●「お祭りがあるみたいなんです」 マルガレーテ・マクスウェル(nBNE000216)は皆にそう切り出した。 収穫を祝ってのお祭りというのは、色々な土地で行われる。 大きなものもあるし、それぞれの田舎で行われる小さなものもある。 彼女が見つけてきたのは、とある田舎の小さな神社のお祭りらしかった。 休日の一日を費やして行われるお祭りは、神社と小学校が会場になる。 神輿の上の鳳は、今年取れた稲を一房下げて。 秋の日差しを浴びながら。 御神輿は担ぎ手たちによって、小学校までを往復するのだそうだ。 両方の会場には幾つも屋台や出店が並ぶ他、獅子舞いが行われたり、祭囃子の体験などもできるようである。 「申し込んでおけば、御神輿も担げるらしいです」 希望者には鉢巻きや半纏と帯、さらしや白ステテコ、白足袋等の一式が貸し出される。 もっとも、そこまでキチンとしなくても構わない。 とりあえず半纏だけ羽織っていればいい、くらいの気軽な雰囲気らしい。 もちろん担ぎ始めれば気合は入るし、バッチリ正装という人たちも沢山いる。 神輿は朝神社を出発して午前中の内に学校に到着し、午後から神社に戻っていくのだそうだ。 担ぐ人には飲み物やお酒、お弁当なども配られる。 「もちろん、屋台で色々買って食べるのも楽しいと思います」 焼きそば、たこ焼き、お好み焼き、わたがしとかチョコバナナとか。 「おでんやラーメン、なんてのもあるみたいですよ?」 ちょっと寒くなってきたので、暖かいものも美味しいかもしれない。 神輿を担ぐとなると、そうも言ってられないかもしれないが。 もちろん、担がずに見学しながらの賑やかし等も大歓迎。 「……こういうのも良いかなって、思いまして」 元気に、にぎやかに。 今年の収穫に感謝し、来年の収穫を祈るお祭り。 「良かったらみなさんもいかがですか?」 マルガレーテはそう言って、みなを見回し微笑んだ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:メロス | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年11月07日(水)23:50 |
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■メイン参加者 28人■ | |||||
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●お祭りの始まり 「屋台……この魅惑の響き……」 各所からよっていけよと誘うこの香り…… 「ね! 我慢できないよね(><)」 終の問いに、シロはワンと頷いた。 何食べたいと聞こうとした次の瞬間。 あ、イカ焼き! 「おにーさん2人前下さい!」 イカ焼き美味しい(><) 終の言葉にシロはもぐもぐしつつ、ワンと同意を返す。 一緒にイカ焼きを平らげて……次の瞬間。 焼きそば……!! 「おにーさん2人前……!!」 ソースさいこー(>▽<) 「あ、シロ、青のりついてる☆」 終の言葉にシロはワフンと頷いて。 (まだいける、オレ達の胃袋はむしろこれからだ……!) たこ焼きをはふはふ平らげて(><)(>▽<) 「クレープと林檎飴とたいやき……どれが食べたい?」 むしろ全部いっとく?? 終の言葉に、シロはワンと頷いて。 2人の戦いは始まったばかりである。 「わーい! 屋台だー!」 林檎飴にわたがし! 金魚すくい! 「色々あってたのしーなー!」 両手いっぱいに、沢山の食べ物をもって。 「今日は沢山楽しむのだ!」 咲逢子は笑顔で祭りの、秋の風景を見渡した。 収穫を祝う人々、色づき、冬へと向かってゆく季節。 (日本の魅力はきっとこういう風景にあるのだ) 「しかし急に寒くなってきたな」 (どれだけ厚着するか微妙だったりする季節だよ) 時折肌寒さを感じさせる風に、思わず肩を狭めて小さく呟く。 「御神輿に申し込んでおいたよ! もちろんマルガレーテたんと一緒に!」 俺が日本の侘びとさびとお祭りを教え込んであげるよ! 任せて! 「着るのが大変なら手伝うよ! 担ぐのも傍で見張るよ!」 ここまで息継ぎしてるのか不思議なくらいの竜一に対して。 「いえ、いいですから」 言いつつ少女は下にTシャツを着てさらしに半纏、髪は結って他一式、祭りの格好は整えて……でも神輿は担がず、撮影に専念する。 「担ぎ終わったなら、屋台めぐりだよ!」 汗も掻いただろうし着替えを手伝うとか、がんばったご褒美に奢ってあげるとかいう竜一に、いいですから大丈夫ですからと断わりを入れながら。 少女は小さく呟いた。 「ユーヌ先輩って女神だと思うんだ」 ●屋台巡り 「慌てなくっても、食べ物なくなったりしないよ」 そわそわしつつレイチェルの手をぎゅっと握って引っ張る那雪に、そう言ってレイチェルは笑いかけた。 「わたあめは、定番よね……あと、りんご飴とか、チョコバナナ…?」 「あたしは、りんご飴好きだね」 那雪の問いにそう答えて、レイチェルはさっそく見つけたりんご飴を購入。 「那雪も食べたい?」 じーっと視線を送る那雪に問えば、肯定が返る。 「じゃあ……はい、あーん」 美味しいねと笑みを交わして、そのまま2人は手を繋いで屋台巡り。 その途中で。 「おでん……?」 わたあめを手に那雪が首を傾げ、レイチェルもそちらに視線を向けた。 「寒くなってきたから、こういうのいいよね」 「あったかいの、食べる……?」 たちのぼる湯気と香りに誘われて。 大根、こんにゃく、玉子等々。 「こういうのは、こうやって食べたほうが美味しいって聞いたのよ」 きりっとした顔で那雪は大根を割りばしで挟んで、ふーふーと冷ましてレイチェルに。 「あーん」「///あ、あーん」 ちょっとドキドキしつつ、レイチェルは素直にお礼を言って。 (あぁもう、幸せ……) あたたかさに、ほっこりとろける。 「美味しい……?」「美味しいよ~」 えへへへと笑顔で応えてから。 「那雪、寒くない?」 そう問えば。 「レイチェルさん、寒いの……?」 そう問い返されて。 「なら、あっためてあげないと、なの」 那雪のぎゅーっに、レイチェルもぎゅっと抱き返す。 「秋祭りかあ」 もう一気に涼しくなったよな? 「ねーほんとあっという間に秋んなっちゃった」 「寒さとか大丈夫?」 「あ、カーディガン持って来たからへーき。ありがとぉ♪」 言葉を交わしながら、涼と旭は屋台を回る。 「わあ、屋台いっぱーい!」 (わたがしにー、チョコバナナにー、たませんにー) 「あとあと、射的や金魚掬いもしたいなあ! 金魚さんを救うの!」 色々目移りする旭。 一方の涼は、右手にフランクフルト、左手にチョコバナナと言う、黄金の布陣! (……て、一人で勝手に食べててもアレだしな。空気読めてないだろうしな) 何より男子力の高さのアピールにならない! (まあ後は、ほら! 一応! 年上だし! イケメンだからアレやね!) 「屋台の食い物くらいなら」 「奢ってくれるの?」 涼の言葉に、旭はえへへとお礼を言って。 「そういや旭は何食べたいんだ?」 「それじゃね、わたがしが食べたいなぁ……てゆか、いろいろ食べたいからはんぶんこずつしようよ」 2人は一緒に色々、屋台を巡っていく。 「一口食べる?」 そう言って涼が差し出したチョコバナナを、旭はぱくりと一口して。 「はい、どーぞ」 自分の持っている綿菓子も差し出す。 「ん、おいしー! えへ、たのしいねぇ」 屋台も出店も、まだまだ沢山ある。 旭は出店のひとつを綿菓子で指すと、笑顔で口にした。 「お礼に飲み物はわたしが奢るね」 きもちのもんだいなの! ●代価と猫のストラップ 「ふむ……アメリカの祭りとは形式こそ似ているが、詳細が違うな。あちらは遊ぶための出店は少なく、圧倒的に食べる方が多い」 分析するように呟くオーウェンを、未明は射的に誘う。 「あれ、あの猫のストラップが欲しいかな」 (的が小さいから迷ってたけど、オーウェンも狙ってくれるなら遠慮なく) 何が欲しいかと尋ねられ素直に指せば、青年は悪戯っぽい笑みを浮かべてみせた。 「但し……無事ゲットできたのならば、俺もそれなりの代価を貰うぞ?」 「って、そういう事は先に言いなさいよ?」 一抹の不安を感じつつも、未明は的に意識を集中する。 「っとと。駄目、思ってた以上に難しいわ」 腕を伸ばして狙っても的が小さくカスりもしない。 そうこうしてる間に……隣から大人気ない雰囲気が。 透視で銃の内部を調査し、超直観で確認した先刻の未明の射撃と脳内部で組み合わせ、オーウェンは弾道を予測した。 弾丸銃共に造りが荒く誤差は発生しそうだが、射撃距離を考えれば充分範囲に収められるだろう。 軽い音を立てて発射された弾は、ぱちんと目標に命中した。 そこまで本気で狙わなくてもと思った次の瞬間、オーウェンが未明に……キスをねだる。 「……はい、予感的中。人前で何を頼むのよ、この人は」 「それなりの代価、と言ったであろう?」 (いつも断ってるから今回くらいはいいか、と思うのはお祭の雰囲気があるからかしら?) 「でも、パッと済ませるわよ。あとニヤニヤするな」 少し頬を染め、怒ったような口調で。 未明はそっと、背伸びした。 ●ふたりの時間 「たこ焼きに焼きそば、焼きもろこし……屋台の匂いって反則的だよね」 つい色々買っちゃいそうになっちゃう。 深雪の言葉に司朗は同意する。 2人は一緒にのんびりと、散策するように屋台を見て回っていた。 (好きな人と一緒なら見て回るだけでも楽しいし香りも良いし) そんな想いの司朗の袖を、深雪がくいっと引っ張ってみせる。 「ほら、あれ」 「? うん? ああ、気になるものがあるならいこっか?」 視線を向ければその先には、射的や輪投げ、金魚すくいなどの出店が並ぶ。 「ああ、懐かしいなぁ」 「ちょっとやってみようかな」 それぞれ昔の光景を思い出して、頷き合って……2人は店に、足を向ける。 (ここはカッコいいとこをみせたい! こう男の子的に) 司朗は意気込んで挑戦したものの…… 「うん……ダメだった、う~ん昔は上手くできたのに難しいもんだね」 「……うん、案の定駄目だった」 (ま、楽しいからいいかな) (ま、深雪ちゃんも楽しんでるみたいだしいっか) 結果はともかく経過は存分に楽しんで。 夕暮れ時、境内の隅に2人は腰を降ろす。 「ここは私のおごりで、ね」 夕陽を眺めながら、深雪は司朗にラムネを差しだした。 「さすがにちょっと遊び疲れたかな……ありがとね」 「うん、こっちこそありがとボクも楽しかったよ」 受け取りながら司朗も礼を返して……しばらく、のんびりと。 (……こうしてると恋人っぽく見えたりしないかな?) 思いつつ司朗は……幸せを、噛み締めた。 ●「雷音と秋祭り! 滅茶苦茶楽しみでござる!!」 「こら! ふざけるな!」 ちょっと前にそんなやりとりはあったものの……今の虎鐵は紳士風だった。 「いつも、来てくれてありがとうだぞ」 「や、そんな。私の方こそお邪魔してばっかりで」 「秋はりんごのパイもあるぜひ遊びにくるのだ」 雷音と話すマルガレーテに向かって。 「いつも雷音が世話になってるでござるな。これからも仲良くしてほしいでござる」 「いえ、私の方こそ……」 虎鐵は落ち着いた調子で語りかけ、少女も丁寧に挨拶を返す。 目的のひとつは、陰と陽に遊びに来てくれる少女へのお礼。 それと、ヤミィ。 (ボクの大切な友達を虎鐵にも紹介したいのだ) 「虎鐵くれぐれもはしゃぐんじゃないぞ! はい! リピートアフターミー、はしゃぎません!」 「はしゃがないでござるー」 雷音の言葉を、虎鐵は素直に繰り返す。 しっかり言い聞かせた後で。 「最近の研究の成果はいかがかな?」 雷音は少女に声をかけた。 近況などを少し話してから、本題に入る。 「えっと、これがボクの養父なのだ。よろしくしてやって欲しい」 「こんにちはでござる。拙者が将来雷音の夫になる虎鐵でごっ!?」 言い切る前に雷音がつねった。 「ど、どうしました!?」 「気にしなくていいのだ」 そんな事がありはしたものの。 「大切な友達に大切な人を紹介したいと思っていたのだ」 雷音はそう、口にして。 「雷音とは仲良くしてもらってるでござるな」 礼を言う虎鐵に此方こそお願いしますと、少女は深々と頭を下げた。 ●それぞれの、ひととき 様々なお祭りに参加し、いちごあめを買い漁る……悠木そあらという人物がいる。 「しかし今回は違うのです」 無事にミッション達成後、そあらは力強く宣言した。 今回はワンステップ上を目指す。 (最近さおりんも疲れてるでしょうから、金魚でも持って帰ろうかなっておもうのです) 「あたしにかかれば金魚なんて!」 意気込んで挑戦したものの…… 「……このポイ、不良品に違いないのです」 む…… (可愛そうだからって1匹あげるとか……) むぅ……… 連敗を続けた結果、彼女は温情で1匹を確保。 「目的達成完了なのです」 そこで友人の姿を確認して、彼女は次の任務に取り掛かった。 らいよんちゃんと虎鐵ぱぱとヤミィさんに、今日の戦利品(いちごあめ)をおすそ分け。 「残りはさおりんと食べるのです」 「こんにちは、マルさん。いい写真撮れてますか?」 今日は彼女とお祭りを楽しみたいから。 亘は屋台で色々食べ物を買って、皆を撮ってるマルガレーテに声をかけた。 「頑張って撮るのも良いですが、ちょこっと休憩も必要ですよ」 軽くウィンクして、お邪魔して良いですかと尋ねれば、彼女は笑顔で肯定を返す。 休憩しながら撮った写真を見せて貰ったり、撮影話を聞いてみたりして。 お手伝いしますよ、と。亘は休憩後、マルガレーテに切り出した。 寒くないかと尋ねれば半纏姿の少女は大丈夫ですと笑顔で答える。 「これもまたお祭りの思い出ですよね」 そう呟いて、皆を頑張って撮る少女の姿を一枚。 亘はパシャリと、カメラに収めた。 「ヤミィ、久しぶり。研究捗ってる?」 食べる? と。 綺沙羅はさっき買った林檎飴を差し出した。 「そう言えばこの間の氷棺、キサも試したよ」 消耗は大きいけど、見合うだけの効果だった。 「短期間で着々と成果上げてるじゃん」 そう言えば、綺沙羅さんも凄いじゃないですか、と……ヤミィは忘却の石を利用した一件を切り出す。 話はそちらの、綺沙羅の土産話に変わって……異世界についての話を少女は興味深げに耳を傾けた。 その後、氷棺と防砦の話が再開される。 改良や新しい研究等に関しては、ヤミィはぐったりした顔で首を振った。 「本当にもう、同じ物を作れない呪いでも受けてるのかって博士に言われるくらいで……」 それでも一生懸命説明していく彼女に……時々、擬音の多さにツッコミを入れたりしながら。 2人は充実した時を過ごした。 ●祭囃子体験コーナーにて 「祭り囃子ってやってみたかったんです!」 体験コーナーの一角で舞姫は篠笛を手に取った。 「流石戦場ヶ原先輩、爆☆オンステージですね」 そう言って京子は先輩を見守ろうとして…… 「せーの……!」 「……え? ちょっと待って?」 ぴー……ぴょろり~、と……何とも間の抜けた掠れた音色が響く。 「これ、けっこう難しいですよ!」 「どうやって片手で笛吹くつもりですか? そりゃあ吹けないですよ!」 すごく困った様子の舞姫に、仕方ないですねと呟いて。 (これは一人にしておけないですね) 決して足でやらない様にと注意して、京子は演奏を手伝おうとする。 「うう、そういえば、音楽の成績はギリギリでした……」 「音楽の成績が下位だったんですか、へー…………」 「小学校の音楽発表会、わたしだけ楽器がメトロノームだったよ……あれ、楽器じゃないよ!? ガッデム!!」 自分でツッコミ入れて且つ黒歴史に打ちひしがれるまでワンセットで済ませたのち、舞姫は太鼓の方へと挑戦した。 京子に合わせてもらって、今度は調子良くリズムに乗って音を響かす。 「あ、これなんか楽しい!」 (……この熱いビート) 「あれ? リズム激し過ぎじゃありません?」 魂を揺さぶるヒート! 「おおおおお、ロックの神が降りてきましたぁぁあああ!!!」 「これじゃあロックじゃなくて、メタルなリズムですよ!?」 「MAI†HIME ザ オンステージ! デストローーーーーーーイ!!」 「デストローイじゃないですよ!? 怒られてますよ!」 「……何かあっちの方、賑わってますね?」 「こっちも負けてられないですね、マルガレーテちゃん!」 一緒に太鼓をどーーん!! ですね。 「神輿担いだヒャッハーな馬鹿どもに合わせて全力で叩いてやりましょうね!」 「や、ハガル先輩ぶっちゃけ過ぎです!」 どんどこどんどこどんどこどーーーん!! ちゃかちゃかちゃかちゃかどんどこどんどこどんどこどどん!! 元気に威勢よく、ハガルはリズムに乗せて太鼓を叩く。 「マルガレーテもやりましょーよ? 力が足りないならばこっちの小太鼓とか」 あとは笛なんかも似合いそう? 「笛は吹くのに技術要りそうですけど、ガンバレ、マルガレーテ☆」 ハガルの言葉に頷いて、少女は小難しそうに唇をあてた。 ●朝から晩まで、御神輿を お祭り騒ぎとあらば黙っちゃいられぬ! 「白石明奈、神輿担がせていただきますっ!」 (女の子だからって手は抜かぬ) 一式全部借りてフル装備。 「サラシでがっちりガードしたワタシに隙はない! いざ、ワッショイ!」 (しかし美少女のサラシスタイル、視線が集まっちゃうぜー) 「……ってなんかもっと凄いのいるし! こ、このロシアーネ!」 明奈の視線の先には、同じく正装にバッチリ身を固めたベルカ! 「一式をレンタルしてくれるのは非常にありがたいな」 揃いの半纏にねじりはちまき、粋なステテコと胸・腹にはサラシ! 「むぐっ、く……ちょっと苦しいかも……」 (サイズ的な問題はもちろん、さっき喰い過ぎたか……) いや、大丈夫だ! 神を祭るのであるから、存分に祭り挙げてくれよう! 「やはり祭りと言えばこれであるからな」 気合を入れ、鉢巻きを締め直す! 同じくねじり鉢巻姿で、快は事前に担ぎ方を確認。 「神輿なんて担げる機会はそうそう無いからな」 是非参加させてもらおう、と。義弘も正装で、神輿を眺めて笑顔になる。 「秋祭りかー」 (もうそんな時期なんだねぇ、一年早いもんだ) 和人は神輿に集まった皆を眺めながら呟いた。 地元にいた頃には参加した事があるが、飛び出して都会に出てからは…… (とんとそういう機会がねぇな) 「まー仕事で忙しくてそんな余裕はなかったが!」 (面白そーな事やってんじゃん。俺も担ぐぜ、折角の機会だからな) 「こー見えて俺結構力あんのよ?」 (まー、ガタイはよくねーんで) 衣装は半纏を羽織るだけにして。 祭だワッショイ! (担ぐぜ担ぐぜ、坊主だけどよ!) 肩にかかる重みを物ともせず、フツが威勢よく掛け声を響かせる。 「ワッショイワッショイ祭だワッショイ!」 雪駄に半纏、サラシにハチマキ。 固めて担いで、寒さなんて感じねえ! ワッショイ! ワッショイ! モノマも掛け声に、雰囲気に合わせて。 「そういや、最後に御輿担いだのいつだっけな」 漂う空気に、響く祭囃子に、どこか懐かしさを憶えながら。 (わりと祭囃子って好きなのよな) 神輿を支える太い木棒を肩に担いで。 (神社から出発し学校の運動場まで往復だっけか? 体力的にも問題無さそうだし、張り切っていくぜっ!) 義弘も名前の通り祭一文字を背負って、威勢良く掛け声をかけながら神輿を担ぐ! 午前も午後も、もちろん最初から最後まで一日参加だ。 モノマは周りに合わせ、うまく神輿が進むようにと。 フツも祭り囃子に調子を合わせ、仲間の息に呼吸を合わせ。 学校までの道のりを。 (楽しく明るく、担いで進む!) 体から湯気が立つほどに。 「Wasshoi!! ワッショイ!!」 「ワッショイ! ワッショイ! ワッショイワッショイ!! お祭りだーっ!」 ベルカや快も掛け声をあげ、威勢よく気風よく神輿を担ぐ。 「フツさん流石に似合う! 白石さんもいいね! 粋だね!」 「新田や祭、白石の担ぎっぷりもさすがだな!」 「祭さんも、まさに『名は体を表す』だな!」 「これだけ景気よく担げばカミサマだって喜んでるだろうサ!」 互いに声を掛け合って! 肩に神輿の重みを感じながら、フツは沿道をゆく知り合いにも声をかける。 「オッスオーウェン! 家主殿とデートかい? 鬼蔭と朱鷺島も楽しそうだなァ。そこの友達もよろしく!」 休みを入れながら、神輿は目的地へと近付いていく。 「ワタシねー、アイドルやってるんだぜ」 合間で地元のおっちゃんや兄ちゃん方と世間話などしつつ、明奈は自己紹介というか、宣伝を。 え、知らない? 見たことない? 「……今見たからオッケー! 覚えてくれただろ? 次に見かけたら応援してね! いえーい!」 酒が入っているのもあって、応えるようにイエーイと握り拳が突き上げられる。 そう、これもすべて知名度を上げるための地道なドサ回り! (見てろ悪豚P! ワタシ、立派なアイドルになる!) そんな明奈の後ろ姿を見つつ…… (聞いた事がないが……あとでサイン貰っておこうかなー) ベルカが呟いたりして。 「祭だからって食い過ぎにゃあ気をつけろよ」 見かけたレイチェルと氷雨に、フツは言いながらウヒヒと笑って。 「いーねいーね、楽しくなってきたぜ!」 (普段こう殺伐とした仕事が多いからさー) 「良い気分転換になりそーだ」 和人は担ぎながら楽しげな笑みを浮かべた。 終盤……すこし脱落者が出たりしたものの、神輿は無事に神社へと到着する。 文字通り、肩の荷を降ろしてモノマは一息入れ、義弘も皆と酒を注ぎ合った。 「もちろん未成年はソフトドリンクな」 あと、甘いものも。 「甘い物は似合わない? ほっとけ、好きなんだ」 笑顔のままそう言って、義弘は器を傾ける。 「担いだ後はお酒が美味しいね」 快も笑顔で酒を酌み交わしながら、皆の姿を撮影する少女に声をかけた。 「マルガレーテさんはどうだった?」 挨拶ついでに一緒にいたヤミィも、挨拶と依頼のお礼を兼ねて。 「これからも、よろしくね」 快の言葉に少女は寧ろ此方こそと頭を下げる。 「いやー、いい一日だったぜ」 担ぎ終えてから屋台を回ってあれこれ摘み、和人は満足気に呟いた。 「来年もまた来てーな!」 収穫を祝っての、お祭。 騒いで、賑やかで…… (みんなに感謝、神様に感謝だな) 「しかし、こういう時だけは、世の中平和だなって思えるな」 義弘はその光景を眺めなら呟いた。 みんな笑顔で、楽しそうで。 (俺一人じゃ足らないんだろうけどな) でも、幾人かはきっと……同じ気持ちの筈だ。 (やっぱりさ……) 青年は目を細め、呟いた。 「守りたいよな、この笑顔を」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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