震えていたかもしれない。
 黄昏。誰そ彼。――逢魔時。
 ひとならざるものたちが、動き出すその時間。
 彼の言うように、逢魔刻に現れる怪異とは聞いているが、姿かたちもわからない不気味さは確かに本当にお化けのようだ。
 しかしその正体は、決しておばけなどではない。
「中々帰らない子供達の中には、怪異が本当かどうか確かめたいという気持ちもあるのかもしれませんね」
 同じように周辺を確認していた『メガメガネ』イスタルテ・セイジ(BNE002937)も頷いて、そっと息を吐く。
 なんとかしなければいけませんね、と続けながらも薄気味悪さは拭えない。
 ふるりと震えた背筋を誤魔化すように深呼吸をしたが、薄気味悪さが消えることはなかった。
 なんにしても。
「よい子の子供たちが、帰宅しようとするのを邪魔するいけない子はお仕置きが必要だろう……」
 細やかなフォルムの眼鏡をかけながら、『微睡みの眠り姫』氷雨・那雪(BNE000463)はそう言った。
 その通り、既に子供たちに被害が出ているのならば逢魔刻の怪異が何であれ倒すのみ。
 その言葉に力強く頷いて、『白月抱き微睡む白猫』二階堂 杏子(BNE000447)は目を細めて微笑む。
「……私達のお仕事の時間ですわ」
 やがて、日が沈みきり茜色が黒に染まれば、夜が訪れるだろう。
 そろそろと暗がり始めた空の下で、視界に揺れた影を見据える。
 ゆらり、ゆらり。
 緩やかな揺らめきを見せる影は、何も言わない。
 それは日の当たらない世界で生まれた、ひとつの怪異。
 そして何より。
 それは決しておばけなどではなく。紛れもなくリベリスタたちにとっての敵であり、世界の敵であった。
「さ、いきましょ。こわいおばけを退治しに。あたしたちは、日のあたる世界を守るリベリスタだもの」
 『フェアリーライト』レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)がそう言って、踏み出せば。
 現れた影は怪しく揺らめいて、黒い烏たちが舞い降りる。
 子供に帰宅を促す放送はもう、聞こえない。
 リベリスタたちが各々の武器を構えたとき、そうして戦闘は開始を告げた。

●誰そ彼に揺れる
 ――ゆらり。
 不気味に揺れる影が蠢く。
 人のような形状ではあるが、全身が真っ黒のように塗りつぶされた影はやはり中身が見えない。
 どのような顔をしていて、どのような装いをしているのか。
 たったそれだけのことさえ、ただ真っ黒い影であるそれから伺うことは出来ないのだ。
 ぼんやりと曖昧な輪郭に揺らめく薄気味悪さを前に、はじめに動き出したのはレイチェルだった。
 白いガードロッドの”キュベレ・改”を手にしたレイチェルは、まずはじめに翼の加護を発動させた。
 そうすることで味方全員に与えられた小さな翼が、ひらりと風に揺れる。
 次に、それを確認したイスタルテが、そのまますばやく前へと出た。
 影の抑え役を買って出たイスタルテはそのまま、射線を塞ぐように影の正面へと立ち、凛とした双眸で見据える。
「影みたいな感じですけどっ、本当にこれ幽霊じゃないんですか?」
 やーん、と泣きそうになりながらも、しかし役目はしっかりと果たすべく。
 キラリと眼鏡を光らせた彼女の、厳然たる意思による聖なる光は、影だけでなく黒い烏までもを狙いを定めた。
 そのあたりを焼き払えそうなほどの強い光りに、影がより濃い黒に揺らめく。
 そして、その攻撃に続くように。
 浅倉 貴志(BNE002656)も同じように前へと出て、黒い烏から倒すために攻撃を仕掛けていく。
 1体の黒い烏へと狙いを定めた貴志は、そうして掌打を当てると同時に破壊的な気を叩き込んだ。
 その強い衝撃からよろめいた黒い烏が、びりびりと体を痙攣させている。
「いい調子じゃねぇか! このまま、さっさと片付けてしまおうぜ」
 麻痺してしまった黒い烏を見た涼が、そう声を上げて追い討ちを掛けるように攻撃に出る。
 唯一頼るべきその拳によって叩き込まれた強烈な一撃は、確かに黒い烏を追い詰めていった。
 そうして。
 まず1体の黒い烏が、ふらりと力なく地に伏せることとなったのだった。

 更に。その連携によって追い風を得たリベリスタたちは、攻撃の手を続けた。
 影が抑え込まれている今のうちに、残る黒い烏も早く排除しなくてはならない。
 自らの武器である”ブラン・ロチェス”の頁を捲った杏子は残りの黒い烏を見据え、詠唱を口ずさむ。
「さぁ、悪い子は消え行く時間ですよ」
 そう言い放ったが直後、4色の魔光は瞬く間に放たれ、黒い烏を貫いていく。
 その様子を見ながら彼らを観察していた那雪も、光りに僅かに目を細めた。
「カラス……あぁ夕闇だから、か。本来なら、神の使いでもおかしくないのだが、な」
 烏は諸説によれば神の使いと称されることもある。
 しかし、目の前で飛ぶ烏などはそれには程遠い存在だろう。
 夕闇に溶け込むような黒々しさを眺めながら、那雪は敵が逃走を図らないようにと注意深く警戒の色を濃くした。
 その後方で、『初めてのダークナイト』シャルロッテ・ニーチェ・アルバート(BNE003405)も同じように佇んでいる。
 今の状態で逃走を図ることはないだろうが、それでも万が一ということもあるだろう。
 用心に越したことはない、ということかもしれない。
 そんなふたりの横を、セシルの放ったバウンティショットが走り抜けた。
 翼に狙いを定め放たれたその攻撃は、寸分の狂いもなく、その翼を貫いていく。
 貫かれたその衝撃に、ぐらりと黒い烏が傾いた。
 ――その、時。
 傾いた視界に慌てて翼をはためかせた鳥が、大きく声を上げる。
 そのびりびりと鼓膜を突き抜けるような甲高い鳴き声に、周辺のリベリスタたちは耳を押さえて顔を歪めた。
 およそ動物の鳴き声というには、あまりにも奇声地味た甲高い音が、気持ち悪い。
 吐き気に口元を抑えるリベリスタたちだったが、しかしその間にも。
 その甲高い鳴き声に触発されたかのように、目の前の影も大きく揺らめいた。
 ゆらり、ゆらり。
 怪しげに揺らめいた影は色濃く伸びていき、その影は真正面に対峙していたイスタルテを侵食する。
 ゆらぁり。
 一際大きく揺れた影は、さらに伸びて涼の影までをも侵食していってしまう。
 そして。イスタルテと涼の影は、黒々しい影人によって縛り付けられてしまった。
「やーん、気持ち悪いー!」
 冷たいような、暖かいような。妙な感覚を持って影がふたりを呪縛しているようだ。
 その薄気味の悪い感覚にイスタルテが悲鳴を上げれば、唯一動ける回復手であるレイチェルが振り返った。
「ふたりとも、すぐに助けるからまってて」
 抑え役や攻撃手である仲間が捕らえられていては、たまったものではない。
 急ぐようにレイチェルは詠唱を続けて、癒しの息吹を具現化させていく。
 具現化されたのは、すべてを癒すような暖かな息吹だ。
 味方全体を包んだその息吹は、鳴き声によってすり減らされた体力はもちろん、ふたりを苛んだ影さえも退けていった。
 味方の回復を確認したレイチェルは口元に仄かな笑みを象り、凛と言い放つ。
「これでもう大丈夫よ。――さ、ラストスパートといきましょ」
 ゆらり。視界でその影は、いまだ揺らめいている。
 茜色の空も随分と暗がりに染まり、夜はもうすぐそこまで近づいてきているけれど。
 戦闘はまだ、終わらない。

●誰そ彼に溶ける
「きっちり片付けてしまわないとな!」
 影による呪縛から解かれた涼が放ったバウンティショットが迸る。
 素早い抜き打ち連射が残りの黒い烏を打ち抜き、そして今度こそ烏はぐらりと傾いたそのまま地へと落ちた。
 残るは黒々しいままに揺らめく影、ただひとり。
 追い風を感じながらも、リベリスタたちは各々が武器を握りしめた。
「確実に行きましょう」
 その言葉の通りに。駆け抜けた貴志が、影へと向かい土砕掌を放つ。
 残るはその影ただひとりならば、焦る事なく確実に行くべきだ。
 冷静に立ち回るように、貴志は静かな双眸で揺らめく影を見据えた。
「もちろん。焦ることなど何一つありませんもの」
 敵は決して強い物ではない。
 同意を示したままに杏子も魔曲・四重奏を奏で、攻撃を続けていく。
 ゆらり、ゆらり。
 光に抗うように影は揺れて、色濃く地に移した影の色が轟く。
 その、次の瞬間。
 影が再び大きく揺れ、その影が膨れ上がるのがわかった。
 大きく揺らめいて迸った影は、リベリスタたち全員へと向かい影を伸ばしてゆく。
 そうして、色濃い影が地面から離れ、薄暗い空に映りこむのだ。
 まるで影送りのようなその情景は、されど子どもたちのお遊びのように和やかな物ではない。
 空へと映りこんだ影はそのままリベリスタたちへと襲いかかり、誰からともなく小さな悲鳴があがった。
 ゆらり。
 その間にも、影は揺れ続ける。
 幾人かのリベリスタたちに致命を与えた影が、暗がりに笑っているようだ。
 痛みに顔を歪めたリベリスタたちの中で、いち早く体制を取り戻した那雪は、揺らめいた影へと応対するように糸を伸ばす。
 決して、逃がしはしない。決して許しはしない。
 その心のままに。
「私の糸から逃れられるかな……?」
 那雪によって気糸を張り巡らし展開された罠が、黒々しい影を絡めとっていく。
 ゆらりと影が揺れようとも、その気糸からは逃れられない。
 そうして。
 セシルの放った運針のバウンティショットが、影の心臓部を狙いさましその黒々しさを穿った。
 ゆらり、ゆらり。
 薄気味の悪い影は曖昧な輪郭を更に曖昧にさせながら、緩やかに痛みに揺れる。
 茜色の空は既に青く、もうすぐこの影のように黒々しく染まるだろう。
 その暗がりの溶け込む様な影が、緩やかな揺れの中で微かに震えるのがわかった。
 どうやら、限界が近いらしい。
 微かな震えさえ見逃さなかったイスタルテは、静かにフィンガーバレットで狙いを定める。
 最早霞のように朧げなその輪郭をなぞり、中心へと銃口を向け――そして放たれたバウンティショットは、再び心臓部へと打ち込まれた。
 ぐらり、ぐらり。
 黒々しい影の足下がふらつく。
 暗がりはじめた景色の中で、その景色に溶け込むように。
 立っていることさえも厳しい。されど、気糸の罠から逃げ出すことも叶わないだろう。
 いや、その影には逃げるという概念さえなかったかもしれない。
 ひとならざる逢魔時の怪異は、ただ誰かを連れ浚うことしかできないのだから。
 だから、揺れるように、震えるように。その影は覚束ない動作で動き続ける。
 あともう少し。
 伸ばされた影が暗闇に揺らめいて、そして。
「もう、眠るといい。――おやすみ」
 影に同調するように伸ばされた気糸が、緩やかに黒々しい影を撃ち抜いていく。
 ともすれば影は瞬く間に。黒々しさが霧散して、影は霞のように消えていった。
 残るのは、既に暗闇に覆われた空と、静けさのみだった。

●誰そ彼に消える
「誰そ彼……あなたたちも、この綺麗な夕闇に、とけて、消えれるなら……。それは、羨ましいことかも……なの」
 既にその空の色はあの影のように黒々しい。
 夕闇に霧散した影を思いながら、僅かに星が光る空の下で、リベリスタたちは静けさにそっと息を吐いた。
「――これでもう大丈夫でしょう、一安心ですね」
 暗い視界の中では、まだどこかにあの影が潜んでいるかのように思えるけれど。
 逢魔時の怪異は確かにこの手で倒したのだから、もう現れることはないだろう。
 もう薄気味が悪くおそろしい誰そ彼はいないのだ。
 そうして誰からともなく踵を返せば、小さな足音が連なっていく。
 やがて立ち去るリベリスタたちを、暗闇に寄り添うように月明かりが作る影が揺れて、静かに見送っていた。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
以上、夕暮れに現れるこわーいおばけのお話でした。
判定は成功判定になります。お疲れさまでした。
ご参加、ありがとうございました。

参加者の皆さまが、少しでも楽しんで読んでいただけますように。