下記よりログインしてください。
ログインID(メールアドレス)

パスワード
















リンクについて
二次創作/画像・文章の
二次使用について
BNE利用規約
課金利用規約
お問い合わせ

ツイッターでも情報公開中です。
follow Chocolop_PBW at http://twitter.com






<世界を飲み干す者>変異狂戦士ビッグ・ロック・バイデン

●空に穴が開く日
 あなたは荒野を駆けていた。
 ラ・ル・カーナの荒野だ。
 ある時を境に戦士種族バイデンを初めとする様々な怪物を生み続けた完全世界ラ・ル・カーナ。しかし今やかつての面影は殆ど残っていなかった。
 空より除く巨大な眼。
 変異した世界樹。
 空と大地は割け、生命は狂乱を始めている。
 恐ろしく変容した世界を、あなたは駆けていた。

 ――誰かの話を思い出す。
 R-typeを知っているか? あの厄介なバケモンのことだ。ラ・ル・カーナの世界樹はアイツのせいでおかしくなっちまったんだ。
 世界樹と言えばこの世界の中心みたいなもんだ。コイツがぶっ壊れた今となっては、もうどうしようもない。
 元々闘争嫌いのフュリエだって、森が枯れれば穏やかな顔もしていられないだろうさ。そうでなくても住んでる土地が世界ごとぶっ壊れれば、どのみち最後は一緒だろう。
 そりゃあ、大変な顔をしていたもんさ。

 ――激しい地響きを感じて足を止める。
 でも手が無いわけじゃない。アークラボが研究してた忘却の石にあるリセット効果が利用できるかもしれないんだ。
 高純度の石、世界樹、そして樹とのリンク能力をもつシェルン。これらを合わせればこの世界に食い込んだR-typeの残滓だけを消せるかもしれないという話だ。
 まあ、世界ほっぽり投げて逃げてもよかったんだが。あの時村さんのことだ、R-typeをどうにかしたくてしょうがないんだろうよ。

 ――相当な高高度から何かが飛来する。巨大な人型の物体だ。
 そういうわけで、フュリエは連合軍を作って異形の世界樹へ突入する。
 また異形化してないバイデンも祭りの調子で異形連中に殴りかかるとも言われてる。
 それでお前はどうするんだ。
 世界樹へ行くのかい?

 ――全身が岩に覆われた巨大な化物だ。あなたはこれを知っていた。
 世界樹に行くなら気を付けた方が良い。
 リンクするにも世界樹内部までフュリエを届けなきゃならないし、何よりあの辺は異形の軍勢だらけだそうだ。
 どんな奴がいるかは知らないが……もしかしたらアイツもいるかもしれないぜ。
 そうだよ、デカい猿型巨獣に乗ったバイデン達だ。
 何て言ったかな、名前は……。

「ビッグロック……」
『戦士か』
 あなたの呟きを聞いて、化物は洞のような目を光らせた。
「お前、バイデンなのか……?」
『戦士よ……どうかかまってくれ。足りないのだ。渇きが、酷い』
 化物は呻くように呟き、頭を押さえた。
 巨獣と見紛ったが、どうやら彼はあのバイデンであるらしい。
 だがもう、言葉の通じる相手ですら無くなってしまったようだ。
『破壊が、足りない』
 巨体からは想像もつかぬほどのスピードで拳を叩き込んでくる。
 大地が弾け、土砂が飛ぶ。
 音を聞きつけてか、数体の変異バイデンが降下、次々と着地する。
 どうやら、あなたは彼らを殺さねばならないらしい。
 激しい地響きの中、あなたは戦いの中へと巻き込まれていく。
 それが運命であるかのように。



■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 9人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年10月10日(水)23:32
●状況
 フュリエ連合軍と共に族長シェルンを世界樹の中枢まで送り込む作戦が展開されており、当依頼は露払いに当たります。
 周囲ではフュリエ連合軍や飛び入り参加したバイデン(変異体を相手にしている)などが戦闘を繰り広げています。特にコントロールは効きませんが、たまにこちらに影響を出してくるでしょう。
 ただし、戦力的にも運命的にもあなたがビッグロックバイデンを倒さねばなりません。

●敵
 変異体ビッグロックバイデン×2
 強変異体ビッグロックバイデンメテオ×1
 中ボスクラス2体と強力な変異体1体という構成です。
 身の丈3mをゆうに超える巨漢で、全身は岩装甲に包まれています。
 しかし身こなしは素早くよく動くでしょう。
 そのためブロックは非常に難しく、非ダメージもたいへん大きくなります。

●重要な備考
『<世界を飲み干す者>』はその全てのシナリオの状況により決戦シナリオの成否に影響を与えます。
 決戦シナリオとは<世界を飲み干す者>のタグを持つイベントシナリオを指します。
 予め御了承の上、御参加下さるようにお願いします。
参加NPC
 


■メイン参加者 9人■
クロスイージス
アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)
覇界闘士
鈴宮・慧架(BNE000666)
ソードミラージュ
神薙・綾兎(BNE000964)
プロアデプト
★MVP
阿野 弐升(BNE001158)
ソードミラージュ
鴉魔・終(BNE002283)
覇界闘士
浅倉 貴志(BNE002656)
マグメイガス
斎藤・なずな(BNE003076)
覇界闘士
ミリー・ゴールド(BNE003737)
クロスイージス
白崎・晃(BNE003937)
   

●死と崩壊。そして破滅。
 『ハッピーエンド』鴉魔・終(BNE002283)が聞いたもの。
 それはフュリエの悲鳴であり、バイデンの拉げる様であり、血肉の飛び散る地面であった。
 見える限りでも、いくつもの命が瞬く間に失われていく。
「…………」
 ビッグロックバイデン。異形化した巨大な化物。バイデンだったもの。
 彼の右足の下には赤黒い水たまりが広がり、フュリエの羽が拉げて潰れていた。
『渇きが、酷い』
 洞のような眼孔の奥で光が瞬きをした。
『どうか……かまってくれ。戦士よ、戦士よ、どうか!』
「いいよ」
 終は口角の端を僅かに上げ、大きく横に飛び退いた。
 先刻までいた地面を粉砕しながらBRバイデンが飛び込んでくる。それこそ大岩の如く転がり、後ろにいた別のバイデンが撥ねられる。
「ぐ、強い……」
 終は彼に背を向けたまま腕を翳すと、いつの間にか握っていたナイフを振った。
 ビシリとBRバイデンの腕に一瞬遅れて裂傷が走る。
 僅かに動きを止めたその隙に、『群体筆頭』阿野 弐升(BNE001158)と『フレアドライブ』ミリー・ゴールド(BNE003737)が同時に飛び掛った。
「食い足りねえ飲み足りねえ殺り足りねえってか、いいね、実にいいッ!」
 弐枡は空中でチェーンソーエンジンを起動させると、大きく腰を捻った。
「あなたのことは知らないけど、立派な戦士ってことは知ってるのだわ。思いっきりやり合いましょ!」
 鳥の如く両腕を広げるミリー。正に鳥そのもののように腕より焔を吹き出すと、大きく両手を振り上げた。
 ぱちりと瞬きするBRバイデン。
 素早く両腕を翳すと、弐枡のチェーンソーとミリーのダブルハンマーを同時に受け止める。
 それも、巨大な掌で相手事受け止めると言う豪快な方法でだ。
『足りない』
 無理矢理に握りしめられる二人。天高く振り上げられる。
 そこへ――。
「変異しても戦士ですか。ならば」
 浅倉 貴志(BNE002656)が地面ギリギリの低姿勢で斜め後方から突撃。
 軸足を折るかのごとく土砕掌を叩き込んだ。
「心行くまで戦い、果てさせるまでです」
『ぐ、お――』
 僅かに態勢が傾くBRバイデン。その顔面目がけて『大雪崩霧姫』鈴宮・慧架(BNE000666)が飛び掛った。
 右手を広げ、空中で張り手を出すかのように構える。
「理不尽な」
 慧架の掌がBRバイデンの顎を捉え、瞬間的に斜め上方向へと押し出した。
 途端。自らの何倍もあろうかという巨体が、盛大に上下反転。後頭部から地面に叩きつけられる。反射的に手を開いたからか弐枡たちが放り出される。
 しかし相手は強力な変異体。転倒など物ともせず、胸の上に乗った慧架を拳で払いのけた。
 ダンプカーに撥ねられる程の衝撃で吹き飛ぶ慧架。そのままもう一体のBRバイデンの背中に激突。
 歯を食いしばって痛みに堪えつつも、よろよろと地面に転がった。
 ゆっくりと振り返るBRバイデン。
 横たわる慧架を踏みつけようと足を上げるが、脚の付け根に鋭い裂傷が奔った。思わず転倒する。
「よそ見しないでよ。戦士の誇りを見せてよ、限界までやろう?」
 慧架とはあえて反対側に回って指招きをする『淋しがり屋の三月兎』神薙・綾兎(BNE000964)。
 BRバイデンは彼へ向き直ると、豪速でパンチを叩き込む。地面が粉砕され間欠泉の如く噴き上がる。
 綾兎はくるりと回転しながら攻撃を避けると、素早くBRバイデンの膝を駆け上がった。
「近くで見ると尚更でかいね。ま、速さで負けるつもりはないけどね!」
 ナイフを閃かせる綾兎。BRバイデンの頬に裂傷が生まれ、彼は唸りと共に拳を繰り出した。

 ――同刻。
 『立ち塞がる学徒』白崎・晃(BNE003937)は巨人の360度キックを受けて真っ直ぐ地面に突っ込んでいた。
 クレーターの中心であおむけになりつつ頭を抑える晃。
「あの巨体でとび回し蹴りって……どういう性能してんだ!」
 ビッグロックバイデンメテオ。同タイプの変異体に比べ一回り大きく、動きも比べ物にならないほど研ぎ澄まされている。
 あの時戦ったバイデンがそのまま巨大化したかのようだ。この分だと『通せんぼ』など何の役にも立たないだろう。だが、しかし。
「闘いを誇りとした者よ!」
 BRBメテオの6時上方向より一本の光条が輝いた。
 続いて飛来してきた『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)が剣を逆手に構えて自由落下し、人でいう脊椎部分に剣を突き刺す。
「破壊が誇りか。刹那の輝きが誇りか……。誇り高き戦士か! 破壊だけの獣か!」
 一瞬遅れて剣が輝き、鋭くゆがんだ十字の光がBRBメテオを貫通した。
 すかさず腕をサイコガンよろしく構える晃。
 糸目を大きく見開き、全力でジャスティスキャノンを連射した。
「俺を、俺だけを見ろバイデン! 思う存分構ってやる!」
 二人の攻撃を浴びつつも、痛みを感じている様子は一切見えない。それどころか自分に纏わりついてくるのが嬉しくて仕方がないという様子で攻撃を繰り返していた。
 まず仰向けの晃めがけて拳を叩き付け、その腕を軸に逆立ち回転。背中に剣を突き刺していたアラストールを振り飛ばすと、腕の力だけで正確にアラストールを追ってジャンプ。空中で身体を捻って地面へ蹴り落とした。
 防御性能に優れたアラストールでさえ、激しい痛みに表情をゆがめる。
 だが絶望にはまだ遠い。
「なずな殿!」
「ふん、心配するな」
 『赤猫』斎藤・なずな(BNE003076)が金の腕輪を天に翳すと天使の歌が発動。物理的に砕けていたアラストールの骨がぎしぎしと修復されていく。
「あの時のバイデンも化物に成り果てたか。本質はかわっていないようだが……今度こそ」
 眼は細く、神経は鋭く、蜜柑色の髪が僅かに風で浮き上がる。
「今度こそ」
 ビッグロックバイデン・メテオが地面を抉りながら着地する。その横顔は岩に覆われていたが、表情だけは分かった気がした。
「ひび割れた地面に巨体を沈めるがいいのだ」

●バイデン。その変異と終末。
「攻撃は最大の、防御っ!」
 拳を繰り出してくるBRバイデンに、弐枡は直接チェーンソーを叩きつけた。
 激しい火花が飛び散り、腕がばっくりと切断される。
 痛みに仰け反るBRバイデン。その膝を踏み台にしてミリーは高く跳躍。
 額の上より瓦割の構えをとった。燃え上がる焔。
「聞いたわ。バイデンは死に方に意味を求めるって。だから」
 ミリーの拳がBRバイデンの額を叩く。
 半刻待って、全身の岩状皮膚の隙間から炎が噴き出した。
 前進を真っ黒にして倒れるBRバイデン。
 転がるように着地して、ミリーは前髪を払った。
 顔を上げる。
 息絶え、巨大な死体とかした二体のビッグロックバイデン。
 その様子を黙って見下ろす、ビッグロックバイデン・メテオ。
 赤黒いボディに傷一つつけないまま彼は、洞窟のような眼孔の奥で光を瞬かせた。
『戦士たちよ、来てくれ。待っているのだ……待っているのだ、戦士!』

 百メートル離れた場所で戦っていた誰かは地震が起きたのだと思った。
 五十メートル離れていた仲間は嵐が起きたのだと思った。
 そして目の前で見ていた弐枡は。
「前は失望させて悪いね。あんたの名前……教えて下さいよ」
『名前……な、まえ……』
 BRBメテオの放つ威圧力で、本能的に肩を震わせていた。
 恐怖なのか。
 武者震いなのか。
 それとも本能的な官能なのか。
 BRBメテオは頭を抑え、がたがたと身体を揺すった。
『なま、えを、なまえ……』
「鴉魔終」
 ナイフを水平に構え、背筋を伸ばす終。
 その左右に拳を握った貴志と晃が並んだ。
「朝倉貴志です」
「白崎晃だ」
「アラストール『ロード』ナイトオブライエン」
 剣を正眼に構えるアラストール。
「ミリーよ。ゴールドの」
「斉藤なずなだ。様をつけて呼べ」
 半身になって同時に身構えるミリーとなずな。
 両手をだらんと垂らして見せる慧架。
「涼宮慧架と申します。それと……」
「えぇ、俺も言うの? 綾兎、綾兎だよ」
 慧架に肘で突かれて不承不承に呟く綾兎。
 弐枡は煙草に火をつけ、チェーンソーのエンジンをかけ直した。
「群体筆頭アノニマス。あんたの名前は?」
 まばたきを三つ。
『メテオ……』
「覚えておくよ。生きてたらなァ!」
 弐枡は自らの周囲に烈風を巻き起こすと、天高く飛び上がった。

 正面から繰り出される巨大な拳。
 それを慧架は逃げるでもなく半身で迎える。インパクト直前で大きく前へ踏み出し、体勢をやや低くして頭上すれすれの位置で拳をかわす。
 途中、頭上を通過した腕に手を添え、地面に当たって停止したコンマ01秒のタイミングで掌底を入れた。
 一説に、赤子の手を捻るようにと言う表現は、歩き立ての赤子の腕をやや捻れば転ぶからという由来があるが、これはまさにその逆であった。
 慧架に腕を捻られた瞬間、BRBメテオは横向きに転倒したのだった。
 が、その瞬間に地面スレスレの位置を足がスイングされてくる。咄嗟に腕をクロスするがマトモに蹴飛ばされ、慧架は宙を舞った。
 それを空中でキャッチするミリー。
 空中ブランコで手をつなぐ瞬間よりブランコを失くして想像すればよい。
 二人はぐるりと入れ替わり、ミリーは縦回転しながらBRBメテオへと飛び掛る。
 頭上で両手を組み合わせハンマー状にするミリー。
 対してBRBメテオは腰を軸に独楽のように身体を回して膝立ち体勢に移行。ミリーのハンマーアタックと自らの拳を相殺させた。
 身体がビリビリと震え歯を食いしばるミリー。
 その頭上を貴志が飛び越え、BRBメテオの腕に着地。一気に肩までダッシュして顔面への掌底を叩き込んでやった。
 ぐらつく巨体。そこへまっすぐ腕を翳すなずな。
「灰になれ」
 リィンと腕輪が鳴り、螺旋状に炎が起こる。炎はバイデンの胸へぶつかり爆発的に広がった。
 仰向けに転倒するバイデン。
 アラストールと晃が同時に駆け込み、全く同時に跳躍。
 二人は剣と腕を同時に掲げ、全く同時に魔落の鉄槌を叩き込んだ。
 BRBメテオはそれを足の裏でキャッチ。衝撃を膝のバネで吸収すると、二人を思い切り蹴り飛ばす。
 素早く起き上がったBRBメテオ。周囲を綾兎と終が高速で周回し始めた。
 油断なく左右を見回す。どちらが先か。両方同時か。
 先に仕掛けたのは綾兎だった。後方から直角カーブでとびかかると、すれ違いざまに肩へソニックエッジを刻み込む。
 彼が早すぎて対応が遅れたBRBメテオ。その対応で生じた隙を狙って終も跳躍。弾丸の如く脛の横を通り過ぎると魔氷拳を叩き込む。
 びしりと凍りつく足関節。転回ができなくなった所へ綾兎が再びソニックエッジを叩き込んで行く。
 完全に身体を固められたBRBメテオのボディめがけて弐枡が真っ直ぐに突撃。
「楽しい戦闘(じんせい)だなあ、なあアンタ!」
 天高く振り上げたチェーンソーを叩き込む弐枡。
 胸から真っ直ぐに斬りおろされていき、岩の間から大量の血が噴き上がった。
『満たさ、れる……感じ、るぞ……戦士』
 ぐわり、と岩で覆われていた口部分が開いた。
 恐怖でもない。
 武者震いでもない。
 正しく官能のそれに近い震えが、BRBメテオを包んだ。

 そして、咆哮が天を突いた。

●メテオ
 咆哮であった。
 バイデンであることを捨て、獣であることすらも捨て、BRBメテオは『あるひとつの情動』と化した。
 地面を殴って跳躍する。連鎖振動した地面が放射状にひび割れ破裂する。
 空中で縦に一回転したバイデンが離れたアラストールへと両手を組み合わせたハンマーアタックを叩き込んだ。
 剣と鞘を十字に交差してガードするアラストールだが、乾いた大地ごと粉砕する衝撃の前にはもはや防御は意味をなさなかった。
 まるで落とし穴にでもかかったかのように地中へ落下しはじめる。
 その襟首を無理やり掴む綾兎と終。二人がかりでアラストールをひっつかんで走るとBRBメテオの真下から逃げ去った。
 10mほどの距離をおいてからブレーキ。アラストールをなずなへ放ると反転して反撃に移ろうとしたその途端、BRBメテオは肘を軸にした長リーチの足払いをかけてきた。
「そんな無茶な!」
 ブレーキ直後で回避が遅れる。二人は足払いと名ばかりのカタパルトスイングで吹き飛んだ。
 複雑に回転し、首を圧し折らんほどの勢いで地面をバウンドして転がる。BRバイデンの死体に激突しなかったらどこまでも吹き飛んで行ったことだろう。
「ヒュウ……」
 頭をくらくらさせながら上半身を起こす終。
 綾兎は殆ど血だけの唾を吐いて、口元を手甲で拭った。
「また、満足してないでしょ。もう一回しようよ」
 緩慢に地面に手をつく綾兎。ぴょんと立ち上がる終。
 次の瞬間、二人は彼我の距離を高速で縮めてバイデンの両肩にエッジを繰り出す。
 よろめくBRBメテオの足首をフルスイングで打ち砕くアラストール。
「この身、容易く壊せんぞ」
 目を見開くBRBメテオ。
 身体が完全に倒れる前に地面へパンチを叩き込む。
 衝撃で地面事ふきとぶアラストールたち。
 打撃ポイントを中心に、まるで水面を広がる波紋の如く衝撃の波が広がって行く。
「まだ動けるのね。楽しみましょうよ! 自分が誰だか忘れちゃうくらい!」
 衝撃の波を飛び込み前転で回避するミリー。
 その横では慧架がひらりと宙を跳んで彼女と並んだ。
 同時に顎を上げ、ダッシュ。
 互いに左右別々の腕に炎を灯し、風圧をかけて燃え上がらせる。
 そんな彼女達の後ろ。
 衝撃の波で跳ねる砂塵の更に後ろ。
 炎の玉を眼前に生み出したなずなが集中に集中を重ねてフレアバーストを発射した。
 弾丸の如き速度で慧架とミリーの間を追い越しBRBメテオの腹に命中。
 跳躍し、ミリーと慧架は燃え上がった炎めがけて業炎撃を叩き込んだ。
 身体をくの字に折るBRBメテオ。
 そこへ更に弐枡が突撃。
 その左右へ晃と貴志が並んだ。
「これで終わりだ!」
「俺は死の先をゆく!」
 バラバラに飛び出し、飛び蹴りを繰り出す晃。
 衝撃に揺れるBRBメテオ。
 チェーンソーを鈍器としてぶちこむ弐枡。
 衝撃に傾くBRBメテオ。
 両手で掌底を押し当て、エネルギーを打ち込む貴志。
 ドクンと強烈なエネルギーがBRBメテオの体内を充満し。
「あなたは満足しましたか」
 そして。
『――――』
 岩の巨人は、盛大に爆発した。

 多くの屍が生まれた。
 多くの死が刻まれた。
 乾いた大地に血の雨が降り、闘いの炎が天を焼く。
 そして戦の熱は、世界樹へと移ろう。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
お疲れ様でした。
魂の輝き故に、弐枡さんにMVPを贈ります。