●テラーさんマジ夏ジャック 『ィヨーゥ、何者でもなく何様でもなく日常だけを謳歌して人生やり遂げた気になってるクーズ共ォ! いィ季節じゃねえか、アぁ!? 夏だぜ? いいじゃねえか、札幌だって真夏日だ! 馬鹿じゃねえの? 那覇と変わらねえ! 暑さにゃ逃げ場がねえ! 暑さで起きる出来事にも逃げ場なんざねえ! ‥‥分かってンだろぉ!? おっぱじめようぜ! ――夏のォ、風物詩を!』 ●夏テロ勃発(市街地戦) 「『テラーナイト・コックローチ』。元製薬会社研究員にして、現在はフィクサード界隈きっての変態……というか、変人というか。兎に角、大凡普通では考えられないエリューションなどを幾度と無く世に送り出している者です。まあ、皆さんの何人かが酷い目に遭っているのではと思うのですが。今回は、同時多発テロばりに二箇所に亘って害虫型エリューション、及び害虫『そのもの』を配置し、街を恐怖のズンドコ、もといどん底に陥れるつもりのようです」 うわー、なんて言うかうわー。 このフィクサードは本当にうわぁ。 「で、今回は八人かそこらで阻止できるか未知数の大規模作戦です。相手も夏ですからね、割と本気なのでしょう。……部隊を2つに分けます。こちらでは市街地に大量発生する『あれ』の処理に回ります。エリューションといっても、虫同然の耐久力です。問題なのは数と勢いと神出鬼没さ。市街地をローラー作戦ばりに探し、打倒していくしかありません。まあ、街の方には害虫駆除とか清掃活動とか、それっぽい理由つけてますのでご安心を。一日頑張れば終わります」 一日頑張れば、って……。 呑気に言い放った彼の姿に、リベリスタ達は少なからず殺意を覚えたとかなんとか。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:風見鶏 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月15日(日)22:50 |
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■メイン参加者 22人■ | |||||
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●黒い血の雨 なんて暑いのだろう、と。 僅かに輝きが翳った瞳で、クウガは空を仰いだ。だが、日差しはない。煌々と月だけが照らしている。 クワガタっぽい外見に身を包み、路地裏に飛び込んだ黒い影に視線を向ける。 西洋のそれなら甲虫と見紛うこともあろうが、ここは日本だ。一緒にされては困る……そんな、殺意と言っていい意思の片鱗が見て取れた。 「街を守るために、人々の安らかな暮らしを護るために」 「人々の安眠の為に!快適な夏の為に!」 「誰かがやらなきゃいけない仕事だ。なら、俺達がやるしか無いだろ、悠里!」 「あぁ行くぞ、快!」 快と悠里。共に修羅場を潜り抜け、ジャック・ザ・リッパー戦に於いては奇跡すら呼び込んだこの二人の前にあって、夏の平和は重大ごとの一つといってよかっただろう。 当然、快の全身は完璧な防護状態。全ての隙間をくまなく埋め、フルフェイスのヘルメットを被り、これ以上ない守備体勢。 「護身完成!」 とまあ、一匹のGすら通さない完全防護に対し、悠里は割といつもどおりだった。まあ、快の策がそもそも自己犠牲の塊の体を為す作戦である以上、他の防御体制は個々に異なっても問題あるまい。 取り敢えず死亡フラグ+1。 「汚物は消毒だぁーーーー!!!」 両手に殺虫剤を構えた御龍の叫びは、リベリスタ以外すっかり人気を失った都市部には随分とよく響いた。 鬼気迫る勢いで周辺を睨めつけるその視線の荒々しさと言ったらない。 両手に構えた殺虫剤の威圧感といったらない。 狂気的とも言えるその気迫は、周囲の士気を否応なしに高めていく。 「日常に潜む恐怖を利用するとは……おのれフィクサード!」 「クカラッチャ? あたしもこの生き物は…その すごく」 義憤か、はたまた単純に傍らに居る相手への気遣いからか、喜平の憤りはいつにも増して強く感じられた。 彼の背後に身を置くブレインフェザーはといえば、そんな彼の様子に多少なりの安堵を感じているようにも思われる。 「フェザーと三高平の平和は必ず守り抜く……!!」 「行け富永、跡形もなく全部ブチ殺せー」 愛する者のために力を振るう男の姿って美しいですよね。あと、テンションの違いが露骨なのですがいいんでしょうか。いいよな! 「三高平の危機とあらば我等、M(三高平)G(ジー)K(キラーズ)の出番だな!」 「相手がエリューションであろうとゴ……コックローチであろうと、全力で挑むまで!」 俺の知っているMGKと違う。そんなツァインの意気込みは鬼気迫るものがあった。優希はといえば、「取り敢えず殲滅」みたいな勢い。 出身故か、アレと縁のない翔太には、そんな意気込みが激しいツァイン等の勢いには些か押され気味ですらあった。 スペックを聞いても今ひとつ反応に欠ける彼だが、しかし対するツァイン、やっぱり怖い。 「バカ野郎甘くみるな! 奴等はこの日本にいる数だけでも200億を越える! 俺達の200倍だぞ! 人間が支配してるんじゃない! 奴等に支配されてるんだ!」 「な、なんだってー!!(詳細略」 こんな感じである。危機感は伝わったようで何よりです。 「フ、たかが虫であろう。数が居ようと敵ではないわ!」 何か今日、優希君の「フ」率高いね。舐めプ的な何かだろうか。 「別に全然怖くは無いのだが不意に現れるとビクッてなる。そして驚かされてしまった事に腹が立つ。そんな経験は無いか? 私はある」 ベルカの湧き上がる殺意をそのまま整形したかのような主張に、周囲のリベリスタは一様に頷いた。 あるある。一匹二匹怖くないんだけどいきなり出てこられてパニクるとかすげえ分かる。 「く、くくくく、ふふふふふ……!!」 そんなわけで、ヤル気が普通よりも全力で突き抜けているベルカ怖い。すっげぇ怖い。 「そんな夏の風物詩はいりませんでした、ミリィです」 「よりによって、と言わざるをえないわねこの前だって台所に出たし。この機会に殲滅したいくらいよ」 大丈夫、殲滅する依頼だよ彩歌。 そして聞き間違いじゃあない。丸一日なんだ、ミリィ。 黒のゴミ袋とか、ホイホイの山とか、彼女たちは健気だ。健気ゆえに鉄壁だ。涙ぐましい努力が伝わってくるよ。 「ま・た・テラーナイトコックローチですか」 「相変わらず、思い出した頃に登場するのですね、この人のテロは」 小夜と真琴は、奇妙なまでの共通項が存在した。 巫女で、リベリスタで、テラーナイトにやたらと辛酸を舐めさせられている、という点で。 そりゃまあ、こんな依頼に二人が出そろうのも無理はないですよねー。 本人とか出てきたら全力できそうですよねー。 もうこの二人ひと括りでいいんじゃないか。そんな不遜な事を考える今日この頃です。 「不倶戴天の落とし子ども……人類の尊厳にかけて、貴様たちを滅する!」 それをバラ撒いたのも同じ人類だと思うと感慨深いものがあるね。そして啖呵切りの堂々さは舞姫、君は概ね一等賞だよ。 何故かビニール袋に服を詰めてきてるけど、一体何をはじめると言うんだい。 「軍曹は、あの観光客、達は元気だろうか?」 対して、不倶戴天のあれやこれやにやたら関わっている天乃は冷静だ。普段が命を削る戦いの連続であるがためか、こpの状況を楽しんですらいるようでもある。 いや、むしろ慣れっこっていうことなんだろうか。 「有史以来から始まる人とアレの終り無き戦いに、新たな1ページを刻むとしましょう」 カイは喫茶店の経営者である。あいつらとの戦いに勝利し続けねばならない人物の一人である。あれ、何度かあったなこんなくだり。 まあ、それゆえに彼らへの対処法については一日の長がある。確実に殲滅するという意思がある。本気になった飲食業はマジ強い。 その両手に抱えられた伝家の宝刀(下履きてきなあれ)やら罠の数々やらがその戦いの熾烈さを感じさせる。 これは頼り甲斐のある好青年。 「さぁ、この伝家の宝刀を恐れぬのなら、かかって来なさい」 結論:すっげぇ一杯かかってきた ●闇に紛れ惑うもの どんなつまらないことでも、仕事は仕事である。エリューションは敵である。 故に、アウラールの大作の緻密さは一日の長を感じさせるそれであった。罠を張り巡らせ、移動には小回りの利くバイクを乗りこなして右へ左へと移動する。それも、闇雲にではなく便乗させたキリエの感情探査を使って、である。 「……私、明日とらの誕生日だからケーキ焼く予定だったのだけれど……」 (うわぁ、なんかすごく文句言われてるような痛い痛い痛い) 二人を念のためと繋いでいるワイヤーがやたら食い込むが、多分アウラールの操縦技術からくるGとかそんなんだよ。重力的なあれだよ、問題ない問題ない。 そして、到着した途端にキリエの指から放たれる気糸の乱舞。数が多いために飛びかかってくるものもいるが、一瞬で貫かれ共食いの憂き目に合う。で、共食い中に更に貫かれるの繰り返し。 「おのれ、我らが敵!」 (やたら気合入ってるナー……) そんなキリエを庇うのもアウラールの仕事です。頑張れ。 「はー、黒いですねえ、おっきいですねえ、早いですねえ……何かこの子の動きを元に新しいマニューバーが閃きそうですよ」 天才の考えることって本当にわからないです。あと、遭遇したことがない北の方の人たちってマジでこんな好奇心の塊なのでしょうか。幾ばくもしないうちに心からの嫌悪感が染み付くと思うけど、大丈夫かいチャイカさん。 若いうちから色々変な性癖が身に染み付いちゃうと後々大変よ? 「ちょっと一匹持ち帰って……え、ダメですか?」 流石にそれは、ちょっと。 「この状況、フラッシュバンの独壇場と判断する!」 真夜中の路上が、断続的に白に染め上げられる。光のなかに一瞬だけ浮かび上がったアレは、次の瞬間に黒々と焦げ……おいこれダメ0だぞ。ひっくり返ってひくひくしてるだけじゃねえか。やべえよ……やべえよ……。 だが、そんなところにすかさず現れるのは真琴の駆る殺虫用装備を積んだトラックだ。最初の突入でタイヤにごりごりと潰される。降りてきた真琴の殺虫剤の乱舞で更に死ぬ。 そんな背後から現れた小夜もまた殺虫剤を吹き付ける。こっちはもう、何というか涙目だ。少女の限界ってあるよね。マジで。 「喰らえ!ハエルンデスGXの開発過程で生まれた奇跡の劇薬! カエルンデスGXーーッ!」 「くそう、素早すぎるな! 回避力俺よりあるんじゃね、コイツラ」 「いけない!壁の奴を不用意に攻撃するな!奴等は……飛べるんだ……!」 「ええい出て来いG!燃やし尽くしてくれぐわあああああああああ!?」 「しっかりしろ優希ぃー! クッ、精神的ダメージがでかすぎたんだ!」 何かとんでもない劇薬が登場したり超回避に翻弄されたり知識の差によってミスってとんでもないことになったりして大変ですが、MGKの皆は元気です。仲、いいな。 一方、ブレインフェザーの指揮のもと動く喜平は幸せそうでもあった。 何しろ、背中に愛する人間がしがみついてるのだ。女性の伝統芸「きゃーこわーいやっつけてー」、である。 的確な指示を飛ばしはするが、やはり限界的な何かはどうしてもあるらしい。その指示を漏らさず聞き受けた喜平の動きは素早いし的確だ。すかさず彼女の手をにぎることも忘れない。 くっそこの不快害虫の駆除作業でラブラブアピールとか爆発してしまえ。 「来い! お前達は俺が、俺達が――倒す!」 拳を突き上げ、快は声高らかに宣言する。 アッパーユアハート……要は広域挑発行為をして、彼は周囲に見え隠れするアレの意識を全て自分に向けることを成功させた。 そこにシビれる憧れる。でも決して誰も真似しないだろう全力だ。 「覚悟してたけど、視覚的な脅威がヤバイ!」 快に突っ込んできた相手を片っ端から壱式迅雷で吹き飛ばす悠里。そこまで乱戦状態なら不意打ち的に顔やら体やらに集られることもあるだろうが、今日の彼はサプライズを許さない状態だ。 ……いや、ぶっちゃけここ突っ込んでいいのかわからないけど、ガントレットの方が殴った時不快感少なかったよね。 帰ってもマジ天使な彼女のサプライズイベントないって寂しいよね。 それを差し置いて目の前の不意打ちをシャットアウトした悠里マジ勇者。 「ああ、ヘルメットのバイザーに! バイザーに!」 「快!? あ、いやそれより……」 ヘルメットにまで集られ、既にその身を限界に置いた快の視界の端に映ったのは、黒いマントに身を包んだ天乃だ。 掬い上げるような軌道から、快ごと切り裂き、交え、吹き飛ばす。刃の暴風が黒の群れを残さず切り裂き、快の防護をも裂いた。つまりは服の中に侵入され。 「快、場所を変えよう……快?」 そして暴風のように去った彼女のあとには、服の中に入られ意識を断った快の姿。 そして悠里の土砕掌。ここまで容赦のない友情っていうのも珍しいね。 「カサコソいってるのがサラウンドで聞こえる、はっきりくっきりフルカラーで見えるるるるるるうぅぅ」 非戦スキルは便利である。便利であるがゆえに、舞姫は既に限界だった。 羽音がサラウンドで聞こえ、そこかしこに居る奴らをフルカラーで色彩豊かに見てしまう。 唯でさえ嫌なそれを増幅させる状況に笑うしかない、切り裂くしかない。 だが、それでも足りない。それでは足りないと、ビニール袋から取り出したのは……何を隠そう、かれこれ一年前からとっておいたフェロモンが染み付いた服……だが、さすがに洗濯とかしただろうしそんな近づいてくるわけが。 「這い寄ってくる? ひぎぃ!!」 こうかは ばつぐんだ! 黒いヒトガタになってしまった舞姫が辛うじて取り出した缶サイズのそれが、何であるかは考えるまでもなく……夜が、不自然に白く染まった。 大量に配置した設置型駆除剤を、ミリィは手際よく処理していく。 だが忘れてはならない、あれは中身が多すぎると 飛 ぶ の だ 。 ミリィ、混乱。既に目がぐるんぐるんしている上でそれである。半狂乱になりながら処理に奔走したのは想像に難くない話であろう。 ●酷い話だったね その後、長い時間をかけての戦闘の甲斐あってか、害虫たちはすっかり駆除され、増殖性革醒現象の不安もゼロとなった。人類とアレの戦いは、今回は勝利という形で終わったのだ。 ……まあ、それでもやはり被害は大きかった。トラウマになること四名弱、新たな世界に目覚めそうなもの数名、全身でろでろな者多数。 天乃が提案するまでもなく、既に手配されていた温浴施設で彼らが汗と体液をすっかり洗い流すことができたのは幸いというべきか。 因みに、舞姫の実家は後日やっぱりえらいことになったようですが考えない約束で。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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