●フィクサードのゲーム 小さなゲームセンターの壁に、一枚の張り紙があった。 『3本勝負で店主と対戦して、勝てば一万円』 貼られている壁のそばにあるのは妙に毒々しいカラーリングのゲームだった。いわゆる音ゲー呼ばれるタイプのゲームだ。 選択したリズムに合わせて、赤と黒のチェックに塗り分けられた、9つあるボタンを押していく。 「あのー、これ、誰でも挑戦できるんですか?」 1人の青年が店主に問いかける。 「ええ。でも、私は強いですよ。それに、これ専用に用意したゲームだから、練習もできません」 三十路と思われる店主は、あからさまな営業スマイルを浮かべていた。 青年は自分のゲームの腕に自信があるようだ。不利な条件でも、店主に挑戦することを決めた。負けても特に損になることがなかったのも、決断を後押ししたようだ。 店主と青年が並んでゲームをスタートさせた。 ボタンにあわせて、あざ笑うピエロが画面で踊る。 やがて、ゲームは店主の勝利で終わった。 「あーあ……やれると思ったんだけどなあ」 「なかなか上手でしたよ。並の人間にしては、ね」 「え……」 青年が店主を見ようとする。 けれど、その前に彼は床に倒れていた。一枚のメダルが床に落ちる。 営業スマイルを浮かべたまま、店主はそのメダルを拾い上げた。 ●ブリーフィング 「フィクサードが場末のゲームセンターを経営しているらしい。連中にも生活があるらしいな」 アークのブリーフィングルーム。リベリスタたちに『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)が告げた。 「ただし、その中にちょっと困ったゲームが1台混ざっているとなれば、俺たちとしちゃ見過ごすわけにはいかない。そうだろ?」 伸暁いわくの『困ったゲーム』とやらは、どうやらアーティファクトらしい。 対戦型のリズムゲームで、対戦に敗北するとメダルに変えられてしまうのだという。もっとも、そうなるのは一般人だけで、リベリスタやエリューションは単にダメージを受けるだけだが。 「メダルは勝者の持ち物になる。ゲーム機の持ち主がメダルを手に入れると、そいつはパワーアップする。この場合はフィクサードってことになるな。まあ、ろくなもんじゃない」 厄介なことに、すでに数人の犠牲者が出てしまっているのだという。 「やってもらうことはいくつかある」 1、フィクサードが持っているメダルを回収すること。 2、フィクサードを撃退すること。 3、メダルに変えられた犠牲者を助けること。 4、ゲーム本体を破壊すること。 「メダルは今のところ5個あって、おそらく自宅か事務所のどちらかに隠してあると考えられる。もっとも、そいつは戦利品だからな。どこにあっても持ち主は効果を活用できるようだ」 店主の行動範囲に、他に安全に隠せそうな場所はないという。 フィクサードはプロアデプトの能力を持っている。素の実力も低くはないが、さらにそれがメダルによって強化されている。 「一番面倒なのは、倒してもメダルを使って復活してくるってことだな。しかも、これをするとメダルは消滅してしまう」 まず、メダルを奪ってから倒す必要があるだろう。 そして、ペットにしては凶悪だが、エリューション・ビーストのネズミを2匹飼っているらしい。天井などに潜んでいて、彼が呼べばすぐに来るのだという。 ちなみにフィクサードに力を得て特別どうこうしようという動きはないらしい。 あるいは、いずれなにかに活用するつもりなのかもしれないが、今のところは革醒によって得た能力をギャンブルのイカサマなどに使っている程度の小悪党でしかない。 「犠牲者を助けるのは、メダルをコインの代わりに入れてゲームをプレイして、コンピューターとの対戦に勝てばいい。もちろん、フィクサードに見られたなら妨害されるだろうがな」 ゲーム本体の破壊も油断はできない。もちろんゲーム機が殴ってくることはないが、攻撃すると巨大なノイズを発して反撃してくるというのだ。 「なかなか厄介な状況だな。だが、リベリスタならこんな状況もスマートに切り抜けられるはずだ」 任せたと、伸暁はリベリスタたちに告げた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:青葉桂都 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2011年06月12日(日)22:14 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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●魂のメダル 場末の狭いゲームセンターには、数人の客が入っていた。 紫色の髪をした幼い外見の少女が、プライズゲームを興味深そうに覗き込んでいる。彼女が、実は20代半ばであると聞けば、たいがいの人々は驚くことだろう。 『ぐーたらダメ教師』ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329)は店長を観察していた。 (ゲームをする依頼! 楽しいお仕事!) ……内心、多少浮かれていたことは否定できない。 さえない雰囲気の店長は、黒髪の少女と会話していた。 「お願いします、ぜんぜん取れない位置に行っちゃったんですよ」 クレーンゲームをプレイしていた『魔眼』門真螢衣(BNE001036)が甘えた声を出す。 彼女は先ほどから、何度もプライズを取れない位置においやってしまっていた。そのたびに、店長を呼んで位置を戻してもらっている。 螢衣は店長の気を引く役だった。 ソラと、それに『でんのうむすめ 1ひき』須藤凛(BNE001580)はゲームを物色する振りをしながら、彼の動向を見張っている。 ゲーム研究会で凜とソラは以前から面識がある。 「ゲーセンは不良のたまり場ならぬ、フィクサードの稼ぎ場?」 「そうね、これ以上稼ぐ前に、早く助けてあげないと」 凜の呟きに、ソラはうなづいた。 フィクサードである店長が店にいるうちに、仲間たちは2手に分かれて捜索しているのだ。 ●捜索 古ぼけたアパートに、3人のリベリスタが近づく。 周囲に人影はない。『てるてる坊主』焦燥院フツ(BNE001054)がはった強結界のためだ。 髪を留めていたヘアピンを外し、『いつも元気な』ウェスティア・ウォルカニス(BNE000360)が扉の前にかがみこむ。 しばしの時間が過ぎた。 3人は鍵の壊れた扉を開いて室内に侵入した。いくらリベリスタとはいえピッキングを行うのはそう簡単ではない。 「それじゃ、メダルを探すなの~」 抑え気味の声で『食欲&お昼寝魔人』テテロ ミ-ノ(BNE000011)が言った。 「どのあたりが気になる?」 「そうだね……冷蔵庫とか、タンスの奥とか怪しそうかな」 優れた直観を持つウェスティアの指示に従い、フツが透視する。 「後は、店長さん機械に強そうだし、電化製品の中に隠し場所を作ってたりしないかな」 「……当たりだ」 テレビのスピーカーに、フツは2枚のメダルを見つけた。 ウェスティアはチョーカーについた十字架の飾りを軽く持ち上げて、入手を告げる。それが、彼女の幻想纏いなのだ。 さらに捜索を続けるが、他には見つからない。どうやら分散して隠してあるようだった。 「あと、荒れた部屋を撮って転送するんだよね……あれ、誰に送ればいいんだろ?」 誰に送るべきか、ウェスティアにはわからない。フツやテテロも首をかしげた。 同じ頃、ゲームセンターの事務所にもリベリスタたちは侵入していた。 裏口は施錠されていたので、店内から回る。 店長は『テクノパティシエ』如月・達哉(BNE001662)と件のゲームで対戦していて注意を払っていない。 「こういう事態でなければ、ゲームも楽しめたんだろうなぁ……とにもかくにも早くコインになっちゃったヒトを助けてあげないと、ねぃ!」 強結界を発動し、『蜥蜴の嫁』アナスタシア・カシミィル(BNE000102)が3人の仲間や大型のドール――螢衣の式神――とともに事務所に入り込む。 「特に役に立つ能力はないが、ちゃっちゃっと探してしまうのじゃー」 音を立てないように扉を閉め、風格ある態度で『白面黒毛』神喰しぐれ(BNE001394)が告げる。 「すごい……役に立つ能力はないって言ってるのに、なぜか大物の空気がしぐれちゃんから漂ってくるよ……!」 堂々とした態度に、普段はアイドルユニットの相方である神代凪(BNE001401)が目を見開く。 キツネとタヌキのコンビが捜索を開始する。 「人の命がかかっとるんじゃ、気を引き締めていくぞよ」 『巻戻りし運命』レイライン・エレアニック(BNE002137)は物がしまえそうな場所を端から覗き込んでいく。 「虱潰しな作業になるケド、頑張ろうねぃ……!」 アナスタシアは店長のデスクに近寄り、凝視する。ただ見ているわけではない、内部を透視しているのだ。 デスクの後は引き出しや棚やロッカーなどすべてを確認する。 時間はそれなりにかかったが、埃をかぶったビジネス書のうち1冊のページが3分の1ほど切り取られ、代わりに3枚のメダルの入った袋が挟まっているのが見つかった。 発見したリベリスタたちは、外につながる扉の鍵を開けて出て行く。 店内では、達哉が店長と話している。 「もっとこういう音ゲー増やしてほしいなあ」 探るような店長の視線を感じながらも、いくつかのゲームの名前を挙げる。 「できれば置きたいんですが、店が狭いですからね。うまくいけば半年か一年後には店を広げられるかもしれないので、そうなれば検討しますよ」 2人が話しているところに、胸の大きなくわえ煙草の女性が近づいてきた。『重金属姫』雲野杏(BNE000582)だ。 杏は達哉が自分の部下だと告げ、本題に入った。 「貴方ね、覚醒した力を私利私欲の為に使っているのは」 店長が目を細めた。 「安心して良いわ、アタシも授かった能力でちょっとお金稼ぎに使わせてもらってるのよ」 彼は警戒を解かなかった。それでも、話を聞く気にはなったらしい。先をうながしてくる。 「良いわよね。人には無い力で他者を色んな面で圧倒できるものね、その感覚分かるわ、アタシも一般人が蹂躙されてる姿を見るだけでぞくぞくするの」 黙って聞いている店長に、彼女は取引の話をする。 このゲームについての都市伝説が流れているということを告げ、もっと他のゲームも同じようなシステムを載せてはどうかと持ちかける。 「もし方法があるんなら、やりたいところですけどねえ……」 少なくとも店長には複製を作る手段はないらしい。 そのとき、ソラがテレパシーが、メダルの探索が終わったことを伝えてきた。 「アタシの知り合いに言えば力になってくれると思うわ。複製する方法も考えてくれるわよ」 杏は事務所に店長を誘導する。 「勿論取り分の大半は貴方の物よ。特許料みたいな物よね。……詳しい話をしたいから、もっと人目の無い、事務所で話しない?」 彼はうなづき、2人は連れ立って事務所への扉をくぐった。 ●誤算 店長が杏とともに事務所に入った後、少しして探索していた仲間たちが表から入ってきた。 「ゲームのほうは俺に任せておいてくれ」 達哉はメダルを受け取る。調査した限り、彼の知る似たようなゲームとさほど違いはないようだ。 凜が近づいてきた。 機械化された少女の両目がゲームの電子部分に注がれる。 「……できるだけのことはした。譜面の先読みは無理みたいだけど」 「ま、横で指示されると気が散るからな。画面と音に集中すればいけるぜ」 達哉はメダルの1枚を投入すると、画面の指示に従ってゲームを開始する。 一方、事務所の中で杏は焦っていた。 フィクサードの自室を荒らされた様を写真に撮って、彼を自宅に帰るよう誘導するのが彼女の考えていた策だった。 しかし、事務所に写真は置かれていない。 誰が写真を受け取り、印刷して、配置するか。そこを誰も考えていなかったのだ。 店長に勧められ、杏は椅子につく。 「……そうね。それじゃあビジネスの話をしましょ」 頭を回転させ、店長をはぐらかし、アドリブでなんとか時間を稼ごうとする。 長時間ではなかったが、高い知力をいかして彼女はいくらか時間を稼ぐことができた。 ふと、店のほうを振り向いた敵が顔色を変える。 「店に集まってるのはお前の仲間か?」 「……何の話? わからないわね」 「お前の部下の周りにいる奴らだよ。……ちっ」 書棚の方を見た店長が舌打ちをして、事務所を出て行く。 「……やれるだけのことはやったわ。後は野となれ山となれ、ね」 大きく息を吐いて、杏も彼を追った。 リベリスタたちは達哉がゲームをしている間、それぞれに警戒していた。 絶対音感を持つ達哉にとって、凜が難易度を下げたゲームはそう難しくはない。 事前にゲームの感じはつかんでいたことも助けになった。 「経験上、こういうゲームでCPUは一定の点数しか出してこない。甘い曲を選んで、確実にコンボをつなげば行ける」 1曲ごとに表示される結果は早送りで飛ばし、一瞬でも早くクリアを目指す。 事務所の扉が開いたのは、1人目を救い出した時点だ。 メダルに変えられていた少年が、意識を失った状態で出現し、床に倒れる。 「すみませーん、このゲームどうやるか……」 ソラが店長に話しかけようとするが、無視された。 そこに、炎をまとった拳で凪が殴りかかる。 「お前も仲間か!」 言葉を荒げた店長の足元を、2体のネズミが駆け抜けた。 ●開戦 なし崩しで戦闘が始まった。 しぐれは手近にあった椅子にすっくと立った。 店内に客はいない。数少ない客は螢衣が催眠状態にして帰らせていた。 ウィザーズロッドを掲げると、杖から結界が展開される。 「みなのもの! わらわが皆の勇姿を見守っておる! とくと闘うがよい!」 朗々とした声で、彼女は仲間たちに宣言する。 「ありがとう、しぐれちゃん! がんばるよ!」 一目置かれる存在である彼女の言葉は、特に実効はなかったが、みんななんとなくやる気を鼓舞された気持ちになった。 杏が事務所の扉から出て、魔法の矢を店長に放つ。 アナスタシアも凪と並んで、氷の拳でフィクサードを狙った。 ソラとウェスティアは、リベリスタたちに突進してくるネズミに向けて魔法の矢を放っている。フツとテテロもネズミの迎撃に加わっていた。 ゲーム機を攻撃するつもりだったレイラインだが、まだプレイ中だったのでネズミの攻撃に加わる。 螢衣はフィクサードをにらみつける。 ゲーセン荒らしを自認する彼女は、ゲームを悪事に使うフィクサードの犠牲になった者たちを救いたいと考えていた。 思考の奔流が凪やアナスタシア、杏を吹き飛ばす。 (戦術的にも、心情的にも、真っ先に止めるべきはあの方ですね) 呪印が店長の周囲に出現し、彼の動きをしばしの間、止める。 達哉が2枚目のメダルを元に戻したのは、その直後のことだった。 店長が動きを止めている間は、リベリスタたちに有利な戦闘が続いた。 とはいえ、店長が復帰しても互角の勝負は続けられたし、達哉がゲームを進める時間を稼げたのは間違いない。 やがて、拮抗が崩れる。 ソラはネズミに向かって魔法の矢を連射する。使っているのはホーリーメイガスの技だが、本来の彼女は速度での戦いを得意とするソードミラージュだ。 ネズミの動きは素早かったが、ソラはそれを上回っている。 「ソラ先生、普段はあんなに怠けてるのに……」 「教師は授業をサボってもいいのよ」 教え子の呟きを一蹴した後、彼女はネズミも一蹴した。 弱っていたエリューションは、魔法の矢に貫かれ、画面にはりつけとなる形で動きを止めた。 3枚目のメダルが人間に戻ったところで、フィクサードは怒気とともに思考の奔流を放つ。 ビーストハーフの反射神経で凪はかわしたものの、杏は直撃を受けてしまった。 「……焦ってるわね。ヤバいってわかってるんでしょ」 事務所の中に倒れこみながら、杏は強気に笑ってみせた。 凪は筐体の上で器用にバランスを取って立ち、呼吸法でゲーセンの気を取り込んで、自らを癒す。 「よくもやってくれたね!」 「そいつはこっちの……!」 店長の言葉を待たずにアナスタシアの氷の拳が直撃した。さらに、しぐれが氷の雨を降らせ、店長を凍結させる。 凍ったところに、凪は炎の拳で強烈な一撃を放つ。 膝をついた店長が、舌打ちをして立ち上がる。おそらくメダルの効果を使われてしまったのだ。 立ち上がった敵はペットとともにゲームをプレイしている達哉を狙い始めた。 ネズミが噛み付きにも青年は手を止めなかったが、次いで気の糸に縛られてはさすがに動けない。 「まずい……!」 「わらわが代わるのじゃ!」 しぐれが駆け戻り、達哉を押しのけてボタンを押し始める。 「キミの相手はこっちだよ!」 ウェスティアは魔法の矢でネズミを狙う。 しかし、フィクサードはなおも達哉に噛み付いた。 凪の悲鳴が響くのが聞こえる。まずい状況のようだ。 活性化した魔力を込めて、ウェスティアはネズミを狙う。 ネズミが動きを止めたところで、達哉が気糸を引きちぎって、しぐれと再び交代した。 振り向いたウェスティアは倒れている凪と、怒りに燃えた目で突進してくる店長を見る。 アナスタシアがかまいたちを起こしてフィクサードを切り裂く。 さらに螢衣の印が敵を囲むも、敵は突破してきた。 「……これでクリアだ!」 しかし、店長の突進は遅かった。最後のメダルが人間に戻る。 次の瞬間、思考の奔流を叩きつけられて達哉は倒れたが、状況は手遅れになっていた。 レイラインが高速でゲーム機を攻撃する。 ノイズがリベリスタたちを襲った。 「五行相克! 氷の雨で、漏電びりびりなのじゃー!」 しぐれがノイズにも負けずに店長とゲーム機をまとめて凍らせる。 アナスタシアは身体に走り抜ける衝撃をこらえて、激しい蹴りを放った。 「往生際が悪いねぃ……メダルも失った以上、勝ち目はないんだよぅ」 かまいたちに背中から切り裂かれ、店長はゲーム機にもたれかかるようにして倒れる。 激しいノイズは止まらなかった。 しぐれが癒しの符を飛ばしてウェスティアを回復する。しかし、その間にさらにノイズが放たれて、レイラインとテテロが倒れてしまう。 「とにかく、早く片付けるしかないよ!」 ウェスティアが複雑な魔力を組み上げる。 魔法の篭手でソラがゲーム機を激しく殴ってボタンを破壊する。 フツや、今まで操作に集中していた凜も攻撃に加わった。 アナスタシアが脚から放つ真空の刃が画面を割り、螢衣の作り上げた鴉の式神がピエロのキャラクターをついばむ。 組み上げた4つの魔光が筐体をウェスティアが放つ。 四方から光が機械を砕く。光が消えたとき、ゲーム機は原型を留めていなかった。 「終わった……ようじゃな」 しぐれが呟く。 すぐに、倒れたまま動かない相方のことを思い出して駆けていった。 「クレーンゲーム、一回やっていくつもりだったけど……そんな状況じゃなさそうね」 「まず、助けた人たちを帰しましょう。よかったら、今度つき合いますよ」 近くの椅子に座り込むソラに、クレーンゲームが趣味の螢衣が言う。 被害は大きかったが、それでもフィクサードは倒れ、危険なアーティファクトは始末できた。彼らは確かに、邪悪な企みを解決したのだ。 傷ついた仲間を助けおこし、リベリスタたちは帰還した。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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