●橋頭堡の内部――架け橋付近 バイデンたちの猛攻は続く。 リベリスタの奮戦をもってしても止められぬ赤の巨人達。彼らは橋頭堡の内部まで足を踏み入れた。 『大した”家”だな』 『ああ、他のヤツも招待してやらんとな』 巨大な肩甲骨を両手剣のように加工したバイデンが、架け橋の方に迫る。橋の降ろし方など知らないが、壊せばその廃材で堀の向こうまで道は作れるだろう。そう思い橋のほうに歩を進めていく。 それを塞ごうとするリベリスタたちは、一緒に侵入してきたバイデンに止められる。犬の様な大きな獣の頭蓋骨を両肩に装着し、それをぶつけるように突撃してくる巨人。彼らを皮切りに施設内でバイデンが暴れ始める。 その武器が振るわれるたびに吹き飛ぶ仲間達。自分達では勝てない。そう悟ったリベリスタ達は、緊急を示す信号弾を打ち上げる。 (気付いてくれるだろうか……。いや、気付いても他の場所も手一杯だ。果たしてこちらに手を割く余裕があるのか……) 破壊される施設。架け橋が下ろされれば、更なるバイデンが侵入し、破壊の波は加速するだろう。 三つの月が照らす夜。プリンス・バイデンによって率いられたバイデンの大部隊。 荒野を揺るがる巨人達の攻勢は止まらない。 橋頭堡の後ろにあるのは、我等が世界のリンク・チャンネル。 この世界を、そして自分達の世界を守るため、リベリスタ達は武器を持ち立ち上がる―― |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:HARD | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月30日(月)00:02 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 「……よく、頑張ったな」 『神牙』司馬 鷲祐(BNE000288)は信号弾を放ったリベリスタに労いの言葉を告げて、破界器をダウンロードする。 やってきた八人のリベリスタ達は五人のバイデンに対峙する。その殺気に応じるようにバイデンたちも獣の骨で作られた武器を向ける。 施設内で繰り広げられる戦い。その破壊の一つが死闘の開幕を告げた。 ● 「サテ、バイデン共カカッテコイ」 最初に動いたのは『光狐』リュミエール・ノルティア・ユーティライネン(BNE000659)。巨躯のバイデンに対し、体勢を低くして突っ込んでいく。真正面からつっこんで、バイデンの二歩前で軽く左に跳んでからのステップイン。単純なフェイントだが、リュミエールの速度で迫られるとその効果も充分。光の軌跡を残しながらナイフはバマヂの肌を裂く。 「――神速斬断。その身に刻めッ!」 その傷の痛みで眉を顰めている隙に鷲祐が走る。コモドオオトカゲの脚による高速移動こそが彼の武器。その速度を刃に乗せて、ナイフを煌かせる。通り抜けざまに一閃、振り返る勢いのままに一閃、懐に入るために近づき一閃、そのまましゃがみこむように一閃。その牙、まさに毒をもつ野獣の如くバマヂを傷つけていく。 「そう易々と通すわけにはいきません……」 『鏡操り人形』リンシード・フラックス(BNE002684)がゴシックな衣装をなびかせながらウガヌに近づいていく。。言葉が通じないことなど、さして問題ではない。 「護るべきものがあります……。招かざる客……ここでお帰り頂きます、覚悟してください」 仲間を守る。その決意を口にし、リンシードは虚ろな瞳に意志を乗せてウガヌを見据えた。 「橋壊しちゃダメー! 何でそんな余計な事すんのっ! もー!」 まさに『ぷんぷん』といった感じで怒っているのは『いつか出会う、大切な人の為に』アリステア・ショーゼット(BNE000313)だ。バイデンに言葉は通じない。最も言葉が通じたところで橋の破壊は止まらないと思われたが。体内のマナを循環させて円を作りながら、アリステアは五人のバイデンたちを見た。 「みんなの傷は私が治すの。痛い思いはさせたくないのっ」 「ったく、昔は馴染みの戦場と同じように死の臭いがプンプンするじゃねーか」 傭兵の経歴を持つといわれている『さすらいの遊び人』ブレス・ダブルクロス(BNE003169)が鼻を動かし、破壊と死の臭いを嗅ぎ取る。火薬や燃料排気の臭いこそないが、ここは戦場。その根幹にある臭いを敏感に嗅ぎ取る。 「その手の世界から離れた身としては、さっさとこの地獄を終わらしてカワイコフュリエちゃん達の水浴び状況でも見物したいもんだぜ」 バマヂに銃剣を振り下ろしながら、ブレスはやれやれと肩をすくめる。 「異世界の危機が、世界の崩壊に繋がるというのなら放ってはおけない」 アリステアの前に立ち、敵の射線を遮りながら『red fang』レン・カークランド(BNE002194)はグリモワールを開く。この橋頭堡の後ろにはボトムチャンネルへ続く『穴』がある。血気盛んなバイデンがそれを知れば、自分の世界が蹂躙されかねない。 「俺が守るものを壊させはしない、絶対に。この橋も、守り抜く」 破滅を告げるカードをバマヂに投げつける。嘘つきのカードが神秘の光を放ち、バマチの胸元で爆ぜる。 「やれやれ。客を招くにはまだ準備が整いきっていないのに困ったもんだ」 凛、とした雰囲気を崩すことなく『ピンポイント』廬原 碧衣(BNE002820)は青い髪を掻き揚げる。手のひらに神秘の力を蓄え、バイデンたちに向かって解き放つ。衝撃と聖光がバイデンの肉体に叩きつけられ、痺れるような感覚を残す。 「乱暴で気が早いお客様には、早々にお帰り願わないとな」 「歴史を思い出せば、城攻めは門が破られたかで勝敗が決まる」 『紅炎の瞳』飛鳥 零児BNE003014)は『剣と思しき鉄塊』を手にバマヂに歩を進める。全身の筋肉を剣を振るうために凝縮し、他の部分は力を伝える為の線と思う。大上段から振り下ろされる一撃。その一撃はバイデンたちさえも驚愕させるほどの威力。 「普段大事な誇りやかっこよさ、それらは今不要なんだ。がむしゃらでも、必死でも、とにかく門を守り抜かなくちゃいけない」 門を破られれば、施設の破壊は加速する。それは仲間の危機というだけではなく、フェリエたちや自分達の世界を危険にさらすことになるのだ。 ここが分水嶺。背水の陣。水際の戦いだが、まだ押し返せる。リベリスタ達は破界器を握り締める手に力を込めて、大地を蹴った。 ● アムデの大剣が橋に向かって振るわれる。異世界の存在には気付いていたが、脅威ではないと判断したのか。 一撃で橋を抑える柱にヒビが走る。すぐに崩れはしないだろうが、逆に言えば何度も繰り返されれば崩れてしまう。皆で作った橋を、崩させはなしないとバイデンを睨むリベリスタ。 リベリスタの作戦は、唯一遠距離攻撃を持つバマヂを集中砲火で落とし、そのあとでバイデンをブロックしつつ各個撃破を行なうものだ。事実、バマヂは集中砲火によりかなり疲弊しており、再生能力を使用しても次の火力で押し切られるだろう。それは想像に難くない。 バマヂを最初に狙う理由は、後衛への危険を排除する為である。実際、バマヂの骨のダーツは碧衣に向かって飛び、その肩に突き刺さる。物理の防御に秀でるわけではない碧衣はその一撃でかなりの体力を奪われた。 「……あ――」 零児は三人のバイデンが自分に向かって攻撃してくることを察した。バマヂに集中砲火を仕掛けたがゆえに生まれた小さな隙。生来のものと機械化した義眼でバイデンたちを睨み、防御に武器を構える。 こと戦闘経験においてバイデンは百戦錬磨のリベリスタと同格といってもいい。リベリスタ達がバイデンを集中放火するように『一番火力の高い存在』を優先的に狙う知恵はある。ケインデとリダルザの武器が零児を裂き、ウガヌのショルダータックルが炸裂する。 「……くっ!」 わずか三撃。それだけで運命を代償にせねばならないほどの猛攻。ケインデの攻撃で防御の隙をつかれたとはいえ、恐るべきはバイデンというところか。 (加速シロモットモットモットモット) リュミエールが自らのギアを上げながら、ケインデの前に回りこむ。とある戦いで得た防御用短刀を手に、戦場を駆ける。あの戦いのように。否、あの戦いの時よりも速く。剣戦は光となり、刃の軌跡は光弧となってケインデを切り刻む。 (何ヨリモ自分だけの領域に到達スルマデ、力が無くても速度と技術と直感で塗りつぶす) 圧倒的な速度。これこそがリュミエールの武器。刃を握り締め、高速で駆け抜け切り刻む。高いバランス感覚と、悪い足場でも立つことのできる粘着性の高い足。それらを駆使してケインデの虚を突くように動き回る。 ケインデの武器が武器の軌道が読みづらい難しいなら、リュミエールの攻めは動きを捉えること自体が難しい。目まぐるしく動く少女を前に、肋骨の先端は空を切る。 しかし何度も続ければ骨の先端はリュミエールに届く。不気味に曲がった武器がリュミエールの肌を裂く。 「これでおわりだ!」 鷲祐のナイフがバマヂを切り裂く。相手の懐にもぐりこみ、幾何学的な軌跡でナイフを振るう。その勢いを殺さぬままに防御用マントをリダルザに向けて視界を塞いだ。ここからはオレが相手だ。そう告げるように。 しかしいかに鷲祐が素早かろうと、この混戦の中で相手の動きを完全に封じるのは不可能だ。後ろに通さぬことはできるが、それ以上は難しい。 そしてリダルザからすれば今つぶすべきは鷲祐ではない。現状で最も自分達に不利益をもたらす者に目を向ける。リベリスタの中で最大火力を持ち、そして次の一撃でトドメをさせそうな零児にその矛先がむいた。アリステアが回復よりわずかに早く振るわれる骨の爪。 「がぁ!」 リダルザの持っている武器が零児を横なぎに払う。その血飛沫が、荒野を赤く染めた。そのままゆっくりと倒れる零児。 「零児! くそったれが!」 ブレスがウガヌに向かって銃剣を突き立てる。自らのオーラを稲妻に変え、肉体を焼きながらの一撃。ウガヌはその一撃にブレスを睨み、肩を突き出して突っ込んでくる。銃剣を盾にして踏みとどまるブレス。その視線は、ウガヌを押さえていたリンシードに向けられた。今だ行け、と。 頷きウガヌの横を抜けるリンシード。背中のケースを投げ捨てて、橋を叩いているアムデに向かう。重荷を捨て去り、今まで以上に加速する。 「橋より……もっと面白いものを、殴らせてあげます」 アムデの視界に割り込むように移動し、刃を向ける。その行動に笑みを浮かべ、肩甲骨を削って作った剣をリンシードに向けた。 「もっとも、当たるか解りませんけど」 ねっ、と心で呟き最大加速でアムデの気をひくように剣戟を繰り広げる。 「さて。少し状況は厳しいな」 碧衣はバイデンたちに衝撃を与えながら、戦況を見やった。最大火力の零児が倒れ、バイデンを押さえながらの戦いとなっている。レンや碧衣の攻撃で動きを鈍らせたりアリステアの回復もあるが、それ以上の火力でバイデンは攻め立ててくる。バマヂを先に倒したことにより後衛への危険性は激減したが、前衛が一人でも倒れれば危険性は増す。 「不吉の王よ!」 レンがウガヌに向かってカードを投げつける。不吉を告げるカードがバイデンを傷つける。ウガヌの肩にある獣の頭蓋骨の一つにヒビが入る。怒りの表情を浮かべるウガヌ。背後に立つアリステアの存在を気にしつつ、一進一退の戦いを前に流れる汗を拭った。 「だめっ。皆は私が守るのー!」 レンの背中越しに戦場を確認しながらアリステアが癒しの歌を奏でる。声に魔力を、旋律に想いを乗せて戦場全てに届けと声高らかに響くソプラノの歌。その歌あっての戦線維持。彼女がいなければ、とうに戦線は崩壊していただろう。それほどまでにバイデンの攻撃力は高い。 リベリスタの作戦はバイデンの各個撃破である。誰か一人に火力を集中している間、他のバイデンの注意を引いておく必要がある。 注意を引いているバイデンの攻撃を一対一で何処まで耐えられるか。それが勝負の要だった。 天秤は少しずつ、揺れ始める。 ● 「マダマダ倒レテヤラネーヨ」 バイデンの一撃を受けてリュミエールが膝を屈しそうになる。運命の犠牲がなければそのまま倒れていた。こちらが与えた傷も大きいが、バイデンの打撃はそれ以上だった。アリステアの癒しの歌を持ってようやく渡り合えるほどだ。 「きっついねぇ。加減なしかよ」 ウガヌのショルダーアタックで地面を転がりながら、ブレスが悪態をつく。痛みで身体を震わせながら、運命を燃やして立ち上がる。人数がもう少しいれば背後をとるような動きもできるのだが、如何せんこの状況ではそれは無理だ。後衛に生かせないために足止めするだけで手一杯だ。 「……さぁ、捉えきれるかな?」 防御に徹している鷲祐は、バイデンを押さえているものの中では比較的ダメージが少ない。しかし防御に徹しているということは相対するリダルザはほぼ無傷であるということ。そして防御に徹していても、数回攻撃すればそのうちの一つは鷲祐に命中する。そして傷口から流れる血が少しずつ体力を奪っていく。 「わっ。えっ、やっぱりこっち!」 アリステアの癒しの歌は、時折その傷を塞ぐときもある。だが確率は高くない。もう少し高確率で癒す神秘を持っているのだが、それを行なえば回復が止まってしまう。そうなれば戦線崩壊は目に見えて明らかだ。 「手が足りない、か」 碧衣は攻撃をやめ、リベリスタ達のエネルギー補充のために動き回る。アムデと戦うリンシードや回復を行なうアリステアに補充を行い、そして時折自分にも補充を行なう。アムデの動きを阻害したいのだが、その余裕がない。 「いい加減倒れろ!」 レンが放つ不吉のカードがウガヌに突き刺さり、その命を奪う。これで二人目。ようやく光明が見え始めたと希望の表情を浮かべるレンだが、アムデと戦っているリンシードのほうを見てその顔がこわばった。 「……っあ!」 肩甲骨の剣が振るわれる。回避に優れるリンシードはその一閃を避け、かわし、そして高速で攻めていた。まともに食らった回数はわずかに一回。後はかすった程度だ。 ただ掠っただけで、リンシードの体力は削られていた。元々の一撃が強いのか、その風圧だけで吹き飛びそうになる。よろけた所に一撃を叩き込まれ、意識が千切れ飛ぶ。それでも、 「私も……死ぬまで撤退するつもりはありませんよ……死は恐れていないです」 運命を燃やしリンシードは立ち上がる。そのまま高速で刃を繰り出し、アムデと切り刻む。剣戟が光を生み、その光がバイデンの感覚を狂わせていく。 『――アアアアアアアア!』 敵味方の区別を失ったアムデが真っ直ぐにリダルザの方に向かっていく。背後からの一撃に驚き、怒声をあげるリダルザ。 しかし――そこまで。 リダルザに程度のダメージが入っていれば、ここでリダルザが倒れて流れは変わっただろう。しかしリダルザは倒れることはなく、アムデにかかった幻惑もすぐに解ける。わだかまりは残るものの、その場で殴りあうほどバイデンも愚かではない。 結果として、ウガヌが抜けた穴にアムデが入ってきたことになる。リンシードがアムデを押さえる為にが戻ってくるが、リベリスタの疲弊は激しい。 「その傷は飾りかそれとも誇りか。この一手で見える!」 鷲祐が一度後ろに下がり、リダルザの傷口めがけてナイフを振るう。バイデンの古傷をえぐるように繰り出されたナイフ。古傷に刃を立てられて怒りの咆哮をあげる。怒りの一撃とばかりに骨の爪が鷲祐を襲う。その一撃で鷲祐も膝を折り、運命を削ってなんとか立ち尽くす。 「……マッタク、冗談ジャネーゼ」 最初からケインデと一対一で戦っていたリュミエールが、地面を転がり動かなくなる。じわり、とその周りが赤く染まっていく。 「……くっ!」 ブレスがケインデを通さないためにその前に立つが、運命を削って起き上がった体力では長く保たないことは自明の理。リュミエールも相応に傷つけてはいるが、どちらが先に倒れるかを考えると火力に勝るバイデンに分があるだろう。 そしてアムデの剣がリダルザの近くにいた鷲祐に迫る。リンシードと比べてどちらが当たりやすいかを比べた結果だ。剛剣は復活したばかりの鷲祐に振り下ろされ―― ● 個としてバイデンとリベリスタを比べれば、バイデンに軍配があがる。故に一対一の勝負を仕掛ければ地力の差でバイデンが勝利する。 人数で勝るリベリスタの優位性を、個人戦を仕掛けるということで有利に生かせなかった。相手の気を引きながらも、バマヂのように集中砲火を仕掛ければあるいは勝機は生まれたかもしれない。 だが全てはあとの祭り。バイデン三人に対し、前衛の押さえは鷲祐が倒れて二人になった。最大戦力であるアムデはリンシードの剣で傷ついているものの、まだその動きが鈍ることはない。 「退くぞ。戦線を建て直す」 冷静に撤退の意見を出した碧衣。冷徹に見えるその裏では、激しい感情が渦まいていた。この場での勝利はくれてやる。撤退後の戦端をイメージする。バリケードと防壁。怪我人の収容。何を為すにも時間が足りないが、それでもなんとかせねば。 異論はあったが、レンは悔しさと共にそれを飲み込んだ。レンとアリステアとブレスは倒れているリベリスタ達を担いで、後ろに下がる。 「チッ、しょーがねぇ! 退くぞお前等!」 「待て、リンシードがまだだ!」 「あそこっ!」 アリステアが指差す先には、アムデと交戦するリンシード。彼女が引けば、アムデは橋の破壊に向かうだろう。その時間を可能な限り引き延ばそうと、鏡操り人形は戦場に留まる。 「気にしないでください……私は、人形ですから」 与えられた任務をこなす駒。自分の心を殺し、人形のようにリンシードは剣を振るう。 「私も残るっ!」 「ダメだ、アリステア。お前が行ってしまえば誰がみんなの傷を癒す?」 飛び出そうとするアリステアを碧衣が制する。仲間を見捨てるような物言いだが、誰かが殿になることで犠牲を減らす戦いもある。 不幸中の幸いか、リンシードが戦ってる限り建て直しに必要な時間は稼げそうだ。 「護るべきモノの為……ここから一歩も引きません!」 護る。それは希薄な感情の少女が戦いの中で得た、小さくしかし確実な感情。例え敗北が動かぬとしても、少女は身体が動く限り剣を振るい続ける。 リンシードの言葉と剣戟を背に聞きながら、施設の奥に走るリベリスタ。今は一分一秒でも時間が惜しい。この場での敗北を持ち直すために。 どぉぉぉん、と豪快な音を立てて架け橋が降りる。 そこからなだれ込むバイデンの軍勢。 しかしリンシードが稼いだわずかな時間で体制を整えなおしたリベリスタが、反撃を開始する。 「行くぞ!」 戦いは、加速していく―― 仲間を誘導するアムデの肩には、水色の髪をした少女が担がれていた。簡素な拘束具で手足を縛られており、かすかだが確かに呼吸はしていた。 『同志アムデよ。その二足の生き物はなんだ?』 『戦利品だ。良き戦士であった』 彼女との戦いを思い出し、アムデの顔が笑みに変わった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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