●(´・ω・`)ピックの裏と裏の裏 "追う者を追う奴"がいると、バランスが良くなるんじゃないかな。 ――――『バランス感覚の男』千堂 遼一 その未来視一杯に、男が映し出された。 筋骨は隆々として、その肌を流れる汗と汁が、細かい光の粒子をキラキラと反射させる。 純白の翼。 ビキニ一枚で、彫刻のように彫りの深い肉体を惜しげも無く晒し、首から下るネクタイが、さりげなく上品さと紳士さを醸し出している。 フロントダブルバイセップスで強調されたポージングのまま、滑るように空を舞う。尻は常にキュっと力を入れている。 まさしく芸術であった。 : : : 「炎天は~君のHeartのようにギラつくBarn♪」 NOBU(nBNE000006)である。NOBUが映る。 空は黄昏。NOBUの近くを(´・ω・`)を追ったリベリスタ達が通り過ぎる。 『三高平(´・ω・`)ピック』も終盤と見られ、オレンジ色の光が形作る影が、その既に祭りの後のような韻を見せていた。 「~♪ ~♪」 間奏に入って絶頂の余韻に浸るご機嫌なNOBUの後方から何かが見えた。 それは道を滑るように急接近してくる。 【音声のみお楽しみください ※大変気分を害される可能性があります】 『貴様、アリだな』 『生まれたままのような姿で、Excuse me。君は誰? Who are you?』 『此処は一先ず私に尻を貸さないか』 『ッ!?』 ――カチャカチャ ――ジィィィィ ――ずる、ぺろん 『NOooooooooooooAhhhhhhhhhaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!』 『きついが、やるしかない』 『GyaaaaaaaaaaaaaaaAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!』 『遠い、いや浅いな』 『Weyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy!!!!!!!!』 『じっくり見せて貰おう』 『...ramee』 『至福の内に果てたか。……早かったじゃないか』 『』 『ぬふぅ』 『』 ●差金 「変態め」 『運命オペレーター』天原 和泉(nBNE000024)の代わりに、"変態兵器関係の話"に詳しい参考人がいた。 「こいつは『旧きゲルニカ』干興院 キングパイルという」 また訳の分からない生き物が。 「恐山系列の企業と契約しているフィクサードで、弁えない杭打ち屋だ」 バランス感覚の男の差金なのかもしれない。 「和泉は?」 「そこでへこたれている。未来視だが、刺激が強すぎたらしい。やる義理は無いのだが資料は揃っており、軽く代打という訳だ」 見れば、隅っこでパイプ椅子に座って和泉が真っ白になっていた。 レポートや映像を編集しているうちに力尽きたのか。映像の所をモロに観たのかは定かではない。とかくに被害はNOBUである。 参考人が和泉をつっついたが、やはり反応は無い。 「既に何をすべきかは分かっているだろう。何処が杭打ち屋かは戦えばわかる筈だ。せいぜい頑張るんだな、リベリスタ」 「……見敵必殺……サーチアンドデストロイ。よろしく……お願いします。ぱたり」 真っ白になっていた和泉が、最後の力で弱々しく声を絞り出した。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:Celloskii | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年08月16日(木)22:12 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●ゲイジツ -Marvelous- というかどこが「まさしく芸術であった」なのだ!! ――――黄昏の田中フレイヤ魔女 「お客様の中にツッコミはおられませんカー」 『盆栽マスター』葛葉・颯(BNE000843)はあさっての方向を向いて、ツッコミ役を割と本気に探した。 今回の敵は、筋肉である。マッスルである。変態姿の、魔法が尻から出る、フライエンジェである。 「おっと今回は相手が突っ込むんだったねぇ、ってなにいわせんだョ」 何とも度し難い。――敵? 「男は度胸。なんだって試してみるのさ」 『いい男♂』阿部・高和(BNE002103)が、爽やかな笑顔とともに胸裏を語る。 「干興院のテクをじっくり観察して、AV男優としての技量を上げたいけん」 『人生博徒』坂東・仁太(BNE002354)が続いてセイセイセイッと高速ラジオ体操をしている。 ――味方も本物(ガチ)、であった。 「マジで男に変態しか居ないんだけどぉ!」 颯が真っ先にクライマックスに至る。 「い、いわゆる変態紳士ってヤツか、またとんでもねーのが相手だな……」 『デンジャラス・ラビット』ヘキサ・ティリテス(BNE003891)。じゅうよんさいおとこのこ。うさぎのびーすとはーふ。颯に「オレは変態じゃないぞ」と不服を述べながら、意志を塗り替える。 「どんな相手だろーと、オレは敵に後ろを見せたりなんかしねぇ! 正面から返り討ちだぜ!」 それがヘキサの最期の強がりになろうとは――「おいやめろ!」 「今回の敵は……帰っても良いですか?」 『おとなこども』石動 麻衣(BNE003692)はもう帰りたかった。 「どう見ても阿部さんや坂本さんの同類じゃないですか!」 NOBUが受けだとしても、攻めの方がアレ。見れば高和も仁太が、なにやら脱衣練習をしている。 「なんかこう……カップリングミスで……ちょっと、萌えないのです」 美青年同士なら良いが、あの相手では阿部さん向けだと考える。 ヘキサが、そういう問題なんだ!?と驚愕したように麻衣を見ていた。 「やっぱり想像するだけより、実物を見るほうがいいですからね!」 『┌(┌^o^)┐の同類』セレア・アレイン(BNE003170)は、瞬間記憶に一眼レフ備える。 「そしてその素材はとある祭典で販売したりする「薄い本」を作るのに役立てるのです」 拳を握る。逃すわけがない、このチャンスを。 ――腐女子(ガチ)、であった。 「これが腐海」 『ヴァイオレット・クラウン』烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)が呟く。 これまで変態兵器関係の事件を追ってきたが、これほどの変態は初めてだった。 変態は変態を呼ぶのか―― 「まさに変態兵器」 真顔で上手いことを言って颯を見る。颯が顔をそむける。 その横で『黄昏の魔女・フレイヤ』田中 良子(BNE003555)は真剣に悩んでいた。 ふっ、愚かなフィクサードめ。 この黄昏の魔女である我に貴様の討伐依頼がやって来たのが運の尽きだな。 待っておれよ、我が引導を渡してくれるわ! などと、色々がんばって口上を考えてきたが、何処で言っていいのか分からなくなっていた。 何処で言おう。 「それより、責任者出てこい! 我はこれ以上この場にいたらSAN値チェックするからな!?」 早くも心が折れそうであった。 「……すまぬ、将門。死ぬなよ」 SAN値直葬。 リベリスタ達は各々散開してNOBUを追跡した。 恐るべき事に『戦いは始まってすらいなかった』。 ●┌(┌^o^)┐<持て余す -Snake- 兎は淫獣。 ――――恐山派フィクサード『係長』 「というか、『係長』って誰なのだ!!」 良子が驚愕した。選ばれし者が授かる天啓を受けたのだと補完する。天啓なら仕方ない。 斜陽の中、リベリスタ達によるNOBUの追跡(snaking)が行われる。 高和はダンボールを被って、スパイのように本格派だ。 これより始まる戦いは仁義なきもの。刺すか刺されるか。ヌかりなどあってはならない。 「炎天は~君のHeartのようにギラつくBarn♪」 NOBUがTrickでTreatな呪文を唱和をした。 来るのか。 颯がチラっと路地へ顔を出す。 "アレ"が向こう側から『ずもももも』と迫ってきていた。 顔を引っ込める。見なかったことにしたい。 『旧きゲルニカ』干興院 キングパイル登場ッッッ! その顔は、バケツのようなフルフェイスのヘルメットを被っているッ! 顔の部分には"興"という文字がやたら達筆で描かれているッ! 「"興"味深い存在だ」 セレアが忍ぶような声を出す。麻衣が顔をそむける。 キングパイルが通り過ぎる。 リベリスタ達に気づかず、NOBUに迫る。携えるは立派な電柱。 「わぁおっきな電柱……てきとーな武器ダああああああああ!?」 颯が驚愕する。 キングパイルは変態電柱を地面に突き刺して、NOBUに躍りかかった。 「此処は一先ず私に尻を貸さないか」 「ッ!?」 キングパイルのパイルバンカーの如きものに神秘が集中していた。 NOBUに迫らんとした時、近くにあったダンボール箱がめくれ上がる。 肌色の影が躍り出て、NOBUとキングパイルの間に割って入る。 「お前、俺の尻の中に超接近巡航テレグラフポールを入れてみな」 阿部 高和であった。 激しい爆発音が響いた。 「アッーーーー」 キングパイルの一撃を背中で受けた高和は咆哮する。しかし高和は倒れない。顔は無意識に天獄状態にトゥギャザーする。 「アークにこんな奴がいたのか……新しい」 キングパイルは、乱入者に驚きながらも感嘆と賞賛でもって迎える。 電柱は使っていない。 「俺は超接近巡航テレグラフポールが良かったんだがな」 「後のお楽しみだ」 高和が一撃を受け止めると、リベリスタ達が布陣した。 ヘキサがチャンスとばかりに飛び出す。 渾身の業炎撃。 狙うはキングパイルの背後。人体の急所が集中する人中線を蹴りあげんと。 「この変態ヤロー……おぞましいモン晒――」 どかん、とキングパイルの背面より魔の奔流が発射された。 毒、出血、麻痺、不吉がヘキサを蝕む。 「嫌すぎるううッ!」 魔法が出た。紛れもなく、魔法が。 颯がはしゃぐ。 「うひゃっほい出た、ほんとに尻から出た!? じゃなくて、NOBU今のうちに逃げろ、モタモタしている暇は――」 「そうしたいのは山々なんだが、ベイビー……」 高和がガッチリとNOBUを放さないでいた。 「いや放せョ」 「まだ収まりつかなくてな」 高和が天獄状態の貌で返事をする。 「幕引きにはまだ早い」 キングパイルも応答する。 「……まあいーや」 諦めた。 諦めながらも超直観でガン見する。ソードエアリアルでキングパイルの背面をしごく。 ここで良子が圧倒的光景を前にして、涙目になった。 「何か尻から魔法が出るし何なのもうホント何なの、マグメイガスのイメージが台無しではないか」 涙目を堪えながら魔曲・四重奏を(手から)放てば、紳士に直撃する。 「をふう」 魅せつけてやろう! 黄昏の魔女・フレイヤ様の魔法をな! と胸裏の思う。 あまりの有様に、口上と胸裏が逆転していた。 続いて布陣を終えた麻衣が言う。 「冗談抜きで帰っても良いですか?」 ホーリーメイガスらしからぬ黒い物が、ゴゴゴゴゴとチラチラする。 四重苦に陥っていたヘキサが、「だ、誰かぁ……」と麻衣へ哀願の目を向ける。 しかし麻衣は状態異常が2人以上の場合にブレイクフィアーを使おうと考えていた。よって無視する。マジックアローを選ぶ。ヘキサの目に涙が溜まる。 「私は、もっと綺麗なものを見たいのです! コレジャナイ!」 麻衣の放ったアローは、キングパイルの大殿筋に突き刺さる。 「遠い、いや浅いな」 惜しかった。やや右下である。 他のリベリスタチームが(´・ω・`)を追って駆けてきた。 一瞬チラッとこちらを見たが、関わりたくないのか去っていく。 「成程。三高平には良くある光景だから、フィクサードが紛れ込んでも――」 セレアが考察する。考察しながら一眼レフでフラッシュをたきまくる。 インプットを終えた所で、セレアはキングパイルを威圧した。 「お前もフィクサードなら戦場で死ぬ覚悟はできているな?」 「無論、今この瞬間は、力こそがすべてだ」 キングパイルは高和と密着した状態のまま、セレアへ砲口――魔法砲の如きものを向ける。 「私は面倒が嫌いなの」 チェインライトニングが迸り、キングパイルを穿つ。 「おおおお!!」 エーデルワイスがB-SSで部位破壊を試みる。 「ぴっきーーん! こんな奴も先生の作品を持ってるのに!」 「お、お、お、おお」 連続した弾丸が部位に命中する。しかし砕けない。硬い。 「今や!」 何が? という女性陣のツッコミを飄然と無視し、仁太が飛び出す。 キングパイルのテクをじっくり観察していた仁太が、キングパイルの背に近接攻撃を加える。 「掘っとるんや、掘られもするぜよ。夢の3連結真ん中を楽しむとええで!」 ゼロ距離ならぬマイナス距離射撃。 爆発音が響いたような気がした。まだだ、再現には今一歩足りない。 肌で感じなければ、分からないモノがあるのか。 「良い腕だ。気に入った。これが私の破界器だ」 キングパイルは、高和と仁太に挟まれたまま電柱型破界器を引っこ抜くと、頭上で回転させた。 戦鬼の如き烈風。 高和と仁太は構えを解かれ、更に動きを封じられる。 NOBUにギリギリ当たらないのは幸いだった。 「大きすぎる……修正が必要だ」 セレアがなんかつぶやいた。 キングパイルは、悠然と中央からすり抜けた。 高和と仁太を、すんすんと鼻を鳴らし上体を揺らして何やら嗅ぐ。次にスッと直立して腕を組んだ。 「重厚な肉の後は、野菜に果物も摂取せねばバランスが悪い。そう思わないかね?」 キングパイルは、麻痺で動けなくなったヘキサを見る。 「ひぁっ……こ、こっち来んな! 来んなよぉ!」 「さくらんぼ祭だ」 どんな祭なのか。 ヘキサを吟味せんとキングパイルが迫る。 すんすんと鼻を鳴らし、へたり込んだヘキサをじっくりねっぷり――。 「ぷるぷる震えて、涙目というのもポイントが高いわ」 「ブレイクフィアーします」 「えー……」 本気で帰る所だった麻衣のブレイクフィアーが、ヘキサの窮地を救った。しかしセレアが残念そうな声を上げた。 ●黄昏の幻獣 -Sleipnir- 凄惨な有様が続く。 「きゃああああああ!?」 キングパイルの振るう電柱が、エーデルワイスの臀部にぶち当たった。 これは砕けたかもしれない。 しかし、リベリスタ達が計画した作戦は成功と言えた。 高和と仁太ならば『回復する』であろうという"賭け"は見事に成功と言えた。 あと、とりあえずNOBUは、高和が麻痺の時に頑張って逃げたらしい。 「馬鹿な……黄昏は、我の時間であった、筈」 キングパイルが高和を攻撃すれば、黄昏のオレンジ色に、ケンタウロスの如き影が落ちる。 仁太がそれに連なれば、6脚馬――スレイプニルが誕生する。 黄昏の幻獣。 黄昏の田中フレイア良子が、心折れて倒れ伏す。 うつぶせになりながら、しくしくと道路を濡らす。 「助けてママ……私もうめげそうだよ……」 颯が良子を棒きれでつっつくと、良子はうにうにした。 「変態と違って田中フレイヤは可愛いなぁ、田中フレイヤ芸名田中フレイヤ」 少し癒された颯が振り返って状況を見れば、スレイプニルを構成する三人の攻防は激しい。 「Suck it.(やらないか)」 「Mr.Kankyoin! You don't know the poooower of the Ark side(干興院ちゃん。お前さん、どうもアーク側のパぅワー♂ってものを知らんとみえる)」 「I love you.(ならば見せてみろ。貸さないか)」 幻聴が聞こえた颯は、頭を振る。 「No...No...Baroque Night(歪みしかないです)……あれ」 麻衣も彼の地に踏み込みかけて、ギリギリで頭を振る。 ブリーフィングの時になど無かった筈だ、こんな攻撃があるなど……。 「もう……帰りたいです……」 麻衣が項垂れる。 SAN値直葬が、容赦無く精神を汚染する。 このバッドステータスの様な何かは、ブレイクフィアーが効かない。 麻衣が備える複数のバッドステータス無効すら効果を発揮しない。 これまで回復役を担ってきた麻衣の限界が近かった。 「スレイプニル! なんてマニアックな」 一方、セレアは生き生きとしていた。 「もうキレた!」 ヘキサは近くに居た(´・ω・`*)を掴み、疾風の如く跳ねる。 「変態死ね! 氏ねじゃなくて死ね!」 キングパイルの魔法砲の砲口に(´・ω・`*)を据えて、ねじ込むように蹴っ飛ばす。 「何……ッ」 (´;ω;`*)が砲口に詰まり、魔法砲が不全化する。 「直接あの世までブッ飛べ!!」 じっくりねっぷりの嫌悪感を吹き飛ばすようにソニックエッジを放つ。 「お、お、お、おお、やるじゃないか少年! 良いぞぉ! 将来有望だ!」 「有望であってたまるか!」 仁太は、担当ポジションが塞がった為、一旦間を開けた。 顎に手をやって考える。 「……掘って、掘られて、掘り返せ」 仁太が後ろを向く。 「お互い楽しもうや! そのほうが楽しいで!」 「応じよう!」 キングパイルが迫る。 腰の動き、体のバランス、腕の使い方、息遣い。 すべてを取り入れ自分のテクと融合させて完成させるぜよ! という想いが胸裏を流れる。 「自分だけが楽しいんやとそのうち空しくなるけんんアッ―――!!」 電柱付きは一味違った。ついに仁太が逝く。 「俺は、お前と戦えて良かった」 高和がキングパイルの肩にねっとりした手つきで手を置いた。 「……ほう?」 立ち上がり、高和と熱い視線を交わす。 「おっと、褒めてるわけじゃねぇよ? 尻から魔法、そんな発想、今迄誰もしなかっただろう?」 高和が挑発的な姿勢で、背をキングパイルに向けた。 「色々な意味でさ、今度は俺の番だろ?」 キングパイルは解しかねる様子を見せる。 「今、俺が、ここで、尻で、このアーティファクトを咥えたら。その尻を武器に土砕掌を使う事もできるんじゃねぇか?」 数秒の沈黙の後、キングパイルが応ずる。 「故に得物を持っていなかったという事か」 「男は度胸! 何だって試してみるのさ」 「興味深い」 高和が自身の臀部をPANG☆とハタくと、キングパイルはゆるりと電柱を構える。 「うぉぉぉ雄雄雄!!」「アッーーーー!!」 爆発音、が響き渡った。 女性陣は何からツッコめば良いか解しかねている。 「騙して悪いが、今のは通常攻撃だ」 「フッ……腹ン中がパンパンだぜ……」 伏せた高和から得物を引き抜くと、キングパイルは黄昏に向けて歩き出した。 行く先を颯と良子が遮る。 「へ? あ、えーと……み、魅せつけてやろう! 黄昏の魔女・フレイヤ様の魔法をな!」 「アークに監視して貰え、わいせつ物」 キングパイルは腕を組みながら、顎に手をやり首を傾げる。 「ふむ」 キングパイルがふわりと、宙に高く高く浮き上がり、電柱型変態破界器に抱きつく。 「あ!」「へあ!?」 颯が咄嗟にソードエアリアルを見舞う。良子は魔曲・四重奏を放つ。 キングパイルに大きくダメージを与えるが、しかし墜落する様子を見せない。 電柱型変態破界器に備わるジェットエンジンより、ゴオオオと火を吐き出す。 「良かったよ。また会おう」 表情は分からないが、賢者の様に悟った声色となっている。 どひゃあ、と凄まじい加速でもって、キングパイルは上空へと飛び去った。 ●勝利 -All is Fantasy- 「作戦目標クリア、と。さ、帰りましょ?」 事を終えたセレアが、踵を返して路地を去る。 先ほどまでの有様など、夢や幻だったかのように、静粛が場を支配した。 任務は達成。 へにょりこんだ良子を引きずって、颯も去る。 麻衣は暫く動けないでいた。 道路を濡らすヘキサの涙目を見た事で、少し回復してへろへろ帰路につく。 皆が去り、仁太が腰を痛めた高和を背負いながら空を見れば、日は殆どが隠れている。 反対側からは(´・ω・`)のような真ん丸な月が、呑気に顔を出していた。 「……ふぅ」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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