●命令 手渡された書類には、こう記してあった。 『【命令】貴殿に標的の護衛任務を命ずる。標的は山口 俊平(やまぐち しゅんぺい)、14歳、フィクサードである。標的は数日前に能力に覚醒し、フェイトを得ているが、リベリスタとして世界の安定を望むことはなく、能力を私利私欲のために使用している。今回は標的がE・ゴーレムに接触し、戦闘となるため、彼の護衛を命ずる』 ――フィクサード。世界の安定を望む我らリベリスタと対となる、世界の不安定を望む者達。 リベリスタ同様の能力を持ち、私利私欲のために能力を使う彼らは、リベリスタ達と常に衝突が絶えない。 しかしそんなフィクサードである彼を護衛するとは、いったいどういう事なのだろう。 書類を手渡した『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)の表情は、白けているようでもあり、腑に落ちないようでもあり、とにかくそこからスッキリしない様子だけが伺えた。 イヴはリベリスタ達が、書類の内容をおおよそ把握したところで、ため息をついた上で語り始める。 「……標的と書かれている彼、山口俊平は、お店で買った女の子向けのお人形さんがエリューション化して。エリューションゴーレム、フェーズ2、通称『マペッド』と交戦する事になるわ。彼一人ではマペッドは止められない、マペッドが攻撃に使える手がおおすぎる」 「数が多い? 普通の敵とそんなに違うのか?」 イヴは顔を逸らした。 いつもならこちらの顔を見ながら話すイヴであるが、今回に限ってはなぜか視線を逸らす、その上質問にも応えてくれていない。 「貴方達には発生したエリューションの一掃、マペッドの破壊をお願いするわ。マペッド事態の耐久力はあまり高くないはずだから――」 「なぁ、だから何が違うんだ。どうしてそんな気になる言い方するんだ」 「貴方達の活躍に期待して――」 「おい、なんでごまかそうとする!」 イヴの様子が何やらおかしい。リベリスタ達は詰め寄ってイヴに問い詰めると、ようやくイヴは観念した様子だった。 ただイヴは未だに視線を外したまま、一向にこちらに視線を合わせる様子はないのだが。 「11364」 「うん?」 「11364パターン」 「……何の数?」 「マペッドが大型玩具店で使用できる攻撃手段。総数にして11364種よ」 「……とにかく攻撃手段が多いんだな」 あまり数が多いのでピンと来ないが、イヴが普段通りでないという事は何かしら問題があるのだろう。 イヴはちらりと横目でリベリスタに視線を向け、そんな一同に補足を入れてくれた。 「マペッドはいわゆるポルターガイストを扱うの。お店に並べられていた別の玩具達、子供向けのロボット玩具だったり、プラモデルだったり、それらが全てマペッドの武器となり攻撃手段となる。玩具の兵隊達の大行進、みたいな状態を想像して頂戴。玩具一つ一つが襲ってきても、その力は恐るるに足りないけど、ワッと一斉に飛び掛ってきたら、その質量だけでぺちゃんこにされるかも」 「それは困るな、何か手はないのか?」 「数が多いとはいえ、マペッドは1体だけ。襲ってくる人形達は無視して、マペッドを最優先で排除して。貴方達ならたとえどんなに相手が豊富な攻撃手段を持っていても、其れを披露する間もなく倒せるはず」 「……、そう思うなら、あんな気を揉ませるような態度とらなくてもいいじゃないか」 「……お人形さん達が可哀想だし」 一同は一言「あぁ……」と納得の声をあげ、仕切りなおす。 一度に多くの敵を相手にするような物であるが、人形を操っているエリューションさえ撃破してしまえばいいと分かれば、十分攻略法はあるはずだ。 それがわかってホッとする一同。しかし彼らにはもう一つ、気になることが残っていた。 「そういえば、なんでフィクサードを助けるんだ? というか、フィクサードへの対応は考えなくていいのか?」 「……書類にはフィクサードと書いてあるけど――。彼のやった私利私欲の満たす悪事って、透視能力を使った覗きとか、くじ引きであたりだけ引いていくとか、そんな事よ」 イヴが見せたあの身が入っていない表情は、どうやら標的であるフィクサードに原因があったようだ。 「妹さんのお誕生日にお人形を買ってプレゼントしようとする、いいお兄ちゃんなんだから。できれば自分の手に入れた力を、正しく使ってくれるようになるといいんだけどね――」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:コント | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年10月26日(金)00:23 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●アウェイ リベリスタ達は標的が来店している、大型の玩具屋に来ていた。 夜の駐車場には閉店前という事もあってか、車は片手で数えられるほどしか止まっていない。 フィクサード『山口俊平』を救い、エリューションゴーレム、通称『マペッド』を撃破するという、今回の作戦。 一同は一般人の保護をどうするかと悩んでいたが、幸いにもそれは最低限で済むかと思われた。 『――此方フツ。一般客が二人、店を出る。確認できるか』 『てるてる坊主』焦燥院 フツ(ID:BNE001054)は店内を眺めながら、客の出入りを確認していた。 明らかに場違いで浮いている出で立ちを気にする者もなく、店内は静かだ。 一同はエリューションの覚醒までの間に、できるだけ店内の状況を把握しようと、連絡を取り合っていた。 目標である山口俊平以外の客がいた場合、彼らを巻き込まないよう、迅速に避難させる必要がある。 そのために店内にいる一般人の数を把握し、退避先を確保することは、後の事を考えれば必要不可欠であった。 二人の客が外へ出る。光まばゆい玩具の国よりのご帰還だ。 『此方、烏。客が二人、車で帰っていった。おじさんが確認した限りじゃ、もう車は店員の分しか残ってないと思うがね』 『足らずの』晦 烏(ID:BNE002858)は煙草に火をつけ、観察をつづける。赤い点が暗い車内に灯る。 『ちょっとアナタ、もしかして自分だけ吸ってるの? はぁ、店内は禁煙だし……、私も外で待機すればよかったわ』 煙を吐く音が通信に紛れ込んでいた。それを聞いて『重金属姫』雲野 杏(ID:BNE000582)は愚痴をこぼす。 彼女の格好は刺激が強いため、標的に見られると注意が彼女に向く危険性がある。 そのため彼女はレジから離れた位置で待機しており、店内の様子を観察していた。 回りにはちらほらと店員などもいたが、幻視によって彼らに見られる心配はない。 ただそんな能力があっても、同じ能力者である俊平にはその姿が見えてしまうため、リベリスタ達の多くは標的の視界に入らない位置で監視を続けていた。 そんな時、一般人の退避先を探していた『リング・ア・ベル』ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(ID:BNE003829)から連絡が入る。 『同志達……、少しマズイ事になったぞ……』 『どうした、なにがあった?』 『私は今、入り口から反時計回りに店内を見て、ちょうど入り口の反対側、店の一番奥まで来ている。そこで搬入口を兼ねた控え室を見つけた、だが……』 『なんだ、いったいなにがあったんだ?』 『扉の先には山積みのダンボール。中身は全て、玩具の類、だろうな……』 搬入口を兼ねた控え室は、どうやら倉庫まで兼ねているらしい。 広い店内を確保するための苦肉の策か、どちらにせよリベリスタ達にとって、あまり良い状態ではない。 そんな状況を好転させる時間も与えず、状況は動き出す。 入口付近で待機し俊平を監視していた『薄明』東雲 未明(ID:BNE000340)から連絡が入った。 『山口が人形をもってレジに近づいてるわ。レジ側は私と夏栖斗に風斗の3人でフォローするから、みんなは安全の確保をお願いするわね』 閉店間際である事を告げる、物悲しいトロイメライの調べ。 その音楽を合図にしたように、未明もまたレジへと向かう。 ●箱入り娘 俊平がレジへ向かう中、付かず離れずの距離にて二人のリベリスタが待機していた。 『覇界闘士-アンブレイカブル-』御厨・夏栖斗(ID:BNE000004)。 『折れぬ剣《デュランダル》』楠神 風斗(ID:BNE001434)。 両者は商品棚を見るふりをしつつ、すぐに飛び出せるよう、俊平の様子を伺う。 「オレはこのプラモをもって標的の後ろに並ぶ。あんたはどうする?」 「近くにいないと俊平を守れないからな。僕は俊平を、風斗はマペッドを頼む」 二人は俊平の背後に付け、レジまでやってきた。 バーコードリーダーが人形のタグを読み取る。――例のエリューション・ゴーレムだ。 『キセカエ ロース゛マリー \4680』 慎ましくお嬢様めいた出で立ちの人形である。箱は前面が透明になっており、文字通りの箱入り娘がそこに在る。 上品なブロンドに青い瞳、赤と白の着せ替えドレス。大人が飾っていても不思議ではない精巧な作りだ。 人形について素人であろう山口俊平が、思わず手にとってしまったことも納得できる。 もうすぐだ。 一触即発、二人は息を呑む。いつ敵が動くのか、ひたすらに注視する。 「あの、プレゼント包装ってできますか?」 「はい、どのようにいたしますか?」 「妹の誕生日なんで、誕生日プレゼントっぽい感じでお願いします」 「かしこまりました」 店員が赤いリボンを取り出すと、こなれた手つきで飾りつけてゆく。プレゼントの出来上がりだ。 その出来上がりを見て、俊平は何を想像したのか、思わずニヤけてしまっている。わかりやすい奴だ。 釣られて人形もほほえんでいる。 ――そんなことがあっていいはずがないのに。 『エリューション・ゴーレム フェーズ2:マペッド』 リボンでささやかに彩られた箱が開き、レジ脇に備え付けられたケースから、無数のリボンが宙へと登る。 虹色七色を背景にして、箱入り娘、マペッドは華麗に舞う。 箱から飛び出したマペッドは、ふわりと宙で静止すると、俊平に微笑みかけた。 『オハヨウ御座イマス』 小鳥がさえずるような心地の良い声。 「お、おはよう」 俊平はその声を聞くと、なぜだか返事を返さずにはいられなくなった。 『貴方ガ私ノゴ主人様?』 「そう……、だよ」 『ゴ主人様、私ト一緒ニ遊ビマセンカ? キット楽シイデスヨ』 「そうダネ、きっとタノシイ……」 とっさに夏栖斗は俊平を庇い、耳を塞いだ。 「しっかりしろ! 人形の声に耳を傾けるな!」 ぼうっとしていた俊平の目に光が戻る。はっと我に返ると、俊平はようやく異変が起こっていることに気がついた。 目前で人形が浮いているではないか。 「なっ、なに?!」 「下がってろ、危ないからな」 風斗は俊平とマペッドの間に割り入る。デュランダルがその輝きを増す中、風斗はマペッド目掛け跳躍した。 逃げる間も与えずメガクラッシュを叩きこむ。 が、マペッドは付近の玩具をかき集めて壁を作り、その一撃を耐え凌ぐ。 「防がれた? いや、これでいい!!」 風斗はデュランダルを力いっぱい振りぬく。 玩具の壁はバラバラに砕け、背後からマペッドが飛び出した。 銃声。魔弾がマペッドを穿たんとする。 「片付けなんざ面倒でなぁ! 悪いがさっさと片付けさせてもらうぜ」 そこにはショットガン『二四式・改』を構えた烏の姿があった。 『ドウシテ』 烏が次弾の狙いを定めようとする。しかしマペッドは棚を盾にし、店の奥へと逃げていく。 追撃せねば。 その時だ。一斉に、陳列棚に並べられた玩具達が、まるで雪崩のように棚から這い出してきた。 『11364パターン』 イヴの言葉が脳裏を過る。彼女はやはり冗談を言わないらしい。 優先すべきは人命だ。店員や俊平の保護を考えると、追撃は後回しにせざるを得なかった。 応戦する夏栖斗と風斗の元へ、未明と烏が合流する。 「どうなってるの状況は?」 「目標はこのとおり無事保護した! マペッドには店の奥へ逃げ込まれたがな」 「俊平や店の人は僕がなんとかするから、玩具の相手は任せる!」 「えっ?! なんで俺の名前を……?」 「話は後だ山口少年、くるぞっ!」 ポルターガイストによって操られた玩具達が、縦横無尽に行軍する。 玩具といっても千差万別だ。ぬいぐるみのような脅威になりそうもない賑やかしもあれば、三輪車のように硬く質量のある危険な物も飛び交っている。 どんなものであれ一定の質量と速度があれば、十分脅威になりえる。 まして一般人ならば、野球ボール一つでも大怪我に繋がりかねない。それが店内で1万を超えてひしめいているのだ。 一同は一般人の避難を開始した。 ●形勢逆転 一方、マペットが逃げた先では、すでにリベリスタ達との戦いが始まっていた。 杏は魔陣展開を使い、力を高めたチェインライトニングで敵を薙ぐ。 『chalybs』神城・涼(ID:BNE001343)は、それでも焼き切れずに突撃してくる玩具を退けていた。 「ちょっと、なんでアタシ達しかこの場にいないわけ?」 「ベルガとフツは一般人の避難中! 思った以上に店内広いし。これは……もう少しかかるんじゃね?」 「じゃね? じゃないわよ! 大して強くもないクセに数だけは多くて……、全く面倒だわ」 玩具の兵隊が列を成す。二人に反撃のいとまも与えぬ勢いだ。 「結界縛!」 隊列が乱れる。陰陽・結界縛によって玩具達の動きを封じたのは、避難誘導でその場を離れていたフツであった。 「フツじゃないか! 客はもういいのか?」 「バックヤードで守るつもりがそうもいかなくなったからな、店の外に避難させた! とにかく今はコイツの相手だ!」 「ごもっとも!」 涼のソードエアリアルがマペッドを襲う。だがその刃は紙一重でドレスを掠め、布地を裂いただけであった。 「くっ、小さい上にすばしっこいな」 『何デコンナ酷イコトスルノ?』 涼目掛けて玩具が襲いかかる。中には鉄製の自転車なども紛れており、プラスチックとは比べ物にならない殺傷性だ。 とっさに涼は身を翻す。衝突と共に飛び散る破片。 「か、間一髪……」 涼は無事だ。無数の突起が突き出す残骸の中、器用に身体を反らして致命傷は避けていた。 脇腹に血が滲む。ズキリと痛みもしたが、脚を怪我するよりマシというものだ。 「おい! 大丈夫か!」 玩具の包囲網を突破して、その場にベルガとレジ側で戦っていたリベリスタ達が駆けつけた。 全員かすり傷程度はあるようだが、大きな傷、怪我は無いらしい。 「そっちの客はどうした?」 「店員も含めて一般人は全員外に逃した! 俊平は放っておくと襲われかねないし連れてきたけど」 夏栖斗のすぐ側には俊平の姿があった。幸い怪我もないらしい。 マペッドが再び商品棚の裏に逃げ込む。一同はそれを追う。 「な、なんだこれ……?」 玩具達が元の棚に戻っている。 まるで教室に先生が入ってきた時のような静けさだ。今までの慌ただしさが嘘のようである。 壊れた玩具は投げ散らかしたままという様子を見ると、急いで席についたのだと一目瞭然だが。 不気味だ。 一同は通路に入る。玩具は動き出す気配がない。 警戒しつつも、一同はマペッドの捜索を始めた。 静けさによる緊張。俊平はそれに耐えられないのかそわそわしている。 その様子にベルガが気づき視線を向けると、俊平は恐る恐る口を開いた。 「な、なぁ。アンタ達ってその、なんなんだ? 敵じゃないのはわかったけど……」 「なんだ? まだ誰も説明してなかったのか。私達は……、そうだな。君と同じ能力者で、良いモンで、リベリスタだ」 「りべりすた……?」 ベルガが簡略にリベリスタやアークの説明をしていると、未明がひと通りあたりを見て戻ってきた。 「ダメだわ。元々市販品のお人形さんだから、動いてないと他と見分けがつかないわ」 一同が頭を悩ませる中、夏栖斗が何か閃いたのか俊平の方を見る。 「俊平! 本体! 本体何処にあるか教えてくれ。透視できるんだろ? 君だけがわかる力だ! 助けてよ!」 「ねぇ、あんたなら見えるんじゃない? あの人形が何処にいるのか」 「そうだけど、ってかなんでその事を知って……。どのみちおんなじ人形ばっかりじゃ、どれが本物かまでは……」 夏栖斗と未明の呼びかけに、俊平は返事を濁す。 それを聞いていた涼は、何かに気づいたのか声を上げた。 「そうだ……、服だ」 「服?」 「あぁ、さっきの攻撃で、人形の服が破けたんだよ」 「つまりドレスが破けてる人形を探せば……!」 それを聞いて俊平は透視を行おうとするが、その体はわずかに震えている。 杏はその様子を見ると、俊平に檄を飛ばす。 「山口俊平! 貴方の力が鍵よ。このままだと貴方はゲスな小物フィクサードとしてあたしたちが処分しなくちゃならないわ。その力をよからぬこと以外で使用できることを証明して見せなさい! あの人形を見つけ出すのよ!」 「えっ、でも」 「代わりの人形ならアークの名にかけて、そっくり同じものを見つけてあげるから! 早く!」 「はっ、はい!」 ●小さな勇気 俊平の右目が金色を帯びていく。 あたりを注意深く観察し、ある一点に視線を集中させる。 「いた! あの中だ!」 俊平は一点を指し示す。それはガラクタの山だった。 「そういうことか!」 最初に動いたのはベルガであった。彼女が疾走する中、マペッドが観念して姿を現す。 『意地悪スル人、キライ!』 玩具達が再び動きだす。ベルガの行く手を阻み、遮る。 ベルガは仲間達が追走してくるのを見ると、前方にフラッシュバンを投げ込んだ。 「同志達よ! いけ!!」 同志達が敵を踏み越えていく。 第二波が迫る。フツは再び陰陽・結界縛によって敵を縫い止めるが、玩具の数は一人では抑えきれないほどであった。 結界縛を潜り抜けてきた敵を、未明の残影剣が切り捨てる。 「後は頼んだぞ!」 「お膳立てはしてあげたんだから、仕留めなさいよ」 ついに涼と夏栖斗がマペッドを捉えた。 涼のソードエアリアルが再びマペッドを襲う。ブロンドの髪がはらりと舞う。『髪』一重だ。 涼の口元が思わずニヤけた。 マペッドが飛び上がった先には、夏栖斗が待ち伏せていたのだ。 「これでフィニッシュ!」 虚空がマペッドを貫く。 マペッドの胴と首が泣き別れになり、地に落ちる。 地に伏したマペット、涼は黒耀ノ翼の切っ先を向け。 『ドウシテ……? タダ――遊ビタカッタダケナノニ……』 「遊ぶにしても、おいたが過ぎたぜ、お嬢さん」 その刃を突き立てた――。 ●夜も明けぬ内に ――戦いが終わり、一同が清掃活動に勤しむ中、俊平は風斗、夏栖斗両名からお叱りを受けていた。 「――というわけだ。よい妹さんなのだろう? 失望されるようなことはするなよ」 「君の力はさ、ヒーローになるための力だ。妹守ってカッコイイ兄ちゃんになって、妹もっと笑顔にしようぜ!」 「わ、わかったよ。能力を悪い事に使うのはもうやめる。こんなことになったのは、きっと俺が悪いことしたバチが当たったんだろうしさ、それに――」 俊平は一同を見る。店員と話をしている坊さんや、後からやってきた物々しい人達に指示を出すおじさん。 清掃活動中の面々や、目の前の二人を。 「なんかリベリスタの方が、カッコよさそうだしな!」 俊平がニヤけてみせる。夏栖斗は俊平を軽く小突き、笑ってみせた。 「じゃあ、帰ろうぜ」 今宵もまた、リベリスタ達の戦いは人知れず幕を閉じた。 プレゼントが台無しになってしまい慌てだす俊平に、烏は妹さんへと、同じ人形を手渡したという。 店内の惨事に呆然とする店員に、フツは何やら救いの手を差し伸べていたようであった。 人騒がせなエリューション騒動の最中、一人のフィクサードは気持ちを新たにし。 愛する家族、妹の元へと帰っていく。 少年のささやかな幸せを守ったリベリスタ達は、未来の後輩に別れを告げ。 自らもまた、帰るべき場所へと帰っていくのだった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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