● 夜の繁華街。 小清水は、一軒目の店を出た後、軽く飲める店を探して通りを歩いていた。 ドンッ。 突然、肩に強い衝撃を受け、よろめく小清水。 衝撃を受けた側を見れば、若い女が立っていた。 「痛いな、気をつけろよ」 女がふらついたせいで、自分にぶつかったのだろうと推測すると、小清水は女を睨み付けた。 その時、脚に何かが当たった。 小清水はそれを拾い上げる。見れば、それは社員証。女の名は、石動紗苗というらしい。 「おい、アンタ。これ落としたぜ」 憮然としつつも小清水はそれを渡そうと女を引き止めた。 女が、小清水の方を向く。 その瞳と視線が合うと、小清水の動きが止まった。 「あ……」 女の瞳は尋常ではない光を潜め、小清水を睨み付けている。 (なんだコイツ、薬でもやってんのか……?) 小清水は身の危険を感じ、すり足で後ずさりした。 小清水の様子を見て、ニヤリと笑う女。 「え……?」 小清水は思わず驚嘆の声を上げる。 女の唇の隙間からは、まるで血のように紅い『牙』が覗いていた。 ● 「アザーバイド『紅い牙』。 不確定対象に寄生し、脳みそを吸い取り死亡させる。 寄生された対象には紅い牙が生えている。寄生されているか否かを判別するには、歯を確認するしかない。 寄生された対象からアザーバイド『紅い牙』を取り去るには、寄生された対象を殺すしかない。 紅い牙は、寄生対象の脳を吸い尽くすと、また宿主を求めて動き出す。 しかし、移動中の紅い牙を見つけることはかない難しい。 寄生された対象は脳みそを吸われている間は凄まじい頭痛にあっているため、混乱して暴れる事が多い。それが、寄生された対象を見つける一つの術ともなる。 また、寄生された対象は、エリューション化する場合がある。フェイトの有無はその対象の素養による。 尚、紅い牙は『子』を産む能力も有する。『子』は紅い牙と同等の力を持つ……」 『もう一つの未来を視る為に』宝井院美媛(nBNE000229)は、ブリーフィングルームのスクリーンに映し出されたアザーバイドの特徴を羅列したものを読み上げると、リベリスタ達に向き直った。 「現場は夜の繁華街で、まだ人通りも多く、このアザーバイドが寄生できる対象は沢山居るわ。 他の人に移る法則は決まっていないようだから、誰に移ったかを探していくリスクを考えると、早々に対処してしまいたいところね。 子供を産むと言う事は、繁華街が死亡者であふれる可能性もあると言う事。 Dホールは既に消滅しているので、倒すことを優先して考えた方がいいかもしれないわ」 勿論、手段を講じて送還するのは構わないわ。と、付け加えると美媛はリベリスタに資料を配る。 「詳しい攻撃方法等は、資料を確認してね。 紅い牙には言葉は通じないわ。説得しての送還や、言葉での挑発などは不可能よ。 紅い牙にあるのは、ただ、人の脳を食べると言う衝動だけ。 それは、貴方達リベリスタさえも狙う対象になるということよ。 どうか――、気を付けてね」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:叢雲 秀人 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月10日(火)22:45 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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● ふらり――と、小清水の隣にいた女の体がふらついた。 資料で見た、男と女の、顔だ。と、現場に到着したリベリスタ達は認識する。 小清水は、肩がぶつかった女を呼び止めたところだった。 「だ、大丈夫にゃー!」 持ち前の素早さを生かして、その間に割って入ったのは、『マッハにゃーにゃーにゃー!』加奈氏・さりあ(BNE001388)だ。 「なんだよ、アンタ――」 ぶつかった女に文句の一つでも言う所を、突然現れた青い髪の少女に邪魔された形になった小清水は、憮然とした表情を見せる。 「少し具合が芳しくないようなので、先に行かせていただきます」 小清水が手にしていた女の社員証を指先から抜き取ると、『Fuchsschwanz』ドーラ・F・ハルトマン(BNE003704)はさりあの逆側から女の身を拘束した。 まだ何か言いかける小清水の背後から声が聞こえた。 「すまんな、知り合いが迷惑をかけたようだ」 振り返った先には、金色の髪に緑色の瞳の『red fang』レン・カークランド(BNE002194)が立っていた。 「あー……、のー、のー、あいあむ。 さんきゅー!!」 しっかり日本語を話していたという現実はさておいて、小清水はレンを外人と判断するや否や、意味不明の言葉を叫び大きく後ずさった。 激しく引けた腰。それに、何かがぶつかった――。 「……ごめんなさい、大丈夫ですか」 『そまるゆびさき』土御門 佐助(BNE003732)が、憂いた瞳を小清水へ向ける。 「あぁぁぁぁ! だ、大丈夫ですかっ」 小清水は、己の焦りから招いた行動で車いすのか弱そうな男性にぶつかってしまったことで、更に焦る。 これならば後は佐助に任せても大丈夫だろう。と、さりあ、レン、ドーラ達はあらかじめ『リグレット・レイン』斬原 龍雨(BNE003879)が確保していた人気のない裏通りへと紗苗を連れ込んだ。 ● 裏通りに押し込められた紗苗は、脳を吸われる苦痛に呻きを上げつつ、彼女を羽交い絞めにしていたさりあの顔を長い爪で掻き毟る。 「にゃー! 痛いにゃ、やめるにゃ!」 堪らず、さりあは腕を緩める。しかし、拘束が解けたとは言ってもリベリスタに囲まれた状態の紗苗はそこから逃げることも出来ない。 紗苗は辺り構わず腕を振り回す。持っていたハンドバッグが空を切った。 すると、そこに男性のE・アンデッド『大輔』が現れた。 大輔が、腐り落ちかけた腕をぶんと振ると、凄まじい風が生じたかのように思える。 「速いわね……。私に着いて来れるかしら?」 『出来損ないの魔術師』シザンサス・スノウ・カレード(BNE003812)は、黒い羽根を羽ばたかせ低空を飛行すると、自らの持つ速さを限界まで引き上げる。 それを見ると、他のメンバーも紗苗を囲んだまま、己の、仲間の、強化を図った。 さりあは、連続ねこぱんちと称するソニックエッジを放つ。それは連撃の効果をも生み出し、紗苗の命を一瞬で奪った。 「全力でかかればこんなものにゃ!」 「待て、何か出るぞ」 地に倒れ伏した紗苗の体から、熱の塊が蠢き飛び出したのを察知したのは、『アヴァルナ』遠野 結唯(BNE003604)と、カラーボールを握りしめた浅倉 貴志(BNE002656)である。 二人はその塊目がけて行動を開始しようとしたが、そこで凄まじい衝撃波が路地裏を襲った。 熱の塊――アザーバイド『紅い牙』の衝撃波は、さりあ、『リグレット・レイン』斬原 龍雨(BNE003879)、エリス・トワイニング(BNE002382)を路地裏の壁に叩きつけた。 「く……っ」 圧倒のバッドステータスを受けた3人に向け、エリスはブレイクフィアーを放ちそれを打ち消した。 紅い牙が寄生対象を探して宙を彷徨う。それは、熱感知を使用している者にしか感じられないだろう。 (視認できない上、厄介なことに寄生もするという。まずその居場所の特定をしないといけないですね) 貴志はそれ目がけてカラーボールを投げつけた。 べちょりと、カラーボールが破裂した音がすると、空間に蛍光オレンジの塊が出現した。 「それがアザーバイドです」 貴志はその塊を指差した。 むくり。 地に伏していた紗苗が起き上がる。しかし、その瞳に生気は宿ってはいない。 脳を吸われ、さりあに命を奪われた紗苗は、悲鳴にも似た叫びをあげた。E・アンデッド『紗苗』革醒――。 「う……っ」 「あ……ぁ……」 紗苗が手に入れた力『叫び』により、混乱の手に落ちたのは、エリス、龍雨。そして、ドーラ。 混乱の手から逃れたアルフォンソ・フェルナンテ(BNE003792)は、仲間たちの攻撃を上げた初手に続き、防御力を上げる手を打つ。 シザンサスは、叫び続ける紗苗の目を眩ますように幻影の剣を振う。その切っ先は紗苗の身を削って行くが、紗苗はそれでも怯まない。 それはそうだろう、もう――死んでいるのだから。生きていた頃にあれほどまでに苦しかった、痛みも辛さも、もうアンデッドには無縁のものだ。 レンは、宙を彷徨う蛍光オレンジを目がけ道化のカードを叩きつける。しかし、カードに落とされる事もなく、『紅い牙』はさりあの体に潜り込んでいった。 「にゃ、にゃー!!」 さりあが両手で頭を覆うようにして地へ膝を着いた。 元の宿主である紗苗に一番近いのは自分。だから、自分が寄生される可能性が高いのはわかっていた。 だからこそ、もし寄生されたら――できるだけ痛みに耐えて、暴れたくなるのを堪えて、少しでも素直に楽にしてもらおうと思っていたが――。 生きたまま脳を吸われると言うのは、こんなに苦しく痛く、辛いものなのかと改めて気づいた。 痛みに苦しみながらも耐えるさりあ。そのさりあ目がけ、混乱した龍雨の業炎撃が炸裂する。 そして、『おとなこども』石動 麻衣(BNE003692)のブレイクフィアーは、遅れて到着した佐助の守護結界と同時に発動した。 「やはり今回の依頼は厳しい戦いになりそうですね」 正気を取り戻したドーラは「Oerlikon cannon」を構える。 その銃口は、さりあを狙っていた。 さりあは、ドーラの銃口を察知すると頭を抱えたまま瞼を伏せる。 ガァーーーーン!! その弾丸は、揺らぐことなくさりあの頭へと着弾した。が――、リベリスタの力を持つさりあは一撃で倒れる事はなかった。 『紅い牙』から与えられる苦痛。更に仲間からの攻撃に耐えるさりあの体から、熱の塊が排出されるのを、貴志は感じ取る。 しかし、その塊には蛍光オレンジの色はついていない。 「子を産んだか」 同じく、それを感じ取っていた結唯が呟く。 戦いが始まって暫く立つと生まれると聞いていた『紅い牙』の子は、子とは言え『紅い牙』と同等の力を持つ。 「く……っ」 不意をつかれたわけでもなく、結唯はその身に熱の塊が入り込むのを感じ取った。 「寄生されましたか」 貴志は、さりあの体に魔氷の拳を突き立てながら、結唯が寄生されたことを理解した。 「うぅ……」 氷結に囚われなかったさりあは、脳を吸われる痛みに重ねて貴志から受けた激痛に苦痛の声を上げながらも、己の手と足を攻撃に使う事はなく、ただ耐え続けている。 「待っていろ、部位狙いで楽にしてやる」 レンはさりあに口を開くように指示したが、彼女は既に思うように体を動かせる状態にはなく。 しかたなく、道化のカードを以て彼女の口元を切裂いた。 ――顕わになる紅く染まった歯。 『紅い牙』は、あそこにいる。 フラッシュバンを放ったアルフォンソと、紗苗に幻影剣を放つシザンサスに大輔の蹴りが炸裂する。 その間隙の中、紗苗は癒しの力を解放した。 ● 「く……」 結唯は、万が一寄生されたなら、自害しようと思っていた。 フィンガーバレットを己の顎に突きつけ、引鉄を引こうと試みる。 しかし、脳を、頭蓋を激しく揺さぶる激痛の中、手は震え腕は持ち上がらず。 手にした武器を取り落さずに済んでいるのは、激痛のあまり手が硬直し、そこに引っかかっているからに過ぎなかったのだ。 シザンサスは、寄生された仲間たちの苦痛の顔を見ると、先に止めを刺してやりたい衝動に駆られる。 どうせ『死』を以ってしか救えぬ道ならば、せめて苦しまぬように死なせてやることが、自分がしてやれる唯一の事なのではないか。 そう思いながら、さりあを見詰める。 「大丈夫、にゃ……」 苦痛に歪む顔、それでも、『待てる』と告げる。先に、紗苗を倒せと、告げる。 「……独学術式【舞】!!」 シザンサスのナイフが閃く。その一刀は偽りの生命を得た紗苗の命の終焉を告げた。 「――可哀想だけれど、せめて安らかに眠れるように手伝ってあげるわ」 佐助の予定では、『紅い牙』やE・アンデッドに使うつもりだった呪印封縛。 しかし、さりあが『紅い牙』に寄生された事や、生み出した子が結唯に寄生したことなどから、方針の変更を余儀なくされていた。 さりあは、結唯よりも長い時間、苦痛にさいなまれながらも暴れる事なく耐えている。 もう、それも限界に近いだろう。本来なら痛みに我を忘れてもおかしくはない。正気を保っているだけでも、奇跡に近いのだ。 魔氷拳が効いていればよかったのだろうが、それも無駄だった。 「……」 さりあの瞳を一時見つめると、佐助は彼女に呪縛を齎した。 さりあにかけられた呪縛は、彼女を行動を制限することに成功し。 これで、痛さのあまり暴力行為に走りそうになる体を無理やり押しとどめる必要がなくなったさりあは、安堵したような息を吐いた。 「ぐぁ……」 ボコッ、と。 己の背中が蠢き、何かが飛び出した衝撃を感じた結唯。 解放したままの熱感知の力が、それが何であるかを感じ取る。 「気をつけろ、子が生まれた……っ」 脳を吸われる痛みに耐えながら、声を絞り出すように告げる。 「――!」 紗苗を倒し、次はさりあか結唯を倒さなければならないと思っていたリベリスタに戦慄が走る。 また、倒す対象が増えると言うのか――。 「――っ!!」 凄まじい頭の痛みに、龍雨は地へと倒れ込み頭を抑える。 高鳴る鼓動が鼓膜を支配し、頭の奥深くでベチャベチャと音を立てて吸う音と重なる。 今まで聞いたこともない、おぞましい、音。 薄く開いた瞳に、駆け寄ろうとする仲間の姿が見える。 しかし、その姿は大輔の振り回した拳によって眼前から掻き消えた。 「大丈夫……大丈夫だ」 龍雨は、痛みに震える体を己の腕で抱きしめると、地から身を起こした。 「……ここに来た時から覚悟は既に決めていた。 視認が出来なければ、最終的にはこれしか手は無いからな。 この後の運命なんて知った事ではない……今はただ――。 紅い牙を逃さぬよう、自分の中で決着を付けるのみだ!」 『閃刃・空牙』を震える手で振り上げる。 ザンっと音を立てた其れは、己の足を貫いて地面へと突き刺さっていた。 「『紅い牙』は、逃がさない……。頼む、倒してくれ……っ」 仲間に告げる言葉。 そして、その後の言葉は苦痛の波に飲まれていった。 ● 「こんなに、増殖するとはな」 「子の対策をもっと練っておくべきでしたね」 誰ともなく、呟く。 レンは、さりあの紅い歯を狙いライアークラウンを放つ。 切裂いた口元の隙間から垣間見えた歯を狙い打ったそれは、確実に命中したが、それでも『紅い牙』の命を奪うには至らない。 佐助が結唯に呪印封縛をかけると同時に、麻衣の魔法の矢とドーラの精密射撃が絡み合うようにさりあへと向かっていった。 「あ……っぅ……」 さりあはボロボロになった全身で、その攻撃を受け止めると地へと倒れた。 「――っ」 さりあの亡骸から、熱の塊が抜け出す。 それは、蛍光オレンジを身に纏っている。 そもそもの元凶である『紅い牙』だ。 シザンサスはさりあに駆け寄るとすぐに状況を確認した。 「大丈夫、死んではいないわ。……恐らくは、一度死んだと同様の状況に陥ったから、『紅い牙』は勘違いしたのね……」 呟くと、さりあをそっと寝かせ、刃をとり立ち上がる。 「死んでいないとしても――、殺したのと一緒よ。紅い牙――!」 シザンサスの幻影剣が『紅い牙』に襲い掛かる。幾重にも重なり襲い掛かる刃を避けながら、『紅い牙』は自ら飛び込んできた『餌』――シザンサスに寄生しようと試みるが――。 バサバサバサッ。 黒い羽根が辺りに舞い散った。 京一と佐助の放った鴉が、シザンサスを庇うように『紅い牙』を受け止め嘴で蹂躙する。 抗う『紅い牙』。鴉達の手から逃れるように身を転じ翻すと、寄生対象を捜し求め蠢く。 「『紅い牙』が向かっています。気をつけてください」 貴志の声が飛ぶ。そこに待ち受けていたのは――レン。 「紅い牙か……」 『red fang』の名を持つレンは、宙を舞う『紅い牙』を睨み付ける。 「紅い牙というのは、ヴァンパイアが吸血するとできるものだ。 お前のような脳を食らうようなやつに、その名前はやらない」 レンの掌の中、道化のカードが音もなく作り出される。 「――失せろ」 掌から舞い上がったカードは蛍光オレンジに染まった『紅い牙』を一閃、切り裂いた。 1体の『紅い牙』を倒すことに成功した。その1体を倒すまでに、どれだけの被害を被ったのだろう。 一般人の居ない路地裏での戦い、寄生された紗苗の逃げ場をなくした事などで、リベリスタ内だけでの被害に留まっては居たが、それは同時に戦いの長期化と苦戦をも呼び込んでいた。 そんな中。 「……っ」 ガクンと、貴志の膝が地面へと崩れ落ちた。 「すいません……っ」 開かれた眼窩からポタリと血が落ちる。脳を吸われた衝撃の副産物であろう其れは、新たに貴志が寄生されたことを意味していた。 その時、佐助の脚を掴んだモノがいる。 「――!?」 脚を掴まれ軽々と持ち上げられた佐助は、逆さ吊りのような状態へと追いやられた。 「まだコイツが……っ」 E・アンデッドの大輔は、佐助の体重を物ともせず路地裏の壁に叩きつけるように彼を振り回す。 今、大輔にとって、佐助は武器である。 振り回された佐助は、仲間のリベリスタ達を攻撃する手段として『使われて』いた。 アルフォンソとエリスがその体を受け止めようと佐助に、否、大輔に突っ込む。 「――く……っ」 佐助の足首が自由を取り戻す。大輔の手を離れた佐助の体は、突っ込んできたアルフォンソとエリスにぶつかり、3人纏めて壁に叩きつけられた。 「さすがに、状況が悪すぎますね」 後方で構えていたドーラは、ファインダーから瞳を逸らすと仲間達の状況を確認する。 寄生された仲間は、結唯、龍雨、貴志。 佐助とアルフォンソ、エリスは今の攻撃で大きなダメージを受けている。 「とは言え、このままにはしておけないわよ」 「そうだな。出来る限りは――」 レンのライアークラウンが、結唯に宿る『紅い牙』の姿を顕わにする。 「そして次は」 「次こそは――」 「――必ず!!」 リベリスタの口元から覗く『紅い牙』。 その紅は血のように紅く、紅く――。 その後、寄生されたリベリスタ達は全て、一旦戦闘不能になった後にではあるが、アザーバイドから解放された。 そして――『紅い牙』は、まだそこにいる。 繁華街、路地裏、マンホールの中、公園の――ほら、すぐそこに。 『外敵』から身を守る為戦い、増殖した彼らは、ただ己の本能のまま『生きるため』に『食べ物』を求めている――。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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