● 「久しいね、お姫様」 男は、敵に見せるそれには寸分たりとも似合わない、穏やかな視線を『姫』に向ける。湖岸の岩に腰掛けた小柄なそれは、遠目から見ればきっと湖の畔で佇む一人の少女に見えるに違いない。けれどもその体は灰色に染まって闇に溶け、鋭利に尖った爪は美しさより先に危うさを感じさせた。怪しい艶の見られる皮膚からは不気味な甘い匂いが漂っている。 両の複眼は不思議そうに男を見ている。けれども男の意思は、その人型の異形を叩き潰すためだけにあった。 「もう言葉は通じないだろうな。お願いだ。死んでくれ」 取り出した拳銃の銃口を、『姫』の頭部に向ける。殺意に気付いたか、あるいは歓迎の意を示したのか。『姫』は手を高く挙げて、合図を送る。 風向きが変わる。男に集まるように風が吹く。風は、数多の異物を伴っていた。体長1メートルにも至るだろうかという巨大な蟷螂の群れが、男をぐるりと取り囲んでいた。両の鎌がキラリと光り、その鋭さを見せつける。『姫』が指示しさえすれば、自分を殺す事は容易い事だろうと、男は思った。 しかし、退くわけにはいかないのだ。自分は、あれを殺しにきたのだから。男は意気込んで、指に力を込める。 銃声が湖畔に響いた。だが数秒の後、『姫』は一切の躊躇らしい素振りを見せる事も無く、彼を指差した。蟷螂が軋むような声を上げて、動き出す。 彼は構わず、もう一度引き金を引いた。 ● 「あの異形を倒して欲しい」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は説明する。アザーバイドと思われる存在が現れたのだという。映像の男性はそれらに立ち向かっているようだが、彼の詳細、目的、あるいはその行方も、分かってはいない。 「この男が『お姫様』と呼んでいる対象は、とある湖岸に現れる。数匹の『カマキリ』の形をしたアザーバイドを引き連れて、ね」 画面は『カマキリ』を映し出す。現実に存在するカマキリをそのまま拡大したようなそれらが、『姫』の指示と共に鋭い鎌を振り回しつつ突進して行く。動きは些か鈍重である物の、その鎌の餌食となれば一溜まりもないだろう。 姫はその近くにある岩の上に腰掛けて、その様子をじっと見ている。時折彼らに向けて手をかざし、何らかの神秘で癒していた。 カマキリたちは殺戮のための兵士というよりは、姫が自身を守るために引き連れているものたちであるようにも思われた。けれどもその残虐性は、攻撃の鋭さにはっきりと表れていた。 「今のところはまだ、どこかを襲撃したり、人に危害を加えたりという気配はないみたいだけど、近付けば当然彼らは行動を起こすだろうし、やがて何かを起こす可能性は極めて高い。被害が出ていない今のうちに対処しておくのが肝要だと思う。近くにD・ホールが見られないのが、少し気がかりではあるんだけど……少なくとも、彼らがボトムチャンネルの存在ではないのは、確か。 ともかくあんな巨大な虫ほっぽっとくわけにもいかないから、お願いね」 イヴはそう言って、リベリスタを送り出した。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:天夜 薄 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年06月30日(土)00:15 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● それは何かを守ろうとしているのかもしれない。 それがいる場所、そこに漂う時間、そこにいる理由。 『大食淑女』ニニギア・ドオレ(BNE001291)には蟷螂に守られたその姫が、多少なりそうであるようにも思えた。 何かを守ろうとしている相手を倒すのは胸が痛む。 何度同じ気持ちになったとして、それがなくなることはない。 でも、この世界を守りたいから、彼らを倒そうと、ニニギアは決意している。 『騎士の末裔』ユーディス・エーレンフェルト(BNE003247)はアザーバイドたちと対峙している男のことを想う。 彼らの間に何かがあったことは判る。 穴の痕跡が見つからないアザーバイド。彼らを倒そうと躍起になる男。 男には彼らの世界に迷い込んだ過去があるのか。 でなければ。 この世界で、彼らを時を共にしたことがあるのだろうかと、ユーディスは考える。 その男は蟷螂たちに囲まれながらもなお、他の一切を気に留めずインセクト・プリンセスに銃口を向けていた。湖畔は静けさに包まれていた。しかし一度誰かが、何かが吼えれば、それは一瞬にして霧散してしまうだろう。 男はそっと、引き金に指をかける。 同時、後方で蟷螂が奇声を発するのが聞こえた。男がハッとして振り向くと、蟷螂は巨大な鎌を振るって何かに応戦していた。 「カマキリのお姫様なのダ? あの男の知り合いなのダ? 最後にオスは食べられちゃうのだゾ」 『夢に見る鳥』カイ・ル・リース(BNE002059)は防御に集中しながら、ユーディスと共に男の方へと向かって行く。 蟷螂が彼らの遥か上空から鎌を振り下ろす。『影の継承者』斜堂・影継(BNE000955)はそれを代わりに受けつつ、彼らのための道をあけた。強い衝撃に顔を歪ませるも、瞬時に体勢を立て直して次の行動に移る。 「また虫か……夏の気配に呼ばれたわけでも無いだろうが」 影継の横から『仁狼』武蔵・吾郎(BNE002461)が蟷螂に接近し、幻影を伴って一気に切り掛かる。 「昆虫のような人型、人型の様な昆虫、どっちだろうな、あれは」 攻撃を受けた蟷螂は怒るように奇怪な叫びを上げ、吾郎に斬り掛かった。 吾郎はそれを仰け反りながら避ける。 「……偶然の産物か、それとも失敗の結果なのか」 吾郎の後方から現れた『足らずの』晦 烏(BNE002858)が素早い動きから攻撃を開始する。 鋭く放った光弾は二つの蟷螂に当たり、同時に弾けた。 その時影継と吾郎、烏を器用に避けて光線が飛んだ。 『ピンポイント』廬原 碧衣(BNE002820)が放ったそれは、目がくらむ程の衝撃を蟷螂に与えた。 碧衣は蟷螂の様子を見つつ、インセクト・プリンセスの方を見る。 真白イヴの未来視を信ずるなら、男とあれには因縁があるのだろうと彼女は思う。 D・ホールのことも気になる。いずれにせよ、男を救って話を聞かねばなと、彼女は蟷螂に視線を戻し、その急所に狙いを定める。 男の後方の蟷螂を牽制しつつ、吾郎は左側、影継は右側の蟷螂を引きつけるように展開する。 吾郎は高速で飛びかかり、幻影と共に斬る。 影継はリボルバーを構え、一気に引き金を引いた。 「さあ、鉛玉のお時間だぜ!」 ● 『久しぶり』 『孤独嬢』プレインフェザー・オッフェンバッハ・ベルジュラック(BNE003341)は男から少し遠くに位置しながらも、テレパスで意図を伝える。 『またしてもお互いの利害が一致してるみたいだし、今日もまた宜しく頼む。また前衛が行くから、あんたがよけりゃそっからは後衛で頼む。聞きそびれてる事もあるから、死んで貰っちゃ困るぜ?』 頭の中に響いた声に頷き、無言で同意を示す。 その時、カイとユーディスが男の元にたどり着いた。 「アークです。アザーバイドを倒しに参りました」 ユーディスは周囲の蟷螂の動きを警戒しつつ名乗り出る。 「事情は知らんシ、興味もないガ、目的は一緒のようなのダ」 「ああ、そうだな」 「助太刀するのダ」 蟷螂は他の仲間に引きつけられていて、カイとユーディスの方に近付いては来なかった。かといって近距離の攻撃が届く範囲でもなく、また四方を囲まれているこの状況では、どの方向から攻撃を受けるかわからない。 「まずは後退しましょう。『彼女』を倒すのは、兵隊を倒してからでも遅くありません」 ユーディスの打診を受け、男はゆっくりとインセクト・プリンセスに目を向ける。 戦っている蟷螂に向け、それは癒しの力を伴った眩い光を与えていた。 「物事には順番があるのダ」 カイも続けると、男は一瞬目を閉じ、やがて決意して言った。 「……そうだな、まずはお前らに従おう」 「では、あの蟷螂の方へ」 そして三人は、インセクト・プリンセスの丁度反対に位置する、二体の蟷螂の方へ駆けていった。 「うわっ、大きな蟷螂!」 ニニギアは少し驚いて言う。実際の数十倍にも及ぶ蟷螂の鎌は、故事に由来する『螳螂の斧』のそれとはあまりにも異なるものだった。大きく振るわれるそれから距離を置きつつ、彼女は呟く。 「あんな鎌にうかつに捕まったらずたずたになっちゃうわ」 癒しの微風を呼び出す最中、彼女の横を通ったのは碧衣が再度放った閃光。 痛みに身を震わせた蟷螂に、ブレインフェザーが追撃する。 射出された気の糸が、蟷螂の眼球や腹部の柔らかい部分を容赦なく突いた。 蟷螂はその激痛を発散するように激烈に叫ぶ。 そして怒りのままに近くにいた烏に斬り掛かった。 直撃こそ免れたが、僅かに当たった右腕に広がる衝撃に、思わず烏は距離を取る。 丁度そのとき烏の耳に足音が届いた。 男と、カイ、ユーディスが蟷螂の近接圏内にたどり着いた。 「あんちゃんよ、前回同様殲滅戦だ。併せていこうぜ。そいつとあのお姫様は遠距離からだ、近接は拙いぜ」 そう言いつつ放たれた光弾が直線軌道を描いて蟷螂の足に当たる。 足が砕けはしなかったが、それでも蟷螂は一瞬足の力が抜けたかのように倒れかけた。 「生憎、俺は遠距離専門だ」 「都合がいいなよろしく頼むぜ」 小さく頷くと、男は拳銃を取り出し、眼球に向けて発砲した。 惜しくも外れるが、発砲に気が立って男の方を向いた蟷螂に、カイが全身のエネルギーを込めて一撃を食らわせる。 衝撃と共に腹の半分程が弾け飛んだ。 悲鳴のごとく沸き上がる叫び。 その声を受けて、インセクト・プリンセスが癒しを与えようと手を掲げる。 温かい光が降り注ぐ。しかしそれと共に鉛の弾も蟷螂へと降り注いだ。 影継の攻撃が、回復分の体力を根こそぎ奪っていった。 最後の抵抗とばかり、男に鋭く繰り出された斬撃を、ユーディスが受ける。 助力せんとやってきたもう一体の蟷螂の攻撃も当たり、多大なる衝撃がユーディスの身を襲うが、彼女は決して後退せず、突進した。 「……行きます!」 手にしたヘビースピアが輝いた。 鮮烈な輝きを伴って、ユーディスは蟷螂の体を切り裂いた。 輝きが収まった頃、蟷螂は声もなくカタカタと振るえ、やがて天を仰ぎながら、崩れた。 仲間の死に憤ったか、蟷螂はユーディスに向け鎌を振るう。 もろに攻撃を受けたユーディスは思わず仰け反るが、ニニギアが即座に彼女含む仲間を癒した。 その間に烏が蟷螂の横に回り、スターライトシュートを放つ。 刺すように飛んだ弾が、カイの攻撃と共に蟷螂に直撃した。 直後、碧衣の気糸が蟷螂の体を貫通し、その命を悉く奪っていった。 崩れ落ちる蟷螂。しかしリベリスタはその散りざまの一切を見ず、次の標的へと急いだ。 ● 「ちっ、やっぱ一対二は辛いな」 リボルバーから煙を噴かせながら、嫌みに呟いた。もう大分ダメージは与えただろうが、二体の蟷螂は未だ倒れる気配が見えない。彼らの強靭さと、インセクト・プリンセスの回復のためだろう。 振るわれる大鎌。影継はその軌道をよく見ながらかわし、あるいは受け流し、仲間の合流を待った。 連続射撃をしつつジャンプし、鎌を避ける。もう一体の蟷螂が影継に向け突進して来る。影継は右に、左に、避ける方向を探す。 その時、蟷螂を貫くように光弾が飛んだ。影継は、やっとか、とその弾源に視線を向けた。 烏が二四式・改を向けている。その脇からユーディスとカイ、そして男がやって来る。吾郎の方へはニニギア、碧衣、ブレインフェザーが向かっていた。 彼らの攻撃に加え、影継が援護射撃を加えると、蟷螂の一体は明らかに疲弊し始めていた。 影継はインセクト・プリンセスの様子を見る。蟷螂の様子を見、回復行動を始めていた。 その前に、と影継は蟷螂に急速に接近した。 「斜堂流、蟷螂斬り……なんてな」 気合いと闘気を一撃に込め、斜めに斬撃する。剣の軌道に沿って蟷螂に傷が出来、数瞬の沈黙の後破裂するような音が鳴ったかと思うと、その傷口から黒々としたゲル状の物質が散乱した。水が跳ねるような気色の悪い音が当たりにはびこる光景から影継は目を逸らし、もう一体の蟷螂に銃口を向ける。 吾郎が何度目かの斬撃を浴びせると、蟷螂の内の一体は棒切れのようになってしまった。先ほどまで、プリンセスの回復で余裕を保っていたのが嘘のように、こちらが複数になってからは見る見るうちに弱っていった。 ブレインフェザーが吾郎に自身の力を分け与える。同時に吾郎が接近を始め、碧衣は気糸を放った。二つが時を同じくして蟷螂に衝撃を与えると、片一方の蟷螂の首が飛び、もう片方の蟷螂は眼球の片方を失くしてしまった。 それでもなお、蟷螂は攻勢を止めなかった。その蟷螂に向け、ニニギアは即座に詠唱し、魔力の矢を放つ。 ● ほぼ同時に左右の蟷螂はその身を地に伏した。そしてリベリスタは集合し、プリンセスと対峙する。 プリンセスは一切の攻撃の気を見せず、ただ冷静に岩の上に佇んでいるだけだった。 「こないだと似た能力だな。やっぱナイトと同じ世界の出か?」 影継が先日の『ナイト』を思いながら言う。 「よう、久しぶり。心の整理はついたか?」 ブレインフェザーが開口一番、男にそう問いかける。 「全く、な。どれだけ時間をかけようと、整理がつくような問題ではなかったらしい」 「この間、大事な事をうっかり忘れてたな」 烏が思い出したように言うと、男は、何だ、と一言だけ口にした。 「名前だ。……ま、それだけじゃないが、な」 「名前くらい聞かせろよ。俺は武蔵、武蔵吾郎」 吾郎が率先して名乗り出ると、男も渋々と言ったように名乗った。 「……隆二、君原隆二という」 「勝手に援護に入った身で言うのも何だが、話位は聞かせて貰えるのかな?」 碧衣の問いかけに、隆二は思わず顔を曇らせた。 「為すべきを為した後であれば、それについて聞かせて貰っても構わないだろう?」 「これで2回目だ。事が全て終わるまで何もわからんまま動くのは勘弁したいな」 吾郎が言うと、隆二は口を真一文字に結んでから、口にした。 「……そうだ、な。だが、終わってからだ。まずは早く、あいつを死なせてやりたい」 「ならバ、私の出番なのダ」 カイがそう言って前へ出る。現状一切攻撃の気配がないプリンセスだが、何時新たな刺客や行動が、現れるとも限らないのだから。 「さァ、今のうちニ! 早く倒すのダ!」 「ああ」 「隆二さん、今更訊くのも何なのでしょうが、敢えて確認します」 ユーディスの言葉を聞き、隆二は彼女の方を見た。 「……言葉で意思疎通が出来なくとも、それ以外の手段で意思を伝え合う事はできます。伝える言葉、確認したい事柄があるのなら、試みてみる事も出来ます。それでも尚……このまま『彼女』を討って構わないのですか」 「心遣い、感謝するよ」 そこで一呼吸おいて、気を落ち着けてから彼は言葉を声に出した。 「だが、それで何かが返ってきても、こなくても、俺が狂っちまいそうなんでね。止めとくよ」 銃弾が飛ぶ。魔力の矢が飛ぶ。吾郎の強襲はプリンセスに突き刺さり、何本もの気糸がプリンセスを貫いた。 集中砲火による傷は、プリンセスが一人で回復できる量では、なかった。 全身を青色の血で染めたプリンセスは、その身をゆっくりと湖の方へと傾けた。そしてやがてポチャンという音と共に、湖底へと沈んでいった。隆二は一瞬だけ手を伸ばしたが、しんみりとした顔をしてすぐに引っ込めた。 ● 「話してくれ。あの『御姫様』について。いや、異形たちについてって言うべきか?」 吾郎の話した異形たち。今まで少なくとも二回発生している彼らは、もしかしたらどこか別のところで、同じような何かが湧いているかもしれない。ニニギアはそう危惧している。 「『インセクト・ナイトのやつを倒してやれるなら』……あんちゃんこの間そう言ったな。言葉尻を捕らえるならこいつらの事をあんちゃんは知っていると見たがどうだい」 「そうだ、まるで友達かなんかみたいじゃん。まさかお前も実は昆虫……なんて事、ねえよな?」 隆二は一つ咳をしてから、答えた。 「俺は、正真正銘この世界の人間だ。そして……読み通り、俺はあいつらのことを知っている。とてもよく、な」 「これはただの想像だ。でも聞くぜ」 吾郎は隆二の顔を真っすぐに見て、訊く。 「あれは、元は人間だったんじゃないのか」 「そしておじさん思うに奴さんらは何の理由でアザーバイドとニコイチになっちまったわけだ。その経緯に関しての事情を、真実をな、教えてくれ」 吾郎はこの問いが違うなら笑えばいいと思っていた。烏は自分の推論が外れてくれていればいいとさえ、思っていた。 だが一度間をおいてから語りだした隆二の顔は、殊更に真剣だった。 「さすがリベリスタ。察しがいいじゃないか」 烏は唇をかみつつ、隆二の話を聞いた。 「そうだ。あいつらは元人間。ある日突然俺の元に現れたアザーバイドが、自分と同質なものに変化させてしまった──俺の家族だ。 お前らはあれをアザーバイドと聞いていたろう? 昆虫の方は確かにそうだが、ナイトとプリンセスは、恐らくそれの影響だ」 「とりあえず無茶するななのダ」 カイが遮るように言う。 「事情は判ったガ、一人でアザーバイドの群れに立ち向かうのは少し無謀ではないカ。ノーフェイスになって我々と再会なんテ、望まんだろウ?」 「……そうだな、少し無茶が過ぎているな」 「どの道アザーバイドを倒そうってのは同じだ。過去の清算だか仇討だか知らないが、最初っから協力求めりゃいいんだよ」 影継は強い口調で言う。その言葉は、アークへの同行の意図を含んでいた。 隆二はその意図に、静かに同意した。 「ああ、誰が殺したって、あいつらが解放されることに変わりはないだろう。俺が倒したいってのは、俺のエゴでしかないんだからな」 「──御無理はなさらず」 「何が出来るかは判らないがね。彼らを大事に思うなら、手伝わせてくれ」 ユーディスの憂慮と烏の申し出を、隆二は快く受け取った。 「ありがとう」 「まだクイーンだのキングだの残ってるんなら今のうちに言っておいてくれ。 殺虫剤でも用意しとくからよ」 「……私が知っているのは──あと、二人」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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