●ばっどもーにん 「毎度お世話になっとります『フラワー*サカナギ』の花園です~。で、奥さん、調子はどないでっか」 「エェ、ワタシモダンナモムスメモ、ソリャアモウスコブルイイデスワ、アリガトウゴザイマス」 「や、や、そらありがたいですわ。ははははは」 セールスマンが笑うと、つられる様に女も笑った。ホホホホホ。同時にテレビからCMが大音量で垂れ流されている。その目前、齧り付く様に喰い見ている男が一人。彼もまた、つられるようにゲラゲラ笑った。 その笑い声を聞き、二階の少女もウフフと微笑む。絵日記に赤い色鉛筆でぐりぐり塗り潰し潰し潰しながら。 ●あさ 「小学生の頃、夏休みには朝顔観察の宿題がありましたね……」 と、手にした資料を広げた『運命オペレーター』天原・和泉(nBNE000024)が伏せた視線を上げて。 「さて。今回、皆さんには3体のノーフェイスを討伐して頂きます。 彼等は元々父、母、娘の三人家族でしたが、生き物を宿主に成長する『アサガオの種』のアーティファクトをその身に植えつけられてしまった事で革醒してしまったのです」 言下、モニターに映し出されたのは――3人。だが、見た瞬間に嫌悪感。目玉から朝顔の花が咲いている。皮膚の下に根が蔦が這いずり、或いは突き破り、青々と葉を茂らせている。カラフルな花が、蕾が。アサガオ。 「彼等にはもう人間らしさは残っていません。言語による交渉などは一切不可能でしょう。また自己再生能力も高く、一筋縄ではいかない事が予想されます」 だが、疑問。 一体、何故アーティファクトを植えつけられたのか? 「……逆凪のフィクサードです」 逆凪――日本において活動するフィクサード集団のうち、最も大きな七つの組織『主流七派』の最大大手。国内フィクサード組織最高の実力を持つ集団。 彼等は『取り敢えず殺し尽くす暴力集団裏野部』や『気狂い研究者集団六道』等とは一風変わって、思想や行動に目立ったものは無い。が――それは逆にどんな事にも手を出すという意味をも含んでいる。 「逆凪頭領、逆凪黒覇が代表取締役会長を務める企業『逆凪カンパニー』、その一端たる『花屋』に勤めているフィクサード『花園 馨』が犯人です。 どうやら他のフィクサードに販売する為の『兵器』の試作チェックが目的の模様です」 兵器――それこそが『アサガオの種』か。 「花園の行動は状況に左右されるでしょう。ですが、命をかけて、という事でもないようなので逃走の可能性が高そうです。彼自身も実力者ですので、御油断なく。 それから現場は住宅街の一般的な一軒家です。狭い所での戦いとなる事が予想されますので、立ち回りにもご注意くださいね。神秘秘匿の件もお忘れなく」 そう纏め上げ、『説明は以上です』と彼女は再度リベリスタ達を一望した。 「ノーフェイス達を放置する事は出来ません。それでは皆さん、宜しくお願い致します」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年08月31日(金)23:45 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●もるげん 夏の朝、蝉の声、燦々と降り注ぐ太陽、晴れ渡った空。 今日も良い天気だ、と誰もが空を仰ぎ目を細めそうな、そんな一日の始まり。 「何が朝顔観察だ、幸せな普通の家族を好き放題に実験材料にしやがって……それでリベリスタにノーフェイスを殺させるなんてふざけんな」 筋が浮かぶほどに強く拳を握り締め、『イケメン覇界闘士』御厨・夏栖斗(BNE000004)は感情のままに吐き捨てた。これはそんな悲劇を防げない弱さへの八つ当たりだって、自覚はあるのだけれども。 怒りの感情は『機械鹿』腕押 暖簾(BNE003400)も同様、夏栖斗の影に潜む中でふざけンじゃねェと噛み潰す様に呟いた。何が試作チェックだ。 「花園め、一般人巻き込むようなもン造りやがって……ンな気味の悪ィもンが出回って堪るか、ふざけた儲け話なンざ潰してやる」 「確かに評価試験を何度も行うことは、残っている問題点の洗い出しには有効です。 とはいうものの……毎回のことながらひどい話です」 そして、分かっていながら相手をせざるを得ないわたしたちも。『下策士』門真 螢衣(BNE001036)は柳眉を顰め、術式用手袋アメノコヤネをその手に装着しつつ件の一軒家を見上げた。 (アークのリベリスタを相手にするという方法は、これからも使われるのでしょうね) 憂いつつ、強結界。これで用の無い者には悟られぬだろう。 (気持ち悪ッ……) それが『薄明』東雲 未明(BNE000340)が抱いた朝顔人への第一印象だった。人間に虫とか海産物とか植物とかミックスしたら駄目だろう、ビスハならまだしも。 「こんな朝顔があるか!」 くわっと言い放ったのは『怪人Q』百舌鳥 九十九(BNE001407)。さて、突っ込みが済んだ所で……今回もフィクサードの被害者の救出が目的の任務。尤も、『救い=死』なのかどうかは、彼には何とも言えない所だが。 「まあ人間性は、とっくに死んでいるようですけど……」 それでも元は人間、何も知らない一般人だった。 「アーティファクトにより……既に……ノーフェイスに……なってしまっているなら……残念だけれど……倒すしかない」 体内魔力を活性化させ、エリス・トワイニング(BNE002382)の一言。その傍らでルー・ガルー(BNE003931)がガウと唸る。 「アサガオ観察……あ、これ学校の自由研究にしよう」 そう呟いたのは『Lost Ray』椎名 影時(BNE003088)、件の民家の門を開け玄関前。ドアの鍵は閉まっていない。その事を確認し、仲間へアイコンタクトを送った。返って来るのは、各々の表情と頷き。 そして、慎重にドアを開け放つ―― ●さぁ朝 「……!」 先ず異変に気付いたのはフィクサードだった。装置並の聴覚で捉えた足音。それも一人や二人じゃない――5人以上は居るか――顔を上げた馨の脳裏に過ぎるのは一つの予想。 斯くしてそれは的中する事となる。 「ごきげん麗しゅう。朝顔観察日記の出来栄えはどう?」 黒鋼のトンファー√666に憤怒の炎を纏い、現れた夏栖斗が馨を睨ね付ける。同時に振るう得物、焔腕の赤が部屋に煌めいた。 「よォ、儲かってっかい? 術士無頼、機械鹿。推して参る!」 その影から飛び出した暖簾も氷雨の術を放ち、ブラックマリアを構えた。 キィイイイィィィイ。苦手な氷、炎、朝顔人の絶叫。瞠目し立ち上がった馨の目の先には夏栖斗が。 「もう直ぐ夏休みもおわりだしね。提出期限に焦ってる?」 「御厨夏栖斗……あ~、やっぱ箱舟に捕捉されてしもたか、コリャ参った」 「そこのセールスマンの方、私も花を頂きたいんですが構いませんかのう。お代は、試作品の戦闘力チェックのお手伝いでどうですかのう?」 頭を掻いた馨の視界に、魔力銃を構える九十九。 「ん? ん~残念やぁ今は何も持ってへんねや」 「それは残念……まあ、別に断ってもやる事は変わらないんですけどなー」 引き金に、乗せる指。 「くっくっく、真っ赤な血の花、沢山咲かせましょう。 花屋さんも、それを咲かせずに帰るなんて許せませんな。 商売人として、客の注文を聞かないのはどうなんでしょうなー」 無傷では、帰らせませんぞ。仮面の奥から向ける殺気。セールスマンはニタリと笑う。それと同時にキィキィと叫びながらも朝顔人が二人、馨を背にして立ちはだかる。悲鳴、悲鳴、絶叫。 その瞬間、壁から物質透過によって現れた影時がカッターとハサミであるBanditとScarletを構え、父親朝顔人へ強襲する! 「アーク、討伐部隊。後は、言わないでも理解してね」 虚ろな刃に乗せるは殺意、奇襲の一撃が父親の頭部を叩く。 「あぁ、理解した理解した。トンズラこいた方がええわって事をな」 ほなサイナラ。凄まじい名声を誇る夏栖斗の顔を一目見た時点で馨の行動は決まっていた。彼はデータを欲しがる六道でも、殺戮大好き裏野部でも、戦闘一筋剣林でも、気違い黄泉ヶ辻でも無い。命あってのビジネスである。違和感を感じた時、念の為と集中しておいて良かった。バックステップのままに物質透過。壁の奥へと。向こう側へと。 「待てっ……ぜってぇにがさねぇ!」 咄嗟に追いかけようとした夏栖斗だったが、その眼前に立ち塞がった父親が、切り裂く蔦が、行く手を阻む。 「お前さんの思う壺みてェな、ンな胸糞悪ィ事なンざさせっかよ!」 暖簾も銃弾を放つが、駄目だ。逃げられる! 「兵器を作る? 兵器を売る? ねえ、人の命なんだと思っているの花園。お前が兵器になればいいんじゃない?」 が、それを赦さぬは影時。そっちが物質透過ならこっちも物質透過、飛び出たのはそう広くはない庭。 覚悟、してよね。罪の重さを知れ。躊躇なく振るった殺意が馨の肩を打ち据える。 「ほなそれを誰が売るんや? 世の中カネやでカネ」 痛みに表情を歪めつつ、それでも嘲る様に笑い、全力移動。透過して遥か外。 「……」 これ以上は追えない。立ち止り、佇み、影時は虚ろな目をじいっと向けていた。 小さく小さく呟いた言葉は、『糞喰らえ』。身を翻して、一階へと。 だが馨の早期撤退は、目標へ注げる火力や馨の攻撃による被害の点を考えればある意味得をしたのかもしれない。実質、敵が一人減ったのだから。 尤も、リベリスタ達の『心』はそうもいかなかったのだけれども―― 「あの野郎……!」 「……仕方ありませんな」 怒り収まらぬと歯列を剥き出すのは暖簾、九十九は舌打ちを噛み殺してコマ送りの視界を朝顔人達へと向ける。撃った。ズドンと銃声、一直線の弾丸が伸びた蔦を撃ち落す。 「エリス達の……相手は……どっちにしても、ノーフェイスだから……」 倒そう、と。少女は大天使の書を手に対象の解析を試みた――身体部位的弱点は無い。されど特に堅固な身体部位もない。その旨を伝えれば、ルーがアイスネイルを構えて吶喊していった。 一方、未明と螢衣は階段を駆け上って二階へと向かった。 「準備はいい?」 「はい、いつでも」 アイコンタクトを交じわせ、扉を開け放つ。斯くして、視界に飛び込んできた女の子らしい部屋にはそれが居た。机に向かってケラケラ笑っている。朝顔ユラユラ、首をカクカク。皮膚の下で蔦が脈打っている様はなんとも吐き気の込み上げてくる光景だった。 だが、顔をそむけるわけにはゆかぬ。身体のタガを外した未明はいつものバスタードソードを静かに構え。 「おはよう、夏休みの宿題でもしてた? 感心ね」 その毛に振り返った、少女の顔には。花が咲いていた。奇麗な赤色だった。そしてその肩越しにある絵日記もまた赤色鉛筆で滅茶苦茶に塗り潰されていて。 「……でもその日記だと、先生も評価しづらいんじゃない?」 そう言葉を放った刹那、甲高い声で笑う少女が飛び掛かって来た。速い。うねる蔦が狭い室内で荒れ狂う。未明と螢衣の肌を切り裂き、赤を散らせる。 「早くことを済ませましょう――穿て!」 守護結界を張り終えた螢衣は術符の烏を召喚し、少女へと撃ち放つ。しかし少女は素早い身のこなしでその直撃を免れ、蔦で螢衣を絞め付ける。 「大人しく、してなさい!」 そこへ、刃を大きく振り上げたのは未明だった。集中によって研ぎ澄ませ、破壊的な気を込め。渾身の力を以て叩き下ろした。蔦を切り裂く。その凄まじい一撃に少女が悲鳴を上げた。イタイタイイタイタイイタイタイ。 不快この上ない、甲高いノイズ交じりの声だ。撃ち出された種が未明の肩に食い込む。凄まじい速度で発芽し、蔦葉を伸ばしたそれは未明の血を、生命力をじわじわと吸い上げる。根が蔦が肌を突き破っていく痛み。が、未明は決して慌てることなく刃を静かに構え、集中力を研ぎ澄ませていた。 (急がば回れ、ここで焦ったら駄目) 元より、多少の被弾は覚悟の上――すぅ、は。深呼吸一つ。紫眼は鋭く、甲高く喚きつつ蔦で辺りを切り裂きまくる少女へと。 その直後、 「――縛!」 螢衣が結んだ印が、現れた束縛の呪鎖が、荒れ狂う蔦の中を一直線に飛ぶや少女の身体を雁字搦めに拘束した。もがく程に肌へ食い込む、呪い。 今だ。アイコンタクトの同時に未明は大きく間合いを詰めていて。 「はァッ!!」 叩き下ろす、裂帛の破壊。 ぎぃいいぃいい。 悲鳴だ。 夏栖斗の眼前には、焔腕によって真っ赤に真っ赤に燃えている朝顔人達が居る。赤い。赤い。彼らのあちらこちらから咲いた花もまた赤く、赤く、赤く、夏栖斗の網膜に滑り込む―― ノーフェイスは倒して崩界を防ぐ。リベリスタとしては当然の事。 なのに、正しいはずなのに、心が――ずきり、ずきり――酷く、痛む。 (今は戦いのこと考えなくっちゃな……!) 一瞬の気の緩みが戦局を左右する事など彼は熟知していた。脇腹に埋もった寄生種の蔦を掴んで無理矢理引き剥がせば、寝に蔦に彼の肉が絡んでぶぢぶぢ嫌な音を立てて毟り取られていく。 そして、それを手放した手で今度は父親の蔦を引っ掴んだ。引き寄せた。振り上げた√666(けだもの)。父親の口元が歪んでいるのが見えた。彼は恐怖を感じているのだろうか。それとも己が目の錯覚か。 (犠牲ンなった一家はしっかり送ってやンねェとな) 暖簾は氷の印を切る。あんな奴に目を付けられるなんて。そして彼らを元に戻す方は、もうない。救済の為には、死を。 「もういいぜ、娘さんも一緒にゆっくり寝てな――凍っちまえ、全て!」 降らせる雨は氷、さらに重なったのは九十九の1$シュートだった。朝顔が散る。ばさり、と花弁。眼窩に穴。頭部を弾丸に貫かれた父親がぐらりと揺らいで、ゆらり、そのまま倒れた。夏栖斗の焔腕によって点いた火が、広がってゆく。包まれる。 「残り一体、ですな……!」 エリスが唱えた聖神の賛歌の中、九十九が向けるショットガンの先は母親の朝顔人。倒れた父親を見て――再度の金切り声。 五月蠅いよ。 一つ吐き捨て、影時はカッターに乗せた殺意を振るう。アサガオだらけで奇怪な姿へ。見るに耐えない。だからハサミで切り取ってしまおう。 「これ後で押し花にしたいなー」 じゃぐん、じゃぐん、Scarletを開いて閉じて、結んで開いて。 螢衣の放った陰陽・星儀の黒い影が少女を圧倒する。 ふ、と息を吐いた。肩を弾ませ、運命を燃やし、体を切り裂き蝕む蔦を未明は刃で薙ぎ払った。 2人で戦うには強敵だが、倒せないという迄でもない。後一押しだ、螢衣の傷癒術で痛みが退いてゆくのを感じつつ集中を。 これで終わらせる――刹那に視界の端に絵日記が映る。机から落ちて開いたページには、人間だったころに描いたのだろう思い出が――いっそ相手が『唯の悪役』ならば良かったのに。 良かったのに。 一刀両断に叩き下ろした。 悲鳴もなく、散る葉の中で少女は倒れる。 一回もいよいよ正念場であった。 父親の朝顔人が倒れたが、エリューション達の猛攻にエリスとルーが力尽き、ある者は先を代価に立ち上がる。 残るは母親の朝顔人一体。戦況はリベリスタ達の優勢ではあるが、最後まで気を抜く事は許されない。 「平気か? 無理すンなよ、ほら」 「うん、だいじょぶ」 暖簾の傷癒術に傷が癒えたのを確認し、夏栖斗は母親へと間合いを詰めた。√666に氷点下を乗せ、叩き付ける。が、寸での所で直撃は躱されたか。跳び下がった母親が、そのうねる蔦葉がリベリスタ達を切り刻む。部屋の中に赤が散る。家具がバラバラになる。飛び散ったテーブルの破片を魔力盾で防ぎ、九十九は銃の引き金を引いた。 残り一体、されど、堅牢だ。尤も、夏栖斗と暖簾が極力氷の異常を付与する為にその再生能力はほぼ封じられてはいるが。 「――」 暴れる蔦が暴力を撒き散らす中。腹に埋えつけられた種を影時はハサミで穿り出し、皮膚ごと根を蔦を剥ぎ取って、倒れそうになるのを運命で繋いで、跳躍。詰める間合い。 「ねえ、聞こえる?」 放つ声は金切り声で暴れる母親朝顔人へ。もう手遅れなのは解っている。けれど、何も解らないまま死ぬのも可哀想だろう、と。 躱し、切り払い、その目の箇所から咲いた赤い朝顔をじっと見て。 「不運だったね、今、楽にしてあげるから。勿論、家族皆」 皆殺し。刃に乗せる殺意。 目が合った様な気がした。 ……気づくのが遅くてごめん。 呟きは心の中に。 刹那、伸び上がった黒い殺意が母親の頭部を打ち据え、砕いた。 そして、部屋に満ちる音は半壊したテレビの砂嵐のみとなる。 ●残暑お見舞い申し上げます 「……終わったみたいね」 「お疲れ様です、ご無事で何より」 二階から降りてきた未明と螢衣の視界に映ったのは、丁度朝顔人達が一人残らず倒れた直後の光景だった。 花園は。逃げられた。そう。そんな会話、未明は彼方を見遣る。物質透過か。それを得意とする知り合いの顔が脳裏を過ぎる。 何はともあれ、終わった。 銘々に溜息。 「……これじゃあ自由研究にもならない」 不機嫌そうに影時は吐き捨てた。手にはハサミとカッターを持って、額から垂れた血が落ちる先を――下を――動かなくなったノーフェイスの死体を具に見つつ。 こんな風になっていまった家族は不運だ。 だけど、仕方なくて。 だからこそ理不尽で。 夏栖斗は奥歯を噛み締める。心の痛みは依然消えない。 「六道といい逆凪といい、ンなもんばっか造りやがって」 アークへ連絡を入れ終えた暖簾は息を吐き、ノーフェイス達の傍にしゃがみこむと手を合わせた。 そして、砂嵐が途切れる。 窓から差し込むのは夏の朝の鮮やかな光だった。 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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