●伝説の狩人の伝説 昔々 あるところに とても強い 狩人がいました。 どんなに強い 獣たちも 彼の前では 無力でした。 ある時 狩人は 自信たっぷりに 言いました。 「この世界で 俺より 強いものなど いるはずがない。」 彼のごうまんに 怒った女神は 一匹のさそりを 送り込みました。 さそりが 狩人の足を刺すと 狩人は毒で あっけなく 死んでしまいました。 狩人は 星になった今でも 同じく星になった この小さな さそりを恐れて 逃げ回っているそうです。 ●そんな夏の星空の物語 「……と、いうのがオリオン座の神話の一説だったりしますけど」 パタン、と静かに神話の本を閉じる『転生ナルキッソス』成希筝子(nBNE000226)。 「私は、やっぱり女神アルテミスとの悲恋の方が、好きですね。星になった相手に会いに行く……素敵だとは思いませんか」 成程、流石に彼女も年頃の女の子、矢張り恋愛ものには興味が――って違ああああああああああう! そうでなく、リベリスタ達が今気になるのは、何故唐突にそんな話をしたのか、という所である。 「じゃあ、本題に入りましょうか。今回の主要登場人物は、オリオンではありません。その敵役、蠍です」 確かに、夏の星空にオリオンはいない。 一説によると自らを殺めた蠍の星が昇るからだと言うが。 「この島の高台に、E・エレメントが出現したそうです。そう、皆さんお察しの通り、光の――星明かりのE・エレメント、識別名『スカーレットアンタレス』」 アンタレス――ギリシア語『火星に対抗する者』の意味を持つその名に相応しく、夏の夜空で真紅に輝く別名『赤星』。その輝きが、他の星々、そして地上の光をも集めて覚醒した。 そして、赤い光で構成されたこの小さなE・エレメントは、本物の、そして神話の蠍と同じように、尾に猛毒を持っていると言う。 「とは言え、攻撃力自体は然程でもなく、命中率も素早さも恐れる程ではありません。そうですね、神話のオリオンのように油断さえしなければ……最長でも五行位で終わるんじゃあないでしょうか」 ――待て、最長とか五行とか何の話だ。 ツッコみたい、その思いを堪えるリベリスタ達。今日の筝子は何だか様子がおかしい。と言うか、以前遊びに出掛けた時もそんなノリではなかったか。背後から何かに乗り移られてでもいるのだろうか。 「勿論、南の島まで来てそれだけではありませんよ?」 ふふり、と悪戯っぽく微笑む筝子。 ――ほら来た。 「敵は夜にしか現れないそうですので、当然夜の高台で戦闘を行う事になりますが……何と天気予報によると、雲ひとつ無い星空にお目に掛かれるそうなんですよ!」 成程、つまり、早々にこのスカーレットアンタレスとやらを撃破し、この夏の終わりに八月の星座観賞を皆で楽しもう、という事か。 都会ではなかなかお目に掛かれない、神秘的で幻想的な光景に現を抜かすのも、偶には良いだろう。折角だから浴衣を着ていくのも良いかも知れない。 「ね、行きましょう。此処最近、戦いばかりでしたもの。羽休めしたって罰は当たりませんよ」 筝子は、何処か申し訳無さそうに、そう言って。 ――微笑んだ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:西条智沙 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 6人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年09月06日(木)23:16 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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