●うわー、地獄のように健康になるツボ押しゴーレムだぁぁぁああ! むかしむかしある所にオッサンがいました。 オッサンは仕事にも家族にも逃げられましたが健康だけは維持していました。 そんな僕はこれ、健康ツボ押し! 毎日二時間半踏み続けることで激しい痛みがやがて快感に……あ、この人健康と違うわ。 ああ今日も全身をぐりぐりされて快感に浸りたいなどと変態的な供述をしながら道を歩いていると……ふとこんな看板を目撃した。 『ツボ押し健康天国 地下1階』 地下室にあるツボ押し屋さんなんて聞いたことないし看板古いし明らかおかしかったけどオッサンはツボ押しが三度の飯より好きだったので90度カープで地下へと直行した。 そして『ここだよここ』みたいな扉を開けて中へ入ると……なんと! 「はっ、ここは!?」 がちゃんと背後で鍵の締まる音がする。 そして足元や壁に至るまでツボ押しのぐりぐりが所狭しと露出していた。 しかもだ! さっきまで履いていた靴(健康サンダル)もいつの間にか消え、素足でぐりぐりの上に立っていた。 迸る激痛! 「あっふううん!?」 うっかり倒れてみれば背中や腰に当たるぐりぐり。 迸る激痛パート2(痛みだけに)! 「とれびあぁん!?」 しばらく痛みにビクビクしていると、オッサンを巨大な影が覆った。 はっとして見上げたがもう遅い。 そこにいたのは……。 「つ、ツボ押し怪人!?」 『ツーボツボーゥ!』 全身がこう……ツボ押しを合体させまくって原形なくなったみたいな人型の巨大物体が立っていた。 彼の腰ツボを的確についたパンチが炸裂し、一般人であるオッサンはベフォイミッと吐血して絶命しちゃったのだった。 ちゃんちゃん。 ●健康になるためなら……なるためなら……ぁ……アアン!? 今日もあなたは依頼説明をうけるべくアーク・ブリーフィングルームの扉を開けた。 「あっふ……や、やば……あいたた……たたたたた……」 大きなツボ押しシートの上でYの字立ちしたアイワ・ナビ子(nBNE000228)がいた。 扉を閉め……そうになって留まる。 「健康に……健康になるためなら……死んでもいい!」 「いや良くないだろ」 ブリーフィングルームの椅子に裸足で腰掛けるナビ子。 脚がなんかボッコボコになっていた。 「百均とか行くじゃないですかよくー。私もそう言うとこ行くとつい要らないもの買っちゃって、特にツボ押し? なんかにぎにぎしてみてあーこれ気持ちいいなーと思って買っちゃうんだけど三日使ってゴミ行きになってる。そんなことありません?」 なんでもとある地下施設にE・ゴーレムが発生してしまったらしい。 奴はその地下室そのものと一体化し、強力なツボ押しルームを作って新たな獲物を待ち構えているのだ。 「この前買ったのはほらコレ、クマさんの頭が横に三連結してるってやつで、耳と鼻の部分が凸凹になってるから握ると気持ちいいしカワイーなんて思ってたんだけど、これ冷静になって後から見るとキモイよね」 このツボ押しルームというのがクセモノなのだ。 よぉく聞いてほしい。 まず床や壁に脚だの腰だのをぐりぐりするためのツボ押しがびっしり(しかし適度な間隔をあけて)並んでいる。 しかもそれまで来ていた靴や、ツボ押しに邪魔そうなものはいつの間にか消えており、メタルフレームだろうが痛覚遮断だろうが神秘の力で強制的にぐりぐりと感じてしまうという。 それだけではない。このフィールド内では強制力が働き飛行や面接着といったぐりぐりを回避するスキルが無効化されてしまうオマケつきだと言うではないか! 「でもこれだけは良かったよ。麺棒! 裸足で踏んでゴロゴロすとね、なんかもう痛いんだけど痛気持ちーっていうか、麺棒なのに『やだ感じちゃうびくんびくん』状態」 そんなツボ押し空間を支配しているエリューションがこちら、E・地獄健康ツボ押し。 無数のツボ押しが合体しまくって原形無くなったような人型シルエットで、相手のツボを的確につく攻撃を仕掛けてくると言う。 「正に悶絶必死! もうこれツボ押しいらないじゃん私大勝利ー! って思って、三日で使わなくなったの」 こんなエリューションを残しておいたらまた新たな被害者が出てしまう。 倒せるのは、君達だけだ……! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 9人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月04日(水)00:22 |
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■メイン参加者 9人■ | |||||
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●肩凝ラーは、ツボ押し→湿布→キューピー→麻酔の段階で成長する。 「『ツボ押し健康天国』ねえ……昇天するって意味での天国かい。ま、今度はお前を地獄に送ってやるってハナシだよ……」 フフッと笑いながら眼鏡を押す『イエローナイト』百舌鳥 付喪(BNE002443)。 その背に隠れるように、『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)が何やらぶつぶつと呟いていた。 「ゴーレム。体のどこかにある名を削り死という意味に書きかえれば滅びるのだと聞くが絶対ないですよねコレ。分かってます、分かっていますよ」 誰に語りかけてるのか分からんが、アラストールは何かを悟ったような目をして鎧を着込んでいた。 ごそごそと着込むその脇で、『神斬りゼノサイド』神楽坂・斬乃(BNE000072)と『すもーる くらっしゃー』羽柴 壱也(BNE002639)が看板を睨んでいる。 「人が健康になりたいって気持ちにつけこむなんて、なんてひどい!」 「本当だよ! マッサージしてもらえるって聞いてきたのに! きたのに! 私の気持ちを返せ!」 「最近肩こり気味のあたしの気持ちもね!」 「あ、わたしも肩凝るの。お揃いー!」 「えっ、あっ、えっ、うんお揃いー」 要因が全く別の所にあるって斬乃(巨乳)は分かってたけど、でも言わなかった。言ったら羽柴すごいテンション下がっちゃうかもしれないから。 まあ、そういう凝りとか胸とか無縁の幼女、『エターナル・ノービス』メイ・リィ・ルゥ(BNE003539)は可愛らしく首を傾げていた。 「ツボ押しってあれだよね、サンダルとかのいぼいぼだよね。ボクはあんまり好きじゃないな、痛いもん。なんで良いんだろう」 「そうかぁ、そうじゃなあ、わかるわかるぅ」 「わしもぉ、すっごいわかるぅ、足つぼとか押しても痛いだけだしぃ」 『暗黒魔法少女ブラック☆レイン』神埼・礼子(BNE003458)と『廃闇の主』災原・悪紋(BNE003481)が出番を奪い合うかのように互いをぐいぐい押し合っていた。 その間、何をアピールしたいのか腰をくねくねして見せるロリコンビ(平均年齢80歳)。 「我、若いしな、華の10代女子じゃし。たまごっちとかやったことあるし」 「わしの方が若いしっ、肉体は永遠の10代だしっ、ファミコンとかやるし、指の運動になるし!」 「おばあちゃん達が何言ってんのかボクよくわかんない」 「「くうっ!!」」 見た目同じくらいのメイ(11歳)にジェネレーションギャップを感じてハンカチを噛む礼子と悪紋。そのリアクションが既に80代を物語っていた。 「そろそろ、話を進めてもいい?」 クレバーな顔をして地下への階段を降り始める『インフィ二ティ・ビート』桔梗・エルム・十文字(BNE001542)。 「まずは誰かが囮になって、その間にできるだけ攻撃に専念する……それでいい?」 「はい! 間違いないのです! よーしいくですよ、はいぱー馬です号! 必殺のダークイーリスマッシャーが火を吹……あれ、入れな、馬です号入れないのです!?」 『あほの子』イーリス・イシュター(BNE002051)は暫く地下へ馬ごと入ろうと悪戦苦闘した挙句、最後にはその辺のカーネルさん人形に括り付けてお別れしたのだった。 ●そのうちマイナスイオンとかゲルマニウムとかいう言葉に憎しみを覚え出す 「まずは誰が囮になるかだが……よし私が行こう」 アラストールが今日一番のクールフェイスで、目を光らせながら言い放った。 この後誰かが『じゃあ私も』と言い出したらすかさず『どうぞどうぞ』する構えである。 さあ来い黄金パターンとばかりに構えるアラストールに、一同はとても優しく囁きかけた。 「どうぞどうぞ」 「どうぞどうぞ」 「どうぞどうぞです」 「いえどうぞ」 「どうぞ」 「どうぞどうぞなのじゃ」 「どうぞどうぞじゃ」 「……お、おおう……」 キラーパスをフルスルーされ、アラストールは部屋の扉に手をかけた。 背後に突き刺さる『やらかしてくれ』オーラに、アラストールはかつてない脂汗を流す。 「なるほど、これが期待に応えるプレッシャーというものか……」 などとニュータイプみたいなことを言いつつ、扉をあけ放って突撃。 「ええいここで怯むは騎士にあらず! アラストール・『ロード』・ナイトオブライエン参る!」 そしてばたんと、アラストールの背後で扉が閉じた。 『ぬふぁー!?』 『なんのこれし……はぅん!』 『ま、まだま……くぅー!』 『あ……あー……』 『うあ゛ぁー……』 十秒もしないうちに、アラストールの声がオッサン的な何かになっていた。 人類は誰しもゆくゆくはオッサンになる。その顕著な瞬間がツボ押しされている時なのだ。 「アラストールがやられたようだな……」 「奴は四天王の中でも最弱……」 「肩凝ラーの面汚しよ……」 この後同じ目に合うフラグをせっせと立てつつ、付喪たちはそっと扉を開ける。 そこには、餅のようにびろーんと伸びたアラストールがいた。 あとなんとも形容しがたいE・ツボ押し。 全身ほぐしにほぐされ、もう戦いとかどうでもいいって感じの顔になっている。 「普段真面目でガードが固いコに限って一旦気持ちよさを知るとドロドロ堕ちるのよね」 「聞きようによっては最低なコトを言ってませんか貴様この野郎……」 薄目を開けるアラストール。だがもう表情なんかトロットロで、確かに気持ちよさをしってドロドロ堕ちていくエロ同人誌みたいなことになっていた。 ツボ押しには勝てなかったよ的な。 売れるかもしれない。 「ですがアラストールさんを倒したくらいで調子にのってはだめなのです、今こそわたしの力を見せる時!」 てやーと言いながら突撃を図るイーリス。 その脇腹に巧妙に計算されたツボ押しのモミ球がもぎゅんと食い込んだ。 「ああああうんっ!」 くねっと腰を曲げるイーリス。 そこへ怒涛の連続攻撃(?)を叩き込んでくるE・ツボ押し。 「もんじょろっ!? 痛い痛いのですいたた、いた、気持ちいのです!? てんすうっ、じんゆっ、かんこつっ、がいかんんっ!」 喘ぎ声なのかツボの名前なのか良く分からないが、イーリスは身体をぐねぐねして一通り悶えた後、ツボ押しだらけの床にどべーんと横たわったのだった。 「も、もうむり……で……」 「恐ろしい能力ね……でも負けない! わたしはお前なんかに屈したりしない! 『健康的』で売ってるわたしにツボ押しなんてきくわけないでしょお! このはしばぶれーどのさびにしてやるわ!」 はたから見ると足の裏が痛すぎるから声だして誤魔化してるように見えるが(もしかしたら本当にそうなのかもしれないが)、壱也はトレードマークのはしばぶれーどを掲げてE・ツボ押しへと突撃した。 「知ってる? おっぱいおおきいと肩がこるのよ! 私も肩がこるの! でも大きくはないの! どういうことなのよくっそおおおおお! おっぱい大きくなるツボとか無いの!? 突いてよ、思いっきり突いてよぉ!」 「落ち着いて羽柴ミサイルさん発言がエロ同人誌みたいになってるのです!」 「だれが羽柴ミサイルか!」 「うわーん、ここ痛いだけだよー。足の裏がごりごりするよー!」 E・ツボ押しに怒涛の攻撃を加えてるのになぜか多大にダメージをくらっていそうな壱也。 メイは片足をちょいちょい上げたり下げたりしながら天使の息を送ってやっていた。 「ぜんぜん気持ちよくないよー! 痛いよー!」 「そうじゃろうなあ……」 若いってのはええのおみたいな目で礼子と悪紋はメイを眺めていた。重ねて言うが、平均年齢80歳である。生きてるだけでダイヤモンド贈られちゃう年齢である。 きゃぴっとした声で指を立てる礼子。 「よっし、まずは突撃だよ悪紋ちゃん! キミならあんな雑魚、楽勝楽勝!」 「そ、そうか? あの程度ならイケるかの……よ、よーしここは我に任せぶべらッ!」 腕まくりしていざ行かんと走り出した悪紋。その足元に礼子がひょいっと足をかけた。当然悪紋は顔から倒れる。 「な、何すんじゃ! 表情筋めっちゃ押されたぞ!」 「ふふふ、お主の屍を犠牲にわしは安全に攻撃させてもら――みぎゃん!」 腕まくりしていざ行かんと走り出した礼子。その足を悪紋が両手で掴んだ。当然礼子は顔から倒れる。 「ぎゃー! 目がー! あっ、でも頬にぐりぐりするのコレ意外と気持ち良いっ!」 「ええい死なばもろともじゃ、こうなれば……ハッ!」 何かに気づいて顔をあげる二人。 だが時既に遅し。彼女等の前にはE・ツボ押しが仁王立ちしていたのだった。 「しまったー! わ、我より礼子の方が凝ってるのでそっち行くのじゃ!」 セブンブリッジみたいにして礼子を掲げる悪紋。 「ぎゃー! 腰っ、腰に適度な振動と熱が……あぁ……ちょっととろんとして、わし、なんか変……ってそうは行くかぁ!」 勢いをつけてぐるんと回転。上下反転したことによって悪紋が上に掲げられた。 「あひゃんっ、や、やめるのじゃ! そんなに激しくされたら我……ひぃん!?」 互いを盾にし合うリベリスタの図。 十文字は、悪紋たちがぐりぐりされてる今がチャンスとばかりに部屋に入った。 ツボ押しの上に全体重を乗せる。 「んっ……ふあっ!?」 エロゲみたいな声が出た。びくんと背筋を伸ばす十文字。 イラストのタッチも相まってほぼエロゲだったが、十文字はゆっくりと首を振って気を取り直す。 気を取り直してからのー、一歩。 「ひゃううっ!」 十文字はしばらくぷるぷるしながら、全身を駆け巡る未曾有の感覚に酔いしれていた。(こう書くとエロい) 「ふむ……やはり皆ツボ押しにやられたか。あんたもつらいが私も辛いんだ、頑張って耐えておくれ」 娘を売りに出した老婆みたいなことを言い始める付喪。 「だが私には秘策があるんだよ。ツボ押しが痛いのは一点に集中しているからさ。こうやって座って力を分散させれば痛い!」 ツボ押し床の上にあぐらをかいたまま、付喪はしばらく悶絶した。 「やっぱり皆駄目だったか。ならあたしが満を持して……」 ふぁさぁっと髪をかきあげる斬乃。 「はい、こうして寝転がることで負担を最低限にまで減らす! 移動がしにくいならこうして転がれば痛たたたたたたたたあ痛たたたたたた!!」 斬乃は地面をごろんごろん転がりながらしばらく悶絶した。 ……こうして。 九人中実に八人もがツボ押しに悶絶しっぱなしという、恐るべき戦闘シーンが暫く続くのだった。 ●肩がこるだけならまだいい。気づけば頭が割れるように痛くなるのだ! さて。 異様に長い戦闘シーンが繰り広げられた地下一階、健康ツボ押し天国跡。 最初は勇ましく突入したリベリスタ達はどうなったのだろうか。 「んくぅっ……血行……血行よくなっちゃう……代謝よくなっちゃうう……」 服を大きく着崩した十文字が息を荒くしていた。 頬を朱に染め、白く湯気立つほどに息を吐く十文字。 「もうやめて、ツボ、突かないで……くるぅ、きちゃうぅ……」 もうほぼエロゲだったが。 言い訳の使用が無い程エロゲ的台詞だったが。 安心して頂きたい、リベリスタがツボ押しされているだけの光景である。 「ああっ、そこはだめっ、ちょっと、い、イタタタタタ!」 ほら、ツボ押し的セリフ。ね、ね? 「ハァ……ハァ……はじめてなのに……わたし、けんこうに……なっちゃった……」 ツボ押し……的……セリ、フ……だよ? 「くう、ここは私に任せて……先に……」 一方、既にぐでんぐでんになったアラストールが、ツボ押し床の上で伸びに伸びていた。 最初にフルボッコされて以来、もう見るも無残なトロットロぶりである。 考えてみれば、キリッとしてたのは突入前だけというこの有様。 アラストールがここまで抜けてる機会もそうはなかろう。 かと思えば、壱也はE・ツボ押しにここぞとばかりに攻め立てられていた。 「ふぁっ、何このびりっとした痛み……いや、快感!?」 ふるふると首を振る。 「ち、ちがうわよ、気持ちよくなんか……ふぁあっ! いやぁ、いたっ……ああんっ、違うってば、ちが……反則よ、ずるい、ずるい、そんなっ……ひゃああんっ!」 くどいようだがツボ押し中のセリフである。 壱也がツン気味に抵抗しつつも湧き上がる快感に身を焦がされついには身も心も溶かされてしまう過程のセリフではない。断じて。 若手が次々とツボ押しの毒牙(?)にかかって行く中。 「これでも私は還暦声。ロリババアと呼ばれるようになってから幾年月……」 付喪が床のツボ押しに背中とかぐりぐり押し付けつつ、ふへーっと気持ちよさげに息を吐いていた。 「若い連中にはわからないだろうけど、寄る年波ってのがあるんだよ。見た目若くても身体は過ぎた年月の分だけボロボロになって行く。そんな私に果たしておうふっ!? 腰はやめなさいよ腰はっ、肩こってると腰弱くなるんだ、か、らっ、おおおおお痛気持ちい、そこそこ、くはー効くねえ」 既にE・ツボ押しを堪能しきっている付喪である。 老後の余ったお金でマッサージチェアとか買っちゃって、毎日ゴウンゴウンされながら暮らす様がありありと想像できる堪能っぷりだった。 ちらりと礼子と悪紋を見やる。 「すぅすぅ……ハッ! なんじゃ、うっかり寝ておった!」 「疲れたんだから疲れが取れたんだか」 頬に涎をつけつつ顔を上げる礼子アンド悪紋。 付喪はすっかり使いこなしつつあるE・ツボ押しにぐりぐりされながら言った。 「あんたらもやったらどうだい。自分はメイと同年代みたいな顔して誤魔化してるけど……二人とも私より年上だろう」 「言うな! 魔法少女コスした80歳女子とか笑えんじゃろうが!」 「やめい具体的な数字を出すな! ロリぃ服を着とるのがいたたまれなくなったらどうしてくれる!」 「そ、そうじゃった。わし10代女子ぃー」 「それじゃあ我も10代女子ぃー」 「やめないか見苦しい」 腰から肩にかけてのラインを重点的にウゴウゴし始める付喪。 もはや戦う気力がなかった。 「ふむ、では私が抑えておくからその隙に」 「ええい一人でマッサージされ続けおって。まあ良い、やられたぶんはきっちり返すのじゃ!」 それぞれ式符や闇を生みだし、E・ツボ押しへと身構える80歳女子たち。 「くらえ必殺、マジカルブラックカリバー!」 「同じく、復讐のブラックバードアタックなのじゃー!」 ソウルバーンや鴉を叩きつけられ、よたよたとタタラを踏むE・ツボ押し。 なんか初めてマトモな攻撃が入ったような気がするが気のせいであろう。 序盤から皆が頑張っていたおかげでE・ツボ押しも徐々にガタがきていたのだ。 「をっ、もしやこれはトドメをさすチャンスなのでひゃん!」 足の裏を床でぐりぐりしつつ、痛みに悶絶するイーリス。 メイはそれを後ろでぼーっと見ながら天使の息を気まぐれにぽかぽか起動する簡単なお仕事をしていた。 しかも途中からは仰向けに寝っ転がれば別に痛くないことに気づき、どべーんと大の字に寝転がったまま楽をすると言う非常にイージーな立場を確保していた。 「だけどギャラはみんなとおなじ……こんなことしてたらいつか怒られちゃうかも?」 などと言いつつ戦闘はイーリスたちにパス。 斬乃とイーリスは、最後の出番を振り絞るかのようにE・ツボ押しへと身構えた。 「あと一押しだよ、なにか決定打があれば『おのれライダー』とか言って倒れて爆発とか起こす筈!」 「何の怪人です!? でもちょっと考えてみるのです……えーとえーと、あ、そうです!」 ぺかーっとイーリスの頭上に豆電球がついた。 「E・ツボ押し、お前みたいな奴は大体買ってから三日でポイされるのです。三日も経てばもはやツボ押しでもなんでもないゴミになってしまうのですよ……」 「まさか今から三日待つつもりじゃ?」 「それは死んじゃうので」 冷静にツッコミを入れるイーリス。 「でも、世界には三秒ルールというものがあるのです。ちくわをフローリングにおとしても、餅巾着を学校のグラウンドに落としても三秒以内なら食べられるルール!」 「いやそれは食べられないけど」 「しかも最後の『さーん』をどこまでも伸ばすことで理論上無限に安全状態を保つことが可能!」 「常識的に考えてそれは……」 「今回はそれを逆に利用するのです。お前の時間を早送りにしてやるのですよ……ついたちふつかみーっか! はい三日経ったー! おまえなんかポイなのです! くらえ怒りのいーりすすまっしゃひゃいん!?」 飛び掛って行ったイーリスが空中で脇腹を押されてくねっとなった。 そのままお尻から落下して悶絶する。 「ば、ばかな……三日以上持つツボ押しがあるわけが……」 「なぜそれで勝てると思ったのかが分かんないけど……多分飛び込みの時に足の裏をツボ押されてるのが原因じゃない?」 「……はっ、そうかもです!」 顔をあげるイーリス。 「そうだとも。だからあたしを踏み台にするんだ。そうすればダメージは抑えられる筈。大丈夫、私の屍を越えて行むぎゅう!?」 「お言葉に甘えるのです!」 斬乃が言い終わる前にぐにっと胸(巨乳)を踏んづけると、イーリスは高らかに跳んだ。 「これで最後です、いーりすすまっしゃー!」 ●肩こりは現代人の証 E・ツボ押しを倒し、皆はよろよろと地上へと上がってきた。 夕日の眩しさに目を細め、一様に、こう考えた。 「健康器具も、程々にね……!」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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