●扇風機の強ボタン押したら家が発進したんだってば! マイホームで独り暮らししてるオッサンが扇風機ポチっとやったら家が変形合体してロボになった。 ……何言ってるのか分からないとは思うが、本当なんだ。ロボなんだ。 「突如街中に出現した住宅ロボ『山下さん宅』はやみくもに北上中。こちらに接近してきます!」 「ええい、今だローンが残る住宅がやりおる! 我等はリベリスタとして奴等を止めねばならん! 一般人の避難はどうだ!」 「近隣住民は『あ、映画なんで。凄い映画撮ってるんで』で誤魔化しました! 魔眼とか強結界とかすごい使いました! もう疲れたので帰りたいです!」 「日本人なら『終電まだなんで平気です』くらい言え! とにかくここで迎撃だ。なんとしてもヤツを食い止めるぞ! この先には……俺達がごひいきにしてるスナックがあるのだ!」 「うおおおおおおおおお負けるかああああああああ!!!!」 完全武装でずらりと並ぶリベリスタの皆さん。 ずしーんずしーんと音を立ててやってくる『山下さんち』。 山下さんちは右腕から冷蔵庫砲を、左手からは洗濯機砲を出現させると、二つ合わせてなんだか冷たくてごちゃごちゃしてぐるぐるした攻撃を繰り出してきた。 「ぐあああああああアロマが香る柔軟剤が使われているううううう!」 「負けるな、独身男性がこの程度で怯んでは……はっ、これは!」 山下さんちは頭部の両脇から電子レンジバルカンと電子ケトルバルカンを露出させ、カップ麺や冷凍食品の弾丸を雨の様に降り注ぐ。 「ぐあああああああ独り身の悲哀が身に染みるううううう!」 「撤退だ、これ以上は耐えられん……全員、スナックへ行くぞ!」 「「はい喜んでェ!」」 とまあ、意味わからんくらいしっちゃかめっちゃかになっているわけだが。 全てはE・ゴーレムの仕業である。 ●家が変身してロボになったから倒せ的な依頼 「うーん、ここは間取りがなあ……なんか西日入るし。こっちはやけにセレブリティあるからご近所付き合い大変そうだし……どうしよっかなあ……」 アイワ・ナビ子(nBNE000228)が住宅情報誌を眺めながら赤ペンでぐりぐり何かを書きつけていた。 「……あ、なんかE・ゴーレム出たらしいですよ」 ナビ子の説明によると、某住宅街で山下さん宅がいきなりエリューションゴーレムになったらしい。山下さん誰か知らんけども。 「住宅選びってかなり気ぃ使うじゃないですか。なんか、引っ越した後から問題が出たりしたら取り返しつかないし。かといって理想理想とか言ってたらかかっちゃうし」 どっかんどっかん派手に暴れている……と見せかけて意外とご近所に気を使って民家を壊さないようにそーっとそーっと北上し漸く人様に迷惑かからないなっていう国道脇サッカー場に出てきたんで突っ込んで倒せっていう依頼らしい。 「しかも中古物件だとさ、なんかさ、昔そこで何があったのかなーとか考えちゃって夜も眠れないなんてこともあるじゃないですかー。何よりお金ないし」 山下さんちは家の中にあるものを武装として出現させ、非常に多彩な攻撃をしてくるらしい。 だが逆に、現代の住宅事情が抱える問題や弱点をついてやればきっと効率的に倒すことができるだろう。 そう、ご近所問題とか。環境問題とか。そういう色々である。 「なんで、こうやって引越しする妄想して遊んでるんですよ」 こんなハチャメチャなエリューションを倒せるのは君しかいない。 なんとしてもこいつを倒してくれ! たのんだぞ、リベリスタ達よ! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 9人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年10月02日(火)23:01 |
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■メイン参加者 9人■ | |||||
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●全国の山下さんほんとごめんなさい 「一人暮らしの一軒家ってことはさー」 じゃがりこ咥えた『おこたから出ると死んじゃう』ティセ・パルミエ(BNE000151)が歩道橋の手すりに顎を置いた。 別にエロいサービスシーンとかじゃなくて。 「絶対親の遺産だよね」 「ですねぇー」 ポッキー咥えた『白雪姫』ロッテ・バックハウス(BNE002454)が同じく手すりに顎を置いた。 脚がちょっと浮いている。 「臭そうっていうか、彼女できなさそうですぅ……あ、離婚調停中とか」 「そうだよ絶対。掃除とかしてないんだよ。無用の長物だから木端微塵にしても大丈夫よだね!」 「ねー!」 顔を合わせて首を傾げあうティセとロッテ。 その後ろで、『合縁奇縁』結城 竜一(BNE000210)はうま棒咥えつつ目を閉じた。 「山下さん、すまぬ……知らない人だけど、すまぬ……」 目を開ける。 「つか、俺もマイホーム欲しいな。恋人と二人暮らしでうひひ……ハッ、殺気!?」 虚空を見上げる竜一。 横では、『紅蓮の意思』焔 優希(BNE002561)がふがし片手に唸っていた。 「俺の家のキッチンはピカピカだぞ?」 「いや、まだ聞いてない」 「ともあれ、自由に甘んじ怠惰という坂道を転げ落ちた独身男性……その具現化した愚かさを一刀両断してやらねばなるまい」 「そうだな!」 「ベッドの下をほじくり返し机に置かれるが如く」 「そ、そうだな!」 二人は手の中でスナックを握り潰し、そしてちょっと後悔した。 いっぴょーしょにょこりょ(一方その頃)。 「全国の皆さまお待たせしました歩道橋からお送りする特番、リベリスタVS一軒家ロボ! 中継はわたくし綾乃、そして解説は……」 「夜と闇の眷属、私だ。私のことはあまり調べない方が良い」 「小五郎ですじゃ。最近の家は動くんですのう。はいてくですのう……」 「僕のIQは53万。天才少年陸駆だっていうかロボすげぇー! 山下さんちすーげぇー引越し要らないじゃんなにこれすーげっこれどういうすげぇまじテンションちょーあがるしすっげこれすっげえ! ロボ、ロボだー!」 画面に向けてキメ顔する『カゲキに、イタい』街多米 生佐目(BNE004013)。 ぷるぷるする『三高平のモーセ』毛瀬・小五郎(BNE003953)。 手すりに乗り出して足バタバタさせる『ジーニアス』神葬 陸駆(BNE004022)。 そんな彼らの様子を一通り見て、葉月・綾乃(BNE003850)はカメラ目線をキメた。 「以上、スタジオにお返しします!」 ひっひょーほにょほろ(口角を摘まんで斜め上に上げつつ一方その頃)。 「山下さんち先輩……」 『ジェットガール』鎹・枢(BNE003508)は無駄にぶんわかぶんわか浮かびながら向かい風に髪を抑えていた。 ちなみに山下さんちに先輩がついてるのはくるるんの二人称癖からきているのであってくるるんがいつからか一軒家業界に進出していたわけではない。 「いったいどんな不安があったんだろう。変形して発進したら保険も絶対下りないだろうし……なんとか、ならないかな」 無駄シリアスに顔を上げる。 歩道橋の前で、山下さんちロボがグオーンとか言いながらダブルバイセップス(両方で拳を力瘤を作って胸を強調する感じ)のポーズをとった。 ●「山下さんちロボ、はかいこうせんだ!」「ヤー→マー↓」 『グゥーハハハー! 一軒家の恐ろしさを思い知るがいい。東京都民にとって一軒家は神の如き存在。持ち家率ナンバーワンの富山県にひれ伏すのだ。まずは一人暮らし男性が自宅にため込むゴミ袋の山をくらえぇい!』 ダブルバイセップスのまま山下さんちがンなこと言い出したもんだからティセ達は脱兎のごとく逃げ出した。 「ごめんね、そういうのムリだから! 汚れるのやヤだから!」 「まあ、気持ちは分かる」 そっとガスマスクをつける優希。 一方では小五郎がぷるぷるしながら山下さんちロボの足元に立っていた。 「ちょ、おじいちゃん逃げろ! ここにいると危ないぞ!」 「わしは戦争を経験しておるから、こういうのは慣れておりますじゃ」 「そう言う問題じゃない。ハウスダストは健康を起きく損なうし不衛生なゴミがもたらす健康被害は馬鹿にならないのだ。あの家は築30年、となれば腐るはダニるわで大変な対策を必要としているのだ。油断すると湿気やなにかで畳ばびちょるしフローリングは乾燥でヒビるしシックハウス症候群も恐ろしいのだぞ。ダニの死骸も溜ってアレルギーの原因にもなるのだ!」 小五郎の襟を持ってぐいぐい引っ張る陸駆。 その横をマイク持った綾乃が併走した。 「無駄に詳しいですね。流石天才少年の設定があるだけはあります!」 「今設定て言ったか?」 「いえ……所で、築30年っていうのはどこから?」 「確定ロールだ」 「ちょ、やめて下さいよ。山下さんちロボだってそんな確定かまされたらたまったもんじゃ……」 『グゥーハハハー俺は築三十年の木造住宅だぞぉー!』 「本当だった!? それこそやめて下さいよもう、お行儀の悪い遊び方がよいこ(大人)の間で流行ったらどうしてくれるんですか!」 『ククク、そんなことを言っていていいのかな? もう貴様等は射程圏内だ。朝早い出勤と夜遅い帰宅によって見事にゴミ出しの余裕がなくなった男の実情を身をもって知るがいい! 蓄積ゴミ爆弾、発射ァー!』 ダブルバイセップスのポーズでちょっと腰を前に出す山下さんちロボ。 しかし下腹部のちょい下辺りから出てくるのは埃とかび臭い空気だけだった。 『……あれ?』 イッボーソノゴロ(鼻をつまんで真上を見上げながら一方その頃)。 「よいしょ、よいしょと……」 枢が甲斐甲斐しく和室に掃除機をかけていた。 頭にはタオル。腰にはエプロン。 そして脚にはスリッパ(空中浮遊してるので不要な品)。 畳の目にそって弱い力で掃除機をかけたあと、隣の部屋に移って竹箒を担ぎ上げる。 「掃除用具とか借りちゃうねー。あ、もう洗濯物こんなに溜めて……」 床をざかざか掃きつつ、椅子の背もたれやソファの上に積み上がった衣服を纏めて洗濯機に放り込む。 ある程度放り込んだら目分量で柔軟剤を混ぜつつスイッチオン。 その間に既に洗い終えている洗濯物をベランダに出て洗濯バサミとハンガーで器用に干していった。 「部屋干しばっかりしてたらかびちゃうからね。ちゃんとお日様にあてないとー。あっと、流しも洗わなくっちゃ」 枢は洗濯機のごうんごうんした音をBGMに食器洗いを始めた。 まずはスポンジで泡をぶくぶくやってお皿の汚れを落としていく。 たまに油汚れのしつこい食器はあったが洗剤入りの桶に浸しておいたので大丈夫。ある程度アワアワにしたら纏めて水で洗い流す。 真っ白になったお皿を指で撫でる枢。 キュっと音がしたのを確認してほんのりと笑った。 「さーてと、次はトイレも掃除しなくっちゃ!」 このシーンは、くるるんの貴重な家庭的シーンを存分に楽しんでいただくためのサービスシーンである。 『枢が家の中のゴミを全部捨てていたのでゴミ爆弾が出せなかったのだ!』の一行で済ますべきだなどという言葉には、一切耳を貸すつもりはない! ということで、ジェットガール枢ファンの皆さんは引き続きお掃除とお料理のシーンをご堪能いただくために専用チャンネルの会員になって頂きたい。登録にはこちらの電話番号までっ! ――というわけで場面は歩道橋に戻る。 「ハッ、今物凄く私達の存在が忘れられていたような!」 「気のせいだ」 きゅっとガスマスクの眼鏡部分を指で撫でる優希(女性ファンから『優希様のお顔が見えない。アニメ制作者を殺せ』とのクレームが多数寄せられたためDVDではガスマスク無しバージョンが挿入されます)。 「なんだか分からないけどチャンスですぅ、プリンセス☆トラップネストォー!」 ロッテはリンゴ型チェーンハンマーをかっとばし、鎖を山下さんちロボの片足に括り付けた。 無論、そっからの盛大なそぉいである(そぉい:固有名詞。昨今ニッチな需要を受けて作られた男の娘ばかりを集めた微エロ漫画雑誌……は『わぁい!』である)。 思い切り片足を引っ張られて転倒する山下さんちロボ。 「かーらーのー、プリンセス☆ピンポイントォ!」 いっぺんハンマーを引き戻し、手元に黄金のリンゴ型ハンマーをぱしっと掴むとファン用宣伝写真をパシャっと撮影。すかさず鎖を持って独楽のようにぐるぐる回転すると野獣の如き叫びと共にハンマーをぶん投げた。 この投擲が世界記録ラインを越え日本初女子ハンマー投げ金メダリストの誕生につながるとは神ならぬ彼女には知る由もないのであっただって嘘だし。 『はごぉ!?』 顔面(らしきもの)にがつーんとハンマーが命中し、山下さんちロボはもっかい転倒。 しりもちをついて頭上にぴよぴよを回した。ついでに額から鳩時計がカッコーした。 「よく倒れさせたロッテ! 山下さん、悪いが柱折らせてもらうぜ! 近所づきあいの中家庭がないくせに一軒家を建ててなどとささやかれる辛さもあるだろうががもう心配はいらない。その哀愁と共に家ごとぶっ壊してやる!」 腰のあたりについてる柱に剣をガッツンガッツン叩き付け徐々に柱を折りに行った。 『あっ、だめっ、そんなに激しくしないでっ! 壊れちゃう、山下さんちこわれちゃうぅー! 柱抜き出しちゃだめぇー!』 「ええい五月蠅い」 柱に容赦なき土砕掌。 優希渾身の掌底により結構大事そうな柱がスコーンと抜けて反対側から飛んでった。 これが一軒家だったら大変なことである。 しかしこれはあくまで山下さんちロボ。腰が抜けたくらいでダメになるヤワヤワちゃんではない。 『だめって……出しちゃダメって言ったのに……これじゃあ(人為的破壊による保険適用外要素が)できちゃうよう……』 「全力で黙らせるのだ」 ひょいっと指揮棒を掲げる陸駆。 何処からともなく現れた無数のそして不可視の刃が一斉に襲い掛かり山下さんちロボの手や足を切りつける。白い肌に赤い血が流れそれを見た男は頬にぺたぺたと刃をあてつつ下衆な笑みと共に命が惜しければどうしたらいいかわかるよなあとうわ描写の方向間違えた。 『グアアアアッ! 不可視の刃が全身を切り裂くぅー!』 空気を読んで叫ぶ山下さんちロボ。 「それにしても不用心ですのう」 割れた窓からよっこいしょと侵入する小五郎。 内側から窓の鍵をメギリッと破壊して周る。 『や、やめろ! 団地に比べて一軒家は空き巣被害が起こりやすいんだぞ!』 「それにピッキング被害もですじゃ」 などと言いつつドアノブをめぎりっと外す小五郎。 「格子をつけたり強化ガラスふぃるむを張り付けたりという防犯対策が都内では大事なのですじゃ。さもないと、いつの間にか知らない男が侵入し風呂釜の中で全裸待機することになるのですじゃ」 『実際におこった事件(しかも通報されずに済んだ)を例に出すのはやめろ!』 「さて……そろそろ私の出番かな?」 片目を隠す感じのスタイリッシュポーズで振り返る生佐目。 カメラ目線の生佐目。 ちなみにプレイングにはやや少なめの文字で『攻撃の際は、「悪いがこの程度の技だけだが、如何かな」という内容を厨二にアレンジ』と書いてあるのだがどうしたことだろうか。そこまで投げっぱなしにして良い物だろうか。だがやらねばならない。誰もが納得するようなクールな厨二フレーズをみせてやるゼ! 「ビビギダダ・ゴラゲゾ・パラダ・ガギダ・ギロゴザ」 「生佐目さん、ここではリントの言葉で話せ」 ちなみに意味は、気に入ったうちの妹にピーしてもいいぞです嘘です。 などと言いつつも生佐目はちゃっかり魔閃光を乱射。 「…………」 攻撃をばしばし食らいながららめーとか言ってる山下さんちロボに、ティセは心から嫌そうな視線を送ったのだった。 「もしかしてこれ、完封するんじゃ?」 ●「このロボがおまえの家でげす!」「うそだァー!」 皆に好き放題ボッコボコにされる山下さんちロボ。 だがイージーじゃああるまいしこんな簡単に終わるワケがなかった。具体的に言うと、山下さんちロボはもうちょっと頑張れた。 『こうなれば自慢の家具を見せる時。くらえ自動掃除機!』 おうちの中を勝手に掃除してくれると聞いて独身男性がメイドロボのようなものを想像しつつ購入し結局家の段差や障害物に負けて力尽きる姿にガッカリするという例のアレが山下さんちロボから飛び出した。 ついでに枢も一緒に排出された。 「わっ、ちょっと、折角掃除してあげようと思ったのに! もう!」 乱れたエプロンと汗ばんだ額に、ちょっといつもと違うギャップを見て欲しい。 ついでに押しかけ妻みたいなセリフにときめいて欲しい。これを今回のくるるんファンの栄養としたい。 その一方で、ティセが掃除機からすたたーっと逃げまくっていた。 「これ飛ぶの!? 自動ホーミングしてきて凄いんだけど、そして早いんだけど! くるなー、このこのっ!」 壱式迅雷をぺしぺし放ちながら全力で逃げるティセ。 余裕のある人は尻尾と腰を振りながら壱式迅雷を放つさまを想像して遊ぼう。 が、掃除機は一向に止まる気配を見せずに爆走。 「わ、どうしたらいいのこれ!?」 「その弱点は知っている……ハッ!」 優希がどこからともなく電気コードを取り出すと宙に放った。 「コードが可動部分に絡まるだけで動けない。やがてバッテリーが切れて力尽きるのだ……自力で充電できる筈なのに、な」 儚げに笑う優希。 その一方で山下さんちからひらーっと落ちてきたビニール本を見下ろして無言でぷるぷるする小五郎じいちゃん。 竜一がビニール本の気配をいち早く察してヘッドスライティングをしかけた……その時。 『掃除機だけではだめか。ならば風呂場を解放ダァー!』 桶やら何やらがびしびし飛んでくる。 綾乃や陸駆は素早く回避しながら反撃に出た。 「風呂場には大したものは無い筈です。掃除も終わっているなら――」 「あ、ごめんまだパイプ掃除してない!」 「なら髪の毛ヘドロがあるはず。これの出番ですぅ!」 ちゃらちゃらっちゃらーという音と共にロッテが濃縮ジェルなんちゃらを取り出した。照準セット。 しかし降ってくるのはそんなのばかりじゃない。 髪の後退が進んできた男性への育毛シャンプーだって降ってくる。 「それは薬局でかなり高く売ってるやつじゃないのか! 勿体ない、俺がうけてやろう!」 ちなみにこれに強く適合する人は性機能が著しく減退する恐れがあるそうだ。知らんけど。 「うおー、来い! 育毛は俺が受け取ってやる!」 べちょん。 竜一の頭になんだかジェル状の何かがべっちょりついた。 振り向く竜一。 無表情で口を閉じるロッテ。 「うお、凄いぞコレ! 頭がじゅわーってなってる。高い育毛剤ってすぐに効き目が出るんだな!」 「た、た、たたた確かに効き目ががががががぁ」 「どうしたロッテ」 「あの……竜一様、わかめ食べます?」 「なんで?」 などと言ってる間に第参段階。 山下さんちロボはキッチンを解放した。 キッと見上げる綾乃。 「皆さん気を付けて、キッチンにはあの……電子レンジがある筈です!」 『その通りだ。電磁波で焼け焦げるがいい!』 「馬鹿やろう! 電子レンジさんを粗末に扱うな。レンジが無かったら、人類は衰退するんだぞ!」 「10歳で言うセリフじゃないですね」 「でもごめんこれが弱点だとわかってるんだ!」 陸駆は卵(ひとパック98円)をレンジ・インすると力任せに扉を閉めた。 ピッと音が鳴って回り出すレンジ。 そして起こる大爆発。 陸駆も、そばにいた綾乃も、ついでにぷるぷるしてた小五郎もまとめて吹っ飛んだ。 「ば、爆発に巻き込まれるとは思わなかったんですか!」 「すまない計算外だったのだ! 天才もバベルから落ちる!」 「だが、いいチャンスを作ったようだ」 額を拭う優希。 山下さんちロボは、キッチン部分からガスが漏れ出していた。 「手をかせティセ」 「え、いいけど!」 「己の怠惰を呪い、盛大な花火を上げるがいい!」 ジャンプ、からのダブル業炎撃。 山下さんちロボは爆発炎上。 理由はガスの不始末による発火であった。 その様子を、生佐目は何か言いたげに見つめていた。 「ポッポルンガ、ププルンガ、パロ……」 ●山下さんざまあ! 歩道橋のうえ。 綾乃たちは、手すりに寄りかかり空を見上げていた。 「あいつら……無茶しやがって……」 空にはティセと優希の爽やかな笑顔。 ついでに小五郎じいちゃんが浮かんでいた。 「お、おじいちゃあああああああん!?」 戻ってこーいと言ってプリンセス☆トラップネストをしかけるリベリスタたち。 そんな様子を眺めていた生佐目は、フッと笑って踵を返した。 仲間たちに背を向け、最高に厨二でニヒルなセリフを吐く。 「--・-・ ・・ --・・ ・・ ・-・-・ ・-・-- ・・ ・-・・ ・-・-・ ・-・・ ・・ -・--- ・-・--」 意味は、良く分からなかった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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