●尋問 「DNに関してか、知ってるぜ? 勿論」 薄暗い密室の中、憎たらしい笑みを浮かべた男が口を開く。 両手は椅子の背もたれへ縛り付けられ、椅子と彼の足が縄で束ねられている。 身動き取れない状態の彼の向かいには、チーム内最年長の狙撃手、OwlEが座っていた。 「そうかぁ、んじゃあ洗い浚い吐いてもらおうか?」 のんびりとした口調で自白を求めるも、男は鼻で笑う。 「ふざけんな、誰が言う……っ!?」 人中、鼻の真下にある溝だ。 男のそこへ、OwlEの容赦ない拳が叩きつけられた。 「分かってねぇな、言う言わないじゃねぇんだよ。言えって事だ」 選択肢などない、従わぬなら従わせるまで。 その態度に男は、ギリッと奥歯をかみ締める。 「いいぜ? 殺れよ! どうせテメェ等に捕まった時点で命なんかねぇんだよ! 逃げたって俺を迎えに来る予定だった奴にぶっ殺される! それならいっその事、今すぐ殺せよ! どうした? 殺る勇気もねぇのか? タマナシか!? あ゛ぁんっ!?」 やけっぱちに全てを爆発させる男に、OwelEは腰に下げたナイフを抜き払う。 さも当たり前のように左手の方の縄を切断すれば、力任せに男の手をテーブルの上へ乗せた。 「殺るわけねぇだろぉ? 体には聞くけどよぉ?」 小指の傍にナイフを突き立てるとゆっくりと傾けて、刃を近づけていく。 じわりじわりと迫る痛み、それに息を呑み、総身を震わせながらも男は口を閉ざす。 「止めろ、OwlE」 その手を止めたのは、EEだ。 自分よりも若い彼の命令に肩をすくめながらナイフを収めると、すれ違い様に理由が届く。 「アイツにこの事も見られたら困る」 苦笑いを浮かべるOwlEは、EEの肩を叩き部屋を後にする。 代わりに向き合ったEEは、じぃっと男の瞳を覗きこんだ。 「洗い浚い吐けば、そちらの命は俺達が保障する、それで情報の代価になるだろう? それに俺達が護衛を始末し、確保させてもらったのを見ている筈だ」 こうして捕まえた事が保障の裏付けというEEに、男は小さく溜息をこぼす。 「……絶対だぞ? 嘘だったら一生呪ってやる」 「約束だ、必ず守る」 逆にNOと言えば、OwlEが嬉々としたフリで拷問したことだろう。 ある意味先ほどの行動自体が凶悪な脅しだ。 「その前に……どうしても頼みたいことがある、つか、これを聞いてもらえないなら俺は絶対言わねぇ。碌な人生過ごしてねぇし、例え約束してもらっても、絶対じゃねぇのは分かってる。だから、一つだけ……どうしても見たいものがあるんだ」 悲哀を帯びた男の表情に、それが相当大切なものなのだろうとEEは思う。 OwlEには、敵に情けをかけるなと口酸っぱく言われてはいるものの、すんなりと飲み込めない辺り、まだ若い証拠だろう。 「……出来る事なら善処する、それは何だ?」 「それは……」 ●真面目なお話だと思いましたか? 「せんきょーよほー、するよっ!」 『なちゅらる・ぷろふぇっと』ノエル・S・アテニャン(nBNE000223)は平常運行、兄の紳護も同様に落ち着いていた。 「きょうはね、みんなにプールで遊んでもらうの」 どんな依頼か? 遊ぶのが依頼といわれてもピンと来ないだろう。 「みんなが遊んでるところを見たいっていう、お兄さんがいるの。それでね、見せてくれたら大切なことを教えてくれるんだよ」 はてと首を傾げるリベリスタ達。 そしてウキウキした様子のノエルを尻目に、紳護が補足を始めた。 「とあるアーティファクトの情報を入手するために、その情報を持った男を拘束したんだが、交換条件として要求されたものがある。その、一昔前の新人アイドル水泳大会みたいのがみたいと」 ピンポイントだな、おい。 それを仏頂面で淡々と説明するのだから余計シュールである。 「プラスして色々とオーダーが多くてな……とりあえず、競技は3つ、紅白チームに分かれて競い合ってもらう。勝敗でのポイントと、審査員……まぁ、その要求をした男だな、その男の追加ポイントで勝敗を決するらしい」 別に勝敗つけなくても良いんですけど、争った方が色々と楽しいと言うオーダーという点もあるらしい。 それはともかく、一部はドン引きしそうではあるが。 「男性はイベントのサポートに回ってもらう、色々と注意事項があるのでよく資料を確認してもらいたい」 そういうと、次の話に入ろうとしているのだが……何故かノエルを気にしている。 AFで誰かを呼び出すと、やってきた女性に連れられ、ノエルは一時退室。 「……待たせたな。女性陣へのお願いなのだが、男の要求としてはただ遊べば良いというわけではないらしい、まぁアクシデントが欲しいと」 と言いつつ、大事なところを隠せそうなものを袋をひっくり返してテーブルに盛っていく。 「流石に……隠せるところは隠すということで同意は得たので、すまないが頼む」 もういいよ、拷問でも何でもして吐かせろよと女性陣の冷たい視線がざくざく刺さり、紳護は珍しく冷や汗がダラダラと垂れていた。 「い、言わんとしている事は分かる! だが、要求を呑まないと吐かないとノエルの予知が告げているのもあるんだ」 それに予知により、幼子へ強い精神ダメージは余り与えたくない親心みたいなものも。 流石にそれは私情過ぎるので、公には言わないが。 説明が終わったところでノエルが再び部屋へと戻ると、唐突に紳護の足元へくっついた。 「お兄ちゃん、ノエルも一緒に遊びた」 「駄目だ」 「遊び」 「駄目だ」 「遊び……」 「……今度、好きな海でもプールでも何処でも連れて行く。今回はノエルには危険な要素もあるから許してくれ、埋め合わせは十分にする」 「うぅ……」 泣きそうな妹を前に、ちらりと横目でリベリスタ達を見やる。 板ばさみの彼に同乗を抱くかどうかは別として、しぶしぶと作戦に乗るのだろう。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:常陸岐路 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年09月12日(水)23:06 |
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■メイン参加者 28人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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