● 少し奥まった通りに、ひっそりと佇む中華料理屋があった。 小さな店ではあるが、人柄の良い主人が作る料理はどれも美味しいと評判だ。 特に人気なのは、ご主人がひとつひとつ真心込めて作る小籠包。 もちもち歯ごたえと具沢山な小籠包にやみつきになった人も多い。 今日も小籠包は蒸籠のなか、お客様に美味しく食べてもらえるその時を待っている。 ● 「小籠包を食べにいくアル!」 その日、底抜けに明るい声がブリーフィングルームに集まるリベリスタたちを迎えた。 声の主は『迂闊な特攻拳士』李 美楼 (nBNE000011)。にこにこ笑顔で、椅子に座っている。 何事かと顔を見合わせるリベリスタたちに、『リンク・カレイド』真白 イヴ(nBNE000001)が着席を促した。 落ち着きの無い美楼のことはとりあえず横において、イヴの説明を待つ。 「中華料理屋のおじさんが作った小籠包がエリューション化した」 沈黙は一瞬。まだ落ち着きの無い美楼を横目に見る。ああ、そういうことか。 「小籠包ひとつひとつは革醒したてでとても弱い。リベリスタの皆なら、一撃で倒せる。 でも、おじさんが真心込めて作った小籠包。食べ物と、おじさんの気持ちを無にするのは忍びない」 まだまだ落ち着く様子の無い美楼を横目に見る。よだれが垂れそうだった。 「だから、食べ尽くしてきて」 「アイヤー!任せるアルネ!」 やっぱりか。リベリスタたちが思うより早く、美楼がびしっと手を挙げて立ち上がった。 「……アイヤー?」 立ち上がった勢いで倒れた椅子のキャスターが、からからと虚しい音を立てる。イヴが咳払いをひとつ。 「……それから、この小籠包、蒸籠のなかから弾丸みたいに飛んでくる。 美味しく食べてもらいたいおじさんの真心を感じ取った小籠包が、食べ頃になったら飛び出てくる仕様。 小籠包の数は全部で45個くらい。1ターンに4個から7個飛んでくる。飛んでくる数と方向はランダム。 うかうかしてると食べられない人が出るかもしれないけれど、そこは譲り合いの精神でよろしく」 場所やエリューション情報が書かれた資料を手渡しながら、それから、とイヴが説明を続ける。 「突如暴走した小籠包に驚いたご主人が厨房の隅で震えてる。助けてあげて。 開店時間前だから、まだ人は居ない。誰か他のお客様が来る前に終わらせられると一番いいかな」 改醒したてで弱くてもエリューションはエリューション。攻撃力もあるらしいので注意が必要だ。 リベリスタなら数発当たっても耐えられる程度の威力だが、一般人である主人に当たったらご主人は無傷では済まないだろう。 椅子に座り直して話を聞いていた美楼が説明は終わりアルカ?と問う。 イヴが終わり、と返せば美楼は勢いよく立ち上がった。 「それじゃあ急いで行くアルヨ! 危険に晒されているおっちゃんを放っては置けないネ!!」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:あまのいろは | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年09月21日(金)23:35 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 少し奥まった通りに、ひっそりと佇む中華料理屋。中からは包丁の動く音が心地よく響いている。 「ち、チュウカ? ああ、チャイニーズレストラン!」 『フロムウエスト・トゥイースト』キャロライン・レッドストーン(BNE003473)がぽんと手を叩く。 アメリカ人の彼女は「中華」と言う単語だけでは、ぱっと何の店か連想が出来なかったようだ。 店構えを見ると納得したように、向こうにも多かったけど日本でも結構見るわね、と呟く。 「小・龍・包! 聞いた事はあるけど、食べるの初めてだから、楽しみだ」 「小籠包、一度食べてみたかったのじゃよ~♪」 人懐こい笑みを浮かべる『フェイトストラーダ』ユイト・ウィン・オルランド。 『巻き戻りし残像』レイライン・エレアニック(BNE002137)は、ゆらゆらと尻尾でも感情を表していた。 エリューション化した小籠包を退治するだけの美味しいお仕事とあって、リベリスタたちの足取りも軽い。 「食べるだけの依頼なんて楽な依頼もあったもんじゃわい。いつもこういう依頼なら……」 「でも初めて食べる小籠包が、エリューションなんてね」 「……え? 小籠包、エリューションなのかえ?」 ユイトの言葉に思わず振り向くレイライン。ゆらゆら動いていた尻尾がへたりと垂れる。 そんなやりとりを見ていた『囀ることり』喜多川・旭(BNE004015) が、くすくす笑って。 「ちゃっちゃかおじさんとお店守って、ついでにごはん食べてこ!」 こんにちは、の挨拶と共にがらりと店の扉を開ければ、店主のおじさんは少し驚いたように振り向いた。 「いらっしゃい。ああ、でも開店まであとちょっとでね」 がたがた。店主のおじさんの後ろで不穏に揺れる蒸籠。 危険を察知したリベリスタたちが動くより早く、蒸籠のなかから小籠包が弾け飛んだ。 「ひ、ひえええ!? 火力を間違った!?」 おじさんは飛び出る小籠包から咄嗟に中華鍋でガードをして仰け反った。 「おっちゃん、大丈夫か? 大変な事になっとるが」 幻視で鴉の翼を隠し、アーク女性制服を纏った『赤錆烏』岩境 小烏(BNE002782)が、穏やかな言葉と笑顔でおじさんに言葉を掛けた。 もともと中性的な顔立ちをしている小烏。おじさんが彼の性別を疑うことは無くすんなりと助け出される。 小烏がおじさんを連れ出す合間に、机でバリケードを作っていた旭がこっちこっちと手招き。 「おじさん、だいじょぶ?やんちゃな小籠包だねぇ。 ごはん食べに来たんだけどこれじゃ開店できない……よねえ。わたし達でなんとかするよ!」 「ここで待っててな。飛んできたので火傷したらいかんから、顔も出さんように」 おじさんを机の後ろに誘導。おじさんの安全も確保したリベリスタたちが箸、またはフォークを構える。 「いただきます!!」 ごはんを食べる前の大事な挨拶とともに、今、小籠包との戦いの火蓋が切られた。 ● 「ふぉっふぉっふぉ……やんちゃな小籠包ですな……。わしも若い頃はやんちゃをしたものですじゃ……」 『三高平のモーセ』毛瀬・小五郎(BNE003953) が白いふっさふさな髭を撫で付けた。 ぷるぷる小刻みに震え、今にも倒れそうな小五郎。それもそのはず、三高平のモーセは今年で81歳。 傘寿を迎えたおじーちゃんはフェイトの残量関係なくぽっくり逝く可能性がある。 大丈夫かおじーちゃん。死なないでおじーちゃん。飛び出る小籠包に耐えられるのかおじーちゃん。 心の底でハラハラドキドキするリベリスタ。だが、そんなリベリスタたちの心配もなんのその。 おじーちゃんは飛んでくる小籠包をキャッチ。小五郎はその見た目とは裏腹に華麗な箸捌きを見せた。 「うむ、美味ですのう……、んぐ、ごほごほっ!!」 どうやら小籠包の汁が器官に入りそうになったらしい。おじーちゃんよく噛んでゆっくり食べて!! 「リベリスタになったはいいものの、なかなか仕事にありつけなくてな。 飯買う金すら尽きかけてきて困ってたところなんだ。たらふく食わせてもらうぜ」 「アイヤ、ニイサン大変だったアルな!」 『なんでも屋』城島 譲治(BNE004037)が光るオーラを纏う。並んで立つ『迂闊な特攻拳士』李 美楼 (nBNE000011)は譲治の言葉に返事を返したものの、瞳は小籠包の詰まっている蒸籠に釘づけだ。 多くのリベリスタたちは、イヴの言うように譲り合いの精神で小籠包を食すつもりでいた。 だが、美楼然り小籠包を多く食べたいと思っているリベリスタは居た。 『夢に見る鳥』カイ・ル・リース(BNE002059)も、小籠包を多く食べたいと思っていた一人である。 お腹いっぱい小籠包が食べられると思っていたカイ。 しかしメンバーは9人。小籠包の数は45個。一人5個しか食べられないと気付いたカイは思った。 ならば、頭数を減らしてしまえばいいのダ、と。 「アイヤー!?」 カイはお縄で美楼をふん縛り、飛んできた小籠包を嘴で直接キャッチ。 「箸なんか使ってられるカ! アチョーーー! 汁がッ! しるガッ!!」 「何するアル! これを解くネ!!」 「……李さんは香りだけ楽しむと良いのダ」 小籠包をもごもご咀嚼しながら、足元でもがく美楼を見下しニヤリと笑うカイ。まさに畜生(インコ)。 他の小籠包も奪うべく、店内を縦横無尽に動き回るインコ。どうしよう本当に夢に見そう。 「えーっと、一人5個の計算で食べられると思ってたんだけどな……」 いつかの猫より冷静に譲り合えると思っていたユイトの考えは甘かった。 三高平はこわいところだと、改めて実感したとか、しなかったとか。 「わ、う。あふ、あふい~っ。ごめんね美楼さん、ちょっと待ってて!」 ダメージを受けながらもなんとか小籠包を掴んだ旭が小籠包をぱくり。 はふはふ口のなかで冷まして食べながら、ゆっくり味わえないのが残念と呟いた。 そうこうしている間にも小籠包は飛んでくる。リベリスタたちも美楼にだけは構っていられない。 美楼は暫くこのまま、床に転がってもらうこととなった。 「ほら、武士は食わねど高楊枝って言うよ!」 ユイトの精一杯のフォロー。でもそれ、なんかちょっと違う気がする。 それぞれの小籠包に対する策はばっちり。何事にも全力を尽くす、これぞアークのリベリスタ。 レイラインは少し苦手な箸の持ち方をシンクロで、小籠包に対しては持ち前の超反射神経でカバー。 飛んでくる小籠包を難なくキャッチすると、そのままぱくりっ。口の中いっぱいに熱い肉汁が広がる。 「うむ、もちもちで……、………あっづにゃぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?」 「熱がってる場合じゃないぞ。まだまだこれからだ」 美味しそうな匂いに惑わされ、猫舌だったことを忘れていた彼女。じたばたじたばた熱さに悶える。 小籠包の熱に蝕まれたリベリスタへと、譲治がブレイクフィアーを放つ。 癒しの光はリベリスタを苛む熱を払っていく。舌をふーふーさせていたレイラインは癒しの光を受けて一言。 ……あ、でも美味しい。きっとおじさんの真心が詰まってるからですね。 小籠包の熱さに悶えるリベリスタが多いなか、キャロラインは余裕な表情を見せていた。 「しかし食べられたくて自らトぶとは、中々見所のあるショーロンポーじゃない?」 彼女の武器はリボルバーである。そう、キャロラインにとって銃の扱いなら慣れたもの。 飛び出す小籠包の動きは銃弾と同じく直線的。また、小籠包は銃弾よりも遙かに大きい。 「その動き、見切って見せるわよォ!」 キャロラインは飛んできた小籠包を箸の代わりのフォーク、では無く口でそのまま受け止めた。 直接口で受け止めれば熱いはずなのだが、彼女はそれに動じること無く小籠包を食す。 「アツいのを頬張るのは慣れてるのよォ。これくらい、ねえ?」 キャロラインはぺろりと舌を出して艶やかに笑う。彼女の言葉の意味を、深く言及したらいけません。 「意味? そのままよォ?」 彼女の言葉の意味を、深く言及したらいけません!! ● 小籠包がぽんと飛び出る。 「小籠包、火傷する程に熱々の肉汁が詰まったそれ。全く強敵だ」 小烏はぐうと腹の虫を鳴らしながら、小籠包と向き合う。片手に箸、片手に蓮華を持ち、飛び出す肉汁すらも取り溢さない為の二重装備だ。 だが、飛んできた小籠包より先に視界に飛び込んできたのは、大きく開いた嘴。 カイがその嘴で、子烏が受け止めようとした小籠包を一口で飲み込んだ。 「モガッモガッモガッ……! ウホッ! ウマイのダ!!」 「店主のかばい役は平等に交代制……、……イヴの説明、聞いとったろう?」 店内を駆け回るカイを見やって、小烏がぽつりと漏らす。 カイは口のなかいっぱいに頬張った小籠包を飲み込んでから、またもニヤリと不敵に笑った。 「譲り合イ? 何そレ美味しいのダ? 美味しいのはアツアツの小龍包なのダ」 まさに畜生(インコ)。 「……やっぱり、男の子のがいっぱい食べるんだね」 そんな状況を見て、旭はマイペースにぱちぱち瞬きをした。 またも、小烏のいる方向へと小籠包が飛んでくる。今度こそ小籠包を捕えることに成功した小烏。 キャッチした衝撃で飛び出す肉汁も、片手に持った蓮華でしっかりと受け止める。 「箸で捕え、飛び出す肉汁を蓮華で受けるこの方法。完璧だな。 ……って、悠長に食ってたら追いつかん! 急いで食わんと……ふぐ! ひはあふ!」 急いで小籠包をぱくり。思いの外熱かったらしく、小烏は思わず舌を出した。 「はっ……!!」 普段はぷるぷるしていて今にも倒れそうな小五郎だが、小籠包を掴むその動きは年齢を感じさせない。 「箸は日本文化の基本、ニンジャへの一歩だろ? つーことは……」 ちらりと小五郎を見る。箸が上手く使える人物、つまりニンジャ!!ユイトはそんな思考に至ったらしい。 きらきらと尊敬の眼差しに気づいたのか、小五郎はふぉっふぉと小さく笑った。 「箸を持ち始めて約80年……耄碌こそすれど、箸さばきにいささかの衰えもありませんぞ……」 「も、もしかして小五郎殿はニンジャでござるか!!」 興奮のあまり語尾が少し変になっているユイト。 小五郎はふむ、と髭を撫で付けてユイトの箸の持ち方をまじまじと見つめた。 「ふむ、なかなか上手のようですじゃ……。でも、少し変えるともっと良くなりますのう……」 急遽開催、小五郎おじーちゃんの箸の持ち方教室。 ユイトは関心したように小五郎の話を聞いていたが、ふと視線を蒸籠に戻せば。 「おじーちゃーん!! そうこうしてる間にこっちに飛んできてるでござるよー!!!」 「美しい箸さばきは美徳ですぞ……?」 ぷるぷる。おじーちゃん聞こえてない。 箸の持ち方に熱心になっていた二人は、飛び出た小籠包への反応が送れる。 「危ねえ!」 真っ先に反応したのは、カイ、では無く譲治。 めいっぱいに腕を、箸を伸ばすが小籠包にはギリギリ届かない。 小籠包は箸を掠るとぽてんと床に落ちた。誰もが落ちた小籠包は食べられないと、諦めようとしたその時。 なんと、譲治は落ちた小籠包を素早く拾い上げ、食べたのだ。 「大丈夫だ、問題ない」 一般人とは比較できない肉体スペックを持つリベリスタの胃は、これくらいじゃへこたれない!おそらく! 飛び出る小籠包の数も減り、戦いも終盤。 「まだ味わってない子はいるかしらァ?」 小籠包をフォークで受け止めたキャロラインはぐるりと店内を見回す。ぱちり、美楼と目が合った。 しょうがないわねェ、と美楼へパスしようとした小籠包にカイが食らいつく。 ここでもか!! その横ではレイラインが熱さに耐えながら小籠包を頬張っていた。 「……ハフッ! ハムハムッ! ハフッ! ……20秒以内に食べなきゃいけないの結構キツいのじゃー!?」 次の小籠包が飛んでくるまでの間に食べきるのは、猫舌の彼女にはなかなか厳しい。 だが、現実は非情である。冷ましながら味わって食べるレイラインの元へ、小籠包は飛んでくる。 食べるのが追いつかないと察したレイラインは、掴んだ小籠包を美楼の口へダイレクトパス。 「アッチャー!?」 予測していない場所からの小籠包。熱いに決まっている。簀巻き状態の美楼はじたばたごろごろ。 「え、熱い? ……ごめんのう」 てへぺろ☆ レイラインは舌を出して可愛くウインク。彼女に悪意は無い、たぶん、きっと。 「め、美楼さん大丈夫!?」 「ああ、熱いならお冷を飲め、お冷を!」 飛び出る小籠包が減り自由に動ける人も増えた今、旭と小烏が床に転がる美楼を助け出す。 二人にお礼を言い蒸籠に向き直る美楼だったが、少し待っても小籠包は飛んでこない。 もしや、と思った譲治が蒸籠に近づき、蓋を開けてみる。もう、蒸籠の中に小籠包はひとつも無かった。 そう、最後は思ったよりも呆気なく。リベリスタたちは小籠包に勝ったのだ。 ● ふわりと美味しそうなかおりが漂ってきた。 「小籠包も美味かったが、動いた所為で余計腹が減ったな」 美味しそうな匂いに釣られて、またもぐうと腹の虫が鳴る小烏。 「ハァイ、お待たせェ。たぁんと食べてねェ」 そこへ、チャイナドレス姿のキャロラインが料理を運んできた。誰もが目を引くであろう豊満な胸に、チャイナドレスから惜しみなく晒される美脚が眩しい。 小籠包は勿論、春巻き、シューマイ、中華饅に水餃子、杏仁豆腐から愛玉子のデザートまで。 机の上に所狭しと並べられた美味しそうな中華料理の数々。 「息子の嫁は、チャーハンは喉につまるといけないと言って食べさせてもくれませんしのう……」 「炒飯、みんなで分けっこしよ?取り皿お願いしまーす」 「いやはや本当にありがとうございました。火加減を間違ったんでしょうかねえ。以後、気を付けますよ」 申し訳なさそうにしていた店主のおじさんが厨房から現れ、旭に取り皿を手渡した。 戦いも終わり、わいわいがやがや、全員で楽しく美味しい食事の時間。 「美楼殿は何を食べる?」 「李さんも食べるのダ」 「いただくアルー!!」 先ほどまでが嘘のように、カイはおじさんと共に作った小籠包を美楼に取り分けた。 ユイトの質問に答える前に、美楼は出来立てアツアツな小籠包を頬張り、アチャー!と声を上げる。 「俺も炒飯を頂こう。小籠包程度で満腹になれると思ったか!」 どっかと椅子に座った譲治が取り分けられた炒飯を掻き込む。誰もがお腹を空かせていたらしい。 どの料理も美味しいと思うのは、空腹のせいだけでは無いだろう。 「しかし、これにビールがあれば完璧……うむ、流石に今回は黙っとるよ」 我慢しようとした小烏だったが、机の上にそっとビールが置かれた。きっとおじさんの感謝の気持ちだろう。 「このぱらっとした炒め具合…これぞ職人技ですな…これなら何杯でも……ごほっげほっ…!」 「おじいちゃああああああん!!?」 「……いやはや、お恥ずかしい……。あまりの美味しさに昇天しかけましたじゃ……」 炒飯を食べる小五郎にちょっとしたハプニング。 おじさんが慌てて水を運んできたが、なんとか大事に至ることは無かった。 食事を終えたリベリスタたちは、デザートも一通り楽しむ。 「喉越しは言わずもがな…鼻の奥を突き抜ける奥深い香り……これぞ杏仁豆腐ですのう……」 「愛玉子って食べた事ないんだよねぇ。気になるかも」 デザートは別腹!と美味しそうに愛玉子を食べる旭は、リベリスタとしての旭では無く、普通の女の子そのものだった。 あれほどあった料理を、ぺろりと平らげたリベリスタたち。 「お腹いっぱいなのじゃー……。後、それと……。お持ち帰りやってたらいくつか包んで貰えるかえ?」 レイラインがおじさんに尋ねる。おじさんは勿論、と笑顔で答えた。 一足先に店を出た譲治は、食後の一服にと煙草に火を付ける。 煙草を大きく吸って吐き出せば、店内からもごちそうさま、とリベリスタたちの声が聞こえた。 譲治が吐き出した紫煙が、ゆらゆら昇る。 「ごっそさん、うまかったぜ」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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