●杵築最終決戦 『マスタープラトン』。 最大で半径100mの一般人をE・エレメントに変換し、所有者の寿命と引き換えに従属させるアーティファクトである。 この所在が、とても派手な形で露見した。 瀬戸内海は小島、杵築神社上空に独特な光と共に浮かび上がったのだ。 ある者――黄泉ヶ辻『特別超人格覚醒者開発室』は至高の大隊を生み出すプラントとして。 ある者――六道『斬鉄剣客組』は戦乱の世を作る為。 ある者――裏野部『ヘビーアムズ団』は破壊と暴虐の為。 ある者――巨大機竜は自らのコアだったものを取り返すため。 其々の組織が今、一斉に現地を目指す。 『マスタープラトン』を巡り、壮大な争奪戦が起ころうとしていた。 ●超巨大機竜艦『大和』迎撃作戦 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)はブリーフィングルームのモニターに、小島の地図を表示させた。 「突如その所在を明らかにした『マスタープラトン』を巡り、いくつかの組織が動き出しました。このうちどの組織の手に渡っても大変なことになるのは明らかです。よって我々はやや規模の大きな作戦を立ててこれを阻止することになりました」 アザーバイド『機竜』。 機械生命体であり、内部にある正十二面体のコアによって稼働する。 「どうやら今回の大型機竜はマスタープラトンを確保するために現れたようです。これを迎撃するのが当部隊の任務になります」 過去四件の報告で、小型・中型・空母型が確認されており、今回出現するのは凄まじく大量の『小型』と『戦艦型』の二種。 小型の量が尋常ではなく、なぜか戦艦型機竜から際限なく召喚されているようなのだ。 「皆さんの任務はこの戦艦型機竜『大和』の撃破……ではありません。そこから召喚され、次々と地上に降り注ぐ小型機竜を空中で撃破し続けることです」 和泉は『撃破し続ける』……と言った。 「取り逃せばその分だけ地上に機竜が殴り込むことになるでしょう。迎撃は別働隊が『マスタープラトン』を破壊するまで。どうやら、この『マスタープラトン』が『大和』のコアだったようで、破壊されれば連動して消滅します」 恐らく『大和』のコアだけがこのチャンネルに落ち、アーティファクト化したのだろう。 僅かに目礼する和泉。 「かなり厳しい任務になりますが、どうかよろしくお願いします」 ●小島上空 空に穴が開いていた。 ゆっくりと降下する巨大な影。鉄製のドラゴンを彷彿とさせるボディ。 存在だけで大地を震わせるかのような『それ』は、この世界では機竜と呼ばれていた。 彼は嵐の如き咆哮をあげ、各所のハッチを開き、次々と小型機竜を出現させていく。 カラーリングは総じてシルバー。 彼等の視線は地上に向けられ。一斉に降下を開始。 だがその一方で、地上からは赤いカラーリングの小型機竜が幾つか飛び立っていた。 小島上空で戦闘を始める機竜たち。 戦端は既に、開かれている。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:HARD | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年06月15日(金)23:17 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●竜の咆哮 最初は雷鳴だと思った。 瀬戸内海上空を覆う暗雲が如き巨大物体。 天空を震わす巨大な轟音が、まさか何かの鳴き声であるだなどと誰が思えようか。 ましてや銀色の雨を大量に降らせているのだ。 どこか遠くからこれを見てしまったものが仮にいるとするなら、間違いなく不気味で恐ろしい雨雲だと思ったに違いない。 だが雲でもなければ、幻や夢でもないのだ。 超巨大機竜艦『大和』。 彼はこの世界へ事件によって流された己のコアを求め、小島南部の杵築神社へ大量の小型機竜を進軍させていた。 迎え撃つはアークの精鋭リベリスタ八名。 「うわ、大きい……それにどんどん出てくる、なんて量なの」 『大食淑女』ニニギア・ドオレ(BNE001291)は翼をゆっくりと羽ばたかせつつ、迎撃ポイントへ上昇していた。拠点である芸予要塞北部砲台跡が真下に見える形だ。ここが最も迎撃しやすく、そして支援も受けやすい。 「でも、一度に出せる量は決まってるみたいね」 優雅に羽を広げる『運命狂』宵咲 氷璃(BNE002401)。遠くに見える巨大機竜戦艦に目を凝らす。 「あなたにマスタープラトン破壊の邪魔はさせない。この世界で争いを続けることも勿論許さない。自分の世界にお帰りなさい」 そんな彼女の横をぎゅーんと追い抜いて行く『いつも元気な』ウェスティア・ウォルカニス(BNE000360)。 彼女等の後ろをさりげなくついて来ていた小型機竜と合流。大人しくしている彼の頭をそっと撫でてやった。 「宜しく、頑張ろうね!」 レッドカラーの小型機竜である。情報によれば『合衆国型』と呼ばれているらしい。 大和から吐き出されている小型機竜と同タイプの機竜なのだが、今回は味方してくれると聞く。 「やっほー、エスコートよろしくですよー、ちゅっ♪」 『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)がスカーフを振りながら投げキスをしていた。理由は分からないが怯える様子の小型機竜(区別の為にここからは『赤機竜』と記述する)。 そんな彼らを、『ソリッドガール』アンナ・クロストン(BNE001816)はとっくりと観察していた。 「できれば回復範囲に入れたいんだけど……上手い事連携取ってくれないかしら。ええと、こうすればいい?」 腕をばたばたと戦闘機が意思を伝える時のように動かしてみる。 彼女を見てバタバタと羽を動かす赤機竜。 「あ、こうなの?」 友好的な態度を羽ばたきで表現(?)してみるアンナ。 赤機竜はぴたりと動きを止め、ハイテレパス通信を入れてきた。 『すまないレディ、つい面白くなってしまった。こちら合衆国第三竜軍隊、その生き残り数名……の中の有志三名だ。これより貴君等を援護したい。通信は一人が限界だが……どうした、レディ?』 「…………」 アンナは暫しプルプル震えたあと、本で思い切り赤機竜の頭を殴った。 「意思疎通と連携は十分なようですね」 『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)が光の翼を羽ばたかせ、戦闘準備にかかる。 ちらりと見ると、左右に『生還者』酒呑 雷慈慟(BNE002371)と『華娑原組』華娑原 甚之助(BNE003734)が上がってきた。 「目的は迎撃ポイントを通過する小型機竜の継続的撃墜。逃した分だけ本体に影響が出る。全力をもってしてこの場で足止めをかけ、迎撃を徹底する」 「翼は八十秒おきに交換だ。まァ、多分そのくらいがギリギリなラインだろ」 まあそういうわけでと、甚之助は懐から護符を抜いた。 「おら、かかって来い」 ●芸予上空迎撃戦 恐ろしい暗雲から、銀色の雨が長い筋を描いて斜めに流れていくように、遠くからは見えたろう。 しかし迎撃ポイントのアラストールからは、視界を埋め尽くす程大量の機竜の群が全速力で突っ込んでくる光景が見えていた。 「この世界は穴だらけ……ですか」 薄く笑ってパーフェクトガードを発動。剣をまっすぐに構えたまま真っ先に機竜の群へと突撃した。 何の為か? それは、大和より発射された銀色の砲台を見たからである。 あの距離から届くかは微妙だが、発射したからには届くのだろう。 アラストールは前に出て剣と鞘を交差。砲撃を一人で受け止めた。衝撃で軽く後方に吹き飛ばされる。 「ぐぅ……!」 「迎撃、始めましょうか!」 ユウがライフルを構えて翼でバランス調整。 上下左右を固めた赤機竜が背部から機関銃を露出させた。 それを見てにっこり笑うウェスティア。前方に向けて魔方陣展開。 「一緒に戦ってくれる仲間だもんね」 「ま、利用できるものは利用させてもらうわ」 氷璃も畳んだ日傘をショットガンを片手撃ちするかのように突き出した。 高速詠唱。 「『一斉射撃――!』」 氷璃とウェスティアの葬操曲、ユウのインドラの矢、そして赤機竜十数機による一斉射撃。 対する小型機竜もほぼ同時に一斉射撃開始。 両者に大量の破壊がまき散らされ、常人ならば死にかねない被害を蒙った。 が、氷璃たちは勿論赤機竜たちも無傷である。 何故か? 「大丈夫よ、思い切り撃って!」 両腕を翳して叫ぶニニギア。彼女からは継続的に天使の歌が展開され、射撃に晒された自分を含む全員をリカバーしていた。 同じように聖神の息吹を継続発動するアンナ。 「これが回復弾幕ってやつよ……ったく、これだから神秘は」 『面白い戦術だ。なるほど……』 何処かで隠れて遠隔操作しているのだろう、合衆国軍有志(ほぼ義勇軍だ)が興味深そうに呟いている。 一応AF経由で通訳(?)しているのだが……これはまあ伝えなくていいか。 「気を抜くな! 散開して全体へ、より多くの敵機を撃墜する!」 雷慈慟がシールド展開。敵機竜が射撃を続けながら突撃してくる中、直接群の中心へ飛び込んで行く。 「安易に目的は達成できまい。だが――」 機竜の中心で爆発。 周辺の機竜をスクラップに変えて吹き飛ばしつつ、雷慈慟は大きく弧を描くように飛んだ。行く先々で爆発を起こしていく。 「派手にやるなァおい……じゃ、こっちもお得意のアレ」 甚之助は直接噛付いてくる機竜をさらりとかわし、首筋にアルシャンパーニュを刻み込む。 機竜は方向転換して味方へ機銃を乱射。 甚之助は軽やかに別の機竜へ飛び移り、同じようにアル・シャンパーニュを刻み込んで行く。 「さぁて、どんだけ持つかね」 跳んできた銃撃を子鬼の群れで相殺しつつ、甚之助は顎を撫でた。 戦いは続く。 ●鉄の声 持久戦である。 一見『沢山敵を倒せばいい』と思ってしまいがちな本作戦の要は、実の所持久力にこそある。破壊力を欲張り防御やリカバーを怠ればじわじわと削られ、最終的には撤退。ノーガードになった空域を小型機竜が大量に通過し、後の争奪戦を蹂躙するという恐ろしい展開が待っていたのだが、雷慈慟たちはしっかりと状況を見極め、万全な持久体勢をとっていた。 「まだ行けます、味方の回復を!」 機銃の集中砲火を受けそうになったアンナを庇って銃撃を引き受ける。 何発か鞘で打ち返して反撃。アンナの無事を確認するとすぐさま再突撃。 直接突っ込んでくる機竜も居たが、アラストールは剣を喉に突き立てて止めた。 「アラストールさんっ!?」 「騎士たるもの、正面から体当たり。ゼロ距離射撃は基本!」 機竜の内部から吹き出すジャスティスキャノン。 十字の光に粉砕された機竜がばらばらと落下していく。 「次は誰です」 四人づつに分かれて広域に展開すると言う彼らの作戦が功を奏し、単純で緊急な命令故に迂回ができないらしい機竜たちは残らず網にかかる形になった。 無論八人だけではこし切れない物量だが、赤機竜が等間隔に布陣してくれたおかげでその問題は解消した。 しかもただ四人ずつに分けたのではない、広域回復を得意とするアンナとニニギアを分け、葬操曲を高速詠唱できる氷璃とウェスティアと言う砲台役も分け、盾とタンクと言う持久戦には必要不可欠な役割であるアラストールと雷慈慟も振り分け、そこにユウの全体攻撃と甚之助の魅了戦略を重ねることで非常にバランスよく、尚且つ破壊力の安定した状態を保っていた。そうそうできることではない。 「雷慈慟さんチャージお願い!」 「どうか存分に。氷璃もそろそろか」 「ありがとう助かるわ」 雷慈慟がせわしなくチャージを行い、かつ盾になるという絶妙のパフォーマンスを見せる中、ウェスティアと氷璃は只管燃費が悪いと評判の葬操曲・黒を贅沢に連発していた。 慄くべきは高速詠唱とチャージが加わった葬操曲の恐ろしさよ。 大量の機竜たちは次々に再起不能になるか呪縛で動けずに止まるかしていき、辛うじて生き残った機竜も赤機竜の制圧射撃とユウのインドラによって残らず薙ぎ払われていた。 これだけ大量の敵を相手にしておきながら、流れたのはほんの少数。それも負傷した機竜ばかりである。 「前後左右全て的……撃てば当たるだなんて、コイツはいいや」 ユウは狙いも適当にインドラの矢をまき散らす。ただ適当と言ってもユウの適当である。命中率200%の業火・火炎つき全体攻撃の恐ろしさが、この集団戦闘において遺憾なく発揮されていた。 たまに根性のある機竜が奇跡的な回避を見せながら突撃してくるが、そうした連中は甚之助が目ざとく見つけて引っこ抜き、アル・シャンパーニュで一時的に味方につける。 「人間じゃねえってのはチョロいもんだよなァ、ほんと」 勿論相手も馬鹿ではないので、最も崩しやすい要であるニニギアに集中砲火をかけようとするが、赤機竜がローテーションを組みながら庇いに入っていた。 「ありがとう機竜さん。回復、しますからね!」 盾になってくれているのはニニギアだけではない。ウェスティアや氷璃と言った防御力の低いメンバー(特に空中戦では物理防御力が極端に下がる)を積極的に庇い、ダメージを綺麗に分散させていた。 今更なことではあるが、以前の戦闘もこのテクニックで戦われてたら正直危なかった。人力とは偉大なものである。 ニニギアは盾になってくれた赤機竜を撫でつつ天使の歌を発動、そっと送り返した。 戦いはまだ続く。 途方もなく長く、続く。 ●竜の声 随分長い時間戦った。 赤機竜は弾切れで格闘戦に移行。甚之助やアラストールも弾切れが近くなり盾役に回っている。雷慈慟のチャージがあるので広域攻撃と回復は持たせてあるのが救いである。 そんな彼等にとって一番の難関だったのは『翼の加護』支援を受けるタイミングであった。 メンバーの中で自力飛行ができないのは雷慈慟、甚之助、アンナ、アラストールの四人。彼らは不自由が少なくなるよう、そしてできるだけ穴ができないようにローテーションを組んで地上に戻るようにしていた。 「一時終結、フォローを怠るなよ! まずは自分と甚之助で支援を受けに行く、暫し頼んだ!」 そう言って雷慈慟は急降下。自由落下以上の速度で芸予要塞へと向かう。 同じく効果を始めた甚之助がヘッドセットのマイクに手を当てる。 「おい支援係、もっとこっち来い」 『嫌です』 にべもない返事が返ってくる。支援係がもう少し上まで来てくれれば翼の更新のために外れる時間も短くて済むのだが。 「あァ? いいから来い」 『嫌ですよ。今も真上で機竜だの変な有翼フィクサードだのが交戦してるんです、少しでも出たら死ぬ自身があります』 「知るか、俺にぶん殴られるのとどっちがいい? 機竜は知らねえが俺は確実に殴るぞ」 『後で好きなだけ殴ればいいじゃないですか。僕らが死んだら誰があなたを飛ばすんです』 「……根性座ってんじゃねえの」 『こっちは皆さんが来るまで全力で隠れて丸まっています……そうですね、10m弱なら要塞の中で移動できますから、近づけますが?』 さりげに譲歩されている。甚之助はニヤニヤ笑った。 「分かりゃいいんだよ分かりゃ」 眼下では今まさに機竜と妙な有翼フィクサードが戦っていた。潰し合いが起きているのだ。 「ありゃ……東の方から流れてきた『巡り目』か」 「そのようだ。すぐに翼を交換して戻るぞ」 甚之助と雷慈慟は急速にターンしながら交戦区域を離脱。その際ちょろっと機竜にアル・シャンパーニュをかけていく甚之助であった。 そうして彼らが迎撃ポイントに戻り、さあアンナたちの番だとバトンタッチしたその時、待ちに待った連絡が入った。 『こちら本体、マスタープラトン奪取に成功! 繰り返す、奪取に成功! これより破壊作戦に移る! ……各々死ぬなよ!』 若干しわがれた初老の声である。 「いよいよ……」 「ですね……」 アンナとアラストールは急速に要塞へ降下しながら、互いの身を寄せ合った。 ●最後の咆哮 小型機竜の動きが目に見えて変化した。 ある程度機銃で射撃してから食いつき、暫く交戦しながら数機を擦り抜かせるという戦法をとっていた機竜たちが、我先にと前を争うように全力飛行し、防御も攻撃も無視して目的地へと突っ走るようになった。 通信を傍受したのか、それとも望遠でマスタープラトンが持ち出されたのを確認したからかは分からない。 だが一つ確かなことは……。 「焦っているわね」 全ての機竜が翼をコンパクトに畳んで突撃してくる。機銃射撃なともののついでで、目の前を塞ごうものなら全力で食いついてそのまま突っ切ろうと言う気概を見せている。 防御の薄い氷璃たちが受けたが最後、そのまま掻っ攫われること間違いなしだ。途中で身体が二つか三つに千切れるオマケもつくだろう。 『帝国軍めが……できる限りの援護をする、その間に落とせるだけ落としてくれ!』 赤機竜が次々と氷璃たちの盾となり、片っ端からスクラップに変えられていく。 「っ……わかった!」 氷璃とウェスティアは葬操曲を全力射撃。 これがラストスパートだと察した雷慈慟も敵陣に突っ込んでJ・エクスプロージョンを連発した。 次々と爆破を重ねる雷慈慟の足に機竜が食らいつく。 「ぐっ……!」 反射的に身体を曲げ――ようとした途端別の機竜が肩に喰らいつく。 ごきん、という聞きたくもない音が身体の中から響いてきた。 血を噴き上げながら雷慈慟が墜落していく。 「雷慈慟さん!」 「ちっ、こっちもヤバい……下の連中ちゃんとキャッチしろよな!?」 身体数か所の肉を食いちぎられた甚之助が気を失って墜落。 赤機竜たちもついに最後の一機が食いちぎられ、ひゅるひゅると芸予要塞周辺へと落下していく。 「不本意だけど、ここまでみたいよ……」 目をきゅうと細めて斜め上を仰ぎ見る氷璃。 なんと、超大型機竜戦艦『大和』が機銃や大砲を乱射しながらこちらへ一直線に突っ込んでくるではないか。 「あ、あんなの当たったら死んじゃうよ!? わ、うわ!」 盾を失い、大量の機竜の突撃を受けたウェスティアが墜落。 同様に氷璃も悔しげに顔を顰めながら墜落して行った。 「アラストールさん、もう下がって!」 「いいえ、最後の一片になるまでは――!」 ユウの前に出たアラストールが両腕を食いちぎられつつも歯で剣を咥えて突撃。機竜にヘビースマッシュを叩き込んでからもみ合うように墜落してく。 ついに弾切れを起こしたユウは前方に向けてライフルを連射。 最後は大和の砲撃をモロに喰らってきりもみ回転。そのまま落下して行った。 「最後は私たちだけか……冗談みたいね」 「でもやるしかないわ」 杓文字を逆手に握ると、ニニギアは眼前に広がる機竜の群れに向けてマジックアローを連射。 アンナも神気閃光を狙いもつけずに乱射した。 大和との距離が縮まる。 80m。 60m。 50m。 30m。 20m。 10m。 その時、背後から青い光が昇った。 轟音としか聞こえない咆哮があがり、そして光が爆発的に広がり……。 「大和が……」 アンナとニニギアの目の前で、巨大機竜戦艦『大和』は崩壊した。 ●エンドロールはまた後で がくりと力が抜け、背中の羽も消える。 アンナは自由落下を始めた。 ニニギアが慌てて受け止めに走る。 が、途中でキャッチしたのは赤機竜だった。飛行するのがやっとという様子の、かなりボロボロな機体である。やはり限界なのか、既に自己崩壊を始めていた。 ぺちん、と機竜の顔に手を置く。 「後で、パーティでもやらない? 帰る前に、一回くらいは付き合ってもいいわよ」 『嬉しい誘いだ。だが帰ることは出来そうにない』 「……は?」 『手持ちの機竜が全滅、機材も全て失った。どうやら我々はこの世界に定着したようだが……』 フェイトを得たのだろうかと、一緒に聞いていたニニギアは思案する。 『大和の撃墜、見事だった。我が祖国に代わって礼を言う。あの世界は……いや、それはいいか』 赤機竜の目が明滅を始めた。そろそろ力尽きるのだろう。 名残惜しげに手を逃すと、機竜ががばりと口を開けた。 30センチ大の正十二面体が転がり落ちてくる。 慌ててキャッチするアンナ。 「え、これっ……!」 『マジェスティックのコアだったものだ。これも定着したようだな。だが安心して欲しい、大和のように害はない。我々にとってももう使えないものだ。感謝と敬愛の証として受け取ってくれ、レディ』 「……あ、ああ、ええと」 どうしたものか。 そう思いながら、アンナはゆっくりと杵築神社へ降下していった。 全ての真実が集まる、あの場所へ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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