●無人の神社の裏庭で 無人の神社の裏庭の隅に、一本の大樹がそびえていた。 周囲を木々に囲まれたその場所には誰もおらず、周囲に響くのはセミの鳴声だけである。 そこに……少し変わった、足音らしきものが響く。 大樹の陰から姿を現したのは、一体の大きな……人間くらいの大きさのある、藁人形だった。 ●毟るもの 「E・ゴーレム。フェイズは3……には達していない」 でも、もうすぐなりそう…… 『リンク・カレイド』真白・イヴ(nBNE000001)はそう言って、スクリーンの画像に視線を戻した。 藁人形を人間大に巨大化させたという感じのE・ゴーレムが、ある無人の神社の裏庭に出現するらしい。 「機敏だし、意外と耐久力もある。見た目以上に危険な相手だと思う」 フェーズ3になりかけているというだけあって、油断のできない相手のようである。 「見た目のせいか炎系の異常はちょっと苦手っぽい」 ただ、燃えると消すのが大変というくらいでダメージを余計に受けたりとかは無いようだ。 逆に幾つかの異常に対しての耐性を持っているようである。 「呪い系、麻痺系、精神系の状態異常を無効化する能力を持ってる。注意して」 そう言ってから、イヴはもうひとつ……と、付け加えた。 「このエリューションの一番の能力は、自分が受けたのと同じダメージを、別の対象に与える能力」 ただしその能力を発動させる為には、対象の体毛……基本は髪の毛を取得し、自分の体に埋め込まなければならない。 「面倒そうだけど、相手はその動きをすごく上手に素早く、一連の動作として行える」 通常の近距離攻撃が直撃すれば、成功されてしまうと考えた方がいい。 イヴはそう説明した。 相手の髪をつかみ、むしり、手元に引き寄せ、胴体に埋め込む。 その行動を、流れるような一連の動作として行えるのだそうだ。その藁人形は。 ゴーレムの腕を見る限り毟ることができるのか疑問だが、その辺はエリューションだし気にしても仕方ないのかも知れない。 「一度埋め込まれたら……解除は不可能だと考えた方が良い」 藁人形以外がそれを取り出そうとするのは、胴を無理矢理引き裂くのと同じである。 「E・ゴーレムが倒されれば、その効果は切れるから」 諦めて撃破に専念するのが良さそうだ。 「効果そのものは複数の対象に発動可能みたいだから、前衛の人は特に注意」 一人につき一回むしる必要があるが、近距離攻撃をしている者には幾らでも機会がある……とはいえ、注意してどうこうできる問題かというと難しいかもしれない。 ちなみに特殊なメタルフレームだとかの体毛が一切ない対象の場合でも、体表の何かを無理矢理毟る事で何とか効果を発揮しようとしてくるようだ。 「難しいようだと諦めて普通に攻撃してくるけど、最低でも一人からは毟ろうとするみたい」 それこそ対象の動きに集中し、虎視眈眈と毟る機会を窺ってくるようである。 色々な意味で危険な相手だ。 とはいえ幸いと言うべきか……それ以外に特別な攻撃手段は持っていないようである。 「普通にパンチとかキックとかコブラツイストとかで攻撃してくると思う」 そう言って説明を締めくくると、イヴは集まったリベリスタたちを見回した。 「それじゃ、頭とか色々……気を付けて」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:メロス | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年09月05日(水)23:37 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●リベリスタと、神社と、藁人形 人の心の妬み嫉み、恨みを根源に。 (不幸にもそれが実際の神秘を得てた事を遺憾に思う) だが。 「それが悪意に無縁の人々を苛まぬ様に摘み取る事も騎士の務め」 『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)は呟いた。 「でっけー……人間サイズの藁人形だってよ」 「呪いの藁人形……ゴーレムってホント何でもアリになってるわね……」 想像して思わずそう口にした『デンジャラス・ラビット』ヘキサ・ティリテス(BNE003891)に応じるように、『深紅の眷狼』災原・闇紅(BNE003436)も素直な感想をもらした。 (まぁ……そんなでも、それなりに強敵は強敵よね……) 見た目を考えれば少々滑稽に見えるかも知れないが、実際の力はかなりのものだろう。 「人の恨みって形になるまでくると恐いよね」 『食堂の看板娘』衛守 凪沙(BNE001545)が想像して呟いた。 (フェーズ3になりかけって、すごく危ないしさっさと止めなきゃ) 「フェーズ3になる前にさっさと潰してしまいましょ……」 まるで凪沙の想いに同意するかのように、闇紅も口にする。 「けど呪いも相当なモンだぜ、こりゃいつも以上に慎重にいかねーとな……」 ヘキサはそう言ってから、しっかしフェーズ3なりかけか、と呟いた。 「依頼も段々難しくなってきたぜ」 フェーズが3に進行すれば、エリューションは界位障壁と呼ばれる現代兵器を無効化する能力を持つようになる。 力の方も強力だ。将軍級等と呼称されるのは伊達ではない。 そこまでは達さずとも、近しい力を持ちつつある存在というのだ。 もっとも、『クロスイージスに似た何か』内薙・智夫(BNE001581)が怖がっているのは、そこではない。 あくまで『呪いの藁人形』という部分である。 「あわわ、呪いの藁人形って……」 (倒せるよう頑張るけど、こっちには来ないで欲しいかも) だから彼は、ぶるぶると震えつつそんな事を呟いたり思ったりしているのである。 もっとも、そんな風に怯えていても対策の方はしっかり済ませていた。 「一度だけでも毟られるのを防げるのは大きいしね」 狙われた時にそなえて、ウィッグを被り…… 「それにしても……長髪になると、いつもと雰囲気が変わる気がするかも」 そんな事を呟く彼を眺めながら。 「それにしても、内薙さんの方がウィッグとても似合っていそうなのは……」 風見 七花(BNE003013)は零れた言葉の後半を、胸の内での呟きに変えた。 (女性としてどうしたものでしょうか……) 自分も毟られ対策としてウィッグを使用している。 が…… ……色々と複雑な気持ちを、まずは任務と言い聞かせ切り替える。 (誰かを呪うのに藁人形はよく使われますが、藁人形自体が呪ってくるのは新しいですね……) 「髪の毛毟られないように、怪我がないように頑張ります」 そう自分に言い聞かせて。 (毟ろうとしてくるとか面倒な敵ね……) 闇紅も一応と、カツラを準備する。 囮役を立て、呪いを享けてもらっている間に射撃やヒット&アウェイ等で藁人形に攻撃を蓄積させ倒す。 それが今回のリベリスタたちの作戦である。 不意打ちの可能性なども考え、アラストールは周囲を警戒していた。 『大雪崩霧姫』鈴宮・慧架(BNE000666)も、皆と共に周囲を警戒する。 (状況からすると大丈夫だと思うけど、念の為) 神社に到着すると、智夫は一般人が来ないようにと念の為に結界を張り巡らせた。 「神社に藁人形……ってー事は」 (誰かがこの近辺で丑の刻参りでもやってたってー事っすかね?) 「……そう考えるとこの場所が一気に薄気味悪くなってくるっすねー」 『LowGear』フラウ・リード(BNE003909)は、溜め息と共に吐き出した。 (まっ、仕事っすから帰るわけにもいかねー訳っすけど) 分かっている。だからせめて、言い聞かす。 「んじゃ、さっさと片を付けて帰るっすよー」 (……言うのはタダ、分かってるっすよ) そう、分かっているのだ。 「ソイツが簡単に終わらせてくれる様な相手じゃねーって事は」 ●藁人形、出現 神社の裏へと到着すると、フラウとヘキサは早速自身のギアを切り換えた。 フラウは自身の身体を速度優先に最適化し、ヘキサも全身の反応速度を向上させる。 凪沙も流れる水のような攻防自在の構えを取り、智夫も仲間たちに翼の加護を施した。 (少しでも戦況が有利になるようにしておかないとっ) 幾人かがそうやって戦闘準備を整え……数十秒ほど間が空く。 出てこない、見当たらない……そんな風に思える微妙な間を置いて…… 木々の影からひょっこりと、巨大な藁人形が姿を現した。 見た目は冗談めいた外見ではあるものの、決して油断のできない相手……E・ゴーレム。 圧倒的な速度でふたりが、フラウとヘキサが動く。 髪を毟られないようにキャスケットの中に詰め込んだフラウが、先ずはと高速で連続攻撃を仕掛けた。 (コレだけだと単なるギャグにしか聞こえねーっすけど、やってる本人にとってはガチで死活問題っすからね) 10円ハゲとか勘弁っすから、ガチで。 「……衛守、囮役任せといてアレっすけど、無茶するんじゃねーっすよ?」 圧倒的な速度で放たれた斬撃はしかし機動を重視した為か精度に劣り、藁人形は軽快な動きでフラウの攻撃を回避する。 続くヘキサも同じようにヒット&アウェイを軸とした連続攻撃を放つが、唸りを上げ空気を裂く蹴撃を藁人形は……こちらも軽妙な動きでかわし切った。 「藁人形は追い抜く!」 構えによって藁人形の機先を制する事に成功した凪沙は、鉄甲に冷気を纏わせ藁人形へと拳を繰り出す。 一撃は藁人形を捉えはしたものの直撃には至らず、直後、藁人形は反撃とばかりに凪沙に向かって手を伸ばした。 流れるような動きで、凪沙の頭部へと藁人形の腕が伸びる。 流水の構えによって文字通り流れるような動作で回避しようとする凪沙の動きを上回る速度と無駄のない動きで、藁人形の腕が彼女の髪をつかみ、引っ張る事で髪が…… ……頭ごと、藁人形の手元に引きずり寄せられた。 違う、凪沙の被っていたウィッグが毟り取られたのである。 ウィッグごとだから毟れてはいないか。 一瞬、訳が分からない様子で動きを止めた藁人形は……次の瞬間、怒り狂いでもしたかのように手の中のウィッグをメチャクチャに毟りまくってバラバラにして、放り投げた。 そして改めて凪沙の頭部をロックオンする。 ダミーは早くも役目を果たし終えてしまった。 それでも、一度きりでも被害を出さずに済んだのは僥倖と言えるだろう。 凪沙は藁人形に髪の毛を毟らせないようにと戦いの前に色々と準備を整えてあった。 髪の毛は全部まとめて隠していたし、念の為に服も全身の肌を隠せるようなものを選んで着てきたのである。 保険になるかどうかは分からなかったが、幸い一撃を逸らす事には成功したようだ。 だが、ここからは守りはない。 掴まれれば、直撃すれば……今度こそ、持っていかれてしまうのである。 髪の毛を。 新たな緊張を感じながらも凪沙は格闘支援用の魔力手甲、角行を構えた腕を藁人形へと向けた。 戦いは、ここからが本番だ。 ●呪い、発動! 後衛から跳躍した闇紅は木々を利用して軌道を変化させながら藁人形を強襲した。 慧架も斬風脚を使用しながら前衛で戦う凪沙を援護する。 まだ凪沙が毟られていないのを確認した智夫は、後衛から藁人形に向け聖光に意志を籠め解き放った。 光は藁人形を包み込みはしたものの、エリューションは機敏な動きで直撃を回避する。 七花は収穫の呪いの刻まれた、黒い大鎌を頭上へと召喚した。 召喚された大鎌はそのまま収穫を行うように藁人形に振り降ろされ、藁のE・ゴーレムの体が切り裂かれる。 「本格の癒し手に比べれば、ささやかですが世界よ、同胞に生命を」 一方でアラストールは、世界から借り受けた癒しの力を凪沙へと施した。 フラウは回避されたのを踏まえ敵の動きに意識を集中させ、ヘキサは後衛から高速の蹴りでカマイタチを放って藁人形を狙う。 (ホントなら終始接近戦で思いっきり蹴ッ飛ばしてーところだけど、ここは我慢だぜ) 「オレのギロチンに跳ね飛ばされろッ!!」 距離を取り、髪の毛とかを毟られないように。 凪沙は再び魔氷拳で藁人形を迎え撃つが、今回も拳は直撃には至らなかった。 そして……繰り出された藁人形が、今度こそ凪沙の頭部へと到達する。 次の瞬間には人形の腕が胸元へと引き戻され、藁人形の能力が発動した。 続いた闇紅の斬撃が藁人形を傷付けた瞬間、凪沙の身にも痛みが走る。 藁人形が直撃を避けた為にダメージそのものは大きくはなかったが、藁人形の力が発動したのは明らかだった。 智夫はおっかなびっくりという感じで凪沙に近寄り、癒しの符で彼女の傷を癒す。 凪沙がほぼ回復されたと判断した七花は、能力を使用して藁人形の様子を観察した。 能力が発動する前に味方の攻撃が幾度か命中していたが、まだダメージは大きくはないようである。 アラストールは敵が前進した場合に後衛を庇えるように位置を取りながら浄化の光を生みだした。 光は残念ながら藁人形の特殊能力を打ち消す事はできなかったが、元々大きな期待はしていない。 「限りなくフェイズ3に近い、特異な力もそれ故か」 やはり、回復によって耐えてもらいながら撃破するしかないようだ。 (この場合、うち等自身が衛守に五寸釘を打ってるってー事になるんすかね) 「……あぁ、クソっ。胸糞悪いっすね!」 斬撃を放ちながらフラウは吐き捨てる。 とはいえ、これしか手段はない。 ヘキサも凪沙の体調を気付かないながら、遠距離から蹴りによって斬撃を飛ばす。 毟られた凪沙は、さらに自分に攻撃が集中するようにと突出した。 もっとも、自暴自棄になった訳ではない。あくまで作戦としてである。 藁人形からの直撃をできるだけ喰らわないようにと守りはしっかりと固めている。 あと、回復も受けやすいように立ち位置には気を付けて。 藁人形の方は、取りあえず満足したのか、後ろの者たちを狙うのは難しそうと思ったのか、引き続き凪沙を攻撃してきた。 今度は毟ろうとはせずに、軽快な動きでパンチやキックを放ってくる。 相変わらず見た目とは裏腹の高速でしかも重みのある打撃が、凪沙の身に命中した。 闇紅が攻撃を続け、智夫も引き続き癒しの符を使う。 凪沙の傷が癒し切れていないと判断した七花も、詠唱によって清らか存在に呼びかけ、癒しの微風を生みだした。 (正直囮を誰かが背負う事を心苦しく思う) 「呪殺に防御での減少が効くなら私が出たのだが……」 呟きつつ、遠距離攻撃の準備が間に合わなかったアラストールは、いざという時いつでも交代できるようにと態勢を整える。 凪沙は藁人形と向かい合い、そして他の皆は凪沙を挟むようにして、藁人形と対峙した。 傷の具合を見ながら攻撃を調整する事で、8人は藁人形にある程度のダメージを与えることに成功した。 だが、ついに凪沙に限界が訪れる。 藁人形の攻撃は、守りを固めていても、それだけ強力だったのである。 ●「ごめん、もうやばいから! お願い!」 凪沙はテレパシーでそれを皆に知らせた。 心話には彼女の必死さが滲んでいた。 が、事情を知らない一般人が見たら……等身大の藁人形にコブラツイストを掛けられている彼女の姿は冗談にしか見えなかっただろう。 戦いの前に色々想像してしまったフラウ辺りからすると、悪夢のような光景である。 彼女を庇う為にフラウとヘキサは飛び出した。 闇紅とアラストールもいざという時に備え、待機する。 飛び出してきた2人を確認した藁人形は、らんらんと光る眼……は無かったものの、頭部を……新たに出現した獲物達へと向けた。 「コイツが欲しいんすよね?」 言いながらフラウはアクセスファンタズムからウィッグを取り出し投げつけた。 「なら、遠慮なく受け取るがイイっすよ!」 あぁ、何処の誰かは知らないっすけど、正直スマン。 そう思いはしたが、藁人形は凪沙の時と同じように怒り狂った様子でウィッグをメチャクチャに粉砕する。 加工された品は好みではない、という事なのだろうか? 分からない。分かりたくもない。 とにかくその間に、ヘキサは何とか凪沙を庇える位置に着いた。 交代するように下がった凪沙に智夫と風花が癒しを施す。 (衛守が倒れた後に攻撃が入るってーのは避けたいっすからね) フラウは集中しながらのヒット&アウェイ攻撃を再開し、ヘキサは防御に専念して何とか藁人形の手から逃れようとする。 だが、藁人形も執拗だった。 七花は牽制も考えたものの、凪沙の傷を考え断念し回復に専念する。 その間に攻撃を受けながらも、藁人形がヘキサの髪をゲットした。 彼の体にも、藁人形の受けるダメージが伝わりだす。 「ドコのどいつを呪うために作られたかなんてオレは知らねぇ」 (けど一度使われたんだろ、もうテメーの役目は終わってんだ) 「その腹掻っ捌いてドス黒い呪いから開放してやるよ」 伝わってくる痛みに堪えながら、ヘキサは戦い続ける。 一方で智夫は癒しを符から詠唱による福音へと変えながら……冷汗を流していた。 人数が増えたことで彼の消耗は急激に大きくなったのである。 ダメージを調整する為に攻撃を抑えても、藁人形の攻撃は止まらない。 幸い七花が癒しの風によってヘキサを支えていたので、囮役が倒される心配はなかった。 だが、藁人形の力で受けた傷を治す間攻撃を控えれば、全員ではないにしても幾人かが控えれば……それだけ戦いは長期化する。 スキルを使用しなければ消耗は無いし、無限機関と錬気によって力を作り出せる七花も……個人を癒すのであれば、消耗は考えずに済んだ。 問題は、天使の歌を使用する自分である。 (あと4回……いや、3回?) それが尽きれば、あとは…… 想像したくないその時は、さして間をおかず訪れた。 ●長い長い、戦いの終わり ギアを切り換えた闇紅が、更に交代するように前衛に立った。 そして藁人形を引き付けながら戦闘を続行する。 それによって前線は一時的に安定した。 もっとも、戦いの長期化の方は避けられない。 七花の癒しによって回復した凪沙が、前に立ち、時にはヘキサも交代して。 多くの者が力の限界に近付きつつも、仲間を大切にするという方針を崩さずに。 運命の加護も受けながら、リベリスタたちは戦い続けた。 長引けば長引くほどに偶然の介入する機会は多くなる。 闇紅も髪を毟られ、アラストールも抗し切れず……それでも地道に、堅実に。 実際に流れた時は、十分にも満たないだろう。 だが、緊張を強いるそれが数分続くというのは……リベリスタたちにとって永遠にも等しかった。 その、長い長い戦いの末……根をあげたのは、藁人形の方だった。 人ほどに大きかったE・ゴーレムは、倒れながら力を失い……枯れながら縮んでいく。 「お前の所為ではない、だがその怨恨は置いて逝け」 消滅していくエリューションに、アラストールは静かに声をかけた。 後に残ったのは、そこそこの大きさの……と言っても勿論手で持てる程度の大きさのボロボロになった藁人形である。 念の為に、と。 七花が火を付けその残骸を焼却した。 (フェーズ3にシフトしかけている上に自身が藁人形であるにもかかわらず、コブラツイストを仕掛けてくるような相手です) 「やりすぎではないはずです」 そう口にする彼女の視線の先で、藁人形は燃え、灰になっていく。 火を付ける時に何人かがビクッとなったりしたが、流石にもう痛みは伝わってこなかった。 任務を終えたことを確認すると、リベリスタたちは神社を後にする。 再びエリューションが現れないように……そう、祈りながら。 ゴーレムの元となった藁人形がまた作られたり、使われたりしないように……そう、願いながら。 神社の裏庭におけるリベリスタたちと藁人形の戦いは、こうして……幕を閉じた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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