●被害者の証言 「なあ、俺昨日あそこの公園のトイレで尻撫でられたんだけど」 とある、春と言うには暑すぎる日。男子学生による突然の告白に、同じく男子学生である友人はぱちくりと目を丸くした。 「何それ、不審者? 狙われたん?」 「いや、それが……振り返っても誰も居なかったんだよね。でも確かにあれは誰かの手の感触だった! 間違いねぇ!」 その感触を思い出したのか顔を青くする告白者に、友人が小首を傾げる。 「え、じゃあ怪奇現象? 妖怪?」 「かも知れねぇ……まあそれ以外は特に何も無かったんだけど」 「じゃあ、そんなに気にする事無いじゃん?」 友人のつれない言葉に、告白者の男子学生はくわっと目を見開いた。 「そりゃそうだが、何かスゲー怪しいじゃん! いきなり尻撫でられるとか嫌じゃん!」 「ていうかやっぱそれお前の勘違いなんじゃね? そういうのよくあるしお前」 「ぐぬっ、ぐぬぬ……」 彼等の行く道に隣接する公園では、小さな子供達とその母親達が日差しの下歓声をあげている。それを横目に見ながら、男子学生二人はゆるゆると歩を進めた。 「そういや、何であそこのトイレに行った訳? お前んちこっからそんなに離れてないじゃん」 「ちょっと腹の調子がクライマックス迎えそうでさ。頑張ろうと思えば頑張れなくも無いかなって感じだったけど、安全策を取った。我ながら英断だったぜ」 「あー。そういう時は行っておくべきだよな。賭けに失敗した時の代償大きすぎだしな」 二人して、真面目な顔でうんうんと頷く。その後も他愛のない会話を交わしながら、彼等はその場を後にした。 ●尻撫で妖怪を退治せよ 「という訳で、今回お願いしたいのはお尻を撫でる妖怪――じゃなくて、エリューション・フォースの退治」 渋い顔のリベリスタ達を前に、『リンク・カレイド』真白イヴ(ID:nBNE000001)は何時もと変わらぬ声色で告げた。 「出没場所は、住宅街にある公衆トイレの個室。エリューション・フォースの数は、男性用に一体、女性用に一体。そして、出没のトリガーとなるのは、そこに設置されている和式便器にまたがる事」 その言葉に、リベリスタ達の顔色が変わる。 「――ちょっと待て、それってつまり」 「脱がなくても大丈夫。履いたまままたがるだけでも奴は現れるわ」 待っていたとばかりにイヴが即答する。その場に居る殆どのリベリスタ達が、ほっと胸を撫で下ろした。 「但し、難易度は上がるけど」 「難易度?」 「エリューション・フォースを倒すには、まず撫でる為に姿を現したそれを掴むなりして戦場に引きずり出さなきゃいけないの。ただでさえ反応速度が速いんだけど、履いたままと判断したらすぐに引っ込むわ。なかなか捕まえられないかも知れないわね」 ああ、そういう。リベリスタ達の表情は、一様にそう言わんばかりのものであった。それを察したのか、イヴはこほんと咳払いをしてみせた。 「エリューション・フォースのフェーズは1。とてもすばしっこい以外は力も弱く、今のところ被害といってもお尻を撫でる事しかしていないみたい。けれど、放っておけばその被害を受ける人が増えるかも知れないわ」 それでも、リベリスタ達の表情は冴えない。その心境を察したのか、イヴは同情の笑みを微かに滲ませながら彼等を見渡した。 「いろいろと大変かも知れないけれど――本当に、いろいろと大変かも知れないけれど、周辺に住む人達の為にも、お願い出来ないかしら?」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:高峰ユズハ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年06月17日(金)22:40 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●妖怪尻撫での住む便所 夜闇に沈む公園。蛍光灯の光がほのかに漏れ出る公衆便所を前に、リベリスタ達は揃って佇んでいた。 これより行われる、自らの尻を餌にエリューション・フォース――通称『手』を釣り上げる作戦を前に、彼等の間には微妙な空気が流れていた。 「……男女問わず尻触るとか、どんな思念体が形になったんだよ」 『残念イケメンヴァンパイア』御厨・夏栖斗(BNE000004)の言葉に答える者はない。彼等にこの依頼を振ったマジエンジェルも、その問いにはただ首を横に振るだけだったのだ。 「場所もそうですが、何故こういうものが現れるのやら、不思議ですね」 「エリューションになってまでお尻を撫でたいとは、余程お尻に執着が有ったのかのう。人を驚かせたいだけじゃったら、ちとやり方が悪趣味じゃな」 『追憶の蜃気楼』神無月・優花(BNE000520)の呟きに、『有翼の暗殺者』アルカナ・ネーティア(BNE001393)が頷く。その様子に、『ゼログラヴィティ』星川・天乃(BNE000016)は考えを巡らせた。 (……痴漢の思念、って事はありそう?) その脳裏に、以前にこなした任務が浮かぶ。 (覗き魔の執念、が出てきた事、もあったし……) スカートの中身を覗いていた男の執念が半実体化したエリューション・フォースの退治。そんな任務が実際にあった事を思えば、彼女の推測もそう遠いものではないだろう。 彼女の横では、『食欲&お昼寝魔人』テテロ ミ-ノ(BNE000011)が身を縮こまらせている。 (トイレちぅに伸びてくる白い手……夏にお友達と怪談話したのとおなじなの~。まさか本当にあるとは思わなかったの~) 『手』の被害者による話なのか、また別の存在によるものなのか。それを確かめる術は無いが、しかし彼女の胸にある思いは変わらない。 (お仕事だから怖いけど……さわさわしてくるようなえっちなえりゅーしょんにはお仕置きなの~) そして、と夏栖斗と『狡猾リコリス』霧島 俊介(BNE000082)へと瞳を向ける。 (えりゅーしょんのえっちさも駄目だけど、男子ふたりも行動次第では別の意味でお仕置きが必要なのっ) その視線をよそに、俊介はぐっと拳を握った。 「男子はともかく、女子のケツ触るとかマジいけませんな! ……ていうかむしろ俺が触りたいくらいですし!! マジ変われ俺と!」 本音がポロリした彼へと、全方位から冷えた視線が突き刺さる。 「あ、いや、違ッ! ま、まあ姉ちゃんのお尻は俺が護る! フハハハン!」 『蜥蜴の嫁』アナスタシア・カシミィル(BNE000102)に向けてポーズを決めると同時に、ぶしゃあと鼻血が噴出する。それに若干引きながらも、アナスタシアは恐怖が少し和らぐのを感じた。 (相手はオバケみたいでちょっと怖いけど……この拳が届くなら、殴ってる間に実体のあるモノだ、って納得してコワくなくなるかもだしねぃ!) 「まあ……果てしなくどうしようもないし、馬鹿馬鹿しいにも程がある話だけれど――ここまでの執着はいっそ見事、なのかしら」 公衆便所を見つめながら、アニス・シード(BNE002507)は口元に笑みを滲ませた。 「まあ良いわ、付き合ってあげるわよ。ちょっと面白そうだし、ね」 彼女が歩み出すと同時に、他の者も動き出す。男女でチームに分かれると、彼等はそれぞれに公衆便所に入った。 ●レッツさわられタイム 強結界が張られたのを確認し、公衆便所に足を踏み入れる。床を踏みしめると、じゃりと砂の音がした。 それなりに清掃されているという情報はあったが、それなりはそれなりである。天井の蛍光灯には小さな虫が纏わりつき、淀んだ空気には鼻につく臭いが混じっている。その光景に、アニスは思わず眉を寄せた。 (これが……初依頼の現場……) ここまで来たのは自らの意志とは言え、ほんの少しだけ後悔する彼女であった。 そんな彼女の服の端を掴みながら、アナスタシアは辺りに視線を振った。 「な、何か肝試しに行くみたいでソワソワするよぅ……」 確かに、風情としては似ているだろう。ただ多くの肝試しと違うのは、『妖怪』が実在する点だ。 「さて、ささっととっ捕まえてささっと倒してやるとするかのぅ。こんなところに長居はしとうないしな」 アルカナの溜息に皆が頷くと、彼女達は早速捕獲作戦に乗り出した。 命中の性能が高い者から順に挑戦する。その作戦に沿って、まず天乃が個室へと入った。 (ええと、ミーノはみんなが終わるまで待機してなきゃ……) そう考えたテテロの視線が、一点に釘付けになった。 (はわわわわっ!?) 視線の先にあるのは、扉も閉めずに和式便器にまたがろうとする天乃の姿だった。 「と、扉開いたままなの~」 「補助役、の、優花が、動きやすくする為、よ」 どうやら、天乃の後ろに待機する優花が、万一の際に捕獲を補助するらしい。納得した様なしていない様な表情のテテロから男子便所側へと、天乃は視線を移した。 「……いく、よ」 声を掛け、ゆっくりと腰を下ろす。ふわりと揺れたスカートの奥が微かに見えて、女子達は思わず息を呑んだ。 「だ、大胆じゃのう……」 アルカナが頬を紅潮させる。何故なら、天乃ははいていなかったからである。 「天乃さんも、ですか」 優花の告白に、天乃以外の全員の視線が向いた。 しかしその動揺はすぐに消えた。天乃の後方に、情報通りの『手』が生える様に姿を現したからだ。 「――出ました!」 「わ、わ、わぁぁぁっ!! ホントに出たぁっ!」 アナスタシアと優花が声を漏らしたのと、天乃が気糸を走らせたのはほぼ同時であった。糸は『手』を捕らえたかの様に見えたが、『手』は僅かな隙を縫って再び床へと潜ってしまった。 「…………、残念」 彼女の鮮やかな動きを上回る『手』のスピードに、天乃は小さく呟いた。 一方その頃。男子便所の夏栖斗と俊介は、鼻に詰め物をしたまま悶えていた。 捕獲作業に入る前に、女子達の会話を盗み聞くべく揃って女子便所側の壁に耳を付けた二人。○○さんのパンツカワイイーとかそんなキャッキャウフフな会話を予想していた彼等の耳に入ったのは、それ以上の衝撃だった。 「はいてない……だと……」 「しかも、複数人……」 まさかのノーガード戦法である。それを認識した彼等は、はっと目を見開いた。 「つまりだ……さっきここの前で集合した時も……」 「この後戦闘する時もだな……」 ぶっ、と俊介の鼻から詰め物が飛び出す。新たに鼻に詰め物を捻じ込むと、二人は何処か清々しさを感じる笑みを浮かべてすっくと立ち上がった。 「んじゃま、手を捕まえた方がイケメンな」 笑みを貼り付けたまま、夏栖斗は先に個室へと入った。扉を閉め、和式便器にまたがって立つ。 (一気に決着をつける!) 集中状態に入りながら、彼はズボンを履いたまま腰を下ろした。自らの足と足の間から後方をじっと見つめる。やがて白い『手』の出現に気付いた彼は、その体勢のまま手を伸ばした。 その瞬間、『手』は背を逸らす様にして倒れ、床に溶けた。 「早いな……!」 苦笑いが滲ませて、彼は個室を出た。 続いて俊介が個室に入ったが、彼もまた『手』を捕らえるには至らなかった。二回目の夏栖斗も失敗。その後も二人は幾度かの失敗を重ねた。 芳しくない結果に、二人の心に徒労感が滲み始める。何時まで続くんだろうか――重苦しい空気が、彼等を包んだ。 女子側でも、苦戦が続いていた。触られながらも捕らえられず、微妙な表情で個室から出てくる仲間達の表情に、出番を迎えたアニスは一抹の不安を感じていた。 (それでも、やるしかないわね) そう決意して、いざ個室へと入る。しかし、彼女はそこで固まった。 (そういえば、私和式便k……トイレの使い方を知らないわ) 彼女いわく、美少女は排泄しないから、らしい。 とりあえず、床に尻を付けて使うものではない事は感覚的に分かる。またがるものである事も、依頼の内容から分かる。しかし、一体どっちを向いてまたげば良いのか―― 悩んだ結果、彼女は洋式便器と同じ方向にまたぐ事にした。 下着を脱いで、腰を下ろす。やってみて、この体勢は案外脚力を使う事に気付いた。毎回これは大変ね、などと妙に感心しているところに、『手』は現れた。 ――彼女の眼の前に。 「!?」 まさかの事態に、彼女も『手』も驚いた。慌てて手を伸ばすアニスであったが、『手』はそれよりも早く姿を消してしまった。 (逆、だったのね……) かっと身体が火照るのを感じながら、アニスは個室を出た。 その後も女子達は失敗を重ねた。彼女達の間にも、次第に徒労感が漂い始めていた。 永遠に続くとも思えたこの作業。しかし、幕切れはどちらにもやってきた。 (今度こそ……今度こそ捕まえてみせる!) 個室に入った俊介は、萎えそうになる気を奮い立たせながら和式便器にまたがり腰を下ろした。そこに『手』が現れる。俊介はそれを読み切り、大きく身を捩じった。 「もう逃がさねぇー!」 鬼気迫る表情で筆舌しがたい体勢になりながらも襲い掛かる彼に、『手』の反応が僅かに遅れた。そして―― 「やっほふははへはほ」 きぃ、と扉を開き、その先に待つ夏栖斗へと誇らしげな視線を向ける。夏栖斗は唖然とした表情で彼を出迎えた。 『吸血』により『手』を口に咥えたままの俊介。その下半身は、脱いだままだったのだ。 「…………」 一瞬、思考が停止する。やがて気を取り戻した夏栖斗は俊介へと捲し立てた。 「お前、ヴァンパイアの名前落とすような事すんなよってかきったねえ! ってかいいからパンツはけ! ぱんつ!」 騒ぐ夏栖斗の前で、俊介は冷静な表情で下着とズボンを履いた。そして『手』を片手に握り締める。空いた手で、彼はびしりと夏栖斗を指差した。 「良いか、お前は何も見なかった。良いな?」 (……なんで僕こんな目にあってんの?) 有無を言わせぬ表情に、夏栖斗はちょっぴり泣きたい気分になった。 男子便所から捕獲成功の声が上がったのは、アナスタシアが個室に入ったまさにその時だった。 扉の向こうに居る仲間達がざわめき、何人かが外に出ていく靴音が聞こえる。アナスタシア自身も飛び出したい気持ちに駆られたが、しかし女子便所に潜む『手』も捕獲しなければならない。逡巡の結果、彼女は作戦に従って捕獲を試みる道をとった。 (何度目でも怖い……けど、頑張るしかないよねぃ。その為に今日ははいてないんだし……) 膝が笑うのを何とか抑えつつ和式便器にまたがる。深く深呼吸してから、腰を下ろした。 (真後ろとかやっぱりコワッ……!? ううぁ、早く済ませなきゃっ……!) 彼女のそんな気持ちに応えるかの様に、『手』はあまり間を置かず現れた。 「わわわ――――っ!」 半ば悲鳴の様な声を上げながら、アナスタシアは『手』へと手袋をはめた手を伸ばした。無我夢中のその行動がピタリと止まったのは、その手に掴んだ感覚があったからだ。 「わぁっ、わぁっ、わぁっ」 言葉にならない声と共に、個室を飛び出す。そんな彼女とその手に握られた『手』に、他の者達が目を剥いた。 「と、取りあえず外に出るの~っ!」 テテロに言われるがまま、アナスタシアが全力で駆ける。それを追って、リベリスタ達は公衆便所を飛び出した。 ●おしおきの時間 「さあて、覚悟は出来ておるのかのう?」 そう告げるアルカナを前に、『手』達は身体を丸め中指を人差し指の背に擦り付けた。照れている様に見えなくもないが、その場にそう見る者は居なかった。 スキルを活用し、二体を拘束するべく動き始めたリベリスタ達であったが、『手』は持ち前のすばしっこさでそれをいなした。 テテロははらはらしながらそれ見つめていた。女子の大半がのーぱんつのまま戦っているからだ。 「はわっ、そんなに動いたら見えちゃうのっ、だめなの~~~~っ!!」 そう忠告するテテロであったが、それで動きを緩める彼女達ではない。逆に、夏栖斗と俊介を刺激する結果となっていた。 (はいてないままだと……) (くそっ、羨ましいぜ、くそっ) 歯軋りしながら、二人が『手』へと攻撃を仕掛ける。それはそれぞれに『手』を捕らえたが、やはりその動きを拘束するには至らなかった。 片方の『手』は、器用に指で着地すると凄まじい勢いで優花の背後へと回った。 「――――っ」 回避よりも先に、スカートがめくれ上がる。気付いた時には、片方の『手』が彼女の尻をさわさわしていた。 「あっ……!」 強すぎず、弱すぎず、柔軟なタッチ――羞恥にそれなりに耐性のある優花であったが、その見事な揉みしだき術に思わず顔を紅潮させた。 至福にも程がある光景。しかしそれを、テテロの身が遮った。 「見せられないの~~っ!」 渾身のジャンプは、まるでモザイクの様に優花の大事な部分を覆った。その向こう側で、ようやく気を取り戻した優花は『手』へと気糸を放った。それに動きを拘束され、『手』はびちびちと身を跳ねさせた。 一方で、もう片方の『手』はアルカナを狙っていた。 (まあ、別に触られても気にはならんがのぅ。気に入らんが) そう考え、冷静を保とうとする彼女であったが、それでも二度三度となれば気にはなってくる。翼で飛翔してみたりもしたが、やがて彼女はプツンと来た。 またしても狙おうとする『手』に、彼女は吠えた。 「……限界、限界じゃ、もう怒ったのじゃー!」 それに、びくりと身を震わせる『手』。その身を、アルカナが気糸で縛りあげた。 「ば、ばっちいのはしねなのじゃー!」 彼女の剣幕に、『手』はびくびくと身を震わせた。 捕らわれた『手』達へとリベリスタ達の攻撃が降り注ぐ。すばしっこさを封じられた『手』達に、それを耐えきれるだけの力は無い。何度か『手』達が拘束を逃れる事もあったが、『手』達の力が潰えるまでそう長い時間は掛からなかった。 ●終幕 「公園のおといれは『手』がでてきそうだからはいりたくないの~……」 戦いが終わり、静けさを取り戻した公園。ほっと胸を撫で下ろしながらも、テテロは未だ不安げな顔をしていた。 「……変態、は死ねばいいと、思う」 「同意じゃ」 彼女を見つめつつ、天乃とアルカナはそう言いきった。 「とりあえず、手が洗いたいわ」 「周囲も荒れていませんし、とっとと撤収しましょう」 手をひらひらと振りながら言うアニスに、優花がこくこくと頷いた。 足早に公園を出ようとする女子達の後ろを、男子二人はのろのろと追った。 「恐ろしい……本当に恐ろしい戦いだったぜ」 「ああ、俺達は血を流しすぎた……」 鼻に詰め物をしたままの二人を、アナスタシアは無言で見つめた。 (なんかいろいろと心配だよぅ……) そんな彼女の心配をよそに、男子二人は何処か晴れ晴れとした顔で公園を出た。その姿を、公衆便所は静かに見送った。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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