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<剣林>ケンカ祭り

●「早く来いよ、リベリスタ!」
「ギッタギッタにしてやっからよ!」


●「ギッタギッタにしてやって」
『リンク・カレイド』真白・イヴ(nBNE000001)の口からそんな言葉がもれたら、どのように感じるだろうか?
「最近流行ってるのか……剣林のフィクサードからの連絡的なもの、要は挑戦状が届いた」
 相手の人数は8人、こちらにも出来たら同数8人の来訪を望み、戦いたいという内容らしい。
 場所はある大きめの公園。
「代表者の名前は佐和高羅。若手だけど結構な実力者」
 自信の方も相当なもので、アークの者が周囲に気兼ねして全力を発揮できないなんて事が無いように、結界や看板等での封鎖もこちらでやっておく……等と手紙には書いてあったようだ。
「自信過剰な感じだけど、実際にかなり強い。油断は禁物」
 そう言ってイヴは、相手側の8人について説明し始める。

「リーダーの佐和はソードミラージュ。典型的な、速度を活かした速攻型」
 身体能力に優れ、強力なスキルも使いこなす。
 ただ、最初から消耗を厭わず全力で攻撃を仕掛けてくるので、それを耐え切れれば一気に勝機は高まるだろう。
「アークと戦うなら麻痺耐性くらい持ってないと話にならないだろって仲間と話してたみたいだし、決して頭は悪くないと思う」
 呟いて麻痺無効の能力を用意しているのは彼を含めて数人いるとイヴは付け加えた。
 もしかしたらアークと戦う時は必須とかフィクサード界隈で話されたりしてるのだろうか?
「とにかく戦い方は生き方ってタイプ。それを利用されても本望だと思う」
 ただ、そんな彼をサポートする抑え役がいる。
「三沢一樹、同じくソードミラージュだけど、こっちは逆にすごく堅実な戦い方をする」
 回避能力を重視しつつ、消耗の少なめなスキルを使用して着実にダメージを与えていくというタイプの様だ。
「身体能力全般は佐和に比べて劣るけど、回避能力は高いし、麻痺以外に呪い無効の能力も持っている」
 その分、攻撃力という点では佐和ほど脅威ではないと言える。
 もっとも佐和のフォローが目的ならば、その辺は本人も納得してのことか。

「8人の中ではその2人が頭1つ以上優れてる。他の6人はちょっと未熟……と言っても、油断は禁物」
 6人の内訳は、デュランダル、クロスイージス、クリミナルスタアが2人ずつ。
「デュランダルの2人は当然と言うべきか、攻撃特化」
 メタルフレームの青年は一撃必殺の単体攻撃を好み、クマのビーストハーフの少女は烈風で周囲を薙ぎ払う攻撃を得意とする。
「攻撃の為にだけど身体も鍛えて技術も磨いてるから、タフさや回避能力もそれなりに高い」
 青年は物理特化という感じだが、少女の方は烈風陣を効果的に使うようだし神秘方面にもタフさを発揮するかもしれない。
 一方、クロスイージスの2人、勝気そうな女性と冷静沈着そうな少女は援護専任のようである。
「2人共守りを固めた後は、自己回復能力を付与したり、味方の異常を回復したりを主に行動する」
 他の者たちと比べて攻撃能力では劣るが、その分、佐和たちの様に無効化能力等も準備しているようだ。
「クリミナルスタアの2人は、それぞれ銃撃と格闘に分かれている」
 一方はひたすら、真っ直ぐ行ってぶっとばす。
 一方はひたすら、頭を狙ってぶっぱなす。
「互いにライバル心剥き出しだけど、認め合ってるみたいで、罵り合ったりしながらも協力して戦うみたい」
 そう言って、イヴはフィクサードたちの説明を終了した。
「色々思う所はあるだろうけど、一般人に被害が出ないのなら好都合」
 皆の力で勝利してくれれば、何も問題ない。
「全力で叩きのめして、アークの力を思い知らせてあげて」
 イヴはそう言って、集まっていたリベリスタたちを見回した。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:メロス  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年09月27日(木)22:59
オープニングを読んで頂きありがとうございます。
メロスと申します。
今回は剣林のフィクサードたちと、8対8の戦いとなります。


■戦場
広めの公園となります。
特に戦闘や移動の障害となる物はありません。
フィクサードたちが強結界+看板等で封鎖していますので一般人に関しての対策は不要です。


■剣林フィクサード
・佐和 高羅(さわ・たから)
結構爽やかな容貌を持つ、代表格の青年。
ソードミラージュ。
少々自信過剰気味ですが、8人の中では一番の実力の持ち主です。
麻痺無効の能力を持ち、強力なスキルも使用します(アル・シャンパーニュとか大好きです)
が、最初から全力でトばす性格ですので、耐えられてしまうと一気にガス欠になります。

・三沢 一樹(みさわ・かずき)
当たり障りのないという感じの補佐役っぽい青年。
ソードミラージュ。
突っ走りすぎる佐和の抑え役という立ち位置を取っています。
佐和とは対象的に守りを固め、消耗も押さえた堅実な戦い方を好みます。
実力は佐和と比べるとやや劣りますが、しぶとく粘り強い戦いぶりは場合によっては佐和以上に脅威かも知れません。
麻痺、呪い無効等の能力を使用しています。


・部下たち
全員が若い男女で構成されています。
性格、考え方等にそれぞれ多少の違いはありますが、全員荒事は大好きです。

デュランダル2名。
デッドオアアライブを好むメタルフレームの青年と、戦鬼烈風陣を使うビーストハーフ(クマ)の少女の2人。
攻撃、命中に特化しています。

クロスイージス2名。
強気そうな女性と落ち着いた雰囲気の少女の2人組。
どちらかというとサポート的です。
パーフェクトガード使用後、何だかんだと言いつつブレイクフィアーやオートキュアーで仲間を援護します。
無効化のスキルも幾つか使用してますが、そのせいか他の者より攻撃能力がやや劣るようです。

クリミナルスタア2名。
互いにライバル意識剥き出しっぽい二十前後くらいの青少年2人。
一方は蒼穹の拳一筋、一方はひたすらヘッドショットキルという感じです。
バカっぽいですが、そのせいなのか澱みも揺るぎもありません。


剣林のフィクサードたちは、リベリスタたちを殺そうとは思っていません。
もっとも、手加減等は全くしません。
「アークのリベリスタなら止め刺さなきゃ大丈夫だろう」くらいの大ざっぱな考えです。

敵全員が戦闘不能以上となるか、負けを認めれば勝利・依頼成功となります。
それでは、興味を持って頂けましたら。
よろしくお願いします。

参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
プロアデプト
歪 ぐるぐ(BNE000001)
デュランダル
新城・拓真(BNE000644)
覇界闘士
宮部乃宮 火車(BNE001845)

羽柴 壱也(BNE002639)
クリミナルスタア
イスタルテ・セイジ(BNE002937)
ダークナイト
高橋 禅次郎(BNE003527)
覇界闘士
鳴神・暁穂(BNE003659)
ナイトクリーク
ロアン・シュヴァイヤー(BNE003963)

●ケンカの前
「挑戦状か……」
(迷惑ではあるが、一般人を巻き込んでどうこうだとかよりは良いな)
『リベリスタ見習い』高橋 禅次郎(BNE003527)は呟いた。
 互いに回復無しの殴り合い。
「望み通りギッタギタにしてやろう」
「ギッタギタのズッタズタにしてあげよう」
(後腐れなく殴り合い出来るってのはいいよね)
『ピジョンブラッド』ロアン・シュヴァイヤー(BNE003963)も頷いてみせる。
(剣林は割と印象悪くないんだよね)
「他が酷過ぎるだけで、僕の大っ嫌いなフィクサードである事に変わりは無いけど」
 そんな呟きを掻き消すように。
「アークに喧嘩うりにくるとはいい度胸してるじゃない!」
『すもーる くらっしゃー』羽柴 壱也(BNE002639)の声が響く。
(ふふん、売られちゃったら買うしかないよね!!)
「行くよ、アークの強さ見せてあげるよ!」
 そしてリベリスタたちは、公園へと到着した。
「今回は相手をギッタギタにしてやれば良いのよね? 分かりやすくて助かるわ!」
『蒼震雷姫』鳴神・暁穂(BNE003659)もそう口にしながら、フィクサードたちの姿を探す。

 その視線の先に、8人の男女の姿が映った。
「喧嘩、買いに来たよ!」
「待ってたぜ、アークのリベリスタ! ……お、けっこう有名なヤツらがいるじゃねえか」
 壱也の言葉にその内の一人、佐和らしき青年が楽しげに叫ぶ。
「ギッタギッタにしてやるぜ!」
「キャンキャンとうるせぇ。犬かテメェ等は?」
『消せない炎』宮部乃宮 火車(BNE001845)は、佐和へと鋭い視線を向けた。
「フィクサードは全潰しって決まってんだ」
 泣いて許しを請おうと、オレの気が済むまで何度でも殴られ続けてろ!
(フィクサード辞めるか死ぬか、ちゃんと選ばせてやる)
「責任持って最後まで、殴り続けてやるからな?」
「言うじゃねえかっ! それだけの実力はあるんだろうなっ!?」
 火花が飛び散るような勢いで、火車と佐和が睨み合う。

 そんなやり取りを見ながら。
『誰が為の力』新城・拓真(BNE000644)は……想いを、馳せた。
 ただ剣を無心に、我武者羅に振っていた頃。
(背負う物が無く、ただ上を見ていたあの頃よりも……)
「……随分と、剣を振るう事が重くなったと思う」
 いや、それでも。
……最近になって、漸く思い出したのだ。
(俺が最初に剣を握った時に思ったのは──)
 祖父よりも、他の誰よりも強くなりたい。
「たった、それだけだったんだ」
 フィクサードと相対すると、拓真は口を開いた。
「リベリスタ、新城拓真。此度の挑戦、受けて立つ」
 その上で、一対一の決闘を申し込む。
『メガメガネ』イスタルテ・セイジ(BNE002937)が、それについて説明した。
「どちらが多く勝ったかで勝ち負けが決まりますから、判り易いですよね」
 ついでに戦う際に他の組に流れ弾等が飛ばぬよう各組が出来るだけ距離を取る事も提案する。
「……少し考え」
「いいぜ! やってやんよ!」
 落ち着いた雰囲気の青年が言おうとするのを遮るように佐和が言い、幾人かが賛同する。
 こうして対戦方法は決定された。

●対決へ
(わたしは主役って柄じゃないからね)
「わたし、三沢さんがいいな」
 補佐ってポジション萌えるんだよね。
 苦笑しながら賛同した青年に、壱也は声をかけた。
「突っ走り役を抑える役目なんだよね、その役の人がこっちの突っ走り役を抑えられなくて勤まるの?」
「……いきなりの挑発だね?」
「こんな小さな挑戦者じゃ不満? ならわたしを倒してから他に挑戦することだね!」
 その澄ました顔、歪ませてみたい。
「だってわたしは貴方って決めたから!」
「……女の子にそこまで言わせちゃったら、相手をしない訳にはいかないね?」
 口調は変えずとも警戒するように……青年は壱也に視線を向ける。
「ハローハロー。よろしくお願いしますねー」
 挨拶しながら『Trompe-l'œil』歪 ぐるぐ(BNE000001)は、デュランダルの青年へと勝負を挑んだ。
「いーねいーね。こういう気持ちの良い相手好きよ?」
「えーお前、大丈夫なのか?」
「おい、油断するな。多分その人、あのぐるぐさんだぞ?」
「え? あのぐるぐさん? それは……本気で行かないとやばいな」
 青年は頷いて勝負に応じた。
「お互い、邪魔は一切ナシにして、ガチで殴り合いましょうよ!」
 暁穂はクリミナルスタアの一方へとタイマンを申し込む。
「そこまで言われちゃ、受けない訳にはいかねえな!」
 青年は大袈裟に頷いて見せた。
「この際だから、目一杯楽しく、気持ちよく戦いましょ!」
 すぐに他と距離を取り、2人は真正面から睨み合う。
 次々と対戦が決まっていく中……
「テメェが出し切る前に終わるっつってんだよ……早く来いボケぇ!」
 変わらず火車と睨み合う佐和に、拓真も挑戦状を叩きつけた。
(宮部乃宮とは、対戦者の取り合いになるか……だが、俺も譲らんぞ!)
 己が全てを掛けた、全力の戦い。
「何者にも邪魔されず、戦いに興じたい! 強さを求める求道者として!」
「逃げんならどーぞ? タイマン張れんような臆病モン用ねぇよ」
「んだと! こっちは2対1だって」
「ちょっと高羅! ずるいよ!」
「ん? ああミーシャが余ったのか」
 呼び方に抗議するクマデュラを抑え、佐和は2人向き直った。
「じゃあ、ここだけタッグって事でどうよ?」
 拓真と火車は視線を交わした後……拳同士を、ぶつけあった。


●ぐるぐの戦い
「やられる前にやれタイプ? やーね、怖いね!」
「その口調が寧ろ怖んだよ!」
 リミッターを解除しながらデュラの青年が叫ぶ。
「さぁさ楽しく遊びましょ?」
 口上ついでに脳の伝達処理速度を高め、ぐるぐは相手の出方を窺った。
 渾身の一撃を受けながらも、自信を持たせぬようにと表情は変えない。
 動きを分析し、行動を予測しながら隙を付くように攻撃。
 ついでに相手のリミッターを再セット。
 きゃっきゃと無邪気に遊ぶ態度で、精確な攻撃を繰り返す。
 もっとも青年の方とて、驚きはしても怯みはしない。
 限界の範囲内で渾身の力を籠め、破壊的な一撃をぐるぐに叩き込む。
 相手が消耗しつつも毒を打ち消したのを確認すると、ぐるぐは攻撃を直接的な物のみに変更した。
 急所を見抜き、タイミングを計り、時折予測しての先読み攻撃も交ぜて。
 こちらの動きに目を慣れさせないように。
 ペースを崩させ、勢いを削ぐ。
 回避の方も相手の動きを見て、体格差も利用する。
 姿勢を低く掻い潜り、続いて羽も使って低く跳躍し、直撃を避け、負傷を和らげて。
「どったのお兄さん? もう疲れた? 休憩いる?」
 運命の加護すら彼女にとっては、誤魔化しの……本気の悪戯の、一手段。
 能力をフル活用して、彼女は自分の姿を目の前の相手に似せてみせた。
 よく見れば細部は違うのだろうが、相手にそんな余裕はない。
「本当の俺はこうだ」
 声も、それらしく加工して。
 揮った斬撃が彼女の斬撃が、青年の膝を地面に付けさせた。


●禅次郎の戦い
「余り者同士仲良くやろうぜ」
「べ、別に私は余った訳じゃないわよ! 勘違いしないでよね!?」
「ああ、すまない」
「……べ、別に怒った訳じゃないわよ」

 そんなやり取りの後、禅次郎はフィクサードと向かい合った。
 動きは相手の方が早い。
 彼女が自身の守りを固めるように能力を使うのを確認しながら、禅次郎は生命力を呪いの力へと変換した。
 自身の力と呪いの力を、銃剣へと籠め突きを放つ。
 刺突が相手の守りを破り傷付けるのと同時に、その一部が自身に跳ね返ってくる。
 それに乗ずる事なく、彼女は自己治癒の力を自身に付与し態勢を整えた。
 勝気な態度はしていても、自分の力というものを理解しているのだろう。
 負傷を減らすようにするクロスイージスと、攻撃の為に生命力を消耗し、その消耗すら攻撃力へと変え攻撃し続けるダークナイト。
 自身の痛みを呪いに変えて禅次郎が放った刻印が彼女を傷付け、受けた傷の一部が禅次郎へと跳ね返る。
 もっとも、彼女の攻撃の方は、禅次郎とって脅威ではなかった。
 もちろん禅次郎の攻撃も、相手の防御を易々と破れる程に強力では無い。
 それでも両者は戦い続け、徐々に傷付き消耗していった。が、
「このままじゃ千年戦争(ワンサウザンドウォー)になりそうだ。どうだろう、此方は双方引き分けで手を打たないか?」
 暫く戦ったのち、禅次郎は停戦を提案する
 色々反論等は出たものの……最終的に、彼女はそれを受け入れた。

●ロアンの戦い
「さて、懺悔の時間だよ。言い残す事はあるかな?」
 自身を援護する影の下僕を作り出して、ロアンは大人しげな少女に語りかけた。
「踊ろう、お嬢さん。お手柔らかにね? それとも僕が怖い?」
「……怖くない、といえば嘘になりますが。誘いを断るような事はしません」
 防御態勢を整えていた少女は、癒しの力を自身に付与し戦闘態勢を整える。
「お先にどうぞ?」
「……後悔しますよ」
 レディファーストと彼女に奨めれば、少し怒ったような表情をして少女は距離を詰めた。
 重い一撃が青年を打ち、力を実感しながらロアンは意識を集中させた。
 相手が格上とすれば、勝機は相手の回復を封じられるか如何か、だ。
「僕を刻み続けてあげる」
 黒色のオーラで創りだした凶器を、青年は少女に叩き込んだ。
 直後、攻撃の一部が跳ね返るようにしてロアンを傷付ける。
 それに一瞥をくれ、青年は微笑んだ。
「君に近づけるなら安いものだよ」
 チップにするのは僕の運命。
「さあ、どちらが先に倒れるか勝負といこう」
 狙いを定めながら青年は攻撃を続け、少女も攻撃を積み重ねていく。
「君はそうでもないのかな? でも、こっちは殺す心算でいくからね――!」
「……どうぞ、お構いなく」
 凶器が少女を抉り、重撃が青年を打ちのめす。

 先に倒れたのは……ロアンだった。
 それでも。
「アークの力はこんなものじゃないからね……残念でした」
 不敵な青年に、少女は怒ったような表情で口にした。
「……次は、レディファーストなんて言わせませんからね」


●暁穂の戦い
「わたしは鳴神暁穂。わたしのコブシはシビれるわよ!」
 タイマンを受けた相手に対する暁穂のやる事は、たった1つだった。
 戦える限り。
 武甲・蒼雷に籠めたオーラを雷気へと変換し、手甲に包まれた拳を目の前の青年に叩き込む。
 反撃とばかりに青年の真っ直ぐな拳が、暁穂に叩き込まれた。
 暁穂は再び振りかぶり、闘気を手甲に、拳に籠める。
 構えは取らなかった。
 相手が取らないなら、自分も取らない。
 或いは相手も……彼女が構えを取らないから、取らないのか。
 それは分からない。
 むしろ、どうでも良かった。
「わたし、今すっごい楽しいわ!」
 自身の限界を超える程の強烈な一撃を叩き込みながら。
 飾り気のない、真っ直ぐな一撃を叩き込まれながら。
 彼女は本当に、心の底からそう思いながら。
「あなたはどうかしら!」
 問い掛けながら、拳を振るう。
「見りゃ分かるだろ!」
 殴られ殴りかえしながら、青年は断言した。
「最高って事だよっ! 」

 タイマンが無理になった時の事も色々考えていた。
 範囲攻撃、狙う優先順位、仲間との協力。

 けど今は、そんな事は考えなくていい。
 先にある全てを打ちのめす様な、真っ直ぐな拳を、運命の加護で耐え切って。
 放たれた渾身の一撃が、青年を地面へと打ち倒した。

●イスタルテの戦い
「私の方が火力は低いでしょうし……持久戦に持ち込まないと辛そうです」
(回復も上手く使わないといい的になっちゃうかも……)
 身体を動かす事とは別の理由で汗が滲む。
 戦いながらイスタルテは相手の攻撃を確認していた。
 攻撃が自分の回復力を上回るなら、傷を癒す意味は無い。
 相手の消耗が大きく短時間で力尽きるならともかく、そうでないなら自分が倒れる時間を多少遅らせるだけだ。

 直撃すれば回復を上回る。
 直撃しなければ、回復は追い付く。
 それがイスタルテの分析結果だった。
 自身の回避能力を考えれば半々か、多少歩が良いくらいの確率で直撃は避けられそう。
 そう判断し、彼女は回復を行いながら戦闘を続行する。
 スキルでは無く、カスタマイズした武器の力を利用して。
 直撃しづらいと感じれば、充分に照準を合わせて。
「しまったっ!?」
 直撃によって相手の動きが鈍る。
 狙いの衰えは銃弾の威力を半減させ、続くイスタルテの早撃ちから逃れる力をも減退させた。
 それでも、油断することなく。
 彼女は攻撃と回復を繰り返しながら、戦いを続けていく。

 やがて……打ち倒された青年は、大きく息を吐きながら宣言した。
「完敗だよ……ちくしょう」


●壱也の戦い
「羽柴壱也、行くよ!」
 ギアを切り換え速度を上げる三沢に対し、壱也は真っ向から斬りかかった。
 雷気を帯びた斬撃を青年は完全には避け切れない。
「すごいね、その若さで」
 呟きながら三沢は、幻惑するような動きから刺突を繰り出す。
 隙を突かれ直撃を受けたものの、壱也は怯む事なく自身のリミッターを解除した。
「わたしはまだまだ強くなるよ! 粘り強い戦いなら負けないんだから!」
 再び闘気を雷へと変換し、壱也は斬撃を放つ。
 その攻撃は直撃せずとも相手を警戒させるだけの破壊力を持っていた。
 限界を超えた力で身を傷付け、それすらも再生能力で癒しながら少女は己の武器を振るう。
 直撃を避けながら的確に攻撃を重ねていく三沢と、自身の破壊の力と再生の力を只管に信じて武器を振るう壱也。
「わたしは負けない! この心が動く限り、戦い続ける!」

 削り合いとなった両者の戦いは……最終的に、三沢に軍配があがった。
 三沢の攻撃に加え圧倒的な力の行使の反動によって、壱也の身体が先に限界を迎えたのである。
 それでも、すべてを出し切ったという表情で。
 壱也は大きく息を吐いた。

●拓真と火車
 ギアを切り換える佐和に対し、拓真は二式天舞を真っ直ぐに構えた。
「……俺の、最高の一撃を以てして終わらせる」
 そうであればこそ、己の望む物を掴み取れる。
 構えは上段、心は静かに。
 火車が全力で炎を纏わせた拳を振るえば、青年は高速でそれを回避した。
 続いたデュラの少女も、限界を解除し戦闘体勢を取る。
 佐和が圧倒的な速度で連続攻撃を繰り出し、真っ向から受け止めた火車が炎の拳を振るう。
「ウソだろ……? この程度の実力で粉かけてきたってのか? あぁ!?」
「手前ぇこそ空切ってばっかじゃねえか! 扇風機かっ!?」
 速度を乗せた斬撃を浴びつつ、火車はそこから異常な角度で打撃を放つ。
「遊びじゃねぇんだボケが!」
 2人がぶつかり合い、直後、風が唸りをあげた。
「ちゃんと避けなよ? 高羅!」
 少女が巻き起こした烈風で、諸共全員を薙ぎ払う。

 その戦場で。
 拓真は上段に構えたまま、意識を集中させていた。
 小細工はしない。全てを籠める。
 負傷も意に介さず感覚を研ぎ澄ませ……斬撃を放った、佐和に向けて。
「我が最高の一撃、受け切れるか──!」
 ただ、真っ直ぐに。
「……ぅ、負けられっかよ!」
 揺らぎながらも倒れず、火車の拳も堪えた青年は続けて斬撃を放つ。
「得意技……ってのはあんのかい?」
「あん?」
「察し悪ぃな! 受けてやるっつってんだ!」
 気を制御し構えを取りながらの、火車の挑発。
「……手前こそ吠え面かくなぁ!!」
 即、応じた佐和の斬撃が光の軌跡を描き、無数の刺突が火車の体を貫いた。
 それをただ、意地で堪え抜いて。
「……次はオレの番 って事で良いよなぁあ!」
 揮うのは同じ、炎の拳。だが……
「なっ!?」
 先刻までとは比べものにならない……起死回生とでも呼ぶべき一撃が、佐和を真正面から叩きのめした。
 もっとも、フィクサードたちは怯まない。
 火車と拓真も、言うまでもなく。
 4人の激突は……最初に佐和が倒れた。
 続くように拓真が膝をつき、最後に少女が打ちのめされる。
 そして。
 最後まで立っていた火車が吼えるように、拳を握りしめた。


●終わりの前
「改めて名乗るわ。わたしの名前は鳴神暁穂」
 また、いつか戦いたいから。
 暁穂は拳を交えた青年に向かって、改めて名乗りを上げた。
「いずれこのコブシで有名になってやるわ!」
「……次は負けねえぞ」
 そう言って青年は暁穂と拳を突き合わせる。
「……どうやら君たちの勝ちみたいだね」
「アークは強いよ、絶対負けないから」
 三沢の言葉に壱也はそう答えてから、付け加えた。
「でも楽しかったよ、ありがとう」
 こういった挑戦は大歓迎だ、何時でも受けて立つ。
 拓真もそう、佐和たちへと伝える。
(『ケンカが終ればダチ公だ』って爺ちゃんが言ってたな……)
「ノーサイドって事で皆で飯でも食いに行くか?」
「まだ火が付いてるのいるし、無理なんじゃない?」
 禅次郎の言葉に、戦ったクロスイージスの女性が首を振って……指さした。

「まだヤル気ある奴、居るなら全部来いよ!」
 叩き潰してやるからよぉ!
 火車が叫び、ぐるぐも動ける者を勧誘する。
「二次会如何です?」

 溜め息をついて。
「……何かテイクアウトとか買ってくる?」
 妙に現実味のある台詞に頷きを返すと、禅次郎は動けそうな仲間たちへと声をかけた。

 祭りは……もう少しだけ、続きそうだ。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
依頼の方、お疲れさまでした。
フィクサードたちとの話し合いの結果、戦いは8人での7本勝負となりました。
勝負と、その前後でのやりとり。
どのような流れを経て、どのような結果に辿り着いたのか。
それらの描写に注意して、執筆させて頂きました。

御参加、ありがとうございました。
8人8様という形で、皆さんはフィクサードたちの心に自分を刻み込んだのではと思います。

それでは、また御縁ありましたら。
よろしくお願いします。