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出現、ふわもこバイト!

●河川敷の惨状
 河川敷に転がる人人ひと。
 死屍累々と言って相応しいその惨状とは裏腹に、人々はみな幸せそうな顔で意識を失っていた。
 そして、その中心部には――

「めぇ~~~」
 羊。
 体長1.5mはあろうかという大きな羊が、黙々と草を食べてまったりとしていた。
 むしゃむしゃ。
 もふもふ、ばたり。
 羊がのそのそと歩く度に人がふらふらと来てはモフり、そして倒れていく。
 一見シュールな光景だが、何とも幸せそうな顔をして倒れてくれる。
 ぼてん、と羊が転がっては、そのままむしゃむしゃと草を食べ始める。
 なんと、すごくほのぼのとした風景だろうか。
 ……周辺を見なければの話だが。

●アザーバイトひつじ
「アザーバイトを送り返してほしいの」
『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)はそう言い、スケッチブックをリベリスタに見せる。
 そこに書かれていたのはでっかい羊……と、その周りに転がっている人らしき黒い点がちらほらと点在していた。
 別世界からきたアザーバイトはその種類容姿共に様々な形態が存在する。
 彼らは至る所に出現するリンク・チャンネルからこの世界に迷いこんでは、思い思いの行動を行う。
 そこに悪意があるかどうかはさておき、これら上位チャンネルから来た招かれざる客はボトム・チャンネルにであるこの世界にとっては崩界を加速させる原因にもなる。
 従って、これらを倒すなりリンク・チャンネルに誘導し、お帰り願わなければならない。
 居着かれた結果として自分の世界が壊れては身も蓋もない。
「名前は……ふわもこバイト」
 今考えたでしょうそれ的なメーミング、もといネーミング。
 このふわもこバイトはこの世界に現れた後、河川敷に生えている草をただ食べてまったりしているだけの比較的無害なアザーバイトだ。
 ただ、その能力が恐ろしい。
「見たらついもふもふしたくなるの」
 もふもふしたくなる。
 まるで催眠にでもかかったかのように近づいてはその羊毛に抱きつき、あわよくばふわふわな羊毛を堪能してしまうと少女は告げる。
 それだけではない。
「もふもふし続けてると、そのまま意識を奪われるから気をつけて」
 河川敷に倒れていた死屍累々の正体はこれだ。
 ふわもこバイトは一般市民を知らず知らずのうちに引き寄せ、もふらせることでこの惨状を作り出していたという。
 これが広範囲に広がると人々が幸せになる……ではなく、社会的機能が麻痺してしまうかも知れない。
「リンク・チャンネルからふわもこバイトまでは200m離れてるから、何とかして送り返して。
 中には入らないでね、出られなくなったら大変だから」
「あと……帰ったら感想も聞きたいな」
 どことなくイヴの目が、いいなぁとばかりにリベリスタに向けられた気がした。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:カッツェ  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年05月31日(火)23:29
ふわもこふわもこ、カッツェです。
5月になっても初が続きますが、今回は初ほのぼの。
羊が迷い込んだので引っ込めてください。

●場所
河川敷
触るもの皆倒れてますので、人目は気にしなくても大丈夫です。
リンク・チャンネルは河川敷の階段当たりにぽっかり空いており、覗くと牧草地帯が広がってますが決して中に入り込まないように。

●ふわもこバイト
リンク・チャンネルを飛び越えてやってきた1匹のはぐれ羊(アザーバイト)
その体はこの世界にとっては魅力的であり危ないぞ!
ふわもこ空間:ダメージ無し、周辺200mに催眠効果(※)
※:かかるとふわもこバイトに引き寄せられ、問答無用でもふもふしてしまうぞ!

もふもふ羊毛:接触時、神秘微小ダメージ、神秘防御無効
ものすごく、長々ともふもふしてるとぶっ倒れるかも知れない程度です。
ただし攻撃すると暴れる(物理周辺大ダメージ)かも知れないので、お気をつけを。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
プロアデプト
歪 ぐるぐ(BNE000001)
ナイトクリーク
五十嵐 真独楽(BNE000967)
インヤンマスター
神喰 しぐれ(BNE001394)
覇界闘士
神代 凪(BNE001401)
ホーリーメイガス
アゼル ランカード(BNE001806)
スターサジタリー
襲・ハル(BNE001977)
ソードミラージュ
風巻 霰(BNE002431)
プロアデプト
レイチェル・ガーネット(BNE002439)

●羊(?)の居る河川敷
 河川敷に広がっていたのは、死屍累々の光景。
 ただし、その奥には一匹の羊が、のんびりと昼寝の真っ最中だった。
「なんだ、この、緊張感のないアザーバイト……」
 そう言いながら『ビタースイート ビースト』五十嵐 真独楽(BNE000967)距離を確保する。
 無理もない、だってそういうアザーバイトだもの。
 とはいえ、その能力は侮りがたい。悪意のある敵だったとしたら、実に恐ろしい。
「この光景は平和なのか大惨事なのか……でも幸せそうに逝けたならば彼らも本望でしょう」
 手を合わせる『闇猫』レイチェル・ガーネット(BNE002439)。まだ死んではいません。
 リベリスタの自力とフェイトがあれば、一般人のような姿にはまずならないだろう。
 ふわもこに丸1時間、常にどっぷり浸からない限りは……だが。
「もふもふ羊さんを、元のところへ返してあげるのですよー」
 背中に大きなリュックサックを背負ったアゼル ランカード(BNE001806)の姿はまるで遠足さながら。
「それじゃあ早速分かれましょう。アークのアークによるアークのためのお仕事を」
 その声に眼鏡を上げ、『オールオアナッシング』風巻 霰(BNE002431)の声にリベリスタ達がそれぞれ別れていく。

「それじゃ、ふわもこしながら世界を救いましょう」
「おー!!」
『ガンナーアイドル』襲・ハル(BNE001977)の掛け声の下、ここにふわもこバイト運搬作戦は開始された!

●食べ物で釣ってみよう
「ターゲット発見! なんてふわもこだ……! すぐに飲み込まれちまいそうです」
 ふわもこ1の先陣を切るのは『Trompe-l'œil』歪 ぐるぐ(BNE000001)
 見れば見るほどもこもこなその外見。抱きつけばまさに飲み込まれてしまいそうな程に覆われていて――
「ぬふふ、ふわふわなのじゃー。わらわは、おぬしに会うために、此処にいる運命なのじゃー」
 その姿に、『白面黒毛』神喰 しぐれ(BNE001394)が早速もふもふしだす。
「しぐれちゃんってば、もうっ。でもいいなぁ」
 見かねて声をかけるのは、相方である神代 凪(BNE001401)。
 すっかり夢中なしぐれを起こそうと、思わず毛に手が伸びそうとした所でハッ、と正気に戻る。
「危ない危ない。ほら、もふもふしても良いけどちゃんと運んで」
「ふわふわの、もこもこ~なのじゃー。撫で回してやるのじゃー」
 綿雲のような毛をたんまり抱えるように撫で回すしぐれ。
 体格差も相まって、まるで体全体で堪能するかのよう。
「……ちょっとだけなら良いよね」
 その様子に凪もふわもこに触れ、共にふわもこを堪能していく。
「もふもふ~……ふわ、もこ」
 のどかな昼下がりのことであった。

「こちらふわもこ2。ふわもこ1どーぞ」
 一方でぐるぐは、手持ちのトランシーバーでハルと通信を交わしていた。
「こちらふわもこ1、もこもこがかわいすぎてしぐれさん達がやられましたどーぞー」
「はい了解、ぐるぐさんは誘惑されずに運んでくださいねどーぞ」
 ハルも同じくトランシーバーを持っている身。彼女の通信に対して、彼女も軍事的なノリで応答する。
「ふわもこ1あぁでもすっごくもふもふしたい! すごく、あたたもう覚めた、覚めました!」
 トランシーバー越しに、真独楽がぐるぐをべしべし叩く音が聞こえる。
「……大丈夫かなぁ?」
「わかりませんねー。早速落ちかけているふわもこ1。果たして無事に運べるでしょうか」
 レイチェルがゆるゆると実況する中で、彼らもその様子に気が気ではない。
 身体をうずうずさせながら、都度都度「早く私達の番になりませんかね」と聞くレイチェルの姿は、それを何よりも物語っていた。

 天候は穏やか、しかし一向に先には進めない。
「そうだ、野菜とか持ってきたけど食べるかな?」
 真独楽が持ってきた野菜を取り出すと、ふわもこバイトが興味を示したかのように、のそのそと彼女に向かってくる。
 正式には彼だが、意思を尊重したい。
「それなら、わらわも持ってきてるのじゃ! でも羊さんは何を食べるかのぉ?」
 ガチャガチャゴロゴロ取り出したのは、羊羹、牛乳、ショートケーキ。
 果物の缶詰にサバ缶。
「何で持ってきたのかのー?」
 そして、なぜか入っていたみかんの皮。
 どれも見向きをしそうに無いものと思われたが、そこはアザーバイトなのか興味を示し始める。
「めぇ~」
 そして、一鳴きしてパクリと食べてしまう。――みかんの皮を、しぐれの手ごと。
「あ、食べちゃった。じゃなくて、手! 手!」
「ちょっ、わらわの手まで食べるのじゃ、ひー、くすぐったいのじゃー!」
 しぐれの手ごとはむはむとみかんの皮を食べるふわもこバイト。
 あまり痛くないが、いきなりの事でしぐれは大騒ぎ。
 慌てて面々が手を引っこ抜き、何とか事なきを得る。
「危うく食べられる所だったのじゃ。手がベトベトなのじゃー」
 ともあれ、好物がある程度は判った。
 今度は食べられないように、少し離れて真独楽が手持ちの野菜を見せては羊を誘っていく。
「ほら、こっちにおいでっ」
「んめぇ~♪」
 食べさせ過ぎないように度々与えては引き寄せ、このままふわもこバイトとDホールとの距離を徐々に縮んでいくものと思われた。

 だが、50m超えた辺りでふわもこバイトの動きが鈍りだし、徐々に一行が魅了される頻度も増え始めた。
「ぐ、も、もう持たな……うわぁぁああ……もふもふ」
「もうだめなのじゃー。もこもこー」
 このままでは、全員ふわもこの虜になってしまう。
「ふわふわで、気持ちいい」
 真独楽に擦り寄るふわもこバイト。その感触は、高級セーターよりもふかふかで少し温い感じがとても心地よい。
「これはもう交代したほうがいいわね」
「ぐるぐさんも落ちましたしね。行きましょう」
 全員落ちてしまう前にこちらももふもふ……ではなく、様子の変化をハルが察知し、待機していたメンバーは急いで交代に駆け寄る。

 とはいえ、ふわもこバイトへの距離もなかなか遠かった。
「ああ、このままふわもこの中に落ちるのも悪くない」
「せっかく癒されるチャンスだし、すっごく長くもふもふしなければ……」
「みんな起きてください。このふわもこにやられたら取り込まれてしまいますよ」
 アゼルが落ち、ハルも落ち、ふわもこ1は言わずもがな。
 魅了され、もふっては醒めを繰り返し、その役割を交代したのは開始から40分過ぎた頃であった。

●ふわもこを抱えて
「ここでふわもこに負けたら世界の危機よ!」
 もふもふに飲まれた先程までの姿と打って変わって、グッと握り拳を作るハル。
 先のチームの惨状(?)に加え、自分の身で体感しているあの至高の感触。
 改めて強く、背景で爆発が起こりそうなほど強く意思を固めるのであった。
「これとかあたいは好きなんですが、羊さんはどうですか?」
 その一方、鼻先に新鮮なリンゴを持ってくるアゼル。
「……ぷしゅん!」
「わっ、くしゃみした」
 しばし興味を持ったのか、クンクンと匂いを嗅ぎ、思わずくしゃみをする姿にアゼルは身じろぐ。
「こちらふわもこ2、歪さんが空間に入りそうですどうぞー」
 捨て目でこっちに向かいそうなぐるぐを止めるよう催促するハル。
「ほらこっち、こっちだよ」
 リンゴ片手にさらに引寄せ続けるアゼル。そのまま着実に距離を伸ばすも……
「ベーッ!」
「わっ!?」
 ついに堪りかねたか、ふわもこバイトの突進に思わず転倒するアゼル。
 一撃こそ受けなかったものの、その身はもふっと毛の下敷きになってしまう。
「大丈夫ですか!?」
 思わず駆け付ける3人。ふわもこバイトは気にも留めず、周辺に散乱した野菜をむしゃむしゃ食べ続ける。
「大丈夫ー、でもふわふわもこもこなんですよー。ふかふか気持ちいいのですよー」
 全然大丈夫じゃなかった。
「ふわもこウィルスにかかると、1週間後には髪がアフロになってしまいます」
「引っ張るよ、痛かったらごめんね」
 慎重に毛をかき分けつつ、アゼルを引きずり出す2人。
「ふー、ふわもこの誘惑恐るべしなのですー」
 慌てて髪を確認するアゼルだが、その目線はチラチラとふわもこバイトに注がれていた。

 満腹になったのか、食べ物で動くこともなくふわもこバイトはまたもや昼寝を始めだす。
「それにしても、遠目から判るだけあってかなり大きいですね。これはもふもふしたくなるはずです」
 気を強く持ち、レイチェルがふわもこバイトの毛に腕を突っ込んで何かを確かめる。
「ここらへんかな?」
 ふわもこバイトの素肌に触れるレイチェル、その体つきはこの世界の羊より細い。
 毛を刈ってしまったら、貧相なこと間違い無しの細さ。体格大きな人なら1人で担げそうだが、
 今回は万全を期して4人で運搬する。
 それがチームふわもこ2もう一つの作戦だった。
 ふわもこに心を奪われ、もふもふしたくなるリスクは大きいが、うまくいけば思った以上の成果もあり得る。
「飲み込まれては駄目ですよ、飲み込まれれば最後、ふわもこ地獄で永遠の――」
「それもまた……」
「またじゃありません、起きてください。寝ていると鳴き声に悩まされますよ」
 ふわもこに顔どころか身体をも埋め、ひたすらすりすりもふもふするレイチェル。
 見かねて霰が逆にぺしぺし叩き、覚醒を促すこととなった。

「それじゃ、せーので運ぶよ」
 掛け声と共に、ふわもこバイトの体を抱える4人。
 落としては大暴れされる可能性すらある、それ所か持ち抱えている最中にもふりっぱなしになってしまうかもしれない。
 その中で、ふーらふーら、ふーらふーらと4人は運んでいく。
 もふもふしたいという気持ちと、運ぶという意思が拮抗し合う。
「すっごくふわふわしてる……じゃない。気を強く持たないと」
「いちに、いちに、もふもふ」
「アゼルさんしっかり」
「ふわもこにやられると、1ヶ月後には同じ姿に変わってしまうそうです。もしかしたらこれも……」
「ふわもこだらけの世界……」
 ふらつきながらも、ゆっくりと距離を伸ばす。
「がんばれー! あとちょっとー!」
「みんな負けるな! まこも頑張る!」
 声援に持ち直しながら運び続けるも、残りあと少しでついに足が止まり、ぐらつき出す。
 このまま落としては大暴れしてしまいかねない!
「落としちゃダメ、もうちょっと!」
「今ゆくのじゃー!」
 駆けるふわもこ1の面々、手からずり落ちるふわもこバイト。
 それを……間一髪のところで真独楽としぐれが滑りこむように受け止めた。

●ふわもこといっしょに
「ごめんなさい、貴方はこの世界には危険すぎます、いろんな意味で」
 しぐれがぺたぺたとふわもこ2のメンバーに符を貼り付ける中、ぶーぶー鼻を鳴らしてこちらを威嚇するふわもこバイト。
 そんな姿に、もふもふしそうに眺めながらその恐ろしさを知るレイチェル。
 これが人前に出たら、間違いなく社会はもふもふに走ってしまう。
 それぐらいのもふもふ感であった。
「あちゃー、やっぱり怒ってるなぁ。ほらほらー、機嫌直してよー」
 機嫌が悪くなった時にと持ってきたくしとブラシで、凪は優しく丹念にふわふわな毛を梳き、ブラッシングしていく。
「ヘイもこもこさん。おやついるー?」
 ぐるぐは待機中に見つけた四葉のクローバーを、ふわもこバイトの目の前に差し出す。
「んめえぇ~~」
 クローバーもまた草、ブラッシングを受けながら、上機嫌のままむしゃむしゃ食べ始めるふわもこバイト。
 リーディングでその様子を伺ってみると、何となく不機嫌な感情が薄れているのが把握できる。
 一方的ながらも、そこには敵意は無く、好意の念がそこには見えていた。
「これは、なついているのかな? もう大丈夫そう」
「良かった……だったら、ここは離れないで全員で運びませんか?」
 ゴールであるD・ホールまで後50mもなく、近くに居ればすぐにでも代わることもできる。
 なにより、最後までふわもこを堪能したい。
 そんな、全員の意見が一致した。

「一緒にれっつごーわんつー」
「そろそろ怪談もネタ切れです。あとは……」
 ゆっくり、慎重ながらもラストスパートをかける一同。
 幾度と無くふわもこに負けつつも、少しずつ進んでは交代していく。
「ファイト、あともうちょっとー!」
「もうひとがんばりですよー」
 応援の声は河川敷に響き、天使の歌のように心を癒し、奮い立たせる。
「このままずっと抱きしめていられたら幸せなのじゃー」
「しぐれ、ちゃんと持って……もふもふ」
 時にふわもこに負けつつも、また歩き出せる。
 ふわもこの為に、もといこの世界の為に。

 そして、作戦開始からおよそ1時間半。
「最後は慎重に降ろして……っと」
「到着、です!」
 彼らは力を合わせ、ようやくふわもこバイトをD・ホールまで連れ戻すことが出来た。

●さらばふわもこ
 入っちゃダメという忠告を守り、覗き込むハル。
 D・ホールの先、ほのかに見える一面の草原。そこには彼らの仲間が同じようにのんびりと過ごしている。
「見るのは初めてだけど、こんな風になってるのね」
「さらばなのじゃ、ふわもこ。もふもふな感触を、わらわは忘れないのじゃ」
 そんなふわもこバイトに、何故かもう一個入っていたみかんの皮を土産にと乗せる。
 辿りつくまでに残っているかは分からないが、彼女の気持ちはきっと伝わったことだろう。
「めーぇ」
 全員が見送る中、ふわもこバイトはゆっくりと、D・ホールを通って元の上位世界へと帰っていく。
 アザーバイトもまた、仲間がいるのだろう。
「ばいばーい。またねーっ」
「もう来ちゃダメよぉー!」
 そして、また出てもらうのはこの世界にとっては良くない以上、その元凶たるD・ホールは処理しなければならない。
「5人同時ならまず間違い無く壊せるわね」
「じゃぁ、行きますよ」
 この規模なら、1人でも十分だ。それぞれが力を加えると、D・ホールが、まるでガラス細工のように砕け散っていく。
「……ああいうふわもこさんでしたら、月1ぐらいで来て貰ってもいいですねー」
 その残滓が消える中、アゼルはポツリと呟くのであった。

「カーカー。もうすぐ夕方です。家に帰りましょう」
 霰の言葉に目が覚めたのかは解らないが、慌てながらもそれぞれが日常へと戻って行く。
 リベリスタもまた同じ。だが、今日はもう一仕事残っている。
「あとは、イヴにも教えてあげなくちゃねっ」
「言っていましたからね。似た感覚のぬいぐるみがあればいいのですが」
 アークで待つイヴに、成功の報と共にふわもこバイトの感想を伝えるという大仕事。
「それじゃ、取りに行こうか!」
「おー!」
 凪にうまく攫われた感もあるが、それを伝える為に彼らは少しだけ寄り道していく。
 その表情はもふもふし尽くしたが故の、非常に満ち足りたものだった。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
『出現、ふわもこバイト!』いかがでしたでしょうか。
書きながらふわもこの妄想に悩まされ続けること数度、なんとか書き上げることが出来ました。
あぁ、もこもこふわもこしたい……

戦闘の無いほのぼのとしたシナリオは初めてでしたが、十分にお届けできる一本に仕上がりました。
楽しんで頂けたのなら何より幸いです。
それではまたいつか、カッツェでした。