● 「チャ~オ~。連絡はあったのかしら?」 恐山のフィクサード、久氷桜虎(ひさごおり・おうこ)は、愛車の中から顔を出すと、やって来た部下達に軽く手を振る。部下達はそのハイテンションにちょっと気圧されながら、桜虎に書類を渡す。 「は、はい。取引の場所はこちらです。それと、フォーチュナから1つ困った情報が入ってきました」 「あら? 逆凪の連中が嗅ぎ付けたのかしら? それとも、六道のキマイラちゃん?」 桜虎は眉をひそめる。いずれもこれから取引するブツを巡って、何度かやり合った連中だ。特に六道などは、最近新しい技術によって生み出したエリューションを用いてくるので、厄介な相手である。 もっとも、桜虎の仕事は「運び屋」。真っ向から彼らと戦って勝つのが仕事ではない。頼まれた荷物を、目的の場所まで運ぶのが仕事だ。その点において、生半な相手に負ける心算は無い。 「それが……アークの万華鏡が、この取引を感知したようです。介入される可能性は高いかと」 「へぇ、アークね」 桜虎は目を細める。去年末に後宮派を打ち破って以来、快進撃を続けるリベリスタ組織だ。単純な「武」だけで判断できる組織ではなく、手強い相手となることに間違いない。 「どうやら、危険な夜になりそうじゃない。ほら、出発するわよ、乗りなさい」 桜虎に促されて、車に乗り込むフィクサード達。 桜虎は鏡で『自分の髭が整っていること』を確認すると、愛車のエンジンを入れ、駐車場から取引の場へと向かうのだった。 ● 蒸し暑い6月のとある日、リベリスタ達はアーク本部のブリーフィングルームに集まっていた。そして、『運命嫌いのフォーチュナ』高城・守生(nBNE000219)は、メンバーが揃っていることを確認すると、依頼の説明を始めた。 「これで全員だな。それじゃ、説明を始めるか。あんたらにお願いしたいのは、恐山派のフィクサードが行おうとしているアーティファクト取引の阻止だ」 恐山派と言えば、『謀略の恐山』と畏れられる、陰謀を得意とする組織だ。勢力的には主流七派の中でも小さいが、卑怯で実利主義。着実に利を貪る危ない連中である。 「この駐車場で、フィクサードチーム『竜牙(りゅうが)』が入手したアーティファクト『精霊石』を受け取る手はずになっているようだ。このアーティファクトはE・エレメントを生み出す力を持っていて、純粋に戦力となるからな。よろしく頼む」 守生が手元の端末を操作すると、透明に透き通った宝石と取引場所の地図が表示される。 恐山のフィクサードは金を、「竜牙」のフィクサードは「精霊石」を、それぞれトランクに入れて現場に向かってくるようだ。もっとも、彼らは互いに仲間な訳ではない。それぞれに自分の得たいものを手に入れたのなら、早々に撤退するだろう。 「気を付ける点があるとすれば、恐山派のフィクサードだな。この久氷桜虎って男は運び屋としてならしているフィクサードだ。自前の車もアーティファクトで強化しているらしくてな。もし、こいつに逃げられたら追いつくのは不可能だろう」 スクリーンに表示されるのは、筋骨隆々なビーストハーフの大男。フリーのフィクサードだったところを、最近恐山派に雇われたらしい。 タイミング的にはフィクサード達が落ち合う前に現場に着くことが可能だ。うまく立ち回れば、戦闘を有利に運ぶことが出来るだろう。 「説明はこんな所だ。資料も纏めてあるので目を通しておいてくれ」 説明を終えた少年は、その鋭い瞳で睨むように、リベリスタ達に送り出しの声をかける。 「あんた達に任せる。無事に帰って来いよ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:KSK | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月07日(土)22:37 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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● 久氷桜虎は4WDで取引現場の駐車場に乗り入れる。 厄介な闖入者は出てこない。それでも、終わるまで安心出来ないのが、この業界の常だ。 そして、所定の場所を目指して車を動かしている時だった。 車のヘッドライトが、2人の男を照らし出す。 「フォーチュナちゃんの予言、やっぱ当てになるわね」 「恐山の久氷桜虎だな。悪いがここは通行止めだ」 『鋼鉄の砦』ゲルト・フォン・ハルトマン(BNE001883)は大きく紫の煙を吐き出すと、葉巻の火を消す。 「この場で竜を名乗って良いのは俺だけだ。だから、そのトランクを俺に渡してさっさと帰るんだな」 そう言いながらも『合縁奇縁』結城・竜一(BNE000210)は既に二刀の刀を構え、戦いの準備は出来ている。 「あらあら、アークのリベリスタでも取り分け怖いのが来ちゃったのね。でも、こういうのは嫌いじゃないわ」 桜虎はアクセルを踏み締める。 「アンディアーモ(行くわよ)!!」 狂想曲の開幕だ。 ● 「テメェらに金は勿体無えな! 代わりに鉛玉をプレゼントしてやるぜ!」 『影の継承者』斜堂・影継(BNE000955)の放った弾丸が、竜牙のフィクサード達を襲う。 先ほどまでは静けさを保っていた駐車場は、たちまち戦場と化した。 「チッ、何者か知らねぇが、竜牙に手を出してただで済むと思うな!」 リーダーの指示が飛ぶと、すぐさまフィクサード達も攻撃を開始する。相手が何者かは分からなくても、敵であることだけは確かだ。リーダーが負けじとガトリングの弾丸をばら撒けば、続いてマグメイガスが破壊の炎をまき散らす。ここに一般人がいれば、たちまち阿鼻叫喚の地獄と化していただろう。しかし、幸いなことに既に結界は張られており、ここは革醒者貸し切りのダンスホールだ。 そんな弾丸乱れ飛ぶ危険な戦場を、『冥滅騎』神城・涼(BNE001343)は臆する事無く駆け抜ける。 怖くないと言ったら嘘になる。 だが、それは望むところ。 逆境だからこそ、出せる力もあるというものだ。 (ま、自分でもどうかと思うけどな。おおっと、それじゃ行くぜ) 相手のリーダーが引き金に指を掛けてから、デュランダルの目の前に辿り着くまでコンマ数秒。 肉薄した瞬間、構えた斬魔刀・紅魔が幾重にも分身する。 斬撃に特化されたその刃のあまりの速さが、フィクサードにあたかも刃が増えたかのように錯覚させたのだ。 竜牙の人数は6人。 相対するリベリスタ達は8人。 竜牙はフィクサードとしては、人並みの実力は持っている。しかし、この戦力ならリベリスタ達は十分に押し潰せるはずだ。 (私達の任務は取引の阻止。貴方達の思うようにはいきませんよ) 冷静に戦局を分析したアルフォンソ・フェルナンテ(BNE003792)は仲間への支援を始める。十分を十二分に変えるのが指揮者たる自分に与えられた使命だ。効率化された戦闘機動が仲間たちの間へと伝播される。 その乱れない動きにフィクサード達は恐怖した。しかし、彼らもまた百鬼夜行のフィクサード社会の影を走るもの。すぐに冷静さを取り戻し、力強い一撃を叩き込んでリベリスタ達との距離を取ろうとする。恐山と接触し、金さえ受け取ってしまえば彼らの勝利。後はアーティファクトがどうなろうと知ったことではない。 その一撃を受け止めたのは白銀の槍。 この戦場に似つかわしくない程の装飾を施された騎士槍だ。パッと見た限りでは、実用に適したものには思えない。ただ、それは常人の手の中にあったらの話だ。『銀騎士』ノエル・ファイニング(BNE003301)の手の中にあれば、如何なるものをも貫く不壊の槍となる。 「どうした? 手も足も出ないって様子だな、姉ちゃん!」 フィクサードが下卑た笑みを浮かべて、鍔迫り合いに持ち込もうとする。しかし、それはノエルにとっては想定済みの動きだ。スッと力を抜くと、フィクサードがバランスを崩した隙にその後ろに回り込む。 「残念ですが、貴方達に渡せるものは何一つとしてありません」 込めた気力と共に、ノエルの持つ騎士槍が光を放ったように思えた。 Convictioはその名の通り、貫くものとしての真価を発揮する。 その強大な一撃の元に倒れ伏すフィクサード。 直前までの油断のせいで何があったのか理解出来ないといった風情だ。それでも、せめて一矢報いようと無理矢理立ち上がろうとする。 その時、フィクサードは気付いてしまった。 今まで後ろにいた少女の手の中に輝く雷光の存在に。 今か今かと解き放たれる瞬間を待ち望む、破壊の力の存在に。 アレハマズイ。 「天空の双子よ、来たりて踊れ。チェインライトニング!」 風見・七花(BNE003013)の詠唱に応じて、雷光が荒れ狂う。戦場を駆け抜ける光は雷の鎖となり、フィクサード達の体を捕えていく。 (恐山の手に精霊石が渡ると、とんでもないこととなるのでしょう。 未来の彼らが起こすかもしれない悪事阻止するためにも……!) 『精霊石』は数あるアーティファクトの中でも珍しい、純粋な力そのものだ。 そこには作り手の意図は一切入り込まない。 だからこそ危険なのだ。 力とは振るうものの在り様次第で、いくらでも姿を変える両刃の刃。 恐山と言う奸智に長けた組織がその力を如何に「有効活用」するのか。どう使うのであれ、ろくなことにならないのは明白である。 『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)は偶然にも度々『精霊石』に関わっているリベリスタであり、その辺は理解している。これ以上の厄介ごとは避けたいと思う彼女としては、早い所片してしまいたい所だ。 「過ぎた望みは身を滅ぼすぞ? まぁ、大人しく渡すなら見逃すかもしれないが」 淡々とした言い方だが、はっきりと見下したことが伝わってくる口調。 言外に「お前ら如きは戦うにも値しない」と言っている。 15歳の年端もいかぬ少女からの罵倒。 一部にはそれをご褒美と解する向きもあるが、生憎とこの場にいるフィクサード達にそうした趣向は無かった。怒り狂ったフィクサード達はユーヌに攻撃を集中させようとする。 その隙を『鋼脚のマスケティア』ミュゼーヌ・三条寺(BNE000589)は見逃さない。 マスケット銃を模したリボルバーを素早く抜き放つと、そのわずかな時間の間に照準を定める。目標はトランクを狙うリーダーのトランク。 「お金より良い物をくれてあげる。地獄へ通じる風穴よ!」 銃声。 そして、トランクが宙に舞った。 ● 「あまり舐めてくれるなよ。俺達を倒さない限りは進めないと思え」 2対4という不利な状況でありながら、ゲルトは一歩も引かずに恐山の前に立ちふさがる。 むしろ、口元には不敵な笑みすら浮かんでおり、どちらが優勢なのか分からなくなってしまいそうだ。 「『謀略』を覆すのが、真の「武」ってやつだ。あらゆる策略、謀略を覆してこそ、最強の武人ってもんだ!」 と言ってから「俺ただの小市民でしかないわけだが」と肩を竦める竜一。ゲルトと違って、彼の体には夥しい傷跡がある。 竜一もゲルトも歴戦のリベリスタである。とは言え、仲間との距離は思った以上に離れてしまい、支援の無い状況ではさすがに不利を覆すことは難しかった。並みのフィクサードならともかく、相手は勢力的に小さいとは言え、主流七派の一派、恐山なのだ。 もっとも、恐山にしても同じことは言える。少なくともこの場にいるメンバーに関しては、短期決戦よりも持久戦を、攻撃よりも防御を重視するものが揃っている。そんな彼らにしてみれば、決定打を撃ちこめないもどかしさがあった。 「なんとも困ったわね。やっぱりリベリスタってバカよね。自分のこと顧みないんだから。嫌いじゃないけど」 女性のような言葉づかいで場を茶化す桜虎。 しかし、言葉とは裏腹に肉食獣の鋭い瞳で戦場を観察している。 そこで判断する。この場にこれ以上自分が留まる必要性は無い。見た所、勝敗を抜きにして、時間を稼ぐだけなら部下達だけで十分だろう。力で勝てない相手に知略で勝つ。試合に負けても勝負に勝てればそれで良い。それが桜虎個人の矜持であり、恐山のスタイルである。 そうして桜虎が立ち去ろうとした時だ。 「そう言えば……気になっていたことがある」 立ち去ろうとする桜虎を目の端に止め、ゲルトが呟く。 無視すれば良かったのだろうが、何とはなしに耳に入ってしまった。 「気になっていたのだが、お前のその髭。全く似合ってないぞ。醜悪ですらある。さっさと剃ることを勧める」 「全くだな。なぁ、オッサン。その髭が、いけているとでも思ってんのか? だっせえ髭しやがってよ!」 口々に桜虎の髭をバカにするゲルトと竜一。 そんな言葉に桜虎は肩を竦める。 「全く安い挑発ね。そんなものであたしが足を止めるとでも思ったのかしら?」 そう言いながらくるっと踵を返して手に握った銃を2人に向ける桜虎。 「ただ、それはそれとしてやっぱりあなた達を倒してから、確実に竜牙と合流させてもらうわ。別に馬鹿にされて怒っているわけでもなんでもないんだから!」 明らかに怒りのツボを押されたらしい桜虎の様子に、ゲルトと竜一は顔を見合わせて苦笑を浮かべる。そして、すぐさま居住まいを直すと、フィクサード達にそれぞれの武器を向ける。 「虎が、竜に勝てるとでも思ってんのかよ!」 「クロスイージスとして、ハルトマンの長男としてこのラインは絶対に突破させん。仲間を守ることが、助けることが俺の誇りだ!」 ここからが本番だ。本気で耐え抜くために、ゲルトと竜一は覚悟を決めた。 ● 転がったトランクを目指し、一斉にリベリスタとフィクサード達は動き出す。 これを手に入れればリベリスタ達の勝利。 これを奪われればフィクサード達の敗北。 互いに相手には渡せない理由がある。 デュランダルの1人がトランクに手を伸ばそうとすると、そこにノエルの槍が穿たれる。その衝撃でフィクサードは壁に叩きつけられてしまった。 涼の素早い斬撃がデュランダルを襲う。その普通なら考えられない速度と角度で襲い掛かる刃を前に、フィクサードは動くことすら許されない。 (エリューションを作り出すアーティファクト……ですか。 恐山の手に渡れば厄介な事態になるのは明白ですね) (きっちりと打倒して、奴らの野望を砕いてやるしかないな) そして、前線の壁に空いた穴を見逃さず、影継がトランクに接近する。しかし、フィクサードも負けていない。一瞬早く、竜牙のリーダーがトランクに手を伸ばす。マグメイガスの放つ魔力の弾丸が影継の動きを止めてしまったのだ。 「へへっ、これさえ残ってりゃ、他に取引相手はいくらでもい……い、痛ぇぇぇぇぇぇ!?」 リーダーは悲鳴を上げ、トランクを落としてしまう。 見ると、手がズタズタに切り裂かれていた。 「資金力のある恐山派をはじめとする大手七派は自分達で積極的に探さなくても、こうして入手できるわけなのですね」 「でも、危険なものが出回るなら、可能な限り潰すのが私達のお仕事ですしね」 アルフォンソと『極北からの識者』チャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワ(BNE003669)の仕業だ。 竜牙がそうしたように、2人もトランクに近づくものを狙って攻撃したのだ。だが、足止めとしての効果は、こちらの方が上だ。 「チェックメイト。なんつってな。弱小組織が謀略の恐山と取引なんて夢を見たのが運の尽きだ」 トランクを手に入れた影継はすぐさまE能力を発動させると、壁の中に姿を消していく。そして、去り際の言葉を耳にしたフィクサード達の間に動揺が走る。 「おい、リーダー! どういうことだ!? 俺達は騙されたってことか? だから、恐山との取引なんて反対だったんだ」 「馬鹿野郎! 相手の口車に乗ってるんじゃねぇ。こいつらはアークだ!」 アーティファクトが奪われ、取引がおじゃんになったことで、フィクサード達は責任のなすりつけ合いを始める。既に士気は崩壊していた。 その姿を見て、ユーヌは薄く笑い、淡々と呟く。 「強盗そのものだがアークの評判的には違和感ないな。六道より質が悪いと」 ある意味でその評価は間違っていない。主流七派という闇の秩序に支配されていた日本に現れたアーク。新参者でありながら、その支配に対して着実に痛打を浴びせているのだ。 己の探求のためなら他者の被害を介さない六道よりも、強者を争わせ利を貪る恐山よりも、質が悪いのは異の唱えようがない。 「これでもう仲間がアーティファクトを安全な場所まで運んでいます。これ以上の戦いは無意味です」 降伏勧告を行う七花。捕縛出来ずとも、相手が逃亡を選べばそれで良い。 しかし、面子を潰され、商品すら奪われたフィクサード達にその選択肢は無かった。 「うるせぇ! ここでてめぇらだけでも倒せずにおめおめと帰れるか!」 ガトリングを向けてくるリーダーの姿に、漏れ出そうになる悲鳴を抑え、七花は手の中の魔術書を開く。 「チェインライトニング!」 制圧のための雷が、今再び放たれた。 ● 「これは……こっちの負けってことかしら」 「あぁ、既に精霊石は仲間が確保した。取引はご破算だ。さっさと帰るんだな」 竜牙を破った仲間達からの連絡を受けて、ゲルトはナイフの構えを解く。 足止めの必要性はもうあるまい。恐山側にしてもここで無理して全てを失うよりは、最低でも手に残ったものをキープしておきたいだろう。 「全く、足止めに使うにしては厄介なカード切ってくるんだもの。完敗よ」 「俺は捨石さ、それでいい。依頼をこなすためには、誰かが耐える必要がある。なら、それはオレがやるさ。それだからこそ、俺は、ここに居て良い理由となるんだ」 真面目な顔でニヤリと笑ってみせる竜一。 恐山の知略を破ったのは、間違いなくこの場にいた2人の覚悟だ。 部下を連れて車に戻る桜虎としては、敬意の念を示さざるを得なかった。 そこに竜牙を倒した影継を除くリベリスタ達が追いついてくる。恐山が抵抗した場合に備え、合流する手はずになっていたからだ。 立ち去ろうとする恐山のフィクサード達をユーヌが呼び止める。 「精霊石、つくづく縁があるが、自由に使えるのならいくらか融通して欲しいものだ」 「リベリスタの口からそんな言葉が出るとは思わなかったわね。ま、うちとしてはボスが取引するって決めたらやるんでしょうけど」 それが恐山の態度なのだろう。何であれ、利用できるものは利用するのが彼らのスタイルだ。 そんな桜虎にユーヌは皮肉げな笑みを浮かべる。 「いや、知性が足りない分、馬鹿でも出来る仕事にしか使えないか。ふむ、馬鹿が馬鹿の仕事を馬鹿に任せたら面倒きわまりない。ならば似たようなことをやるなら、今後も阻止させてもらおう」 ユーヌの言葉にきょとんとする桜虎。しかし、すぐに楽しげに笑い声をあげる。 「こんな戦いに好きこのんで挑むあなた達に言われる筋合いはないわね。ま、良いわ。せいぜい生き残りなさい、うちらとぶつからない限りは応援しているわ。アリーヴェデルチ!」 恐山のフィクサードを乗せた車が走り去っていく。 かくして一晩の狂想曲は終わる。 力を巡る、影の暗闘。 この戦いに終わりはあるのか。それでも、リベリスタ達は戦い続けるのだろう。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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