●硝子越しの世界 笑い声が響く。 無邪気で、曇りのない、楽しげなそれ。 それを眺める少年にとっては、羨ましいのと同時に妬ましく耳障りな声でもあった。 痩せ細った四肢を白に覆われたベッドに投げ出し、少年は穏やかな陽射しの下ではしゃぐ子供達の姿を眺めていた。 「僕も、あんな風に外で遊べたらなあ……」 真っ白な枕に背を預けたまま、ぽつりと呟きが零れる。視線の先には笑いあう同世代の子供達。お見舞いに来たらしき者もいれば、入院はしているもののときたま外に出るくらいは許されている者なのだろう。 ところ狭しと並べられたヌイグルミも少年にとっては大事な友達だけど、一緒に走り回って遊ぶことは出来ない。 ゆっくりとベッドから足を下ろして起き上がり、そっと窓の側へと歩み寄る。 青白い指先で窓硝子に触れると、陽射しの温かさと硝子のひんやりとした感触が指先に伝わってくる。 「どうして、僕は一緒に遊べる体じゃないんだろう」 硝子で区切られた世界の、此方とあちら。 自問せずとも、本当はちゃんと分かっているのだ。 自分に外を自由に動き回れるだけの体力がないことや、ここ数日は少し体調が回復している気もしたけれど――それまでは徐々に衰弱してきていたことを。すぐに高熱を出して寝込むのは病気のせいだということも知っていた。こっそり盗み聞きした母と医師の話によれば、完治することはないだろうということだった。 「僕も、僕ももっと体が丈夫だったら」 外で皆と遊べたのにな。 悲しげに目を伏せて、少年は窓際に置かれた紅い林檎に指を滑らせた。 ●禁断の紅い果実 「アーティファクトを壊して欲しい。出来ればすぐに」 ちいさなてのひらの上で林檎をくるくると回しながら、『リンク・カレイド』真白イヴ(ID:nBNE000001)はそう口を開いた。 「少年がもってるアーティファクトは林檎の形をした置物なの。へたが金色、実は金属の光沢をもった紅色のソレ。その名を『侵紅のマールス』という。 手にした人の生命力を強化する……だけならいいのだけど、実際は周囲の人の生命力を吸い上げて持ち主に取り込ませてる。当然、周囲にいる人は次第に衰弱してくる」 問題なのは、その少年が病院に入院しているということなのだ。病院には様々な人がいるが、体力が有り余っている人はどちらかと言えば少ない方だ。 現に、既に衰弱し始めている入院患者も増えているのだとイヴは言う。 「たとえば病室で戦えば、万が一にでも他の人を巻き込んでしまってはいけない。その子はお昼過ぎに病室を抜け出して、病院の裏手の森に来る。狙うなら、そのときが最善」 人目がないから多少派手に暴れたとしても見つからないし、やりようによっては待ち伏せも可能だろう。 「もう、その林檎はその子のお守りみたいなもの。絶対持ち出して出てくる。人目につかないところに来るのは、医師や看護士に見つかりたくないからみたい」 小さく息を吐いて、イヴはてのひらの上の林檎に視線を落とす。 「本当は、もう自由にベッドから降りることが出来る程の体力は残っていなかった筈なの。 アーティファクトがあるから森まで来ることが出来た。それと……力ずくじゃないと林檎はとりあげられそうにない。エリューション化したヌイグルミが立ちはだかるだろうから、それらを倒してからアーティファクトを破壊するのが良いと思う」 アーティファクトを得なければ、少年の命はもうなかったかもしれない。 アーティファクトを破壊したら、少年の命もあとほんの少ししか残されていないかもしれない。 それでも、その少年はフェイトを得たわけではなくこれ以降得られるか如何かも分からない上、周囲にエリューション特性の影響が出ている以上このアーティファクトをこのまま少年に持たせておくわけにもいかないのだ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:空雛あさき | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年05月31日(火)23:26 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●林檎のもぎ手Ⅰ 時刻は昼を少し過ぎた頃。 昼食の時間が終わり人の喧騒が暫し落ち着いた隙をぬって、寝間着姿の少年が病院の裏手から駆け出してきた。院内から誰かが追ってくる様子はない。 その周囲を見渡す少年の手にしっかりと握られた金属の光沢をもつ赤い林檎があった。 そして両腕で抱きしめるように抱えた小さなぬいぐるみが3つ。 その様子を見張っていた影がある。病院の裏口と森の入り口の両方が見渡すことが出来、尚且つやや離れた場所――病院の裏手に置かれた職員専用駐車場。そこに停められた車の陰から少年の動向を窺う、『Last Smile』ケイマ F レステリオール(BNE001605)と『無情』ブルーノ・ブオーノ(BNE002296)の二人だ。 (小さな少年……それでいて、病弱) 遠目からも視認できる小さな体躯に目を細め、ケイマは小さく息を吐く。 そんな少年から宝物を取り上げる仕事などケイマは本当ならやりたくはない。やらずに済むのであれば良かったのだが、世の中そうもいかないことは沢山あるようで、今回も見逃すわけにはいかない状況だった。 仕方ないことだと割り切ろうとしても、病院を抜け出した少年の姿は、覚醒したとき処分されまいと逃げ出したときのケイマ自身の過去を思い出させる。 「ボス、ホシが動きました」 森に入ったことを確認したブルーノは双眼鏡を目元から下ろす。そして過去の記憶に頭を振るケイマを促し共に少年の後を追っていった。 ●林檎のもぎ手Ⅱ 一方その頃、先の二人を除いた6人――動くのが面倒な訳ではないのだと嘯いて太い木の陰に回りこんだ『悪夢喰らい』ナハト・オルクス(BNE000031)を筆頭に、5人が森の中にある広場を取り囲むように木の陰へ、そして樹上には『紋白蝶』華烙祁 和椛(BNE002414)が潜み、少年が来るのを静かに待つ。 広場への入り口に近い木と繁みの陰に滑り込んだ『鉄心の救済者』不動峰 杏樹(BNE000062)は、十字の形をしたペーパーナイフを噛み締める。 禁断の紅い果実。 聖書に出てくる其れであれば、齧ったが故に楽園から追放される代物である。 けれどこのアーティファクトは周囲の命を糧に変え、所有者にその実を齧らせる。所有者は周囲の命を吸い上げていることなど知りもしない侭、それが行われている。 (「まるで悪魔のようなアーティファクトだな……」) やり場のない感情を紛らわせようと、一層強くペーパーナイフを噛み締めた。 ――足音は未だ、聞こえてこない。 今は未だ件のアーティファクトが原因で死亡した者はいない。けれどあくまでも「未だ」というだけで、時が経つ毎に犠牲者は少なからず数を増す。 その為にも早く事を終えなければいけないが、持ち主がそれによって命を繋いでいることもまた皮肉な事実であった。 目蓋の裏に甦るそう古くもない記憶に、『フィーリングベル』鈴宮・慧架(BNE000666)はそっと空を仰いだ。 今回は自分達が少年の命を奪うことになる。 辛いことではあるが、生きる権利はあってもその為に他の誰かを死なせてしまう――殺してしまう、それを良しとする権利などはないのだと慧架は思う。 (「私は、彼を人殺しにさせないために間接的であれど殺します……」) 午後の穏やかな陽射しの中、森の木陰でぴんと張り詰めた空気に神経を集中させてじっと待つ。 視界をずっと上に向けると、緑の木の葉の合間から和椛の羽が垣間見えた。 今は芽吹いた木々の葉が陽光を散らす程度には茂り、高度をとって空中待機する和椛の姿は木々の枝葉に遮られ遠目には注意深く観察しなければ、何かあるとは分からないだろう。 こうやって空を飛べる翼をもつ和椛だが、翼を得て『普通』を失った代わりに自由に外に出られるようになったのだ。 誰かの助けになり得る力だから誇りもあるけれど、至極平凡な『普通の日常』をその掌から零してしまった悲しみは今でも胸に蟠っている。 だから少年の気持ちは分かる。けれど、同じではない。 「そ、それでも、放ってはおく訳にはいきませんですぅ……」 同じではないけれど理解できる。だからこそ異常な事態を正すだけのことだと割り切れずにいた。 足音が近づいてくる。 大木の陰に身を隠したナハトが携帯を見つめる。マナーモードを示す表示が待機画面の端に浮かんでいた。 ケイマからの連絡は、ない。 木の陰に身を潜め、幾重にも集中を重ねてきた『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)も、足音の方へと視線を動かす。 少年の後をつけて来ている筈の仲間の姿を『水底乃蒼石』汐崎・沙希(BNE001579)はそっと視線で探った。ちらと木々の合間から彼らの姿が見える。 未だ、携帯電話にもハイテレパスでさえも特に連絡はない。 少年のともすれば止まりそうな程緩やかな足取りは、けれど徐々に確実に広場へと近づいてきていた。 沙希にはそれが頼りない小さな子供の足音に聞こえた。 今の状態を放置するということはいずれ多くの犠牲を出すことにも繋がる。 その代わり多くの人を助ける為にたった一人の命は縮まるのだろう。小さな少年の、その命を縮めるのは自分達に他ならない。 穏やかな茶色の双眸を細め、沙希は緩く息を吐く。 (「私達は今回、悪者のようです」) そうして、少年の足音が広場の中心で止まった。 ●侵紅Ⅰ 広場が見えてくるに従って小走りだった少年の足は次第に速度を落とし、やがてゆったりとした足取りに変わった。集音装置で少年の足音を確認しながら追っていたケイマはその変化にポケットに入っている携帯電話へと手を伸ばしかけたが、少年はそのまま広場へと入っていくのを見てその侭少年の後ろ姿を追って広場に辿り着く。 少年が自立したぬいぐるみの手をとったとき、リベリスタ達は物陰から姿を現した。 小枝が折れる音に少年が振り向けば、今来た道を塞ぐようにケイマとブルーノが、そして高い木の上に紛れ身を隠していた和椛が舞い降りて退路を断つ。 少年の手を離れた3体のぬいぐるみは、小さな子供ぐらいの大きさに迄膨らんで少年を取り囲み守るように立っていた。ぬいぐるみに笑いかけた少年の笑顔が瞬時に強張る。 少年、とブルーノは一歩前に出てそう呼びかけた。 「他者の命より己が生きる事が大事だと考え奪うのなら、少年、君は正しい。 生きるということは奪うということ。その道具の効果でなくとも君の血潮は君以外の者の血潮によってできている」 そして、とブルーノは穏やかな表情と口調のままで続ける。 少年がその事に悩み苦しんだとしても、それは君が選んだ道でありそれが生きるということ――自分はそれを祝福するのだと。 「まあ、そんなどうでも良い事はともかく、林檎を渡して頂こうか。駄賃は弾みますよ?」 穏やかな口調は変わらぬ侭に、いつの間にか手に巨大な鎌が握られている。 「私も人間ですし多少は気の毒に思います」 モニカが右腕のアームキャノンをもたげ、真っ直ぐにぬいぐるみへとその銃口を向ける。冷たい金属が柔らかな陽光を照らし返す。 「が、同情はすれども共感も容赦もしませんよ」 たとえ相手が極悪非道のフィクサードだったとしても、不遇な身の上の罪無き少年であったとしても、リベリスタの使命に関わる者ならば誰であろうと等しく打ち滅ぼすのがモニカの身上だった。 最初に動いたのはE・ゴーレムであるネコのぬいぐるみだった。素早い動きで軽やかに地面を蹴ると、最も近い人間――ケイマに飛び掛り、綿が詰まった手から伸びる剃刀のような爪で薙ぎ払う。ケイマの服を裂き、浅く肌を傷つけて着地したネコをケイマが全身から迸らせた気の糸で縛り上げる。 「その林檎を渡して欲しい。それを持っていると大変なことになる」 「これは僕の宝物なんだ! これを貰ってから僕は元気になったんだよ!?」 おどおどとした声音ながらも必死に拒否の意志を示し、ケイマの言葉に少年は林檎を隠すように両腕で抱きしめた。口を開きかけた慧架は流れる水の如き構えをとりながら暫し逡巡し、口を噤む。上手く少年に伝えられないような気がして言葉にならず躊躇い口を閉ざす慧架の後ろで、沙希が竹簡を二度叩いて内に潜む魔力の活性化を促した。 一方彼らのやり取りなど構うことなく、少年を守るように取り囲むぬいぐるみ達はリベリスタ達に襲い掛かる。 イヌは抱き心地の良さそうな体躯とは裏腹に鋭い牙を剥いて光らせ、杏樹目掛けて飛び掛る。が、肉薄した杏樹が至近距離から光弾を叩き込み、流れるような動きでその侭ネコにも光弾が飛ばした。 杏樹が林檎が呼び寄せるエリューション化の破滅を説くも、少年は実感をもてず林檎を手放すことを嫌がった。きゅっと口を引き結んだ和椛が自分の裡で力を増す魔力を駆け巡らせ、その前でブルーノがネコの頭部目掛けて黒いオーラを奔らせる。ネコが光弾によろけながらも黒の射線から逃れるように跳ねた先で、清浄な光に呑み込まれた。 「私は自分の足で立てない事のほうが、遊べない事よりずっと辛いけどね」 五体満足なだけでも十分だと思うのだけれど、と端整な顔立ちに薄く細めた瞳で少年を見遣るナハトの姿があった。 外で遊ぶことを望んでいたならば、自分の足で立つことが出来るという幸せでは満足できる筈もない。元気も体力も有り余っている年頃だということを考えると仕方なくも思えた。 けれど―― 「それは欲張りだわ……貴方が幸せになる分、他の大勢が不幸になる」 分かってもらう気など、最初から無い。 そう切り捨てるように吐き出してナハトが聖なる光でネコのみならず、クマやイヌをも覆い焼き払う。少年に対しても容赦の無いその言葉にケイマの表情が歪んだ。清冽な閃光が掻き消えるよりも早く、モニカの蜂の襲撃の如き連続射撃がぬいぐるみ達に降りそそいだ。よろけたまま突進してきたクマを慧架は難なく躱す。 そして。 少年が抱いたアーティファクトである林檎が淡く、煌めいたような気がした。 ●侵紅Ⅱ 間違いなく、その林檎はリベリスタ達の体力を掠め取っていったのが分かった。 傷が増えた訳ではない。 目に見える劇的な変化が林檎に見えた訳でもなかったが、虚脱感に似た感覚がリベリスタ達に等しく襲い掛かったのもまた事実だった。 幾度かの攻防の結果ネコとイヌは倒したものの、体力に秀でているらしいクマが覚束無い足取りで尚、リベリスタ達に立ち向かってきた。 ケイマが癒しの符でクマの体当たりをまともに受けた杏樹の傷を治癒する傍ら、沙希が清らかな福音を響かせ皆の傷を癒す。体力を奪い取る林檎のその威力は、確かに一度の量ならば僅かではあるが、積り積れば無視できるものではなくなった。 慧架が燃え盛る炎を纏った拳でクマを迎え撃ち、ぼろぼろになったぬいぐるみはもんどり打って地面に倒れる。 ヘビーボウガンで真っ直ぐにクマへと狙いを定めた杏樹がついと目を細める。 (「彼がアーティファクトを手にしたのが運命なら、私たちがここに来たのも運命」) 運命がこうして交差したのならば、これ以上悪魔のような力に頼らせる訳にはいかなかった。 「悔しいけど、私に出来るのは禁断の果実が呼び寄せる破滅を壊すこと」 少年の命は救うことが出来ないかもしれない。 彼を救うのは彼自身が持つ可能性だけだ。少年の確かな未来を保障できる人間など此処には誰一人としていない。 落ちる硬貨すら撃ち抜く正確さでクマの体躯の中心を撃ち抜く。 戦闘を長引かせたくないと願う和椛の魔力の矢が猛追する。自分が怖いと思うことも理由だったが、少年にもこんなものは余り見せたくはなかった。 血の代わりに白い綿を零しながらクマの体が跳ね、追随するように更にナハトの放つ魔力の矢が、ブルーノの放つ黒い直線のオーラがクマを追い込む。 モニカの銃口がクマへと狙いを定める。 どの道、救いの無い道など地獄に垂らされた仏の糸のようなものだったのだ。だから垂らした側の勝手な都合であっさりと切れる。 それならばせめてさっさと終わらせてやるのが情けというものだろう。 放たれた正確無比な一撃は、クマの頭を撃ち抜いていた。そうしてついにクマは地面にぼろぼろになった四肢を投げ出して動かなくなった。 ぬいぐるみはもう、どれ一つとして微動だにしない。 動かなくなったぬいぐるみを呆然と見つめる少年もまた、固まったように立ち尽くしていた。 歩みでた和椛が、立ち尽くす少年を優しく抱きしめる。 怖い思いをさせてごめんね――腕の中で小さく震える少年に言葉をかける和椛は、その名に相応しい力を殺す気で向けて欲しいと林檎に願って。 一度の僅かな煌めきと、戦闘中に感じたものと変わらない虚脱感を覚えたのを感じてからナハトは林檎に手を伸ばした。取り上げることに少しばかり罪悪感が顔を覗かせる。 誰から貰い、如何様な思い入れがあるのかなど、想像もつかなかったし思い浮かべたくもない。壊すという結果は変わらないのだ。 ナハトから林檎を渡されたケイマは、「本当に、ごめんね」と一言謝った後、少年に背を向け自分の体で林檎を隠すようにしてケイマがダガーを林檎に突き刺した。光沢のある紅いそれに細かな罅が奔り、乾いた音を立てて林檎が砕け散る。それと同時に、少年の体が力なく崩れ落ちた。 少年が元気だったのはアーティファクトによって歪められた現実だ。その世界を歪める存在を抹消するのがモニカ達――リベリスタ達の使命であり、それだけの話の筈だ。けれど、間接的に自分達が少年を殺したことになるのだろうと思うと、やはりいい気はしない。 気を失っているらしい少年を抱きかかえ、杏樹が踵を返す。 命の灯火が掻き消えたわけではない。 ただ、少しでも彼の可能性を消さない為に、出来るだけ早く病室に戻ることが必要だった。 ●禁断に代わる約束の果実 白いカーテンの向こう、白に包まれた病室の中で緩やかな呼吸と共に横たわる少年の姿があった。 細く白い少年のその腕の中にあるのは、艶やかな林檎の置物だった。 沙希が残した、アーティファクトなどではない正真正銘ただの林檎だ。 けれど―― 「私で良ければ一緒に分かち合いたいの。楽しいことは2倍に、辛いことは半分に」 友達になりたいと言ってくれた沙希との会話を反芻しながら、眠りの波に引き寄せられた少年は瞳を閉じる。 まどろみの中、とても大事そうに少年に抱かれた林檎は艶やかな光を放っていた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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