●テラーさんマジ夏ジャック 『ィヨーゥ、何者でもなく何様でもなく日常だけを謳歌して人生やり遂げた気になってるクーズ共ォ! いィ季節じゃねえか、アぁ!? 夏だぜ? いいじゃねえか、札幌だって真夏日だ! 馬鹿じゃねえの? 那覇と変わらねえ! 暑さにゃ逃げ場がねえ! 暑さで起きる出来事にも逃げ場なんざねえ! ‥‥分かってンだろぉ!? おっぱじめようぜ! ――夏のォ、風物詩を!』 ●夏テロ勃発(自然公園戦) 「『テラーナイト・コックローチ』。元製薬会社研究員にして、現在はフィクサード界隈きっての変態……というか、変人というか。兎に角、大凡普通では考えられないエリューションなどを幾度と無く世に送り出している者です。まあ、皆さんの何人かが酷い目に遭っているのではと思うのですが。今回は、同時多発テロばりに二箇所に亘って害虫型エリューション、及び害虫『そのもの』を配置し、街を恐怖のズンドコ、もといどん底に陥れるつもりのようです」 うわー、なんて言うかうわー。 このフィクサードは本当にうわぁ。 「で、今回は八人かそこらで阻止できるか未知数の大規模作戦です。相手も夏ですからね、割と本気なのでしょう。……部隊を二つに分けます。こちらでは自然公園の中央部、池に放置された大量のボウフラ、及びその成体の処理に回ります。エリューションといっても、虫同然の耐久力です。問題なのは数と勢いと神出鬼没さ。池まるごとを消毒薬ぶち込んだらそれこそ生態系の壊滅です。掬いあげて直射日光に晒すとか、成体は捕獲した上で殺虫剤撒くとか。まあ、ボート使えますから池全体を何とかしないと、でしょうか」 池全体、ってどんだけだと思ってる。今年前半の蚊の被害は減るよ! やったね! 呑気に言い放った彼の姿に、リベリスタ達は少なからず殺意を覚えたとかなんとか。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:風見鶏 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月15日(日)22:49 |
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■メイン参加者 12人■ | |||||
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●サンシャインパークライド 夏の公園、と聞くとイメージは様々である。 青々とした木々、さわやかなテニスの掛け声、列をなして泳ぐカルガモ。 これらが特に活発になるのが夏ではあるわけだが、それに加えて「池」というオブジェクトにありがちな現象がある。 そう、ボウフラの発生である。流動しない水というのは腐敗や藻類の坩堝と化すのが一般的だ。 ボウフラはそれ自体がフェロモンを発することで産卵サイクルを活発化させると言われ、単純に考えればボウフラの数だけ新たに増える卵の量が増え……まあ、要は倍々ゲーム的な話になるのだ。 まあ、だからこそ池のある公園ではよく蚊柱が発生するわけだが、それは決して健全な環境とはいえないだろう。 それがエリューションだといえばなおさらだ。 「安眠の大敵たる存在、その大量発生など捨て置けません。傍迷惑な夏の風物詩退治、必ずややり遂げましょう」 テラーナイトに騒動に巻き込まれる巫女枠は何故か多い。大和もそんな一人だが、彼女にとっての脅威は蚊の方が上回ったようだ。 痒み止めや脱水症状対策の水分などの準備を万全に現れた彼女の荷物は殊の外多く感じる。それが自分のためのみではなく、周囲のことも考えて、というのだから健気である。 「ギャギャ」 鱗柄のプリントウェットスーツを着込んだリザードマン(以下同表記)は、独特の発音ながら周囲になんとなくのノリで理解させるに足る語彙量だった。 曰く、暑いから水浴びしにきた。曰く、ボウフラは個人的に好むらしいので泳ぎつつ食べつくす勢いで、だそうだ。獣化ってすげえな。 だが、天敵を放つことに寄る対処というのは非常に有効な手段の一つだ。ある意味この人が一番すげぇんじゃないだろうか。 「今日はボーフラさんの観察です」 純情可憐な十一歳少女の輪に隙はなかった。どのくらいないかというと、ボウフラを嬉しそうに観察するその胆力である。 「気がつくと水の上に発生してて、成長するとぶ~んと飛んでいく、素敵!」 因みに、蚊はボウフラと成体の間に蛹があったり、蛹のクセに活発に動いたり、果てはその様子が一部のマニアに好評だったりするわけだが、輪ってばこの歳でそんな領域に突入してるんですか。マジパネェ。 「日本には『汚物は消毒だー』と叫びながら、火炎放射器で害虫駆除をする風習があると聞きましたが……」 それは害虫じゃなくて自分に都合の悪い、自分より立場の弱いものに対する攻撃行為なのだが……日本の文化に対応しきっていないアルフォンソにとってはどちらでも同じようなものなのかもしれない。 っていうか、簡易火炎放射器セットを持ってきてもほら、相手水棲生物だから効果としては薄いわけですよ。フレアバースト打ち込もうとしてアーク職員にしょっぴかれた子供マグメイガスが一名いるくらいだからね。 あっちと違って昼下がりの公園だからあんまり騒ぎが大きくなるとこう、色々厄介なわけですよ。地道にがんばろう、な。 「ぼーふらさん……むむぅ~どうやってたいじするかかんがえるの~」 頭を悩ませつつ、何か有効な手はないものかと考えるミーノの姿は可愛らしいものがある。 結果として良案が浮かばないがゆえに、先ずは収集作業に走るその行動力にも評価できるものがある。というか、彼女は考えるよりも行動したほうが結果としていい方向に向くであろうことを本能的に知っているとしか思えない。 行動を起こすこと自体が簡単ではないことを考えれば、彼女が如何に健気かということも分かるというものだろう。 その、一方で。 決意というものをとんでもねえ方向に向けてきた人物も存在する。 「ないすばでぇのルカのチョーレア装備。とらもなかなかね」 「なぜ水着かって、ヤラれる前に殺るっていう気合注入のためよ。うん、多分♪」 ルカルカととらは、水着だった。蚊の坩堝にこれから突っ込むだろうに。ボウフラの駆除の仕事なのに。暑いのに。日差しが強いのに。 この根性というか気合がどこからあふれているのか、ぜひとも聞いてみたいものです。 「ルカは50%の確率でぱんつは穿いてるわ……今日? うふふ、どっちだとおもう?」 いや、水着でしょ? 水着だよね? そんなシュレディンガーの猫みたいな話はいいから、ね? 「夜倉お兄さんも目のやり場に困っちゃうでしょ? っていねぇ!!?」 そりゃ居るわけがない。夜倉は飽くまでブリーフィングルームでの情報提供役である。 「でしょぉ? 二人共セクシーでしょう?☆」 どうやらそこに、居るらしい。 彼女の中ではな! まあ、こんなカオス極まりない状況ですが。 リベリスタは今日も元気です。 ●水面に映る思いの影 まおは、ボートからボウフラを眺めていた。 人間以外の言葉を理解するすべを持たぬ彼女だが、ボウフラのうぞうぞとした動きは所謂ボディランゲージだと思っている。 何かの話をしているのだからせわしないのだろう、と。可愛いなと思う感情がなきにしもあらず、か。可愛いなチクショウ。 「めだかさんの餌になって貰うのも良いですけど、覚醒しちゃうとまた大変ですので……まおは心を鬼にしたいと思います」 めだかとか金魚とかフナとか、大概の魚はボウフラを好むらしい。とはいえ、エリューションが混じっているとなれば話は別だ。体内濃縮的な何かで革醒されてはアークが困る。 虫除け対策万全にした彼女は、ボートをゆらゆらと漕ぎながら少しずつボウフラを掬いあげていく。 掬ったボウフラは、洗剤が入ったバケツの中にどばどばと消えていく。幾ばくも無いうちに死ぬだろう。 因みに、洗剤もなかなか脅威だが、これが煙草の葉を放り込んだ水だったりすると更に効果覿面だったことだろう。イトミミズですら全身癌になって死ぬほどだ。 ある程度掬いあげたら手を合わせる、その姿勢プライスレス。 「ギャーギャギャ、ギャーギャ」 「え、人骨ですか? 流石に……無いんじゃないでしょうか」 泳ぎまわり、次々とボウフラを口に放り込んでいくリザードマンがそんなことを述べれば、アルフォンソも多少たじろぎながら律儀に応じていた。 といっても、彼は水辺で掬い上げるのがメインだったのだが。その言葉が何となく伝わるというのも、なかなかに不思議な状況である。 その一方。 「三人で仲良くボートデートヒートはーうはーう☆」 「一寸の虫にも五分の魂っていうのにね。でも三センチの虫とかいたら殺すよね、気持ち悪いし」 「なんでわたしが借りたボートに勝手に乗ってるのよっ」 ※借りたのはアークです それはともかく、何故か壱也、甚内、葬識は同じボートで任務に挑んでいた。 経緯は定かではないが、壱也に付随する形で二人が出てきたということだろう。 何だかんだ言いながら、彼らは任務には忠実だしやってることは丁寧なのだ。釈然としねえ。 「まー殺しちゃうよねー百害だしー、でも見て見て、ほらー大暴れして面白ーい☆」 「なんでもいいから退治してっ」 甚内も葬識も愉快そうだが、やはり壱也は少女というかそれらしい本能というか、これらに対しては決してイイ感情をもっていない。 さっさと駆除されてしまえばいいのに、虫なんて。 「ところで羽柴ちゃんホモ――はどんなのが好みなの?」 「………はッ!? とと突然なななにななんてことはははれんち!!」 「やーだー殺人鬼ちゃーん☆ 羽柴ちゃんにそんな事聞いちゃうー? 実技撮るー? 撮影趣味なんでしょー? 羽柴ちゃーん」 「とと撮るわけないでしょ!! こんなところで!!!」 ッパーン、と。 彼ら二人に唐突な問いかけをされてたじろいだ壱也は、二人纏めて池へとたたき落としてしまった。 全く、身長もそれ以外も小さくてもやっぱりこの子はくらっしゃーである。怖い。マジ怖い。 あと真昼間の公園で、ボートの上で、そんなことをいきなり聞いちゃうこの二人もなんて言うか怖い。アク倫的な意味ですっげー怖い。 そして、二人を勢いで落として慌てている壱也の様子はなんて言うか素直可愛い。 でも、戻ってくる二人が雰囲気的に何か変なオーラ発してる。怖い。 「はっはー 殺人鬼ちゃん 今日も体出来上がってるなー?」 おもむろに上半身を脱ぎだす甚内とか。 「やだ、阿久津ちゃん、えっち~、優しくしてね~」 いそいそと上を脱ぎ、時間をかけて下まで脱ぎだす葬識とか。 「うわわわあアアなんで脱ぐの!? いや脱いだほうがいいのかな!? 濡れてるし!? でもでもウワアア!!!」 肝心の壱也、この有り様だ。オールをもったまま手をぶんぶんとさせて、ぽいってしちゃって。 「やだ、羽柴ちゃん期待してた~?☆」 もち、水着は着ていたんですけどね葬識。 「うわああ! オール投げちゃった! うええん! 帰れないよタスケテええ」 「ギャギャ、ギャーギャギャ」 「ええと、今そっちに行きます……か?」 そんな時に頼りになるのが、池で泳いでいる人力動力たるリザードマンとボートをこいでいたまおの二人。 まあ、そうなりますよね。 「灯りを点けている時は姿を現さないのに、どうして眠ろうとする時に限って出てくるんですか!」 一方、ボートで行くままボウフラを救っていた大和はといえば、熱感知を駆使して全力を尽くしていた。だが、やはり数が多い。熱源を示す輝点の数がとんでもなく多い。寒気すら覚えるレベルだ。 こいでいるオールを持つ手に力が入る。背筋にぞくぞくと這い上がるものがあっても、彼女はあきらめない。 あと、彼女の後学のために述べておくと、蚊は光を忌避する性質があるので、電撃殺虫器は実は蚊には効果が薄い。精々が羽虫相手だろう。 というわけで、彼女の悩みは推して知るべしなのだ。頑張れ大和、今年の夏も夜は怖いぞ。 「きりがないの~~、でもでもいけがこのままだとぼーふらさんでいっぱいになるの~」 網を持って川辺を移動するミーノは、既に半分くらい心が折られそうになっていた。だが、それでも彼女は手を止めていない。ボウフラでいっぱいの池など想像もしたくないのだろう。気合が入っている。 集めたら天日乾燥。基本に忠実な彼女の行為は、実に理にかなっているしローコストだ。 \にょわー/ そんな叫び声を上げてしまうくらいには、ミーノは頑張っているのだ。 ときに、エロテロリスト臭半端ない水着組の二人はといえば、ボウフラではなくその親、蚊を誘導するのに躍起になっていた。 池の周りを水着姿でランニング。必然的に彼女たちへと蚊が向かうことは明らかだ。 とはいえ、飛行速度がさほど早くないそれらを確実に誘導するためには刺されるか否かのギリギリを見極める必要があったりなかったりするわけで。 「あついわーいやになるわー」 適度なところでエロテロリズムを挟むルカルカマジテロリスト。ある意味テラーナイトを超えるテロルである。 集まってきた蚊に向き直ったとらが、神気閃光を撃ちこむ。よかった、一般人は居ないよ! とらとは別の方向へ、ルカルカは残影剣を打ち込みに行く。雲霞のごとく群れた蚊の群れに自ら突っ込むとか、ルカルカってばマジ勇者。 ひっくり返ってピクピクいっている蚊はとらが踏み潰す。だが、ルカルカが撃ち漏らした蚊が二人に群がるわけで…… 「あ゛っー!」 「とら、ナイス、濡れ透けのエロスよ」 池に飛び込み、次の瞬間に息を合わせて浮上した彼女たちに反応する間もなく、残りの蚊は殲滅された。 濡れそぼった髪をかきあげる両者の仕草は、珍しく(失礼)年齢相応の色香を漂わせているようにも感じられた。 まったく、ひでぇエロテロリズムだぜ。 ●蚊の顛末記的なもの ……と、まあ一部ものすごいことになった公園でのボウフラ討伐任務は、その殆どを労働意欲著しいリベリスタ達によって駆除された。 一部食欲に変換されていた気がしないでもないが、フナなどに食べさせた場合のリスクと比べれば、偶然そんなものを見てしまった一般人の心の傷的なもののほうが可愛いものなのだろう。そう思いたい。 一部水浸しになったり汗だくになったり黒々と焼けていたり刺された痕が痛々しいことになっている面々が見受けられたのが何というか心残りではあるが、そんな時のためというか、きちんとアフターケアまで完備しているのがアークである。 多分、恐らく、きっと、次の任務までにはリベリスタ達は五体満足で臨めることだろう。 これでテラーナイトが懲りるかどうか、というのはまた話を異にするが。それは、ともかく。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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