●無人島で一個だけ持っていくとしたらコレっていうもの オッサンは無人島に流れ着いていた。 職にあぶれハロワにも相手にされず家でも腫れもの扱いされ毎日ピザ食って生きていたプロニートのオッサンでも、少なくとも生きていたいという希望はあったのだ。ニートだけど。 しかしここにきて望みが絶たれた、そう思うしかない。 想像してみるがいい。 見渡す限り海。 どこか遠くにポツンと見える陸地などもはや幻と同じ。 水はあれども海水ばかり。 そこらじゅうに葉っぱが生えているがトゲトゲしていて気味が悪い。 オッサンは今、絶望の淵にあった。 そう。 今。 「トイレットペーパーが……無い……!?」 わかるだろうか? マジお分かりいただけますか? 君の人生の中で、その、ええと、用を足した後とかに、紙が無かったなんて経験は、もしかしたら何度かあるかもしれない。 だが少なくとも数メートル移動すればそこに目的のものはあったし、事前に用意しておくと言う保険だってかけられる。 そしてみな、つらい思い出と共に水洗トイレに流してきた筈だ。 だがどうだ。 この絶海の孤島のどこに……そう、どこに紙があるというのか!? そんな時である。 『困っているようだな』 ダンディな声と共にすっと差し出される紙。いやさ神! 男は奇跡を見たと言う眼差しでそれを見上げた。 そしてびっくらこいた。 それは確かに紙であったし、巻き取り式トイレットペーパーではあったが、その全長なんと3m! しかもなんだか手足的なものが生えており、ダンディにサムズアップしていた。 『これ、使いな』 そんなものを見てしまっては、どうもご親切にと言って千切っとくわけにはいかなかった。 「ひいいいいいいいおばけえええええええええええっ!!」 オッサンは悲鳴を上げて海へ飛び込み、バタフライで泳ぎまくり、そしていつしか陸地に辿りついたと言う。 『…………』 トイレットペーパー怪人。 いや、エリューション・トイレットペーパーは、その後ろ姿をいつまでも見つめていた。 ●トイレットペーパーってさ、ぶっちゃけさ、水とか火とか……。 「……………………」 いまここに何があるのかを説明するために、あえて三つのヒントを出したい。 1.アイワ・ナビ子(nBNE000228)。 2.ミイラ。 3.アホ。 答えはオープニングの後で。 「うもごごご、もご、もごごごごも、もご?」 ナビ子の説明によると、日本南部に沢山あるなんちゃらかんちゃらっていう無人島のひとつにEゴーレムが出現したらしい。 とりあえず放って置けば世界がヤバいので、倒しちゃってくださいよシャッチョサーンという話なのだった。 「もごごご? うもごふふもごふ」 敵は一体きりだが、なんとも強靭かつ巨大でそしてナイスガイなのだという。 きっと倒すのにとても苦労する筈だし、凄まじい激戦が予想されるし、きっとこの依頼の難易度なんてBERRY HARDに違いないって言ってた。 そんな中リベリスタの一人がぽつりと……。 「え、でもトイレットペーパーなら水で」 「モゴォォォォふ!」 リベリスタの口がペーパーで塞がれた。ラベンダーの香りがした。 「もご、もごもごふ。もごごごご?」 九人のリベリスタが今回派遣されることになるが、一体そのうち何人が彼を倒す方法を見つけられるか……。 ただのゴリ押しで勝てるとは思えない。かと言って奇策を講じて足元をすくわれないとも限らない。 一体どうすればいいのか……。 「もうそれ火ぃつければ」 「モゴッッフアアアアアア!!」 リベリスタBの口がペーパーで塞がれた。弾けるラベンダーの香り。 ごとんと倒れるリベリスタを見下ろし、残りのエアリードスキルのある人達がすっと額に手を当てた。 「……きょ、強敵だな」 「……ど、どうやって倒そうか」 「……で、そのロケーションっていうのは?」 「もごふ」 水辺で火打石とか転がってるところだそうです。 「すっごい強敵だなああああああ!」 「倒し方わかんないなあああああ!」 「色々試してみるしかないなああ!」 リベリスタはヤケクソ気味に頭を抱えながら、依頼へと出発するのであった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 9人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月26日(木)22:50 |
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■メイン参加者 9人■ | |||||
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●芯なしトイレットペーパーが湿った時の即死ぶりは異常 「これまでの!」 「あ、あらすじっ!」 小舟の上でサングラスをキラーンする『レッツゴー!インヤンマスター』九曜 計都(BNE003026)。 その横で『局地戦支援用狐巫女型ドジっ娘』神谷 小夜(BNE001462)もずりおちがちなサングラスを慌てて直した。 「電車の中でゴロゴロに襲われた時、駅トイレのトイレットペーパーが無かったら――はいどうぞっす!」 「えっ、ええっ!? ええと……その……キヨスクに売ってる保湿ティッシュをですね……」 「ええいこの話題はやめろ! もしかしたらお食事中の視聴者がいるかもしれないだろうが!」 助さん角さんの『鎮まれ鎮まれぇい!』の動きをしながら割り入ってくる『リング・ア・ベル』ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)。 「全く依頼に関係の無いことをつらつらと……そんなことよりオッサンの話をしようではないか。こういう依頼でオッサンが死なないのはレアなケースなんだぞ。これからもがんばってほしい物だな、オッサン……」 「それはそれで関係ない気が」 「………………」 額に手を当てて蹲る『立ち塞がる学徒』白崎・晃(BNE003937)。 日射病にやられたとか、封印されし闇の力が目覚めたとかじゃなくて。 「また『コレ系』か……! ラ・ル・カーナが騒がしいのを『この後何か面白い依頼が出るんじゃないか』と待機してみてたらこの有様だよ! 全く、オイルよりはまだマシだが」 「ほう、その件について詳しく……」 「やかましいぐぐれ! もしくは報告書を読め!」 晃は耳のガジェットに手を当てると、ミュージックプレイヤーを起動。 アッパーテンポで、どこか夏のビーチを彷彿とさせる音楽が流れ始めた。 HEY-DJ! 「熱いよー、死ぬよー、ノルウェーに帰りたいよーぉ」 水着に浮輪という完全リゾート仕様の『三高平高等部の爆弾娘』蓮見 渚(BNE003890)がビーチでどべーんと寝転んでいた。 折角なのでグラビア的角度から撮影したい。 映像が見えない方は脳内のアンテナで受信しよう。 まずは砂浜にたらーんと伸ばした白い脚からだ。スキルの割に活動的な渚は足の筋肉がゆるやかについていて、きゅっとしまった形の良い足をしている。ノルウェーハーフと言うだけ合って色は白く、若いノルウェー女性特有の透明感が出ていた。 そんな肌の色を強調するかのようにビキニは白。腰のフリルはどこか子供らしさを連想させる大きめのフリルになっており、引き締まったお腹から胸元へのなだらかなラインが渚のコケティッシュな魅力を発揮しているのだが、今回はあえてポンデリングみたいな浮輪で隠されている。やはり18歳にしては若干幼児体型な所をカバーするためか。しかしこの浮輪に寄りかかることによって上半身を反らすような姿勢が形成され、なだらかな胸のラインが美しいシルエットを作っていた。『太ければ丸まれ。平たければ反らせ』と言う格言を知らない者は意外と多い。 顎から首にかけて流れる一筋の汗がワンポイントなセクシーさを演出し、斜め側から当てられたハイライトによって肌の白さと汗の煌めきが浮き立ち――気づけば今回の描写量の半分くらいが割かれていた。 「うん、僕、結構満足だよ……」 『頭の』光量調節ネジを匠の手つきで回しつつ、『サーチライト』山田・光(BNE003898)は渚の周りをゆっくりと旋回した。カメラさんの動きに合わせてのことである。誰だろうカメラさん。 パチンと光を消す光。 「今回の敵はトイレットペーパー……スキしかないように見えて実は僕らを油断させる作戦かもしれない。騙されないぞ、僕は騙されない!」 太陽に向かって振り返ると、光は光量最大でぺかーっと光った。 「真の好きを見つけるまで、手出しは無用だ!」 今更だが、光の容姿を想像したければ映画泥棒の頭がスタンドライトになったヤツを想像して貰えばいい。 ちなみに今は、ビキニである。(サービスカットである) HEY-DJ! 突然だが、シマウマ男がいた。 「ボクね、シマウマなんですよ。シマウマ。雑草ならギリギリ食べられる気がするんだけど、紙はね、流石にね……」 火打石を指先で転がしながら呟くシマウマ男こと『クロスロード』天王寺 勇馬(BNE000977)。 すごく厳密な話をすると頭がシマウマだからって草食えるわけじゃない(きっとお腹壊す)のだが、彼はそのうちアイアンストマックをとって庭の雑草をもしゃもしゃ食ってくれる生体芝刈り機になるのだろう……と、想像して楽しもう。 「ふむ……」 小鳥遊・茉莉(BNE002647)が明後日の方向へ振り返る。 「何故でしょうね。ここにきて皆一切戦う気を見せてないきがするんですが……気のせいですか」 「ふん、まさか……」 『剣姫』イセリア・イシュター(BNE002683)がふぁさぁっと後ろ髪をかき上げる。 無論水着である。サービスカットである。 (※着替えのシーンはブルーレイ・DVD版の特典映像として収録されています) イセリアはキッとカメラの方……じゃなかった、『敵』の方を睨んだ。 「もう、私達は敵の目の前まで来ているのだからな」 『イェエス』 非情にダンディズム溢れる声でサムズアップするエリューショントイレットペーパー。 リベリスタ一同(半数以上が水着)は一斉に戦闘の構えを取る。 先頭に立って輝かしくも神々しい剣を抜き、正眼に構えるイセリア。 「強敵だな。だが私は剣姫にして剣鬼。我が剣にかけて貴様を――倒すッッッッ!!!!」 イセリアの目に炎が灯り、カメラさんへ……じゃない、Eトイレットペーパーへ怒号と共に斬りかかったのである! ●ここでいったんCM入ります カシュッという小気味よい音と共に、水滴のついたビール缶が持ち上げられる。 イセリアは豪快に口を付けると、一気に首を傾ける。 喉がごくごくと上下し、世にも恍惚そうなため息が漏れた。 「無人島ビーチにはビールが良く合う。プリン体ゼロで太る心配もないしな……」 砂浜に若干埋めるような形で缶を置くと、イセリアはゆるやかに膝を抱えた。 向かいから吹いた海風が髪を揺らし、そっと麦わら帽子を押さえる。 「あの……すいません。CM前まで剣抜いてシリアスな戦闘シーンに突入する煽りじゃありませんでしたか?」 ちびちびとグリーンだよ的なビールに口を付ける茉莉。 イセリアは今日一番のキリッとした目で振り返った。 「あれはCGだ」 「CG(コラ)!?」 「私の装備を見て見ろ、そんな装備が一つでもあるか?」 「確かに水着とビールとスイーツとぐらいしか……って、え、それ自慢することですか!?」 「なに、強敵相手に剣で切るなど、竜の鱗を鑢で削るようなもの」 「さっき『剣姫にして剣鬼』って言ってたのに……」 「トイレットペーパーの芯ならあるが、代用しようか?」 「ハイメガお断りします」 ちなみに彼女達の背景では渚がEトイレットペーパーと熾烈な激戦を繰り広げています。四重奏を叩き込んでバックステップで攻撃を避けたり回り込んで蹴りを入れたりそういうのです。短く纏められてるのは水着シーンで尺使い過ぎたからです。 「そういう茉莉殿もこんな所でどうした。フレアバーストとか、あるだろう」 「フレアバーストぉ? そんな短絡的な戦闘方法、エレガントではありませんね」 「確かにな……む、いかん。ちょっと……」 「どうかしまし……あっ」 イセリアと茉莉は若干足をもじもじさせ、背景にある茂みをちらちらと見始めた。 「水分を取り過ぎたか。しかしここは無人島だしな……」 「そ、そうですね、でもあの辺の茂みだったら多分……」 そろそろと茂みに入って行く二人。そしてカメラ。 イセリアがビキニの腰紐に手を伸ばし――たその時。 「フルボッコだバン☆」 テヘペロ的顔をしたベルカがスライドインでカメラ前へ割り込んだ。口で閃光手榴弾のピンをぶっこ抜く。 目がぁぁぁぁぁぁぁカメラさんの目があああああああ! 「まあ落ち着け。そして聞け。ここは海辺で火打石まである。分かるか? そう、海辺には潮風が吹いているのだ。死をの満ち引きを考慮してジャストな風をおびき寄せれば……フフ、ぺらっぺらの紙をなびかせて奴は体勢を崩すだろう。そこに颯爽と私のフラバンが炸裂。怯んだところに全力で突き出すのだ! あ、勿論陸側だぞ。準備体操もせずに海に入るのは危険だからな。そして――」 HEY-DJ!(キュキュキュッキュキュッキュッキュキュキュ!) 一方こちらは戦闘風景。 「先に謝っておく、流れ弾が当たったらすまん!」 晃は地面に転がっていた火打石を熟練のサッカー少年が如く胸の前に蹴り上げると、わざわざ一回転してから籠手のナックルガードで火打石を粉砕した。 「名付けて――フリント・ショットガン!」 画面下辺りにごっついフォントで技名が表示され、無駄に勢いのある背景と共にEトイレットペーパーへと石の礫が飛び出していった。 『甘い、魔神・トイレッツ神様!』 Eトイレットペーパーの背景からなんか頭にとぐろを巻いた爺さんが浮かび上がり、パフォーマンス的な動きをした後最終的にはEトイレットペーパー自身が石の礫を張手で打ち返していた。何だったんだろう後ろのやつ。 晃も晃で不敵に笑いながら口角についた血を親指で拭ったりしていた。いつ付いたんだろうこの血。 「くっ、流石にやるな……俺のフリント・ショットガンが通用しないとは……」 どうでもいい説明を咥えると、スキルによるオブジェクト破壊はたとえガラス片やシャンデリアであっても周辺への追加ダメージは起きない。神秘のモンスターがそんなもんに気づ付けられたりしないのである。 『いや……この俺の紙に穴を開けたのは、お前が初めてだぜ』 ……しない、筈である。 「神谷、俺がこいつを抑えている内に早く攻撃を!」 「あっ、はい分かりました!」 小夜はナップザックからポカリのペットボトルをいそいそと、そして大量に取り出した。 「知っていますか。猫避けのペットボトルは日の光を凝縮する作用があるので燃えるものを傍に置いておくと火事になってしまうんです。その理論を応用したのがコレです!」 「ほう、名前は!?」 「なっ……ええとっ、ねっ……『猫避けしてたら火事になっちゃった君』です!」 「……」 「今、中身飲んじゃうんで、ちょっと待っててくださいね!」 小夜はいそいそとペットボトルの蓋を開けると、ぐびぐびとポカリを飲み干した。 若干口の端から漏れて鎖骨や胸に流れていくのはサービスカットである。 ちなみにその間晃は『殴られ過ぎて痛いから後ろに下がってるね!』と言ってムーンウォークし始めた渚の代わりにEトイレットペーパーを物理的に抑えていた。腕とかぷるぷるしていた。 「ま、まだか……」 「あと十五本です!」 「…………は、早く……」 「はっ、大変です晃さん!」 「何だ!?」 ペットボトルを両手で包むように持ち、頬にぴとっと当てて上目使いに見上げてくる小夜。サービスカットである。 「お腹が痛いのって、ブレイクフィアーとかじゃなんともなりません!」 「知るかああああああああああ!」 「ええと……お花摘みに行ってきますね?」 「さっさと行けえええええええ!」 そして晃は、Eトイレットペーパーにぐるぐる巻きにされたのだった。 突然だが、シマウマ男の口にトイレットペーパーが詰め込まれた。 「これ、食べられるんじゃないかい?」 「喰えるかああああああっ!」 ぼはぁと紙を吐きだすシマウマ男こと勇馬。いやさUMA。 「え、でも……」 光は顔の前にピンクのフィルターを垂らしつつぼんやりと勇馬を照らした。 浜辺でピンクの光に包まれるシマウマ男。サービスカットである。 「でもじゃない! それにしてもあのEトイレットペーパーは厄介だな。殴ってもまるで効いてない」 「ねー?」 首をかしげる光。斜め下から照らし出される勇馬。サービス以下略。 「じゃ、ちょっと九曜君の眼鏡借りるよ」 「おうふ、めがねめがね……」 計都から眼鏡をひったくり、ゾンビ的な動きをする彼女を無視して光はぺかーっとライトを照らした。 木片にじりじりと光が集まる。 「では、ボクは火を起こしますね」 勇馬は木の枝を立ててぐりぐりと手でこすって回転させ始める。 「火、つかないね……」 「湿ってるからかな……」 光(サーチライト)と勇馬(シマウマ)は顔を見合わせ、お約束のように『うおっまぶしっ』てやりながら乾いた木を探しに茂みの奥へと入って行った。 HEY-DJ!(気分上々↑↑) 暫くメガネメガネってやってた計都が、地面に半分突き刺さった眼鏡を引き抜いてちゃきっと装着した。 「ふっ、今の隙があたしを倒す唯一のチャンスだったものを……貴様、漢だな?」 ニヤリと笑う計都。どこからか牛乳とコーラックを取り出すと、勢いよくグビグビと飲み干した。腰に手を当てて胸を反らしてである。 口角からちょっと零れる牛乳。サービスカットではない。 「ぷはぁぁ! これぞ古代中国より伝わる決闘法、抗辣苦(こーらっく)! あたしのお腹はもって五分。あたしが人の尊厳を失うか、貴様が命を失うか……面白くなって来たじゃねぇかあ!」 ●テレビショッピングを挟んで番組の続きをお送りします 「はうあっ、やめて、腹パンはやめて、だめだから、ゴールデンタイムで放送できなくなっちゃうから!」 文字数にして三万文字という凄まじくもアクロバティックな戦闘シーンを繰り広げた計都は、お腹に手を当てて『ちょっとタイム』のポーズをとっていた。人差し指と中指を交差するアレである。 ちなみに、視認性を高める為に今回だけ導入された格ゲー風HPゲージは赤く点滅していた。 ちなみにEトイレットペーパーの方は数ミリだけ減っている感じである。 「いかん、ここで火や水を使って倒してしまっては後で紙が使えなくなる……紙が使えないとあたしの尊厳が死ぬ……こうなれば、こうなれば……最後の一撃に全てをかけるまでよおおおおおおおお!!」 うおーと言いながら殴りかかる計都(物理攻撃力38、20歳無職)。 HEY-DJ!(全員の水着集合イラストがカットイン) 「岩ガキだ、岩ガキがあったぞー! 旬だな、たらふく食おう! ちょっとそこの火打石で火を起こしてくれ! 何砕け散ってる?」 「大丈夫、ボクこんなこともあろうかと火を起こしておいたよ!」 「でかしたぞサーチライト! ビールもまだあるから楽しもうじゃないか!」 「――そしてそこから更に怒涛のフラバンラッシュ! いいぞ私、フルコンボだぞ私! 奴はもう目がー目がーしか言えなくなるだろうな、フフフ。しかも衝撃で砂浜の粗い砂が全身に張り付いているのだ。ここまで来れば……もう分かるな? あとは両手でごしごしすることでEトイレットペーパーなどわっしゃわしゃになるに違いない! はははははっ、圧倒的じゃないか! もう何も怖くないぞ!」 「行け晃、葉っぱカッターだ!」 「アキィー……って何やらせんだ! しかし背に腹は代えられん、喰らえその辺で拾ってきたギザギザする葉っぱスラーッシュうおおお引きちぎれたああああ!」 「ねえコレミシン目にそってぴりぴり切れるよ! これをね、こうやってこうやって……紙飛行機ー! 海に向かって飛べー!」 「すまん、腹が……ちょっと、お花を詰みに……っておい待て渚、紙を海に流すな! この世には神(紙)を必要としている人々がいるんだぞ! せめて一枚こっちに」 「えーでも溶けてなくなっちゃったし」 「何してくれてるんだ貴様あああああああああ!!」 小夜は丁寧にペットボトルでピラミッドを作りつつ、後ろで繰り広げられる壮絶な掛け合い風景へと振り返った。 「なぜでしょう。私も含め物凄く巻き進行にされている気が」 「あれじゃない? もう尺が無いんじゃない?」 「まさかそんなことは……うわホントだ! 今の時点でもうすごいギリギリですよ!」 勇馬と茉莉が顔を見合わせ、慌ててEトイレットペーパーへと飛びついていく。 紙の先端を二人がかりでがしっと掴む。 「勇馬さん準備は!」 「いつでもいいよ!」 「「はいせーのっ!! よいではないかー!」」 とある無人島に、Eトイレットペーパーという化物がいた。 彼はお代官様に帯をクルクルされる町娘のごとく紙を全力で引っ張り出され、白線流しかってくらい豪快に海へと流されたのだった。 彼がエコを考えた芯なしペーパーだと気付いたのは、彼らが夕暮れまで遊びつくした後だったという。 「めでたし、めでたし……」 一同は浜辺に腰をおろし、暮れなずむ海を流れゆく白線を眺めていた。 白線は長く長く、どこまでも伸びていく。 どこまでも。 どこまでも。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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