● ――殺人ウケタマワリマス。 掲示板に書いてあるその文字。投稿者のハンドルは『殺人鬼希望』。なんと馬鹿らしいのだろうか。 だが、そのスレッドにレスポンスは1件。レスポンス投稿者のハンドルは『自殺希望者』。 彼ら、彼女らかもしれない。その二人は一つの約束をした。 『それじゃあ、今度××市の廃病院で』 その日はきっと嫌な天気だろう。否、予報を見て決めた。じめじめと肌に鬱陶しくも張り付く湿気を含んだ気色悪い日。 予報通りならそんな日だろう。雨が降るという夕方、橙の陽光の中、其れを反射するように降る雨を見て死にたいし殺したい。 そんな、何処か夢の様な死に方を、殺し方を望んだ彼らはまだ年若い『こども』であった。 ● 殺したい殺したい殺したい。 藍原キズナが考えていることはそれだけだった。気に入っている半月型のネックレスはたまたま拾った物だが、此れを身につけたまま人を殺したいと思考する。 誰かを殺すことはずっと考えていた。 ゲームの中のリアリティの無い死じゃなくて実際に生きている人を殺す。 そんな殺人願望を犯罪だから、とかそんなちっぽけな倫理の檻にいつでも閉じ込めていた。 けれどもうリセットボタンを押したら無かったことになるような薄っぺらい殺人じゃ駄目だ。駄目なんだ。 最初の殺人、『殺してもいい人』を。その理由を。 そう考えて開いた掲示板に来た客は極上だった。 「殺して欲しい、ですか」 嬉しいなぁ。と笑う。大丈夫、例えどんな奴が来ても殺せるはずだから。 キズナは革醒していた。運命に愛され、その身に人外の力を宿していた。まだこの力を上手く使いこなすことは出来ないけれど。 首元でちゃらり、とネックレスが音を立てる。 彼は『コレ』があれば戦えた。彼は『コレ』でエリューションを操れた。 「殺してあげないと」 此れは誰にも邪魔させない。邪魔する奴がいたら、この手でそれを排除する。 ● 「殺したい少年と、殺されたい少女」 お互いしか見ていない、ただお互いがいれば完結してしまう不思議な関係。 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)がそう言って、行き成り召集をかけたリベリスタ達の前で話し始める。 「殺したい少年の名前は藍原キズナ。キズナの字は『絆』」 人との繋がりを大事にして欲しいとつけられた名前なのに、当人は折角繋がった相手を殺そうとしている。これではただの喜劇といえるだろう。 「キズナが身に着けているネックレスは、アーティファクト」 効果はフェーズ1クラスのエリューションを操る力と、戦闘能力を並みのリベリスタと同じくらいにすること。 しかし、その力と引き換えにとして潜在的な『死』への欲求が強まっていく。 藍原キズナは殺したかった。殺したくて殺したくて堪らなかった。 「殺したくて堪らない。彼の欲求は彼の中にある檻を破った」 殺したくて堪らない、殺人願望。ただ彼は『こども』だったが故に人を殺すことを躊躇った。 「殺しに踏み込むための最後の一押しが彼には足りなかった」 理由が欲しくて作ったネット掲示板。 そんな理由で作られた殺人を承ると書いたスレッドに発言された依頼。 ワタシヲ殺シテクダサイ。 こうして『殺人鬼希望』と『自殺希望者』の契約は成立した。 「今日の夕方、キズナは殺されたがりの誰かを殺す。それが彼らの約束」 「それで終わるなら、それで……」 リベリスタのセリフにイヴは首を振る。 「それでキズナの殺人願望が満たされるなら、それでもいいかもしれない。だけど、彼のアーティファクトは『その気持ちを増幅していく』」 だから、何時までたってもキズナの殺人願望が満たされることはない。一度殺人を実行してしまえば何処までも殺し続ける。 その『死』への欲求は今はまだ最後まで増幅されていない。だから、キズナが行動を起こす前に手を打たなければならない。 「別の班が、死にたがりな子を止めにいっているから。貴方達の任務はキズナを止めること」 彼自身もジーニアスのクリミナルスタアとしての能力を得ている。 その力と同時にアーティファクトを使用してエリューション・ゴーレムを使役してくる。 「キズナの殺人願望はどこまで行くかわからない。とても危険」 だから、イヴは言う。 「殺すことの難しさを、キズナに教えてあげて」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:吉都 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月04日(水)00:24 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 「殺人鬼を目指すなんてあたまおっかし~よね☆」 今は寂れて、人も近寄らぬ廃病院を少し離れた場所から睨みながら、『殺人鬼』熾喜多 葬識(BNE003492)が嗤う。 (人は人を殺すことを是とはしない。そんなことは小さな子どもでもしっているのにね) 人が人を殺す。所謂同族殺しは本能に刻まれた最大の禁忌の一つだ。しかし、それでも尚今回の対象が、藍原 キズナが逸脱を、渇きを、飢えを癒やすたった一つの儀式を望むならば殺人の作法とはなんたるかを教えなければならないと葬識は笑う。 確かに葬識が思うように、本来は殺人という行為は自分の人生をその殺したい対象を殺すことで台無しにする覚悟があって初めて出来ることだ。普通の精神状態じゃあ無理だ。突発的なことから瞬時に自分の体の中から湧き上がり躰の中焼尽くすような怒り。もしくは長い長い年をかけて蓄積し、煮詰まり続けた黒い感情、粘ついたコールタールのような憎悪。 そのどちらか、もしくは両方があって初めて自分の人生など顧みず人は人を殺すことができる。 イマドキの若者であればそんなことは考えずに『死ね』だの、『殺すぞ』なんて言葉をあっさりと口から吐き出すが、其れを齎す行為に及ぶことなど有り得まい。 だからこそ、それをあえて行おうとする気持ちは、その理由は、『折れぬ剣《デュランダル》』楠神 風斗(BNE001434)に解することが出来ない。 (人を殺したいなどと……オレにはまったく理解できん) 無意識の内に拳に力が入る。 その風斗の拳をそっと、『夜翔け鳩』犬束・うさぎ(BNE000189)が両手で包み、ゆっくりと解く。 「風斗、顔が怖くなっていますよ」 それは風斗の性格をよく知るうさぎだから出来ることで。 「……すまん、もう大丈夫だ。行こう」 親友のそのさりげない気遣いに風斗は感謝して、歩き出す。 入口を潜り放置されて劣化したリノリウムの床をパキパキと踏み割りながらリベリスタ達は廃病院の中へと踏み込む。 病院内部のイス等の家具は運び出され、多くの人が訪れる場所であったであろうロビーは伽藍とした雰囲気を見る者に否応なく感じさせた。 葬識の千里眼よって事前に内部の間取り図を把握しているリベリスタ達は、恐れることも、迷うこともなく無人のロビーを進み、その半分程まで進んだところで足を止めた。 少しの間が開いて、入口とは反対、2階へと続く階段から人影が現れる。青年になりかけといった表現が一番ぴたりと来るような、躰の線が細めで眼鏡を掛けた理知的なイメージを与える少年だ。 今回のリベリスタ達の任務の対象である少年、藍原・キズナは軽く首を傾げる。 「……貴方達が、もしくは貴方達の内誰かが『自殺希望者』さんですか?」 彼が口に出した名は彼が狂おしいほど望む『殺されたい相手』だ。 「やあやあ今日は。僕達は悪いけど『自殺希望者』ではないよ、もっと言うと、『自殺希望者』さんは今日は此処には来ない」 何所か楽しそうな、しかし虚ろな、そしてキズナにとって聞き捨てならない言葉を含んだ『名無し』氏名 姓(BNE002967)挨拶にキズナは不快感を露にする。 「どういう、ことでしょうか」 「うん、良い質問だね。僕達、君の持ってるペンダントを回収しに来たんだよ。 それには死の欲求を―――」 姓がアーティファクトの危険性を説明する言葉を最後まで言い終わらぬ内にキズナは驚いた様子で、そして素早く胸のネックレスを掴む。 (うふ……ふ……可愛い子……) 自らに力を与えてくれるアーティファクトを気に入り、すっかりと依存したその様子にクスクスと『水底乃蒼石』汐崎・沙希(BNE001579)は微かな笑い声を漏らす。 姓の宣言に続いて、沙希の笑い声、その二つを受けてキズナは眼鏡を一度右手の人差し指で押し上げる。左手はネックレスを掴んだままだ。 「……貴方達は、僕と、『自殺希望者』さんの邪魔をするってことですね――なら、貴方達を排除します」 声と同時にキズナは8体のエリューションを召喚する。それは、此処にあった物達の残滓。 高まっていく緊張感の中、火蓋を切らせたのは『霧の人』霧里 まがや(BNE002983)の一言。 「やってみなよ、抵抗もしない人を殺すより余程楽しいと思うよ」 ● 『閃拳』義桜 葛葉(BNE003637)がエリューションの前に出て、構える。 「退屈が故に人を殺す。そんなことはさせない」 体を張って巨大化した刃物による斬撃を止め、反撃する。 次に飛び出したのは、『Lost Ray』椎名 影時(BNE003088)だ。飛ぶように走って、ゆらゆらと揺れる包帯を絡め捕る。 空中に縫いとめられた包帯を満足げに見た後、影時はキズナへと顔を向ける。 「こんなものまで使えるようになって、狙うのは自分で殺してくださいって言ってる人? それでいいの?」 「えぇ、『自殺希望者』さんを殺してあげないといけませんからね」 影時の言葉に苛立った様子もなくキズナは手の中にある鈍い輝きを放つ一丁のハンドガンをうさぎに向けその引き金をなんの躊躇いもなく引き絞る。 吐き出された弾丸がうさぎの服部を抉り鮮血が宙を舞う、その傷痕から滴る血液を目印にするかのようにキズナの配下たるエリューション達もうさぎへと殺到する。ブロックが宣言されていたのは、3体。それ以外の5体が自由に戦場を動き回っていた。 例えフェーズ1のエリューションの攻撃であっても重なる連撃と与えられた毒と出血は確実にうさぎを追い詰めていたが、それを治すのが沙希の仕事だ。 (現状の幸せさに気づかないで喚いているようにしか見えませんね……) 革醒したがために否応なく日常から切り離された沙希はキズナを見て相談ずる。餓鬼のようだと。 考えながら詠唱すらも発音することなく沙希は仕事を果たす。彼女が吹かせた癒しの風はうさぎの体力を安全圏に戻した。 その結果を見れば敵の回復役を抑え、逆に沙希という優秀な回復役が居るリベリスタ達は優勢かと思えるが、唯一の不運はメンバー達の中にバッドステータスを回復できる者がいなかったことか。 ターン毎にエリューションが戦場を飛び回りダメージを振り捲いてキズナ達の有利に戦闘を進めようとするがソレを止めたのは風斗の裂帛の気合を伴う渾身の一振り。 「よく見てろ、お前の下僕がバラバラになる様を!」 影時の糸に縛られていた包帯は剣圧に破られ、剣が起こした風圧に巻かれ瞬く間に形を失う。 床に小さなクレーターを作った剣を引きもどしながらキズナを睨む。 「これが殺すってことだ、その意味を分かってるんだろうな。動いていたものが動かなくなる。そいつが持ってる全てを奪い尽くす行いだ」 しかしキズナは風斗の威圧にも動じない。配下の死にも何も感じない。彼のアーティファクトが彼の死への忌避感を薄れさせている。 「へぇ、そういう風に言えるってことは貴方は誰かを殺したことがあるんですね? そうなんでしょう?」 「貴様ッ……!」 その一言が風斗にどういう影響を与えたかはわからない。何故なら風斗が行動を起こす前にうさぎが動いたからだ。 「黙りなさい。抵抗する心配のない、確実で安全な相手でないと殺そうと思えないような臆病者の癖に」 もう一体の包帯を蹴散らしながらキズナに挑発を投げる。そのピクリとも動かぬ表情からは躰に毒がまわっている苦しみはまったく読み取れない。 「確かに僕が殺そうと思った『自殺希望者』さんがそういう人だったのは事実です。けど、それの何が悪いんですか? 死にたいと、殺されたいと希望する人を殺してあげるのはそんなに悪いことですか?」 それに対するキズナの言葉は酷く歪で緩い倫理感の上に成り立っていた、それがアーティファクトを装着していることの結果なのか彼本来の考え方なのかはリベリスタ達にはわからなかったがそれでも戦闘は進む。 回復能力を持っていた包帯を倒し、かつ数のアドバンテージを握ったリベリスタ達はそこから徐々に盛り返して行き、さらに3体のエリューションを撃破。攻撃が徐々に一番後ろで射撃を行っていたキズナにも届き始める。 「くっ……」 劣勢の中、キズナが流れる血を破壊力に変える魔弾を放つ。殺人を邪魔する者を狙う有罪を刻む弾丸。 絶大な威力を持つそれは前線で戦い続けた葛葉に膝をつかせる。しかし、それはキズナの望む殺しに至ることはない。 「退屈だから殺す。そんなことを言っている奴に殺される訳にはいかんからな」 フェイトを消費しての復活。それでも体力は削れているが葛葉の動きは澱まない。 「お前はまだ世界の広さを知らぬだけだからな。それを教えてやろう」 まだ本物の殺しをしていないキズナに葛葉をはじめとした数人のメンバーが掛けるのはアークへの誘い。 「アークなら『殺す』そういう仕事ができる場所ですよ。ただ、そのアーティファクトは捨ててもらいますけどね」 そうして、姓が演説のように最後を締めてリベリスタ達の誘いの言葉は終わる。キズナが返答を返すまでの僅かな猶予に影時は思う。 (ここまで言ってもダメだったら……殺される覚悟をしてもらわないといけないかも知れないね) 「この声が聞こえているなら、君は戻れる筈だけど」 今に気付く。つまらないと感じていた世界がどれほど幸せなものだったか、それは戻れない世界かもしれない。けれど此方の世界に来ないことは出来るから。 届かない距離ではあるが、キズナへ向かって軽く手を伸ばす。彼がこの手を握ってくれるならば、新しい絆が生まれるはずだから。 しかし、そんな影時の思いはキズナの返答によって切り捨てられる。 「僕が、そんな場所へ、行く? 『自殺希望者』さんを殺すことをやめて? ハハ、ありえない」 ちゃりん、と胸のアーティファクトが一度音を立てる。 確かに彼らの言う『アーク』が彼らの言うとおりである組織なら自分にも益があるかもしれない。だが今の僕にとって他人に管理された『殺し』など『殺し』足り得ない。 そんなことじゃあ、僕の殺人衝動は満たせないし、それになにより、僕に殺されたいと初めて言ってくれたあの人、『自殺希望者』さんを殺せない。だから――。 「その誘い、お断りさせていただきます」 「わざわざ、殺される側の覚悟も決めにくる、か。難儀だねぇ」 ぼそりと気だるげにまがやが呟く。彼の言葉の通り、もはやキズナを止める手段は決着を一度付けることのみだ。そして、一度そうと決まってしまえばほとんど大勢の決まったこの戦いは消化試合のようなもので、あっという間にキズナの配下はすべて叩き伏せられる。 残るはまだ多少余力を残していそうなキズナ一人――。そんな時に殺人鬼、葬識が動いた。 「殺すっていうことは、大切な命を奪うということ、命を受け取るということ、命は重いんだよ。君にそれが背負えるかどうか、先輩としてテストしてあげよう」 トン、と自分の頸動脈や、脳天、心臓を指差していく葬識。 「さぁ、よく狙ってね? どこかにしっかり当たれば人は死んじゃうから」 葬識はキズナを迎え入れるように両手を広げる。 「さぁ、おいでよ」 自らを迎え入れる言葉にキズナの逡巡はわずか一瞬。 「では」 素早く銃を構える、狙うは、脳天。照準を合わせキズナの筋肉が引き金を絞るその一瞬。 「不合格、まず何にしても殺そうとしないと。ためらいがあった時点で君は殺人鬼に向いてない」 ソウルバーンによる、カウンター。キズナの体からアーティファクトが離れる。 「はぁっ、はぁっ」 力の源たるアーティファクトを無くし普通であれば戦闘不能になるはずの傷でありながらもキズナが荒い息を吐きながら立つことができているのは彼が宿しているフェイトの賜物か。 だが、葬識の一撃は彼の力の源を奪っている、彼に出来ることは逃走だけだがエリューションを倒しながらもリベリスタ達は位置取りに気をつけて連携を取っていたため。逃走経路になる窓へ逃げることはできない。 2階へ上っても恐らく途中で追いつかれて終わりだろう。 確実なリベリスタ達の勝利、後は攻撃を不殺を持った者に任せて制圧。それで終わる筈だった。 だけど彼らはその気遣いが故に忘れていたかもしれない。藍原・キズナは確かに『こども』で、殺人鬼未満の『殺人鬼希望』で、その殺意はアーティファクトに増強されていたものだったけど。それでもキズナの心には確かに本物の殺意があったという前提を。 アーティファクトなんて無くても彼は確かに殺人願望を元から持っていて、それが今迄キズナ本人に向いていなかっただけだということ。 キズナが銃口を米噛みに押し付ける。その意味を理解したリベリスタ達は慌ててキズナを止めようとするが、その手が届くよりもキズナが引き金を引く方が早い。 そうして、廃病院のロビーに火薬が燃え上がる音が寒々しく響く。 ● リノリウムの床に倒れこむ。 慌てて僕に駆け寄る足音とに次いで一瞬暖かな光が僕の躰を包むけれど、そんな物は無駄だと僕が一番よく分かる。 ドクン、ドクンと脈打っていた心臓の力強かった鼓動も頼りなくなっていく。 震える手には力が入らない。何もかもが血液と一緒に流れ出ていく、奪われていく。 「あぁ、これが人を殺すってことかぁ」 やっと理解できた。途中で投げられた言葉などでは理解できない殺人の実感。 きっと、これで『殺し』を実感できた僕の顔には愉悦が浮かんでいるに違いない。 『アーク』とやらに管理された殺しなんてこれに勝る筈がないと確信する。 さよなら、たいくつな せ か い 廃病院の窓を叩く夕日の光と、其れを反射しながら落ちていく雨粒。 きらきら光る夢のような景色を最後に視界に収めて、僕は眠るように世界と別れた。 ● ザー……―― 通信が繋がる。あちらは驚くほど静かだ 「アンハッピーにはしないって決めたんだけどね」 そっと視線を下におろせば、そこにはただ眠っているように見えるキズナの死体。 「作者が筆を折ってしまったよ」 先ほどから降り始めた雨は、少しずつ勢いを増して、廃病院が涙を流しているかのように濡らしていた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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