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形? 大きさ? いいえ、何よりも小ささです。

●ただの紳士です
「やあ、そこの素敵なお嬢さん。よかったら私と一緒にお茶しませんか?」
 後ろから突然かけられた声に少女は立ち止まって振り返り、声の主に怪訝な表情を向けた。
 彼女は三高平高校の学生で、現在はバイト帰りに繁華街を通っていたところだった。夜の繁華街ということもあって、これまでも何度か男性から声をかけられることはあったので、こういう状況に慣れていないわけではない。
 しかしだ。声をかけてきた相手がシルクハットに燕尾服という出で立ちで、その上満面の笑みを浮かべていたなら怪訝な表情を向けたくもなる。
 外見から予想される男の年齢は四十代前半。すらりと伸びた手足に整った容姿。いかにも紳士然とした様子は、繁華街では浮き過ぎる奇抜な格好を除けばかっこいい部類に入るのだろう。
 だが、男が次に放った言葉はそのかっこよさを台無しにさせるのには十分な威力を持っていた。
「実は君を一目見た瞬間から胸の高鳴りが止まらなくてね。そう、胸! 成長途中の少女に見られる微かな膨らみ! 小ぶりながらも全くないわけではなく、芸術美さえ感じさせる小ささゆえの絶妙な胸のライン! その絶妙なぺたんっぷりに私の心が熱く燃え上がっていくのを感じざるを得ない! どうですかな、お嬢さん。二人でこの議題について語り合いませんか」
 男が力説する間、視線はずっと少女の胸に向けられていた。
 はたして胸と言えるほどの膨らみがあるのかどうかはともかく、およそ一般的には胸と呼ばれるあたりの位置に視線が向けられていた。
 その視線の意味するものを察して、少女は声を荒げる。
「丁重に遠慮します!」
 その言葉に、一瞬前までらんらんと目を輝かせていた男は、がっくりと肩を落とした。
「そうですか……。非常に残念です。ならば、せめて……!」
 急に顔を上げたかと思えば、そのまま男は少女に近づいて白い手袋を履いた手をある一点へと伸ばし――。

●いいえ、変態という名の紳士です
「胸の大きさなんて所詮飾りだと思う」
 『リンク・カレイド』真白・イヴ(nBNE000001)はやや憮然とした表情を浮かべて開口一番にそう言った。
 集められたリスベリスタたちは、この一言に思わずイヴの胸のあたりを見やり――、そして、今回の
依頼がどんな内容のものであるのか大体の想像がついてしまった。
「今回の敵はフィクサード。繁華街で胸の小さな女の子を探してお茶に誘い、断られると胸を触ろうとする」
 どこからどう考えてもただの変態だ。
 だが、はたしてただそれだけの理由でリベリスタたちが集められるのだろうか。
「そう、ただの変態的な行動だけなら『万華鏡』システムにはひっかからない。このフィクサードはアーティファクトを所持してるの。形状は礼装用の白い手袋。これを付けた状態で胸を触られると……」
「触られると?」
 言葉の先を促して、リベリスタが息をのむ。
「胸が小さくなる」
 一瞬、場が沈黙に包まれた。
 何とも言えぬ複雑な表情を浮かべるリベリスタたちを見て、イヴは憮然とした表情を強くする。
「今までもお茶に誘って断られた女の子たちの胸を触って小さくしてきたみたい。こういう人は世の女性の敵」
 最後の言葉は世の女性の言葉を代弁したというよりは、イヴ個人の言葉なのではなかろうか。幾人かのリベリスタはそんなことを思ったが、そこはこっそりと胸の中に秘めておく。
「今回することは二つ。アーティファクトの破壊とフィクサードの撃破。まず、今から行けば被害が出る前に手を打てる。被害に合う女の子は午後9時頃に繁華街を通り、フィクサードは午後8時頃には既に繁華街で女の子探しを始めてる。フィクサードがこの女の子と接触する前に、こちらからうまくフィクサードに接触できればフィクサードはこちらに気を取られるはずだから女の子が被害に合うのは防げると思う。フィクサードは目立つ格好をしてるからすぐ分かるよ。それと、繁華街だと人の目がありすぎるからどこか人目のないところに誘導する必要があるかも」
 手元の資料をめくり、続いて敵の説明に入る。
「敵はフィクサード一人だけ。プロアデプトのような能力を使ってくる。結構強いみたいだから変態といえど油断はしないで。あと、アーティファクトだけど、戦闘中に触られて胸が小さくなっても破壊すれば元の大きさに戻るから大丈夫」
 以上、と言ったイブの言葉にリベリスタたちは頷き、出そろった情報を整理しながらブリーフィングルームの外へ向かおうとした時、思いだしたようにイヴが小さく声を上げた。
「今回の敵だけど、ぼっこぼっこに殴ってきて構わない。それじゃあ、気をつけて」
 ぼっこぼっこ、の部分に力がこもっていたのはたぶん、気のせいではない。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:瀬戸 孝也  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年06月15日(水)22:41
ひんぬーにロマンを感じます。こんにちは、瀬戸孝也です。
以下、依頼の情報です。


■成功条件
フィクサードの撃破とアーティファクトの破壊

■敵情報
接触時、接触する人がひんぬーさんだと成功率が上がりますが絶対にひんぬーさんでないといけないわけではありません。
ひんぬーについて語ろうと言えばたぶんほいほいされると思います。

戦闘時はひんぬーさんを率先して狙います。男性の女装には反応しません。
性別不明だったらどうなるか分かりません。


よろしければお付き合いいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
覇界闘士
ティセ・パルミエ(BNE000151)
スターサジタリー
舞 冥華(BNE000456)
デュランダル
源兵島 こじり(BNE000630)
デュランダル
日野宮 ななせ(BNE001084)
スターサジタリー
モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)
ナイトクリーク
黒部 幸成(BNE002032)
デュランダル
小崎・岬(BNE002119)
ホーリーメイガス
翡翠 あひる(BNE002166)

●変態紳士ほいほい
 あちこちでネオンが輝き始める夜の繁華街。仕事帰りのサラリーマンや夜の職業と思しき人たちが道を行きかい、皆足早に通り過ぎて行く。
 そんな中、道の端に立ち尽くすシルクハットに燕尾服という出で立ちの男は酷く場違いで、非常によく目立っていた。
「あ、あの、胸の小さい人が好きな方って、あなたのことでしょうか?」
 どこからどう見ても怪しげな雰囲気の男に果敢にも話しかけたのは『シトラス・ヴァンピール』日野宮 ななせ(BNE001084)だ。その隣には、『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)もいる。
 ななせが男に声をかけるまでモニカは男の視線を追っていたが、先に聞いた話の通りに胸の小さな少女ばかりを追いかけていた。内心で呆れ顔になって、心の中だけでひんぬーの為ならば死をも厭わなさそうですね、とこっそり呟く。
「いかにも、私のことです。何か御用がおありですか?」
 普通なら聞かれれば例え本当だったとしても、否定しそうなことをあっさりと肯定して、ななせに聞き返した。勿論返答している間も視線は二人の胸に注がれていた。
「わたし、自分では普通のつもりなのですけど、みんなに小さいって言われるんです。……よろしければ、お話し、とか確認、とか……していただけませんか?」
 何が小さい、とは具体的には言わなかったが、男はその言葉だけで察したらしい。確認、と言われた瞬間に目をカッと見開いていたのは見間違いではない。
「ぜひ相談に乗りましょう。私に任せて下さい。胸の大きさについての相談はよく受けるんです。触診だってばっちりです」
 言葉の最後にウインクでばっちりと決めながら、意気揚々と目を輝かせて男が答える。しかし、触診と言えば聞こえはいいが、それってただのセクハラなんじゃとかツッコミを入れてはいけないのはお約束である。
「……いっそ清々しいまでのド変態ですね」
 モニカがぼそりと呟いた言葉は、既に触診のことで頭がいっぱいになっている変態紳士には届いていないようだった。
「さあ、それでは早速相談を――」
「こ、ここでは恥ずかしいので、裏でっ」
 視線を胸に向け、手をわきわきとさせていた変態紳士の言葉を遮るようにななせが言葉を割り込ませる。
 ここで触られてしまっては路地裏へ誘導できなくなってしまう。というのも確かな理由ではあるが、ただでさえぺったんと言われる胸を早々に小さくされてはたまらない。どっちかというと、後者の方が本心に近い気がする。
「おや、私としたことが失礼しました。そうですね、人目のないところの方が話もしやすいでしょう。勿論確認も!」
 確認、という言葉にやたらと力を込める。今から既に触診した時の感覚へと思いを馳せてしまっているらしい。その証拠に何もない場所に向かって手をわきわきとさせている。恐らく、彼の妄想ではその先に胸が見えていることだろう。
 どうやら変態紳士はこのおいしい状況に何の疑問も抱かず、しっかりと騙されてくれているようだった。

「小さいのが好きだからって、その……触るのはよくないわ……」
 囮役の二人が事前に打ち合わせた路地裏へ変態紳士を誘導するのを離れた位置からから尾行していた『みにくいあひるのこ』翡翠 あひる(BNE002166)が言った。
 念には念を入れてゴミ箱の蓋で姿を隠しながら、二人の姿を見失わない様に後をつけている。隠れるのはまず形から、である。
「そうそう。小さい方が好きって人がいるのは聞いてたけど、嫌がる人を無理矢理っていうのは良くないよね」
 あひるの言葉に同意するように頷いたのは『おこたから出ると死んじゃう』ティセ・パルミエ(BNE000151)だ。
「ひんにうを愛するその嗜好、個人の自由ゆえ否定はしないで御座る……だがしかし! あろうことか自らの嗜好を押し付けるなど言語道断……!」
 今回の参加者で唯一の男性となった『ニューエイジニンジャ』黒部 幸成(BNE002032)も、本人の意思に反して胸を触るのは反対という意見は同じなようだ。むしろ、この熱い意見からは何かしらの彼なりの美学のようなものさえ感じられる。
「かのゲーテはこう言った。信仰はその家の隠れた家宝である。されどさて、彼の胸に対する信仰心は家族にも頷いて貰える物なのかしら」
 物陰に隠れながら『毒絶彼女』源兵島 こじり(BNE000630)は、囮役の二人と変態紳士を覗き見る。
 見た目はガチロリ幼女体型のモニカと、これからの成長に期待を込められそうな体型のななせと一緒に歩く変態紳士は今にもスキップして歩きかねない程の浮かれっぷりだった。
 恐らくは四十を過ぎているであろう男が家族の前で晒していいような姿とは思えなかった。

●ほいほいされました
「紳士さん、こっちだよー」
 ななせとモニカが変態紳士を案内した先では、『キーボードクラッシャー』小崎・岬(BNE002119)が手を振って待っていた。
 岬を視界に入れた瞬間、変態紳士はくわっと目を見開く。
「おおお! 成長前の少女特有のぺたーんっぷり! 成長途中の微かな膨らみもいいが、これはこれで捨てがたい!」
 煩悩全開の頭を右手で抱えてうめき声をあげながら人には理解できない葛藤を始める変態紳士。むしろ理解したくない。
 煩悩全開で自分の世界に浸る紳士の隙を見て、『うさぎ型ちっちゃな狙撃主』舞 冥華(BNE000456)が物陰から姿を現した。
「後ろががら空き」
 冥華の言葉とほぼ同時に、変態紳士をずっと尾行していた幸成が勢いよく物陰から飛び出した。
「スタァァァァップ!! そこまでで御座るよ!」
 幸成の言葉に合わせるように、同じく変態紳士を尾行していた他の三人も物陰から飛び出してすぐさま身構える。
 変態紳士を中心に、前後で包囲したのを確認してななせとモニカがすかさず結界を展開する。
 煩悩全開で自分の世界に浸っていた紳士も、さすがに囲まれたこの状況を見て、ただ事ではないと気付いたらしい。
「おや」
 しかし、紳士らしい優雅な態度は崩さず、余裕の笑みを浮かべたまま、左手に持つステッキを打ち鳴らして後ろに振り返る。
「ずいぶんと熱烈な歓迎ですね。……ふふふふ。まさか、こんなにたくさんのひんぬーさんたちにお出迎えしていただけるとは!!」
 ……どうやら、ただ事でないことに気付いたわけではなく、ひんぬーの少女たちが大勢いるという夢のような状況に心が高ぶっただけらしい。
「皆さんまとめて相談に乗りますよ。どうぞ遠慮なく。ああ、男性は遠慮しますが」
 意訳するとひんぬー少女たちは皆まとめて触診しますよ、ということらしい。男だけはちゃっかり拒否することを忘れないところはさすが変態だ。
「うーん、ふぃくさーどの変態率は異常だねー」
 まだ十一歳の岬をして言わしめるのだから、これはそうとうな変態だ。
「この期に及んでそのような言動をとるとは……! 女子の気持ちを考えもせぬ身勝手な外道に裁きを……いざ参る!」
 言い終わるのとほぼ同時に、真っ先に幸成が飛び出した。
「触られると小さく……ってことはあんまし近づきたくないよね」
 短いスカートをたなびかせながら、ティセが鋭い蹴りによってかまいたちをくり出し、容赦なく変態紳士を切り裂く。
「今日は私、付けて来るのわすれちゃったわー」
 既に幸成の隣に移動していたこじりの口からさらりと衝撃発言が飛び出す。勿論嘘だが。
「着けていない、だと……!?」
 しかし、その言葉はしっかりと変態紳士に届いたようで、ティセの攻撃を受けながらもしっかりとそこには反応する。
 意識がこちらに向いたのを幸いに、高い貫通力を誇る攻撃を放とうとするが、直前で技の活性化を忘れていたことに気付き、とっさに一歩踏み込んで、代わりに輝くオーラを纏った一撃をくりだす。
 だが、わずかな行動の違和感に気付いたのか、変態紳士は手に持っていたステッキで軽々と攻撃を防ぐ。
 更に追い打ちをかけるようにこじりに向かって一歩踏み込み、素早く手を胸に伸ばす。
「私がしっかりと触診してさしあげましょう!」
 手がしっかりとこじりの胸を掴むと同時に、弱点を突かれたかのような衝撃が襲う。ついでに撫でまわされた感触もした。
 その瞬間、アーティファクトの力によってこじりの胸が無……失礼、更に小さくなった。
「そっちにばっかり構ってないでこっちにも構ってよねー」
 変態紳士がこじりの胸の感触を楽しんでいる隙に、岬がその背後に迫っていた。
 言うのとほぼ同時に信じられないほど見た目の邪悪な黒いハルバードを振り回し、避ける暇のなかった変態紳士に刃がめり込む。
 その一瞬の隙を見逃さず、ななせも変態紳士に痛烈な一撃を加える。
「みなさまの思いを込めて! ぼっこぼっこそのいちっ!」
 避ける暇を与えない続けざまの攻撃に変態紳士はわずかに後ずさってよろめくが、その顔は相変わらず薄く笑みを浮かべている。
「多勢に無勢ですねえ。仕方ありません、もうちょっと胸を楽しみやすい状況にしましょうか」
 言うが早いか、思考の奔流が爆発し、近くにいた幸成とこじり、岬、ななせを大きく後退させる。
「みんな……! あひるが、すぐに治してあげるからね……!」
 すぐにあひるが詠唱を始め、辺りに天使の歌声が響きわたる。清らかな存在への呼びかけにより、仲間全員にその恩恵が与えられる。
 だが、変態紳士は崩した陣形の隙を縫って先程までななせと岬がいた空間に素早く滑り込み、中衛へと一気に迫る。その狙いは勿論幼女体型の冥華。一気に距離を詰めたところで素早く冥華へと手を伸ばす。
「つるぺた……!!」
 伸ばされた指の先で胸を捉えようとするが、すんでのところで――。
「ちょっと黙っててください」
 モニカの言葉と共に飛び出したのは、まるで蜂の襲撃のような連続射撃だった。
 本当は精密射撃で援護をするはずだったが、今のは何となく蜂の巣にしたい気分だった。
 それに続くように冥華のライフルから魔弾が飛び出す。
「冥華はしょーらいにきたいできるけど、紳士ははちのすにする」
 どうやら、同じスターサジタリー同士、何か通じ合うものがあったらしい。
「紳士の合言葉は『YES ひんぬー NO タッチ』、守れないなら紳士じゃなくて只の痴漢だよー」
 後退させられた位置から即座に背後まで距離を詰めていた岬が勢いよくハルバードを振るうも、動作の隙を見抜かれたのか、刃は虚しく空を切る。
「この程度で、私のひんぬーへの気持ちは揺るぎはしない!」
 やけに真摯な顔で告げるが、言っている内容が内容だけにかっこがつかない。
 岬と同じく距離を詰めてきていたななせの方にくるりと体を向け、腕を伸ばすと同時に胸めがけて気糸を飛ばす。
「きゃあっ!」
 直接胸を触っていないのでこれで胸を小さくすることはできないが、それでも胸を狙うところに変態紳士のこだわりを感じる。
「何するんですか!」
 突如湧きあがって来た怒りによって変態紳士以外のことが意識の外に出てしまったななせは、エネルギーをしっかり溜めこんだ鉄槌を一閃し、変態紳士を大きく後退させる。
「おいたが、過ぎるわよ……。反省、しなさい……っ!」
 先程から仲間の回復に専念していたあひるだったが、回復の手が空いた今こそ、我慢の限界に到達しかかった怒りを発散させる時だ。
 先程の天使の歌声とは対照的な、はっきりとした意志を感じさせる詠唱の後にすぐさま魔法陣を展開する。それによって練り上げられた魔力の矢が変態紳士に向かって放たれる。
「ぐぅっ……!!」
 小さな呻きの後に体が大きくよろめき、足元がふらつく。それこそが大きな隙となった。
「隙ありでござるよ!」
 幸成の全身から放たれた気糸が変態紳士に絡みつき、その途端に動きが一気に鈍る。
「くっ……こ、これしきのことで……!!」
 しかし、変態紳士の執念もなかなかのものだった。
 先程から常に胸を触られないようにかばっていたティセのもとへも遂に魔の手が伸びる。
「わわ、せっかくここまで大きくなったのに、小さくなんてされたくないよ!」
 近づけさせないよう、轟々と燃え盛る炎を纏った拳を変態紳士へと叩きつける。
 だが、攻撃を受けながらも変態紳士の伸ばした手はティセの胸へと届き、本望だったのか殴られながらも悦に入った顔をしていた。
「にゃわわ、そ、そんなぁ…」
 慌てて自分の胸を確認するも、時既に遅し。
 そして、そのやり取りを見つつ隙を伺っていたモニカの放った精密射撃が変態紳士を貫く。
「このゲームのラスボスが貧乳っ娘なら、彼が勇者になれたんじゃないでしょうか」
 しかし、これはゲームではなく、例えゲームだったとしても変態紳士が主人公になることはなかっただろう。大体のゲームの主人公は世界の為に私欲を押し殺すのが一般的だ。
 一方の変態紳士はと言えば、私欲ばりばりである。
 モニカの一撃によって変態紳士は膝から崩れ落ち、やがて地面へと倒れ込んだ。
 勿論、最後の台詞は――。
「ひ、ひんぬー……」

●変態撲滅完了
「こんなのがあるからいけないのです!」
 倒れた変態紳士から手袋をひっぺがし、勢いよく二つにばりっと破いた。
 その瞬間、アーティファクトからは力が失われ、ただの手袋となった。
「これで今まで胸を小さくされた人も浮かばれるかな?」
 そう言いつつ、ティセも自分の胸を確認し、元の大きさに戻ったのを確認して肩の荷を下ろした。
 直接触られはしなかったが、ななせも自分の胸を確認し、何事もなかったことにほっと一息ついた。
「大体胸だけと言うのがナンセンス。うなじ、くびれ、ふともも、何処を取っても完璧たる私の肢体を馬鹿にするにも程があると言う物よ」
 まったく、この場で脱いで見せ付けたい所だと呟いて憤慨している。
「そういえば、変態という名の紳士ってけっきょくどっちになる? 変態? 紳士?」
 少なくとも紳士ではなかったと思う、とあひるは心の中で小さく呟く。
「面倒なので変態でいいんじゃないでしょうか」
 涼しい顔でモニカが答える。
「まあ、でもあーてふぁくととか関係なく胸にちょくせつさわっている時点でフルボッコ確定だよねー」
 岬の言葉通りに変態紳士は心の清らかな乙女たちと一人の男子によってぼっこぼこにされた。
 そんな乙女たちの言葉を聞きながら幸成はこっそりと心の中だけで呟いた。
 変態行為に手を染めさえしなければ、わかり合えたかもしれぬものを……愚かな……。
 乙女たちに聞かれたら一歩間違えば変態紳士と同じ末路にされそうな言葉だった。
 しかしながら、理性を押し留められたかどうかがその別れ際だったと言ってもいいだろう。
 理性、大事。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
皆様お疲れ様でした。
変態紳士に胸を触られた方は、ちゃんと元の大きさに戻っているのでご安心ください。
それでは、ご参加ありがとうございました。