● サマーバケーションが過ぎ去った。関係ないけど熱海の暑い夏も過ぎ去った。 そうは言っても夏は暑い。残暑だと言うのに暑い太陽が責めてくる。此れには農家のおじいさんもつい座りこむレベルである。 畑仕事はそろそろ佳境を迎えていた。この際このおじいさんが何を育ててるかなんて気にならない。 「パカァ……」 「……」 VTRをもう一度ご覧いただこう。 「パ→カ↓アァァァァ……」 この低音ボイスというか夜のとっても素敵(はぁと)なネオン街では『やだー! アルパカちゃん素敵ー!』なんて言われちゃうようなお声で鳴いている生物はなんだろうか。 とっても聞き覚えのある鳴き声なのだが、まさか、此れは―― 「お、王じゃ……」 おい。農家のおじいさん。 この何とも言えない王の威厳。流石はアルパカ界のキング。ナウなヤングもイケイケで以下略な感じである。王が幾つかなんて皆目見当も付かないが。 しかも、流石は王。イケメンだった。『ちょっと』イケメンな切なげなアルパカとはちょっと違う。 イケメンだったのだ。 このアルパカはエリューションだった。すげぇ悪いかは置いておいてエリューションだった。このままだったら畑仕事が出来ない。しかもキングだ。強そうである。 キングアルパカがその王者の風格を感じさせる声で鳴いた。何故か周囲にはキングより小柄なアルパカが集まってきた。 蛙の合唱ではない、アルパカの大合唱が始まっている。このままではおじいさんが危険だった。パカァのゲシュタルト崩壊が起こってしまう。 所で、おじいさん、なんでアルパカのキングって事が分かったんですか? 「お、王冠が乗っておる……」 しかも、でかい。 ● 「畑を荒らす輩がいるの。農家の迷惑になるから倒さなくちゃね。アルパカ」 凄まじく真面目な顔をした『恋色エストント』月鍵・世恋(nBNE000234)。顔と言葉が合っては居なかった。 畑を荒らすのは確かに悪い事である。だが、その倒す対象が、可笑しかった。 「アルパカよ。しかも王者なの。キングアルパカ。王者だけあって強いわ。突如現れた王者だからね」 「お、王者……」 「王者だけあってでかいわ。キングアルパカはエリューションだからその他に普通のアルパカを連れてるわ」 臣下アルパカってところかしら?と彼女は首を傾げる。 別に王であろうが臣下であろうが関係ない。此処で関係するのはそのアルパカの強さであった。 キングアルパカはでかい。頭に王冠を乗せ、大きめである。 臣下のアルパカはキングアルパカにつき従い、常に王を庇う傾向があるらしい。アルパカのくせに連携がとれている。畜生。 「しかも……強いわ」 「強いのかよ」 「なんたって、アルパカですからね」 臣下アルパカは二種類いる。そして王者が居る。 王者は世界が嫉妬する程サラサラなスリなので臣下スリの方が強かったりもするという豆知識を世恋は告げていた。 「あ、ちなみに農家のおじいさん、攻撃されたら吃驚してポックリ☆しちゃうかもしれないから気をつけてね」 護る対象までいた。 秋が、遠い。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:椿しいな | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年09月15日(土)23:47 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● \突然の王様パカァ!/ 「どうして、こうなった!」 『花縡の導鴉』宇賀神・遥紀(BNE003750)は色違いの瞳で真っ直ぐに目の前の白いもこもこを見つめる。 彼の記憶の中のアルパカは白くてもこもこしてのんびりしていて可愛い草食獣。だが、目の前のアルパカは序列が合って、何より最高位たる王が存在している。 「……吃驚だよ」 (・´ェ`・)<世は無常だろ? 彼女――否、可愛らしいゴシックロリータに身を包んだ『Dual identity』小鳥遊 京(BNE000880)はふと考える。 何だろう、こいつ、すっごくイラッとする。 「……いや、人によっては可愛いと思うだろし、娘は好きそうなんだが……」 サラッとした手触り。世界が嫉妬する程のサラサラ具合。頭の上に王冠まで乗っているその姿。異常にむかついた。 少女の様な外見をしているが此れでも娘が居た事のある立派な男性である京の心はサラサラの毛であるとか妙にイケメンなアルパカによって荒れていた。 「討伐、そうか、討伐か」 あの、も、もしもし……? 「全力で遂行するとしよう……全力でだ」 何故こうもアルパカは人の怒りを買うのか。良く分からないが此処に殺意を湛えている一人の中年男性(読み・びしょうじょ)がいた。 ――ならば少女はアルパカが好きなのか? 「わああ! アルパカ可愛い!」 高校二年生になった『囀ることり』喜多川・旭(BNE004015)の瞳が輝いている。目の前には沢山のアルパ→カァ↓。 「パ→カァ↓」 普段なら『くわっ』と言う『みにくいあひるのこ』翡翠 あひる(BNE002166)の瞳は目の前のドヤ顔に釘づけである。作物を育てている畑であるはずなのに何をどう間違ってこんなにもアルパカ畑なのか。 右を見ても、左を見ても、どこを見てもアルパカだらけ。ドキッ☆アルパカだらけの大運動会☆状態である。 「キングアルパカァ……人一倍、いえ、アルパカ一倍輝いている……!」 何故か彼女はアルパカの気品を感じとっていた。そして、その毛並みの良さも一瞬で見抜いた。 恐るべしあひる。 「キング、そう、キングなのです」 セルフで魅了されている『紡唄』葛葉 祈(BNE003735)の瞳はキングアルパカに釘付けであった。キング――王の名前を冠する至高のアルパカが目の前にコンニチハしているのだ。 「嗚呼――その声は全てを魅了し、彼の持つ毛並みには世界さえも嫉妬してしまう」 うっとり。祈の目はアルパカ色に染まっていた。恋する乙女の如くもふもふに見入る彼女の隣で本日の人類側の王様、『百獣百魔の王』降魔 刃紅郎(BNE002093)が重い腰を上げた。 「アルパカ……面妖な面構えよな」 人類の王のオーラがアルパカを圧倒している。だが、其れに屈しない人一倍――否、アルパカ一倍でかいアルパカの姿。 \念願の、キングアルパカ!/ 祈の黒目がちの瞳が歓喜の色に染まっている。そう、刃紅郎に屈しないのはアルパカの王たるキングアルパカ。 「アルパカ……たかが草食系、肉食系+王様系である我に敵う筈が無しよ」 今ここに切って落とされたのはアルパカの王と人類の王の戦いなのだろうか。 農家のおじいさんがそっと後ろで刃紅郎を拝んでいた。嗚呼、ありがたや……。 ● 「農家の方に迷惑をかけてはダメですよ」 何故にアルパカなのか。『歌姫』宮代・紅葉(BNE002726)の疑問に対しておじいさんは首を傾げた。それはおじいさんも聞きたい事だったのだ。まだまだホットな太陽がこんにちはしている畑。『\走り寄る伊藤/』伊藤 サン(BNE004012)は拳を固めた。 「農業を邪魔する輩は赦せぬ……! 幸せな食卓を支えてくれる農家さんを困らす輩は――」 彼の目がアルパカとかち合った。 「土砕掌で八つ裂きにしてやる! もってないけど!」 (・´ェ`・)<ねぇの!? わらわらと畑に蠢いているアルパカ達の前を横切り刃紅郎は農家のおじいさんの前に立つ。 腰を痛めている様子に気づきあひるが天使の歌を謳う。その足場の安定のために祈も翼の加護を与えていた。翼を得た刃紅郎がお爺さんへと声をかける。民に声をかける王とはこんな雰囲気なのだろうか。 「農夫よ。安心し我らに任せよ」 お爺さんは顔を上げる。たくましい肉体を持った人間の方の王(アルパカの王は今首をくねくねしている)は真打・獅子王「煌」を手に納付へと一言告げた。 「貴様の畑を荒らさせはせん……王の名においてな」 何とも言えない格好よさであった。アルパカも驚きである。 ――人間の方の王が此処までイケメンであるならイケメンだと予知されていたアルパカの方の王もイケメンであればいい。ちらりとあひるが視線を逸らした先、土を投げている伊藤が視界に入る。 「くわ……?」 (・´ェ`・)<土うめぇ 「えぇ土の畑だ。おじいさんの農業への愛を感じられる――だからこそ、赦さないッ!」 絶対にだ!とびし、と指差す伊藤は両手を高く上げる。キングアルパカやその他アルパカを含めた上で彼は大きく宣言した。 「アッパーユアハートを使用するよ!」 「伊藤さん持ってないよね!?」 思わず突っ込む旭。伊藤は其れに頷いた。アルパカが小馬鹿にした様な顔をする――が、これは伊藤の計算通り。 とても悪い笑顔を浮かべた伊藤は両手を高く上げた。 「念願のキングアルパカ!!! ――ハッ!? ご、御免なさい。何でもないの、続けて頂戴」 祈の輝く瞳。気を取り直して伊藤は姿勢を整える。 「Don't think,feel!」 まずは高く上げた両手。最高にむかつく笑顔を浮かべる。状態を低い位置に逸らし、顔を向けたまま伊藤はリズムの良い反復横とびを始めた。 「ディーフェンス! ディーフェンス!」 ――アッパカァハートだ。如何考えてもアッパ→カァ↓ハートである。彼に向って配下アルパカを従えながらキングアルパカが突進してくる。嗚呼、王は短気だった。 ペッと吐かれる唾の強烈な臭いに伊藤は悶える。茫然と見守りながらも旭は伊藤の雄姿を心に刻んだ。 「アッ臭ッ! 唾臭ッ!! 牛乳拭いて悠久の時を経た雑巾より臭ッ!!?」 「伊藤さん! 耐えて!」 流れる様に蹴りを放ちながらも旭はそんな伊藤の様子を観察していた。何時でもその役目は代わる――筈だったが、アッパカァユアハートは高度過ぎるのか、少女はただ、アルパカ達の様子を見つめていた。 「ぺっ、ダメだよ……! ばっちぃよ!」 ぺっしているだなんて本当に駄目なアルパカ。ぷんぷんと怒るあひるだがその実、周囲がモフモフに囲まれている事に眸を輝かしている。可愛い。とても可愛いのだ。ペッしてなければ。攻撃している様子ですらも胸が痛んだ。 嗚呼、こんなに可愛いのに――情けを捨てなければ。 「……恐ろしいものね。これが、キングが持つとされる魔力」 いや、魔力と言うか、何と言うかです、祈さん! 低空飛行をし、周囲を見つめている祈の目は陰る。ああ、羨ましい。前衛に行きたい。目の前でアルパカと戯れられるだなんてなんて羨ましいのか。 「分かってる、回復が私の役目。大事なことだって、分かってるもの……」 「祈さん……」 くわ、とあひるが切なげな瞳を祈へと向けた。如何してだろう、好きな人に好きな人が居たから身を引く少女漫画の様な雰囲気である。 そんな中でも相変わらずのギャグ漫画が展開されていた。キングの往く手を遮る伊藤がアッパカァハートの勢い余って顔面から地面にこんにちはした。お爺さんの愛を感じるえぇ土がその拍子に目に入ったのだろう両手で目を押さえ、脚をじたばたさせる。 「ああああっ! 痛いッ! 転んだ拍子にえぇ土が目に! 目がッ!」 「伊藤さああん!」 ディーフェンスは滅びの呪文か何かなのだろうか。流れる様に自分でダメージを得て行く伊藤に旭はリベリスタとしての何かを見た。嗚呼、正義って身体を張らなくちゃいけないんだな……。 「うおおおっ! えぇ土スプラッシュ!」 えぇ土に力を貰おうと伊藤が念じている。えぇ土だったら何でもいいのだろうか。放たれた『えぇ土パンチ(業炎撃)』。 同じ覇界闘士の旭も何時かえぇ土パンチを使う時が来るのかと自分の拳を見つめた。 (・´ェ`・)<腐→葉↓土ォォ…… 「きゃーんっ、アルパカさんってサラサラでもっふもふー!」 言いながらも踊る様に切り裂く京。もしもし!目が死んでいますよ! サラサラでモフモフで可愛い――なんて思ってるとでも思ったか!可愛らしい笑顔であっても目が死んでいる。 「可哀想だけど、世界の為には仕方ない事なのー」 声の抑揚すらない。京の目は、本当に死んでいた。娘ならきっとこうするんだろうなと言う可愛らしい雰囲気を纏う京だが、全力だ。殺意だけは一等賞。 作物に当たらない様に使用するチェインライトニング。走ってくるアルパカが紅葉に向かって大きく鳴いた。パ→カァ↓なんて鳴かれればイライラしないはずがない。 「ッな、なに……」 イラッとする。非常に頭に来る。紅葉の奏でる音楽を邪魔する様にアルパカは鳴く。数が多い。突進してきたアルパカは彼女にモフモフアタックを繰り出した。 此れは痛い。赦されるならキングアルパカァの毛を刈りたいが此れは、痛すぎる。アルパカも数が多い。前衛だけでは防ぎきれない者が後衛のもとにも走り込んできたのだろう。 「も、もふもふ……」 もふもふの海に溺れて紅葉は意識を失った。 「も、紅葉サーーンッ!?」 驚きに叫ぶお父さん。愛娘と息子にもこのアルパカを見せてあげたいな、なんて思ってたらもふもふの海に溺れる現象が起こっている。此れはいけない。繰り出す閃光がアルパカを焼き払おうとする。ちょっとだけ祈が羨ましい!と叫んだ気がした。あくまでちょっとだけである。 (・´ェ`・)<熱いッ! 顔を上げたその先突進してくるスリに彼は目を見開く。回復役は確かに安定しているが、じりじりと削られる体力にアルパカってのんびりした草食獣じゃなかったっけ?なんて遥紀は思う。 「王様がどれだけ凄いのか、気になるんだよ……!」 そうは言うがモフモフの海に溺れている。低空飛行している彼の体にアルパカがどんと圧し掛かる。アルパカ軍団恐るべし。其の侭引き殺していくかの様な勢いで遥紀も力尽きた。 ※力尽きた皆さんはアルパカさんのお気遣いで畑の外へと出て行きました。 「……いい加減にしろよこのラクダ亜種が!」 かっと目を見開く京。革醒である。娘から父親になった京。凄まじい殺意がこんにちはしている。全力投球される殺意に対し、アルパカも切なげな表情を向けることしかできなかった。 「……ねえ、所で、お爺さんって二度目なのよね? そ、そのうち革醒とか、しないかしら……」 「あ、ああ……」 疑問を浮かべる祈にあひるもどうなんだろうね、と首を傾げる。心配ではあるがお爺さんはきっとアルパカ使い位に目覚めそうなのでその疑問は遠くへぶん投げておくとしよう。 「可愛いアルパカ達を攻撃するのは……気が引けパ→カァ↓……」 なんだかんだ言ってあひるもノリノリであった。立場が弱いアルパカに放たれる矢。突き刺さると落ち武者アルパカだなあ、と京は遠い目をする。 ――そんな困惑する戦場でも伊藤は諦めない。 「掛って来いアルパカァ! ブッ潰す!!」 膝にもふもふを受けてしまっているけれど、そんなのお構いなしだった。今アルパカの王は人類の王との交戦を始めている。陛下は強い。 伊藤は王へと舞台を譲り、今は罪なき一般家庭の笑顔を守るために戦っていた。 「おーさまかっこいい! がんばってー!」 ぴょんと跳ねる旭も野次を飛ばしながらアルパカと戦っている。可愛い、確かに目の前の生物は可愛い、だが、唾とかキッスとかは願い下げだ。 「このラクダ亜種がああっ!」 「だいじょう、……」 アルパカのキスを受けた京に声をかけようとして、彼女は戸惑った。女の子の様な男だった。どうしよう、どちらだろう。取り敢えずだいじょばないのかな?なんて悩む旭を余所に祈が回復を施す。二体の配下アルパカに囲まれた旭は困惑している。如何するべきなのか、片方を相手にしているとぞわり、と背筋に嫌な空気が触れた。 「うわあああんっ! やだやだ~~!? きもちわるいよぉぉっ!?」 ちゅー。 アルパカの気色悪い唇の動きは強烈であった。戸惑いを隠せない旭の蹴りがアルパカに炸裂する。困ったアルパカが仰け反った。 どちらかと言うともふもふアタックにして欲しかった。そっちなら歓迎――できない。痛いのはイヤだからだ。半分涙目になりながらも、もふもふは気持ちいんだろうななんて考えて、その手触りを楽しむ様に手をわきわきさせる。 嗚呼、良いなあ、アルパカ。 キングアルパカの突進を受け止めた刃紅郎。 彼とアルパカの視線が交差し合う。何だか切なげなアルパカの表情もキリッとしている様に見えた。王の威厳が、凄まじい。 「どうした? 草食系の王よ」 傷を負いながらもキングアルパカと真っ向から向かいあう人類の王(どうやら肉食系の王)は唇に嘲りを浮かべる。 此処だけ少年漫画の様な雰囲気を持っていた。 「怒りに我を失ったか……草花を踏んでおるぞ?」 突進したその場所に在ったのは拉げた作物。キングアルパカァ……の目に宿ったのは其れも構いはしないという決意。 「ふん、穏やかさを忘れた草食系の王……」 ――一人と一匹の戦いが、今、終わろうとしている。 刃紅郎の全身の闘気が爆発する。王の破滅的な破壊力がもふもふしたアルパカに叩き込まれた――言ってる事は格好いいのだが目の前に居るのはアルパカだった。 それも、素敵(はぁと)でネオン街では「アルパカちゃん素敵ー!」とか言われちゃう王なのだ。アルパカの方の王は世界が嫉妬する毛並みを揺らし突進を行う。人間の方の王は此処で惜しみなく運命を燃やした。惜しみない。熱海の暑い夏並みに惜しみない。 「貴様の命運! ここに尽きようぞ!」 ● もう力尽きる手前のキングアルパカへとそっと祈は近づく。白い指先は震えながらも世界が嫉妬するサラサラなアルパカの毛並みを撫でた。もふ。もふもふ。 「至高のモフリスト……」 もしかすると彼女の夢はかなったのだろうか。とても幸せそうな笑顔であった。 その時、歴史が動いた―― キングアルパカの前に立ち、刃紅郎は眼を伏せる。王が、王に語り掛ける感動の瞬間に一同がシン、となる。 「たかが草食系と嘲った非礼は詫びよう。在り方は違えど、王に相応しき苛烈な男であった」 (・´ェ`・)…… 「死出の餞別だ、我も特別に一言贈ってやる」 キングアルパカが震えながら顔を上げるキングアルパカの丸い瞳が刃紅郎の赤い瞳とかち合った。 「一度しか言わぬから、良く聞いておけよ」 アルパカが(多分)頷く。 「…………パ→カァ↓」 くたりとキングアルパカは力尽きた。終ったのだ。王同士の対決は、静かに幕を閉じた。 座り込んでいる農家の爺の前に京はしゃがみこみ視線を合わせる。例え中身が娘を持つ父親であろうとも外見が美少女なのだ。農家の爺の顔が紅潮する。 「……」 「……ぽっ」 哀しいかな、農家のおじいさんも面喰いなのです。 「ねえ、貴方が見たのは悪い夢、ちょっと気を失って夢を見てただけなの」 そっと手を取って、京は優しく笑いかける。 「直下日光下の作業で、ちょっと日射病になって木陰で休んでただけなの」 水分補給は大事よ、なんて微笑む可愛らしい京だが、実の所、暗示をかけるために魔眼を使用しているのだった。嗚呼、爺の純情が弄ばれている瞬間である。 「ほら、おじいさん、腰痛、とんでけーっ!」 優しく微笑みながら謳ったあひるはお爺さんの手をそっと取る。なんたってこのお爺さんは \突然のアルパカ/ だったのだ。共に帰りましょうね、とあひるは家へ送る事を提案する。ゆっくりと京とあひると共に自宅へ向かうお爺さんの後ろでは荒れた畑を修復しながら如雨露で水やりをしている伊藤の姿があった。 「ふう、こうして日本経済は護られたのであった」 「けど、アルパカがトラウマに、なるね……」 壮大なストーリーは過ぎ去った。 サマーバケーションと関係ないけど熱海の暑い夏の想い出と共に旭にトラウマを残して。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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