●世界を越えて 「不味いわ……正直、このままじゃ」 「ああ、押し切られる」 不安げな声に、落ち着いた声が応える。 会話をしているのは、ロボットのような姿をした2体のアザーバイドだった。 周囲には他に4体の人型に似た機械のようなアザーバイド達が陣形を組み……1体の巨大な、機械と恐竜を混ぜ合わせたような存在と対峙している。 その怪獣のような存在もアザーバイドだった。 ロボットたちと機械獣は、戦いの最中に偶然開いたホールによってこの世界に迷い込んだのである。 その穴は、今も戦っている戦場の上、空に開いたままだ。 「けど、何であいつはあれだけの力を出せるんだ!?」 赤色を主とした塗装のボディをしたアザーバイドが、怒ったような焦ったような様子で叫ぶ。 「……恐らく、この世界の存在を取り込んだんだと思う」 少し口ごもる感じで、緑色のアザー……ロボでいいや、もう。ロボットが口にした。 「なら、俺たちも」 「けど、無理にそんな事すればその存在が消滅してしまうかもしれないんだよ!?」 青のロボの言葉を遮るようにして、緑のロボが興奮した様子で口にする。 「だからと言って、このままじゃっ負けるのを待っているだけだぞ?」 「……そもそも我々が長時間存在するだけで、この世界に負担を掛けてしまうかも知れん」 青のロボが言い、敵から目を離さないようにしながら黄色のロボが難しそうな声を出した。 「せめて僕たちの意思を理解し、協力してくれる存在が居れば……」 「そんな都合の良い存在がいるわけないだろ!」 「まさに、絶体絶命……フフ、フフ、フフフフ……」 「だからお前、ブラックッ!?」 「せめてこの世界に、カレーがあれば!」 「イエローもぶれないよね……」 そんな会話を遮るように、巨大な金属の尾が唸るような音を立てて空気を薙ぎ払う。 「「「うわっ―――――――っ!!!??」」」 直撃を受けたロボットたちは、岩山に叩き付けられた。 ●心と想い、重ね合わせて 「アザーバイド同士が戦ってる。このままだと崩界が進む可能性がある」 そう言って『リンク・カレイド』真白・イヴ(nBNE000001)は、スクリーンにアザーバイドたちのデータを表示させた。 6体というか6機と呼ぶのが相応しい雰囲気の、外見は似ているがカラーリングが異なる機械的なアザーバイド達が表示され、それとは別に1体、恐竜、ティラノサウルスの半分くらいを機械で作ったような外見のアザーバイドが表示される。 「戦っているのは、6機の人型ロボットみたいなアザーバイドと、半獣半機のアザーバイド」 このまま戦い続ければ、機械恐竜型のアザーバイドが勝利し、さらに周囲が破壊されるのだそうだ。 「ロボット型の方はそれを阻止しようとしている。それだけじゃなくて、この世界に被害を出さないようにという意思も持っている」 ただ、残念ながら機械獣を倒すだけの力が出せない。 「そう、ロボット達はかなり強力な力を持っている。ただ、この世界でその力を発揮できていない」 もしその力を発揮できれば、機械獣アザーバイドを倒せる。 「みんなには、ロボット型アザーバイド達と協力しての、機械獣型アザーバイドの撃破をお願いしたい」 イヴはそう説明した。 「ロボットたちは皆に対して友好的だし、この世界の言語を理解する能力を持つ個体もいるからコンタクトは難しくないと思う」 ロボットたちの力を引き出すのも、難しい事ではない。 「協力するという意思を持ち、相手に伝えるだけで大丈夫。それでロボットたちは皆を1人ずつ取り込む形になる。プロテクターのパワードスーツとかを更に大きくしたような存在だと考えてもらえば問題ない」 ロボット達の大きさは数メートルはあるが、中に乗り込む者たちの動きや意思をそのまま受け取って動くため、操作のような事をする必要は一切ない。 「あとは、全員で力をあわせて戦えば、きっと機械獣型に勝てると思う」 本来の力を発揮できれば、そしてその力を合わせられれば、ロボット達は機械獣を撃破できるだけの力を持っているという事なのだろう。 「あとロボット達にも個性がある。気の合う人が乗った方が力をより発揮できると思う」 イヴはそう言ってロボット達の事を更に説明した。 全てのロボット達は飛行能力に加え、合体、搭乗した者の能力を再現し、自身の力と合成する力を持っている。 「あまり難しく考えずに、ロボットに乗ってるけど、いつもと同じように戦えてスキルも使えると思っててくれれば問題なし」 それ以外に6機のロボたちにはそれぞれ特徴がある。 「赤がメインカラーのロボは、窮地に陥っても更に力を振り絞れる可能性を持っている」 また、熱く真っ直ぐな心の持ち主と合体した場合、物理と神秘両面での攻撃力が更に向上するようだ。 「青がメインカラーのロボは、クールな感じで皮肉っぽい事も言うけど、心の内では仲間たちの事を大切に思ってる」 同じ気持ちの者が搭乗すれば、命中と回避の能力が上昇する。 「緑がメインカラーのロボは、スキルを使用する力を少量ずつチャージしてくれる。あと、タワー・オブ・バベルに似た力も持っているから、意思の疎通には大きな役割を果たしてくれると思う」 仲間を想う優しい心の持ち主で、同じ心を持つ者が乗る場合、物理と神秘に対する防御の力が上昇するらしい。 「黄色がメインカラーのロボは、カレー好き」 カレー好きな人が乗った場合、物理面での攻撃と防御の力が更に高まるようだ。 「黒がメインカラーのロボは、神秘の力を使っての遠距離攻撃が可能っぽい。あと、 ハイテレパスに似た力を使える。細かい会話的なものは難しいけれど、気持ちを伝えあうみたいなのは大丈夫だと思う」 こちらは、ちょっと電波っぽい人が乗り込んだ場合に神秘に関しての攻撃の値が大きく上昇するらしい。 「桃色がメインカラーのロボは、神秘の力を使って個体のダメージを治療する能力を持つ」 そしてヒロイン属性の者が共に戦うなら、異常や戦闘不能を回避する能力が向上する。 「ちなみに属性は性別を凌駕するらしい。女の人である必要は無いみたい」 説明を終えると、少女は目の前のリベリスタ達を見回した。 「ロボたちの力を発揮できて力を合わせられれば、必ず勝てる。大丈夫」 だから、がんばってきて。 そう話を締めくくって、イヴはリベリスタ達を送り出した。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:メロス | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 6人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年07月05日(金)22:46 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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●戦士たちの邂逅 「うん、異界の者達との共闘、これはなかなかいい物語(ロマン)だな」 竜ヶ崎 恋(BNE004466)は呟いた。 「新感覚ヒロインも誕生するし面白いと思うだろう?」 そう言って向けた視線の先には、『墓掘』ランディ・益母(BNE001403)の姿がある。 「うん」 (ノリでピンクでも良いって言うんじゃなかったぜ、フフ) 以前に冗談で作ったフュリエの衣装を着たランディは遠い目をしながら、そんな事を考えた。 とはいえ、一度決めた以上は! ……そう、決めたのだ。 とにかく社会的フェイトを使用した状態で、彼は半身だけ作ったようなポーズをしてみせる。 「フュリエじゃなくてバイデンでーす☆ミ」 半呼吸。 「……誰がバイデンだ貴様ァ!!!」 勿論そんな事はしているが、本来の目的を一行は忘れていなかった。 (飛行してんなら、アイツらに視線は通りやすいはず) 『男一匹』貴志 正太郎(BNE004285)は仲間たちと共に戦いの場へと急ぐ。 思うところは色々ある。 敵が取り込んでるのはEビーストあたりか? 20mクラスのデカブツって意外と多いのか? 今回のデータ集めればアークの武具開発の役に立つか? だが…… (そういう事は、今は頭の片隅に置いておく!) 「まさか、現実でロボに乗れる日が来るなんて夢にも思わなかった!」 『立ち塞がる学徒』白崎・晃(BNE003937)は仲間たちと駆けながら、いつもより高揚した様子で口にした。 「任務で夢の中では乗ったことあるんだけどな!」 興奮気味ではあるが、アクセスファンタズムの操作等、行うべき事を忘れてはいない。 (ロボットに乗って戦えるとか超アツいじゃん!) 「こっちの世界に居てくれればいいのにな」 『墓守』ノアノア・アンダーテイカー(BNE002519)も急ぎながら、そんな感想をこぼす。 「すぐにオレたちが駆けつける! もう少しの辛抱だ」 ハイテレパスを使って叫びながら、正太郎は駆け続けた。 オレたちには『運命の加護』がある。 (そして、不屈の意志がある!) 「取り込まれても、消されちまったりはしねえ」 響いてくる激しい音と共に、木々の上へと巨大な姿を現している半獣半機のアザーバイドの姿が急ぐリベリスタ達の目に映った。 その周囲で戦っているロボット達に向かって、正太郎は叫んだ。 「オレたちが、この世界でのオマエらのフェイトになってやる!」 ●仕切り直しと行こうか! 「協力者……いるさ、ここに都合よくな!」 力の限り、声を振り絞るようにして、晃はアザーバイド達へと呼びかけた。 万華鏡とイヴのお蔭で、事情はよく知ってる。 「俺達が力を貸せば勝てる……だろ」 「君達は、一体……いや、そもそも何故そのことを!?」 リベリスタ達にロボット達は驚いた様子で、数機で巨大機獣への注意も行いながら距離を取った。 「ハッ、絶対絶命のピンチに颯爽と登場。異世界のレディー、もう安心しな」 この瞬間から、俺達の逆転劇だ。 激情は内に秘めたまま、『雷臣』財部 透(BNE004286)はクールな態度で冗談めかして、ロボット達へと呼びかける。 (理屈も理由も何もいらねえ、熱いヤツってな、目を見ればわかる!) 「男と見込んだッ! オレと一緒に戦え!」 正太郎もテレパス能力を使用して自身の真っ直ぐな想いをロボたちへと叩き付けた。 晃が彼らの想いを補足するように、グリーンを基調としたカラーリングのロボへと呼びかける。 「まさかそんな事が……けど、それなら説明の必要もないね? ありがたいよ」 グリーンはそう言うと、他のロボット達へと話しかけた。 短い遣り取りの後、6体のロボット達は一斉にリベリスタ達の方を向く。 「宜しく頼む」 「此方こそ、助かるよ」 短く言葉を交わした晃はグリーンへと乗り込むと、そのままアクセスファンタズムを利用して皆との通信回線を開いた。 「おい、オマエの名前はなんていうんだよ?」 赤い機体に向かって、正太郎は呼びかけた。 色で呼ぶのも他人行儀だ。 「よっし、ボトムでの名前をつけてやんよ」 そう言ってほんの少しだけ考え込んで、閃いた名を少年は叫んだ。 「オレがクリミナルスタアだから、オマエは……『クリムゾンスタア』だ!」 「『クリムゾンスタア』か、いい名だ。それじゃ、お前に預けるぞ! 正太郎!!」 「応ッ!!」 赤いロボの内へと正太郎も取り込まれる。 「ということで、イエロー殿、お前には己が乗り込ませてもらおう」 恋は黄色の期待に声を掛けた。 「己がどのくらいカレーが好きか、語ってもいいんだが闘いが終わってしまうからな」 代わりに持ってきた2種類のカレーを差し出してみせる。 「おお……これは、流石と言うべきか」 「どうだ、カレーの香りでやる気が出るだろう?」 (戦場に二種類のカレーを持ち込んでるくらいだという点で察してもらいたい) そう思っていたが、やはり言葉にせずとも伝わったようである。 「では腹ごなしも兼ねて戦うとしようじゃないか」 ちなみに言葉にせずとも……という点ではブラック達も相当と言えるかも知れない。 「ふっふーん」 機嫌よさそうにロボに乗り込んだノアノアは、次の瞬間、表情を変えた。 「この乗り心地……まさかお前は」 「まさか、アナタは……」 ふたりの間で、何かが始まる。 「ロボットの操縦ってやってみたかったんだよな」 (身体動かすだけなのはある意味いつもと変わらんが) 「機械のねーちゃんも宜しくな、で、俺のカッコについては突っ込むな」 「え? どうして?」 「頼むから!」 「よく分からないけど、了解。それじゃ、よろしくね?」 頷くと、ランディは深呼吸した。 (呼吸を合わせるべくヒロイン、ヒロインになるのだ) 「俺がヒロインって……もうヘロインでも何でもいーわ!」 「大丈夫、貴方にはヒロインの素質があるわ」 本当なのか如何かはともかくとして、ランディに合わせるように機械の体が動き始める。 「ってわけでよ、そこの青の紳士さんよ。俺を乗っけてみねえか?」 透はブルーにそう提案した。 「このまま負けるの黙ってみてるわけにはいかねえだろ? いかねえよなぁ?」 クールならクールらしく。 「慎重だからこそ、本当になにが必要か判断できるはずだぜ?」 「そうだな、お前となら……少し楽しめそうだ」 青い機体はそう言って、片手をあげて応じて見せた。 ●フルスロットル!! 「行くぜ、相棒!」 全身に力を籠めながら、正太郎は叫んだ。 「男一匹、貴志正太郎」 (今日は、オレとオマエで一心同体だ) 「行くぜ、行くぜ、行くぜ! 仁義上等! 喧嘩上等!! 真っ直ぐ行ってブッ飛ばすのが、オレたち流だ」 赤い機体が加速し、巨大機獣へと接近し始める。 「正太郎、レッド、あまり突っ走りすぎるなよ?」 そう言ってから、透はブルーへと通信を送った。 「いくぜ、異世界の相棒。暴走するあいつに合わせて戦うのがいつものお前のスタイルだろ?」 そう言うと、苦笑いが自然とこみ上げた。 「ハッ、俺んとこも似たようなもんだからな」 「そうか、お互い苦労するな」 何かが含まれた同意に、透は思わずシンパシィを感じ笑いを深めた。 何となくわかる。 今、自分とこのロボはきっと、同じような表情を浮かべているのだ。 そんなやり取りの間を突き抜けるような形で、真っ先に巨大機獣へと仕掛けたのは、ランディの駆るピンクの機体だった。 「俺が悪ノリしなきゃ……否、お前らが来たのがそもそも悪ぃんだよ!」 自らと不条理への怒りを爆発させる彼の動きをトレースするように構えを取った機体の腕に、エネルギーが収束され、巨大な光弾が生み出される。 「不幸な気分になったぞ! 死ね!」 発射されたエネルギー弾が直撃するのを待たずに、ランディは攻撃を仕掛けていった。 機体の腕に巨大な斧が握られ、武器にエネルギーが注ぎ込まれ、オーラが刃を覆ってゆく。 「ランディさんはピンクか……」 その光景を見ながら、透は呟いた。 (なんかすげぇ面倒見よさそうなんで、意外とお袋パワーって意味であってるかもな) 「お袋がピンクかどうかは別として」 そこで気持ちを切り替え、彼はロボを前進させ機獣との距離を詰めてゆく。 「防御の俺と回避のお前が合わされば、どんな攻撃も怖かねえぜ」 全員余裕で守ってやろうぜ? 「この程度の攻撃なんざ俺達だけで十分だってな」 そう言って全身に破壊の闘気を巡らせると、透はその闘気を一気に爆発させた。 距離を詰めたブルーの腕から放たれた一撃が機械獣に命中するのと同時に、激しい爆発が起こる。 思い切り見えを切った正太郎は、自身の、クリムゾンスタアの拳に全てを籠めて、機獣へと叩き込んだ。 繰り返される強烈な打撃に、機獣の装甲が次第に歪み始める。 晃はグリーンと共に前衛で戦況を分析し続けた。 壁役と同時に彼は自分の力をグリーンへと伝え、機械獣の特殊な攻撃によって発生する異常を解除すべく立ち回る。 ロボに乗ってもクロスイージスの立ち回りと、誰かを守る思いが変わることはない。 もちろん通信を介した通訳や連携へのフォロー等も怠らない。 もっとも、巨大な機械獣は、ただ一方的に打ち据えられるだけの存在ではなかった。 巨大な尾が地面近くで振り回されれば無数の大木もろとも大地が引き裂かれ、体の各部に取り付けられた砲台は絶え間なく6人6体を狙い続ける。 「わりいな、異常は効かねえ体質だぜ」 それを物ともせず、正太郎は拳を振りかぶった。 絶対者としての彼の力はクリムゾンスタアに伝えられ、真紅の機体は砲撃に怯むことなく機獣の体を打ち据える。 (まあやることは単純なんだがな、己の場合) 恋は全身に闘気を漲らせると、竜の爪と名付けられた大鎌に注ぎ込んだオーラを雷へと変換させた。 狙いを定め放つ渾身の力を込めた斬撃が、機獣の装甲にぶつかり激しい音を立てる。 「驚くほどシンプルだろう? だがな、そのシンプルさがいいんだ」 自分にできる事は、これだけだ。 「カレーにたとえるなら、そうだな……ビーフカレーだな」 「ほう、それがこの世界のスタンダードか?」 頷いて、恋は狙いを定めての攻撃を繰り返した。 「己は己の出来ることをやるだけさ」 そう思えば、不安も何もない。 「クッ、今の一撃で大分やられちまったみたいだな……ヘヘ、でもよ、お前となら……何処にだって行ってやるぜ!」 「フフ、テンション上がってきたみたい……なんて言ったらドMの変態。でも、それも好いとか思う……」 ダメージが大した事ないのか気にしてないのかは分からないが、この際それは、ノアノアにはどうでも良かった。 そういう気分にさせてくれてるのかも知れない。 とにかく、何処までも行ってみよう。 (攻撃は最大の防御という) 「と言う事は防御は最大の攻撃」 つまり! (神秘攻撃は最大の物理攻撃となるッッッ!!) 「受けてみろ! 尖った角っこでの殴打ッッッ!」 ノアノアの叫びと共にブラックが何かを振りかぶり、機械獣の装甲へと叩き付けた。 ●すべての心、ひとつに合わせて!! 6機は通信によって連絡を取り合い連携しながら巨大な半機の獣と戦っていた。 ある程度暴れたせいかランディも落ち着き、今は損傷が激しい味方を庇いながら戦っている。 武器にエネルギーを蓄え一撃を放つと、ピンクの機体は一旦敵を弾くようにして距離を取った。 「こういう時はお約束の合体技って奴があんだろ?」 号令頼むぜと、彼はレッドに声をかける。 「1+1が2を超える、それを見せてやろうじゃないか」 恋もそんな通信を入れてみた。 「どうだ? 異世界の相棒、即興で息を合わせて……ってそんな事できるわけねえって思ってるだろ?」 透はブルーに通信を通して呼びかけた。 「まあここは俺ら苦労人の見せどころだぜ? 繋がんねえのを繋げるのが俺達の役目だ」 「……やれやれ……ま、あっちもやる気になってるみたいだしな……いくか?」 青い機体のカメラが、正太郎とレッドの方へと向けられる。 「6人と6機、全ての心を、ひとつにするんだ!」 正太郎が叫んだ。 オレたちの願いは、この世界を守ること。 「その思いだけを一つに、魂と体を機体を重ね合わせろ!!」 最後は派手に、ブッ飛ばす! 渾身の力を込めた一撃を、クリムゾンスタアは機械獣に叩き込んだ。 「誰かを守りたいと心の底から思ったその瞬間、俺達が最強だ!!」 「行こうか、晃!」 グリーンの具現化させていた晃の武器に、破邪の光が宿り始める。 迷い無き思いと守護の力を破壊力に変える一撃こそ、リーガルブレード。 「二人分の心と力を乗せて思いっきり叩きつける双鉄扇に壊せないものなんてない!」 気迫の篭った声と共に放たれた重い一撃が、機械獣の装甲を大きく歪ませた。 雷撃を発する恋の一撃がイエローの力によって更に増幅され、機械獣の体から火花が飛ぶ。 仲間の攻撃後、手が緩むその瞬間、クールにタイミングを見計らうようにして、透はエネルギーを籠めた一撃で機械獣をよろめかした。 「ハッ、正太郎、そのまま決めちまいな!」 よろめいた先には、構えを取ったレッドの姿が見える。 「おい……あの機械恐竜に取り込まれたヤツがいるんだろ! どうやったら、助けられる?」 「まさか、正太郎? いや、しかし、だが……」 「取り込まれたのが何かわからねえが、放っておけるか!!」 (フェイトなんざ、いくらでも燃やしてやる!) 「相棒、力を貸してくれ! あのデカブツの中から、コアを引きずり出すんだ!!」 間は、半瞬ほどだった。 「分かった、お前がそういうのなら、俺の全ての力を!!」 その瞬間だった。 6体のアザーバイドが、神々しい程の光に包まれたのは。 ●その名は、アーク・リベリオン!!! かつてまだこの世が、正悪が一体だった頃の話だ。 神(しん)世界コランガル(KORANGAR)を破壊せしめんとする物が現れた。 そう、あの聖邪神グランディオスだ。 そしてそのグランディオスがに立ち向かう3人の神がいたんだ。 聖王神ロッキー。 調律神フリンド。 そしてこのボク、邪王神ノアたんだ。 ボクたちはお互いを高めあいながら旅を続け、激しい戦いを幾たびも幾たびも潜り抜けついにグランディオスの元へ辿りついたんだ。 でもまずフリンドが死んだ。 おもちを喉に詰まらせた。 そして二人になってしまったボクたちはグランディオスにえいえいっ、ってやられてしまったんだ。 しかし! そこで奇跡が起こった! なんと死に行く僕たちの体が発光しだし、二人は一つになったのだ! あの時の感覚と似ている……? まさかお前は……! (ここまでノアノアさんが受信した物をお送り致しました) 「えっ、もう合体終わったんですか?」 「ええ……ステキだったわ、貴女の電波」 きっと私達は、力を封じるために幾つかに別たれて別々の世界に飛ばされたのね。 そんな会話をしつつ、ノアノアは状況を確認した。 6体のロボは合体し、1体の巨大ロボとなっていた。 幸い自分は余ったりとかはしていない。 ブラックは、巨大なロボの左腕部分となっている。 右腕はブルー、頭部と胸部肩部はレッドが変形し、腹部から腰部、大腿部はイエローが変形していた。 ちなみに腹部にはベルトのバックルのような感じでイエローの頭部が変形して付いている。 右足はグリーン、左足はピンク。 「……これは一体……?」 「君達の心が、僕たちの隠れていた力を目覚めさせた……のかな?」 合体した当のロボット達も、突然の出来事に驚いている、という様子だった。 そんな戸惑いの時間を、クリムゾンスタアの声が中断させる。 「何が起こったかは分からないけど、どうすれば良いのかは分かる! いいか、正太郎?」 「任した! 相棒!!」 そんなやり取りを聞きながら、恋は何となく興奮した。 (ロボ同士で合体できたら格好いいし、合体時用必殺技とかあったら素敵だな) そんな風に思っていたのだ。 「君たちがアークのリベリスタだというのなら、この我々の合体、新たな状態(巨大ロボ)の名は……」 『アーク・リベリオン』 巨大なロボの全身が、それぞれの光に包まれる。 「ならば、この技の名前は」 それぞれが力強く放っていた光が、ひとつに収束された。 そして…… 「「「「「「アーク! リベリオン!! フラーッシュ!!!」」」」」」 放たれた6色の光が絡み合い、巨大機獣を包み込んだ。 ●そしてまた、いつか 取り込まれていた小さなトカゲが、ちょろちょろと逃げていく。 半獣半機のアザーバイドは、完全に姿を消していた。 「ま、色々とあったが悪くない体験だった」 ランディはそう言って感謝を述べた。 「ピンクの嬢ちゃんと他のロボ共も力貸してくれてありがとよ」 それぞれの世界に、それぞれの戦う理由がある。 「本来交わらない道がこうして交わるってのも何かの縁だろ、頑張ってな」 そう言って。 「……後、次来る時は赤黒金なカラーのロボで頼むわ」 首を傾げるロボたちに頷いてみせる。 「イエロー、このカレーを持って帰るといい。なに、友人への土産だ」 「ありがとう、次の機会があれば此方も用意できれば良いな」 それぞれが其々の形で、別れを済ませた。 そして6機は手を振って、D・ホールの彼方へと姿を消す。 「浪漫と交流も大事だが、崩界は防がないとな」 ロボ達が完全に見えなくなったのを確認すると、晃はそう言って。 ブレイクゲートの力を発動させた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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