● 彼はその日、遅い帰り道を歩いていた。 予定していた来客が一向に訪れず、気付けば残っていたのは一人だけ。 おまけに来客は確認したらうっかり忘れていたと来た。 強く言えないのが商売ではあるが、溜息の一つくらい吐いたとして罰は当たるまい。 そんな帰り道、電柱の影にふと動くものを見た。 なんだろう、と何の気なしに視線を向けた彼は立ち止まる。 俯いている為に表情はよく見えないが、血を流した子供だ。 握った手から、ぱたぱたと赤い血が落ちている。 流石にぎょっとして立ち止まった。屈んで、語り掛ける。 どうした、大丈夫か、転んだのか、車にぶつかったのか。 子供は黙ったままだ。 意識を失っているのかと思ったが、そうではなさそうだ。 彼は考える。転んだにしても、ぶつかったにしても、こんな所に屈みこんでいるのはおかしい。 もしや虐待か何かではないのか。 だから一人で座り込んでいるのではないのか。 何にせよ、病院と警察に連れて行かねばなるまい。 放置して帰れない程度には、彼は善人だった。 立てるか、と聞いて手を伸ばす。 子供が初めて、顔を上げた。 そこで彼は固まる。 子供の目から、額から、耳から、口から、血が流れ出していた。 血走って真っ赤になった目が、彼を捉える。 おかあさんがたべないとおこるから。 彼は、子供が握っていた物が自分の手だけではなかった事を知った。 鈍く光る包丁が、その手に。 自分の腹が切り裂かれ、腹圧で飛び出した内蔵に子供が齧り付くのを、彼は他人事の様に眺めていた。 ● 「さてこんにちは、皆さんのお口の恋人断頭台ギロチンです。皆さんは好き嫌いありますか、ぼくはあまりないですけど、それはそれとして今日も依頼ですので宜しくお願いします」 いつも通りの調子で『スピーカー内臓』断頭台・ギロチン(nBNE000215)はリベリスタを迎え、話を始める。 「今回皆さんにお相手して頂くのは、『ゆうたくん』というE・フォースです。とある街の子供達の噂によって積み重なった恐怖の思念が、革醒し力を持ちました。――彼は電柱の影に、血塗れで座りこんでいます」 映し出されたのは、不鮮明な画像。 血走った目の子供が、暗い中、こちらを無表情に見詰めている。 「彼は、母親の言い付けで『残さず食べろ』と言われたから、人を食べるんだそうです」 おかあさん、おかあさん、いいこにしたよ。 おかあさん、おかあさん、ともだちのまーくんも、だいすきなかなちゃんも、ぜんぶのこさずたべたよ。 おかあさん、おかあさん、きらいなないぞうもがんばってたべたよ。 おかあさん、おかあさん、だからわらってよ。ほめてよ。たたかないでよ。 ねえ。 「彼は虐待されて殺された子供だ、と――ああ、実際そういう事例があった訳ではありません。子供達の噂の中ではそうなっています。だから、『ゆうたくん、ゆうたくん、お帰り下さい』というと怯えて逃げ出すんだそうです。家に帰りたくなくて」 それは呪文。 彼を追い返す呪文。 子供たちは知っている。だから今まで被害者は出なかった。 けれど、今宵出会う彼は知らない。 だから、殺されて、食べられる。 「実際にそういう境遇の子供の思念が元になっている訳ではない。だから説得や癒しは不可能です。彼は『残さず食べる』為に皆さんに襲い掛かってくるでしょう」 E・フォースは対象には拘らないが、余りに多人数だと出て来ない。 だから話しかけるのは一人か二人がいい、とギロチンは指を立てる。 「子供の姿だからと言って油断は禁物です。彼はE・フォース。日常の理は通じません、強敵だと思って下さい。……後、ちょっと『齧られる』かも知れません」 笑みが多少、引き攣った。 小さな舌で歯で、彼は血を肉を内臓を掬って千切って飲み下す。 でも、とフォーチュナは言葉を続けた。 「もし、危ない時はこう言えば良いんです」 ゆうたくん、ゆうたくん、おかえりください。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:黒歌鳥 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年08月02日(木)23:19 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●ゆうたくんって、知ってる? ゆうたくんはね、男の子。 お母さんにいつも怒られて叩かれてた男の子。 具合が悪くてご飯を食べられなかったら、沢山叩かれて家を追い出された。 だから、お母さんに許して貰う為に「残さないで食べ」続けてる。 でもね、ゆうたくんは自分では帰りたくない。 お母さんが許してあげるって迎えに来るのを待っている。 お母さんが許してくれるまで、ずっと「残さないで食べる」んだ。 だから、ゆうたくんにはこう言えばいい。 『ゆうたくん、ゆうたくん、お帰り下さい』 そうすれば、助かるから。 ● 「べべべ別にそんな怖いとか無理してるとかないですし! いいでしょう! やってやろうじゃありませんか! ビシッとズバッとスタイリッシュにゆうたくんさんに声を掛けてやりますよ!!」 ――『息をする記憶』ヘルマン・バルシュミーデ(BNE000166)、ブリーフィングルームにて。 ●いたがるこども 「ううう、ギロチンの持ってくる仕事はいつもこーなの!?」 壁に体を押し付ける様にしてこっそり道の先を覗く『三高平高等部の爆弾娘』蓮見 渚(BNE003890)の嘆き。ギロチン本人に言わせれば単なる偶然、らしいが、同じフォーチュナに連続で幽霊じみたE・フォース依頼を投げられれば、怖がりの渚としては恨み言の一つも出るだろう。 「う、うう、怖いよー、ホラーやだよー」 「そりゃ」 「うひゃー!? つめたあああ!?」 気を紛らわすのに猫じゃらしを揺らしながらぶるっと身を震わせた渚の首筋に、『陰陽狂』宵咲 瑠琵(BNE000129)がついっと氷を滑らせる。震わせるどころかのた打つ具合で背筋を弓なりにした渚を横目に、瑠琵は手持ちのカメラを先に向けた。 「さて、先程涙目でダッシュしていったヘルマンは大丈夫かのう」 「涙目になったのは宵咲さんが氷投げ込んだからだと思うんだけど」 「いやいや、肩に手が乗ってると言った時点で若干顔が引き攣ってたぞ?」 「……まあ、男の子だし頑張って貰おうか……」 楽しげな瑠琵の調子に肩を竦めた『fib or grief』坂本 ミカサ(BNE000314)はやはり街灯に向かい一人歩いていくヘルマンの背を見やる。余計な事を言って自分まで被害を受けるのは賢くない。 現状、ヘルマン以外の仲間がいる位置はギリギリ一呼吸で辿り着ける距離。 些か普段よりも小さくなった気がする背広姿は、若干おっかなびっくりな調子で道路を進んでいる。一瞬びくんと派手に震えたのは、足元を蛙辺りが跳ねて行ったのか。 「けど、都市伝説めいた怪談ってのは無責任だね」 「無責任な噂話であればまだいいのです。具現化して人を喰らうなど、わたくしめの仕事の邪魔でしかありませんわ」 怖い話はヤだ、とぼやくミカサに、『宵歌い』ロマネ・エレギナ(BNE002717)が首を振った。 闇に溶ける黒い服は死者へ捧ぐ物。肉も骨も全て、死屍は地の中に。 「ヘルマンさん、大丈夫でしょうか。少し心配ですね……」 『朔ノ月』風宮 紫月(BNE003411)は皆の肩越しに道を覗き込む。 未だ、白い姿は見えなかった。 「しかし、噂で生まれた思念体。故に説得も不可能。……となれば、考えようによってはこちらも遠慮なく戦えるというものです」 何を言っても聞く耳を持たず、仮初に癒す事さえできやしない。どちらにしろ害をなす存在ならば抹消しなければならないとしても――遠慮が要らないと言うのは、良い。 「うそのこども」 「……残さず食べれば怒られない。……そんなことでなんとかなるとでも」 冷めた目で、『磔刑バリアント』エリエリ・L・裁谷(BNE003177)と『無音リグレット』柳・梨音(BNE003551)が囁きあった。 「虐待されたとか、無理を押し付けられたとか、そんな子供なんて、本当にいるこどもなんて……死ぬほど知ってます」 りっちゃんだって、わたしだって。小さく噛んだ唇。彼女らが生家として育つ院には、それこそ様々な事情の子供が集まるのだから。 けれど、だからこそ、『ゆうたくん』は真実味を持って語られる。 ある意味ではありふれた、余りにもよくある話だから。 子を疎んで排除するなんて、うそにもほんとにも溢れているから。 だから、『ゆうたくん』は力を持つ。梨音がそっと、その耳元で囁く。 「いこう、エリ。こんな不愉快なエリューション、一晩でけしてやる」 血の繋がらない、血よりも濃い絆の姉妹は、軽く掌を合わせ――頷き合った。 ●ゆうたくん、ゆうたくん 「あー、大見得切るんじゃなかったどうしようむっちゃ怖い」 落ち着きなく左右を見回しながら、ヘルマンは一歩一歩不自然でない程度の速度で足を進める。 すぐに皆の気配が感じられなくなり、思わず振り返って確認したくなるが、向かう前にロマネに『振り返ってはなりませんよ』と釘を刺されていればそれも叶わなかった。 単に面白がっているだけならばまだしも、出現に差し障りがあるかも知れないと言われれば無視する訳にもいかない。何しろ出て貰わねば、一人でこんな怖い思いをしながら歩いている意味がなくなってしまうのだから。念で応援してるね、という渚(怖がり仲間)の声を支えに、一歩、一歩。 一つだけ、無機質に白い光を降らせる街灯。 視線の先には――何もいない。 これで二度目だ。 もしかして、まだ仲間との距離が近いのだろうか。 更に離れるとなれば、僅かな間とは言え自分一人で持たせなければならないのだが……出現の不安と、戦略的な懸念。ふっと一瞬意識を逸らしたヘルマンが街灯の隣を通った瞬間。 「!」 視界の端に、白い何かが入り込んだ。 先程までは、確かになかったはずのそれ。 向けるか。横を向けるだろうか。覚悟を決めて、向く。 座り込んだ、子供が、いた。 喉が乾いて舌が張り付くような感覚を覚えながら、語りかける。 「どっどどどどうしたんっ」 裏返った。子供が顔を上げた。真っ赤な瞳が、ヘルマンを見る。 「……っ、ひ、だ、大丈夫ですか?」 ……食べなきゃ。 返答は、脳裏に直接。 気付けば『ゆうたくん』はいつの間にか立ち上がり、ヘルマンの目前で、包丁を振りかざしていた。 ●のこしたらだめ 無論、白い姿が見えた時点で残る仲間も行動を始めている。 その多くは、距離を詰めるもの。 「よくやったね」 「う、うわあ、想像以上に顔怖いんですけど……!」 短く労ったミカサに、ヘルマンは己を裂いた刃の行く先を油断なく眺めながらその隣へと並んだ。どくんどくんと脈打つたびに血が流れていくのが分かる。 脇腹を押さえる彼の前に、街灯の影から人型が抜けて出た。 「こんな実体を得てしまっては、ゆうたは怪談失格じゃ。さあ、本番と行こうかぇ」 影人を召喚した瑠琵が、笑ってそれをヘルマンの前へと立たせる。 彼女ほど打たれ強くはないが、それでも壁としては優秀な影。 「さて、随分と好き勝手に暴れてくれているようですね。今日、この場限りで大人しくして貰いますよ」 紫月の指先が守護の為の印を切る。通じないとは知っていても、その小さな姿に語りかける。 「こ、怖いとか言ってらんないよ!」 ふう、と一度大きく息を吐いた渚は、己の魔力を増すべく詠唱を始める。その頭に響くのは、『ゆうたくん』の声。 たべなきゃ。 おこられる。 おかあさん、おかあさん、ぜんぶたべるよ。たべるんだ、のこさず。 たべる。ねずみはおいしくないかたいしんをなげられてむしはおいしくないよけいちゃんはやわらかかったみやくんはきりやすかったおかあさんがだしてくるまっくろなのないぞうはおいしくないよきらいだでもきらいじゃないとだめでなまやけなんだくさってるたべないとおこられる。 入ってくる言葉は、単語の意味は分かるものの脈絡がなかった。 無数の噂で語られた『ゆうたくん』を為すパーツ。 「……中身のないからっぽのガキになんか負けられません」 エリエリが走る。手にした冒涜ルイネーションで地を掻きながら、ヘルマンの傍らに。 未だ油断できない状況――どころか、始まったばかりではあるが、駆けつけた仲間に僅か安堵の息を漏らしたヘルマンにロマネが声を掛ける。 「見捨てたりは致しませんよ、ご安心下さいな」 Slez prolito na Moskvuを手に、彼女は最もゆうたくんを狙うのに相応しい場所を見定めた。最高速度で働く頭脳は、常人の頭では不可能な計算処理を同時に行い――そして指し示す。 おかあさんおかあさんおかあさんおとおさんおかあさんがんばったほめてないぞうはたたかない。おいしいよおかあさんがんばってたべたよわらってよ。ほめてねえ。だいすきなゆいちゃんのかおはうまくはげなくてちょくせつかみついたから。 流れ込むのは、ゆうたくんの『声』 脳裏に染み付くその響きが、リベリスタの意志を削いでいく。 脈絡のない子供の声は、吐き気すらも催す程の不安を与えて押しつぶそうとしていた。 ぐらりと揺らぐような感覚を覚えながらも、梨音はエリエリの傍らから飛び出してゆうたくんへとナイフを翳す。 「姉妹の絆こんびねーしょん! ごー!」 「天守こんびねーしょんそのいち……無音バリアント……!」 澱みなく翳される刃は、少年の持つ地で濁った刃とは違い、中途半端な街灯の明かりにも眩く光を照り返した。 がくん、と一度首が動いたが、ゆうたくんの動きは止まらない。 のこさずたべます。 裂いたのは、ボタンとスーツ。 己の腹から血が噴出したのだとミカサが認識するより早く、獣の動きでゆうたくんはその切れ目に小さな歯を食い込ませた。皮膚と内臓の間の空間に、硬い歯がぬるりと侵入してくる鳥肌の立つような感覚と、激痛。ミカサの眉が、苦痛に歪められる。 「ひっ……」 ミカサの血を口の周りにべったり付け、首を回した少年に渚が小さく悲鳴を上げた。ぎょろり、と真っ赤な目が、彼女を見る。濡れた包丁は、続いてヘルマンの前に立ちはだかる影へと突き立てられた。霧散する。が、それ以上の被害はない。 「……はっ、麻酔なしの手術ってこんなもんなのかな」 自分の肉を引き千切って行った少年に、ミカサの指が爪先が踊る。 右手、お返しとばかりに左手、ゆうたくんの包丁を握る腕を裂いた。 おかあさんおかあさんおかあさんおかあさんわらってよほめてよたたかないで。たべるから。のこさずたべるから。おこらないで。わらって。ほめて。おねがいします。ごめんなさい。 悲痛な叫びに、ヘルマンは一瞬きつく目を閉じる。子供から伝わってくる不安は、その力によるものだけではない。血塗れの彼が、噂の産物に過ぎない彼が、どこか自分と重なって空恐ろしい。 そう、頑張ったって彼は母親には許して貰えない。褒めて貰えない。笑って貰えない。にせもののこども。 こわい。 そう考えた瞬間、互いに攻撃に巻き込まれるのを防ぐべく距離を開けていたエリエリが、ゆうたくんへ向けた声がヘルマンの耳に届いた。 「どんな言葉を投げかけようと、どんな見た目だろうと、結局はうそのこども」 うそ。 そう、彼はうそのこども。 存在しない、噂だけの、嘘で虚ろ。 「そんなうそいつわりに惑わされるほど、わたしたちはよわくない!」 握り締めた武器。少女の目が、青年へ向いた。 「そうですよね。ね、ヘルマンさん!」 瞬く。 「……はい! 負ける訳がありません」 ●うそのこども ベールの奥の瞳は、躊躇いなく少年の頭部を狙い撃ち据える。 頭に響く声にも、ロマネは囚われない。いや、その声に込められた呪詛自体は身を蝕んでいるのだろう。だが、心までそれに染まり恐怖に陥る事はない。 「怖がればそれこそ、あちらのペースです。お気を付けて」 「う、うん、分かってる。……分かってる、大丈夫! 私は正義の味方だもん!」 仲間から流れる血と、その量に若干顔を青褪めさせながらも渚は気丈に詠唱を続けた。呼ぶのは四色の旋律。限界までと、唱え続けるそれは幾度も少年の体へと吸い込まれる。 「そう。人に害をなす存在は許さない。それが、私達リベリスタなのですから」 血を溢れさせる傷口に、紫月の降らせた光が触れれば、その戒めは解かれた。抑えずとも滲むだけになった傷口に、ミカサが己の血で汚れた手袋を振って息を吐く。 「ほれ、無理するな。今治してやるからこちらに来い」 少年の一撃が重いが故に、瑠琵の手も回復に影人にと忙しい。裂かれ横から歯を窺えるようになったヘルマンの頬の肉を繋ぐように、投げられた包丁が肩の骨に達して唇から呻きを漏らしたエリエリの後頭部に、ぺしりと符を貼って行く。癒していく。 ごぼり。腹を刺されたロマネが、内臓を傷つけ血を吐いた。深い。膝をついた。だが、黒衣の少女は伏せたりしない。血の気の薄い唇を拭い、立ち上がる。次はあちらだ。ああ忙しい。 「見当違いのあわれな嘆きに人を脅かす権利などあるものか」 腕の皮膚を刃で削られて、赤い肉を露出させたまま梨音が跳ぶ。風が撫でるだけで痛いそれ。けれど、誰よりも早く動いてゆうたくんの動きを止めるのが自分の仕事。 おかあさんゆるしてぜんぶたべ、 「お前はまぼろしだ。おまえに力などない」 包丁を握る手が強張った。 梨音のナイフが、逆手に翻る。 「まぼろしはまぼろしらしくそこで消えていくがいい」 振り下ろされた先は、少年の額。 ぐさりと刺さる、その感触。 血塗れの子供は、偽物の血を噴出した。 ぱたぱたと、梨音の顔に掛かるそれもにせもの。 子供の姿は、歪んで溶けて。 ――ゆうたくんは、嘘になった。 ●ゆうたくんって、知ってる? 「ううう終わったー! 生きてる怖かったー!」 「……その割にはテンション高いね」 「怖かったけど勝ったから万歳! 見たか、これが渚と正義の仲良しアーク部隊の力なのだー!!」 「……いや、いいけどさ」 「さて、この噂話が、早く収束するといいのですが」 「新しい噂でも広めるかぇ? 人の唇を物理的に奪う『お口の恋人』とか」 「……どこかで聞いたような」 「余り怖くはなさそうなのが難点じゃな」 「そういえば、わたくしめも若い頃『墓場で死体を掘り返す黒衣の少女がいる』と噂になった事もありますね」 「……事実?」 「傍から見るとあんな風に見えていたんでしょうか」 「……それはちょっと、分からない……ね、エリ……」 「そうですね、りっちゃん。わたしたちにはなんとも」 「あ、エリエリさん、その」 「はい? なんですか、ヘルマンさん」 「……ありがとうございます」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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