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パラサイト・ワーム

●遡る事……
『スカイウォーカーよりHQへ、制御室にてPAのシステムを掌握した』
『了解、気をつけて帰還してくれ』
 そこはとある物体の研究室であり、制御室であった。
 とある物体、それはパラサイトアーマーと呼ばれる危険で謎な鎧である。
 人を骨格の如く取り込み、体力を奪いながら動き回る鎧であり、おまけに女しか狙わない。
 装着させる前には衣類を剥ぎ取るオマケつき、作られた意図が少々理解しがたいところだ。
 スクリーンには各エリアの映像が映っており、そこら辺で行動不能となった鎧達が転がっている。
「……これは」
 EEは端末に残った情報を探り、一つのファイルに突き当たる。
 それは『第二計画・PWシステムテスト』と名を打たれていた。
「まだ終わっていないのか……」
 不穏な気配を感じる最中、EEの無線へHEの声が飛び込む。
『EE、負傷者を発見した。しかし何だいコレ……肉を磨り潰した様な裂傷ばかりだよ。3人も居る、手伝ってくれたまえ』
『了解した、今すぐ行く』
 
●そして今
『HQ、EEだ。OwlEと共にポイントに到着した』
『HQ了解、天気予報は大荒れだ。気をつけて偵察してくれ』
 ファイルから分かった場所は、前回の事件があった場所とは離れたところだ。
 フォーチュナーの予測でも危険な存在がワラワラいるというのは見えたものの、正体が掴みきれていない。
『んじゃいくぜ~、男二人で寂しいお散歩だ』
 OwlEの軽口と共に分厚い鉄の扉を開くと、二人は中へと滑り込んでいく。
 EEは何時ものバトルライフルを小型化したものを構え、直ぐ傍には最年長のOwlEがセミオートライフルを手に、死角を埋めあう。
 一つ一つ確かめる様にクリアリングを繰り返し、奥へ奥へと進む二人。
 何度目かの自動ドアを潜り抜けると、ぴたりとEEが足を止めた。
「……誰かいる」
 壁に背中を押し付け、ゆっくりと顔半分を覗かせると赤いレンズの瞳が奥の存在を探る。
 見えてきたのはボロボロの少女の姿、フラフラと覚束無い動きだが、瞳には意思があるようだ。
「お誘いするか~?」
「他の言い方があるだろ、まったく……接触する」
 背中をOwlEに任せ、EEはライフルを構えながら姿を晒す。
 摺り足で前へ進むと、少女をしっかりと視認したところで銃口を下げた。
「アークの者だ、大丈夫か?」
 助けと分かった瞬間、少女の緊張の糸がパツリと切れてしまったのか、安堵の表情を浮かべながら前のめりに崩れていく。
「っと……」
 体を受け止め、顔を覗き込めば意識を失っている。
 一体何があったのかは分からぬまま。
「EE! 天井にお客さんだ!」
 ボタリと零れ落ちる何か。
 それは少女の背中に張り付くと、爆ぜるが如く細い触手を走らせる。
「くそっ!」
 少女を抱きとめているEEが応戦するには難しい、OwlEも撃ち落したいところだが際どい射線しかとれず、引き金を引くには危険だ。
 完全な不意打ちを食らった中、触手は少女の服を切り裂き、謎の存在はそれとは別に首筋へ何かを突き刺す。
「っ!?」
 EEの体は突き飛ばされ、尻餅をつく。
 彼を跳ね除けたのは先程の少女だ、瞳は虚ろに変わり、かくりと左に傾けた首に無表情と気味が悪い。
 だが、体の状態は直視出来ぬような艶姿に変わってしまう。
 服を引きちぎられた彼女の体は、触手のヴェールに包まれていた。
 首筋に絡みついた頭部から細い百足状の胴体が背中へ張り付き、脚の部分から伸びる細い触手が何本も絡み合い、うぞうぞと胸元を包む。
 股座には尾のパーツが張り付き、辛うじて危険な部分を隠しつつ、はみ出た触手が踊っていた。
「おいおい、どうすんだぁ?」
「彼女を回収して撤退する、他の奴が沸く前にだ」
 そんな事を行っている合間に、少女は一気にOwlEへと駆ける。
 そのスピードはかなりのものだ、そのまま勢い任せの拳がOwlEを捉え、腹部にめり込む。
「ぐぇっ!?」
 吐き出しそうなのを堪えつつ、次の拳をライフルの銃底で打ち払うとバックステップで距離を取る。
 その隙に少女の背後からEEが飛びつくと、羽交い絞めにして動きを抑え込む。
「ひっぺがせそうか?」
「ダメだっ、首に刺さってるから下手に抜くのが怖い」
 背骨や首筋は大切な神経が通った場所だ、下手に傷つければ大変な事になる。
 少女は離せと身を捩り、暴れ始め、EEが今にも振り払われそうだ。
「悪いなお嬢ちゃん、ちょっと痛いお注射するよ~」
 両足に一発ずつ弾を撃ち込み足を封じ、ガクリと体が崩れる。
 しかし暴走は止まらない、OwlEは容赦なく両肩をEEに当てぬよう貫き、四肢を破壊したのだ。
「無理矢理過ぎる……」
「だってよ~、お迎え来たら終わりだろ?」
 無駄に正論な分、言い返せぬEEは溜息をこぼすとポケットから三角巾を取り出し、傷口を覆っていく。
 応急処置が終わると少女を抱え、現場から撤退するのであった。
 
●パラサイト・ワーム
「せんきょーよほー、するよっ!」
 夏になり、涼しいデザインの甘ロリ服に身を包んだ『なちゅらる・ぷろふぇっと』ノエル・S・アテニャン(nBNE000223)が元気いっぱいにキメ台詞を口にする。
 勿論、相変わらずの仏頂面をした兄、紳護も傍にいた。
「今回はね、うねうねした虫さんなの。の、ノエルは……虫さんニガテ」
 自分で言って青ざめてる。
 落ち着けと背中を摩る兄、嫌なイメージも頭の中から徐々に収まると深呼吸。
「……えっとね、この虫さんは たくさんいるの。でもそんなに強くないんだけど……みんなにくっついてきちゃう、そうなるととっても大変」
 どう大変なのか? リベリスタ達の視線に物怖じせず言葉を続ける。
「おようふくを破いちゃうの、でも、おんなの子にしかやらないんだよ」
 何でだろうと首を傾げるノエル、いや、男が剥かれても誰得ということだろう。
 苦笑いを浮かべつつ、紳護は口を開く。
「以前、パラサイト・アーマーというふざけたアーティファクトを破壊しにいったんだが、そこで新たなアーティファクトの存在が分かった。今回は以前と真逆の性能をしたタイプで、パラサイト・ワーム、略称PWと呼称されている」
 説明が終わると、スカイウォーカーが撮影した映像をスクリーンに映す。
 メットに取り付けられたカメラには一瞬で服を剥がれ、触手の服に包まれる女性の映像が納められていた。
「アーマーと同じく、女性しか狙わず、今回は対象を操り人形にしてしまう。この時にこの少女が行ったのは戦闘行動だが、回収し治療後、話を聞くと一緒に捕らえられた女性全員同じ行動をするわけではないと申告があった」
 個々で捕らえた獲物に何をさせるかは、その個体次第と言うことらしい。
「普通の人間を装うように行動するのもいれば、何故か分からんが相手に飛び乗って服を脱がせようとしたり、色々とパターンがあるらしい。だが、共通する点としては戦闘時の動きがかなり早いと言うことだ」
 それが真逆と例えられた所以である。
 戦闘の映像を更に続けて流し、素早く襲い掛かる少女の姿がそれを肯定していた。
「捕らえられると、首筋から直接張りを打ち込んで神経に接続し、機動性を向上させる。この時は危険性を考え、直ぐに取り外せなかったが……調べた結果、ある程度PWにダメージを与えれば安全に取り外せるのが分かった」
 つまり、捕まって操られようとも仲間が張り付いたPWを弱らせれば引っぺがせると言うことだろう。
 安心とはいえないが、打つ手はあるという事だ。
「ノエルの予知では……放っておけば、これが外に溢れ出し、一般人にも被害が出る可能性がある。前回同様、制御しようとして失敗し、放棄したらしいな」
 傍迷惑過ぎる、しかし制御しようとしたのであれば制御する手立てはあるのかもしれない。
 そして数は多い。まるで宇宙外生命体映画の幼虫の様に、いたるところから湧き出してくる最悪な戦場予想図がスクリーンに映っている。
「だが、奥の制御室に辿り着けば、こいつらを停止させることが出来る。だが前回と違い、動き素早く予測しきれないポイントから発生し、数も多い」
 紳護は作戦プランをスクリーンに投射し、マップに進行ルートのガイドが引かれていく。
「作戦としては君らには警戒を厳に目標へと進んでもらう。制御室に到達後、端末操作を行い、停止させるプランとなる」
 PW個体の戦闘力は低いが、取り付かれたり、道中に取り付かれた個体と戦闘になれば苦労するだろう。
 全部相手にしていては面倒だろう、相手するタイミング、突破するタイミングを考えねば数で圧される。
「服、びりびりにされない様に気をつけてね?」
 ノエルは相変わらずの天真爛漫な笑顔で、皆へエールを送るのであった。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:常陸岐路  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年08月04日(土)22:39
【ご挨拶】
 始めましての方はお初にお目にかかります、再びの方にはご愛好有難う御座います。
 ストーリーテラーの常陸岐路(ひたちキロ)で御座います。
 ラ・ル・カーナの危機? そんな事よりお色気です、この暑い日常を忘れんとばかりに艶やかな世界に身を投じるべきです(黙れ
 お色気具合は何時もどおり、プレイングに添えていただければ可能な限り希望に沿いたいと思います。
 勇気があれば、私のPRにあるアレをどうぞ。
 
 
【作戦目標】
・制御室への到達、PWの停止操作。
 
 
【戦場について】
・PW研究区画:地下に張り巡らされた暗い廊下、階段、そして各ブロックにて構成された研究施設です。明かりは少なく、通気用ダクト等がいたるところにあります。
 
〔各ブロックの繋がりに関して〕
入り口-B1F廊下-B1F~B2F階段-(階段側)T字路(右)-最機密研究区域入り口(特殊施錠あり)-制御室
(階段側)T字路(左)-居住区域-非常時用品倉庫
 
・最機密研究区域入り口について:特殊な電子施錠がされており、専用のカードキーが必要となります。スカイウォーカーの調査で、恐らく居住区域に一つぐらいはあるはずとの事。非戦闘スキルで開けれなくはないですが……?
 
・居住区域に関して:研究員用の各個室や、それとは違った無機質な大部屋等が無数にあります。各部屋にロックは掛かっていません。後者の部屋は捕らえた女性を閉じ込めていた模様、彼女達は何処でどうしているかは不明。道中、衰弱して倒れている場合もあるかと。
 
・非常時用品倉庫:特にここに用事はないですが、今回の様な事が起きること自体は想定されていたらしく、その時に備えたものが置いてある様です。現状ロックされており、開けるには傍にPWがいるとロックを解除するようです。非戦闘スキルで開けれなくはないですが……?
 
 
【敵情報】
パラサイト・ワーム×無数
 
〔詳細〕
外見は百足に良く似た半機械の寄生生物(防具?)です。宿主の首筋に接続用の針を突き刺し、支配してしまいます。リベリスタも例外なく操られるので、取り付かれない様にご注意ください。取り付かれると強引に人間のリミッターを外し速度と回避が向上するようです。しかし、無理な動きをする分、宿主が耐え切れなかったり、防御力が低下したりと危険です。PW自体のHPは低いですが、とにかく不意打ちと数による物量作戦がメインです。
 
〔攻撃手段〕
・触手捕縛:触手を伸ばし、対象を捕まえようとします。捕まると、防御以外の行動が一切行えなくなります。
 
・首絞め攻撃:首に絡みつき、胴体で締め上げて攻撃します。命中率は低いですが、程ほどのダメージと共にBS隙を受ける場合があります。
 
・寄生:相手に飛びつき、寄生しようとします。寄生された場合、寄生されたリベリスタの行動はPWに支配されてしまいます。何をするかは個体次第。リベリスタ以外に寄生していると、攻撃したり、それ以外も……?(ハレンチな事がしたいならば、プレイングに書いてあると良いかもと)
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
クロスイージス
深町・由利子(BNE000103)
ナイトクリーク
神無月・優花(BNE000520)
覇界闘士
大御堂 彩花(BNE000609)
スターサジタリー
因幡 浮夏(BNE001939)
プロアデプト
銀咲 嶺(BNE002104)
クロスイージス
フィオレット・フィオレティーニ(BNE002204)
スターサジタリー
エルフリーデ・ヴォルフ(BNE002334)
レイザータクト
瀬乃 冬彦(BNE003781)

●無数の思惑
 PW研究区画、地下二階へ続く螺旋階段を下るリベリスタ達。
 その心中は様々だ。
(「パラサイトメイルktkr! これで勝つる! 私はパラサイトメイルを一番うまく扱えるんだーっ!!」)
 某リアルロボットアニメを思わせるようなセリフを心に進むのは『静かなる古典帝国女帝』フィオレット・フィオレティーニ(BNE002204)である。
(「B級映画のノリだけどぉ、やってることわぁえげつないわねぇ」)
 『痴女悪魔』因幡 浮夏(BNE001939)もフィオレットと同じ考えの一人だ。
(「でもま、せいぜい研究は有効利用させてもらうわぁ」)
 同じ目的のフィオレットと既に手は組まれており、主目的をこなすと共に彼女は慣れる事で制御しようと目論んでいる。
(「……大丈夫かしら」)
 一応という形で手を組んだのがもう一人、『ライトニング・フェミニーヌ』大御堂 彩花(BNE000609)だ。
 だが二人と違い、彼女の目的はその構造を知ることにある部分が大きい。
(「PWの有する機能……通常装備への技術転用が出来れば」)
 主目的をこなすことが最優先である事は変わりない。
(「ん……っ、慣れないもので……くぅっ」)
 心の中で押さえ込み、平然を装うとする『追憶の蜃気楼』神無月・優花(BNE000520)だが、時折体が震えてしまう。
 原動力を求め優花の体を弄り、意識を強引に保たせつつも、体液を啜りエネルギーを補給する。
 この装備をメインに据える方がいらっしゃるとは夢にも思いませんでした。
(「この碌でもない研究は終わらせる!」)
 『サイバー団地妻』深町・由利子(BNE000103)は、自分の娘や親しい少女達の事を想い、決意を強める。
 『紅瞼明珠』銀咲 嶺(BNE002104)や、『エーデルワイス』エルフリーデ・ヴォルフ(BNE002334)も同じだ。
 蟲に好き勝手され、嫌悪感を抱かぬ筈が無い。
 しかし、好きと嫌いと言う感情は似た存在であり、良くも悪くも逆転しやすい事を身もって知ることだろう。
「着いたみたいだぜ?」
 最前に立つ『フレイムランチャー』瀬乃 冬彦(BNE003781)が一同へと振り返り、得物の銃口で案内図を指差す。
 居住区画への案内ルート、狂乱の宴が幕を開ける。
 
●凌駕
 居住区域へ入り込んだリベリスタ達の緊張はより一層高まっていた。
 強い直感や嗅覚、そして反射神経がフルに活動し、PWの動向を探っていく。
「来るわよ!」
 彩花の言葉と共に、排気口の網を吹き飛ばしながら虫達が一斉に零れ落ちていく。
 耳障りな泣き声と共に、伸ばされる無数の触手達が前衛のメンバーへと襲い掛かる。
「このっ! 気をつけろよ、後ろ!」
 飛び掛る触手を掻い潜りながら重火器の爆音を響かせ、冬彦が叫ぶ。
 現れた虫の数を数えるのはやめたほうが良いだろう、唯一救いがあるのは2~3発の攻撃であっさりと昇天てくれることだけ。
「虫相手に良いようにされる気はしないね!」
 エルフリーデの自動拳銃が一気に火を噴き、瞬く間に放たれた弾丸は、ほぼ同時に虫達を撃ち抜いていく。
 だが、それは彼等の望むところ。足元の通気口からドサクサに紛れて湧き出した虫達が後衛を襲う。
 奇襲を防がんと直感を働かせてはいるものの、それを嘲笑うような数に対応が追いつかない。
「このっ……離れなさい!」
 嶺に飛び掛った虫達は触手を伸ばし、手足を捉えて動きを封じに掛かる。
 それに気付いたエルフリーデが銃口を向けるも、そこを狙った虫達が彼女の手を触手で封じに掛かった。
「しまった……っ!?」
 獲物二体を捕らえた虫達、更に仲間が群がると服の中へと触手を忍ばせていく。
 嶺の着物を強引にずらしながら胸元へと入り込むと、細い棘を生み出し、柔肌へと食い込ませてしまう。
 痛みは無い、あるのは甘美なくすぐったいような刺激のみ。
「んん……っ!?」
 ぴくりと体が跳ね上がり、膝の力が抜けたところへ触手は集い、足元の生地も遠慮なく押しやってしまう。
 白い太股は大きく露出し、その上まで見えてしまいそうな正に寸止め状態。
「いや……っ!」
 見せたくない場所が無理矢理剥き出しにされ、嶺の頬が上気し、瞳が羞恥に潤んでいく。
 お構い無しにPWは彼女のうなじへと寄生針を突き刺し、蕩ける様な電気信号は極限に達する。
「っ……! ぁ、だめっ! ―――以外にはっ……! い、いやぁぁあっ!」
 誰の名を呼んだのだろう、不鮮明な名は誰の耳にも届かない。
 彼女の脳内では愛しい人の記憶すら焼きつくさんと、触手の奏でるヌルヌルとした刺激を増幅させるのだ。
「嶺っ!」
「銀咲さんっ!」
 かぶりを振り、涙を零す彼女を救わんとフィオレットは十字の閃光を放ち、PWを蒸発させる。
 更に彩花が周りの虫達を巻き込む様に雷の連続攻撃を繋げ、一掃していく。
「大丈夫で……ふぁ……っ!?」
 くたりと床に沈む嶺は、辛うじて意識を繋いでいたが脳に焼きついた命令は些細な風の動きすら肌を擽り、小刻みに踊ってしまう。
 
 エルフリーデに絡みついた虫達もしつこく彼女を奪わんと魔の手を伸ばし、背後から飛びついた虫が爆ぜる様に広がる。
「ぇ……いやぁっ!?」
 背中の生地を貫き、入り込んだ触手が遠慮なしに服を観音開きの如く引きちぎったのだ。
 滑り、繊維が破壊されていく残骸達は床へと崩れ、下着の下へもぐりこみながら触手が大事な部分だけを多い、侵食を始めだした。
 体を隠すのはこのヌルヌルの悪魔。後はこの接続針をさすだけ。
「痛っ、入ってく……!?」
 ブスリと突き刺さる針は、容赦なく柔肌を引き裂きながら体内の奥を目指す。
 大切なものが主役された場所へと繋がると、今までの感触が全て反転してしまう。
「んんっ!? ふぁ……っ」
 体を覆う触手達への嫌悪感が薄れ、幸福感が体を包む。
 滑る感触も、白い肌をなぶられることも心地良い、ぼやけた瞳が刺激に飲まれたことを示す。
「凄く……いい……っ」
 くたりと座り込むと、びくりびくりと体を跳ね上がらせ、恍惚とした表情で天井を見上げいた。
「そこまでです」
 優花の全身から放たれたオーラの糸、それが一瞬にしてPWを包み込む。
 ビキッ! と圧壊の悲鳴が虫の体内から生まれれば、入れ替わる様に虫の命は失われる。
「ありがとう……でも、助かったのはいいんだけど」
 体を隠していた虫は今や屍、張り付く隠してくれることはない。
 今のエルフリーデの格好は文に描く事が出来ない為、艶姿はご想像にお任せしよう。
 
●熱気
 進むにしてもエルフリーデの格好をどうにかせねばならない。
 そして何故か分からないが、各部屋の中に衣類らしきものも殆ど無く、見つかったのはたった一つ。
(「こんなの、知らない人に見られたら……」)
 頬を赤らめながら進む彼女が羽織っていたのは、一枚の白衣のみ。
 今にも胸元が零れてしまいそうだったり、重ね合わせた白の間から腰元が見えてしまいそうだったりと大変な事になっている。
 今度は浮夏が何かに気付く。
「……色んな匂いが、一気にこっちにくるわよぉ?」
 更に足音まで響き、その答えが知れるのはそれほど遅くはない。
 ボロボロになった服だったものが張り付いた少女達である、無論背中や局部には虫の魔の手が侵食済み。
「虫は虫らしく、地に這いなさい!」
 嶺の体から放たれたエネルギーの糸が収束し、矢の様に研ぎ澄まされれば、吸い込まれる様に虫達へと突き進む。
 更にエルフリーデが追い討ちを放つがそれでも2体は残ってしまう。
 前衛と揉みくちゃになる最中、虫達の気配は近づく。
「まだ来ますよ!」
 彩花は直感を働かせ、仲間達に告げる。
 何処から来るのか? と言う点には完全に把握し切れない。
 足元に隠されたメンテナンスパネルをぶち破って出てくるなんて事も、想像つかないだろう。
「ちょっとぉっ、助けてぇ」
 浮夏へ群がった虫達の動きは素早く、手足を絡め取ると同時に他の個体が取り付いた。
「ぁっ、……はぁぁっ、んぁっ! はぁ……っ!?」
 隙間から忍び込む触手。
 珠のような肌を撫でる感触は傷みも与えず小さな針まで浸透し、神経を研ぎ澄まさせていく。
 熱っぽい声を零す彼女を助けんと、仲間達が攻撃を仕掛けようとするのだが湧き出す虫たちがそれを阻む。
「熱い熱い! 暑くてとろけてわけがわかんないのおぉおぉぉ!?」
 とうとう突き刺さった侵食針、暴走させられた感情と感覚で、浮夏自ら引きちぎるように脱ぎ捨ててしまう。
 更に助けに接近した彩花を見るやいなや、強化された瞬発力で彼女へと飛びつく。
「な、何? 浮夏さんっ!?」
 理解しがたい行動に、押し倒された彩花は慌てふためく。
「ぁぁあぁああん、止まらない止まれないぃっ!?」
 ぴたりと胸と胸を押し合わせ、柔らかな感触が重なり合う中、無粋な布地を引き裂かんと粘液を零す。
「しっかりしなさ、ひゃんっ!?」
 バストラインの下部をすり抜ける触手の刺激に、甲高い声がこぼれてしまう。
 不意打ちとはいえ、素っ頓狂な声に恥らいながらも顔を背けた。
「はぁぁあぁあぁぁ、んァっアッアッアッアッ!」
 腰をくねらせ、体を押し付ける浮夏。
 PWも浮夏を制御しようと脈動するように細い触手達が暴れ、ボタリボタリと酸の体液が滴る。
 それは浮夏の神経を更に狂わせ、もっともっとと貪らせつつも、彩花の服と羞恥心を焼き焦がす。
「どいて、んぁっ!? そこはやめなさ、ひぃ……んっ!?」
 退かそうにも浮夏と触手の二重奏が阻み、どろどろに汚されていく。
「熱くて、いいのぉっ……ねぇ? いいでしょぉ?」
「そんな事、あるわけな……っ、んんぅっ!?」
 彩花にも取り付こうとする虫達は触手を突き立てるのだが、如何せん密着した体に隙間が無く、進入が難しい。
 そこで虫達が選んだのはおぞましい作戦であった。
「やっ、何よこれっ! やめなさい!」
「熱いのいっぱぁい、うふふ……いいのぉっ」
 粘液を噴出し、潤滑油の様に二人へと浴びせると、隙間へと強引に突き刺さっていく。
 神経の集まる敏感な部分はより一層刺激に弱くなり、二人の体は濁った汁に塗れ、踊り続ける。
「そこは……っ、やめなさいって……ぇっ!」
「出してぇぇかけてぇぇ、あなたの熱いのどばどばかけてぇぇ! んんんんはぁぁぁぁぁぁぁっぁぁんんんんん!!!」
 浮夏の顔はどろどろに汚れ、彩花の上で絶叫と共に熱に飲まれていく。
 糸が切れたように沈むと同時に、好き勝手されてきた彩花の怒りは頂点に達した。
「いい加減にしなさいっ!!」
 浮夏の背中に張り付いた虫を掴むと、強引に引き剥がし床へと叩きつけ、彼女を転がしながら立ち上がる。
(「……あれは、言うべきなのか?」)
 虫をやっとこ差振り払った冬彦には、暴れまわる彩花から服の残骸が飛び散る様が、美しい曲線が全て晒された浮夏の姿が瞳に焼きつくのであった。
 
●蹂躙
「凄い数ね……」
 倒れた一般人の少女や、負傷した仲間に支援と回復を施しながら由利子は呟く。
 ひっきりなしに回復を続け、憔悴しかかったところへ不意打ちは襲い掛かる。
「っ!?」
 傍にあったゴミ箱に潜んでいたPWが飛び出すと、容赦なく彼女の背へと取り付いたのだ。
 引き剥がそうと手を伸ばすも届かず、その間無防備な体は触手達のおもちゃにされてしまう。
「ああっ……! だめっ、そんな所っ嫌ぁっ!」
 人妻の悲鳴がこぼれ、服は散り散りに解かされ、千切られ、宙を舞う。
 そちらへと気をとられた瞬間、針が進入を開始する。
「んっぁっ!? 入って……んんぅっ!?」
 ぐん、ぐんと何かに引っ掛かるように動きを止めながらも、ズルズルと針は由利子を貫く。
 根元まで埋没すると、頭に流れ込む無数の信号が彼女の理性を破壊せんと暴れまわるのだ。
「わたし なんだか――産まれ変わったみたぁい♪」
 壊れた。
 PWに支配された由利子の格好はPWしか体に纏っておらず、それも大事なところを辛うじて隠す程度。
 温和な雰囲気から一転、悪魔の様に欲望に汚れた瞳を細め、張り付いた触手をゆっくりとなで上げる。
「ふふっ、どうしましょうかぁ? みぃんなにも、同じ気分、味わせちゃおうかしら」
 妖艶な笑い声を上げ、舌先で小さく唇を舐める由利子。
 ここまで乗っ取られた姿を見れば、リベリスタ達にも緊張が走り、得物を向けて警戒は強まる。
(「だめ……こんなの……私は望んでない」)
 奥底に封じられた理性が抗い、動きが止まる。
 愛する夫への思いが体を動かし、ふらふらと倉庫の方へと向かう。
 一抹の希望を信じて。
 
 倉庫の扉はPWの存在を感知し、難なくドアを開いた。
 だが、それが限界と理性が圧し負けた由利子は仲間達へとUターン。
「誰か倉庫の中探ってくれ!」
 由利子と交戦を開始する冬彦の声に、フィオレットと優花が頷くと倉庫へ。
「きっとPWを制御できるものがあるはずよ!」
 入手する気満々だったフィオレットは、目を輝かせながら制御装置を探すのだが、それらしいものは見当たらない。
 一緒に探す優花も目的のものが見当たらず、首を傾げる。
 そんな中、突入してくるPW達に二人は気付き、ここでも戦いは始まっていく。
 
「優花ぁ……っ」
「っ……!」
 取り付かれてしまったフィオレットとの戦いになってしまい、優花は足を止めぬ様牽制を続ける。
 あれだけ大胆な格好をしていれば取り付きやすかったのかもしれない。
「ん……は……そっ……そこはらめぇ……っ」
 胸元と股座の大切なところだけを隠す触手は、フィオレットの体を弄り、強引に意識を繋ぎとめる。
 被虐的な光景に、優花の喉が鳴り、一瞬の隙を突いて足にPWが絡みつく。
 そこをすかさずフィオレットが飛びつき、優花を押し倒してしまう。
「羨ましい……優花はそんなの着てて……」
 この異様な防具に憧れた彼女の欲望がこぼれ、他の触手達は防具となった仲間を引き剥がそうとする。
 今までと違う真緑の液体を吐き出すと、鎧の内側に浸透し、装甲が強制的に開放されてしまう。
「アーマーが……っ!?」
 もともと鎧の中で何かを身に纏っても意味がない為、美しく細い体を全て晒しながらも動きを止めた鎧から転げ出る。
 しかし群がった虫達が取り付けば、後は時間の問題。
「これは……んはぁ……っ」
 パラサイトアーマーとは違った、甘美な刺激に優花の表情は緩む。
 突き刺さる針の傷みも、直ぐに魅力的な快感へと変貌し、敏感なポイントへ直に触れる細い触手達は遠慮なしに暴れ、二人の頭の中は真っ白に染め返された。
「ひゃっ……もう、駄目ぇ、駄目ぇっ」
「凄ぃ……はぁっ、あっ、あぁぁ……」
 虫達を振り切り、由利子を解放し、辿り着いた仲間達が見たのは二人の侵食された姿だ。
 壁に寄りかかり、だらしなく四肢を広げ、どちらのものか分からないほどに粘液が腰元から水溜りを作っている。
 抗おうとした形跡は触手達についた爪痕から見て取れる、途中で意識を取り戻しては抵抗し、強引に刺激で頭をかき混ぜられてと繰り返せば、こうなるのは容易に理解できるだろう。
「……おぞましい」
 嶺の口からこぼれた率直な気持ち、それはこの依頼に立ち向かう前から思っていたことだ。
 げんなりとした様子で現場にいたのもその所為、包み隠さぬ本音と共に、表情は悲痛なものへと変わり、視線を逸らす。
「これね、早く!」
 彩花が見つけ出したのは注射器のような装置だ、説明書きのイラストにあわせPWへそれを突き立てれば、二人に取り付いた 虫達は機能を停止していった。
 
 優花は再び鎧を、由利子とフィオレットは何故か倉庫に置かれていたエプロンでどうにか体を隠すと、一同は研究区域に向かう。
 居住区域程の敵数はいなかったが、それでも取り付かれる恐怖と抗いながら目的地へと到達したのだ。
「これでOKだ」
 冬彦がコンソールを操作し、PWのシステムを停止させる。
 データの転送などはネットワークシステムが故意的に破壊された形跡があり、行えない。
 だが、一緒に調査した彩花と共に、とある事を知る。
 これはこれで完成体、そして目的が果たされた存在。
 最後の暴走は、それ自体が最終テストでもあると。
「ホント、趣味がいい事で」
 悪態をつく彼が次のデータを目にする、それは『SCシステム概要』と記されていた。
 
●背徳
 数日後。
 由利子は一人、自室にいた。
 テーブルの上には、取り付くことしか出来ないPWがおかれている。
 駄目だとは分かっている、けれど止められない。
 鏡に映った自分の瞳をは紛れもなく、母ではなかった。
 窓硝子に体を包み隠さぬ由利子が映り込んでいく。
「ごめんなさい……あなた」
 手に取ったPWを体へと押し付け、甘い背徳感へと包まれてしまう。
 侵食される感触に身を躍らせ、倒錯的な悲鳴が彼女だけの世界で響き渡る。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 かなり遅れてしまい、申し訳御座いません。
 如何でしたでしょうか?
 お色気って、どれに艶やかさを感じるかと言うのが千差万別なものがあるので、実は結構ドキドキしつつ書いています。
 由利子さんはとりあえず、アレな動画企画にいても問題ないんじゃないんですかと思いつつ……。
 背徳感とか、倒錯的な、とかとか。
 ではでは、ご参加いただきありがとう御座いました!