●『シンガータ』という群衆 その集団に名前は無い。 たまたま同じような巨獣に跨り、偶然同じような武器をこしらえ、何とはなしに居合わせていた一つの集団である。 彼らの武器は亀甲のような円形盾の側面に、獣の角を備え付けたどこか不思議な形状をしていた。 盾と槍の中間武器。ラルカーナには無い言葉だが、こちらの世界ではこれと似たようなものを『シンガータ』、もしくは『マル』と呼ばれている。 故に、彼等を呼ぶには、そう表現しても構わないだろう。 シンガータを持つ者ども。 バイデン・ザ・シンガータ。 彼らは今、この世界に現れたと言う未知の強敵を探して荒野を駆けていると言う。 ● 粗野で交戦的な種族バイデンの一団がアークのリベリスタを目当てに荒野を駆けまわっていると言う。 このままではフラフラ歩いているフュリエや警戒中のリベリスタが襲撃されてしまうとも限らない。 そうなる前に、こちらから打って出ようと言うのが今回の作戦である。 要するに、こちらから殴り込んで全員倒してしまおう、ということなのだ。 バイデンの数はおよそ8。 皆同じような形状の武器を装備し、狼と蜥蜴を混ぜたような巨獣に跨っているという。 細かいことを考えなくても、こちらを見つければ普通に襲い掛かってくるだろう。 だが逆に言えば、それだけ戦闘そのものに割くキャパシティが多いと言うことでもある。 心身ともに充分に準備をして挑んでほしい。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月17日(火)22:05 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●バイデンという生き物 『斬人斬魔』蜂須賀 冴(BNE002536)は静かに柄頭へ手を置いた。 ざらざらとした細かい砂の感覚に挟まって、外気の熱を帯びた金属部分が少し熱い。 夏も七月となればこの熱さも仕方のないことだが、生憎とここは自分たちの良く知る国ではなかった。 国という表現は些か控えめ過ぎるか。 ここはラ・ル・カーナ。 異世界である。 「本来であればこの世界に手を出すべきではなかった……のかもしれません。しかし穴が開き、バイデンたちがリベリスタに興味を示した以上捨て置くことはできない」 独り言のように呟く冴。 その脇で、『アウィスラパクス』天城・櫻霞(BNE000469)は自らの杖に寄りかかり斜に構えていた。 「経緯はどうあれ、力任せにぶつかり合うだけっていうのはシンプルなルールじゃないか。分かり易い」 「特にこちらから仕掛けるというのが良いですね。ストレスたまってるのかしら、ちょっとウキウキしてきたわ」 巨木を引きずるようにして、『畝の後ろを歩くもの』セルマ・グリーン(BNE002556)は首を傾げた。 「ふふふ、望む所よ。戦いこそ我が生甲斐というもの」 遠目に、もしくは肉眼で、既に敵影が見えているのだろうか。 『外道龍』遠野 御龍(BNE000865)はもう戦闘態勢に入っていた。 「戦闘民族が主らだけではないと言うことを教えてやる。殺し合いでなぁあ!」 「おうとも」 殺気を漲らせる御龍とは対照的に、『破壊の魔女』シェリー・D・モーガン(BNE003862)はどこか尊大に胸を張る。 「燃えてくるぞ。この戦い、妾が魔導の糧にしてやろう」 敵影接近。 交戦エリアに入られる前に、こちらから陣形を整えて接触を図った。 書を握るエリス・トワイニング(BNE002382)。 「シンガータ。攻守一体。であっても、攻防の間に、ロスが」 うわごとを述べる病人のようにか細い声で眼前の虚空に囁きかける。 『鋼鉄の戦巫女』村上 真琴(BNE002654)はその囁き声を耳聡く聞き取った。 「こちらの利点は総合火力と回復力。あちらの利点は当方の前衛を抜け切れるだけの数と打撃力。前衛陣を抜いてエリスさんを集中的に狙われたら勝ち目が薄くなります。暫くは防衛に専念しますからね」 「…………わかった」 そんな彼女等を追い抜いて、『√3』一条・玄弥(BNE003422)が咥え煙草のまま飛び出していく。 「バイデン皆殺しにしてお金貰ってついでにひゃっはーじゃ、くけけ、注意していきまひょか」 どす黒い殺意を燻らせて、玄弥達は敵の集団へと接触を始めた。 ●正義なき戦い バイデン八名。 いずれも巨獣に跨り凄まじい速度で突っ込んでくる。 もはや対話の余地などなかった。 今縮まっているのは交戦距離であり、会話の距離では決してない。 鍔弾き刃走りを抜け、冴は刀の切っ先をバイデン達へと突きつけた。 「騎乗を卑怯とは思いません。好きにするとよいでしょう――蜂須賀示現流、蜂須賀冴。参ります!」 回転と共に踏み込む。 接触のタイミングに合わせて刀を叩きつけると、相手はそれを待っていたとばかりに盾を突き出してガード。そのまま冴を押し込むように巨獣と自身の自重を押し付けた。 刀の背に鞘を交え、踵を踏ん張る冴。 このまま粘っていても押し切られる。 そう思っていると、御龍が冴の脇を駆け抜けた。 回り込んで鉄塊の如き剣を振りかぶる。 そこへ、槍を突き出して飛び込む別のバイデン。 咄嗟に振り方向を変え、槍ごと相手の腕を弾き上げる。 槍と盾を一体化した武器、シンガータ。バイデン達のそれは亀の甲羅に研いだ巨獣の角を縛り合わせたような構造だったが、その実用性はぶつかってみて初めて分かる。かなり、乱戦向きの武器なのだ。 剣を再び構えなおす御龍。同じく槍を構えなおすバイデン。とにかく大振りなのが御龍の弱点ではあったが、それは騎乗戦闘をするバイデンの方も同じだったようだ。 巨獣をコンパクトなターンで向き直らせ、再びの突撃をしかけてくる。 「敵に隙を見せるな、それが戦いの鉄則だ!」 体勢を低くする御龍。 大きく踏み込み、野球で言う内角低めを無理矢理叩き返すが如き強引なスイングを繰り出した。 歯で受け止めようとする巨獣だが、剣の腹は牙の上を強引にブレイクスルーし顎の付け根から脇腹までをバッサリと切り裂いた。 血肉をまき散らす巨獣。 しかしガッツを見せててかバイデンを振り落とすことはなく、四足を地に滑らせて御龍を睨んだ。 ちらりと、冴と御龍の死線が交わる。 二人の間にぽっかりと空いたエリアを、セルマが怒涛の勢いで飛び抜けていく。 タワー・オブ・バベルを通して叫ぶ。 「『私はセルマ・グリーン。名乗りなさいバイデンの騎士!』」 『言葉で語るな、命に聞け!』 セルマに飛び込まれたバイデンは、シンガータを盾構えのまま突き出した。ナックルを付けてのパンチに近く、攻撃方法としては上方向へのシールドバッシュである。 セルマの振り下ろした巨木と激突し、互いの身体を弾かせる。 反作用を両足のブレーキで殺し、二人は砂煙をあげる。 ぼぅっと体の奥に火が付いたような感覚を得て、再び突撃をかけた。 ぶつかり合う巨木と盾。 そうしている間に、五匹の巨獣が彼女達の頭上を飛び越えて行った。 狙いは後ろの方に下がっている連中だとすぐに分かる。 仲間が楽しく遊んでいるなら邪魔はすまいという精神なのだろうか。彼らは手に手に武器を掲げ、シェリーたちに襲い掛からんと吠えた。 途端、彼等の眼前に玄弥が飛び上がる。 同じ視線の高さまで飛ぶと、身体を緩く丸めた。 「皆で仲良く御遊戯かぁ? バイデンはアホばかりやなぁ、くけけ!」 即座に暗黒をまき散らす。 バイデンの一人が動作を誤って巨獣から落下。地面でごろりと受身を取った。 「降下はまあまあかねえ、おらぁ!」 煙草の紫煙をなびかせて、さほどない体重を乗せた爪撃を繰り出してくる。 咄嗟に盾を翳すバイデン。 乗主の落下に気づいた巨獣が素早くターンして戻ってくるが、玄弥はすかさず魔閃光を叩き込んだ。 ギャッ、という悲鳴をあげて転がる巨獣。 「ほう、おらおら、ここがええのんかぁ~? あァ?」 槍を繰り出してくるバイデンを軽く凌ぎ、巨獣に魔閃光を連射する玄弥。 玄弥が敵を凌ぐその間、庇われた形になったシェリーはどうしていたのか。 「…………」 じっとバイデン達の動きを見つめながら、杖をゆるく握っていた。 さほどの脅威でもないレベルの雷を周囲に散らしてはいるが、害意をむき出しにしていないからか、バイデンからの注意は逸れていた。いや、攻撃にさらされなかったのは偶然と幸運以外の何物でもないか。さほど続くとは思えない。 現に、手持無沙汰を覚えたバイデンが巨獣ごとシェリーへと突っ込んでくる。 「フン……」 シェリーは邪魔なローブを脱ぎ捨てると、杖を振り込んで巨獣の鼻面を打つ。 しかしそれは、巨大動物の前を小さな花弁が横切る程度にしか効果を発揮しなかった。チェリーの腕力故である。 さほどの妨害も感じずにシェリーの足に食らいつく巨獣。 動きを抑えられた。そう察した時には既に遅く、狙いすましたバイデンの槍がシェリーの心臓部を貫通していた。 「ッ……!」 声があがらない。 代わりに液体がごばごばと喉を上がり、泡の混じった血が口の端から漏れた。 巨獣に振り払われ、糸の切れた人形のように地面に放られるシェリー。 「シェリーさんっ!」 「来る、前」 眼下の何かに向けてぽつりとつぶやくエリス。 シェリーは間に合わない。エリスは言外にそう述べたのだ。 紙のような防御力と避けるつもりすら見せない回避力。そして脆弱な耐久力。バイデンと巨獣の攻撃をモロに受ければ十秒耐えられるかどうかも怪しい。 こと今回においては、誰かに庇われていなければすぐに倒れてしまうのは明白だった。 「…………」 黙って盾を翳す真琴。 バイデンが二人がかりで突撃をかけてくる。 左右の大盾にそれぞれ一本ずつ、槍ががつんと突き立った。 真琴のガードを余裕でぶち抜く威力である。しかし真琴自身の防御が完璧だったのか、打ったバイデンの方が痛みを多く感じている様子だった。 否、よく見れば、彼の攻撃そのものに反動があるらしい。 推測にすぎないが。そうだとすれば、真琴は彼等にとって最悪のキラーになり得る。 「……」 余計なことを考えず、黙って盾を構える真琴。 様式美を何処かへ捨て、性能だけを求めて身を固める。 その後ろでエリスは、静かに、そして静謐な目で真琴たちの回復に励んだのだった。 割合と言うものを重視するわけではないが。 エリスの目から見て、『まあまあの被害』が出たらフォローを入れると言う方針で回復を行っている。 しかしどうだろう。敵の動き方やダメージの程を見る限り、大振りだが一発がデカいタイプと見える。 隙を見てエネミースキャンをかけているが、大体それらを裏付けるだけのデータが出てきた。完全ではないので人に教えずらいのが悔やまれるが。 「…………」 この分だと、『まあまあの被害一歩手前』の段階から一発でノックダウンされる可能性も出てくる。真琴くらいの頑丈さがあれば別だが、メンバーの多くはそこまで高い耐久力を持ってはいない。シェリーの例程ではないが、うかうかしているとひっくり返される可能性もあった。 味方のダメージ量に関わらず、攻撃が当たった傍から個別に回復していく、もしくは過剰にでも回復してやった方が良いのかもしれない。 攻防一体でコレなのだがから、打撃特化したら一体どれほどなのか。 背筋に寒い物を感じながら、エリスは回復を急ぐ。 エリスの回復があったとは言え、真琴がここまで敵の攻撃を凌ぎきれていたのには理由がある。 「邪魔はさせない。そこで黙っててもらおうか」 櫻霞は気糸でバイデンの両足首と手首を押さえつけ、仰向けに倒れた相手の喉を靴底で押さえつけた。 呻くバイデンの口に杖の石突を捻じ込む。切っ先が仕込み刃になっている石突だ。こんなものを口に入れられればただでは済まない。バイデンは必死で刃を歯で止める。 「後で聞きたいこともあるからな。できれば終わるまで黙っていて貰えるか? 『悪いよう』にはしないぞ」 タワー・オブ・バベルを通して語りかける。 言葉が通じていても裏言葉と言うのはあるもので、バイデンは彼の悪意じみた雰囲気に眉を寄せた。 「……」 とは言え、櫻霞も櫻霞で内心ひやひやしても居た。 彼の回避性能と防御力では、恐らく囲んで数発殴られればダウンしてしまうだろう。 統率がとれているのか、同じような武器と巨獣で固めているせいか、バイデン達の速力はほぼ一定。殴られている間に回復で凌ごうなんて甘い対処はできそうにない。 常に先手を取り続け、バイデンが気糸を引きちぎった傍から縛り直すと言う入念な拘束が、どうしても必要になったのである。 櫻霞の命中精度では、四割だか三割だかの割合で拘束自体が失敗することもあり得る。まだそのケースは訪れていないが、こうして拘束を続けていればいずれ来るだろう。なんとも恐ろしい物だ。 シェリーの血が乾いた大地にしみこんで行く。 目を半分、口を半分開いたまま横たわったシェリーは、もはや死体にしか見えない。 『ハッ、やったぞ! 新種の戦士を倒した!』 ゲラゲラと高笑いをしながら、次は誰に襲い掛かろうかと踵を返すバイデン。 そんな彼に、別のバイデンが荒げた声をかけた。 『気を抜くな、そいつらは不死身だと聞く! しっかりとトドメを刺せ!』 『そんな――』 バイデンの肩越しに、杖の先端がちらりと見えた。 キラリと光った、そう思った時には、雷は走っていたのだった。 「Time to make the sacrifice」 幾重にも集中を重ねたチェインライトニングが迸り、バイデン達の身体を駆け巡った。 シェリーは生きていた、などと今更言っても仕方あるまい。 「かかってくれたか。内心冷や汗をかいたぞ……」 彼女の招来の為に述べておくが、特にスキルを用いるでもなく素のままのシェリーが息を殺して死んだふりをしたくらいで、バイデンが『ああこいつは死んだな』と思ってくれるわけではない。そこまで愚かな連中ではない。 たまたま今回、シェリーに当たったバイデン個人が特に愚かだったことと、奇跡的に貫かれた場所が心臓(即死するであろう部位)であったことが幸いしたに過ぎない。状況がほんの少しでも違えば、容赦なく追い打ちをかけられて頭蓋骨で粉砕されていたことだろう。 『貴様……ッ!』 雷に撃たれ、強い痺れに顔をゆがませるバイデン。 勢いよく振り向き、シェリーの側頭部を盾で殴った。 フェイトで復活していたとは言え、さすがにもう一発食らって平気でいられるシェリーではない。 今度こそ血を吐いてその場に横たわった。 シェリーの出番はここまでである。 しかし、彼女が作った大きな隙は、仲間たちに盛大な勝機を齎していた。 例えばバイデンに腹を貫かれたセルマ。 トドメとばかりに内蔵を捻じられそうになったその瞬間、バイデンはびくんと痙攣を起こした。 セルマは咄嗟に相手の腕ごと掴み取って固定。片手で巨木を振り上げると、しこたま相手の頭に叩きつけた。 腕と武器を固定されているだけに、バイデンに防御する術は無い。そして幾度目かの打撃が振り下ろされた所で、セルマとバイデンは共倒れしたのだった。 もう一つ例えるなら御龍。彼女は電撃が走った瞬間を見逃さず、盛大に巨獣を一文字にぶった切り、風車のようにぐるんと一回転すると一巡した剣でそのままバイデンの首を跳ねた。 それまで幾度となく強打をくらっていたのか、頭や肩からだらだらと血を流す御龍。 「……ハハッ」 ぜえぜえと息をしながら、荒っぽく笑った。 そんな二人を横目に、冴はもう何度目になるか分からない強打を繰り出していた。 バイデンの盾に阻まれる。 パワータイプの冴が放つ打撃である。バイデンのガードぐらいは普通に超えて居そうなものだが、どうやら相手は特に頑丈なタイプであったらしい。 幾度も固い盾に阻まれ、手ごたえのある打撃は訪れない。 しかし冴は、憑かれたように執念深く、相手の盾を打ち続けた。 「盾で防ぐならそれも良いでしょう、盾ごと、叩き斬るまで!」 滅茶苦茶な理論である。 しかしそれを実行してこそリベリスタ。 冴は全力で振りかぶり、刀をバイデンに叩きつけた。 「チェストォォオ!」 ばきんとひび割れる盾。驚きに目を開くバイデンの額に、冴の刀がついに届いた。 ゴシュンという、生き物を叩き切った時独特の音が鳴る。 エリスはそんな中で、冷静に相手の戦力を分析していた。 「足を、狙って。巨獣を潰せば、後は落とせる」 「なるほど、こうか?」 ピンポイントで神秘弾を撃ち込む櫻霞。顔の中央に射撃をくらった巨獣は思わず怯んで速度を落とした。シェリーの時との違いは主に火力である。 そこへすかさず飛び込んで行く真琴。 盾を巨獣の顔面に直接叩きつけ、衝突事故が如き勢いで撥ね返す。 思わず転げ落ちるバイデン。 そこへ、玄弥がここぞとばかりに呪刻剣を突っ込んだ。 「ほな、さいなら!」 ●バイデン 残りのバイデンが残らず死ぬまで、そう時間はかからなかった。 最後の一人は如何なる心境か。仲間が次々と倒れ、息絶えていくのを見ているのは愉快なものではなかったはずだ。 そんな彼をトラップネストで踏み倒し、櫻霞は煙草を咥えた。 タワー・オブ・バベルを通して語る。 「『此方の質問に答えるつもりはあるか?』」 『何だと……』 「『ふう……さてと、連中をどうするかね……』」 思わせぶりに呟いて振り返る。 すると、玄弥がバイデンの死体を足蹴にしていた。鼻がぐしゃりと押しつぶされ、血が湧き出で醜い顔になって行く。 誤解されがちなことだが、世のフィクサードやリベリスタの多くは殺せば死ぬ。アークのリベリスタのようにワンコインリトライができる連中は意外と限られているのだ。それはバイデンにも同じことで、彼らはごく普通に、不条理なく死んでいた。 「リベリスタ様は慈悲深いからなあ。もっと蹴飛ばしておけばいいと思うんよ? ほれ」 げしげしとバイデンを蹴って見せる玄弥。 バイデンは怒りと憎しみに染まった目で櫻霞を見上げた。 『この外道め』 「『言葉の意味が分からんな。いいから答えろ、貴様等は何処から来た』」 『集落からだ。その質問に何の意味がある!』 「『……まあいい。連れて行くぞ』」 完全に拘束すべく縄を出す櫻霞。 バイデンは、気絶する寸前まで叫び続けた。 『外道の衆め! いずれ殺してやる! 必ず殺してやるぞ! 貴様も、貴様に関わる全ての者も、残らず! 外道め、外道めがぁ!』 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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