● 響く剣戟の音、鬨の声。 昨日まで平穏に包まれていたアーク橋頭保は騒乱の一夜を迎えているのだ。 その原因は遡ること数時間前、橋頭保周辺を警戒していたリベリスタから一報だ。その内容は『バイデンの大軍による襲撃を確認』。 今まで小競り合い程度しかなかったバイデンによる行き成りの襲撃はリベリスタ達にそれなりの混乱を与えたが、そこは歴戦の猛者達が集うアークだ。 すぐにコレに対して抗戦を決定。遊撃や外周での防御を行う者達が我先に、とばかりに出陣していった。 だが挟撃や物資の焼き討ち。設置した罠や施設を十全に使用した外周での迎撃だけでは仲間の屍すら気にせず進むバイデンの大軍全ての相手は不可能であった。 ● そうして今、リベリスタ達が共同で作り上げた堅牢な防護壁に巨獣の長い首が架けられ、その上を梯子のようにして走ったバイデンが防護壁の頂上に姿を表す。 耳障りな雄叫びを上げ、多数のバイデンが次々と橋頭保内部に着地する。 「オ゛オ゛オオオォォォオオオ!」 言葉が通じぬリベリスタ達にはその声がどんな意味を持つのかは理解出来ない。 だが、その表情は強敵と只管闘えるということに対する歓喜に満ちているように見えた。 彼らの中には此処までの激戦で受けたのだろう、浅くはない傷を負う者もいる。 しかし、彼らの目は死んでなどいない、寧ろギラギラと強い輝きを放っている。 事ここに至っては、というよりも最初から、戦闘のみを目的とするバイデンに対して交渉で戦闘を回避してお引き取りを願う。等ということは有り得ない。 今のリベリスタ達に出来ることは、己の獲物を握りしめて、その刃を、その弾丸を、その神秘をバイデンへと叩き付けることだけである。 何せ、このまま彼奴らを放っておけばラ・ル・カーナ橋頭堡は大きな打撃を受け、最悪バイデンがボトム・チャンネルへと雪崩れ込む未来すらある。 そのような未来は絶対に食い止めねばならない。だが、多数のリベリスタ達が橋頭保内外で今も戦闘を続けているこの現状では、それを止めることができるのは今バイデンと遭遇してしまった貴方達だけだ。 不安はあるがやるしかない。倒すしかない。そうしなければ、殺されるのは自分、引いては自分達の背中の後ろにある多数の命だ。 そんな逡巡などお構いなしにバイデンが笑いながら武器を振り上げた。 それは例えリベリスタ達が待ったをかけようと、簡単に切られる戦いの火蓋。 さぁ、戦いの始まりだ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:吉都 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月29日(日)23:40 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
● 「―――――!」 橋頭保内への侵入を果たしたバイデンが吠える。 それはボトム・チャンネルの言語とは全く違う響きで構成されていたが、タワー・オブ・バベルを所有する『昼ノ月』伊集院 真実(BNE003731)だけはその意味を理解することが出来る。 『お前らは楽しませてくれるんだろ?』 ズラリと並ぶ歯を見せて紡ぐ言葉に込められたのは純粋なる戦闘への歓喜。只管の喜び。 それはボトム・チャンネルの常識を持つリベリスタ達には異常に映る。 「自分達が戦って命を落とすなど微塵も思っていないのでしょうか」 真実にはそのバイデンの様子が信じられない。軽くはない傷を負いながら剩えそれを隠さずに戦場に出てくる。弱った者から倒れていく戦いにおいてそれは賢い選択では断じてない。 だがそれはやはりボトム・チャンネルの常識なのだ。 あくまでバイデンが求めるのは闘争のみ。恐らく彼らはこの戦いで死ぬことになっても後悔はしないだろう。むしろ戦いから逃げることがバイデンにとって最大の汚点、最大の後悔になるのだから。 「やっぱりバイデンってのは自分に正直だよね!」 俺そういうの好きだよ! と『紺碧』月野木・晴(BNE003873)は無邪気に言う。 確かに、複雑な柵も多い世界の住人から見ればバイデン達は常識外れであるとともにある種すがすがしさすらあるかも知れない。 「でも、気に入ったことと戦うかどうかっていうのは別のこと! 全力で相手をするよ、恨みっこナシだ!」 晴が言い終えると同時に集まっていた八人のリベリスタが陣形を組むために動く。 後衛をバイデンから隠すように立った前衛の一人である『つぶつぶ』津布理 瞑(BNE003104)はこちらの動きに合わせて構え始めたバイデンと相対して圧倒的な威圧感を感じていた。 「やっぱり、ハンパじゃないよね」 変わった瞳の色に恐怖して外の世界から逃げた自分とリベリスタに対しても怯まず挑んでくるバイデン。 瞑はそこに圧倒的な覚悟の差を感じてしまう。 「でも」 覚悟の量だけならこの戦士達には勝てないだろう。 「皆生かして帰らせるんだ」 故に、瞑るが抱くのは想い。 全員で絶対に生きて帰るという覚悟にも似た想い、アークのリベリスタとしての決意だ。 「――手負いの獣こそが恐ろしい」 『足らずの』晦 烏(BNE002858)が紫煙と共に吐き出した言葉には実感が籠っていた。 彼が裏社会で生きてきた中で似たようなことがあったのだろうか、その顔はどこか苦々しい。 「獣というかまるで猪のような連中だな」 「でも、奴らは強いよ、今でも覚えてる」 『八咫烏』雑賀 龍治(BNE002797)の言葉に『銀狼のオクルス』草臥 木蓮(BNE002229)の呟きに木蓮が返す。 「そうだな、油断せず戦うだけだ。――行くぞ、木蓮」 「うん、行こう。俺様、龍治と一緒なら負ける気がしないぜ」 二人は視線を交わして、作った握りこぶしを軽く打ちつけ合った。 それはその場にいたリベリスタにも、バイデンにも解することは出来ぬ二人だけの儀式。 誰も彼も肚は括った、さぁ後は戦って勝つだけだ。 ● 「うちは更に加速する!」 瞑が加速する。両手にナイフを持ち身を低くして走るその様子は飛ぶ燕のように軽やかだ。 「相手をしてもらうよ!」 瞑がブロックに向かったバイデンは広範囲を攻撃するためかポールアームのような斧を持っており懐に入られると若干不利のように見えるがそんなことよりも戦う相手が自分を選んだことが重要のようだ。 『ルオオオ!』 距離を取ることもせず瞑が牽制に振るったナイフを的確に斧の柄で受け止める。 「やるじゃん」 自らの攻撃が防がれたことを悔しがる風でもない瞑の言葉はどこかバイデンに対する敬意すら感じられた。 戦いが始まったのは二人の間だけでなく、残りのバイデンとリベリスタ達の間でも戦いは始まろうとしていた。 声を上げて突撃してくる六体のバイデンの中でリベリスタ達が真っ先に狙ったのは盾を持つバイデンだ。遠距離攻撃を持つ者が次々と一撃を見舞う。 「レナ・フォルトゥス、行きますわ」 戦場に響く宣言。『森羅万象爆裂魔人』レナ・フォルトゥス(BNE000991)が掌に集めた紫電を解き放つ。 荒れ狂う電気の蛇は味方をすり抜け、レナが敵と認識したバイデンのみに命中し、脚から武器から躰をかけ上って行く。 六体の内半数、盾持ちを含む三体のバイデンが絡み付く雷を振り払うことが出来ずにまともに電撃を浴びる。 「其処だ」 雷が消えていくのと入れ替わりに挙がったのは龍治の声と銃声。乱戦故に連射ではない一発の弾丸は正確な弾道を描き盾を持ったバイデンの傷口を貫く。 『ルア゛ア゛!』 度重なる攻撃に体中を攻撃されていたバイデンは 龍治が放ったクリティカルな一撃に腹の中を焼けた鉄の棒が突き抜けて行くような感覚に襲われ、自分が何をされたか理解することも出来ずにそのまま堪らず傷口を抑えながらうつ伏せに倒れる。 発砲直後の為未だ煙を上げる銃を構えたまま、自らが放った弾丸が起こした結果を見ていた龍治は己の狙撃の成功を確信すると素早く次の獲物を探し始めた。 ● 先手を取ったのは間違いなくリベリスタ側だった。 元からあった数の差は先ほどの集中砲火の末の龍治の一撃でさらに広がっている。このまま行けば、勝てる。 全員の脳裏にそんな考えが浮かんだが、そのまま戦闘を進ませるほどバイデン甘くはなかった。 『しゃらくせえええ!!』 拳を覆うような骨を装着したバイデンが体の割に長く、太い腕を空気を切り裂く音が鳴る程の速度で突き出す。 「……ッ!」 アッパー気味に打ち込まれた拳は真実の体を持ち上げそのまま後方に弾き飛ばす。 「伊集院様!」 『青い目のヤマトナデシコ』リサリサ・J・マルター(BNE002558)は先ほどまでバイデンと撃ち合い後衛の自分達を守ってくれていた真実が口からどす黒い血を吐きながら飛ばされる様に思わず名前を呼ぶ。 「今回復しますから、気を確かに持ってください!」 掌に癒しの光を宿し真実の腹部に添える。 「う………」 真実は途切れながらも必死に呼吸を行っていたが、ちらりと前に目をやった真実は見た。 自分が飛ばされたことで開いた前衛の隙間から見えてしまった。 槍を持ったバイデンが槍投げの体勢を取っていることが。 『邪魔だな、アイツ』 真実はバイデンの口がそんな風に動いた気がした。それが意味するのは狙われているのは自分ではなく――。 「逃げ……て!」 発したのは警告の声。だが、治療に全力を注いでいたリサリサはその意味を咄嗟に理解することができない。 硬い物同士がぶつかる硬質な音が立つ。投げられた槍の穂先がギャリギャリと鎧のガードを削りながらあらぬ方向に飛んで行く。もし、リサリサが強固な鎧を身に着けていなければ体に槍が突き立っていたかもしれない。 後衛に攻撃が飛んで行ったことを心配した仲間が一瞬リサリサの方へ視線を向ける。 「大丈夫です……私のことは心配しないでください!」 リサリサはふら付きながらも気丈に立ちあがる。 「自分の傷も、皆さんの傷も、どんな傷も私が癒します!」 此方のことなど気にせずに戦ってくれ、とリサリサは告げる。 (絶対に守り切ります……仲間を……ニホンを、世界を!) リサリサが再び回復を飛ばす中、真実が後ろに飛ばされたことでブロックの間に出来たわずかな隙を無傷のバイデンが強引に突破してくる。 『ガアアアア!』 大剣を持ったバイデンは先ほどから全体攻撃で仲間をサポートし続けたレナへ狙いを定めているようだ。あっという間ににレナの目の前へと到着したバイデンはそのまま剣を振り上げる。 『オオオオオオオオオ!』 種族特有の怪力に任せ剣を振り下ろす。 その威力たるや凄まじく、レナの体力を一瞬で消し飛ばす程だ。 「これだから蛮族は……!」 レナは運命を消費して立ち上がる。しかし、眼の前に聳え立つバイデンは今だ健在だ。このままむざむざともう一撃食らえば今度こそ本当に命が危ない。 「おっと、それ以上はさせんぞ」 そこに割り込んだのはオーラから生成された糸で出来た巨大なネット。 龍治が火縄銃から獲物を捕らえるに使う捕縛の罠を放ったのだ。それはバイデンがもがけばもがくほどその身に絡まりついて行く。 「やれやれ……猪撃ちというては失礼だな、この状況は」 蛮族等ではない、こうして心底楽しそうに今自分達と戦う相手はバイデンの戦士なのだ。 そう考えながら龍治は僅かに口元を吊り上げる。それは普段から冷静沈着な彼からすれば有り得ないような変化なのだが、その高揚を感じ取れるものはこの忙しい戦場にはいなかった。 ● 「これで! 終わり、だーっ!」 漆黒の鎌の刃先が不気味にうねり、伸びる。それが十分な長さになったところで晴は鎌を手前に引く。 オーラの刃がバイデンの頭部を覆い、新しい血の匂いがその場に漂う。 「俺の勝ちだな、最初に言ったとおり恨まないでくれよ」 晴が後衛のレナや龍治の援護を受けつつ手負いのバイデンを倒すことに成功したのだ。 シュルシュルと鎌を元の長さにもどしながら晴が呟く。 多分、自分だけなら負けていたかもしれない。そう思うほどに敵は強かった。晴が勝つことが出来たのは一重に彼が一人で戦っていたわけではなかったからだ。 当初に理想のようにガチンコで戦えなかったのが残念だったがそれは仕方ない。ともあれ自分は全力を出し切って勝てたというのが大事なのだ。 「さぁ、俺も加勢に行かなくっちゃ!」 晴は振り向き戦線へと戻る。 無傷で戦いの場に来たバイデンはいまだ半数が健在なのだ。 だが、その半数ももはやリベリスタ達に囲い込まれている。 「やれやれ……やっと半分か」 ブロックを抜けたバイデンを再び相手取りながらも冷静に戦況を見ていた烏が呟く。 どうやら自分の向かい側で戦っていた真実達が最後の手負いのバイデンを倒したようだ。 だがこうして半数に敵を減らすまでにフェイトを使用した者が一人、それ以外にも手傷を負っているものが多くいる。それだけ敵が強かったということを示している。 「こっちもそろそろだな」 最初は無傷であった残りのバイデンも長い戦いで此方と同等、寧ろそれ以上に傷ついている。 だからこそ、此処からが踏ん張りどころだ。 「幕引きにさせてもらおうか」 素早くアクセス・ファンタズムから銃を引き出す。 ポンプアクションで薬室に弾丸を送り込むまでの一連の動きを淀みなく行う。 今や一発で人を殺傷出来る力を得たショットガンをバイデンへと向け、撃つ。 薬夾に込められていた複数の散弾が一斉に飛び出して敵の頭を吹き飛ばした其れは二度と立ち上がることを許さぬ確殺の一撃。 残ったバイデンは、後二体、その内序盤に遠距離攻撃でリサリサにダメージを与えた槍を持ったバイデンの正面に立つ射手が居た。 「食らえっ!」 ライフルがジャイロ回転の掛った弾丸を弾き出す。もはやこの乱戦で範囲攻撃などほとんど使用することができないため、木蓮は先ほどから一発ずつ攻撃することを余儀なくされていた。 それはつまりそれだけ敵を倒すのに時間がかかってしまうということだ。 無論、後方からリサリサの回復が常時飛んではいるのだが一人に対する回復量よりもバイデンの凄まじい攻撃力故にダメージ量の方が大きい為じわじわとダメージが蓄積している。 「くっ」 凄まじい速度と精度で突き出される槍を紙一重でかわす木蓮。 これまで長い間槍を凄まじいスピードで振るい続けるバイデンを相手にし続けた木蓮は攻撃を見切りそれまで攻撃を紙一重でかわし続けていたが、持続していた緊張感がとうとう切れた。 『ズァガアアア!』 点の攻撃である筈の刺突がまるで壁に見える程の連撃となり木蓮を襲う。 「ぐううううう」 木蓮の血が乾いた大地に吸い込まれる。流れ出す血と一緒に生命の灯そのものが消えそうな感覚に襲われる。 「俺様は……負けないぜっ……」 木蓮の運命が煌々と燃え上がる、消えかけた生命の灯が再び輝きを放つ。 そんな木蓮に追撃をかけようとしたバイデンの前に影が躍り出る。 「俺が相手だっ!」 先程自分の担当したバイデンが倒れた晴だ。 彼を含め仲間の援護に回る余力の出た者がバイデンと木蓮の間へ入る。 治療を受けるために後ろに下がる木蓮を気にせずバイデンは新しい相手達に目を向け楽しそうに笑った。 「やっぱり、バイデンは強いぜ……」 「喋っちゃだめです!」 砂に詰めを食いこませて痛みに耐える木蓮にリサリサが全力で治療を施し始める。 すると、そこへ龍治が何所か焦った様子で駆け寄ってくる。 「大丈夫か」 その移動は射撃の場所取りも兼ねていたのか、敵へと視線を向けたまま龍治が問う。 「もう、大分ましになったよ、リサリサの御蔭だ」 木蓮の返答は暗にもし治療が無ければ、あそこで仲間が間に合わなければ大惨事が起きていたということを示す言葉だ。 結果的には助かったが、それをそのまま楽観視できる龍治ではなかった。 無論、こうして戦いの場に出てきている以上こうした危機に陥ることは誰もが覚悟していることだ。 だが、自分の大切な人が目の前で傷つけられたのだ。それがどうして許すことが出来ようか。 「木蓮、そのまま休んでいろ」 龍治の怒りに呼応するように龍治の持つ銃の火縄に火が付く。 「あやつは、俺が倒す」 頬付けの体勢、視線と銃口の先にはリベリスタに囲まれつつも奮戦する敵の姿。 龍治が引き金を引く。火皿の中の火薬に火が入るとそこから先は一瞬だ。 鉛玉は先ほどまでと同じように仲間のリベリスタに一切傷を付けることなく、そして美しいまでの直線で銃口とバイデンの額を結ぶ。 圧倒的な技術に裏打ちされたキルショットで龍治は宣言通りにバイデンを仕留めて見せたのだ。 「うちは、お前に負けないっ!」 残った最後のバイデン、それを相手にしていたのは瞑。 機動性を生かした戦い方をしていた彼女は回復や援護を受けていたこともあって最初から最後まで戦い続けていた。 振るわれる斧を足場にする、攻撃を刃ではなく柄の部分で受ける。 金色の髪を揺らして動き続けるその姿は一種の舞のようにすら見える。 当の本人はそんなことも気にせず、流れる血も汗で額に張り付いた髪も気にせずただ全力バイデンと向き合っていた 特殊なスキルを持たない彼女にはバイデンに何を言っても、何を言われても理解することは出来ないがこの闘争は彼らとのコミュニケーションだ。 例えこれで自分が倒れても満足だ。彼女は今そう言えた。無論、負けるつもりは更々ない。 「もう、限界が近いね」 度重なる連撃でスキルを放つのも限界に近い。勝負を決めるとしたら次の一撃。 「行くよ」 地面を踏みしめる、加速する。 体の勢いを全部刃に乗せて袈裟切りに振り抜く。 『アアアアアアアア!』 バイデンはそれを全力で受けながら芳香する。それは防御よりも次の攻撃を考えた動きだ。 最初から最後まで彼は戦いというものを楽しんでいた。 「いっけぇ!」 瞑も叫ぶ、全身を無理矢理賦活させる。 限界を超えてもう一歩踏み出し、攻撃したことで落ちた速度をもう一度上げる。 先ほどまでなら此処で守りに入っていたが此処でそんな悠長なことはしていられない。 袈裟切りに使ったナイフとは逆、左手に握ったナイフが跳ねあがりバイデンの体に斜め十字の傷痕を刻む。 (お前は、強かったよ) 限界を超える力を出したことでチカチカとする頭の中で瞑は倒れるバイデンを見ながら相手へと届かない賛辞を送った。 ● 慌ただしかった乱戦の場に落ち着きが訪れる。 他の場所では未だに戦闘が続いている箇所もあるようで未だ戦いの音が響いている。 再びこの場所に侵入してくるバイデンがいないとも限らないため、この場を離れることは出来ない。 一旦の戦いを終えた彼らに出来るのは仲間の勝利を、この戦いの勝利を祈るだけであった。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|