●その車、凶暴につき……。 人知れず建設が続けられている海上高速道路。 本来なら一般車両など通らないであろうこの橋を、一台の黒塗りベンツが走り抜けていた。 しかもただのベンツではない。 神秘の力により常識を外れた動力源、駆動、構造を備えたゴーレムカーであり、無人の車内には代わりとばかりに大量の銃器が装備されていた。 夕暮れ前の無人道を高速で駆け抜けるゴーレムカー。 識別名称・マシンガンベンツ。 ●カーチェイスバトル 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)の並べた資料の多くは、車のカタログやスペック表だった。 リベリスタの多くは、これを頭に叩き込むべきかと手に取ったのだが。 「皆さん、まずはそこに書いてあるスペックや造形を一旦忘れて下さい」 という前置きで、この説明は始まった。 和泉はスケッチした画像をディスプレイに表示させる。 「建設中の海上高速道路にエリューションゴーレムが発生しました。対岸の街へ突入し、何らかの破壊活動を行うものと思われます。道路は既に結界等で封鎖されていますので、この道路の走行中に交戦、撃破して下さい」 つまり、高速で走っている車に全速力で追いつき、ある程度併走、もしくはぶつかり合いながら戦う必要があるということだ。 そして、この敵の造形。 「元は黒塗りのベンツだったようですが、今は面影もあまり残っていません。車をベースにした化物と考えて貰って差し支えないでしょう」 ボンネットやトランク、運転席などから大量の銃器を展開させ、どこか古めかしいメカアームも駆使してあらゆる方向への射撃攻撃を可能にしている。 ただし衝突による打撃力には弱いため、できるかぎり遠距離戦に持ちこもうとするだろうとも予測されていた。 言い換えると、『撃ち合いになったらヤバい』である。 どのみち、接近する際に撃ち合いはせねばならないのだが。 勿論、ゴーレム化しているのでエンジンやタイヤを部分破壊しても意味はない。すぐに別の者に代用されてしまうだろうし、そう考えるとマトモに攻撃したほうがずっと良い。 いや、あなたらしく攻撃した方が良い、と言うべきだろうか。 「対岸まで到達してしまったらアウトです。長く戦っている時間はありませんし、荒っぽくても構いません。必ず、このゴーレムカーを撃破して下さい」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月27日(金)23:05 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●ハイスピードチェイス 「銃器満載のゴーレムカーと海上高速道路でチェイスバトルぅ? 面白いじゃないかァ――」 『外道龍』遠野 御龍(BNE000865)はダイヤモンドカットされたカスタムギアレバーを握ると、慣れた手つきでギアをトップへと入れた。 「日本列島そんなに急いでどこに行くぅ、街道仁義ってもんを教えてやるよぉ!」 急にスピードを増したデコトラ(派手な装飾をした大型トラックを指す)に、助手席の二人はびくりと緊張した。 御龍の場合は電飾全開派なので、増設されたバッテリーからパレードカーの如き輝きを発している。夕暮れ時とは言え、内側からライトアップされた街道を見ると言うのはレアな体験かもしれない。 シートベルトのボタンに手をかける『戦奏者』ミリィ・トムソン(BNE003772)。 「本当、話だけ聞くと映画のワンシーンみたいですけど……現実なんですよね」 「いや何、熱いじゃねーの。映画みたいに熱くクールに行こう!」 『ハッピーエンド』鴉魔・終(BNE002283)も同じくベルトを外すと、ドアのロックを解除。遥か前方を走る黒塗りのベンツをじっと睨んだ。 一方、御龍のデコトラ電飾に照らされて、『リベリスタ見習い』高橋 禅次郎(BNE003527)はバイクのアクセルを全開に捻った。 「メルセデスとは慈悲深い人を意味する。名前の意味すら忘れて暴れているとはな……」 「そうだったのか。てっきり作った人とかの名前かと思った」 後部シートに跨り、禅次郎の腰に手を回す『合縁奇縁』結城 竜一(BNE000210)。 「下りであれば下り最強と言われた俺の活躍が見せられたんだが――」 「黙って捕まってろ」 「はいはい。あーあコレがボンキュボンの美少女ライダーとからったらなあ」「……振り落とすか」 「はいゴメンナサイ!」 ぴっとりと身体をくっつける竜一。 その脇。つまりデコトラと挟まれるような形で赤いスポーツカーが並んだ。 ――その車内では。 「お前さンのお陰で助かったぜぇ、いやー悪いねぇ。あんたリベリスタの鏡だよ。じゃ、頑張ってくるぜ。ブヒヒィッ!」 『湾岸ミッドナイ豚』オー ク(BNE002740)が片手運転しながら携帯で電話していた。 道路交通法なんのその。ごつごつした指輪で革張りのハンドルを撫でる。 車は、オークには不似合いな、もっと攻撃的でバイデンじみた奴にこそ似合うような車であった。爆弾のようなエンジン音と低い車高。カスタムされているのかフードがギラギラと発光していた。 その後部座席で顔を見合わせる『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)と『ブルーウイング』ユリア・T・アマランス(BNE000798)。 「こんな車持ってたんですか、オークさん?」 「そう見えるかい?」 「いや……」 オークが乗ってる車ってなんかこう、棘々した装甲をくっつけた世紀末カーみたいなイメージなのだが。そんな車に実際乗っているとも思えない。これでカローラとかパッソに乗ってたら現実を疑う所なのだが……。 「僕は助かりますよ。平たくて上に乗りやすいしっ」 ユリアはそう言うとひょいっとサンルーフから身体を滑らせ、ルーフ上へと登った。ぴったり面接着で脚と膝をつけると、ゴーグルを装着。 「それじゃ、行きますかぁ!」 ●限界高速バトル 助手席の頭上についている手すり(クリスタル状のパーツに交換されている)を握りしめ、ミリィは目を凝らした。 「目測――目標との距離23m。間もなく交戦距離に入ります。感覚共有!」 脳内でキンッという鋭い音が鳴り、ディフェンサードクリトンが発動、やや間を置いてからオフェンサードクトリンも発動させた。 「それじゃあ荒っぽく行くから、しっかり捕まってなぁ!」 アクセルを思い切り踏み込み、御龍はハンドルを豪快に回した。 電飾全開のデコトラがベンツの後ろへ急加速で接近。 それを察知したベンツのリアハッチが開き、およそ七丁ほどの旧式軽機関銃が飛び出してきた。ドラム式弾倉にぷっくりとしたボディ。俗称シカゴタイプライター、もしくはトミーガン。 毎秒何十発という凄まじいスピードで弾丸が跳んで来る。 御龍はデコトラを無理やり蛇行させながらそれを回避。 「ちんたら走ってんじゃないよぉ!」 ベンツの側面まで追いつくと、軽く車体を擦るようにぶつけてやった。 不壊伝説の高級車と言えどベンツ。大型トラックにぶつけられれば跳ね飛んでもおかしくないのだが、ここはやはりエリューション・ゴーレムと言うべきか。少しばかり押されただけで、逆に御龍のトラックと拮抗し始めた。 「面白いねぇ……さ、行きなぁ!」 「お言葉に甘えて、っとお!」 終がドアをけ破るかのように開き、ベンツのルーフへ着地。風圧で吹っ飛ばされかけるが、短剣を車体に突っ込んで無理矢理固定した。 「ハーイそこのいかしたダンディ、オレも載せてってくんなぁい!?」 袖からナイフを抜き出し、怒涛の連撃を叩き込む。 終の一方的な攻撃が続くか……と思われたその時、ボンネットが観音開きし、内側から何丁ものトミーガンが飛び出してきた。 「って、どうやってしまってあったんだよそれ!」 凄まじい量の弾丸がぶつけられ、終は無理矢理ベンツから剥がされる。 アスファルト道路をバウンドしてみるみる小さくなっていく終。 「お、終さんっ!」 「よそ見してる暇はないぞ。挟み込め!」 反対側に回り込んでくる禅次郎のバイク。 禅次郎は銃剣をどこからか抜き取ると、片手運転のまま車体側面へ連続発砲。ドアガラスが砕け散る。 「禅次郎もっと近づけてくれ、ぶち込む!」 「腕事持っていかれるなよ?」 竜一のリクエスト通りにバイクを近づける禅次郎。竜一はフロントドアへと刀を突っ込み、横一文字にぶった切った。 ばこんという音を立ててドアがもぎ取れ、凶悪なスピードで後方へと飛んでいく。 「殺す気かテメェ、慰謝料ふんだくるぞ!」 オークが野次をとばしながらも、回転鋸と化したドアを回避。アクセルを踏み込んでベンツのリアバンパーに思い切り車体をめり込ませてやった。テールランプがカバーごとはじけ飛ぶ。 オークが若干速度を落として隙間が空くが、再び加速して激突。念入りにリア部分を拉げさせた。 「元は高級車。やっぱぶつかって傷つくのは嫌だろうなぁ。ブヒヒッ、カマ堀からの慰謝料請求で鍛えたあっしのドライビングテクニック魅せてやらぁ!」 エンジン音が鳴り響き、タイヤがアスファルトを擦って火花を起こす。 まるで押し出されるように圧迫されたベンツがサブマシンガンを向けてくるが……。 「ていっ!」 狙いすましたユリアのライフル射撃がサブマシンガンのアーム部分をぶち抜いた。がこんとスポーツカーの上を跳ねて飛んでいく銃。 それを上半身をひねってかわしつつ、ユリアはライフルを素早くリロードした。 足と片膝はしっかりとスポーツカーのリフに接着している。 反撃とばかりにサブマシンガンを雨のように撃ちこんでくるベンツ。 ユリアは目を瞑って防御を固めるが、スポーツカーのフロントガラスはみるみる蜘蛛の巣だらけになった。 そんなガラスを銃底で叩き壊すユウ。倒した助手席シートに寝そべるようにして車内に身を隠すと、フロントガラスの在った場所からアサルトライフルだけ突き出してトリガーを引いた。 「この車持つんですか?」 「ブヒー! 廃車に決まってんだろこりゃよお」 ユウはぞっとしながらもフルオート連射。トランクから飛び出たトミーガンの山を纏めて薙ぎ払う。 「もう一発――ねらいうつ、ゼッ!」 「ブッヒィ!」 更にユリアの射撃とオークの射撃が叩き込まれ、リアガラスを突き破って車内を荒らす。 と、その時。 まるで合図を待っていたかのごとく後部ドアが開き、内側からガトリングガンがせり出してきた。アメリカ軍正式採用機関銃。通称アベンジャー。側面についていた禅次郎のバイクを直接殴って振り払うと、オークの車両に向けてサブマシンガンなど比べ物にならない物理的衝撃が車両を襲う。 「やばっ、り、離脱ぅー!」 赤いスポーツカーはたちまちハチの巣になり、スピンしながら遠く後方へと流れて行った。 ●大爆発海上カーチェイス 「こうなりゃしょうがない、この手で行くかぁ!」 暫くベンツに横付けし、荷台部分を穴だらけにされていた御龍だが、最大限まで加速してベンツを追い抜く。 助手席に座っていたミリィが若干不安な声を出した。 「あの、これってもしかして映画とかでよく見る……」 「その通ぉーりぃ!」 御龍はじゅうぶんベンツを引き離した後、ハンドルを思いっきりきりながら急ブレーキを踏み込んだ。道幅の限られた海上道路で、大型トラックがこんな挙動をしたらどうなるか。 「三代目竜虎丸、ちょっとばかし辛抱しなぁ――!」 道脇の鉄柵をいくつか抉り取りながら、御龍のデコトラが道路を完全にふさぐ。 それに対してベンツは、残ったドアを自らパージすると、車体左右両方からガトリングガン(アベンジャー)をせいだし、トラックの車体へと高速連射。 9ミリ弾は防げても、破壊の権化のようなガトリング射撃を受けて無事な車両などそうそう無い。トラックの荷台をくりぬくように巨大な穴を開ける。その穴をジャンプで突っ切るベンツ。両サイドに突き出ていたガトリングガンは衝撃でもぎ取れ、アスファルトに転がった。 ぽっきりと折れ曲がった形で取り残されたトラックから身を乗り出し、御龍は涙声で叫んだ。 「あ、あたしの愛車をよくもおおおおおおお!」 「御龍さん、追いかけますよ!」 ミリィがバイクを出現させてエンジンをかける。 と、そこへ後方から猛スピードで接近する二台のバイクがあった。 厳密にいうと、大排気量のバイクと改造スクーターという組み合わせなのだが。 「待たせたな、今度こそあの黒塗りボディをべっこべこに――ってなんだこれぇえええええええええ!?」 スクーターで全力疾走していた終は、穴を飛び越えようとしたがギリギリで間に合わず、車体にモロに激突。穴を突っ切ってカタパルト発射され、アスファルトに叩きつけられた。 「お、俺の愛車……出番こんだけって……!」 「おいそこ邪魔だ、よけろ!」 華麗なドライビングテクニックでトラックの上(上である)を飛び越えてきた禅次郎のバイクが終の真横に着地。そのまま猛スピードで突っ切って行く。 どうやら竜一は乗せていないようだ……と思ったらトラックの向こう側に落下して伸びていた。振り落とされたらしい。 「……お互い報われねーな」 「なあに、後半戦で取り返すさ!」 AFを翳す終と竜一。 とかなんとかやっていると、猛スピードでコンパクトカーが突っ込んできた。 コンパクトカーである。なけなしのお金で買ったと思しき一般車両だったが、それが、そんな車がデコトラの車体に思い切り激突。 フロント部分をを射撃で破壊すると、オークとユウ、そしてユリアが穴を飛び越えて飛んできた。後ろで起こる小爆発。そして御龍の悲鳴。 「ブヒー、こいつも廃車だぜえ! どおれ次の車はどんな乗り心地かねぇ!」 オークが素早くAFを操作。エンジンがかかった状態の車を出現させる。オークの姿は既に運転席の中にあった。 今度は所々にピンク色のペイントが入ったフォルクスワーゲンカーで、なんとも軽薄なデザインだったがやけに性能だけ高そうである。 すぐにトップギアに切り替えてベンツに追いつき、横に並ぶ。 「オークさん、一体車何台持ってるんですか?」 「アァ? どうだったかなァ……っと!」 真横に並んだ途端、オークは思い切り車体をベンツに叩きつける。 一度ではない。自分の車がベッコベコに壊れるまで叩きつけるのだ。 マシンガンの射撃が横一文字に叩き込まれ、車の天井部分がごっそり吹き飛ばされる。 「よぉしこれもオシャカだ、次次ィ!」 ドンッと別の車を出現させるオーク。 今度は軽トラックである。ユウといユリアは今までとは勝手が違うと思って跳躍。ギリギリのところで二台の上へと飛び乗るのだが……車にペイントされた名前にユウはびくっとした。 「に……『新田酒店』!? ナンテ!? ニッタナンデ!?」 「ブヒヒィ、車なんざいくら壊れても痛くもかゆくもねえ。なんたってこりゃ、他人の車だからよお!」 オークは再びトラックをベンツにぶつけまくる。流石のベンツも車体をべきべきと凹ませるが、それは新田酒店のトラックとて同じだった。明日からのお仕事はどう考えても無理なレベルにまで荷台が歪んだ。 「あっしに貸すってこたぁプレゼントも同然だからな! 正義の名のもとに悪事も暴挙もし放題だぜ、良い世の中になったもんだなぁ! ブッヒヒイイイイイイイ!!」 狂気の沙汰としか思えない声を上げて車体を押し付けまくるオーク。ベンツは高速道の淵に追い込まれ、大量の火花をあげながら減速。 ユリアはこのまま車に乗ってたらいつか死ぬと感じたのか、ベンツへと思い切って飛び乗った。 「これでもくらえーっ」 ベコベコになったルーフの上からありったけの残弾を叩き込むユリア。 一方でユウはトラックの荷台に這いつくばるようにスタンバイすると、上からベンツに弾丸の雨を叩き込んでやる。 そこまでやられてベンツが黙っているわけもなく、ボンネットやトランクから出したサブマシンガンを滅茶苦茶に乱射してユリアと新田酒店トラックを薙ぎ払いにかかる。 「わっ、うわー!?」 思い切り跳ね飛ばされたユリアは鉄柵を飛び越え夕暮れの海へ転落……しかけて翼でホバリング。 同じくユウも翼で制動をかけて水没だけは逃れたが、オークは新田さんちの車ごと鉄柵を飛び越えて墜落して行った。 「こうなりゃ司馬のワンボックスカーに乗り換えて……って間に合わねえなこりゃあ! 後は任せたぜェ!」 ブヒヒィーと言いながら海へ真っ逆さまに落ちるオーク。そして新田さんちの商業利用車。そしてついでとばかりに出現していた司馬さんちの黒いワンボックスカー。 どこか遠くで何人かの悲鳴を聞いた気がしたが、ユウはふっとため息をついた。 「諸行無常……ですね」 そんな彼女の目の前を、二台のバイクが通り過ぎていく。 勝負の行方は、残された者達に託された。 「ボクたちは追いつけそうにありませんね……って、あれ?」 ユリアはその時、更に後方から猛スピードで追いかけてくる機影に眉をしかめた。 廃車寸前のレベルまで痛めつけられたベンツを追い越すことくらい、禅次郎にとっては容易いことだった。今は後部シートに誰も乗っていない。身軽さと自由さに引き攣った笑みを浮かべ、禅次郎はハンドルをきる。 アスファルトに複雑な湾曲ラインを刻み込み、前後反転する禅次郎のバイク。 そしてインカムを親指で叩いた。 「竜一、でかいのを一発ぶち込んでやろうぜ!」 『おう!』 良い返事だ。禅次郎はそう言うと、真正面からハイビーム全開で突っ込んでくるベンツへと、真正面から突っ込んだ。 銃剣をまっすぐ構え、オーラを固める。長い螺旋状の槍を形成し、ベンツと正面衝突。 あまりの衝撃に意識が吹っ飛ぶが、視界がブラックアウトする寸前に見えた光景に、禅次郎は思わず噴き出したのだった。 それは何かと言うと。 「うおおおおおお行くぜ俺の白王号ぅぅぅぅ!!」 馬に跨り、猛スピードで走る竜一の姿だった。 しかもその後ろにはかぼちゃの馬車が(ありえない振動で盛大に揺すられながら)括り付けてある。 「倉庫に埋もれてたから持ってきちゃった、てへぺろ! お待ちになって王子様ァー!」 刀を振り上げ馬で突っ込む竜一。途中でパージされたかぼちゃの馬車がベンツへと直接突っ込み、衝撃で飛び出した終が車内へと滑り(めり)込む。 「よくやった白王号!」 車体に刀を突き立てる竜一。一方で終は車内を手当たり次第ぶっ壊しまくった。 ボンネットから飛び出したサブマシンガンが車内と竜一、そして彼の馬へと叩き込まれる。 耐久力的にも限界だ。 と、その時。 「運転研修は受けてきました。飛ばしますよ御龍さん!」 ミリィがバイクをフルスロットルでかっ飛ばし、ベンツの横へと並ばせる。後部シートに跨っているのは御龍である。目を血走らせ、悪鬼の如き表情で大剣を振りかざした。 「相棒の恨み、思い知れぇえええええええええ!!」 強烈な斬撃が叩き込まれる。 ベンツはバランスを崩して蛇行。危機を察した終と竜一は車から飛び降りる。その直後、ベンツは鉄柵を突き破って海へと真っ逆さまに墜落。その途中で大爆発を起こし、消滅したのだった。 沈みゆく夕日が目に染みる。 ユウとユリア、そしてオークとはぷかぷか浮かぶワンボックスカーの上で。 竜一と禅次郎はアスファルトに寝転がり。 ミリィと御龍はバイクの傍らで。 そして終は、乗り捨てたバイクを苦労して起こしながら。 皆、大きな夕焼けを見つめていた。 ゴーレムカーは、もういない。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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