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戦いを望むもの

●戦いを望むもの
「今回の任務は、アザーバイドへの対処」
 その為に、みんなには全力で戦ってほしい。
『リンク・カレイド』真白・イヴ(nBNE000001)はそう言って、詳しく説明し始めた。
 今回、アークはアザーバイドの出現を感知した。
『戦いを望むもの』と呼称されるそのアザーバイドは、本体そのものが戦いを望んでいる訳ではなく、戦いを見る事が好きらしい。
「残酷だったり殺し合いが好きって訳じゃなくて、全力で力や知略をぶつけあう……みたいなのを見るのが好きみたい」
 以前にもこの世界に出現しているらしく、戦いを見ては満足して元の世界に戻っていくらしい。
「その戦いが素晴らしいものであればあるほど、満足している期間は長くなるみたい」
 それで戦いを見ようとするだけ……なら良いのだが。
「今までは呼び掛けに応えた者を闘技場みたいな空間に送りこんでたんだけど、今回応える者が見つからなくて」
 最終的に、望まない者たちもとにかく手当たり次第に闘技場に送ろうとするらしい。
 今回の場合だと、ただの通りがかりの一般人が巻き込まれる場合もあるのだ。
 暴力を振るわれたりする訳でないにしても、見知らぬ場所に飛ばされて閉じ込められるというのは辛いことだし、一般人にそういった神秘を体験させるのも不味い。
「存在そのものは意識的、精神体みたいな感じで攻撃を加えるのも難しい」
 一番手っ取り早いのは、呼び掛けに応えて戦いを見せてしまうという方法である。
「今回、アーク以外の者に察知される前に出現を感知できた」
 だから、その場に皆で向かってもらいたいとイヴはリベリスタたちを見回した。
「その場に近付けばアザーバイドの方から『お前たちの力を見せてくれないか?』みたいな感じで呼びかけられる」
 それに応じる事で闘技場となる異空間に飛ばされるのだそうだ。
「皆が全力で戦うのを見れば、アザーバイドはかなり満足すると思う」
 もちろん、相手を必要以上に傷付ける必要はない。
「全力で相手が戦えなくなるまで戦えば大丈夫」
 イヴはそう言って、アザーバイドもその場で説明してくれるけどと、詳しく説明した。

 戦いは2人組のタッグを組んでのトーナメント形式。
 1回戦は無作為に対戦が決まり、勝者同士で決勝となる。
 ちなみに万全の状態でという事で、戦いの前に回復等は行ってくれるらしい。

「戦場は闘技場というよりは、周囲を壊れない壁や天井で覆われた大きな部屋みたいな感じ」
 天井の高さは10mくらい。張り付いてある程度動き回っても遠距離攻撃が届く範囲。
 一方的な攻撃等が行い難いようにと考えられた造りなのかも知れない。
「皆が近付けば、すぐに頭の中に声が響いてくると思う」
 あとは、全力で戦うだけ。
「あんまり無茶し過ぎない程度に、頑張って」
 イヴはそう言って、リベリスタたちを送りだした。



■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:メロス  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年11月01日(木)23:05
オープニングを読んで頂きありがとうございます。
メロスと申します。
今回はタッグを組んでの本気バトルをして欲しいという依頼となります。
アザーバイドの呼び掛けに応じ、戦いを始める所からスタートとなります。
現地に向かう等の行動は記述しなくて問題ありません。
チーム分け含め戦いの方に、思う存分全力を尽くして頂ければと思います。


■戦いを望むもの
精神体のような存在のアザーバイド。
霧のような薄ぼんやりとした光のような存在らしいのですが、姿を現す事があまりありません。
昔からこの世界に現れては戦いを見せてもらい、満足して元の世界に帰るという行為を繰り返してきたようです。
満足すればするほど、元の世界に戻っている歳月は長いようです。


■戦場
8人が言われた場所に到着すれば声が頭の中に響き、それぞれの戦場へと導かれます。
アザーバイドの力で作られた空間らしいですが、詳細は分かりません。
移動や戦闘の障害となる物の無い平坦で足場の確りとした作りの場所です。
同じ材質らしい壁と天井で囲まれ、出来り口等はありません。
広さは40m×40m程度で、天井の高さは10mほど。
床、天井、壁はかなり頑丈で、簡単には壊れません。


■戦闘形式
2人1組のタッグを組んでのトーナメント形式。
2チームずつ別々の戦場で対戦が行われ、それぞれの勝者が決勝の戦場に送られます。
1回戦の組合せはランダム。

タッグの2人共が戦闘不能となると敗北です。
勝利した場合、負傷や消耗、戦闘不能等の回復が行われ決勝となります。
敗北した者も回復した上で元の場所に戻されるようです。


全ての戦いが終われば、アザーバイドは皆に感謝して元の世界に戻ります。
それでは、興味を持って頂けましたら。
宜しくお願いします。


参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ナイトクリーク
星川・天乃(BNE000016)
ナイトクリーク
源 カイ(BNE000446)
ソードミラージュ
絢堂・霧香(BNE000618)
デュランダル
宵咲 美散(BNE002324)
ソードミラージュ
リセリア・フォルン(BNE002511)
スターサジタリー
アイリ・クレンス(BNE003000)
ダークナイト
一条・玄弥(BNE003422)
ソードミラージュ
セラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)

●リベリスタvsリベリスタ
「……一度真剣で手合わせしてみたい、とは思っていました」
『蒼銀』リセリア・フォルン(BNE002511)は胸の内を素直に明かした。
アザーバイドの事もあるけれど――
「この機会、私達も存分に楽しむとしましょうか」
 呟いて、戦場に赴くことになる皆へと視線を送る。
(私たちが楽しむ事が、観客を楽しませることが出来る)
「私たちは大いに楽しむべきだ」
『硝子色の幻想』アイリ・クレンス(BNE003000)はそう言った後で……だが、と。続けた。
(本音を言えば、観客が満足するかどうかなど知ったことではない)
「アザーバイドを元の世界に返すなど、皆、建前でしかなかろうよ」
 やりあう機会があったから、それに乗りかかっただけにすぎぬ。
「アークの先輩達と戦えるのって中々無い機会だよね」
『エンジェルナイト』セラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)の一言に、全ては集約されている。
(しかし、それで構うまい)
「結果も大事だが、私たちは、過程が大いに大事だというだけの事よ」
 アイリに続くように、セラフィーナも呟いた。
(これ以上、助けられなかった事を後悔しないために)
「今回の戦いで皆の強さを少しでも取り込んで見せるよ」
 それが少女の目的だ。

「一度、は手を合わせてみたい、と思った、面々が揃ってる、ね」
 彼女に視線を向けながら、『無軌道の戦鬼(ゼログラヴィティ』星川・天乃(BNE000016)は呟いた。
(セラフィーナ、だけは……一緒になった事が無いけど……)
 姉のクリスは、知っている。
「彼女の後継者、に相応しい実力、だとは聞いてる、よ」
 楽しい闘いになりそうだ。
「やるからには、優勝を狙っていきましょうね」
 そう言って微笑んだ源 カイ(BNE000446)に応えるように、天乃は頷いてみせた。
 今回、リベリスタたちは2人ずつの4組に分かれる。
 天乃とコンビを組むのがカイだ。
「上手く、息を合わせていきたい、ところだね」
 天乃の言葉に今度はカイが頷いてみせた。
 虐殺を好む訳ではなく真剣に戦う姿がみたいというアザーバイドに、彼は内心安堵していた。
(それならば、皆さんとの勝負を謹んで承りましょう)
「何よりも、僕自身の実力がどれ程通用するかを改めて認識したい」
「さあ、存分に、やろう」
 天乃の言葉に、もう一度頷いて。
「お互い、手加減無用で悔いの無い勝負を」
 そう言って、皆にも改めて言葉を贈る。
「うらみもつらみもありませんが、銭のために全力でやらせてもらいまひょか」
 どこか読めない表情で口にしてから『√3』一条・玄弥(BNE003422)は、タッグバトルですかぁ……と、呟いた。
「一人で戦うよりは楽ができて、ようございますさぁ」
 そう言ってから、タッグを組むセラフィーナに挨拶する。
「リベリスタ様の足をひっぱるような事がないようする次第でさぁ」
 いつもと変わらぬ表情で、そんな言葉を口にしながら含み笑い。
 対して『禍を斬る剣の道』絢堂・霧香(BNE000618)の顔には気持ちがハッキリと滲んでいた。
 仲間のリベリスタと戦う舞台は、これで2回目。
(頼もしい皆と真剣勝負が出来るのは、ちょっと……いや結構わくわくするかも)
「折角の機会だし、楽しまなきゃね」
 呟いてから、彼女も相方に声をかける。
「頑張ろうね!」
 元気な呼び掛けに『戦闘狂』宵咲 美散(BNE002324)も力強い言葉を返した。
 敵はリベリスタ、相手にとって不足無し。
「――宵咲が一刀、宵咲美散。推して参る!」

 かくてリベリスタ達は、其々の戦場へと赴いた。


●天乃、カイvs玄弥、セラフィーナ
「命を賭けて無くても真剣勝負には違いありません。全力で行きます!」
 気持ちで負けないようにと強気に。
 セラフィーナは天乃とカイに向かって宣言した。
 玄弥が先ず遠距離から攻めようとしているのを確認すると、相方が相手の死角を付けるようにと考えながら位置を取る。
 放たれた刺突が光の飛沫を舞い散らせながら、天乃へと襲いかかった。
 直後、カイが全身から気の糸を放つ。
 自身に襲いかかった無数の糸を、少女は影すら絶やすほどの超高速移動で回避した。
 玄弥はやや離れた位置で、全身から解放した闇を武具へと変換し身に纏う。
 一方、天乃は反撃を行おうとするものの先刻の剣舞で魅了され判断を誤り、気の糸をカイへと向けてしまう。
 何とか立て直そうとする2人の連携を乱すように、セラフィーナは刃を振るった。
 天乃が精神への耐性を持っていると推測して故か、消耗を厭わず鮮やかな刺突を繰り出し続ける。
 直撃を避けられたタイミングを利用してカイは自分を援護させる為に変幻自在の意志持つ影を作り出した。
 続いて青年は攻撃に精度の高い射撃を織り交ぜ、何とかダメージを蓄積させようとする。
 もっとも、距離は取らない。
「消極的な手で勝ちを取る気はないですから」
 白兵戦距離のまま、カイは気糸と精密射撃を駆使して戦闘を続行する。
「う~り~う~り」
 対して玄弥はいつでも白兵戦に加われる位置を取りつつ、己の生命力を暗黒瘴気へと変換しカイと天乃を攻撃していく。
「さあ、踊って、くれる?」
 体勢を整え直すと、天乃は自身の五感全てを戦いへと傾けた。
 動きに、音に、肌で感じる空気の流れ、鼻に感じられる血の香すらも……得られる情報全てを。
 相手の動きを読むために、戦いに繋げる為に、利用する。
(攻撃の予兆、敵味方の状態察知、味方の攻撃のタイミング…使える事は、多いはず)
 自身を唯、闘うだけの存在へと。
 セラフィーナの攻撃は、どこまでも真っ直ぐだった。
 フェイントや駆け引きが無いという訳ではなく、気持ちが真っ直ぐに向けられているという意味で、である。
 もっとも、それに対処できるかどうかはまた別の問題だ。
 高速な攻撃や体捌きは、文字通り圧倒的だった。
 流れるような刺突は、回避はもちろん直撃を避ける事すら困難。逆に此方の攻撃は、かすらせる事すら容易ではない。
 天乃が全身から放った気の糸を、見たまま全て避けようと試み、ほとんどを回避するだけの機敏さを有している。
 天乃の糸の精度も決して低くはないが、セラフィーナの動きは見事の一言だった。

 クリスが見たら、どう思ったか?

 或いは、見ているのかも知れない。
 少女の力の多くは、研鑽によって彼女自身が積み上げたものだ。
 だが、彼女が姉から確かに受け継いでいるのも事実だった。
 歴戦の記憶を、そして勇気を。
(まるで、2人を相手にしてる、みたいだね)
 そんな状態でも天乃の口元は、微かに綻ぶ。
 一対一なら全てかわされる。だが、この戦いは2対2だ。
 気糸をかわした彼女を、カイが精確な射撃で狙い撃つ。
「おっと、いけない」
 それを見た玄弥が距離を詰めた。
 天乃とカイを妨害するように、死角に回り込むように位置を取りながら……強欲の鉤爪を手に接近戦へと参加する。
 のらりくらりと動きながら爪も利用して攻撃を懺減し、黒のオーラを収束して放ち、爪を赤く染め力を奪う。
「なんて嘘やけどなっ、おぃ」
 パターンを読まれないように、攪乱するように、突然瘴気を放ったり。
 セラフィーナとは対照的だ。天乃はそう感じた。
 挙動不審で様々な動きが、まるでフェイントのようである。
 だが幸いというべきか、攻撃精度に比べれば回避能力はまだ仕掛けようがあった。
 カイの放った気糸が絡め取ったのを確認し、天乃も一気に攻勢を掛ける。
「串刺し公、をしとめた時……を思い出す、ね」
 微かに目を細め呟いて、天乃はオーラによって死の爆弾を創り出した。
「……爆ぜろ」
 身をよじるようにして玄弥が直撃を避けたのを意に介さず、息を合わせて2人は一気に攻め立てる。
「たまにはじじぃも本気だすでぇ」
 玄弥は運命の加護で攻撃を耐え抜き、セラフィーナも相手の攻撃を狙うようにして援護する。
「……ふふ、悪くない。さすが、だね」
 攻撃を堪え、天乃はどこか楽しげに呟きながら玄弥へと踏み込み、死の刻印を刻み込んだ。
 耐え切れずに玄弥が戦線を離脱する。
 だが、その後に続いた攻撃を堪え切れず天乃も戦線を離脱した。

 残ったカイとセラフィーナが、正面からぶつかり合う。
 互いの総てを出し切った戦いは短い時間で決着を迎え……軍配は、セラフィーナへと挙げられた。


●霧香、美散vsリセリア、アイリ
「刀を振るえ、槍を取れ。心躍る舞台はここにあり。さあ、幕は上がった! 存分に舞うとしよう!」
 アイリは誇りを胸に、見栄を切る。
「――リセリア・フォルン。参ります」
 凛と、それだけ口にして。
 リセリアは霧香へと距離を詰めながら、自身のギアを切り換えた。
 対峙する霧香も、同じようにギアを切り換える。
 一方、美散は禍々しさを纏った深紅の槍の穂先をアイリへ向けた。
 放たれた鋭い突きを、アイリは距離をずらすようにして直撃を避け、そこから勢いを付け一気に踏み出す。
 攻撃すると見せかけてタイミングをずらし、その隙をついて畳み掛ける。
 澱みの無い連続攻撃が続けざまに美散に放たれた。
 繰り出された斬撃によって体勢を崩され、美散は一時的に動きを封じられる。
 一方でリセリアは霧香へとセインディールの切先を向けた。
 幻惑するような動きから放たれた斬撃は守りをすり抜けるようにして、霧香の身を鋭く切り裂く。
 攻撃を受けながらも霧香はリセリアではなくアイリを標的と定め、妖刀・櫻嵐を手に距離を詰めた。
 高速で放たれた連続斬撃がアイリを直撃し動きを鈍らせる。
 それぞれ1人ずつが動きを封じられた形になったものの、アイリは即座に体勢を立て直し攻撃に転じた。
 美散は動きを取り戻していないが油断はしない。
 正面からぶつからぬように、相手の横や背後に回るように、アイリは位置を取りながら連続攻撃を繰り出してゆく。
 相手は格上ばかり、手練ればかりだ。
(一手間違えれば、簡単にねじ伏せられるは必至よ)
 だからこそ、常に相手の挙動に注意を払う。
 足は止まらぬ。
(止めての打ち合いでは勝負にならぬ)
 それでは互いに楽しくあるまい?
「なぁ、楽しんでいるか?」
 斬り合いながら、アイリは鋭い笑みを浮かべながら問いかけた。
「ふふ……私は楽しい!」
 繰り出された斬撃を美散は、強引に身体を捻り直撃を避ける。
 リセリアは剣舞のような、流れるような動きで的確に霧香を攻撃し続け、霧香は攻撃を受けながらも怯むことなくアイリへと連続攻撃を放ち続けた。
 白銀の刀身から繰り出される斬撃がアイリを追い詰め、その動きを封じていく。
 美散も体勢を立て直すと、深紅の槍にオーラを纏わせた。
 強烈な刺突が、アイリを傷付ける。
 直撃せずともその一撃は、無視できない破壊力を持っていた。

 其々の斬撃が、刺突が、ぶつかり、或いは交わされ合う。
 アイリは完全に避けられる可能性もある霧香への攻撃ではなく、美散への攻撃を重視していく。
 リセリアは先ず、と霧香へダメージを蓄積させていった。
 一方の霧香と美散は、アイリへ攻撃を集中させる。
 霧香の連続攻撃でよろめいたアイリは、意志の力で身体を動かし闘気を絞りだした。
 そこへ全身の闘気を爆発させた美散の刺突が繰り出される。
 耐える事を許さない必殺の一撃を、アイリは運命の加護で切り抜ける。
 一方でアイリとリセリアの攻撃も美散と霧香へと確実にダメージを蓄積させていた。
 もっとも、集中させていた方が先に効果を現すのも事実である。
 限界を迎えたアイリが戦線を離脱すると、霧香は守りに専念する形に戦法を一変させ、美散はリセリアの動きに全神経を集中させた。
 それに気付き一瞬迷いはしたものの、先ずは霧香をとリセリアは攻撃を続行する。
 霧香を一気には切り崩せなかったが、霧香の方も相手の消耗は軽微だった為に判断が難しかった。
 相手の力が尽きる前に自分の力が尽きる、かも知れない。
 そんな状況の中、美散はリセリアに向け力を収束させる。
 数十秒の蓄積を得て放たれた一撃は彼女を直撃したものの、彼の目標には至らなかった。
 次こそはと、美散は全身の闘気を槍へと注ぎリセリアの動きに意識を集中させる。
 その前に、光の飛沫を迸らせながらセインディールの描いた蒼銀の軌跡が、霧香を限界へと追い詰めた。
 少女はそれを運命を手繰り寄せる事で乗り越える。
 その場の全員が理解していた。
 耐え切れば、霧香たちの勝ち。打ち倒せれば、リセリアたちの勝ちだ。
 稀有な戦いだった。
 2分近く、唯、リセリアの動きを追い続けた美散が、一撃にすべてを籠める。
 誰も抗し得ぬ圧倒的な破壊を……リセリアは唯、意志の力で乗り越えようとした。
 繰り出された超高速の斬撃を、霧香も負けずに意地だけで耐え凌ぐ。
 だが、続いた幻惑の剣舞からのアル・シャンパーニュに耐え切れず、霧香が力尽きた。
 もっともリセリアとて、美散の一撃を耐える余裕など無い。
 一方で美散も、まともにぶつかれば一撃も見舞えず打ち倒されると判断していた。
 だからこそ、多角攻撃を仕掛けたリセリアへ迎撃するよう一撃を繰り出したのである。
 強襲攻撃が完璧な形で美散を捉えた直後、美散の刺突が不完全ながらもリセリアへと命中した。
 もっとも、それだけで限界に追い込むだけの破壊力をその一撃は持っていた。

 2人は倒れ……運命の力に拠って、美散が紅槍を支えに立ち上がる。
 それが、戦いの決着だった。


●霧香、美散vs玄弥、セラフィーナ
 最後の戦い、最初に動いたのはセラフィーナだった。
 霧香を抑えるように位置を取り、そのまま流れるような動きで光舞う華麗な刺突を連続で放つ。
 直撃を受け輝きに魅了された霧香は、櫻嵐を振るって風の刃を放つものの斬撃は美散へと直撃した。
 漆黒の闇を生みだし武具へと変換して纏った玄弥へと、美散が距離を詰め突きを放つ。
 オーラを纏った強力な一撃を、玄弥は先を読ませぬ動きで回避した。
 セラフィーナはそのまま霧香と対峙し、彼女が判断力を鈍らせている時間を利用して自身のギアを切り換える。
 霧香は何とか直撃を避け、玄弥へと距離を詰めての攻撃を試みる。
 先の戦いと同じように、集中攻撃が2人の作戦だった。
 今回の目標は玄弥である。
 2人が対峙する間に、玄弥と美散の戦いも加速していた。
 美散に接近戦を仕掛けられた玄弥は物理と神秘の両攻撃で美散を探るように攻撃していく。
 美散からの攻撃は、どこか間伸びしたような読ませぬ動きで、爪を利用し直撃を避けるように防御する。
 簡単には当たらぬと判断した美散は無闇に攻撃せず、再びその動きに意識を集中させた。
 それを妨害するように、自身の動きを読ませぬようにと玄弥は不規則に、不自然な動きで美散を攪乱しようとする。
 オーラを纏った刺突が玄弥を貫き、収束された黒のオーラが美散を直撃した。
 そこへ何とか介入しようと、何とか距離を詰めた霧香が、光を花弁のように舞い散らせ斬撃を仕掛ける。
「玄弥さん!」
 霧香との戦いを優位に進めていたセラフィーナは、そこで玄弥の援護に動いた。
 玄弥への攻撃を狙って、霧香や美散の武器を狙ってその攻撃を逸らそうとする。
 その間に玄弥は、暗黒の瘴気を放って2人を攻撃した。
 攻撃しつつも霧香に向かって動揺を誘うように挑発する。
 効果があるかは分からないが、少しでも冷静さを失わせる為に。
 対して霧香と美散はセラフィーナの妨害に屈さず攻撃を玄弥へと集中させる。
 セラフィーナが援護に回った事で結果として霧香は攻撃に専念できる形になっていた。
 彼女の華麗な斬撃は、時に妨害をすり抜け玄弥へと直撃する。
 輝きに魅了された玄弥の放つ攻撃は漆黒の武具によって更に精度を高められており、セラフィーナですら容易に回避できなかった。
 その状態になっても美散は攻撃を玄弥へ集中させる。
 最初に戦線を離脱したのは、玄弥だった。
 続いて……霧香からの攻撃も受けていた美散が膝をつく。
 残るは一対一、ではあるものの……この状態で、霧香は消耗により攻撃手段の変更を余儀なくされる。
 櫻嵐と東雲が交わされ……勝敗は、決した。
 闇を裂き光を呼ぶ夜明けの刃が、セラフィーナに勝利をもたらしたのである。


●戦の後、そしてその先
「やっぱりソミラの回避力は羨ましいのです」
 互いの健闘を称えつつ、カイはそんな素直な感想をもらした。
 戦いの決着と同時に感謝の声が頭の中に響き、気がつけば傷は癒え全員が元の場所に立っていた。

 今は反省も兼ねての、皆での食事会の最中である。
「……ご飯、美味しい」
 天乃は変わらぬ……それでも何か微かに満足気に感じられる表情で呟きながら、位置取りなどについての感想や意見を口にする。
 アイリとリセリアも、今回の戦いを振り返った。
「こういう経験は貴重だから、しっかり活かさなきゃね」
 予選の最後の対峙等を思い返しながら、霧香がそう口にする。
 フィクサードたちとの戦いとも少々異なる、未知なる経験もあったように思う。
 セラフィーナも自分の感想を話しながら、皆の意見等も聞いてみた。
 何かあれば、積極的に取り入れたい。

 大切な人達を守るために。
「私はもっと強くなりたい」
 それが……彼女の始まりだった。
 誓いは今も、胸にある。

 あの人が守りたかった全てを、護りたいから。



■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
依頼の方、お疲れさまでした。
リベリスタ同士の戦いという事もあり、互いの攻撃や戦法の表現等に注意して執筆させて頂きました。
御参加、ありがとうございました。

それでは、また。
御縁ありましたら、宜しくお願いします。