●世界の半分は黄金色に染まり まだまだ暑い日は続くけど、湿度がちょっと下がったような。 空気に乾いた草の香りが混じり始めたような、そんな8月……市街地から離れた一角で。 幾つもの田んぼが一足早い、実りの季節を迎えていた。 水が満ちて青々としていた水田は、今は黄金色一面に染まっている。 天へと伸びていた青かった稲は、豊かに実り頭を垂れ、陽の光のような暖かな金色に染まっている。 トンボたちが空を飛び始め、刈り終えた稲穂のおこぼれでも狙うかのように雀たちもチュンチュン騒がしい。 そんな……夏の終わりの、一風景。 ●稲刈り日和とエリューション 「という訳でアークの有志の皆さんのご協力のお陰で、無事に稲刈りができる事になったんですが……」 ちょうど良いので依頼をひとつ片付けて欲しいと言われました。 マルガレーテ・マクスウェル(nBNE000216)はそう言ってブリーフィングルームの端末を操作した。 スクリーンに一台の農作業用らしき機械が表示される。 「稲刈り用のコンバインなんですが……これがエリューション化したみたいなんです」 E・ゴーレムと見せかけて実際はE・フォースらしき存在が取り付いているという感じらしい。 攻撃等の能力は一切ないが、この機械を壊しても別の機械に乗り移ってしまうのだそうだ。 ただ、思念体のせいか満足すれば自分から消滅してくれますとフォーチュナの少女は説明した。 「……で、その望みというのが思う存分稲刈りがしたい、ということらしくて」 ちょうど週明けくらいに稲刈りかな~とか有志が話していた時に、危険は絶対にないからと話が回ってきたらしい。 「私も初めてなので、全然知らないけど興味があるくらいの感じでも大丈夫です」 マルガレーテはそう言って、リベリスタたちを見回した。 「良かったら、一緒に如何でしょうか?」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:メロス | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年09月08日(土)22:48 |
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■メイン参加者 32人■ | |||||
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●稲刈り前のやり取り 「じゃあ、ダメなのか……」 とれたてのお米、食べたかったのだ…… 本当に残念そうな少女を見て……お爺さんと呼んだ方が良さそうな農家のおっさんは考えこんで……思い切るように頷いた。 自分のとこでは、刈ったモミは一日くらい機械で乾燥させてからモミすりをする。 とはいえ、これだけ新米を楽しみにしている者がいるのだ。 朝早く刈ったのなら、夕方くらいには何とかなるかも知れない。 「それじゃ、少しだけ試してみっか」 「できるのかっ!?」 「分からん。やった事ねえが、まあやってみっべ」 やっぱ嬉しいじゃねえか。 「若けえのが新米って目を輝かせてたら」 そう言って、おっさんは嬉しそうに笑った。 そして稲刈りは、朝6時からになりました。 ●一日の始まり 「この光景を見ると、秋が来たなって実感するわ」 色づいた田んぼを眺めながら未明は呟いた。 (頭を垂れた稲穂が風に揺れる様はホント綺麗ね) 前の家でも、自分達で食べる分のお米は作ってた。 「田植えから稲刈りまでしてたけど……こういうコンバイン無かったのよね」 手押し物だけで、それも使わせては貰えなかった。 端の方を鎌で刈るとか、そんなんばっか。 「だから今日は楽しみだったの」 ディーゼルエンジンを唸らせ脱穀機を稼働させているそれの、操縦席に腰を降ろして。 流石に運転では戸惑うかなって思ったけど…… (やばい、楽しい) 「テンション上がってきた……!」 後で頼んで新米分けてもらおうと思いつつ、未明は稲穂を刈り上げていく。 「酒造好適米というのは、粒が大きく心白の大きくてより高い精米歩合にも耐えられる品種の事なんだ」 快の言葉を聞きながらマルガレーテは顎に手をあて考え込んだ。 この田んぼでは酒造好適米も生産しているらしいと聞き、快は見学にきたのである。 昔は仲卸経由で酒米を買っていた蔵元も、最近は生産農家から直接買い付けを行なっている。 「直売所とか流行ってるって聞きますもんね?」 「うん。それで、ここの田んぼで俺が見た事を蔵元さんに伝えられれば……」 もしかしたら、ここの米で作った日本酒が生まれるかもしれない。 「そうなったら楽しいよね」 確かにと、少女は瞳に好奇心を浮かべて頷く。 労働とは、働き、結果を得、繰り返す事で錬度を上げること。 つまり労働とは儀式であり……神聖な闘争なのだ。 「さぁ、働こうか……!」 (幾多の労働を重ねたコンバインよ、俺が貴様と共に働くぜ) 操縦席に腰を降ろしながらランディは語りかけた。 能力で勇者(コンバイン)の記憶を辿り、心を通わせて。 「いいねぇ、これがコンバインの力!」 (この駆動音、この振動……) 「俺のバイクにも負けねぇいい音(こえ)してやがるぜ!」 こうして人機一体となっての稲刈りが、始まった。 ●実りの季節に 「あの時の田んぼの稲が立派に実りましたか」 カイは秋を迎えた水田に目を細めた。 (E・コンバインの対応も大事でしょうから、僕も運転に加わろうかな?) 「この時期でないと乗れそうにありませんし……」 もちろん希望者が多数なら、その時はモミの袋を運ぶ方に。 皆の様子を見ながら、カイは人の不足しそうなところを手伝っていく。 良ければ収穫されたお米を一膳分くらい分けてもらおうと思う。 製粉……米粉にしてスポンジ生地をつくり、イチゴと生クリームたっぷりのケーキを作り、プレゼントしたいのだ。 誕生日のお祝いに、マルガレーテに。 (できたら鴨南蛮も……) 考えながらも気は抜かず、青年は手伝いを続けていく。 「ご機嫌麗しゅうマルさん」 まさか稲刈りを体験できるとは思いませんでした。 「……ふふ、この運命を視てくれてありがとうございます」 亘はフォーチュナの少女にお礼を言った。 呟く幼少期、想い出す風景。 田舎の実家。真っ青な空の下、温かく淡い風に揺られ波打つ黄金色の稲穂。 見渡す限り広がる青と、黄金が調和した……景色。 (それが好きでわくわくして……) つい抑えられず、水田の周りを波と一緒に走っていた。 (……忘れていたこの気持ちを思い出せた) 「それに感謝し今日は稲を刈りましょう」 さっと一束抑え、絶妙な強さとタイミングで引く。 稲を傷つけない様に続け、束にして渡しながら。 楽しいなぁ。 亘は想いを、胸の内に弾ませる。 「巫女ってぇのはさ、昔は田畑で豊作の神楽舞を奉納してたんだよねぇ」 まぁあたしゃ元巫女だからぁ今は関係ないけどさぁ。 そう呟いてから、でもと御龍は付け加えた。 (豊作になるとやっぱりうれしいよねいぃ) 「さてとぉ。刈るぜぇ。これが噂のコンバインかぁ」 (こんなものおちゃのこさいさいぃ) 「やぁマルガレーテちゃん。首尾はどうだいぃ? 刈ってるぅ?」 運転していた彼女は、鎌で稲を刈る少女の姿を見つけ声をかけた。 あたしのコンバインさばきぃかっこいいでしょぉ? 笑顔で言えば、少女も手を止めて笑顔を返す。 「リベリスタやめたら農家に転向しようかなぁ、なぁんてねぃ」 御龍は頭を垂れた稲穂に目を向けた。 「お米おいしくできてるかなぁ?」 ●何かいろいろ 1、マルガレーテたんを愛でる。 2、レッツコンバイン。 「うむ、俺の今回の行動順位はこれだ! 稲刈りとか、何気に俺は初めてだしね!」 「何やってんですか、先輩」 「おら、コンバイン! しっかりいいポジションに移動するんだよ! 稲刈りしていいから!」 「機械虐待ですってば!」 稲刈りをしていたマルガレーテにカメラを向けながら竜一はコンバインを動かし続ける。 (俺のハイバランサーは手ぶれ防止!) 稲刈りもする、マルガレーテたんを撮影する。 「両方こなしてこそ、真のリベリスタだ!」 「や、集中しましょうよ」 何か疲れた感じの少女に対し、竜一の方は欠片も疲れた様子を見せず……元気に両方を続けていく。 「良ければその藁、少しくださいな~♪」 そう言って余った藁をもらったハガルは、隅っこの方で藁人形を作り始めた。 「一つ編んでは私の為~二つ編んでは私の為~」 三四なくて~、五つ編んでは私の為~ 「……良しできた! 我ながらなかなかの出来栄え~」 (うふふふふっふふhhh) 笑顔で用意した司令の写真をはって、五寸釘と、木槌を手に。 カッキーーーン!! カッキーーーン!! (我が呪詛と共に、メガネへカッキーーーン!!) 「あははhっはshhdhdhsっはっはhっはh♪」 呪え呪え呪え~w女難になれ~女難になれ~、修羅場になれ~♪ なんかすごく楽しそうに、ハガルは木槌を振るって藁人形に五寸釘を打ちこんでいった。 ●稲刈りカルテット 折角なので自分も稲刈りを。 そこで雷慈慟は、知り合いの姿に目を留めた。 「……む? あれは羽柴嬢」 ほぼ同時に。 「あれ、あそこに見えるは酒呑さん」 壱也の方も、雷慈慟の姿を確認する。 「酒呑さんだー! このお米持って帰って日本酒にするの?」 「元気そうで何より……日本酒? ……考えてもみなかった」 ふたりは短く挨拶を交わす。 一方で、こじりはマルガレーテと鎌を振るっていた。 「小学生の頃、課外授業でやったわね」 「そうなんですか? 私は……」 色々話をしつつ稲を刈っていて……ふと顔をあげた時。 「あら、羽柴さん……あら、酒呑くんじゃない」 壱也も声を聞いて振り向くと、挨拶しながら2人に駆け寄った。 「マルガレーテちゃん! もう傷は大丈夫? 無理しない程度に一緒に稲刈ろうね」 壱也の言葉に少女が頷いて。 「友達? それとも……」 こじりは雷慈慟へと視線を向けながら首を傾げた。 「うん? 先日仕事でな……もう二年目か。交友も広がるモノだな」 取り敢えず仕事、済ませちゃいましょうと話を一旦締め括って。 4人は稲刈りを再開する。 「お、こじたんうまいねー稲刈るの! やったことあるの?」 「なるほど、こう手を返すとソツ無くこなせるのか……ん?」 稲刈り途中、こじりも、ふと……顔をあげた。 「稲刈り楽しいだ~! プリンセス☆ハンドル捌き! どっせぇぇい!」 「……なんであの子、コンバインに乗ってるの?」 凄い勢いでコンバインを運転しているロッテを発見したこじりが、訊ねるように呟く。 「壱也様ぁ~! みてみて、ワイルド! マルガレーテ様ぁ~! かっこいい? かっこい?」 ロッテの叫びに壱也は大きな声で返事をする。 こじりは軽く息を吐いてから、持っている鎌を投げた。 「ギャアア! 鎌が頭にぃぃいやああ!」 「うわああ! ロッテちゃん危ないよお! 暴れちゃだめええ!? 鎌刺さってる!?」 同じくびびったマルガレーテを雷慈慟が止める。 「ま、マルガレーテちゃん来ちゃだめだよ、危ないからああ!」 壱也もそう言ってロッテに……鎌をぶんぶん振りながら近付いた。 こじりはというと、こっちに来いと言わんばかりに顎をしゃくってみせる。 「貴女何してるの? 胸削がれたいの?」 「ふ、ふええ……こじり様酷い……取ってほしいのですぅ……」 めそめそしながらもロッテは素直に近付いた。 取ってほしいって事は、刺さったままなんだろうか? (※ロッテの頭は急所ではないと、マルガレーテ認識) 「いっぱい刈って、マルガレーテ様に褒めてもらおうと思ってたのに……」 彼女はぐすんと涙ぐんでから、胸は削がないで欲しいですぅ! と懇願した。 (なんにせよ女性に怪我は居た堪れん) 雷慈慟が手早く手当てする一方で、壱也は。 「む、胸……削がれ……」 見下ろしてから……大丈夫だもん……と、力なく呟いた。 「なんで酒呑くんは揉みたそうにしてるの? 羽柴さんは自分の胸を見てるの?」 こじりが3人を見比べながら訊ねる。 「……何? そんな目をしていたと言うのか……自分は……」 ワナワナと震えた後……雷慈慟は、何かけっこう素直に口にした。 「無いと言ったら嘘になるな」 「壱也様、大丈夫ですぅ! 無くても使え……酒呑様揉みたそうな目なの!?」 ロッテが途中で、2人の言葉に反応した。 「……千堂の後なら……ダメですぅぅ!」 ●あいがも 「あれから、どのくらい大きくなったのでしょうか……」 (やーん、あのかわいい雛さん達がどんな風に育ったのかとても楽しみです) 「素直ないい子に育ってくれていると嬉しいのですが」 アイガモの雛たちに会いに来たイスタルテは、早速小屋の方に顔を出した。 (雛さん、どのくらいの大きさになっているんでしょう……♪) 成鳥っぽくなったアイガモたちはちょっとイメージと違ったが、懐かしさというものがある。 用意した餌をあげたり、水を取り替えたり。 「もしかすると、私の事を覚えていてくれたりするのでしょうか?」 (やーん♪) 嬉しそうに、楽しげな彼女の様子を……眺めていたヤミィとシロは……しばらくして意を決したように頷き合うと。 緊張した様子で……彼女に声をかけた。 ●秋の風景 「夏が終わってもう秋なんだな……」 紅瑠は呟きながら目の前に広がる風景に目を細めた。 (ホントに黄金色で綺麗だよな……この時期の水田って……) 「天気がいい日の夕焼けと一緒に見たりとかさ……凄くいい景色だと思うよ」 稲が育つ間……特に夏の緑色の水田も色が綺麗で好きだけどね。 稲刈り自体は初体験。 「えっと……こうでいいのかな……?」 見よう見まねして、教えてくれた人にお礼を言って。 慣れたら迷うことなく、ドンドン稲を刈って行く。 食卓の平和とコンバインのために。 「心配するな断罪、お前を使って刈ったりしないから」 そう、稲刈りのデフォ武器は鎌に決まってる……! 農家の人への挨拶を終えると、頭の片隅に誰かを滞在させつつ。 蘭月は早速作業を開始した。 急ぎつつ、丁寧に……稲穂を刈り取っていく。 「不甲斐ない……まだいける!」 腰がお亡くなりになっても、ペースを落として続行。 (稲刈りが終わったら、自然の恵みと農家の皆さんに感謝だ) 蘭月は地道に、堅実に、自分の仕事を続けていく。 少年兵時代、アリシアは集落等を襲って食料を強奪していた。 生きていく為にではあったが……罪悪感は、今でも胸の奥底で燻っている。 「贖罪の意味でも作業は完遂しよう」 (一時の間ではあるが、よろしく相棒) そう呼びかけ操縦席に腰掛けて。 「おお……意外に快適だな」 戦場ではない、というのもあるのかも知れない。 (これがコンバインというやつか) 日本では普通免許さえ取れば小型特殊も問題ないのだとか。 (今度普通自動車の免許取りに行こう) 「……と思ったが、国籍がないから取れないのか……」 凹んだりもしつつ作業を続け、お昼時。 「これが労働の喜び。素晴らしいな」 そして飯がうまい。 表情を崩しながら、アリシアはおにぎりにかぶり付いた。 雷音は歌いながら、丁寧に一束ずつ稲を刈っていく。 「あの時守った田んぼのお米が美味しく実って嬉しいのです」 そあらも以前の防衛戦を思い出しながら口にした。 (らいよんちゃんと一緒に、おにぎりを作りたいと思うのです) その為に。稲がお米になるまで、しばしの時を。 ●どっしりと、重みのある収穫を 「……こんなに綺麗な景色を刈るってのは勿体ねぇ気もするな」 けど、日本の米は美味いもんな。 「頑張って手伝うか!」 レイニードは袋運びを開始した。 「E・コンバインも稲刈り頑張れよー」 声を掛けつつ、モミが一杯に入った袋に手を伸ばす。 「おーそれなりに……重っ……」 (油断した……もう少し軽いものだと思ってた……) ちょっと悔しく思いつつ、青年はモミ袋を担ぎ、歩き出す。 ウラジミールは猫車などを用意して、一袋を持ちあげられない者も運搬を行い易いようにと配慮しながら作業を行っていた。 自分も袋詰めのモミを運びつつ、コンバインから猫車等へとモミ袋を移す作業を手伝う。 「お互いに出来る事を出来る範囲でがんばろうではないか」 頑張っている様子のマルガレーテを見かけ、軽く雑談してから作業を再開。 (折角米所のようなのでお昼は白ご飯を頂こう) ご飯、鰤の照り焼き、ほうれん草のおしたし、みそ汁、漬物…… 「日本食もだいぶと馴染んできたようだ」 思い浮かべる最中に梅干しの酸っぱさも思い出し、壮年は眉をしかめると冗談めかして口にした。 モノマも袋に詰めたモミを、黙々と軽トラックへと運んでいく。 (……こうやってるとパッと見、完全に農家のあんちゃんに見えるんだろうな) 動きやすい服に首からタオルという格好の自分を見て、義弘はそんな事を考えた。 彼も主に、袋に詰めたモミを運ぶ作業を行っている。 運搬も大事な仕事だ。稲を刈るのは、他の皆に任せて。 「まあ、おいしいご飯のため、汗水垂らして働くとしようか」 モミの詰まった袋を肩に載せ、軽トラックへと運ぶ。 「ふぅ……何個か運べたな……」 レイニードは一息つきながら、運ぶ途中にフラついたりした事を思い出した。 (皆で収穫した米だから、食べるときっと美味いだろうな) 「そう考えたら腹へってきた……」 呟いた彼の許に米が炊けた時の独特の香りが漂ってきたのは……それから暫し、後の事。 ●米! 「農家じゃないけど心は農夫! ベルカである!」 (故人いわく『手に豆のある者のみ喰らえ』と言う) 「刈れ、万国の労働者! 私も刈るぞー!」 気合を入れたベルカも、早速鎌での稲刈りを開始した。 (槌と鎌こそ我が栄光の旗印である) 「単純作業とノルマの申し子たるこの私に刈れぬ稲など……あんまり無ぁい!」 几帳面に、角の角まで。 ザクザク、ゴリゴリ、ザクザク、ぐきっ。 (あっ……☆ 腰から何か嫌な音が……) 「大丈夫ですか、ベルカ先輩!? 衛生兵! 衛生兵ッ!」 幸いというべきか大事には至らず、彼女は小休止に入る。 「日本人だもの! お米大好き」(>▽<) 麦わら帽子、作業着、軍手と首にタオル。 「……そして今日の頼れる味方! 草刈り鎌~☆」 「コンバインなんかに負けないぞ」(><) すごい気合で終は稲を刈っていた。 (新米……ふっくら……つやつや……炊きたて!) 美味しい……天然塩で……塩……むすび……! (焼き海苔と漬物があれば尚良し……!!) スポーツドリンクで、こまめに水分補給して。 疲れたらアイガモさんかわいい(>▽<) ってやったり、シロに遊んで貰ったり……しまいには一般参加の子供達と遊びだす、そんな大学生(`・ω・´) 「何はともあれ早く食べたい新米」(>▽<) 待ち遠しい!(><) ●あの時の田んぼから 「あの時の田んぼかな? 無事収穫できてよかったわ」 稲穂の海を眺めながら祥子は微笑んだ。 (あたし畑仕事とか好きなのよ) 家にはプランターのミニトマトくらいしかないけど。 「ここが日野原達が守った場所かー、収穫出来る様になったのも皆のおかげだな!」 ツァインも水田を眺めながら笑顔になる。 「実は故郷じゃ農家やってたんだぜ。任せてくれよ!」 とはいえ6歳でこっちに来た為、実際は殆ど分からない。 教わったのは鍬の振り方と。 「……世界で一番強ぇのは農夫だって事くらいだな」 (最初は意味分かんねぇって思ったけど、今はちょっと分かる気がする……なんてな!) ウハハと、笑って誤魔化して。 祥子はもふもふと、しっぽを振るシロとの再会を喜んで。 ふたりは稲を刈っていく。 「せっかくだから収穫作業を満喫しないとね」 足腰は自信があるから、中腰で一日作業してもきっと大丈夫。 刈り終わった稲の束を運ぶのはツァインにお任せ。 (あたしもきっと一般人の女の子より力持ちで、稲束くらい運べるかもしれないけど) そこは気づかないことにする。 「よしシロ! 俺が刈り取ったのを咥えて運ぶんだ! リベリスタの道は険しいぞ、GO!」 モミ袋を肩に担いだツァインは、シロにそう呼び掛けて。 (これ、収穫したばかりのお米でおにぎりとか出ないかな……) 「何を言ってるんだ俺は、不謹慎な……でもお腹減った……」 呟いたツァインの鼻先に、何かの薫りが漂ってきた。 ●先日と、これからと 「……改めて、誕生日おめでとう。もう数日時間も過ぎてしまっているのだが」 苦笑いを浮かべつつ拓真はマルガレーテに挨拶した。 「紫月が、まだ祝っていなかったと言って居てな……俺はその付添いと言う訳だ」 「お誕生日、おめでとうございます。私はお言葉もかけられませんで……」 日は過ぎてしまいましたがと申し訳なそうにしつつ紫月が花束を差し出せば、少女はお礼を言って笑顔を見せた。 「別に付き添いは必要ないと言ったのですが……どうやら、言っておきたい事がある様で」 声を小さくして付け加え、拓真の方に視線を送る。 「……この間の、任務の件は本当に済まなかった」 守るべき存在に怪我をさせてしまったのは、此方の落ち度だ。 拓真はそう言って頭を下げた。 謝る青年と、かえって恐縮したの様子の少女を眺めつつ、紫月は想う。 きっと彼女はそこまで気にしてはいないだろう、と。 (彼女もまた、バイデンと直接戦う力は無いにせよ……アークの戦士の一人なのだから) 「……それと、危険な戦場に足を運んでくれて有難う」 君達、フォーチュナが居なければ勝利は得られなかった。 拓真が笑顔で感謝を述べれば、マルガレーテも笑顔で応じた。 「今後とも、どうか幾久しく……ただ、余りご無茶はされませんように」 そうさせない様に努力しなければならないのが私達なのでしょうが……と、嘆息してから紫月は微笑んだ。 「これからも、お互い頑張りましょうね」 ●一日の終わり 稲刈りが終わった後の水田で、紅瑠はコンバインをそっと撫でた。 「稲刈りお疲れ様でした」 もう戻っているだろうけど、一言だけ。 言ってから……可笑しいかなと思った直後。タンクの上に乗っていたバッタが、ピョンと跳ねる。 汚れを丁寧に磨いて、油を差して。 「最高の一時だった……お前の記憶の一部になれた事、光栄に思うぜ」 またな、ダチ公。 整備しながら、ランディも鋼鉄の友に語りかけた。 「お、そうだ忘れる所だった。良いモン作ってやるよ」 マルガレーテにそう言うと、白山は拾ったもみ殻の下を少し切って、中の米を取り出した。 残った殻を二つ用意して、用意しておいたドングリの傘が付いてない方に接着剤で付ける。 銀色のカラースプレーと白、黒のマーカーで色付けして…… 「出来たぜ。トト□だ」 断じてかの著名な奴じゃねーよ。トト□(ととしかく)だ、間違えんなよ。 「これ昔、小学生の時によー、先公が作ってくれてな」 つーわけで、やるよ。 感心した様子の少女に向かってそう言うと、白山は大きいドングリと小さいドングリで作った2つを、マルガレーテに手渡した。 「こういう楽しみ方も知ってても、損はねーだろ?」 ●新米 田んぼから少し離れたところに、即席の炊事村が誕生する。 「初めは弱火でゆっくり温度を上げて一気に火力を上げるです」 (乾燥した藁を貰えたらそれを入れるのが良いかも) 用意してもらった薪も使って、そあらは早速ごはんを炊き始めた。 「ヤミィ、楽しみだな」 「何か実験みたいでワクワクしますよね?」 ……実験? とにかく楽しいのは良い事。 雷音はそあらのそばで、ヤミィと話しながら……そあらを見守る。 「蓋は絶対開けないです」 火を消したらしばし蒸らして……美味しいご飯の出来上がり。 「ヤミィさんも一緒に美味しいおにぎり食べるですよ」 お米の美味しさがを生かして塩おにぎり。 「火傷しないように気をつけるです。あちゅい><」 指をくわえたりしつつおにぎりは完成して……雷音はできたてのお米の美味しさを噛みしめる。 ……そあらは守ってくれてありがとうなのだ。 「おいしいな」 そう言って、微笑んで。 3人で食べながら、2人はパチリと写メを撮って……そあらはメールを送る。 残ったおにぎりは…… 「さおりんへのお土産なのです」 「虎鐵と、夏栖斗に持って帰ろう」 喜んでくれると、いいな。 つつみながら……少女はそっと、微笑んだ。 「しかしこりゃあいい出来だねぇ……惚れ惚れするよっ」 (うちの食堂にもぜひ卸して欲しいもんだよねぇ) 「あとで頼んでみようかねぇ……」 そんな事を呟きながら富子も用意された新米を炊き上げた。 「せっかく極上の収穫直後のお米だ。美味しく食べないと罰が当たるよねぇ」 彼女が作るのは、おむすびだ。 「さぁてお富特製おむすびだよっ!! さぁさ食べとくれ!」 うめにおかか、こんぶ、しゃけ、海苔佃煮。 「アタシの一番のおすすめ『塩むすび』っ!!」 「ご飯? 用意してくれるならありがたくいただく!」 採れたてで炊き立てなんて贅沢だ。 (こういうのは、普段は経験できないからな) 「こうやって頑張ってれば、コンバインも以前戦った田んぼのあいつも満足するだろうさ」 おむすびを受け取りながら、義弘は呟く。 行き渡ったのを確認すると、笑顔で富子は皆にたずねた。 「ちょっと待った! アンタたち食べる前に言う言葉があるだろう?」 その言葉に皆は顔を見合わせてから、元気な声を。 秋晴れの空へと響かせた。 \\\\いただきます!!//// |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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