● 「皆さん、死んだあとも神秘の力で無駄に生きた貴方達を有効活用する時間がやってきました」 白衣を着た男が自分の目の前で隊列を組むE・アンデット達を見渡しながら言う。 服装も、年齢も、性別も、そして死体の腐敗具合も全てがバラバラな中全員の首につけられている首輪だけが統一されたアンデット達が並ぶ姿は出来の悪いホラー映画のようだ。 「今回の皆さんへの指令はアーティファクトの奪取です」 普通、E・アンデットの集団を目の前にしてこのように無防備に演説や指示などしようものなら即座に襲われて自分も死体の仲間入りをするものなのだが、男にそんな心配をする必要等微塵もない。 男は右腕にはめた金属製の腕輪を左手の指で撫でながら尚も言葉を続ける。 「貴方達はこの任務を持ってただの蘇った死体から研究の礎という意味を与えられるのです」 言葉を発するにつれて恍惚とするその姿は他人が見ていれば人格を疑うようなものだがこの場にそれを見とがめる者などいない。 「それでは皆さん……『行きなさい』」 しばらく続いた演説の終わり、男が最後に力ある言葉を発すると濁っていたアンデット達の瞳に不思議な光が灯り、そしてゾロゾロと規則正しい隊列を組んだまま何処かへ向かう。 後に残されたのは、アーティファクト使用の代償に体の中の大量の魔力と生気を持って行かれ脂汗を流す男のみ。 「はぁっ……はぁっ……流石にあの数を一度に操るのはキツイですか……」 息を整えながら一人呟く。 「しかし……アレが手に入れば所長の研究も一歩進むはず、其の為ならばこの程度、安いものですね」 自分の命を削って尚研究の為ならば安いと言えるその狂気。 ――紛うことなく、正しい意味で男は六道の一員だった。 ● 「六道のフィクサードが、動いた。皆、対処してきて」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)の言葉に集められたリベリスタ達の緊張が高まる。 リベリスタの真剣な眼差しを受けたイヴはさらに続きを語る。 「場所は博物館。目的は此処に安置されている宝玉型のアーティファクト、名前は『紅玉の瞳』」 「効果は?」 「人間の血を捧げることで、その量に応じた魔力を放出する」 元は魔術儀式等に用いられていたものがどういう訳か今は博物館の展示物になっていたらしい。 「この予知を受けてアークは『紅玉の瞳』を近日中に時村財閥経由で引き取ることを決定した、けれどそうする為には今回の六道による襲撃を防ぎきらなければならない。 六道側はアーティファクトを使って複数のE・アンデットを博物館に向かわせて来ているから、今から行けばE・アンデットと鉢合わせする形になる」 「つまり、俺達が向かってきたE・アンデット達を倒せばいい。と」 「そう言うこと。進行性革醒現象があるから、討伐も必須。 戦闘時間は閉館した後、深夜。無駄に警戒させない為に照明が落ちているのに注意。 警備員や一般人はこちらで手を回して建物から退避させるから電源を操作してもらうことも出来ない」 勿論、人手を裂けば参戦は遅れるが電気をつけることは可能だ、とイヴは博物館の見取り図を示して言う。 「E・アンデットはアーティファクトの回収を最優先に行動する。 敵はフェーズ1がメインだけど、フェーズ2の強力な個体もまぎれているから、気を付けて」 了解の言葉と共に背を向けて歩き出すリベリスタ達の背中にイヴが声をかける。 「あ、周りの美術品に大きな被害が出ないようにしてね」 そう最後に言ってイヴはリベリスタ達を見送った。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:吉都 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年10月01日(月)23:15 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 誰も居ない夜の博物館。 展示品を守るために採光量を落としているその建物は陽が落ちた後でもしっかりと月光を妨げている。 そんな昼間の穏やかな賑いを忘れたような中にリベリスタ達が駆け込む。 「どうやら間に合ったようだね」 軽く息を切らせた『九番目は風の客人』クルト・ノイン(BNE003299)の暗視ゴーグルで確保された視線の先には六体のアンデット。 アンデットにあるまじく統率のとれたその姿は彼ら、彼女らの背後にいる何者かの姿を容易に想像させる。 「死者に鞭打つ所業、だな」 『闇狩人』四門 零二(BNE001044)がアンデット達の昏く染まった瞳と、首元を締め付けている首輪を見て怒気の籠った言葉を漏らす。 「死者に眠りを許さないなんて……」 死した後は穏やかな眠りにならなければいけないと、『Manque』スペード・オジェ・ルダノワ(BNE003654)は零二の隣で目を伏せる。 「フィクサードがアーティファクトを手に入れようとする。 非合法に入手しようとすることといい、そのやり方といい、良からぬことに使おうとしていると知れた物です」 『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)が剣をアクセスファンタズムから抜き出す。 それを敵対行動を受け取ったのか、アンデット達の瞳がより一層怪しく光る。 「そろそろ、お願いします」 その敵意を受けて、一行の最後尾にいた『おとなこども』石動 麻衣(BNE003692)が繋ぎっぱなしにしていたアクセスファンタズムに声を投げる。 「了解、3、2、1。点灯」 『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)の素気のないスリーカウントが零になると同時に大きな照明が点く瞬間特有の音と共に真っ暗闇だった展示室に人工の明かりが煌々と灯る。 そうして闇が完全に退けられると、『八咫烏』雑賀 龍治(BNE002797)は照らす必要の無くなった懐中電灯のスイッチ切り、代わりに自らの獲物である火縄銃を構える。 「さぁ、狩りを始めよう」 その言葉が言い終わるよりも早く、風が吹いた。 ● 「ちぃっ……!」 誰かがうめき声を上げる。 龍治の言葉と共に始まった戦闘の中で動いたのが敵である風狐だったからだ。 しかし、それは元からスピードに特化した仕様である風狐を前にして一行の中で最も移動速度の速いユーヌを電源の操作に回した以上、半ば確定していたことだった。 駆け出した風狐は無言のまま展示室最奥のガラスを拳で突き破る。 その様子を見ていた零二が眉を上げたのはアーティファクトが敵の手に渡る様子を見せつけられたからか、はたまたかつての作家達が残した叡智に傷が付いたことを悲しんでいるのか。 だが、元よりただアーティファクト奪取の為に動くアンデットに他の展示品を気遣う心遣い等ある訳もない、容赦なく飛び散ったガラスが展示品に傷を付ける。 そんなことは関係ないとばかりに風狐は台の上に鎮座しているアーティファクト―――紅玉の瞳を掴む。 「っ!」 続いて動いたのは『戦奏者』ミリィ・トムソン(BNE003772)。 彼女は風狐が動く前に近づけなかった時、特にアーティファクトを奪取した場合はその風狐の動きを止めるためのスキルを放とうとしたのだが、彼女の手のひらに神秘の閃光弾は生まれない。 故に彼女は現状での最適解により近付こうと少しでも風狐達の動きを止めるため掌から光を放つ。 それは一番最初に選択しようとしていたスキルよりも効果は薄いが確実にアンデット達の動きを鈍らせるものだ。 だが、巨大な両手盾を構える塊が光と風狐の間に立ちはだかる。 掲げた盾と、彼の体によって遮られた光は風狐までは届かない。 どうやら塊は風狐の守りに徹するようだと判断したクルトが未だに光から風狐を守る構えを解いていない塊に近付く。 「行くよ!」 捻りを加えた掌打を盾の脇をすり抜けるようにして塊の腹部に打ち込む。 塊の着ているクロースに触れた瞬間、クルトは自らの中で練った気を放出する。物理的な衝撃よりも気による内部破壊を重視した一撃は塊の持つ強固な盾と彼自身の鍛え上げた防御力を素通りしてダメージを与える。 「どうやら君は砕き甲斐のある相手みたいだね」 攻撃の残心から素早くニュートラルの構えに戻ったクルトの前には今だ圧倒的な威圧感を湛えて立ちふさがる塊がいた。 そうしてクルトが塊と立ち会いを始めた時同じくスペードもまた翠の前に立つ。 「こんばんは、翠さん」 優しく、礼儀正しいスペードらしいジリジリとした雰囲気の漂う戦場に似つかわしくない挨拶。 「………」 だが、それを受ける翠の瞳は茫洋としたまま何の感情も湛えずにスペードに対して武器を構えた。 それを見たスペードは思わず胸を痛める。 革醒者の見た目と年齢は比例しない場合も多いが、着ている服を見るに翠はまだ自分よりも年下だ。 そんな彼女が死んだ後も六道の手によってその死を貶められているという事実と、自分にはそんな彼女を救う力がないという事実。 二つの厳然たる事実がスペードを苛む。 「ごめんなさい……」 形の良い眉と、左右の色が違う瞳を伏せる。 スペードにとって何より辛いのは、このままではより多くの犠牲が出るかもしれないから、と言う理由で現状六道の犠牲者である翠を自分達の手で殺さねばならないという事実。 「私が、貴女にもう一度新しい死を差し上げます」 スペードが決意を口にして剣を振る。 剣を振り切った軌道から溢れだした闇がスペードの目の前にいる翠と、フェーズ1のアンデット一体を巻き込む。 識別名の付いたフェーズ2のアンデットよりも幾分身体能力が落ちるフェーズ1のアンデットは闇の中に飲まれる。 翠も一瞬差で同じ様に闇に飲まれようとするが体に絡みつく闇を払うように手に持つナイフを動かすとナイフから現れたオーラの糸が同じようにオーラで作られたスペードの闇を切り裂いた。 「どこも苦戦しているようだ」 「そのようですね」 スペードが攻撃に巻き込まなかった二体のフェーズ1アンデットをそれぞれ抑えている零二とアラストールが声をかけあう。 クルトとスペードが塊と翠にかかりきりになり、ミリィが風狐の方へ向かっている以上、他の場所への手助けに回れそうな前衛は自分達のうちどちらかだということを二人は良く理解している。 だが、風狐の逃走を助けるため零二とアラストールを押し込むように銃での射撃と肥大化した腕での攻撃を行ってくる二体を見逃すことも出来ない。もしこのままこの二体を、もしくはどちらかのアンデットを見逃せば自分達よりも耐久力に劣る後衛達にアンデットが向かおうであろうことが容易に想像できるからだ。 「此処は任せろ、と格好よくいいたいがね」 零二の一撃は其れだけで複数の敵に攻撃が走る。 絶大な威力を誇る剣は一体の片腕ともう一体の脚を斬り飛ばすが最早痛覚もない死体はそんなことでは止まらない。 「一体切り捨ててしまえばいいでしょう」 アラストールが最後に行動を止められた仲間が居ないことを一瞬辺りに視線を走らせてから確認した後に攻撃を放つ。 「オォ……」 先ほど腕を斬り飛ばされたアンデットが追撃を貰ってグラリと揺れるがまだ倒れない。 アーティファクトは未だフェイクサード側の手に握られたまま、乱戦が進んで行く。 その中で窓のない展示室に風が吹く。 風狐が自分の仲間に抑えられたリベリスタの間を擦り抜るように駆け抜けた。 周りのアンデット達が戦っていても風狐はそれらを一瞥することなくただ疾く駆ける。 目指すは出口、そこを抜ければ風狐は与えられた任務を達成出来る。 「逃がすものか」 だが、そんな一途な逃走を見逃す程リベリスタも甘くはない。 言葉と同時、身を低くして疾走の体勢を取っていた風狐の頭が跳ねあがる。 其れを為したのは出口を目前にした風狐の前に立ちはだかったのは龍治だ。 「まっすぐ突っ込んでくる相手を打つこと程楽なことはないな」 窓をあまりつくらない博物巻の構造が幸いしていた。 後詰めの後衛達が出入口一つ押さえれていれば風狐を通すこと、引いては紅玉の瞳を持っていかれることもない。 ただし、抑え役に回った後衛が倒れなければ、という前置きが付くが。 風狐達アンデットの目的はただ一つ、アーティファクトを主のもとへ届けること 故に彼女は目の前に龍治が立ちはだかった時、その行動原理に基づいてシンプルな行動を取った。 「―――!」 先程の龍治の攻撃で額から溢れるように流れる血も、赤く染まった視界も気にせず太ももに縛りつけた鞘からナイフを抜き、龍治に拘束かつ連続で突き刺す。 ナイフを抜いた際に溢れる血の滴を切り裂いてもう一度ナイフを突き出す。 それは洗練された剣術等ではないが、恐らくは風狐の体に残っていた得意技を再現した物なのだろう。 「これは、キツイな」 元より前に立つ仲間よりも体力の少なく、装甲も厚くはない龍治はその一撃だけで自分の体力の半分以上のダメージを受ける。 だが、風狐の刺突の雨はそれだけでは止まない。 ライダースーツに包まれた体が再び動く。 突きの雨は嵐となって龍治の体を包む。それは容易に龍治の体力を全て奪い去っていく。 龍治も敵の前に立ちはだかる以上覚悟はしていたがその攻撃は想像を上回っていた。 「龍治さん! 大丈夫ですか?!」 倒れ行く龍治に麻衣が回復を飛ばす。 「あぁ、問題ない」 龍治はそう言うが、彼は地面に伏す寸前にフェイトを燃やして火縄銃を杖のようにしてかろうじて立つその顔色は優れない。 風狐の攻撃は終わったが、他のアンデット達が龍治に攻撃すれば今度こそ彼は倒れるだろう。 「何やら、随分と押されているようじゃないか?」 リベリスタ達が俄かに危機に陥った中、今まで戦場の中になかった声が響く。 戦いが始まってから二〇秒か、三〇秒か。 バトルスーツにマントを棚引かせるユーヌが、其処にいた。 ● 戦況はリベリスタ側へ動く。 ミリィが風狐に追いついた後、彼女の指示によってリベリスタ側の体制が立て直されたからだ。 「零二さん、アンデットにトドメを!」 力ある声は、言葉以上の力を持って仲間の背中を押す。 「任せろ」 言葉少なく了解した零二が空中で剣を一閃する。いや、一閃に見えたというべきだろうか。 一度の攻撃がアンデット二体を打った。 零二の目の前にいたアンデットの上半身と下半身が別れ、少し遅れてアラストール側のアンデットも同じように倒れる。 「アラストール、キミはスペードの元へ行きたまえ」 「そうだな、私の方が適任だろう」 アラストールが鞘を掲げる。 祈りの結晶たるそれはアラストールの力を媒介にして奇跡を起こす。 「ありがとうございます」 アラストールが発した温かな光はスペードに絡みつき、彼女の動きを阻害していた糸や引き攣る傷を溶かす。 「翠さん、これで終わりにしましょう」 万全の状態となったスペードに比べ、凄まじい精度で飛ぶ龍治の援護射撃に翠や塊、残ったアンデット達は体を削られている。 これ以上、傷つけるのも、傷付いて行くのを見るのも辛い。 地面に突き刺したスペードの青い剣、Manqueから闇が立ち込める。 彼女が運んだ闇は、翠ともう一体のアンデットに新しい傷を作ることなく二人を飲み込んだ。 「全く、どれだけ頑丈なんだい」 一方でクルトは岩に攻撃を撃ち込んでいるような気分だった。 防御を無視する攻撃を三度打ち込んでも効果は現れず、ならばと氷の拳や他の敵を巻き込む様にした風の刃も試したが堅牢な盾はその全てに耐えた。 だが、自分も苦しければ相手も苦しいのだと自らに言い聞かせてクルトは攻撃を打ち込み続けていた。 「でも、やっと苦しそうになってきたよね」 零二が来て、二人で攻撃を撃ち始めてからはより手ごたえを感じるようになっている。 「楽しかったけど、そろそろ終わりかな?」 クルトが構える。それは最初と同じ掌で相手を打つ構えだ。 「行くよ!」 地面を踏みしめる足、捻りを加える腰、力を伝える腕。 渾身の一撃は何度もクルトや、零二の攻撃を防いできた盾を砕き、それでも勢いは死なないまま塊の腹部に再び突き刺さる。 今まで攻撃を幾度受けても揺るがなかった塊の体をくの字に折り曲げる。 最初とは違い、クルトが掌打の残心から踵を返し塊に背中を向ける、走りだしたクルトの背後で塊が倒れる音がした。 「素早しっこい奴だな」 ユーヌの拳が宙を斬る。 それを身を翻して避けた風狐に向けて、ミリィは杖を薙ぐ。 体を打たれた風狐は床を転がるが、その眼はユーヌとミリィの背後にある出口しか見ていない。 風狐は自分の速度を生かし、時に二度ナイフを動かして自分の行く手を阻む二人を倒さんとする。 「させませんよ!」 しかし、それを麻衣が回復することで風狐の思惑を阻む。 「……」 風狐がちらりと後ろを見る。 既に自分の部下のアンデットと翠は倒され、塊も時間の問題のようだ。 それを確認した風狐はナイフを握り直して地面を蹴る。 恐らくこれで二人を抜けなければ自分の任務は失敗するだろうということが分かっているが故の行動。 「最初に言うただろう」 その行動を見た龍治が絶対零度の声を上げる。 「真っ直ぐ突っ込む奴を撃つほど容易いことはないと」 一条の火線が横から風狐を撃つ。 狙い澄ました一撃によってスピードが落ちた風狐の前にユーヌとミリィが立つ。 「色々と不運だったな。まぁ、これで終わりにしてやるが」 「今の、死体となっても戦いを強いられる貴女を止めてあげます」 風狐が再びナイフを振り抜く前に、ユーヌとミリィの攻撃によって彼女は倒れた。 ● 「コレ以上は知識を持った者に任せるべきだろうな」 戦闘の跡を片づけていた零二だが最初に飛び散ったガラスや、その周りに設置されていた展示物に関しては自分が下手に触らない方がいいだろうと判断し、そこで手を止める。 「これが六道の狙っていたアーティファクトか、さっさと砕いていれば後腐れもなかっただろうに」 それも今となっては詮無きことかと紅く輝く宝玉を元の安置場所に置き直すユーヌ。 「これがさっきまで動いていたんだねぇ……此れが操作用のアーティファクトかな?」 首輪を摘み上げたクルトは残った繁々とそれを見る。そして、確証はないが、これはアークのラボに回しておくべきだろうと回収する。 残った死体は体が腐敗していたり、戦闘のせいで傷が付いていたりというひどい有様だったが、スペードはその隣に膝をつく。 一人一人の瞼を閉じて、腕を胸の上で組ませる。 最後に、翠の瞼を閉じた後にそっと祈るように自分の手を合わせる。 「―――おやすみなさい」 せめて安らかな眠りを。 そう願いながら、スペードは彼らを永遠の闇の中へ送り出した。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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