●荒ぶる電柱×10ですがなにか 想像してみて頂きたい。 その辺に生えてる電柱が、若干宙に浮きつつ、ずんどこ行進している。 もうそれだけでナニコレ世界終わってんじゃねえのみたいな光景だが、それだけにとどまらないのがエリューションの怖い所である。 電柱は十本綺麗に整列していたかと思うと、先頭の一本がどっかんと転倒。そのまま太った男へ向かって高速ローリングアタックを仕掛けた。 「ぎゃああああああああ!」 「山下さああああああああああん!」 「セクハラするなと上司に釘刺されたその日に女子社員のバストサイズ聞いてた山下さあああああああん!」 男は腹に思いっきり電柱をくらって転倒。その後転がって来たもう一本に轢かれてぺらっぺらになった。 それだけではない! 別の電柱が何をどうやってるのか知らんが横倒し状態から急にスピンを初め、ミキサーのように別の男を薙ぎ倒した。 「ぎゃああああああああ!」 「吉村さあああああああああああん!」 「眼鏡でデブで不潔の三拍子揃ってるのになぜかリップクリームだけは欠かさない吉村さああああああん!」 射程範囲内(さりげにやたら広い)にいた男は膝をべこんと払われ顔から転倒。起き上がった瞬間顔に激突して見るも無残な顔になってしまった。 さらに! 本当何がどうなってんのかさっぱり分からんが電柱が三本くらいいっせーのせでパイルバンカーきめてきた。 「ぎゃああああああああ!」 「近藤さああああああああああん!」 「地味で覚えてないけど近藤さあああああああん!」 ただのコンクリ棒をえいやって突かれただけでも人間ヤバイのに、電柱なんかで突かれたら死んで当たり前である。男はビリヤードの玉かってくらいばっこんばっこん跳ね返りまくった。 そんな、昼下がりの出来事であった。 ●荒ぶる電柱×10だっつってんだろ! アイワ・ナビ子(nBNE000228)が砂の山を作っていた。その上に割り箸をそーっと突き刺し、満足げに頷く。 「この棒が倒れなかったら今日のおやつマンゴーパフェ……」 ナビ子の説明によれば、某住宅街に電柱型エリューションゴーレムが発生して暴れ回っているという。 心配しなくても電柱がずんどこ行進してる所に近づこうなんて一般人は絶対居ないから、安心して倒しに行ってくれという話だ。 「あ、電柱で思い出したんですけど、昔ポケなんとかモンスターが流行った時にデンチュウっていうぱちもんが出回りまして」 E電柱の数は10。 それはもう跳ねるわ回るわ転がるわでやったら荒ぶってるらしい。 「親戚のおっさんが『はいこれポケなんたらだよー』ってプレゼントしてきたんですよね」 攻撃範囲もなんか反則臭い長さだし、もうこりゃダメージ覚悟でぶっこ無しかないなって状態らしい。 「子供心に『このオッサン何考えてんだ私のゴローニャンでぶちころがすぞ』て思ったんですが、そこは空気を呼んでちゃんと『ありがとうおじさん』って言ったんですよ」 強さ的にはそれほどのモンでもなく、あまりヘンに拘らなければ深刻な被害にはならないだろう。 ただ見ての通り電柱なので、精神無効や麻痺無効、火炎冷気電撃毒無効となにそれ絶対者ジャンみたいな状態にあるという。素直になぐる(もしくは撃つ)こと推奨だ。 「そしたらね! あのおっさん! 『コイツぱちもんで喜んでるよ、やっぱ子供だな!』とか言いやがって! ぶちころがしてやりましたよ! 脳内でね! ……あっ、棒倒れた!? くっそくっそ腹いせにマンゴーパフェ食べてやるぅ!」 こんなエリューションを倒せるのはあなたしかいない! どうか、これ以上の被害が出る前に! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 9人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年09月18日(火)00:04 |
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■メイン参加者 9人■ | |||||
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●電柱が10本も荒ぶってる光景を想像で……きるかあ! 「ご近所の治安を守るのも……」 『ギャロップスピナー』麗葉・ノア(BNE001116)は仁王立ちでびしっと敬礼した。 「アークの大事なお仕事でありまぶううるああああああ!?」 脳天を激狙ってきた電柱のダイナミックスイングを、ノアは全力でエビぞり回避した。 「ななななんだこいつらは!」 「本当、こんな馬鹿でかい物が暴れまくるなんてどうかしてますわ!」 エビ反ったノアをくいっと直してやるナターリャ・ヴェジェルニコフ(BNE003972)。 「もう少し落ち着いて頂戴! さもなくば、今すぐ廃材にしてさりあげますわよ!」 「その上でハチマキして顔書いてくれる!」 覚悟しろぉいみたいな顔でびしっと指を突きつけるノアとナターリャ。 しかし脚は言葉に反してそろーりそろーりと後ろに下がっていた。 「あの、打ち倒すんじゃ?」 さりげなく盾にされ、振り返る『非才を知る者』アルフォンソ・フェルナンテ(BNE003792)。 「神秘型サジの自分が前衛張るわけないじゃないですかー」 「わたくしもホリメですし」 「私も一応レイザータクトなんですけど……まあ、耐久力はお二人より上ですか、まあ」 こりこりと額を掻くアルフォンソ。 眼前では電柱が華麗にスピンしながら大車輪回転とかスタンピングとかかましていた。字面で言うとシュールだが、実際見ると怖すぎる光景である。 「世の中荒ぶればいいというものでもないですが……こうなった以上対処しないわけにもいきませんね」 「荒ぶるって言うのは、ああいう感じ?」 『猫かぶり黒兎』兎丸・疾風(BNE002327)が親指で仲間二人をさした。 前後に重なった『レッツゴー!インヤンマスター』九曜 計都(BNE003026)と『夢に見る鳥』カイ・ル・リース(BNE002059)が上半身を左右交互に高速で動かしながら『フォウ! フォオウ!』と唸っていた。 「ちょっとくらい揺れて居ようと電柱ごときにとまれなかったらインコじゃないのダ! フオオオオオオオオウ!」 「じゃあ皆さん上から烏使って見るんで微妙に離れて位置どる感じで、ふおおおおおおおおう!」 ハッキリ言って常人の所業ではない。 口元に手を当てる『ナイトオブファンタズマ』蓬莱 惟(BNE003468)。 「これが荒ぶるインヤンとインコ……合わせてインコヤン……か……ふむ」 「クールな顔して何言い出してるの」 「いや、荒ぶる電柱を昔どこかで見たような気がする」 「他にあるんですか。日常の恐怖じゃないですか! もう電柱に立って颯爽登場アーク美少年とかできないじゃないですか!」 「そもそも日頃からやってるのか?」 敵も味方もやけにごちゃついている、そんな中。 「『ホワイトマン』の魔剣にもこんなものがあった。何かの実験か? 奴等は俺達に必要な情報を持ってるかもしれん。この戦いで何かわかればいいが」 「…………」 俯いて何かをしきりに呟く『糾える縄』禍原 福松(BNE003517)を、『Le blanc diable』恋宮寺 ゐろは(BNE003809)が無言で見下ろしていた。 「……なんか焦ってる?」 「焦っていない!」 舌打ちしながら銃をコッキングする福松。ゐろはは無言で拳をごきりと鳴らした。 ●電柱を全部引っこ抜くと団地五階建てくらいの高さ 「ほウッ! ほウッ! これぞインコの真骨頂なのダ!」 インコ頭の男が、高速回転する電柱の上で、高速コサックダンスを踊っていた。 二行目からもう意味が分からないが、事実である。 2~3本くらい連なって一斉にごろごろーっと転がってくる電柱群の丁度真ん中くらいの位置で必死にカイがコサックしているのだ。 が、そんなんいつまでも保つわけはなく、三本体勢で跳ねながらローリングかますようになった所で一気に巻き込まれていった。 ちょっと字面にして伝えづらいが、胸の前で両腕をぐるぐる糸巻きするような感じのローリングである。 「ハウァ!? コサックができないのダ!? そういえば吾輩ラテン系! ならばここはサルサ! もしくはタンゴなのダ!」 カチッと何処からともなく再生ボタンを押す音が聞こえ、情熱的なサルサミュージックが流れ出した。 別の所で直立スタンピングしていた電柱の腰(どこだろう)に手を回し、情熱的にステップを踏み始める。 片足を電柱に絡め、身体を大きく反らして振り返るカイ。 「イェア!」 想像しにくいなら、電柱に足からめてブリッジきめてるインコ頭の男(半裸)をイメージして頂くとよい。翼の加護で無駄に羽生えてるところがなんともムカつく光景だった。 「電柱がだんだん美女に見えてきたのダ! 荒ぶる美女たちが吾輩をまっているのダ! イェ――ハブオワ!?」 箸でつまむみたいにプチっとやられるカイ。 一同はその様子を、(物理的にも精神的にも)若干引いて見つめていた。 さて、色々仕切り直して。 「ふおおおおおおおおお! かかってくるッスよ電柱おらああああああ!」 両手をカマのように振り上げ膝を大きく挙げるように足踏みするという人間らしからぬ威嚇体勢をとる計都。 ……仕切り直されていない気がする。 「どうせこいつらはBS効かないっす! なら普通に威嚇するしかないじゃな――はぶおわ!」 電柱の糸巻ローリングに巻き込まれてプチッとする計都。 「計都サーン! こうなったら」 ノアは脚部の補助ローラーをりょしゅつさせ、高速でバック走行しながらスターライトシュートを乱射。 同時に惟は鞘を解放して盾のように構えた。 「相手は電柱だ。パイルバンカー的サムシングがあるとも限らない」 「ハリケーンミキサー的な!? で、実際来たらどうします」 「ふむ……」 とか言ってたら本当に電柱が頭から突っ込んできた。 具体的には、空中へ水平に浮いた電柱の尻を別の電柱がスコーンと打った形である。 「避けろっ!」 「やっぱりねー!」 思い切り横へ飛び、地面をごろごろと転がる惟。 一方ノアは急速旋回しながらカーブ。ギリギリのところで電柱を回避すると、片輪にブレーキをかけて向きを維持。スローモーションの中、近距離でスターライトシュートを連射する。 惟も負けじと起き上がりざまに剣を突き立て電柱を逆に削ってやった。 大量のコンクリを削り飛ばされ、ずずーんと民家に突っ込んだまま停止する電柱。 「よっしまずは一本!」 「そして二本目ー!」 疾風は黒いオーラを斧型に展開。スタンピングしてくる電柱を必死で避けつつ、フルスイングで叩き込む。かなり余談になるが、こういうオーラ系打撃技は体重を乗せる必要が無いのでどんな体勢のどんなタイミングでもフルスイングができる気がする。 「……むっ」 颯の頭上でぴこーんと電球が光った。 「皆さんちょっと聞いて下さい! この電柱、綺麗に整列してますよね!」 「何か気づいたのか!」 「……ドミノ倒ししたくなりませはぶし!?」 疾風がスタンピングに巻き込まれてぺちっと潰れた。 「言いたかっただけか」 惟は電柱(さっき疾風が斧スイングした場所)に向けて、内角低めのスイングを入れてやった。ぼっきりと折れて倒壊する電柱。 「今これには、理不尽を許容する心の広さが求められているようだ……」 いっぽーそのころ。 「回復は頑張ります。わたくしのカバー、頼りにしてますわよ」 「まあ、任されたからには」 自分の背後に隠れて顔だけ出してるナターリャをちらりと振り返るアルフォンソ。 イタリア産で年の割には爽やかな青年じみている彼と、それを盾にする日露ハーフの少女というのは、ちょっと面白い組み合わせなのだが、別に狙ったわけではあるまい。ナターリャがモデル特有のきゅっとした体型なせいでそんなふうに見えるだけかもしれない。 さておき。 「見た所ブロックだけじゃ凌ぎきれそうにありませんからね。できる限りは……!」 電柱が偽パイルバンカーをかましてくる。 アルフォンソは両手を突出し、電柱の先端部分をキャッチ。 腕のバネで衝撃を殺しつつ最終的には腹で受け止めた。 余った衝撃が分散し、髪がぶわりと広がった。かけていたサングラスが微妙にズレる。 「……っ」 「だ、大丈夫?」 「平気、じゃあありませんがね。回復して貰っても?」 「勿論ですわ!」 慌てて回復をかけるナターリャ。 電柱は『じゃあワタクシはこれにて』みたいな感じでささっと帰ろうとしたのだが。 「逃がすか」 電柱の中ほどの辺りを銃でしこたま撃ちまくる福松。 コンクリートが大量に削れおちた所へ、ゐろはがタイミングよくドロップキックを叩き込んだ。 中ほどからべっきりと折れ、力尽きる電柱。 起き上がりつつ、ゐろははアルフォンソを振り返った。 「またドクリトン大丈夫そう? 体力のがヤバいなら代わるけど」 「いえ、大丈夫ですよ」 「あそ」 「恋宮寺、来るぞ!」 福松の声がして、ゐろはは反射的に振り向いた。 二度目の偽パイルバンカーである。 福松とゐろははお互い逆方向に飛び退く。背後のブロック塀を派手に破壊する電柱。 福松は素早く反復すると、チョッピングライト(所謂打ち下し型のパンチ)を電柱に叩き込んでやった。 振り過ぎて片足が上がる勢いだったが、その甲斐あって電柱はがすんと地面に押し付けられる。 「今だ、トドメを――」 「そのままそのまま」 「あ?」 ハッとして顔を上げる福松。 フェンスの上によじ登ったゐろはが、無表情のままぴょんと電柱の上に飛び乗った。 とはいっても、脚をぐっと伸ばしたままの着地である。その際の衝撃逃がしも行っていない。 ブロック塀と地面(福松が押し付けている)の間に全体重を瞬間的にかけたことで、電柱がテコの原理で圧し折れた。 「あー……なんか電柱の感じがデジャブ。もっとブチ折ろ」 ジト目でそう呟くゐろはに、ナターリャは若干の恐怖を覚えたという。 ●電柱を植える際に一番困るのが水道管掘り当てた時。現場談。 「ごフッ! ちょっと待ってくれなのダ! 吾輩をとりあって喧嘩はやめるのダ! 吾輩罪作りなインコなのダベシ!?」 カイが相変わらず糸巻ローリングでべちべちつぶされていた。 「インコさん生きてー! 本官も回復しますから、ちょっとだけだけど!」 健気に回復しながら走るノア。 糸巻ローリングしてくる電柱の下を軽くスライディングで潜り抜け、わたわたと飛行しながら二本目を飛び越える。 その際ちょっと爪先に引っかかってびたーんと顔から倒れた。 「はうわしまった!」 ノアのミスに気づいた電柱が急速ターン。二本纏めてパイルバンカーアタックを仕掛けてきた。 ノアは素早く仰向けに転がり、両足を振り上げる。 電柱の先端……のちょっとした辺りを蹴り上げるようにして脚部ローラーを思いっきり逆回転させた。 火花を散らせながら真上を通過していく二本の電柱。 「し、死ぬかと思ったー! カイさん大丈夫で……あ」 ノアがやりすごした電柱が二本ともカイに命中。顔と腹をめっちゃスタンプしながら民家の壁にめり込んでいた。 「あァ……みんないっぺんにくると重いのダ……」 「だだだだだ、大丈夫ですか!?」 「ひとりひとりお相手したいのダ……濃厚にナ」 「(頭が)大丈夫ですか!?」 「……ムリ」 カイはがくっと力尽きると、魂(インコの形)を口からぼはーっと吐いたのだった。 同刻。 「荒ぶるってのは、魂はバーニング、心はクールに決めるもんだぜ!」 計都がキシャーといいながら高速で高速旋回する電柱の上を跳びまくっていた。 こう、脛辺りを狙ってスイングしてくる数十センチのコンクリート柱をジャンプだけで回避するというのは至難の技なので、途中からジャンプするふりして微妙に飛行していたりした。 ちなみに、上空で鴉を旋回させつつファミリアーの視界共有を図り微妙にトリ目になった俯瞰映像をちょちょっと平面ぽくイメージして仲間にハイテレパスで伝えるという高等技術をやりながらの挑発であった。 リベリスタってやればできる生き物なんだなあと思わせる一コマである。 「疾風さん中心の辺りやっちゃってくださいっす! がすっと釘打ちする感じで!」 「はいはーい! うわリアルタイムで自分のつむじ見えてるのってキモ! 中心ってここですね!」 軽く飛び上がり、ライアークラウンのカードを電柱の回転軸にすかーんと叩き込む疾風。 電柱がその部分を中心に崩壊していく。 そこへ、人間で言う所のバク転運動みたいな動きで電柱が突っ込んできた。 「なにあれ!? 計都さんコレどうすんの!」 「どうする!? 決まってるッスよ、逃げるんだよおおおおおおお!」 全速力で反対方向へ走りだす計都。一足遅れてぷちっと潰される疾風。 計都は逃げ遅れを無視して短距離陸上選手が如きダッシュを見せた。 風を切り、髪を逆立てて走る。 「誰かああああああああ早くううううううううう!」 「分かった、そこ動くなよ!」 「ムリっす!」 横合いから福松の銃撃が繰り出され、電柱が横倒しにされる。 しかしそこはエリューション。根性を出してごろんと一回転すると、再び直立姿勢に戻った。 様子を見つつサングラスを指で押すアルフォンソ。 「ナターリャさん」 「はい、なんでしょう?」 「電柱はあと何本ですか」 「これで最後の筈ですが」 「なるほど」 アルフォンソは指先でちょいっとチェイスカッター(真空刃)を発生させると電柱へ投擲。ちょうどなかほどの辺りへ突き刺さる。 それと同時に突撃する惟とゐろは。 「そこ中心にお願いしますね木こりさん」 「これは木こりではない、騎士だ!」 などと言いつつ腰の入ったいいスイングで電柱に剣を叩き込む惟。 「よっ」 ゐろははその剣を更に食い込ませるべく飛び蹴りを入れた。 ばっこりと折れ曲がる電柱。 折れ曲がった電柱の上部分が、二人のやや後ろの方に落ち、アスファルトの道路を無惨にへこませたのだった。 ●電柱の横から微妙に突き出てる杭みたいのの名称は『足場ボルト』 「知っていますか。電柱はかつてスギなどの高い木をそのまま使っていたんですヨ!」 「疾風さん、虚空に向かって何カメラ目線送ってるんですか」 「いえ別に……ノアさんこそ何を?」 小柄でミニスカなポリス(最近全く聞かなくなったあの用語)ことノアが電柱に跨って熱心に何かやっていた。 何となくアレな画ズラだが実際何やってるのかと言うとハチマキ巻いて油性ペンで顔書く作業である。エロいことではない。 「よーし、これで訓練用サンドバックの完成であります!」 「嫌だなあ、訓練でコン柱殴るの……」 「そろそろ……これをどけてほしいのダ……」 電柱の下でうごうご蠢くカイ。 それを計都が苦労して引っ張り出していた。 「電柱って案外重量あるんスね! 奥深さを知った気がするッス!」 「奥深さですか……それより、あれは一体?」 日が暮れてきたからかサングラスを外すアルフォンソ。 物凄い余談だが、アルビノさんのアルフォンソがサングラスをしているのは習慣だからであって、太陽見たら目が焼けちゃうとかそういうことではない。リベリスタになった時点で肌とかけっこう頑丈にできているのだ。だからUVライトとかも実は平気である。 そんな彼の視線の先では、ナターリャが電柱の欠片をぐいぐいと引っ張って来ていた。 「ここまで荒ぶられたら神秘の隠匿なんてできるのかしら?」 「電柱搬送中のダンプが突っ込んでどうのこうのってカンジでごまかし聞くんじゃない? わかんないけど」 「はあ……あ、福松。言われた通り持って来ましたわ、電柱の欠片」 「よし、貸せ!」 福松はナターリャからコンクリート欠片をひったくると、サイレントメモリーをかけた。 ゐろはは暫く無言で見下ろしてから口を開いた。 「……どう」 「駄目だ。特に何もない断片的過ぎる! とはいえ10本はあるんだ、片っ端から調べていけば……!」 「おちつきなって」 「オレは焦ってなどいない!」 「つか焦ってんじゃん」 「…………」 事情が分からずおろおろするナターリャを見て、福松は帽子を深くかぶり直した。 「すまん」 「電柱……貴様の考えていることは分かるぞ。これも幾度となく相対してきた魔剣電柱のことを思い出しているのだな?」 剣を鞘に納め、ゆっくりと近づいてくる惟。 「これも考えた。なぜ電柱が十本も革醒したか。そしてある結論に行きついた」 「それは……?」 うむと頷く惟。 「十電柱、すなわち充電中。つまり何者かが電柱に電気エネルギーを溜め覚醒したのだ。ARABURUはBARAURUのアナグラムになり、このE電柱をエリューション蓄電池としてバラ売りしようとしていたのだ」 「………………」 沈黙のまま、サイメモ作業に戻る福松。 「無視をされると寂しいぞ」 「ちょっと黙ってろ」 すると、断片記憶の中にこんなものがあった。 「『いいか、この辺の住宅地エリアで崩界的行動を繰り返せば連鎖的に電柱とかがE化するだろ? そこに溜ったエネルギーごと転売するだろ? そうすると革醒が革醒を呼ぶ原理でE化現象が拡大するだろ? そうしたら割とサクッと崩界できるんじゃねえ?』」 「………………」 黙って惟を見る福松。 「どうした」 「いや……」 福松は頭をかりかりと掻いて、惟を拝むことにした。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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