● くすくす、くすくす。楽しそうに、笑いながら。 そのうちの一人が立ち止まると、ちょっぴり悪戯顔してにまりと笑う。 「追いかけっこすーるひと、こーのゆーび、とーっまれっ!」 少年が人差し指をまっすぐ空へ突き上げて歌えば、一緒に居た少年たちがその指を握った。 くすくす、くすくす。楽しそうに、笑いながら。 そのうちのもう一人がその手を離すと、少し釣り目の瞳を輝かせながら言った。 「じゃあ、鬼を決めなきゃね。どうする?じゃんけんでいい?」 少年が握った拳を空へ突き上げて最初はグーと歌えば、一緒に居た少年たちも歌いだす。 くすくす、くすくす。楽しそうに、笑いながら。 そのうちの最後の一人が唇に指を当てながら、こてりとゆるく首を傾げた。 「うー。負けちゃったあ。でもでも、さんにんだけじゃ、つまらないよう」 少年がいいこと思いついたと手招きすれば、一緒に居た少年たちはそっと耳を寄せた。 そうだね。そうする?そうしよう! こしょこしょ、こしょこしょ。ちいさな作戦会議を終えると、顔を見合わせやっぱり笑う。 白いフード付きポンチョをふわりふわりと揺らして、少年たちは三高平公園を駆け抜ける。 自分たちの分身を、いくつもいくつも増やしながら。 ● 「もうすっかり梅雨ね。でも残念。リベリスタのお仕事に天気は関係ない」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が白く細い指先で、髪の毛を弄りながら言った。 色違いの瞳で憂鬱そうに窓の外へ目をやれば、外ではしとしとと静かに雨が降っている。 「少年姿のアザーバイドが現れた。識別名『てるてるぼういず』。フェイトは得ていない。 特に何か悪いことをしに来たわけじゃないみたい。ちょっと遊びに、の感覚で三高平に来た」 モニターに少年たちが映し出される。真っ白なポンチョはお揃い。 赤、青、灰の色違いの短パン姿で、短パンと同じ色したスニーカーの紐は、少しよれていた。 「彼らを、送り返して。見ての通り数は三人、……と、言いたいところだけど。その、なんか、増える。 彼らに悪気がなくとも、革醒影響を与えることは確実。それは流石に、ちょっと問題」 悪気がないって言うのが、面倒よね。そう呟いて僅かに困った表情を浮かべた。 「相手は見ての通り子供。でも、子供だからって見くびったら駄目。 性格も、特性も、増え方も様々。それぞれに合った対策が必要。詳しくは資料を見て」 イヴがリベリスタたちに資料を手渡す。 足はそこまで速く無いが大変身軽。お調子者な、てるてるぼういず長男坊・はれ。 能力は平均的だが、何事もソツなくこなして見せる、てるてるぼういず次男坊・あめ。 身軽では無いが大変足が速い。少し飽きっぽい、てるてるぼういず三男坊・ゆき。 イヴの言う通り特性も様々で、ネズミ算のように増えたり、少し頭を使ったり、二回続けて行動したり。 一人の力は高が知れているかもしれないが、子供だと油断すると確かに痛い目を見そうである。 「油断は禁物だけれど、追いかけっこなんてそうそうする機会、ないでしょ?」 数人のリベリスタたちが頷く。確かに、最後に追いかけっこなんかしたのは、いつのことだったろうか。 イヴはゆっくり瞳を閉じると少しだけ笑みを浮かべて、楽しんできて、と言葉を続けた。 「晴れるといいね」 イヴがモニターの電源を切る。曇り空の隙間からは、やわらかい光が差していた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:あまのいろは | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年06月22日(金)23:43 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● くすくす、くすくす。楽しそうな笑い声、みっつ。 ゆらゆら、ゆらゆら。楽しそうに動く影、みっつ。 楽しそうに揺れるみっつの影は、異世界からの来訪者てるてるぼういずのもの。 「追いかけっこにかくれんぼ。普通なら平穏の象徴なんですけどね」 楽しそうに遊ぶ彼らを見つけた『羊系男子』綿谷 光介(BNE003658) の心情は複雑である。 リベリスタたちにとって、平穏な日々など追憶の彼方。無邪気に駆け回る彼らに、光介は何の面影を重ねたのだろうか。 「三高平には『敢えて履かない』人たちだっているんですよ!スカートめくり、ダメ絶対!」 サングラスの奥から彼らを視線で追いつつ、スペード・オジェ・ルダノワ(BNE003654)がぐっと拳を握り宣言した。 スペードの言う通り、三高平には『敢えて履かない』人が多い事は、事実である。 でも大丈夫。今回敢えて履かない人は居ないみたい。居ないみた……ごめんね、居たみたい。 『無軌道の戦鬼(ゼログラヴィティ』星川・天乃(BNE000016)の、ニーソックスとミニスカートが織り成す絶対領域が眩しい。紐ひとつ無く綺麗に身体のラインが分かるのは、それは彼女が履いてないからです。 「昔は良く、やったね……殴り合い、ながら撤退戦の、修行。あるいは、追撃戦の、訓練」 昔に思いを馳せ淡々と喋る天乃の言葉は、ちょっとだけズレていた。 「やんちゃな王子様達と鬼ごっこして遊ぶですぅ!追いかけて、ぺろ!!必ず捕まえてみせますぅ!!」 その横では『白雪姫』ロッテ・バックハウス(BNE002454) が、緑の瞳をきらきら輝かせていた。 どんな言葉も、きっとロッテには届かない。仕方ないじゃない、だって最近目覚めちゃったんだもの。 視線に気づいたのか、てるてるぼういずはリベリスタたちを見返すと、こしょこしょと話始めた。 「え?見えてる?」 「見えないでしょ、今まで誰も気付かなかったよ?」 「でも、ずぅっとゆきたちのこと、みてる……」 こしょこしょ話を続けるてるてるぼういずへと、『紺碧』月野木・晴(BNE003873) が人懐こい笑顔を浮かべながら、さりげなく距離を詰める。 「なになに鬼ごっこ?いいねいいね、俺も混ぜてー!」 「見えてる!」 「俺も名前、ハレって言うんだよー、お揃いだね、はれ君!」 驚きに目をまるくして、てるてるぼういずはその場から飛び退いた。 彼らは距離を保ったまま、リベリスタたちを見つめる。暫くすると、長男・はれが口を開いた。 「……にーちゃんたち、遊んでくれるん?」 「もちろん!これも何かの縁!一緒に逃げ……、じゃなかった!全力で追いかけるよー!」 にぱっと笑う晴の言葉に、てるてるぼういずもにぱっと笑みを返した。 彼らの瞳の奥では、悪戯心が楽しそうに揺らめいているのが分かる。 「じゃあ、おにいちゃんとおねえちゃんが、鬼ねー……?」 「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ!」 言うが早いか、てるてるぼういずは思い思いの方向へと一目散に走り出した。 ● 雪白 万葉(BNE000195) が赤い絵の具を手に、はれへと迫る。 超集中状態の万葉が飛ばした絵の具は、見事にはれのポンチョに命中。白いポンチョが赤く染まった。 「うっわ!何これ!あー!汚したってマミィに怒られるー!」 「これで区別がつけばいいのですが……」 その時、ポンチョについた絵の具もそのままに。万葉の目の前ではれのが三人になった。 「……そう、上手くはいかないようですね!」 だが、当の本人は、わあわあ騒ぎながら走っている。見分けることは、そう難しくなさそうだ。 「逃げる側が増える追いかけっこ……ややこしいですね。お子様相手でも手は抜きません!いざ!」 『昼ノ月』伊集院 真実(BNE003731)は、次男・あめに狙いを定めて走り出す。ヴァンパイアの牙を隠すため、マスクを着用している真実の姿は昼間の公園では、少しだけ怪しい。 だが『のんびりや』イスタルテ・セイジ(BNE002937)の恰好は、もっと怪しかった。 「ふふふ、この世界に大洪水を起こす為、てるてるぼういずを確保せよとのイヴ様の御命令だー!」 ヒーロー好きのはれの気を引く為、イスタルテは真っ黒な服に身を包み、悪の組織の配下に成りきる。 公園のアスレチックの上に立つと、ひゃっはーと叫んでびしっとポーズを決めた。 そんなイスタルテに注がれる周囲の目。気にならないよ本当だよ。泣いてなんていないんだから。 「効かない、のかな……?」 三男・ゆきを追うのは、天乃と光介。天乃はテンプテーションを使いゆきを惹きつけようとするが、はっきりとした効果は見られない。異性への好意を感じるには、少し早い年齢だったようだ。 光介もマイナスイオンを使い警戒心を解かせながら、天乃と挟み撃ちにする形で彼へと迫る。 「ふふ。おにいちゃん、おねえちゃん。そんなんじゃ、ゆき、捕まらないようー?」 ゆきは涼しい顔で二人から十分に距離を取ると、ふわふわとゆるい笑みを浮かべた。 「大丈夫、怖くないよ」 「ほら……一緒に、食べよう?」 光介は細工の綺麗な和菓子を手に、気付けば天乃もみたらし団子を手にゆきへ語りかける。 ゆきの表情がぱぁっと明るくなる。ゆきは二人の元へ駈け出そうとしたが、ぴたりと動きを止めた。 「おにいちゃん、おねえちゃん。ゆきのこと、エヅケしようとしてるー……?」 ゆきはちょっと拗ねた表情で、ぷくぅと頬を膨らます。 まだまだ捕まらないよ、と、ゆきはふわりと笑みを浮かべると、二人に背を向け走り出した。 「だってだって、たのしいんだもん。ね、もっとあそぼう?」 青い空の下響く、楽しそうな笑い声。 てるてるぼういずもリベリスタたちも、この少し特殊な追いかけっこを楽しんでいた。 追いかけっこが遊びとして成り立つのは、それが友達同士だからである。 もし逃げる人が恐怖を感じて本気で逃げる場合、それは追いかけっこでは無く狩りと呼ぶべきだろう。 「まって~!しょた~!ちゅぅ~!」 「待ちません!絶対に!絶対に待ちません!!!」 全力疾走で逃げるあめに、追うロッテ。その光景はまさしく狩りと呼ぶに相応しい。 何故追いかけっこが狩りになったのか。それは少し前に遡る。 もふもふした動物が好きなあめをロッテの猫、Sleepyで誘き出す作戦を立てた。 思惑通り誘き出されたあめだったが、捕まえようとしたロッテと真実に気付くと間一髪のところでかわして、今に至る。 あめは他の二人と比べて頭を使うことが得意だが、今回はそんな余裕も見られない。 遊びの追いかけっこは今や、食うか食われるか。そんな本気の狩りと化していた。 「あめ様の走る姿クールでビューティー……バランスかっこいいですぅ!トキメク!好き!」 確かにバランス君だけど、ロッテのNo.1王子様じゃないんだよ。だからちょっと落ち着こう。ね。 全力で逃げるあめが二人に増え、別々の方向へと走っていく。 ロッテの動きを冷静に見て動いていた真実は、増えたあめの動きに合わせることが出来た。 真実があめへと、手を伸ばす。ギリギリまで手を伸ばせば届く距離。真実があめの手首を掴んだ。 しかし、捕まえたあめはてるてる坊主には擬態しない。つまり、分身である。 「分身でしたか、残念。てい」 真実が分身を軽くチョップをすると水の塊が弾けた。雫が太陽の光を浴び、きらきらと輝いて散る。 ● まだまだ追いかけっこは終わらない。 はれは気付けば二人、四人と増え、今や本体を含め九人となっていた。 「うわー!すげぇ!ぱねぇ!また増えてる!!」 増える分身に晴が素直に関心の言葉を溢せば、調子に乗ったはれはにまりと笑った。 「にひひ。だってオレ、一番にーちゃんだしっ!」 「喋ると言うことは、あれがはれ君の本体ですね」 「ってことは、この子は分身だなっ!」 お調子者のはれのおかげで、本体を見極めることは容易い。万葉ははれ本体に狙いを定めて追う。 リベリスタたちの側を走る分身もいる。晴は運よく近くを走り去ろうとした分身を捕まえることに成功した。 ぽこんと軽く叩けば、はれの分身は消えていく。本体含め、残り八人。 「まてまてー、リベリスターどもには渡さないぞー」 悪の組織の配下を演じ続けながら、イスタルテもはれ本体へと手を伸ばす。 だが、伸ばされた手は、惜しくも届かない。ふわりと揺れたはれのポンチョを掠めただけだった。 「このーっ、おとなしく我らがイヴ様のものになるのだー」 悔しそうなイスタルテを見て、はれは走りながらも楽しそうにけらけら笑っていた。リベリスタとの追いかけっこを心から楽しんでいるのだろう。 一般人の振りをして、楽しそうなてるてるぼういずを眺めていたスペードも、はしゃぎ回るはれを見て柔らかい笑みを溢す。 迷うことなく、一直線に。はれがスペードの方向へと走ってきた。万葉にイスタルテ、晴がスペードのもとへとはれを追い込んでいるのだ。だが、はれは自分が追い込まれているなどと、思いもしない。 「あは、そんな簡単には捕まらないよーっだ!!」 けらけら笑いながら、一般人と思い込んでいるスペードのスカートへと、はれの手が伸びる。 「わ……っ!」 ふわり。スカートが捲れ上がり、彼女の下着が白日の下にさらされる……と、思われたが。 スカートの中にはしっかりスパッツ着用。顔を覆うような恥ずかしい事態は免れた。 それに、スペードとてただ眺めていた訳ではない。はれが接近する時を狙い、集中を重ねていたのだ。 「甘いですっ!!」 「わ、えっ!?」 スペードがはれへと飛びつく。 同時に七人の分身が消え、スペードの手の中ではちいさなてるてる坊主がちょこんと座っていた。 「上手くいったようで、良かったです」 「はー。鬼ごっこやっぱ楽しいね!またやりたいなぁ……。あ、分身はナシでお願いします」 「リベリスターに捕まってしまったかー、がっでむー!!」 走り疲れた万葉と晴がスペードに駆け寄ると微笑む。イスタルテだけが悔しそうに地団駄を踏んでいた。 「おや。はれ君が捕まったようですね。こちらも早く捕まえたいところです」 はれの分身が消える瞬間を見た真実がぱちくり瞬いた。あめは、狩られぬよう必死に逃げている。 「ほ~らっ、もふもふしっぽですよ~?わあ!ふあふあ!」 「騙されませんよ!?」 空が青い。風が気持ちいい。ああ、今日の三高平は平和だなあ。 「く、ぅっ。こうなったら……っ!」 逃げ切ることが難しいと判断したあめは、立ち止まるとロッテへと向き直る。 逃げるのが無理なら、戦おうというあめの勇気は称えよう。だがしかし、それは勇気でなく無謀と呼ぶ。 「こら!!そういうことしようとしちゃ、メッなのですぅ~!揉む!!」 何を?なんて恐ろしくて聞けない。聞いちゃいけない。そんなこと、きっと皆分かってる。 あめへ抱きつこうとするロッテ。その時、あめの背後から、そろりと真実の手が伸びた。 「どうせなら逃げる役もやってみたかったですが……おしまいです」 あめの敗因は、迫るロッテにばかり気を削いでしてしまったこと。 もう一人いる真実の存在をもっと注意すれば、逃げ切れたかもしれない。それは、彼にもう少し余裕があったなら、の話であるのだが。 真実があめの肩を、そっと掴んだ。 「わぁっ?!」 ロッテと対峙しているあめは真実に気付かず、捕まった。あめはてるてる坊主へと変化する。 「ふふふ。隙ありですよあめ様!そんな所もかわいい!好き!!」 はれに続き、あめも捕まった。残るは、ゆき一人。 ゆきも、二人に増えている。天乃と光介は二手に分かれ、ゆきを追っていた。 ゆきはいまだ余裕綽々と言った様子で、風のように駆け抜ける。 「流石に……早い、ね」 「やっぱり、純粋に追いかけっこは大変ですっ!」 ゆきの速さに二人は苦戦を強いられていた。追い打ちをかけるようにゆきは走り続け、二人との距離はどんどん引き離されてしまう。 「あっ、ゆき君の後ろに一つ目入道と口裂け女のハーフが!」 光介が怖い話でゆきの反応を確かめる。少し速度が上がった気がしたが、それ以上の反応は無い。 「偽物でしょうか?」 偽物と決めるには少しばかり決定打が足りない。光介は今追っている分身を追い続けることにした。 ゆきとの距離はなかなか縮まらない。このままだと逃げ切られてしまうかもしれない。 だが、リベリスタは二人だけではないのだ。 はれ、あめを捕まえたリベリスタたちが、応援にと駆けつける。 その速度を生かし逃げていたゆきだったが、数の多いリベリスタに囲まれるのも時間の問題。 「あ、ふぁっ、え。ええっ?ああん、途中から増えるなんてズルイよぉーっ!」 増える自分たちのことは棚に上げて、ゆきが悔しそうに叫ぶ。 囲まれたゆきに逃げ場はない。ゆきは立ち止まると、観念したように空へまっすぐと手を突き出した。 同時に、天乃が、光介が、ゆきへと飛びついた。 「……こっち、本物」 天乃の手のなかに、小さなてるてる坊主。光介が捕まえたゆきは、溶けるように消えた。 「確保、できましたね……!」 光介がほうと胸を撫で下ろす。 こうして、てるてるぼういずは三人全員リベリスタの手によって捕まってしまったのだった。 ● 「ちぇー、絶対逃げ切れると思ったのになー」 「はれ兄は騒ぎすぎなんだよ!」 「……そういうあめちゃんだって、騒いでたくせに…………」 「な、何をーっ!」 兄弟喧嘩に発展しそうなてるてるぼういずの間に、リベリスタたちが割って入る。 「喧嘩しちゃ駄目ですよ。私はスペード。お友達になりましょう?」 「うん、もちろん!」 その一言で兄弟喧嘩は収まり、三人ともぱあっと表情を明るくする。 「あ、はれ君。靴紐解けかかってるよー」 「およっ。ありがとにーちゃん」 紫陽花の側のDホールの側で、はれがきゅっと靴紐を結ぶ直す。 その様子を見て、ロッテが別れを惜しむように告げた。 「可愛いてるてる王子様、また梅雨の時期に会えるといいなぁ」 てるてるぼういずはお互いに顔を見合わせるとくすくす、くすくす笑う。 「いつだって会えるよー?ね。はれちゃん。あめちゃん。」 「うん、晴れの日も雨の日も、雪の日も曇りの日も、いつだっているから」 「そうそう。ご存知ぼくらはてるてるぼういず!どんな天気もおまかせ!」 にまりと、悪戯な笑顔を浮かべて、はれが言う。 「さって!じゃあそろそろ帰んないと、マミィに怒られる!」 「ダディも、怒るかもよ……?」 「……ダディには怒られたくないなあ」 Dホールのなかへ入ろうとしたてるてるぼういずを、万葉が引き留める。 「待ってください。お土産です、皆さんで食べてくださいね」 「ボクからも。ほら、お菓子の細工、きれいでしょ?」 万葉が、光介が、スペードもそれぞれに選んだプレゼントを手渡す。てるてるぼういずはたくさんのプレゼントを嬉しそうに受け取った。 「ふはははは。リベリスターの手に渡すくらいなら、こうだー」 最後まで役に成りきったイスタルテが驚かせば、三人とも可笑しそうに笑う。 「ふふっ。ありがと。お兄さん、お姉さん。たのしかったよ!」 てるてる坊主を作ったら、ぼくたちのことを思い出してね。ぼくたちもきっと、忘れないから。 満面の笑みで、リべリスタたちに手を振ると、元の世界へと帰って行った。 Dホールが消え、紫陽花の側はしんと静寂と取り戻す。 「たまには悪くないですね、追いかけっこ」 「疲れたね。……甘いもの、食べたい」 見上げた空は青い。天乃の言葉に、リベリスタたちが頷くと、公園を後にした。 紫陽花が風に吹かれ、静かに揺れる。梅雨の終わりは、もうすぐ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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