●戦機 ロボットという表現が適切だろうか? 工場跡地に姿を現したそれは、周囲の風景になじまない雰囲気を発していた。 ひび割れたコンクリートとアスファルト、錆びた鉄骨。 そんな廃墟……廃墟とすら呼べないほどに何もないその場所を、まるで完成したばかりに見える金属塊が、ゆっくりと歩いていく。 胴体から四肢が伸び、頭部を備えるその外見は人型と呼ぶのが相応しいだろう。 それらの上に装甲を備え、武装した鋼鉄の兵器……E・ゴーレムたちは、それを揮うべき相手を求めるかのように工場跡地を闊歩していた。 ●再び工場跡地へ 「調査が行われていた工場跡地で、再びE・ゴーレムが確認されました」 同時にフィクサードらしき人物も目撃されました。 マルガレーテ・マクスウェル(nBNE000216)はそう説明してから、ブリーフィングルームの端末を操作した。 「フィクサードの方に関しては調査中です。皆さんにはE・ゴーレムの撃破をお願いします」 言葉に続くようにスクリーンに地図とE・ゴーレムの姿が表示される。 「E・ゴーレムの数は2種類、3機となります」 そう言ってフォーチュナは、それぞれのゴーレムについての説明を開始した。 「2機いる方のE・ゴーレムは、遠近両方の攻撃手段を持つバランス型です」 どちらかといえば、近接戦闘にメインを置いた機動力重視型。 「武装の方は理論は不明ですけど、ビーム兵器っぽいのを使用してくるみたいです」 長剣と砲身の長いライフルのような形状の武器を持ち、砲身(刀身)部分に光彩を持つ粒子のような何かを纏わせ、攻撃する。 纏わせたまま斬りつける事もあるし、銃弾のように射出して遠距離の敵を攻撃する事も可能なようだ。 大きく振りかぶって広範囲を薙ぎ払う事も可能らしい。 「もうひとつは投擲する爆弾ですね」 遠距離まで届き、5mほどの範囲に爆風でダメージを与えるほか、巻き込んだ相手の動きを鈍らせる効果もあるようだ。 「耐久力もある程度高めですが、速度を重視した機体みたいです」 命中回避共に優秀で、防御力も決して低くはない。 バランスの取れた能力を持つらしい。 「対して1機の方は、攻撃力と防御力を重視した重装甲高火力型、みたいな感じです」 武装は遠距離攻撃のみ。 両肩に搭載された大型のレーザー発射装置と、腕部に装備された中型のバズーカである。 「……まあ、レーザーみたいな、なのですけど仮決めという事で」 30mほどの射程を持つレーザーは、直線上の対象全てを薙ぎ払うように照射される。 回避は極めて難しく、破壊力も圧倒的だ。 「ただ、かなりのエネルギーを消費するみたいです」 全く消耗していない状態からでも二射するとほぼエネルギーが尽きる、くらいのエネルギー消費。 エネルギーをチャージする能力は持っているらしいが、それでも連続射撃は不可能のようだ。 それを補助する為の副武装ということなのか、腕部に中型のバズーカらしきものを装備している。 「こちらは本当に見た目がそれっぽいっていうだけです」 弾切れせずある程度連射が効くという以外はバズーカのような感じだが、その時点で既にバズーカではないと言いたい。 「砲弾が目標近くで爆発してダメージを与える感じなので攻撃力はそれほど高くないですが、かなり避け難くなってます」 バズーカを使用しつつエネルギーをチャージしたらレーザー照射というのが基本戦法のようだ。 大型で速度は遅いが、動きは器用で無駄が無いらしく、回避性能はともかく攻撃の命中精度は高い。 何より装甲によって高い防御力を持っている。 「加えてその装甲で、状態異常効果を打ち消す能力も持っているみたいです」 この能力によって行動不能などの効果を受けず、戦闘を継続できる。 ただ、その効果を発揮する為には少量だがエネルギーを消耗するようだ。 「あと、もうひとつ。その装甲を全て切り離す事で、超高速機動型に変化する事が可能みたいです」 全ての防御力を失い異常無効化能力も失うが、代わりに速度が大きく上昇し、それに伴い命中回避能力も上昇するようだ。 速度の低さで不利になっていると判断した場合に使用する可能性があるらしい。 「全機体共に意志の疎通などはできませんが、戦況を判断し戦い方を選択する能力に優れています」 戦場となる工場跡地は特に戦闘や移動の障害となる地形は存在しないが、だからこそ充分に考えて戦う必要があるだろう。 「跡地の調査等は後程ということで」 まずはE・ゴーレムの撃破に全力を尽くす。 「強力なエリューションです。充分にお気を付けて」 マルガレーテはそう言って、リベリスタたちを見送った。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:メロス | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年10月23日(火)23:05 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●幻想 「特化型は、そりゃロマンはあるよ?」 (でも、それは運用において戦場が限定的なものになるわけだ) 「それに引き換え、バランス型は素晴らしい」 『合縁奇縁』結城 竜一(BNE000210)は、うんうんと頷きながら語り出した。 機構を単純にすることで、汎用性と信頼性、耐久性と運用性を高める。 「やっぱカッコイイよね、量産型とか」 (だから、重装甲射撃型より汎用戦闘型を相手にするのは当然のこと!) 「こいつを倒して残骸をもらって、トリコロールカラーに着色して家に飾るんだ!」 俺の邪魔は誰にもさせねえ! 青年は力強く断言した。 「ロボだぜロボ! 鋼に火薬に光学兵器! たまらんねぇ~」 ツァイン・ウォーレス(BNE001520)もテンション高めに、興奮した様子で口にする。 「見事なまでにロボだな。スーパーE・ゴーレム大戦とか始まりそうだ」 そんな感想をもらしながら、『正義の味方を目指す者』祭雅・疾風(BNE001656)は千里眼を使用して工場跡地を確認した。 (見るからに戦闘ロボットなE・ゴーレムだな) 「調査は片付けてから考えるさ」 地形やE・ゴーレムの位置等を確認しながら、青年は自分に言い聞かせでもするように呟く。 (へえ、こういう敵も居るのね) 「ほら、うちヒューマンダイナモ使えるよ! 今回は無駄だから活性化してないけど!」 陽気に元気に、そのままのテンションで『つぶつぶ』津布理 瞑(BNE003104)は言葉を続ける。 「電気で動くならうちで飼おうよ! えー、ちゃんと面倒みるからさー? ねー智親ちゃーん!」 本気にも聞こえかねない様子でそう言ってから、冗談はともかく、と……彼女は視線をE・ゴーレムたちへと向けた。 「やーん、レーザーを撃って来るとかびっくりですよう」 『メガメガネ』イスタルテ・セイジ(BNE002937)はそう言ってから、皆の様子を窺う。 『あのレーザー、まさか?』みたいな、何だか知ってる風な口ぶりの人がいれば『知っているのかRAIDEN?』と問い返そうと思って……いたけど。 「……深い意味はないです」 いなかったので。 「言ってみたかっただけです」 ライ○ンとか知りませんよう。 そう言って彼女は目を逸らした。 うん、知らない。セ○とか電脳○機とか。 「ニホンのロボって合体すんだろ! 三体合体六変化とか、テレビで見たぜ!」 オレ、すっげー楽しみ! 「……え……しねーの?」 すっごいテンションだった『デンジャラス・ラビット』ヘキサ・ティリテス(BNE003891)はそれを否定されて、ショボンと肩を落とす。 「工場跡地からE・ゴーレムですか」 (以前にも同じような事があった場所ですが、何か秘密があるのでしょうか?) 『境界の戦女医』氷河・凛子(BNE003330)は微かに目を細めた。 「……気になります」 呟いてから、軽く頭を振る。 今は、やるべき事があるのだ。 念の為にと力を使い、彼女は強力な結界を周囲へと張り巡らせる。 「さて、堅くて痛くて当ててくると三重苦な相手カ」 『盆栽マスター』葛葉・颯(BNE000843)も、エリューションへと視線を向けながら呟いた。 (厄介きわまりないが、まぁ遊ぼうサ) 「戦場自体はシンプルだし、気合いだけ入れていくさ」 疾風が皆と足並みを揃えるようにと、仲間たちの動きを確認する。 「ヒュゥ~、格好いい~♪」 此方へと接近を開始したE・ゴーレムたちを見て目を輝かせてから。 (でもま、あぁいう奴等が弱かった試しはねぇんだよな!) ツァインは、よしっと……表情を引き締めた。 「それじゃ、気合入れていきますか!」 ●接触 距離を詰めるE・ゴーレムたちを確認しながら、疾風は皆に合図した。 ヘキサが全身の能力を速度へと最適化させ、瞑と颯も自身のギアを切り換える。 イスタルテが翼の加護を、ツァインが十字の加護を、仲間たちへと施した。 見通しの良い平地をほぼ一定の速度で接近してくるやや大型のE・ゴーレムたちとの接触タイミングを計るのは、比較的容易だった。 もちろん多少の誤差は生じるが、少なくとも今回は大きなものではない。 ツァインはそのまま能力を使用し完全防御の態勢も整える。 範囲攻撃に対処すべく疾風は仲間たちと適度に距離を取りつつ陣形を整えた。 「逃がしはしない! 変身!」 アクセスファンタズムを起動させながら、青年はE・ゴーレムの一体を抑えるように移動する。 凛子は周囲の力を取り込む事で自身の魔力を強化した。 E・ゴーレムたちは速度を緩め、前衛の2機が竜一とヘキサに狙いを定めボムを投擲する。 警戒し互いの距離を開けていたため、他の者は巻き込まれなかった。 爆発は竜一を完全に捉え動きを鈍らせたものの、ヘキサは圧倒的な速度で爆風を完全に回避する。 疾風はE・ゴーレムを後衛たちへと近付かせないように対峙すると、そのまま流れる水の如き攻防自在の構えを取った。 重装甲のE・ゴーレムへとツァインが向かい、竜一は自分に攻撃してきたバランス重視のE・ゴーレムをブロックする。 「さっさと片付けねーとツァインと結城が持たねーからな……ブッ壊すぜガラクタぁ!」 距離を詰めたヘキサは踏み込みから鋭い蹴りを放った。 ショートブーツから現れた刃が、E・ゴーレムの体を切り裂く。 そのまま動きを止めることなく少年は高速の連続攻撃を繰り出した。 攻撃を受けはしたもののE・ゴーレムも機敏な動きで直撃を避けるようにして、ヘキサからのダメージを軽減する。 瞑も重装型の位置を気にしつつ、ヘキサと同じ目標へと接近した。 アークのリベリスタで今は2番だけど、もうすぐ1番になる連続攻撃技術で。 「ソッコーで倒しちゃうわ!」 ロンリーコンダクター(孤高の指揮者)と、ショータイムコントラクト(見世物契約) 白金と黒銀の刃を振るって瞑も金属の兵士へと連続攻撃を叩き込む。 いつでも重装側の抑えをスイッチできるようにと、やや前衛気味に位置を取って。 「加速して殴るしか小生は知らない」 高速で一気に距離を詰めた颯は低い位置から向きを変え、変則的な方向からの同時多角攻撃をゴーレムへと仕掛けた。 数度の斬撃を繰り出したのち、機体に蹴りを入れるようにして後方へと跳躍し距離を取り直す。 颯の攻撃によってゴーレムは混乱したものの、戦意が衰えた様子はなかった。 電脳の戦機はそのまま付近にいたヘキサと瞑へ、己の武器を振り被る。 形成された光の刃が、瞑を鋭く切り裂いた。 ●対峙 もう1機が振るった光刃が、対峙する竜一を傷付ける。 疾風は拳やコンバットナイフに雷を纏わせ、高速の打撃と斬撃をヘキサたちが攻撃した機体へと叩き込んだ。 戦う前衛たちから距離を開けて、後衛同士でも横に距離を開けて位置を取りながら。 凛子は敵の遠距離攻撃に注意を払う。 先刻のボムによる攻撃、モーション等を思い返し、仕掛けられた場合どのように避けるべきかを考える。 幸いというべきか、今の処バランス型の2機は前衛たちによって抑えられていた。 もっともそれは逆に言えば、前衛たちに攻撃が集中しているという事でもある。 詠唱によって具現化させた癒しの息吹で凛子は前衛たちを回復させ、短く後退した。 回復はそれで充分と判断しつつ、念の為にとイスタルテは待機し敵の動きを観察する。 重装甲型が最遅行動の後、アーマーパージをして即座に行動するという可能性もあるのだ。 いきなりそうする可能性は低かったが、用心するに越した事はない。 後衛に位置する彼女はレーザーを警戒し、位置の調整に高度差も利用していた。 もちろん、左右の位置も調整している。 レーザーの発射部は両肩にあるのだ。 真正面でなければ両方からの直撃は避けられるのでは? そう考えた彼女は少しでも軸線を逸らせるようにと自分の位置を調整していた。 「貴様らの、作戦目的とIDはなんだ!」 (誰が作ったのか気になるしね!) 意志疎通は出来ないと思いつつ、一応と竜一はE・ゴーレムへと問いかける。 返事が言葉ではなく攻撃で返ってきそうなのを確認すると、青年は雷を切り裂いた打刀を振りかぶった。 全身のエネルギーを武器へと収束させ、斬りつける。 仲間たちから引き離すために吹き飛ばそうとしての斬撃だったが、E・ゴーレムは打点をずらし直撃を回避して耐え凌いだ。 「ホラ、来いよデカブツ! 俺が相手だ!」 自分に注目させるように大げさな身振りと言葉でアピールしながらツァインは重装型と対峙する。 もっとも、無闇に攻撃は仕掛けない。 彼はそのまま確りと守りを固めながら、敵の動きを観察した。 (レーザーはなんとか回避したいとこだな……) 機械特有の癖等が無いか? 敵の最大の攻撃を避ける為に、少しでも何か手掛かりが掴めれば。 そう考えE・ゴーレムの動きに注意を払う彼の眼前で、重武装型の両肩の発射装置に眩しいほどの光が、圧倒的なエネルギーが収束する。 スローモーションのように感じられはしたものの、実際は一瞬だった。 巨大な光の槍が、低く空間を薙ぎ払う。 多数が巻き込まれるという事態は避けられたが、ツァインと凛子は直撃によって一瞬で大きなダメージを受けた。 凛子の負傷を確認したイスタルテが癒しの福音を響かすべく詠唱を開始する。 他の者たちも怯むことなく、其々の行動を継続していく。 ●継戦 「デカイのいくぜー! 巻き込まれんじゃねーぞ!」 仲間たちへと呼びかけながら、ヘキサは瞑と共に対峙するゴーレムを誘導した。 颯は一撃離脱の強襲を繰り返し、疾風はDCナイフ[龍牙]による斬撃で堅実にダメージを蓄積させていく。 汎用戦闘型の1機はそのまま竜一を攻撃し、もう1機はヘキサへの直撃が極めて困難と判断すると瞑や疾風に的を絞り始めた。 凛子は詠唱を続け、自分を含め傷付いた味方を回復する。 レーザーの直撃は一撃で、彼女を限界近くまで傷付けていた。 癒しの息吹を具現化させたその瞳に、重装甲射撃型の両肩部の輝きが映る。 試しに乱反射する素材等をと考えてはいたものの、癒しに専念する凛子にはその時間が無かった。 イスタルテも回復に専念しているが、それでもツァインと凛子の受けた傷は癒し切れない。 竜一は対峙する機体を射線を妨害するように吹き飛ばそうとも考えたものの、ツァインが背後を取られる可能性も懸念し、ただ引き離す方向に敵を誘導した。 回復が2人いるお陰で持ち堪えてはいるものの、油断はできない。 (もう一匹のバランス型を皆が倒すまでは、ブロックに終始しよう) 青年はそのまま、味方を攻撃させないようにE・ゴーレムを牽制する。 一方、重装型と対峙するツァインも防御に専念しながら敵の動きに神経を集中させていた。 再び両肩部の発射孔に光が収束する。 「攻撃がきます!」 凛子の警告の声の直前、ツァインも直撃を避けるべく動いた。 それでも、完全には回避し切れない。 巨大な光の奔流が、リベリスタたちを貫いた。 幸い、というべきなのか……敵の狙いは逸れ、凛子は攻撃を受けなかった。 光の槍はツァインを傷付けたのち、ヘキサと瞑を貫いたのである。 ヘキサは直撃を避けダメージを半減させたものの、瞑の受けたダメージは大きかった。 もっとも、その甲斐はあったのかも知れない。 2人によってE・ゴーレムの1機もレーザーの直射を受け大きく損傷したのである。 だが、二度の攻撃を受けたツァインも酷い傷を負い、運命の加護を得てようやく立っているという状態だった。 あと一撃受ければ耐え切れない。 だが、少なくとも現状敵のエネルギーはほぼ尽きている筈である。 ブロードソードに輝きを宿らせ斬撃を放つと、ツァインはそのまま後退した。 交代するようにヘキサが重装型へと接近する。 前衛が一時的に減少したものの、敵の受けたダメージは大きかった。 瞑、颯、疾風らの攻撃によって1機が撃破される。 3人はそのまま竜一が足止めしている機体へと目標を変更した。 ●猛攻 「この瞬間を待っていたんだ!」 1機目が撃破されたのを確認した竜一は、自身のリミッターを解除すると身体への負荷を厭わぬ攻撃を開始した。 全身の闘気を爆発させ一撃を叩き込み、命中した箇所へとオーラを注ぎ込み爆裂させる。 後退したツァインは、いつでも浄化の光を放てるようにと守りを固め戦況を確認し続けた。 バズーカがヘキサに全く命中しない事を確認した重装型は、レーザーのエネルギーを溜めながら少年の動きを分析するように集中し始める。 ヘキサは消耗を抑えての攻撃で牽制しつつ、物陰に潜んでいる者がいないかと気を配ってみた。 (これがロボの試運転だってんなら、オレたちを実験台にして覗き見してるヤツがいるハズだろ) 「……フザケやがって、ロボ倒したらソイツもボコる!」 そんな様子の少年を見て、瞑と颯はまだ大丈夫だろうと攻撃を残ったバランス型へと集中させる。 疾風も射線を意識し、空を貫く蹴撃を交えながらE・ゴーレムを攻撃し続けた。 凛子は回復を続け、イスタルテは神秘の力を籠めた射撃で仲間たちを援護する。 彼女の力は既にほぼ限界に達していた。 あと一回、癒しの力を揮えるかどうか。 その状態で、エネルギーのチャージを完了し充分に狙いを定め終えた重装型が、レーザーをヘキサへと照射する。 光の柱はヘキサを完全に捉えはしたものの、其方に意識を集中させ過ぎたのか他の者は射線に入らなかった。 その間に、残っていた汎用戦闘型も皆の攻撃を受け撃破される。 「硬いのね、でもやる事は変わらないし力ずくでぶっ壊すのよ」 重装型へ標的を移した瞑は、圧倒的な速度で攻撃し続けた。 彼女の神髄は手数にある。 その分消耗は増大し力は失われるが、瞑は気にせず二刃を振るって連続攻撃を繰り出し続けた。 「ビームとかずるいと思うな、颯さん!」 激しく消耗した颯はヴァンパイアとしての力を利用し、力を吸収する事で攻撃を続行する。 最後の回復を使用したイスタルテは、そのまま援護射撃に専念する形となった。 回復は凛子のみとなったが、レーザーを連続発射できない事もあって8人はゴーレムの攻撃を耐えつつ戦闘を継続する。 疾風はチャージのタイミング等を計って防御に専念し、敵からのダメージを軽減した。 「思えば酷い絵面だな、ロボ相手に剣と盾と鎧だぜ? どこの時代だよっ」 ある程度まで回復したツァインは再びゴーレムと対峙しながら盾を構えた。 「でもなぁ俺もよ……金属比率じゃあアーク1だぜ? 一丁、鋼の打ち合いといこうかっ!」 再び剣に光を宿らせ、金属の体へと斬りつける。 集中攻撃を受け続けた重装型は、先手を取るべくアーマーパージを実行した。 音を立てて装甲が飛び散り、或いは地面に落下する。 そのままE・ゴーレムは腕に持った砲で前衛たちを攻撃した。 「合体完成してから出直しやがれッ!!」 力の尽きたヘキサも通常の攻撃で正面からE・ゴーレムに対峙する。 敵の機動性を確認した瞑は、無闇に攻撃せずその動きに意識を集中させた。 「堅い機械でも、脆い部分はあるはず!」 颯も敵の性能を計りでもするかのように攻撃を行っていく。 同時にレーザーの発射も警戒して。 疾風と竜一も、そのままでは命中が難しいと考え、E・ゴーレムの動きに意識を集中させた。 チャージを完了したE・ゴーレムが再びレーザーを発射するが、連射されない限り凛子の癒しは打ち破れない。 そして……充分に狙いを定めた皆の攻撃が、エリューションに襲いかかった。 「どうだメカ野郎……原始的なのも馬鹿にしたもんじゃねぇだろうが……ッ!」 ツァインの長剣が機体のメインフレームを破壊する。 残骸となったゴーレムは、体を傾かせながら罅を拡げ……音を立てて粉々に砕け散った。 ●回収 (そういや此処、前はヘリが出たんだっけ?) 「何かあんのかねぇ……」 周囲を見渡しながら、ツァインは呟いた。 「何の役に立つかはわかんないけど」 (手に入りそうな部品とかあったら、智親ちゃんのお土産にしたいな) 瞑は撃破したE・ゴーレムの部品等で、持って帰れそうな部分が無いか探す。 凛子も周辺を調べた後、パージされた装甲等を調べてみた。 切り離された為かE・ゴーレムの破壊によってかは分からないが、装甲は既にボロボロになっている。 「これぐらいしか手がかりはなさそうですね」 調査の為にと、その破片等を回収して。 (何か、嫌な予感がします) できるだけ早く調査をしてもらえるように。 リベリスタたちは帰途に就いた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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