● 我が意味は『憤怒』。 熱く煮えたぎる脳髄は、何を以ってして鎮め清まれるか。血か、肉か、命の蹂躙か。それとも対極に位置する静かな何かか。 破壊、咆哮、狂った精神。極限まで高まった憤怒は瞳を血走らせて、崩壊へとただただ進ムだけ。 我が意味は『嫉妬』。 悲しみに染まった胸は、何も以ってして鎮め清まれるか。悦か、殺戮か、欲望の充実か。それとも真逆に位置する温かな何かか。 妬み、僻み、憎しみの涙。頂点に達した嫉妬は重すぎる願いを捨てて、崩壊へとただただ進ムだけ。 我が意味は『苦悩』。 絶望により空っぽになった心は、何を以ってして鎮め清まれるか。解放か、幻想か、消滅か。それともさかさまに位置した包まれる何かか。 苦渋、誘惑、無くした笑顔。限界を超えた苦悩は絶望を背に、崩壊へとただただ進ムだけ。 闇夜は近く、大禍時は訪れた。 誰そ、彼。面の奥には、何が居る。 ● 「鬼?」 「……言うと思いました。でも、違うのです。これは少し厄介なE・フォース」 『未来日記』牧野 杏里(nBNE000211)は傷だらけのお手手で、顔を隠してみせる。その指の間から覗いた光無き、赤の瞳は面妖に視えた。 「半実体化した、思念体。その形は、お面です……般若の。ふよふよ空中で漂って移動するあたり、意思は有ると見てもいいかと思います。 般若の能面は鬼女を示すと言います。その意は憤怒、嫉妬、苦悩だってググって出てきました」 つまりそれらの集合体。とは言え、厄介なのは此処からの話。 「そのお面、単体ではかなり弱いのですが……被ることによって、その肉体の行動権を得ます。 ……もう、解りますよね? とある一般人女性が、面にとり憑かれてしまったのです」 まさに白昼堂々。 面は肉体として、気まぐれに彼女を選んだ。だから、どうした事かと言うと。 『ァァアア、ぁああぁぁああぁぁ、あぁあああああああああああ嗚呼嗚呼!!!!』 「これが、その女性。野上 芽衣子(27)。三日後に結婚式を控えた、それはそれは幸せの――です」 映し出された、荒れ狂う女性の姿。面があって表情は読み取れないが、掠れて荒れる声色から想像は簡単にできよう――苦しんでいる。 「彼女、このまま放っておけばすぐにノーフェイスへと化します。あれです、増殖革醒です。 時間が、無いのです。今から急いで向かっても、人である彼女と相対せるのは数秒でしょう……ね」 討伐目標はあくまで、こうだ。全てのエリューションを討伐せよ。 人である時も、ノーフェイスである時も、面によって強化されているので、フェーズ2が居るとして見てもいいだろう。因みに、面単体でも神秘的妨害は行ってくる。 完全に『一体』となっている両者。力任せに引き剥がそうものなら、芽衣子の顔の皮や肉が一緒に剥がれ落ちるだろう。 「でも、お面は触らない事をお勧めします」 そこまで説明を終え、モニターに男性が映った。その男は、様子のオカシイ芽衣子の肩を揺らしながら、こう言うのだ。 『芽衣子、芽衣子! どうしたんだ!?』 「悲劇は、連鎖します」 まるでお面が見えていない。むしろ突然苦しむ彼女を心配しているご様子。 「……あのお面、いいえ、Eフォースは、E能力者にしか……見えませんから」 不運か、不幸か、最悪か。その場はなんてったって、夕方の大通り。その中心で、兇器は恐ろしい速度で成長し、鬼へと成り下がるのだ。 杏里が目を閉じた、その背後。モニターの中の世界はただただ、赤に染まっていく。見るも無残な虐殺の長い一夜の始まり。 その嘆きの舞台の主人公は、咆哮をあげる鬼女。本当を語るのは、面から滴り落ちる、血の涙だけ――。 「それでは、いってらっしゃいませ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕影 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年08月24日(金)23:01 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●嫉妬は、慕う事から生まれる産物だと言う事を 「本当に、大丈夫でござるか?」 「ええ、問題は無いわ。問題なんて作らせないわ」 視界に映った光景は愚かな男が、最愛の女の肩を揺さぶり、その彼女は奇声をあげている所。すぐさま女は手をふり、男を吹き飛ばす。 奇声をあげさせている仮面を見るには、一定の条件が必要だ。視えない男には、代わりに苦しがる女の表情が見えているはず。どっちにしろ、般若のように歪んだ顔だが。 その周りをリベリスタが囲み、赤いコーンにカメラを駆使してあたかも撮影を思わせた。そこで、仮面は女の口を借りて、こう言う。 「視エテ、イルナ?」 「――!!!」 『花護竜』ジース・ホワイト(BNE002417)の身体がぴたりと止まり、それから動けない。 念力に抱かれ赤いコーンを手に、頬から汗が流れた。目の前では、同じく動けなくなった小さな少女が意味解らな気に見上げている。 「は、はは……」 つい、大丈夫だと苦笑い。神秘の暴露はできないが、それが精一杯。 その麻痺の原因の傍には夫が居た。どうした?!なにしてるんだ!?どうなってるんだ!?そう言葉を荒げても、今の嫁に反応は無い。 ――そんな緊張感を踏みにじる様な陽気な声が充満する。 「私という女が居ながらこんなアバズレ相手にして!!」 『不当なる契約者』ノアノア・アンダーテイカー(BNE002519)が堂々と和夫の胴へと手を回す。あの、胸が当たっちゃいます。当ててんのよ。 瞬時にバリバリーと、取り出したスタンガンが電流を和夫へと流していく。流石アークのまおー。容赦の無い一撃だ。因みに殴って気絶させようかと寸前まで思っていたが、頭がパーンしかけるので止めた。 呆気無く崩れた和夫を抱きとめ、カメラ目線でポーズをしようとしたが。 「なんだ、ジース固まってんのか!」 「わ、悪い……」 『おとなこども』石動 麻衣(BNE003692)が撮影中の看板を掲げながら、一般人を退ける。その背後をちらりと見れば、架空の映画の主役は動き出していた。 逢魔ヶ時。既に陽は地へと向かって消えていく。 来る闇が従えるのは、神秘が跋扈する世界。その手前で既に、魔は普通を侵蝕し始めていく。 「ねえ、そんな女より私に憑いてみない? 恋人同士で殺し合わせてみる方が貴女に取っても楽しいと思うけれど」 両手を前に伸ばし、掌を上に。 おいで、この身体を捧げよう。そうとでも言うのか、この恐れ知らずの『毒絶彼女』源兵島 こじり(BNE000630)は魅惑の瞳を仮面へと向ける。 傍には『女好き』李 腕鍛(BNE002775)が居た。まるで二人は恋人同士。けれどそれは、まるでの領域から出ない。それ以上でも、以下でも無く、他に想うべき相手はそれぞれ居るのは断っておく。 話しは変って、現場。 仮面の女性は言葉に成らない声を、けたたましく上げながら震えていた。それは見るからに獣の様だ。今にでも飛び出して、鋭利な爪で肉に線を入れに来てもおかしくない程。 そんな女を見かねた訳でも無く、ただ、自分自身の意志でこじりは歩を進めた。 仮面の下へ。 近づく度に、仮面の女性は何かを呟く。 「おいで?」 その三文字は、危険な引き金を引いた合図。 刹那、何かを受け取ってか、仮面はこじりの顔へと飛ぶ。より、深き愛を求めて。 抵抗はしない、する気も起きない。ただ、来てくれた事に感謝はした。けど―― 「路地裏でっていう約束でござるから!!」 「よし、よくやった! いくぞ!!」 こじりの両腕を掴んで、腕鍛とジースが走り出す。コンクリートをこれでもかと蹴り上げ、仮面がこじりに追いつくよりも速くだ。 「こっちこっち」 二人に引きずられながら、こじりは仮面を呼んだ。嗚呼、でもこの速度。多分追いつかれるって悟りながら。 即座にAFから路地裏に向かっているのを聞いて『ピンポイント』廬原 碧衣(BNE002820)は行動を起さんとする。二十秒で芽衣子から離れてくれたのは幸運だが、芽衣子にいざというときはと監視していたため、まだこっちの戦闘準備が終わっていない。 「ちょっと到着、遅れさせられるか!?」 『善処する!!』 AFからそう、ジースの声が聞こえた。 「あー……」 この車の中に入れた夫婦どうしようかと二秒くらい悩んだノアノアは、思いついたように手を叩く。 映画ならこれをやらないとね。 「カットカットー」 「いきますよ、ノアノアさん」 麻衣がノアノアの腕を引いて、消えた三人と一体を追いかけた。 ●怒りは、想いから生まれる大きな意思だと言う事を 「迷子なの」 そう言って一般人の男を路地裏から離れさせた『深紅の眷狼』災原・闇紅(BNE003436)。 とはいえ、もう此処まで離れてしまえば問題は無さそうだ。面倒な演技もここらで打ち切り。そろそろ帰らなければと、来た道を振り返る。 「ここら辺は人がいなくて危ないからね。あ、あそこが大通りだ、あとは解るよね……あれ?」 この男はどこまでも親切だ。 大通りまで差し掛かって、闇紅と繋いでいた手のぬくもりが消えた時だった。 闇紅が居るはずの場所を振り返ってみれば、そこにはもう誰も居ない。ただ、小さな風が路地裏から吹き抜けていくだけだった。 「ん、ぅ……ッ」 仮面が嵌り、手足の自由が消えていくのを感じていたこじり。般若の眼の穴から見える光景も霞んで黒くなっていく。そして眼を閉じて、身体は完全に静止した――。 「おい!! しっかりしろ!」 ジースは叫ぶが、言葉をまるで聞いていない。 「お疲れ様だ、闇紅」 「……ええ、どうも」 ハイスピードで帰ってきた闇紅に碧衣はそう一言。 その横で『戦奏者』ミリィ・トムソン(BNE003772)は赤いコーンを設置し終え、強力な結界を周囲に施す。これで一般人は、おそらくもう来ないだろうと、いや、来ないでとミリィは心の中で念を押す。 「……身体、明け渡しちゃったのですね」 そうか無事で。眼前には、混乱したこじりが居た。桜という名のショットガンを構え、放つ魔の力を込めた弾丸。 「こじり殿、負けてはダメでござるぞ!!」 それは腕鍛の頬を掠めて飛んでいく。 すぐさま狙う、青い瞳。 「こじりは狙わない、仲間だからな」 碧衣の向けた指先から小さな光が膨張して辺りを包む、その光の眩しさに眩んだのは仮面だけ。 更に全力で光の中を走った闇紅が。 「ま、愛に狂んだ結果よね……」 振り下ろしたナイフは、速度の勢いを吸い込んでは仮面を叩きつけた。 ――ねえ。いいこと教えてあげる。 真っ暗だ。 目を閉じても真っ暗だが、目を開けても真っ暗だ。ましてや、今自分が目を開けているのか閉じているのかさえ解らない。 そんな中でこじりは闇に問いかけた。 もし、この面が女性の想いから生まれたなら教えてあげたい。 貴女を形成する想いは消して悪いものばかりでは無い事を。 怒りも、嫉妬も、苦悩も、誰かを想う心が大きいというものだと。 だから、きっと。この仮面はそんな大きな想う心の裏返しだと――。 伸ばした手は今はまだ、虚空を仰ぐだけ。 ●苦悩は、その人の事を想う時間だと言う事を 「何故、仮面は女性のとり憑いているのでしょう?」 「さあ。大方愛関連ってなー」 ミリィの意識が仲間とリンクすれば、仲間の力、耐久が更に強くなる。 同時に疑問を投げかけ、それにノアノアが答えた。 「愛……女性の、愛?」 まだ齢十一の少女には難しいか、それでも今は考えても仕方無いとミリィは顔を横に振る。いつか愛を知る素敵な女性になる未来さえ選べる、少女。今は戦いに手を染めるが、いつか、きっと。 「戦場を奏でましょう! こんな悲劇、断ち切ってみせる!」 ミリィの高い声は高らかに響く。 「女のヒステリックはヤだねえ」 放った十字の光は、惜しくも仮面をかすって終わる。その般若の笑みがあざ笑っているように見えて、ノアノアは奥歯をぎりりと噛んだ。 そのままこじりの身体がノアノアへと動く。仮面の混乱は常時続くのだ。振りかぶられた桜をぎりぎりの所で肌に掠らせながら、ノアノアは溜息を吐いた。 「僕は理解してやれねーや」 誰だって愛するし、誰だって好きなれるから。 掠った勢いそのままに、仮面の身体はノアノアの背後へとよろける。その前方から爆砕を纏わせて突っ込んできたのは。 「……ごめんな。だけど、俺は引かない! 沢山の人達が俺の後ろに居るから!!!」 ジースだ。 仮面に憑かれているのが一般人なら兎も角、今はE能力者である。それなら、少しばかり乱暴にしても問題は無いだろう。 しかし、彼の意思は死ななくていい命は取りこぼしたくない。目の前に居る、憑かれたこじりだってそのままにしておけばどうなるか解らない。 救うから、そう心に誓いながら仮面へと振り落とした強固な力。だが―― 「あ、く、くそ!!」 掠る。こじりの身体を大きく捻らせて、その力から遠ざける。 仮面はハッとした、まだ、リベリスタの攻撃は終わらない。今度は横から腕鍛が腕に氷を纏わせて走ってきた。 「嫉妬から生まれた鬼……鎮まれ、でござる!!!」 ほぼ、同時か。 腕鍛の腕が仮面を直撃しようとした、その時。 「ん? あれ?」 「またかよっ!?」 ノアノア、ジースの身体がぴたりと止まる。 仮面の呪い、それに被さり麻痺が身体を侵蝕していく。動けない――されど、この絶対者には通用しない。 「甘いでござる」 仮面を攻撃する絶対零度の魔の腕。氷結とまではいかなかったが、呪いを撃ち飛ばす拳は頬を叩く。 「拙者、そういうのは効かない身体になってしまったみたいでござるよ?」 すぐさま麻衣の歌が周囲を飲み込み、仲間の傷を癒す。それはその威力だけで完全に治癒できるほどの威力で。 「まだまだ、ここからでしょう?」 麻衣の長い前髪の奥に隠した瞳が、煌びやかに光った。 ――そしてまた暗闇。 なんか頬が痛いわね。そう自分の頬を擦りながら、こじりは一人で闇に漂う。 『外』に居る仲間達へ、この磨き上げられた身体を雑に扱うものなら、後で一人一人にデッドオアアライブかます、と心に誓いながら、未だ光さえ見えない道を歩く。歩いてみた動作をしてみたものの、進んでいるのか止まっているのかも解らない。 溜息混じりの吐息が口から出た。 己が仮面に飲み込まれているなら、この世界は仮面のそれそのもの。ならばきっと届くって信じて、こじりは再度言葉を繋いだ。 「恋は、戦争よ」 だから。 「負けることも、あるわよ」 それだからこそ。 「気づくはずよ、いいえ、もう気づいているはず」 ――『貴女』が持つ感情全てすらも内包する物が『愛』なのだと 光が、見えた。 「ふん、遅いわよ」 待つばかりの女じゃない。 どんな所に居たって、どんな事が起きたって、自分の足で歩いていく。 ● 「?」 ぽたり。 連撃をかました闇紅の頬に。 「……しょっぱい」 「うう、ぅううっ、うううううっ!!!」 仮面の奥から涙が漏れていた。こじりの身体が流しているものだが、彼女自身の涙では無く、般若の。 ふと闇紅が自身の手が虚空を掴んだのに気づいた。さっきまで握っていたものが無い。 「あ。」 闇紅の小太刀は仮面の額、中央。ほんの数ミリ程度だが突き刺さっていた。それが崩壊の合図か、仮面の終わりの時は近いかもしれない。 しかしその瞬間に、リベリスタの視界が仮面が出した眩しさに眩む。 ちかちかと光が視界を遮り、その命中と回避に大幅なペナルティが乗っかる。 「でも、無駄ですから――!!!」 再びの、もう一人の絶対者。麻衣が仮面の光よりも色鮮やかな光を作り出す。 「光と闇が交じり合う、逢魔ヶ時。ですがそれも、もう終わりでしょう!!」 跳梁跋扈を弾き飛ばす、呪いを蹂躙せし浄化の光。 立ち上がって、もう終わりは見えたはず。そうグリモアに力を託し、呼びかける麻衣を中心にリベリスタは動き出す。 重なるようにして光は放たれる。 「さ、これで仮面に攻撃が直撃するはずだ。いくぞ!!」 碧衣の神気ほど頼りがいが有るものは無いだろう。直撃を通り越して、本来以上の力で放たれた神気は仮面をあっさりと飲み込んだのだ。 「うう、ううっ、ぐううっっ!!」 「待ってろ、な? もう少しで……楽になるからさ」 女の感情から生まれたエリューションよ。勝手に生まされて、勝手に殺されるのは可哀想だが。 そう呟いた碧衣は次の神気への詠唱を始める。もしかしたら、次放つまでに敵は壊れるかもしれないが。 「受け止めてみせるから……」 ミリィは杖を駆使して刃を呼び出しながら言う。そろそろこじりの身体を弄ぶのは止めて欲しいものだ。 「怒りも、悲しみも、その苦悩も。受け止めてみせるから」 放った刃よ、どうか届け。戦を奏で、鼓舞し、時には己の力で敵を射抜かんと。 所詮はどっかの誰かの感情の絞り粕の集まり、ならば話しかけたって無駄か。そう思ったものの、ノアノアの口は動く。 「結局大事なのは自分の心だろ?」 それで当たって砕けたらそれまで。星の数ほど人は居るんだから、きっと一番星だって見つけられるはず。 落としたインカムゲインは仮面を横一閃にひびを。更に。 「だああああ!!!」 咆哮したジースがGazaniaを振り上げ、縦に一閃。 「目を覚ませ! 負けんなよ!!!」 叩き斬った反動で、こじりの身体がよたよたと後方に下がった。 「……見えた!!」 ミリィが瞬きさえ忘れて見ていた仮面が、そげ落ちるのだ。思わず声をあげたミリィの声に、全員が仮面の動向を見守った。 それは十字に割れた般若の四分の一が消えれば、ピンクの右目が見えた。 「……うるさい、わ、よ」 耳元で大声あげないで、そう言いたそうなこじりの眼。 更にふるわれる腕鍛の魔氷拳。ほぼ同時に仮面が動き、身体をびくびくと不器用に動かす。 「これで、終わりでござるよ!!」 「ぐ、ぐううっうう!!」 直撃の魔氷。 ほぼ同時に放った、最後の念力。だが、それは絶対者には効かないって――。 ――光が見えた。 ブレイクフィアーだの、神気だの。ジャスティスキャノンだの。今となってはどれでもいいが。 「伝わったかしら? 愛っての」 途切れる意識でこじりが虚空に呼びかけた。反応は無い。 所詮寄せ集めの心の結晶体。その汚い部位。 「憤怒」 それは想いからの意志。 「嫉妬」 それこそ大きな愛の結晶。 「苦悩」 人を想う時間。 「どれも、必要な感情にはかわり無いわよ」 それで途切れた意識。 表の世界では、仮面は光に包まれて消えていった。 仮面の後ろの正面。三つの感情の手前には、愛が居たという事。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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