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ガチでムッチリな花嫁

●他とはちょっと違うガチムチ?
「飴玉退治だ。……いや、説得でもいいんだが……難しいだろうな。人死にが出てるし」
『駆ける黒猫』将門 伸暁(nBNE000006)が意味深とも意味不明とも取れる発言をしたのはある日の昼下がり。
「どういう意味?」
「ある朽ちた教会にノーフェイスが出る。それがまた飴玉のような女性でな」
「飴玉?」
「飴の包み紙ってカラフルだろう?
 あれを連想させるドレスに……まぁ、体格も飴玉のような」
 具体的には、と伸暁が咳払いする。
 待て、言わなくていい、何か怖い。誰かが止めたが遅かった。
「スリーサイズでいうとバスト二メートルほど、ウェストは一メートル半ほど、ヒップはバストと同じくらい」
「二メートル!?」
「あぁ、一応引っ込んでる部分があるから飴玉でもないか」
「そういう問題じゃないでしょ!?」
「ノーフェイスは花嫁だ。朽ちた教会で恋人と二人きりの結婚式をする予定だったらしいが誓いのキスのときに花婿が窒息死してな。
 パニックに陥った花嫁……件のノーフェイスだが――花婿を食っちまった。
 それから教会を訪れた男を次々と腹に収めてるらしい」
 カニバリズムだな、と遠い目をして語る伸暁。
「最終的にカニバリズムなんだがその前に一応式の続きをしようとしてくる。
 厳密には、抱きついて誓いのキスをしてこようとする。
 骨折と窒息死の危機だな。
 かなり力が強そうだから注意してくれ。
 食っちまうのは…欠片も残さず食べて『なかったこと』にしたいのか彼女なりの愛の形なのか…。
 あぁ、そうそう。自分より痩せてる女子を見ると普通のケーキを比較としてカロリーで数百倍、甘さで五倍のケーキを投げつけてくるからそっちも窒息注意ってことで。
 因みに口調は……カマっぽい。女性なんだが何故かカマを連想させる。
 語尾には漏れなく絵文字がつきそうな感じだ」
 ケーキはどっから出すんだろうな。おっかない飴玉だけど何とかしてくれよ、と伸暁はやや投げやり気味に言葉を切った。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:秋月雅哉  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年08月24日(金)23:01
普通のガチムチとは一寸違う気がするガチムチ花嫁退治です。
説得でも構いません。
勝利条件:花嫁の撃退or説得成功
攻撃方法:男性 抱きつき→誓いのキスのコンボ
骨折と窒息に注意
女性;嫉妬の平手打ち、甘すぎるケーキ投げつけ、棘だらけのブーケで叩く
力がかなり強いノーフェイスです。
心は乙女。
でもカニバリズムをしてしまう飴玉(仮)
色々と濃くなりそうですがよろしくお願いします。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ホーリーメイガス
メアリ・ラングストン(BNE000075)
デュランダル
四門 零二(BNE001044)
ダークナイト
一条・玄弥(BNE003422)
クリミナルスタア
禍原 福松(BNE003517)
レイザータクト
波多野 のぞみ(BNE003834)
クリミナルスタア
敷島 つな(BNE003853)
ソードミラージュ
エルヴィン・シュレディンガー(BNE003922)
レイザータクト
ラケシア・プリムローズ(BNE003965)

●本気と書いてガチと読む
 町外れの、誰もが忘れた朽ち果てた教会。
 其処に花嫁が一人。
 花嫁といえば純白のドレスを連想する人も多いだろうが彼の人は白とオレンジのマーブル模様のドレスを身にまとっている。
 グラデーションになっているので相当派手だ。
 その立派な体型も相まって正に飴玉、と言えるかもしれない。
 まだリベリスタ八人の到着に気付いていない花嫁はぼんやりと空を見上げている。
「――――男はむっつり。女はむっちり。
 考えてみろ…300歳BBA、アシュレイですら男日照りの世の中じゃ。
 なかなか良縁に恵まれぬ。ジャパニーズの種族存続の危機じゃ!
 こ奴は邪神・セトの花嫁かぁ!?
 カマキリだってやることやってから喰うのに……」
『回復狂』メアリ・ラングストン(BNE000075)が小さな声で叫ぶという器用な真似をやってのける。
「静かにしないと見つかっちゃうわよ」
 ラケシア・プリムローズ(BNE003965)が一応たしなめる。
「結婚式か、本来は幸せな光景なのだろうが……。
 悲劇と言うには、あまりにも喜劇すぎるな……」
『あるかも知れなかった可能性』エルヴィン・シュレディンガー(BNE003922)が白い仮面の下でそっと呟く。
「面白い花嫁さんもいるものですね。
 いや、花嫁ってことは結婚する相手がいるんだしある意味人生の勝ち組だったってことですよね。
 ま、私はそんなのには興味ないのでどうでも良いのですが」
『混沌を愛する黒翼指揮官』波多野 のぞみ(BNE003834)はどこか他人事。
「デカイな……。
 そして丸いな……。
 飴玉というよりは巨大な瓢箪か?」
『糾える縄』禍原 福松(BNE003517)は思わずといった調子で呟いた。
「飴玉でもドラム缶でも元人間がどないなもんかなんぞ知りはせん。
 ノーフェイスというなら殺しておしまいやろ? おぃ」
『√3』一条・玄弥(BNE003422)はいっそ清々しいまでに非情な台詞を吐き捨てた。
「……花嫁に悲劇など、似合わない、ね」
『闇狩人』四門 零二(BNE001044)の言葉に『砂のダイヤ』敷島 つな(BNE003853)は静かに頷いた。
「止めに行きましょう、悲劇を」
 八人が物陰から姿を現すと花嫁はゆっくりと振り返る。
「邪魔してごめんなさいね。あたし達、二人の結婚を見届けに来たの」
「二人の結婚……?
 笑わせないで、私は一人で待っているのよ!!
 貴方たちの中で花婿になってくれる人がいるとでも言うの!?」
 本気で怒っているのだろうが多分語尾には怒りマークの絵文字がついていそうな喋り方だ。
「オレは……四門零二。
 キミの名を教えてくれるかい……?」
 零二が花嫁に近づく。
「……花蓮、よ」
「……キミに相応しい……いい名前だ。
 ……オレは神など信じない。
 信じるとしたら…キミと出会ったこの運命をこそ、唯信じよう。
 ……夢の続きをオレと一緒に……運命を共にしてくれるかい?」
「夢?
 夢なんかじゃないわ!
 私は此処であの人を待っているのよ……っ」
 今度は泣き顔の顔文字がついていそうな口調である。
「みんないなくなるもの!
 貴方だって本当はおなかの中で笑っているのでしょう!?
『かれん』なんて名前似合わないって思っているのでしょう!?
 女を連れてきて夢の続きが見たいなんて笑わせないで!」
 いなくなったのは花嫁――花蓮がその男性を食べてしまったからなのだがとりあえず誰も突っ込まない。
「みんな私を置いていってしまうのよぉっ!」
 激昂した花蓮が萎れたブーケで零二を張り飛ばす。
 力が強いという事前情報どおり零二は数メートルも後退した。
「……抱擁を受けるつもりだって言ってたけどあの力で抱擁されてたらフェイトがあっても死んでるんじゃないかしら……」
 ラケシアが何度か瞬く。
「いい加減に目を覚ませ、お前が愛した人はもうどこにも居ないのだぞ、これ以上、関係の無い者の命を奪うのをやめて、愛した人の所へ還るんだ!」
「うるさいわね! 目なら覚めてるわよ!!」
 説得が成功しても相手はノーフェイス。
 屠らなければいけないことに変わりはないが八人はせめて彼女が満足して逝ける結果を望んでいた。
 だが――交渉決裂のようだ。
「本当に私と結婚したいなら私より痩せてる女なんて連れてこないでよ!
いやみな人たちね!!」
 何処からか取り出したのは巨大なケーキ。
 花蓮はそれを振りかぶって投げつける。
 プロ野球選手もかくやというスピードで投げつけられるケーキはその速さだけで顔面に当たったら凶器になりそうだった。
「余裕があれば食べてみたいと思いましたけどこのスピードで顔面に当たると戦闘に支障をきたしますね」
 ケーキを反射で避けてのぞみがもったいない、と呟く。
「まあ、何にしても被害を出してしまっている以上見過ごす訳にはいかん。
 これも仕事だ、悪く思うなよ」
「仕事ですって?
 仕事で結婚式の続きをする振りをしてたっていうの!?
 なんて失礼なのかしら!!」
 怒りマークの絵文字が三個ほど並んでいそうである。
「てめぇは邪魔やから死ねや、ぼけぇって結論でさなぁ」
「貴方も道連れにしてあげるわ!」
 玄弥に向かって花嫁が突撃する。
 まさかこの後待っているのは……!?
「骨が折れるほどの抱擁と窒息するキッスを受け取りなさい!」
 相手の腕に包まれる前に口に爪を突っ込んで呪刻剣を放つ玄弥。
「よりによってあっしにくるとは……」
「避けるなんて酷いわ!」
「避けるに決まってるやろ!」
 玄弥を助けるように割り込んでメガクラッシュで距離を取る零二。
「此処を出て貴方様を担げるような立派な男をさがしにでかけませんか?
 ここの男達って貧弱で貴方様も持ちあげられなじゃないですかっ。
 世界は広いのですっ。婚活しましょー。待っていても好みの男はみつかりません!」
「私がデブだって言いたいのね!!?」
「あぁ、逆効果ー」
 自分に向かって投げられたケーキを全力で避けながらメアリは回復が必要そうな味方がいないかを見定める。
 マナサイクルをかけておくのも忘れない。
「浮気者は嫌われる……ぞッ!!」
 広げられた腕の中に自ら一歩踏み込み、突き出した顎にアッパーカットを見舞う福松。
 それでもキッスをしてこようとする花蓮に頭突きで応対。
 ディフェンサードクトリンで味方の防御力を上げて支援するのはひとまずケーキを諦めたのぞみだ。
「ラケシアさんとの戦術コンビネーション、どれほどの威力か身をもって知ってくださいね♪」
 ブーケで吹っ飛ばされている前衛には癒しの風で回復を。
「さすがに強いですね、でも私の癒しの風がそれを回復させますよ。」
 強いの前に括弧書きで力が、とついていそうである。
「良く見なさい、自分の最愛の人の見分けもつかないの?
 思い出して、貴女は彼と誓いのキスを交わしたでしょう?
 結婚は成立した、もう『式は終わった』のよ!」
「じゃあなんであの人はいないのよ!!」
 つなの言葉に萎れたブーケから花が飛ぶ。
「貴女にとっては受け入れがたい現実よね。でも彼はもうこの世のどこにもいないわ。貴女が殺したんだから」
 一瞬止まった花蓮に前衛が集中砲火を浴びせる。
「夫亡き後に、未だ死んでない人。未亡人って嫌な言葉よね。でも貴女は世界にとって危険すぎる存在だから、止めるわけにもいかないの。ごめんなさい……逝ってちょうだい、彼も待ってるわ」
「そんなの……そんなの綺麗ごとよ!
 結局私を殺しに来たんじゃないの!!」
「そうだ。俺たちはそれが役目だからな」
 エルヴィンが小さく呟く。
 白い仮面をブーケが叩いた。
「八つ当たりをして気は済んだか?
 彼が迎えに来ないなら自分から会いに行けばいい」
「もうお休みなさい?
 貴方の行く先がどちらになるかはわからないけれど……。
 せめてあちらでは幸せになれるよう祈っているわ」
 天使の息でエルヴィンを回復させながらラケシアが祈る。
 愛する人を殺し、狂ってしまった彼女が正気に戻っては重い十字架を背負うことになる。
 それなら正しい認識が出来ていないまま眠らせてあげたい、とラケシアは思っていた。
 花蓮が何処まで認識しているのかは不明だがその目には涙が見える。
 花嫁として幸せの涙を流すはずだった目から悲しみと怒りの涙が流れ、メイクを崩す。
「貴方達に何が分かるって言うのよ!」
「甘ったれんなや。自分がやったことやろが」
 付かず離れず嫌がらせのように粘着質に攻撃を行う玄弥が背後から一撃を当てる。
「花婿殺したんも、そのあと男たちを殺したんも、男たちを食ったんもあんたや。
 だからあっしらがあんたを殺す」
「おだまりぃぃぃ!!!!」
 ブーケを何度も叩きつける花蓮。
「あの人たちは私の赤ちゃんになったのよ!
 花嫁は愛する人の子供を生んで幸せに暮らすの!!
 それなのに……それなのに!
 生まれてこなかったのはあの人たちの裏切りだわ!!」
「カニバリズムは究極の愛とする意見もあるが……オレには理解できん領域だ」
 花蓮が夢見ていた幸せな結婚生活。
 夫婦で仲良く過ごして、子供を授かって。
 子供の成長を見届けて。
 独り立ちした子供がやがて結婚して生まれた孫に昔話なんかを聞かせて。
 老後はささやかに夫と暮らして。
 家族に看取られて、笑って逝く。
 他の誰かが望んだっておかしくない平凡な夢。
 けれど花婿の窒息死によって全ては歪んでしまった。
 未来も、彼女自身も。
 リベリスタたちの声は届かない。
 花蓮はただ現実を直視することを拒み、ブーケで近寄る相手を吹き飛ばし、女性陣にはケーキを投げつけ、それでも近づく相手は抱きしめて殺そうとする。
「どないに繕ってもなぁ、化け物は死すべしなんだよぉ、おぃ!」
 冷静に動きを見ながら奪命剣と呪刻剣を叩き込み切り刻む玄弥。
「婿殺しには似合いの血染めの死に装束やろ?」
 玄弥の言うとおり花嫁衣裳はオレンジと白のマーブル模様からオレンジと血色のまだら模様に変わっていた。
「もうやめましょう?
 これ以上はあなたが苦しいだけよ……」
「此処で死んだら……何のために今まで生きてきたのよ!?
 同じ場所になんていけるわけないじゃない!!
 もう一度愛してくれるわけ……ないじゃない……っ」
 絵文字も顔文字もつかない、花蓮の本音。
「あなたは怖いんだね。夫になった人に拒絶されるのが。
 同じ場所に逝けるのか。
 でもね、此処にいたってあなたは救われないよ」
 全てを認識してしまった花蓮にラケシアは静かに告げる。
「夢から覚めてこの世界から旅立て。
 或いは……次のめぐりで幸せになれるのかもしれないのだから」
 仮面にひびが入りながらも攻撃を続けていたエルヴィンがそっと促す。
「そろそろ婿といっしょんとこいっとけやぁ。おぃ」
「偽りの愛をささやいた責任は取ろう。
 ……おやすみ。
 ……いつか、また」
 花蓮を討ったのは愛を叫んで説得に当たった零二だった。
 自身の刃で花蓮を貫く。
「愛を語った以上、彼女の怨嗟も全てなにもかも、背負っていく。
 それがオレの運命、覚悟だ」
 ふらつく身体で零二の方でなく後方へ倒れたのは花蓮の最期の意志だろうか。
 身体がゆっくりと輪郭を失っていき、やがて消える。
「……おやすみなさい」

●天国の花嫁
「ブーケが萎れてもずっと待ってたんだな」
 福松が残されたブーケをみて呟く。
「祭壇にあげてあげましょう」
 つなが拾った。
「綺麗なドレスだったのにぼろぼろですね。
 ……私達がやったんですけど」
 のぞみが手に取ったドレスは相談の結果アークで焚き上げ供養をしてもらうことになった。
「……天国、いけるといいわね」
「結局は、こうなるのだな……分かってはいる事ではあるが、どうにもやりきれない気持ちになるな……」
「しゃーないやろ。罪は罪や」
「お休み、花蓮。今度こそ旦那さんと幸せになってくれ」
「妾を妻担ぎレースしにフィンランドまで連れってってくれる王子様を探さんとのう~」
「妻担ぎレース?」
「おぉ、知らんのか。妻担ぎレースというのはのう……」
「それは後にして、今は亡くなった方たちのために祈りましょう?」
「それもそうじゃのう」
 八人は此処で亡くなった人たちのために黙祷を捧げ、その場を去ったのだった。
「あたしも現実から目をそらして引きこもっていたら、このザマよ
もうどんなに頑張っても、彼が愛してくれた自分も、あの日の幸せも取り戻せないけれど……
せめてもうちょっと身軽にならなきゃだわね……ふごふご」
腹肉をつまみながら最後尾のつなの呟きが、風に乗って消えていった。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
徹頭徹尾ギャグにするつもりがなんだかシリアスになってしまいました。
ご参加有り難うございます。
機会がございましたらまた宜しくお願い致します。