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大乱闘! 農家スタイリッシュアーツ!

●農家の破壊力舐めんなよ?
 農家のおじいちゃんおばあちゃんがノーフェイス化していた。
 出オチかよと思ったアナタ、良く考えてみて頂きたい。
 荒れた土地をこんもりとした畑に作り替える鍬。
 稲だろうがなんだろうがバッサリ刈り取る鎌。
 それらが野外重労働によって鍛えられた足腰から放たれるのだ。
 だがそれだけではない。
 エリューション・ゴーレム化したコンバインが獣のような四足をとどろかせ、あなたを刈り取ろうと襲い掛かってくるのだ!
 もう彼らは農家などではない。
 そう!
 ――農家スタイリッシュアーツなのだ!

●オラの農土が開かれた
「農家って、すごいよな」
 『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)が大根片手にそんなことを言い出したから、皆はコイツ大丈夫かなって思った。でもよく考えたらいつものテンションだったからまあいいかとも思った。
「とある畑にノーフェイスとE・ゴーレムが出現してしまった。元々人の少ない土地だったからまだ被害は出ていないが、一般人が近寄ってきたら大変なことになりかねない。皆の手で倒しちまってくれ」

 敵の殆どはノーフェイス。
 鎌や鍬を初めとする農具を武器にしたおじいちゃんおばあちゃん達である。
 その数なんと10人。どこから沸いてきたのか、それとも似たような連中が集まったのか定かではないが、油断してたらたちまち収穫されてしまう戦力が整っている。
 そこへ加えてゴーレムコンバインが唸りを上げていると言う様子だ。
 なんとも凶悪な農家たちであろうか。
「だけどまあ、凶悪さならアークだってまけちゃいない。バシっと決めてやってくれ!」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年08月15日(水)21:02
八重紅友禅でございます
鶏の首かっ飛ばしても暫くは走ってるんやぜとか言いながら鉈でスパーンとやって見せるおじいちゃん。農家こええ。
補足はあまり要りませんかね。

●敵戦力
ノーフェイス農家10名。
ゴーレムコンバイン1体。
割と攻撃寄り、前衛よりの連中ですが、回復手段が無いって訳でもないようです。

●戦場
畑ですが。
だからって無理矢理飛んだり長靴穿いたりしなくていいですよ。別にペナルティつけませんし、リベリスタが現実の土ごときに足を取られるわけないですよ。だって格好悪いでしょう?
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
クロスイージス
アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)
ソードミラージュ
三条院・詩姫(BNE000292)
マグメイガス
二階堂 杏子(BNE000447)
ナイトクリーク
緋塚・陽子(BNE003359)
デュランダル
義桜 葛葉(BNE003637)
ホーリーメイガス
石動 麻衣(BNE003692)
レイザータクト
伊呂波 壱和(BNE003773)
クリミナルスタア
藤倉 隆明(BNE003933)

●THE・NOUGYOU
 いきなりこういうことを言うのもどうかと思うが、現在アーク・リベリスタの八人はコンバインと農家のおじいちゃんおばあちゃんとの死闘を繰り広るべく広大な田園風景の中を歩いていた。
 この先には、エリューションゴーレム化したコンバインと、ノーフェイス農家が完全武装で待ち構えているというのだ。
「違うベクトルで厄介な相手よな……」
 『宵闇の黒狼』三条院・詩姫(BNE000292)は若干斜め下を見つめながらそんなことを呟いた。
 やんわりと首を振る『おとなこども』石動 麻衣(BNE003692)。
「外見から気を抜いては行けませんよ。古今東西、決起した農民のパワーは計り知れません。使い慣れた鍬や鎌で襲い掛かるで襲い掛かる農民兵の恐ろしいことと言ったら」
「そう言う考え方をするなら手強いが……」
「こんな相手、スタイリッシュ(笑)にしてやりましょうね!」
「……いや、既に。いやいい」
 ぐっとファイティングポーズをとる麻衣に、詩姫は温かい視線を送った。小柄で内気そうな麻衣がやる気を出していると、なんだか微笑ましいものがある。
 そんな彼女の横で同じようにガッツポーズをとる『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)。
「農家は第一産業。その担い手をエリューション化するとは……国家への大打撃ですよ!」
「大打撃か?」
「日本からお米が無くなったらあらゆる産業が廃退しますからね」
「…………そうかもしれないな」
「昔、戦争で農民という農民を片っ端から斬り捨てて奴隷国化したという話がありまして」
「それはにわかに信じがたいですが……」
 などと、微妙に話題がそれかけて来た頃。
「所で、夏って何収穫できるんだっけ、スイカ?」
 緋塚・陽子(BNE003359)が完全に話題をそらした。
 今から死闘に挑む人間の会話ではない。
 陽子自身もそれに気付いたのか、一瞬だけ頭を巡らせてから皆の顔を見た。
「人様を収穫されちまうまえに、オレ等でノーフェイスを刈ってやろうぜ」
「その通りだ。我等は我等の仕事をするのみ」
 詩姫は目を光らせていたが、陽子がうまいこと言ったみたいな顔していたので、アラストールと麻衣は優しい顔で目を反らした。
 その一方。
「お爺さん……縁側でお茶を飲んでいるのが似合っていますのに……」
 『白月抱き微睡む白猫』二階堂 杏子(BNE000447)は頭部から生えた猫耳をしんなりと垂らした。
 つられるように背中を丸める『ヤクザの用心棒』藤倉 隆明(BNE003933)。
「ああー、なんか田舎の婆さん思い出してきた……」
「ううっ、こう言う方々にはいつもお世話になってますし、心苦しいです……」
 『番拳』伊呂波 壱和(BNE003773)も身体を小さくしてぷるぷると震えていた。壱和が震えていることくらいはいつものことだが、今回はちょっと申し訳なさそうな雰囲気である。
 ぐっと頷く『閃拳』義桜 葛葉(BNE003637)。
「本来ならば、高齢の方々に向ける拳は無いが……エリューション化してしまったのであれば致し方ない」
 顔を上げる四人。
 視線の先では、畑の真ん中で狂ったように畑を耕す農家老人達が見えていた。
 若干帰りたくなった。

●中国がかつて鉄の量産技術を封印していたのは得物製造の促進によって農民レベルで戦争が起こるのを恐れていたからだとされている。
 色々省略して戦闘風景。
 唸りを上げて突撃してくるコンバインを前に、杏子はしゃんなりと身構えていた。
 エリューション農耕機械コンバインは、普及と共に全国の農業を爆発的に発展させた革命的農耕具から生まれたエリューションである。その馬力と根性は並の自動車をゆうに凌ぎ、もはや重機のレベルへと達していた。
 華奢な杏子が受け止められる筈もないパワーだが……。
「今は、大人しくしていて下さいな」
 気糸の網を展開。コンバインを掬い上げるように包み込む。
 コンバインは牛のようにごうごうと唸りをあげ、気糸をぶちぶちと千切りにかかった。
「捕縛率は五割弱と言った所でしょうか……」
「それだけあれば十分です。後は私に任せて下さい」
 剣を抜いて突撃をしかけるアラストール。
 コンバインは鰐のようにボディ前方を開くと、内側に仕込まれたローラー耕作具を露出させる。土や稲をしっかりとつかんで正確な連続作業を可能とし、何十年と使い続けられるそのパーツは、牙が並んでいた方がまだましだという程に獰猛かつタフな凶暴さをもっていた。
 しかも間の悪いことに気糸を引きちぎり、再び網にかけようとした杏子のトラップネストをも掻い潜ってアラストールへとくらいついたのである。
「くっ……貴様か! 農家のお歴々をノーフェイスに変えたのは! この国の農家に代わって成敗してくれる!」
 アラストールは鞘をつっかえにして耐え凌ぐと、コンバインの口内を滅多刺しにした。
 ローラーを逆回転させて彼を吐き出すコンバイン。アラストールは畑を転がりつつ体勢を立て直した。
「こちらはいつまでも持ちません、皆さん急いで!」
「は……はい!」
 壱和はぎゅっと拳を握ると、ノーフェイス化した農家人たちへと向き直った。
 想像できるだろうか。鬼気迫る表情の老人老婆の集団が手に鍬や鎌を持ってじりじりと迫ってくる光景を。
 老人だからと侮るなかれ。農作業で鍛えた脚腰と普段からたらふく食ってたらふく動く彼等のスタミナはその辺のサラリーマンの数倍と言われ、長年蓄えられた知識も相まってちょっとやそっとで倒せる相手ではないのだ。
「い、いつもありがとうございます! でもそんな鍬や鎌でボクたちが収穫できると思っているんですか! あとピーマンは無理ですごめんなさい!」
「好き嫌いをするんでねぇ!」
 両手に鎌を持った老婆が回転しながら飛び掛ってくる。
 右からは鍬を担いだ老人が高速ジグザグ走行で急接近し、左からは軍手をしっかりと嵌めた巨漢老人が突撃をかけてくる。
 壱和はもうこの時点で『あ、ボク死んだ』と思ったが、幸か不幸か壱和のアッパーユアハートで引き付けられたのは10人中3人程度。命中率の関係もあってそこまで相手を惹きつけるには至らなかったようである。
「ご、ごごごごめんなさい人参もちょっと無理で――」
「下がって居ろ壱和!」
 巨漢の突撃をクロスした腕で受け止める葛葉。
「ご老体、手加減はせぬゆえ……お覚悟を」
 腕を広げる動作で相手のボディを抉じ開けると、捻じり込むように魔氷拳を叩き込む。
「ぐううっ!?」
 ただの一発でたちまち薄氷に覆われ、身動きを封じられる巨漢農家。
 葛葉の強みは何と言っても攻撃の確実性にあった。凍らせるとあれば確実に凍らせ、飛ばすとあれば確実に飛ばし、連打するとあれば確実に叩き込める。近接打撃系のリベリスタには珍しく基本徒手格闘と言う所も彼ならではだった。
「義桜葛葉、推して参る!」
 凍結した巨漢農家の目の前でゆうゆうと構えを変えると、凄まじいまでの連続パンチを相手の腹に叩き込み始める。
 いかなタフネスに優れた農家であろうとも彼の連打を前にしていつまでも立っていられる程ではない。
 膝から崩れ落ち、畑に身体半分を埋めた。
「おのれ、農業を軽んじる若者め。貴様が食べるパンもお握りも木からなるものではないのだぞ!」
 鍬を縦横無尽に振り回して突っ込んでくる農家老人。
 対して隆明はフィンガーバレットで牽制射撃を打ち込む。
 しかし老人のジグザク走行を前に一向に当たる気配はない。
「その程度か若者よ、芋掘りすらせぬ世代よ!」
「いや、俺はやったぞ!」
 急接近してきた老人を拳で迎撃。
 しかし鍬の強烈な打撃は隆明の脇腹に深刻なダメージを与えた。
 鍬のダメージは割るでも斬るでもなく穿つことにある。肉や骨を押しのけてざっくりと穿たれた巨大な鉄塊、そう考えればよい。それを脇腹にくらってしまった隆明の心境たるや……!
「だ、大丈夫ですか!?」
 麻衣が後ろから回復をかけてやる。もとより神秘性能の高い麻衣である。隆明が受けたダメージ程度、一発でリカバーできる回復量はあるのだが……。
「よそ見してるんじゃあないよ!」
「ひ――!?」
 鎌を両手に振り上げた老婆が飛び掛って来て、麻衣は思わず喉を鳴らした。
 こういう時に回復担当が気を付けなければならないのは、仲間を回復するタイミングでも、回復に用いるスキル選択でもない。自分に降りかかる攻撃をいかに凌ぎ続けるかなのだ。
 その点麻衣は慎重で、防御や精神・麻痺無効にスペックを振ることで相手の回復封じに対応していた。
 とはいえ振っていたのはスペックだけである、実際どういう風に凌ぐかが割と本番任せというのが欠点であった。
「麻衣さん伏せてぇ!」
「言われなくてもっ!」
 涙目でディフェンサードクリトンを送ってくる壱和と、必死に眼前に魔力縦を翳す麻衣。
 しかし翳した魔力盾が空中でドリルのようにきりもみ回転する老婆鎌に削られていくのだから恐ろしい。
 盾が物凄い音を立てて抉れていく。
 もうだめかと思ったその時……。
「汝らに恨みは無いが――」
 ヒュン、と光の筋が奔った。
 筋が宙で湾曲し、老婆の首にひっかかったかと言う所で急に収束。漸く鋼糸の形をとって老婆の首をびしりと断絶した。
「その首……頂く」
 血を吹き出して畑に顔から埋まる鎌老婆。
 見上げると、詩姫が手元にブラックコードを戻している所だった。
「ありがとうございますっ」
「経験が浅いゆえ、あまり助けられぬ。なんとか凌げ」
「……やってみます」
 他のメンバーに比べて経験の浅い詩姫は、一度の攻撃を外してしまわぬよう集中を三回ほどかけてからヒッタンドアウェイで攻撃を繰り出すようにしていた。そうすれば命中率も十分にとれる上、クリティカルを狙える目も出てくる。急な反撃をくらう危険も、多少ではあるが防げるのだ。地味ではあるが大事な戦い方である。
「なーにケチなこと言ってんだ。がしがし狩るぜぇー!」
 空中を自在に飛行しつつ、陽子が鎌をぶん回して突撃してくる。
 どこを狙うつもりかと思ったが、農具を手に飛び掛ってくる老人達を空中で次々にぶった切って行くためだった。
 命中率に不安があるので連撃スキルが若干活きにくくはあるが、一発の打撃はかなりのものである。
 陽子の鎌は次々と老人の首を刈り取っては畑に転がしていく。
「おらおらおら、収穫の時間だおじーちゃんどもお!」
 最後の一発とばかりにお握りを風呂敷一杯に担いだ老婆の首を掻っ切ると、陽子は肩に鎌を担ぎ直す。
「さて残りはぁ……っと」
 くるりと振り返る陽子。
 二人の農家老人が、先刻の老婆から受け取った握り飯を一心不乱に平らげていた。
 親指をぺろりと舐め、鍬を担ぐ坊主の老人。
 柄を綱で結んだ二本鎌を構える小柄な老婆。
 彼等はこれまでの農家老人とは一回り上の戦闘力を持っている……ように思えた。
「こっからが本番だぜ」

●ラスト・ノーカ
「イイイイイイイイヤァ――!」
 鍬を握り、独楽のように高速回転しながら縦横無尽に飛び回る禿老人。
「くそっ、ちょこまか動くんじゃねえ!」
 なんとか対応しようとフィンガーバレットを乱射する隆明だが、一向に当たる気配が無い。気づけば背後に回り込まれ、鍬に脇腹を思い切り抉られた。
 抉られた、という表現ではやや正しくない。
 人体の一部がまるごと掬い取られたと表現すると正確だ。
 隆明の意識は一瞬でブラックアウト。
 盛大に血をまき散らしてその場に倒れた。
「隆明ちゃ――んぐっ!?」
 咄嗟に身を乗り出した麻衣だが、彼女の首に綱がぐるんと巻き付いた。先端に結ばれた鎌が一周して背中に突き刺さり、綱を完全に固定しにかかる。
「お米を食べな。レーションなんかで済ますんじゃないよ!」
「で、でも時間の無い時は」
「おだまりぃ!」
 綱を勢いよく引っ張られ、麻衣は思わず宙へ浮く。そのままきりもみ回転しながら血をまき散らし、うつ伏せに畑へ落下する。
「う……っ」
 こてんと意識を失う麻衣。
 次の得物を求めて暴れ始める老人老婆を前に、杏子はやはりしゃんなりと立っていた。
「あまり興奮すると、ぎっくり腰になりますよ?」
 ついと手を翳し、魔曲・四重奏を発射。
 連続で撃ち出された神秘弾が鍬を振り回す老人の足と腰に命中。動きを奪った上で腹へ強烈な連打を撃ちこんだ。
「ぐぬう……!」
 その場に崩れ落ちる老人。
「壱和さん」
「はい茄子もちょっと!」
「ではなく」
 自らへ飛来する鎌を片手で掴み、対抗して気糸を発射する杏子。
 老婆の首や腕に巻きついた気糸が動きを拘束し、その場に膝をつかせた。
「今です」
「わかりました、ありがとうございます!」
 壱和は直角に頭を下げてから、チェインナックルと鎖式木刀を両手の拳に巻きつける。
「喧嘩の仕方、教えます!」
 壱和は素早く老婆の近くまで接近すると、相手の動かせないヶ所を狙いすましたようにパンチを連打。
 蹲った所にアッパーを叩き込んでやった。
「農家の皆さん……ごめんなさい!」
「これが、若さ……!」
 老婆は口から血を吹き、もんどりうって倒れた。

 残すところ敵はひとつ。
 馬力とタフネスを誇るエリューション・コンバインである。
 もはや鉄の獣と化したコンバインは畑を縦横無尽に駆け回り、アラストールに突進や喰らい付きといった獰猛な技を次々と繰り出していった。
 だがアラストールとて防御に秀でた騎士である。壱和のディフェンサードクリトンや自らのパーフェクトガードも相まってちょっとやそっとの打撃ではびくともしない。
 だがそんな彼をもってしても耐えきれない程の打撃を、コンバインは繰り出していた。
 恐るべきは研究し尽くされた農耕技術。如何なる荒地であろうと畑に変えてきた人類の知恵。鉄壁のアラストールですら枯れた土に鍬を立てるようにコツコツ削って行く様はまさに日本の地道な農業精神であった。
 だが、そんな開拓作業もここまでである。
「――」
 音にならぬ音がしたかと思いきや、駆け回るコンバインの眼前に一本の糸が奔った。
 糸はまるで意思を持つかのようにぐにゃり歪み、幾本もの残像を残しながらコンバインの一部をばっさりと刈り取ったのである。
「農家の老人達は片付いた。我も手を貸すぞ」
「ありがたい」
 一瞬姿を見せたかと思うと、素早く飛び退いてコンバインの体当たりから逃れる詩姫。
 代わりに、葛葉がコンバインの目の前に立っていた。
「この大きさではブロックは無理か。だが、足止めはできる」
 突進してくるコンバインを正面から殴りつける葛葉。
 常人であれば腕が拉げるところであるが、彼は違う。
 コンバインの全面がべっこりと凹み、その部分を中心に全身を凍りつかせたのだった。
「今だ、やれ陽子!」
「アァッ!? お前折角急に出てきてインパクト出そうと思ったのに何予告してんだ!」
 上空。
 双翼を広げ、大鎌を高らかに振り上げた陽子が、通常の落下スピードよりもさらに早い速度でコンバインへと急降下。
 天井部分を鎌で貫通し、返す刀で座席とエンジン部分を一気に抉り取る。
 コンバインにも痛みはあるのか。エンジン音と咆哮が混じったような声で唸りを上げた。
 その様子を見つめ、剣を正眼に構えるアラストール。
「食卓で、いつも感謝しております。美味しいお米にお野菜を――ありがとう!」
 全力で振り下ろされるリーガルブレード。
 輝きと共にコンバインは左右真っ二つに割れ、転倒。
 エリューション・ゴーレムは巨大なスクラップと化したのだった。

●若者よ、お米を食べろ。
 畑からやや離れた野にて、手を合わせる葛葉。
「任務完了」
 その横で詩姫は瞑目し、すぐに姿と気配を消した。
「お年寄りの扱いは、難しいものですね」
「……そうだな」
 杏子の声に振り向く葛葉。
 そこには、ぐったりした隆明や麻衣を荷車に乗せたアラストールがいた。パクってきたのかとは、あえて言わなかった。
「農家のおじいちゃんか……」
 応急処置を終えた壱和と陽子がやってきて、畑を振り返る。
「恐かったですね」
「……」
 彼等は黙って空を見上げる。
 田畑の香りに混じって、蟲や蛙の声がした。
 平和の音だ。
 そう思い、彼らは帰路につくのであった。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
お疲れ様でした。

農業はアバウトな力仕事なので、気づけばどんどん身体ががっしりしてくる。
そう、農業に携わっている知人の女性が言っておりました。
殴り合ったら負けるな、って思いました。